JP2002146148A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JP2002146148A
JP2002146148A JP2000339375A JP2000339375A JP2002146148A JP 2002146148 A JP2002146148 A JP 2002146148A JP 2000339375 A JP2000339375 A JP 2000339375A JP 2000339375 A JP2000339375 A JP 2000339375A JP 2002146148 A JP2002146148 A JP 2002146148A
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weight
compound
thermoplastic resin
flame
copolymer
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JP2000339375A
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English (en)
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Norifumi Sumimoto
典史 住本
Masahiko Noro
雅彦 野呂
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Techno UMG Co Ltd
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Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工性、耐衝撃性、耐熱性、難燃性及び
耐熱変色性に優れた非ハロゲン性の難燃性熱可塑性樹脂
組成物を提供すること。 【解決手段】 本難燃性熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強
化熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、リン系難燃
剤(縮合リン酸エステル及び/又はホスファゼン化合
物)を含有する。上記成分(A)は、ゴム質重合体の存
在下に、芳香族ビニル化合物50〜95重量%、シアン
化ビニル化合物5〜50重量%及びこれらと共重合可能
な他の単量体化合物0〜45重量%からなる単量体成分
をグラフト重合して得られるグラフト共重合体(A1)
と上記単量体成分の重合体(A2)とからなり、重合体
(A2)中のシアン化ビニル化合物の3連シーケンスの
含有量が5重量%以下であり、ゴム含有量が8〜20重
量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性熱可塑性樹
脂組成物に関し、更に詳しくは成形加工性、耐衝撃性、
耐熱性及び難燃性に優れ、特に耐熱変色性に優れた非ハ
ロゲン系の難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、難燃性を付与したABS樹脂は、
成形加工性、機械的性質等が優れていることより、電気
・電子分野、OA機器分野等に幅広く使用されている。
近年、これらの製品においては、環境保護の立場よりハ
ロゲン系難燃剤の使用を自粛する傾向があり、PC(ポ
リカーボネート)/ABSアロイ樹脂をベースにリン酸
エステル系難燃剤を組み合わせた難燃材料が上市されて
いる。しかしながら、PC/ABSアロイ樹脂にリン酸
エステル系難燃剤を組み合わせた場合には、成形加工性
が低く、耐薬品性に劣る場合がある。従来より、PCを
使用せずABS樹脂をベースにして非ハロゲン系難燃剤
を使用した難燃化の検討もされているが、物性面も含め
UL94規定の燃焼性評価でV−0以上を達成した実用
的な材料は見い出されていない。但し、UL94規定の
燃焼性V−2以上の達成については、ABS樹脂とリン
酸エステル系難燃剤との組み合わせでの可能性が検討さ
れている。しかし、燃焼性V−2にした場合には、耐熱
性や、特に実用耐衝撃性等の物性が見劣りするものであ
り、特に、最近、成形品の生産性を高めるために、長時
間にわたって、連続成形することが試みられているが、
成形材料の少量が成形機のシリンダー、ダイ部に滞留す
る。そうすると滞留樹脂が長時間にわたって高温状態下
で熱履歴を受け、変色する。その結果、熱変色した滞留
樹脂が成形品の色調悪化の原因となり、成形品の長時間
の連続成形の支障となっている。従来のリン系難燃剤を
用いた成形材料では耐熱変色性が十分でなく、耐熱変色
性の一段と優れた材料が求められている。また、燃焼性
V−2と優れた物性とのバランスを高度に発現し、且つ
耐熱変色性の優れた材料は見い出されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、ABS樹脂をベース
にリン酸エステル系難燃剤を用いてUL94規定の燃焼
性V−2を発現し、且つ、優れた物性を有し、特に耐熱
変色性に優れ、広範囲の用途に使用できる難燃性熱可塑
性樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明者ら
は、かかる現状に鑑み、材料の開発について鋭意検討し
た結果、特定のゴム強化熱可塑性樹脂と特定のリン系難
燃剤を含有する難燃性熱可塑性樹脂組成物において、シ
アン化ビニル化合物の3連シーケンスの含有量を特定範
囲以下にすることで上記問題点を解決できることを見い
出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の難
燃性熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化熱可塑性樹脂
(A)100重量部に対し、リン系難燃剤(B)5〜2
0重量部を含有することを特徴とする。上記(A)は、
ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物
(b1)50〜95重量%、シアン化ビニル化合物(b
2)5〜50重量%及びこれらと共重合可能な他の単量
体化合物(b3)0〜45重量%からなる単量体成分
(b)をグラフト重合して得られる共重合樹脂(A1)
と、芳香族ビニル化合物(b1)50〜95重量%、シ
アン化ビニル化合物(b2)5〜50重量%及びこれら
と共重合可能な他の単量体化合物(b3)0〜45重量
%を構成単位とする重合体(A2)との混合物からな
り、該重合体(A2)中のシアン化ビニル化合物(b
2)の3連シーケンスの含有量が5重量%以下であり、
該共重合樹脂(A1)のグラフト率が20%以上であ
り、且つゴム含有量が8〜20重量%である。上記
(B)は、一般式(I)で示される縮合リン酸エステル
及び/又はホスファゼン化合物からなるリン系難燃剤で
ある。
【0005】
【化2】
【0006】(但し、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ
相互に独立して選ばれるフェニル基又はキシレニル基、
Xは2価のレゾルシノール残基又はビスフェノールA残
基を表し、nは0.5〜1.2である。)
【0007】本発明の共重合樹脂(A1)は、ゴム質重
合体(a)の存在下に単量体成分(b)をグラフト重合
して得られるものである。上記ゴム質重合体(a)とし
ては、ポリブタジエン、ポリブタジエンの水素添加物、
スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−アクリロ
ニトリル共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジ
エン)共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエ
ン)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、ア
クリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共
重合体、SEBS等の水素添加ジエン系(ブロック、ラ
ンダム及びホモ)(共)重合体、ポリウレタンゴム及び
シリコーンゴム等が挙げられる。上記スチレン−ブタジ
エン共重合体としては、スチレン−ブタジエンランダム
共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物等が
挙げられる。更に、上記スチレン−ブタジエンブロック
共重合体の水素添加物には、上記ブロック共重合体の水
素添加物の他に、スチレンブロックとスチレン−ブタジ
エンランダム共重合体の水素添加物等が含まれる。上記
ゴム質重合体(a)は、1種単独で使用することも、あ
るいは2種以上を混合して使用することもできる。これ
らのうち、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重
合体、エチレン−プロピレン(非共役ジエン)共重合
体、水素添加ジエン系(共)重合体、及びシリコーンゴ
ムが好ましい。本発明においては、ラテックス状のゴム
質重合体が好ましい。
【0008】上記ゴム質重合体(a)の平均粒子径は、
好ましくは粒子径が150〜500nm、更に好ましく
は150〜450nm、特に好ましくは200〜400
nmである。150nm未満では耐衝撃性が劣る。一
方、500nmを超えると成形加工性が劣る。上記ゴム
質重合体(a)を乳化重合法で製造する場合には、平均
粒子径の調整は、乳化剤の種類・量、開始剤の種類・
量、重合時間、重合温度及び攪拌条件等の条件を適宜決
めることにより行うことができる。また、上記粒子径の
他の調整方法としては、異なる粒子径の上記ゴム質重合
体(a)を少なくとも2種類をブレンドする方法でもよ
い。
【0009】上記ゴム質重合体(a)のゲル分率は、好
ましくは40〜98重量%、より好ましくは50〜95
重量%、更に好ましくは60〜90重量%である。この
範囲にあれば、成形品表面の光沢と耐衝撃性が一段と優
れる。上記ゲル分率の調整は、分子量調整剤の種類・
量、重合温度、最終重合転化率等を適宜決めることによ
り行うことができる。尚、上記ゴム質重合体(a)のゲ
ル分率は、ゴム質重合体1gをトルエン100ml中に
加え、48時間室温で放置したのち、100メッシュ金
網でろ過し、分散したろ液からトルエンを除去、乾燥し
てトルエン可溶分(g)を求め、次式により算出するこ
とができる。 ゲル分率=〔1(g)−トルエン可溶分(g)〕×10
【0010】上記ゴム質重合体(a)の使用量は、10
〜70重量部、好ましくは20〜70重量部である。一
方、下記に示す単量体成分(b)の使用量は、30〜9
0重量部、好ましくは30〜80重量部である。〔但
し、(a)+(b)=100重量部である。〕
【0011】上記共重合樹脂(A1)に用いられる単量
体成分(b)のうち、上記芳香族ビニル化合物(b1)
としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、
ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン等が挙げられ、これらのうち、スチレン、α
−メチルスチレンが好ましく用いられる。上記芳香族ビ
ニル化合物(b1)の使用量は、上記単量体成分(b)
全量に対して50〜95重量%であり、好ましくは50
〜90重量%、より好ましくは60〜90重量%であ
る。50重量%未満では流動性及び耐熱変色性に劣り、
一方、95重量%を超えると剛性及び耐薬品性が低下す
る。
【0012】上記シアン化ビニル化合物(b2)として
は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げら
れ、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。上記
シアン化ビニル化合物(b2)の使用量は、上記単量体
成分(b)全量に対して5〜50重量%であり、好まし
くは10〜50重量%、より好ましくは10〜40重量
%である。5重量%未満では、剛性及び耐薬品性が低下
し、一方、50重量%を超えると耐熱変色性及び流動性
が低下する。
【0013】上記共重合樹脂(A1)には、必要に応じ
て共重合可能なその他の単量体化合物(b3)を使用す
ることができ、例えば、不飽和酸無水物、不飽和酸、不
飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。上記
「不飽和酸無水物」としては、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、このうち無
水マレイン酸が好ましく用いられる。上記「不飽和酸」
としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
また、上記「不飽和ジカルボン酸のイミド化合物」とし
ては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチル
マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチ
ルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニ
ル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙
げられ、これらのうち、N−フェニルマレイミドが好ま
しく用いられる。
【0014】上記その他の単量体化合物(b3)として
は、更に官能基含有ビニル系単量体を用いることができ
る。この例としては、エポキシ基含有不飽和化合物、ヒ
ドロキシル基含有不飽和化合物、不飽和カルボン酸アミ
ド、アミノ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不
飽和化合物等が挙げられる。上記「エポキシ含有不飽和
化合物」としては、グリシジルアクリレート、グリシジ
ルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げ
られる。上記「ヒドロキシル基含有不飽和化合物」とし
ては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ
−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、ト
ランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ
−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒ
ドロキシスチレン等が挙げられる。また、上記「不飽和
カルボン酸アミド」としては、アクリルアミド、メタク
リルアミド等が挙げられる。上記「アミノ基含有不飽和
化合物」としては、アクリルアミン、メタクリル酸アミ
ノメチル、メタクリル酸アミノエーテル、メタクリル酸
アミノプロピル、アミノスチレン等が挙げられる。更
に、「オキサゾリン基含有不飽和化合物」としては、ビ
ニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの官能基含有
ビニル単量体を共重合することで、他の樹脂を配合した
場合に、上記樹脂との界面密着(相溶性)を高めること
ができる。上記その他の単量体化合物(b3)は1種単
独でもあるいは2種以上を混合して用いることができ
る。また、これらの使用量は、単量体成分(b)全量に
対し、0〜45重量%であり、好ましくは0〜40重量
%、より好ましくは0〜30重量%である。
【0015】上記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)中の共重
合樹脂(A1)のグラフト率は、20%以上(好ましく
は30〜120%、より好ましくは40〜120%)で
ある。尚、通常上限は150%である。ここで、グラフ
ト率(%)とは、ゴム質重合体(a)にグラフトした単
量体成分(b)の割合であり、次式により求められる値
である。 グラフト率(%)=100×(T−S)/S (但し、Tはゴム強化熱可塑性樹脂(A)1gをアセト
ン20mlに投入し、振とう機で常温、2時間振とう
し、遠心分離機(回転数23,000rpm)で60分
間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不
溶分重量、Sはゴム強化熱可塑性樹脂(A)1g中のゴ
ム質重合体の重量を表す。) 上記グラフト率が20%未満では、耐衝撃強度が劣る。
一方、150%を超えると、難燃性が劣るので好ましく
ない。
【0016】尚、上記グラフト率(%)は、共重合樹脂
(A1)を重合するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、
乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度
等を変えることにより、容易に制御することができる。
【0017】上記共重合樹脂(A1)は、上記ゴム質重
合体(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b1)及
びシアン化ビニル化合物(b2)を必須成分とする単量
体成分(b)を、好ましくは乳化重合、懸濁重合等でラ
ジカルグラフト重合を行い、製造することができる。こ
の際、乳化重合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量
調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。尚、上記共重合
樹脂(A1)を製造するために用いられるゴム質重合体
(a)及び単量体成分(b)は、ゴム質重合体全量の存
在下に、単量体成分を一括添加して重合してもよく、分
割又は連続添加して重合してもよい。また、これらを組
み合わせた方法で、重合してもよい。更に、ゴム質重合
体の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよ
い。
【0018】重合開始剤としては、クメンハイドロパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で代表
される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸
処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤との
組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カリウ
ム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(BP
O)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネート
等の過酸化物が使用される。更に、上記重合開始剤は、
重合系に一括又は連続的に添加することができる。上記
重合開始剤の使用量は、単量体成分(b)全量に対し、
通常、0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.
7重量%である。
【0019】連鎖移動剤は、公知のものが使用できる。
例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプ
タン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカ
プタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデ
シルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン等の
メルカプタン類、ターピノーレン、α−メチルスチレン
のダイマー等が挙げられる。これら連鎖移動剤は、単独
でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記連鎖移動剤の使用量は、単量体成分(b)全量に対
して、通常、0.05〜2.0重量%である。
【0020】乳化重合の場合に使用する乳化剤は、公知
のものが使用でき、例えば、高級アルコールの硫酸エス
テル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアル
キルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等
の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、リン
酸系等のアニオン性界面活性剤、ポリエチレングリコー
ルのアルキルエステル型、アルキルエーテル型等のノニ
オン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独
で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いる
こともできる。上記乳化剤の使用量は、通常、単量体成
分(b)全量に対して、通常、0.3〜5.0重量%で
ある。
【0021】乳化重合により製造する場合、通常、凝固
剤により凝固して得られた粉末を水洗後、乾燥すること
によって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナト
リウム等の無機塩や、硫酸、塩酸等の酸等を使用するこ
とができる。
【0022】尚、本発明のゴム強化熱可塑性樹脂(A)
は、共重合樹脂(A1)に芳香族ビニル化合物(b1)
50〜95重量%、シアン化ビニル化合物(b2)5〜
50重量%及び他の共重合可能な単量体化合物(b3)
0〜45重量%を構成単位とする重合体(A2)を配合
したものである。尚、各成分の例示は上記の通りであ
る。ここで、重合体(A2)の単量体成分は、上記グラ
フト重合に使用される単量体成分と同一の組成であって
も、異なっていてもよい。また、上記重合体(A2)
は、複数の重合体成分の組み合わせであってもよい。化
合物(b1)の構成単位は50〜95重量%であり、好
ましくは60〜90重量%、より好ましくは65〜90
重量%である。50重量%未満では、流動性及び耐熱変
色性に劣り、一方、95重量%を超えると剛性及び耐薬
品性が劣る。化合物(b2)の構成単位は5〜50重量
%であり、好ましくは10〜40重量%、より好ましく
は10〜35重量%である。5重量%未満では剛性及び
耐薬品性が劣り、一方、50重量%を超えると流動性及
び耐熱変色性が劣る。化合物(b3)の構成単位は0〜
45重量%であり、好ましくは0〜30重量%、より好
ましくは0〜25重量%である。
【0023】上記重合体(A2)は、例えば、溶液重
合、乳化重合及び懸濁重合等により得ることができる。
上記重合体(A2)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕
(30℃、メチルエチルケトン中で測定)は、好ましく
は0.2〜1.0dl/g、より好ましくは0.3〜
1.0dl/g、更に好ましくは0.3〜0.8dl/
gである。極限粘度〔η〕が上記範囲内であると、耐衝
撃性、耐熱性、難燃性に優れる難燃性熱可塑性樹脂組成
物が得られる。尚、極限粘度〔η〕は、上記共重合樹脂
と同様に制御することができる。
【0024】本発明において、上記重合体(A2)中の
シアン化ビニル化合物(b2)の3連シーケンスとは、
次式(II)に示されるセグメントである。尚、式(I
I)において、RはH又はアルキル基である。
【0025】
【化3】
【0026】上記成分(b2)の3連シーケンスの含有
量は5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下、よ
り好ましくは2重量%以下である。5重量%を超えると
耐熱変色性が劣り好ましくない。一方、5重量%以下で
あれば、耐熱変色性に優れることから成形品の熱変色が
起こりにくく、流動性に優れる。尚、3連シーケンスの
含有量の測定方法は実施例において示す。
【0027】上記重合体(A2)を得る方法としては、
例えば重合開始から重合終了までの単量体成分(b)の
供給において重合開始時は上記成分(b2)の割合を多
くし、重合終了に向けてその割合を少なくする方法等が
挙げられる。本発明のゴム強化熱可塑性樹脂(A)は、
共重合樹脂(A1)と重合体(A2)の混合物からなる
が、その配合割合は、ゴム強化熱可塑性樹脂(A)中の
ゴム質重合体(a)の含有量により決められる。上記ゴ
ム質重合体(a)の含有量は、8〜20重量%であり、
好ましくは8〜18重量%、より好ましくは10〜15
重量%である。8重量%未満では、耐衝撃強度が低下
し、一方、20重量%を超えると流動性、剛性及び難燃
性が低下する。
【0028】また、上記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)中
のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(30℃、メチルエ
チルケトン中で測定)は、好ましくは0.2〜1.2d
l/g、より好ましくは0.2〜1.0dl/g、更に
好ましくは0.3〜1.0dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲内であると、耐衝撃性、耐熱性及び難
燃性に優れる。
【0029】代表的なゴム強化熱可塑性樹脂(A)とし
ては、下記のような組成が挙げられるが、本発明の権利
範囲は、その請求範囲を超えない限り、下記の例示に何
ら限定されるものではない。 アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂/アク
リロニトリル−スチレン樹脂 アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン樹
脂/アクリロニトリル−スチレン樹脂
【0030】次に、上記(B)リン系難燃剤は、上記一
般式(I)で表される縮合リン酸エステル及び/又はホ
スファゼン化合物である。ここで、一般式(I)で表さ
れる縮合リン酸エステルは、1種類の化合物として、又
は2種類以上の異なる縮合リン酸エステルの混合物とし
てのいずれの形態でも使用することができる。上記R1
〜R4中のフェニル基は、その芳香環の水素原子がアル
キル基等により置換されていてもよい。また、上記X
は、ジヒドロキシ化合物であるレゾルシノール又はビス
フェノールAから誘導される基である。上記縮合リン酸
エステルは、それ自体公知である。上記縮合リン酸エス
テルが混合物の場合は、nの値は、縮合リン酸エステル
の混合物中の平均値(平均重合度)を表し、平均重合度
nは好ましくは0.5〜1.2、より好ましくは0.7
〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.1である。平均
重合度nが0.5未満の場合には、耐熱性が低下し、成
形品のシルバー不良等外観不良を発生しやすい。一方、
平均重合度nが1.2を超える縮合リン酸エステルは、
製造が困難であるため高価格であり経済的に利用し難
い。
【0031】一方、本発明に用いられるホスファゼン化
合物とは、例えば、"Studies in Inorganic Chemistry
6 Phosphorus (Third Edition)" (ELSEVIER)に記載のあ
る、下記一般式(III)で表される直鎖状ホスファゼ
ン及び/又は下記一般式(IV)で表される環状ホスフ
ァゼンが挙げられる。
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】〔但し、上記式(III)及び(IV)に
おいて、nは0〜15、好ましくは1〜10の整数、R
はアルキル基、アリル基、アルコキシ基、アリロキシ
基、アミノ基、ヒドロキシ基から選ばれる官能基を示
す。上記アルコキシ基、アリロキシ基はアルキル基、ア
リル基、アミノ基、ヒドロキシ基等で修飾されていても
よい。また、アミノ基はアルキル基、アリル基等で修飾
されていてもよい。〕
【0035】上記ホスファゼン化合物の具体例として
は、例えばプロポキシホスファゼン、フェノキシホスフ
ァゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスフ
ァゼン、フルオロアルキルホスファゼン等が挙げられ
る。特に、その合成方法及び入手容易性等からみて、フ
ェノキシホスファゼンが好ましい。これらは1種又は2
種以上の混合物であってもよいし、環状と直鎖状の混合
物であってもよい。また、本発明に用いられるホスファ
ゼン化合物は、同一分子内のRがすべて同種の官能基で
あってもよいし、2種類以上の異なった官能基であって
もよい。このような混合置換ホスファゼンの具体例とし
ては、分子内の一部をフェノキシ基で置換し、その後に
プロポキシ基で置換したホスファゼン、即ち、フェノキ
シプロポキシホスファゼン等が挙げられる。市販のホス
ファゼンは一般にクロロホスファゼンをアルコールやフ
ェノール等で置換することにより合成される。
【0036】上記リン系難燃剤(B)は、上記一般式
(I)で表される縮合リン酸エステル又はホスファゼン
化合物を1種単独で使用することも、あるいは上記縮合
リン酸エステル及びホスファゼン化合物を併用すること
もできる。上記成分(B)の配合量は、ゴム強化熱可塑
性樹脂(A)100重量部に対し、5〜20重量部(好
ましくは5〜18重量部、より好ましくは5〜15重量
部)である。5重量部未満では難燃性が不十分であり、
一方、20重量部を超えると、耐熱性が低下する。
【0037】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物のメル
トフローレートは、JIS K7210に規定する22
0℃、98N荷重において好ましくは30〜80g/1
0分、より好ましくは30〜70g/10分、特に好ま
しくは30〜60g/10分である。メルトフローレー
トが30g/10分未満又は80g/10分を超えると
難燃性が低下するので好ましくない。上記メルトフロー
レートは、成分(A)のグラフト率、シアン化ビニル化
合物含有率、ゴム含有率により変化し、更に、成分
(B)の配合量によっても変化する。本発明の組成物の
メルトフローレートの調整は、通常、芳香族ビニル化合
物(b1)及びシアン化ビニル化合物(b2)を含む単
量体成分を別に重合して得られる、組成比、分子量を変
えた重合体を配合することで行われる。
【0038】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物には、
公知の各種添加剤、例えば、滑剤、難燃助剤、カップリ
ング剤、抗菌剤、防カビ剤、酸化防止剤、耐候(耐光)
剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、シ
リコーンオイル等を、要求される性能を損なわない範囲
で配合することができる。
【0039】上記滑剤としては、エチレンビスステアリ
ルアミド及び/又はメチレンビスステアリルアミドであ
ることが好ましく、その配合量は、ゴム強化熱可塑性樹
脂(A)100重量部に対し、通常、0.5〜10重量
部、好ましくは0.5〜4重量部、更に好ましくは1〜
3重量部である。この範囲にあれば、流動性、V−2難
燃性が一段と優れる。10重量部を超えると難燃性が低
下するので好ましくない。
【0040】また、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ワラスト
ナイト、タルク、マイカ、カオリン、ガラスビーズ、ガ
ラスフレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカ
ー、チタン酸カリウムウィスカー等の充填材を、1種単
独で又は2種以上併用することができる。これらの充填
材を配合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物に剛性を付与することができる。また、タルク等を配
合することで、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に艶
消し性を付与することができる。上記ガラス繊維、炭素
繊維の好ましい形状としては、繊維径が6〜20μm、
繊維長が30μm以上である。
【0041】更に、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
には、要求される性能に応じて、他の(共)重合体を配
合することができる。ここで、他の重合体としては、ポ
リカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルス
ルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポ
リフッ化ビニリデン、スチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミドエラストマ
ー、ポリエステルエラストマー、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、ノボラック樹脂等が挙げられる。
【0042】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各
種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フ
ィーダールーダー等を用い、各成分を混練りすることに
より得られる。好ましい製造方法は、押出機、バンバリ
ーミキサーを用いる方法である。また、各成分を混練り
する際には、各成分を一括して混練りしてもよく、数回
に分けて添加混練りしてもよい。混練りは、押出機で多
段添加式で混練りしてもよく、またバンバリーミキサ
ー、ニーダー等で混練りし、その後、押出機でペレット
化することもできる。
【0043】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、射
出成形、シート押出、真空成形、異形成形、発泡成形、
インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形等に
よって各種成形品を作ることができる。尚、上記射出成
形において、ピンポイントゲートによる成形を好適に使
用することができる。
【0044】上記成形方法によって得られる各種成形品
は、耐衝撃性、耐熱性、難燃性に優れており、OA・家
電分野、電気・電子・通信分野、コンピュータ分野、雑
貨分野、サニタリー分野、車両分野等で使用することが
でき、特にピンポイントゲートを使用して射出成形され
た成形品は、電子部品を内蔵する機器のハウジングに好
適に使用することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明を
更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り、以下の実施例に何等制約されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、部及び%は特に断らな
い限り重量基準である。
【0046】1.評価方法 本実施例において用いられる評価方法は以下の通りであ
る。 (1)ゴム質重合体の平均粒子径 ラテックス中の分散粒子の平均粒子径をレーザードップ
ラー/周波数解析で測定した。測定機器は、日機装社製
マイクロトラックUPA150粒度分析計MODEL
No.9340を使用した。 (2)ゲル分率(トルエン不溶分) 本文中に記載した。 (3)グラフト率 本文中に記載した。
【0047】(4)極限粘度〔η〕 重合体(A2)1gをアセトンに投入し、振とう機で、
常温で6時間振とうし、遠心分離機(回転数23,00
0rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを
分離した。この可溶分を真空乾燥機で十分乾燥した。こ
の可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異な
るものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃
で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度
〔η〕を求めた。単位はdl/gである。
【0048】 (5)シアン化ビニル化合物の3連シーケンスの定量 重合体(A2)の13C-NMRスペクトルを得て、シア
ン化ビニル化合物のα−炭素の化学シフトが隣接モノマ
ー種の違いにより若干異なることを利用し、3連シーケ
ンスの割合をその化学シフトの積分値から定量した。
尚、測定条件は以下の通りである。 装置 :型式EX−270(日本電子社製) 観測周波数 :67.95MHz 溶媒 :DMSO−d6 濃度 :445mg/2.5mL 化学シフト基準:Me4Si 温度 :110℃ 観測幅 :20000Hz 緩和時間 :5秒 積算回数 :8937 デカップリング:Gated Decoupling
(withoutNOE)
【0049】(6)流動性(メルトフローレート) JIS K7210に準じて測定した。測定温度は22
0℃、荷重は98N、単位はg/10分である。 (7)耐衝撃性(アイゾット衝撃強度) JIS K7110の2号型試験片を用いて、アイゾッ
ト衝撃強度を測定した。単位は、J/mである。
【0050】(8)熱変形温度(HDT) 幅6.4mm×長さ128mm×厚み12.8mmの試
験片を使用し、JISK7207に準拠して、曲げ応力
18.5kgf/cm2で測定した。単位は℃である。 (9)燃焼性評価(難燃性) UL94規格に定められた方法により、長さ5″×幅1
/2″×厚み1/12″の試験片について垂直燃焼試験
を行った。評価結果としては、「V−2」は垂直試験結
果でV−2合格を、「B」は燃焼(burning)で
V−2不適合を表す。
【0051】(10)耐熱変色性評価 試験片の成形条件 ペレット状の難燃性熱可塑性樹脂組成物である成形材料
を用いて、3.5オンス射出成形機を用い、下記の条件
1及び2により縦50mm、横80mm、厚さ2.5m
mの試験片を得た。色調測定の試験片は、条件1では1
0ショット目、条件2では2ショット目の成形品とし
た。 条件1;シリンダー温度200℃、射出・保在時間10
秒、冷却時間20秒、その他20秒からなる50秒サイ
クルで15ショット連続成形を行った。 条件2;シリンダー温度200℃で、成形材料をシリン
ダー内に最大量食い込ませ、15分間滞留させ、射出・
保在時間10秒、冷却時間20秒でスクリューを回転さ
せずに5ショット成形を行った。 色調差ΔEの測定条件 上記の条件1及び2の色調差ΔEを、須賀試験機社製分
光測色計を用いて求めた。ΔEが小さいほど耐熱変色性
に優れる。
【0052】 2.ゴム強化熱可塑性樹脂及びリン系難燃剤等の調製 参考例1〔ゴム質重合体の調製〕 攪拌機付き反応器に、1,3−ブタジエン100部、水
60部、ロジン酸カリウム2.4部、リン酸カリウム
0.5部、水酸化カリウム0.1部、連鎖移動剤として
t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム
0.3部を加えて、60〜70℃で30時間バッチ重合
した。重合転化率は95%であった。この重合系に、重
合停止剤としてN,N−ジエチルヒドロキシルアミンを
0.2部加え、反応を停止させた。その後、減圧で1,
3−ブタジエンを除去し、ポリブタジエンゴムラテック
スを得た(固形分56.2%)。得られたポリブタジエ
ンゴムのゲル分率75%、平均粒子径は270nmであ
った。
【0053】 参考例2〔共重合樹脂(A1−1)の調製〕 滴下ビン、コンデンサ、窒素導入口及び攪拌機を備えた
セパラブルフラスコに、参考例1で得られたゴム質重合
体(a)を固形分換算で50部、乳化剤としてロジン酸
カリウム0.5部及び水100部を混合し、スチレン9
部、アクリロニトリル3部、分子量調整剤としてt−ド
デシルメルカプタン0.5部、重合開始剤としてクメン
ハイドロパーオキサイド0.2部を加えた。70℃まで
昇温後、クメンハイドロパーオキサイド0.2部、ピロ
リン酸ナトリウム0.2部、ブドウ糖0.25部、硫酸
第1鉄0.01部を加え、重合を行った。1時間後、残
りのスチレン28部、アクリロニトリル10部、t−ド
デシルメルカプタン0.3部、水40部、クメンハイド
ロパーオキサイド0.15部の混合物を4時間にわたっ
て滴下した。滴下終了後、クメンハイドロパーオキサイ
ド0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、ブドウ糖
0.13部、硫酸第1鉄0.005部を添加し、更に1
時間重合反応を行った。重合転化率は97.5%であっ
た。得られた重合体を硫酸で凝固させ、水酸化ナトリウ
ムで中和し、この凝固物をよく水洗した後、乾燥させ、
粉末状のグラフト重合体(A1−1)を得た。グラフト
率は50%であった。
【0054】 参考例3〔共重合樹脂(A1−2)の調製〕 参考例2の(A1−1)において、混合物の滴下時間4
時間を1時間に短縮した以外は(A1−1)と同じ条件
で共重合樹脂(A1−2)を得た。グラフト率は15%
であった。
【0055】 参考例4〔重合体(A2−1〜3)の調製〕 表1に示すアクリロニトリル−スチレン樹脂を使用し
た。
【表1】
【0056】参考例5〔リン系難燃剤の調製〕 成分(B)として下記に示す縮合リン酸エステル(B−
1〜4)及びホスファゼン化合物(B−5)を使用し
た。 (B−1):上記一般式(I)のR1〜R4がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、n=1.1の縮合リン
酸エステル。 (B−2):上記一般式(I)のR1〜R4が2,6−キ
シレニル基、Xがレゾルシノール残基、n=1.0の縮
合リン酸エステル。 (B−3):上記一般式(I)のR1〜R4がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、n=0.6の縮合リン
酸エステル。 (B−4):上記一般式(I)のR1〜R4がフェニル
基、XがビスフェノールA残基、n=0.3の縮合リン
酸エステル。 (B−5):下記化学式(V)で示される、フェノキシ
ホスファゼン(但し、n=1の化合物とn=2の化合物
の混合物)
【0057】
【化6】
【0058】参考例6〔その他の成分(C)の調製〕 添加剤として滑剤である花王(株)製のエチレンビスス
テアリルアミドを使用した。
【0059】3.実施例1〜4、比較例1〜5 上記各成分を、表2及び3に示す配合割合でヘンシェル
ミキサーにより3分間混合した後、ナカタニ機械(株)
製のNVC型50mmベント付き押出機でシリンダー設
定温度180〜220℃で溶融押出し、ペレットを得
た。得られたペレットを十分に乾燥し、(株)日本製鋼
所製の射出成形機J100E−C5を用いて、シリンダ
ー温度200℃、金型温度50℃で射出成形し、各種評
価用試験片(但し、耐熱変色性評価の試験片は除く)を
得た。この試験片を用い、上記評価法で評価した。評価
結果を表2及び3に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】実施例1〜4より明らかなように、本発明
の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、いずれも耐熱変色性、
流動性、耐衝撃強度、耐熱性及び難燃性に優れている。
一方、比較例1は、アクリロニトリルの3連シーケンス
含有量が本発明の範囲を超えた例であり、耐熱変色性が
劣る。比較例2は、縮合リン酸エステルのnが本発明の
範囲未満の例であり、熱変形温度と難燃性が劣る。比較
例3は、グラフト率が本発明の範囲未満の例であり、耐
衝撃性と難燃性が劣る。比較例4は、成分(A)中のゴ
ム質重合体の含有量が本発明の範囲未満の例であり、耐
衝撃性が劣る。比較例5は、成分(A)中のゴム質重合
体含有量が本発明の範囲を超えた例であり、流動性、耐
衝撃性、熱変形温度、難燃性が劣る。
【0063】
【発明の効果】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、
流動性、耐衝撃性、耐熱性及び難燃性に優れ、そして耐
熱変色性に優れることから、成形品の成形工程で成形温
度を高く設定できることから、成形品の成形サイクル時
間が短縮できる。その結果、長時間の連続成形時の成形
機のシリンダー、ダイ部に少量滞留する滞留樹脂の耐熱
変色性が改良されるので、熱変色滞留樹脂による成形品
の色調悪化の原因が解消され、成形品の長時間の連続成
形ができる。更に非ハロゲン系であることから、広範囲
の用途の成形品の成形材料として使用できる。そして、
その成形品は、OA・家電分野、電気・電子・通信分
野、コンピュータ分野、雑貨分野、サニタリー分野、車
両分野等で使用することができ、特にピンポイントゲー
トを使用して射出成形された成形品は、電子部品内蔵の
機器のハウジングに好適に使用することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム強化熱可塑性樹脂(A)100重量
    部に対し、リン系難燃剤(B)5〜20重量部を含有す
    ることを特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物。上記
    (A)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、芳香族ビニ
    ル化合物(b1)50〜95重量%、シアン化ビニル化
    合物(b2)5〜50重量%及びこれらと共重合可能な
    他の単量体化合物(b3)0〜45重量%からなる単量
    体成分(b)をグラフト重合して得られる共重合樹脂
    (A1)と、芳香族ビニル化合物(b1)50〜95重
    量%、シアン化ビニル化合物(b2)5〜50重量%及
    びこれらと共重合可能な他の単量体化合物(b3)0〜
    45重量%を構成単位とする重合体(A2)との混合物
    からなり、該重合体(A2)中のシアン化ビニル化合物
    (b2)の3連シーケンスの含有量が5重量%以下であ
    り、該共重合樹脂(A1)のグラフト率が20%以上で
    あり、且つゴム含有量が8〜20重量%である。上記
    (B)は、一般式(I)で示される縮合リン酸エステル
    及び/又はホスファゼン化合物からなるリン系難燃剤で
    ある。 【化1】 (但し、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ相互に独立し
    て選ばれるフェニル基又はキシレニル基、Xは2価のレ
    ゾルシノール残基又はビスフェノールA残基を表し、n
    は0.5〜1.2である。)
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