JP3648861B2 - マレイミド系abs樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ABS樹脂に関するものであり、更に詳しくは、耐面衝撃性に特に優れ、かつ、耐熱性、剛性、加工性に優れるマレイミド系ABS樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)樹脂の耐熱性、加工性を改良する目的で、共重合体成分としてN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合させたマレイミド系ABS樹脂の開発が活発化している。このマレイミド系ABS樹脂は、高い熱変形温度と良加工性を有し、自動車の内装材、ジャー炊飯器、電子レンジなどの家電製品のハウジングや、電話機、ファクシミリなどOA機器のハウジングなどに広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらの用途では、面衝撃性が問題となっており、特に成型品の厚みを薄くした部分が問題となっている。成型品の厚みを薄くすることは、コストダウンを著しく促進できる。しかし、従来、耐面衝撃性は、ABS樹脂に比べ、マレイミドを共重合したマレイミド系ABS樹脂の方が低下する欠点があった。そこで、特開平06−306779号、特開平07−118472号などでは、ゴム重合体の粒子径制御、異なる粒子径のゴム重合体の併用により、耐面衝撃性を得ている。又、特開昭63−135441号では、マレイミド系樹脂に対し、有機ポリシロキサンを配合することにより、耐衝撃性を得ている。しかし、これらの従来提案されている方法では、厚みを薄くした成型品での耐面衝撃性が未だ不十分であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、マレイミド系ABS樹脂の耐面衝撃性について、ポリマー組成に加え、副原料、安定剤、滑剤を含めた組成物全体として種々検討した結果、ゴム成分として、特殊な酸基含有ラテックスを使用して凝集肥大させた特定粒径のゴム重合体を使用したABS樹脂に、更に、第3成分として少量の有機ポリシロキサンを配合することにより、耐面衝撃性の改善効果が、著しいことを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、下記グラフト共重合体(I)と、下記マレイミド系共重合体(II)とからなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/gであり、かつゴム重合体の含量が樹脂中5〜40重量%であるマレイミド系ABS樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の有機ポリシロキサン(III)を混合してなるマレイミド系ABS樹脂組成物である。
グラフト共重合体(I):ジエン系ゴム重合体、オレフイン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体の内から選択される少なくとも1種のゴム重合体(A)に対して、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸の内から選択される少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート(d)及び/又はアルキルメタクリレート (e) の少なくとも1種50〜95重量%、及び前記(c)、(d)、(e)と共重合可能な単量体0〜40重量%を重合させて調製した酸基含有ラテックス(B)を添加して凝集肥大化させてなり、体積平均粒径が250〜750nmの肥大化ゴム重合体(C)に、シアン化ビニル化合物15〜45重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなる単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト率が10〜70%であるグラフト共重合体。
マレイミド系共重合体(II):シアン化ビニル化合物10〜40重量%、マレイミド系単量体1〜50重量%、芳香族ビニル化合物10〜89重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなり、かつ前記芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有する単量体混合物を重合してなるマレイミド系共重合体。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明のグラフト共重合体(I)における前記肥大化ゴム重合体(C)は、ジエン系ゴム重合体、オレフイン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体の内から選択される少なくとも1種のゴム重合体(A)に対して、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸のうちの少なくとも1種の不飽和酸(c) 5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート(d) 及び/又はアルキルメタクリレート(e) の少なくとも1種50〜95重量%、及び(c) 、(d) 、(e) と共重合可能な単量体0〜40重量%を重合させることにより調整した酸基含有ラテックス(B)を添加して凝集肥大化させたゴム重合体が衝撃強度の点から好ましい。特に、前記肥大化ゴム重合体(C)としては、前記不飽和酸(c) 5〜25重量%、前記アルキルアクリレート(d) 5〜30重量%、前記アルキルメタクリレート(e) 80〜20重量%、(c) 、(d) 、(e) と共重合可能な芳香族ビニル単量体、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単量体、シアン化ビニル化合物の内から選択される少なくとも1種0〜40重量%を重合させることにより調整した酸基含有ラテックス(B)を添加して凝集肥大化したゴム重合体が面衝撃強度の点から好ましい。
【0008】
前記不飽和酸(c) としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸が例示でき、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0009】
前記アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルアクリレート(d) 、又はアルキルメタクリレート(e) としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等が例示できる。特に、アルキル基の炭素数1〜8のものが好ましい。
【0010】
前記(c) 、(d) 、(e) と共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体やアクリロニトリル、メタクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物である。さらに、分子中に2つ以上の官能基を有するような単量体が挙げられる
【0011】
前記不飽和酸(c) 5〜50重量%、アルキルアクリレート(d) 及び/又はアルキルメタクリレート(e) 、及び(c) 、(d) 、(e) と共重合可能な単量体とを重合させて酸基含有ラテックス(B)を調製する方法としては、特に限定しないが、公知の塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。
【0012】
又、前記ゴム重合体(A)の具体例としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−プタジエンゴム、ブタジエン−アクリル酸エステルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のオレフイン系重合体、ポリアクリル酸エステルゴム、エチレン−アクリル酸エステルゴム等のアクリル系ゴム重合体である。これらのゴム重合体の中でも、特に、ジエン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体が、好ましい。
【0013】
前記ゴム重合体(A)に対する酸基含有ラテックス(B)の添加量としては、前記ゴム重合体(A)ラテックス100重量部(固形分)に対して0.1〜15重量部(固形分)添加して凝集肥大を行わせる方法が、衝撃強度、製造安定性の点から好ましい。
【0014】
前記肥大化ゴム重合体(C)の粒径は、体積平均粒径が200〜800nm、好ましくは250〜750nm、特に好ましくは、300〜700nmのものが良い。体積平均粒径が800nmを超えると光沢が低下し、又、衝撃強度が十分に発現しない。一方、200nm未満では衝撃強度の低下が著しい。
【0015】
次に、本発明のグラフト共重合体(I)におけるグラフト部は、シアン化ビニル化合物残基15〜45重量%、好ましくは20〜40重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、好ましくは80〜60重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%からなる組成の重合体である。グラフト部が上記の範囲外では、本発明の樹脂組成物の耐衝撃性あるいは加工性が著しく低下する。
【0016】
前記グラフト共重合体(I)のグラフト部におけるシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらは各々、1種又は2種以上であってもよい。これらのうちでも、工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてアクリロニトリル、芳香族ビニル化合物としてスチレンが好ましい。又、共重合可能な単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、及びそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルへキシル、グリシジルなどのアクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸エステル系単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体が挙げられる。
【0017】
上記のような組成が得られるかぎり、グラフト共重合体(I)はいかなる重合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製造したものでもかまわない。例えば、公知の懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁重合法、乳化−塊状重合法など、どの重合法よって製造したものでもよい。グラフト部とゴム重合体部の体積比率を制御しやすい点から、乳化重合法が好ましい。又、グラフト共重合体を重合する際の開始剤は、過硫酸カリウムなどの熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキサイドなどのレドックス系開始剤など、公知の開始剤を使用することができる。さらに、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレンなど、公知の連鎖移動剤も前記グラフト率を制御できる範囲内で使用することができる。
【0018】
本発明のグラフト共重合体(I)は、グラフト率10〜70%、好ましくは15〜65%、特に好ましくは20〜60%である。グラフト率が10%未満では耐衝撃性が、70%を越えると加工性が低下する。
【0019】
次に、本発明の樹脂組成物中のマレイミド系共重合体(II)は、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、好ましくは15〜35重量%、マレイミド系単量体1〜50重量%、好ましくは、5〜45重量%、芳香族ビニル化合物10〜89重量%、好ましくは20〜75重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%の合計100重量%からなり、かつ前記芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有する単量体混合物を重合してなる共重合体である。このマレイミド系共重合体(II) は、シアン化ビニル化合物が10重量%未満では、耐衝撃性が、40重量%を超えると加工性が、マレイミド系単量体が1重量%未満では耐熱性が、45重量%を超えると耐衝撃性が、芳香族ビニル化合物が10重量%未満は加工性が、89重量%を超えると耐衝撃性が、各々低下する。この単量体混合物中の前記芳香族ビニル化合物の比率は特に重要であり、単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含有量は49モル%以上、好ましくは50モル%以上である。芳香族ビニル化合物の比率が49モル%未満では、耐衝撃性が著しく低下する。
【0020】
前記マレイミド系共重合体(II)のシアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチレン、P−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレンなどが、マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイミドなどが挙げられる。工業的見地から、前記シアン化ビニル化合物としてはアクリルニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレン、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミドが特に好ましい。これらは、1種又は2種以上であっても良い。さらに、共重合可能な単量体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、及びそのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルへキシル、グリシジルなどのアクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸系単量体などが挙げられる。これらは、1種又は2種以上であっても良い。
【0021】
好ましくは、前記マレイミド系共重合体(II)は、耐衝撃性、加工性の点から、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/g、更に好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは、0.4〜0.9dl/gである。
【0022】
前記の範囲の組成が得られるかぎり、前記マレイミド系共重合体(II)はいかなる重合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製造したものでもかまわない。好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、炭素数12〜20のアルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等のスルホン酸塩系乳化剤を使用した乳化重合法で得られるものが良い。スルホン酸塩系乳化剤以外のアニオン系、ノニオン系乳化剤を用いると耐金型汚染性が低下する。マレイミド系共重合体(II)を重合する際の開始剤は、過硫酸カリウムなどの熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機バーオキサイドなどのレドックス系開始剤など、公知の開始剤を使用することができる。さらに、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、テルピノレンなど公知の連鎖移動剤が、上記の還元粘度を制御できる範囲で使用できる。
【0023】
本発明の樹脂組成物中のマレイミド系ABS樹脂は、前記のようなグラフト共重合体(I)とマレイミド系共重合体(II)とを5:95〜95:5の割合で、好ましくは、10:90〜90:10の割合で配合することにより得られる。このマレイミト系ABS樹脂中のゴム重合体含量は10〜30重量%とする。ゴム重合体含量が5重量%未満では耐衝撃性が低下し、40重量%を超えると加工性が低下する。このマレイミド系ABS樹脂は、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/g、好ましくは0.35〜1.0dl/g、特に好ましくは、0.4〜0.9dl/gである。分子量の指標である還元粘度が0.3dl/g未満では耐衝撃性が低下し、1.2dlを超えると加工性が低下する。
【0024】
次に、本発明のマレイミド系ABS樹脂組成物に必須な有機ポリシロキサン(III) には、例えば、一般式
【0025】
【化1】
【0026】
(式中、R1 ,R2 は、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基を示す。)で表される繰り返し単位を有するポリマーである。この繰り返し単位が1種のホモポリマー型有機ポリシロキサンであっても、又、この繰り返し単位が2種以上の組み合わせからなるランダム型、ブロック型あるいはグラフト型共重合有機ポリシロキサンであってもよい。さらに、本発明においては、これら有機ポリシロキサンの有機基の一部を水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ポリヒドロキシアルキル基、アミノ基、エポキシ基などで置換したものであってもよい。さらに、これら有機ポリシロキサンは、1種又は2種以上を混合したものであってもよい。
【0027】
前記 有機ポリシロキサン(III) としては、具体的には、例えば、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどが例示できる。
【0028】
前記有機ポリシロキサン(III) の粘度は特に制限しないが、10〜1000000cst(25℃)、好ましくは100〜100000cst(25℃)である。25℃における粘度が10cst未満のものは、揮発性が大きく、成形品としたときに外観不良となり、1000000cstを超えるものは、組成物に均一混合し難いため好ましくない。
【0029】
これらの有機ポリシロキサン(III) の配合量は、前記グラフト共重合体(I)とマレイミド系共重合体(II)からなるマレイミド系ABS樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2.0重量部が良い。配合量が0.01重量部未満では、耐面衝撃性の改良効果が十分に発現せず、5重量部を超えると剛性、加工性が低下し、耐面衝撃性の効果も飽和する。
【0030】
本発明のマレイミド系ABS樹脂組成物は、上記の他に、通常よく知られた酸化防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤を必要に応して適宜使用できる。特に、スチレン系樹脂に用いられるフェノール系、イオウ系の抗酸化剤、ヒンダードアミン系、ホスファイト系の安定剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及び脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、高級脂肪酸のアミド又はビスアミド及びその変性体、オリゴアミド、高級脂肪酸の金属塩類などの内外滑剤などは、本発明の樹脂組成物を成形用樹脂として、より高性能なものとするために用いることができる。
【0031】
前記フェノール系の安定剤としては、1,1,3−トリス[2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルブタン、n−オクタデシル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2、2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブブルフェノール、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートなどが例示できる。
【0032】
イオウ系の安定剤としては、3,3′−チオジプロピオン酸、ジアルキル−3,3′−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−アルキルチオプロピオネート)、テトラキス[メチレン−3−(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィドなどが例示できる。
【0033】
ヒンダードアミン系の安定剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6一テトラメチル−4−ピペリジルイミノ)へキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]2一(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などが例示できる。
【0034】
ホスファイト系の安定剤としては、ステアリルフェニルホスファイト、トリス(モノ,ジ,ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイトなどが例示できる。
【0035】
これらの抗酸化剤、安定剤は、単独でも、又、2種以上混合して使用することもできる。
【0036】
ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが例示される。
【0037】
脂肪族炭化水素としては、合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが例示できる。
【0038】
高級脂肪酸と高級アルコールのエステルとしては、モンタン酸のエステル、ステアリルステアレート、べへネルベへネートなどが例示できる。
【0039】
高級脂肪酸のアミド、ビスアミドとしては、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドが、コハク酸のようなジカルボン酸とエチレンジアミンのようなジアミンとステアリン酸のような高級カルボン酸から脱水反応して合成される高融点のアミド系滑剤などが例示できる。
【0040】
高級脂肪酸の金属塩としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸のような高級脂肪酸のカルシウム塩、マグネシウム塩やアルミニウム塩、カドミウム塩などが例示できる。
【0041】
これらの滑剤は、単独でも又2種以上混合して使用することもできる。又、その添加量は、マレイミド系ABS樹脂100重量部に対し、5重量部以下が、耐衝撃性、耐熱性の点から好ましい。
【0042】
さらに、本発明のABS樹脂組成物は、難燃性の必要の度合いにより、ハロゲン系、ホスファイト系の難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、アルミナなどのアルミニウム化合物などを配合して使用することもできる。
【0043】
又、弾性率などの機械的特性や耐熱性を向上させるために、ガラスファイバー、カーボンファイバーなどの補強繊維や、マイカ、タルク、クレー、ガラスビーズなどの充填剤を使用することもできる。
【0044】
本発明のマレイミド系ABS樹脂組成物は、さら他のスチレン系樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−メチルメタクリレート−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などを混合して、目的の性能に調整することができる。
【0045】
本発明のマレイミド系ABS樹脂組成物中のグラフト共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II) の樹脂混合物は、その製造方法によって異なるが、例えば、これらをラテックス、スラリー、溶液、粉末、ペレットなどの状態あるいはこれらの組合わせにて混合して、製造できる。重合後のグラフト共重合体ラテックス及び/又はマレイミド系共重合体ラテックスからポリマー粉末を回収する場合は、通常の方法、例えばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムのようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無機酸、又は有機酸を添加することでラテックスを凝固した後、脱水乾燥する方法で実施できる。又、乾燥方法としては、スプレー乾燥法も使用できる。
【0046】
本発明のABS樹脂組成物は、グラフト共重合体(I)、マレイミド系共重合体(II)の粉末、ペレットに対し、有機ポリシロキサン(III) を添加し、さらに、必要ならば安定剤、滑剤などを配合し、バンバリミキサー、ロールミル、1軸押出機、2軸押出機など、公知の溶融混練機にて混練することができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例で示すが、これら実施例は本発明を限定するものではない。実施例中の「部」は重量部を、「%」は重量%を示す。
【0048】
(1)肥大化ゴム重合体(C)の製造
(1-1) 未肥大ゴム重合体(A)の製造
第一段階として、ゴム重合体(C)に肥大化させるために必要な未肥大ゴム重合体(A)を製造した。
100L重合機に、純水230部、過硫酸カリウム0.2部、t−ドデシルメルカプタン0.2部を仕込んだ。重合機内の空気を真空ポンプで除いた後、オレイン酸ナトリウム0.5部、ロジン酸ナトリウム2部ブタジエン100部を仕込んだ。系の温度を60℃まで昇温し、重合を開始した。重合は、25時間で終了し、転化率は96%であった。未肥大ゴム重合体(A)の粒径は85nmであった。
(1-2) 酸基含有ラテックス(B)の製造
第二段階として、上記の未肥大ゴム重合体(A)からゴム重合体(C)に肥大化させるために必要な酸基含有ラテックス(B)を以下のように製造した。
撹拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水200部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.6部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.5部を仕込んだ。反応器を撹拌しながら窒素気流下に70℃まで昇温させた。70℃に到達後、ブチルメタクリレート25部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、クメンハイドロパーオキサイド0.15部の単量体混合物を2時間かけて滴下後、更にブチルメタクリレート50部、ブチルアクリレート4部、メタクリル酸16部、t−ドデシルメルカプタン0.5部、CRP0.15部を4時間かけて滴下し、滴下終了後、70℃で1時間撹絆を続け重合を終了し、酸基含有ラテックス(B)を得た。重合転化率は99%であった。
(1-3) 肥大化ゴム重合体(C)の製造
第三段階として、さきに製造した未肥大ゴム重合体(A)と酸基含有ラテックス(B)を使用し、肥大化ゴム重合体(C)を製造した。
(i)肥大化ゴム重合体(C−1)
未肥大ゴム重合体(A)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(B)3.5部(固形分)を60℃で添加後、撹拌を1時間続けて肥大化させ、肥大化ゴム重合体(C−1)の製造を行った。ゴム重合体(C−1)の粒径は、450nmであった。
(ii)肥大化ゴム重合体(C−2)
未肥大ゴム重合体(A)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(B)2部(固形分)を60℃で添加後、撹拌を1時間続けて肥大化させ、肥大化ゴム重合体(C−2)の製造を行った。ゴム重合体(C−2)の粒径は、620nmであった。
(iii)肥大化ゴム重合体(C−3)
未肥大ゴム重合体(A)のラテックス100部(固形分)に先に製造した酸基含有ラテックス(B)1部(固形分)を60℃で添加後、撹拌を1時間続けて肥大化させ、肥大化ゴム重合体(C−3)の製造を行った。ゴム重合体(C−3)の粒径は、850nmであった。
【0049】
(2)グラフト共重合体(I)の製造
▲1▼グラフト共重合体(I−1)の製造
撹拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純粋280部、肥大化ゴム重合体(C−1)(固形分)65部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、EDTA0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を仕込んだ。 反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。60℃到達後にアクリロニトリル11部、スチレン24部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部の混合物を連続的に5時間で滴下した。滴下終了後、60℃で2時間撹拌を続け、重合を終了し、グラフト重合体(I−1)を得た。重合転化率は98%で、グラフト率は35%であった。
▲2▼グラフト共重合体(I−2)の製造
グラフト共重合体くI−1)と同様の方法で、肥大化ゴム重合体(C−2)65部にアクリロニトリルll部、スチレン24部を重合させ、グラフト共重合体(I−2)を製造した。重合転化率は98%で、グラフト率は32%であった。
▲3▼グラフト共重合体(I−3)の製造
グラフト共重合体(I−1)と同様の方法で、肥大化ゴム重合体(C−3)65部にアクリロニトリル11部、スチレン24部を重合させ、グラフト共重合体(I−3)を製造した。重合転化率は96%で、グラフト率は30%であった。
▲4▼グラフト共重合体(I−4)の製造
グラフト共重合体(I−1)と同様の方法で、未肥大ゴム重合体(A)65部にアクリロニトリル11部、スチレン24部を重合させ、グラフト共重合体(I−4)を製造した。重合転化率は97%で、グラフト率は34%であった。
【0050】
(3)マレイミド系共重合体(II)の製造
▲1▼マレイミド系共重合体(II−1)の製造
撹拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温度計の設置された反応器に、純水250部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.0部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.5部、EDTA0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を仕込んだ。反応器を攪拌しながら窒素気流下に65℃まで昇温させた。65℃に到達後、N−フェニルマレイミド15部、アクリロニトリル24部、スチレン61部(単量体混合物中のスチレン量は52モル%)、t−ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部の混合物を連続的に7時間で滴下した。又ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを重合時間1時間目に0.5部、3時間目に0.5部追加した。滴下終了後、65℃で1時間撹拌を続け、重合を終了し、マレイミド系共重合体(II−1)を製造した。重合転化率は99%で、還元粘度は0.61であった。
▲2▼マレイミド系共重合体(II−2)の重合
マレイミド系共重合体(II−1)と同様の方法で、単量体をN−フェニルマレイミド30部、アクリロニトリル15部、スチレン55部(単量体混合物中のスチレン量は54モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部として、マレイミド系共重合体(II−2)を製造した。重合転化率は99%で、還元粘度は0.63であった。
▲3▼マレイミド系共重合体(II−3)の重合
マレイミド系共重合体(II−1)と同様の方法で、単量体をN−フェニルマレイミド5部、アクリロニトリル25部、スチレン70部(単量体混合物中のスチレン量は57モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン0.5部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部としてマレイミド系共重合体(II−3)を製造した。重合転化率は98%で、還元粘度は0.45であった。
▲4▼マレイミド系共重合体(II−4)の重合
マレイミド系共重合体(II−1)と同様の方法で、単量体をN−フェニルマレイミド15部、アクリロニトリル28部、スチレン57部(単量体混合物中のスチレン量は47モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン0.35部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部としてマレイミド系共重合体(II−4)を製造した。重合転化率は99%で、還元粘度は0.62であった。
【0051】
〔実施例1〜8、比較例1〜8〕:マレイミド系ABS樹脂組成物の製造
前記(2)で製造したグラフト共重合体(I)ラテックスと、(3)で製造したマレイミド系共重合体(II)ラテックスとを、表1−1及び表1−2に示す割合で混合後、フェノール系安定剤0.5部を添加し、十分に撹拌混合した。この混合ラテックスに、塩化カルシウム2部を加えて凝固させた後、熱処理、脱水乾燥して、マレイミド系ABS樹脂粉末を得た。ついで得られた樹脂パウダー100部に、表中に示す有機ポリシロキサン(III) の所定量とエチレンビスステアリルアミド1.0部を療加し、(株)タバタ製201プレンダーで均一にブレンドした。更に(株)タバタ製40m/ml軸押出機で、270℃の温度で溶融混練して、マレイミド系ABS樹脂組成物のペレットを製造した。
【0052】
以下に、ABS樹脂及びマレイミド系共重合体の還元粘度及び、グラフト共重合体のグラフト率、ゴム重合体の体積平均粒径、重合時の転化率の測定方法を示す。又、上記実施例及び比較例で得られたマレイミド系ABS樹脂組成物について、下記のような各種特性試験を行い、結果を表中に示した。
【0053】
[還元粘度の測定]
マレイミド系ABS樹脂については、該樹脂をメチルエチルケトンに溶解して、遠心分離し、マレイミド系ABS樹脂組成物のメチルエチルケトン可溶分を得た。この可溶分を取出し、0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液として、30℃で還元粘度を測定した。マレイミド系共重合体(II)については、ラテックスを凝固、処理後した粉末を0.3g/dl濃度のN,N−ジメチルホルムアミド溶液として、還元粘度を測定した。
【0054】
[グラフト共重合体のグラフト率]
グラフト共重合体のパウダーを、メチルエチルケトンに溶解して、遠心分離し、熱可塑性樹脂組成物のメチルエチルケトン可溶分と不溶分を得た。この不溶分を取出し、可溶分と不溶分の比率から、グラフト率を特定した。
【0055】
[ゴム重合体の体積平均粒径]
ゴム重合体ラテックスについて、パシフィックサイエンス社製のナイコンプ粒径測定機により、測定した。
【0056】
[重合時の転化率]
重合時の転化率は、固形分濃度より、計算した。
【0057】
[マレイミド系ABS樹脂組成物の特性]
▲1▼耐面衝撃性
耐面衝撃性は、(株)ファナツク製FAS100B射出成形機にて、成形温度270℃でサイド1点ゲートの2mm×100×150mmの平板成形品を23℃、落錘強度で評価した。評価値は、半数破壊高さ×落鍾荷重=半数破壊エネルギー(kgfm)
▲2▼耐衝撃性
耐衝撃性は、IZOD衝撃強度で評価した。IZOD衝撃強度は、ASTM D−256規格(1/4インチ厚み)の方法にて23℃で評価した(単位:kgcm/cm).
▲3▼引張り強度
引張り強度(単位:kg/cm2 )は、ASTM D638規格の方法にて1号ダンベルを使用し、23℃で評価した。
▲4▼曲げ弾性率
曲げ弾性率(単位:kg/cm2 )は、ASTM D790規格の方法にて23℃で評価した。
▲5▼耐熱性(HDT)
耐熱性(HDT)は、ASTM D648の18.6kg/cm2 荷重の熱変形温度で評価した。(単位:℃)
なお、上述のIZOD衝撃強度、引張り強度、曲げ弾性率、耐熱性に使用する試験片は、(株)ファナック製FAS100B射出成形機を使用し、シリンダー温度270℃で成形し、評価に供した。
▲6▼流動性
流動性は、(株)ファナック製FAS100B射出成形機を使用し、シリンダ−温度250℃、射出圧力1350kg/cm2 にて、3mm厚みのスパイラル形状の金型内における樹脂の流動長(単位:mm)で評価した。
【0058】
以上のマレイミド系ABS樹脂組成物に関する特性は、いずれも数値が大きいほど優れていることを示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1−1,表1−2の結果から、実施例1〜9に代表される本発明のマレイミド系ABS樹脂組成物は、特に耐面衝撃性に優れ、剛性、耐熱性、流動性も良好なことが明らかである。
Claims (5)
- 下記グラフト共重合体(I)と、下記マレイミド系共重合体(II)とからなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜1.2dl/gであり、かつゴム重合体含量が樹脂中5〜40重量%であるマレイミド系ABS樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部の有機ポリシロキサン(III)を混合してなるマレイミド系ABS樹脂組成物。
グラフト共重合体(I):ジエン系ゴム重合体、オレフイン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体の内から選択される少なくとも1種のゴム重合体(A)に対して、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸の内から選択される少なくとも1種の不飽和酸(c)5〜50重量%、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート(d)及び/又はアルキルメタクリレート (e) の少なくとも1種50〜95重量%、及び前記(c)、(d)、(e)と共重合可能な単量体0〜40重量%を重合させて調製した酸基含有ラテックス(B)を添加して凝集肥大化させてなり、体積平均粒径が250〜750nmの肥大化ゴム重合体(C)に、シアン化ビニル化合物15〜45重量%、芳香族ビニル化合物85〜55重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなる単量体混合物をグラフト重合してなり、グラフト率が10〜70%であるグラフト共重合体。
マレイミド系共重合体(II):シアン化ビニル化合物10〜40重量%、マレイミド系単量体1〜50重量%、芳香族ビニル化合物10〜89重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%からなり、かつ前記芳香族ビニル化合物を49モル%以上含有する単量体混合物を重合してなるマレイミド系共重合体。 - 前記酸基含有ラテックス(B)が、前記不飽和酸(c) 5〜25重量%、前記アルキルアクリレート(d) 5〜30重量%、前記アルキルメタクリレート(e) 80〜20重量%、及び、前記(c) 、(d) 、(e) と共重合可能な、芳香族ビニル単量体、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単量体、シアン化ビニル化合物の内から選択される少なくとも1種の単量体0〜40重量%を重合させたものである請求項1記載のマレイミド系ABS樹脂組成物。
- 前記ゴム重合体(A)の固形分100重量部に対する酸基含有ラテックス(B)の添加量が、その固形分で0.1〜15重量部である請求項1又は請求項2記載のマレイミド系ABS樹脂組成物。
- 前記ABS樹脂が、グラフト共重合体(I)5〜95重量部、前記マレイミド系共重合体(II)95〜5重量部よりなる請求項1記載のマレイミド系ABS樹脂組成物。
- 前記マレイミド系共重合体(II)が、スルホン酸塩系乳化剤を使用した乳化重合にて得られたものである請求項1記載のマレイミド系ABS樹脂組成物。
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