JPH11116767A - 発色性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

発色性に優れた熱可塑性樹脂組成物

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JPH11116767A
JPH11116767A JP28355797A JP28355797A JPH11116767A JP H11116767 A JPH11116767 A JP H11116767A JP 28355797 A JP28355797 A JP 28355797A JP 28355797 A JP28355797 A JP 28355797A JP H11116767 A JPH11116767 A JP H11116767A
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JP
Japan
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weight
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acrylate
compound
acid
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Application number
JP28355797A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Mishima
育宏 三島
Yoshitaka Nagamatsu
美貴 永松
Kazuhito Wada
一仁 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発色性、耐候性、耐衝撃性、加工性に優れた熱
可塑性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】(I)アルキルアクリレート系ゴムにシア
ン化ビニル化合物、芳香族ビニル化合物等をグラフト重
合したグラフト共重合体と(II)シアン化ビニル化合
物、芳香族ビニル化合物等を重合したスチレン系共重合
体からなり、アルキルアクリレート系ゴムが重合性不飽
和酸とアルキル(メタ)アクリレート共重合体を含む酸
基含有ラテックスによって凝集肥大したアクリレート系
ゴムである熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐候性、耐衝撃
性、加工性に優れ、特に発色性に優れた熱可塑性樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂、特にABS樹脂はその
優れた剛性、耐衝撃性、耐熱変形性等を有するため、各
種雑貨、自動車の内外装材、ジャー炊飯器、電子レン
ジ、掃除機等の家電製品のハウジング、部品や電話機、
ファクシミリ等OA機器のハウジング、部品などに広く
使用されている。近年、ABS樹脂の欠点である耐候性
を改良するために、ABS樹脂のゴム成分を光、熱に対
し不安定な二重結合を有するブタジエンゴムから二重結
合をほとんど有しないアクリル系ゴムに変えたAAS樹
脂が開発されている。このアクリル系ゴムは光、熱に対
し安定であるが、ブタジエンゴムの様なグラフト活性点
をほとんど有していないため十分なグラフト構造をとり
にくい。そのため顔料で着色した場合、特に成形品のゲ
ート部、ウェルド部等のせん断速度の高い部位や流動方
向が異なる部位では正常部と発色性が著しく異なり、色
むらが生ずるという欠点があった。発色性を改良するた
めに従来、特殊な架橋剤を共重合する方法、染料を使用
する方法、あるいはブタジエンゴムとアクリル系ゴムを
併用する方法(特公昭63−54729号、特開平3−
7753号)が提案されている。しかしこれらの方法は
耐衝撃性が低下する、成形時に金型が汚染する、耐候性
が低下する等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題を解消し、耐候性、耐衝撃性、加工性に優れ、特に
発色性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目
的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するべく鋭意検討した結果、特定の(メタ)アク
リル酸エステル系酸基含有ラテックスを用いた凝集肥大
法により製造したアクリル系ゴム成分を必須としたグラ
フト共重合体(I)を使用すると、特に発色性に優れ、
かつ耐候性、耐衝撃性、加工性にも優れた熱可塑性樹脂
組成物が得られることを見出だし本発明に至った。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、体積平均粒径が100
〜1000nmのアクリル酸エステル系ゴム重合体
(A)にシアン化ビニル化合物10〜45重量%、芳香
族ビニル化合物55〜90重量%及びこれらと共重合可
能な単量体0〜30重量%(合計100重量%)の単量
体混合物を重合してなり、グラフト率が20〜90重量
%であるグラフト共重合体(I)10〜80重量部、シ
アン化ビニル化合物10〜40重量%、芳香族ビニル化
合物60〜90重量%及びマレイミド系単量体0〜50
重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量
%(合計100重量%)を重合してなるスチレン系共重
合体(II)90〜20重量部らなる樹脂組成物(合計1
00重量部)であり、かつアクリル酸エステル系ゴム重
合体(A)が、炭素数1〜12のアルキル基を有する少
なくとも1種のアクリル酸エステル50〜99.9重量
%、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する多官能
性単量体0.1〜10重量%、及びこれらと共重合可能
な単量体0〜50重量%(合計100重量%)を乳化重
合させることにより得たゴム重合体(B)を、アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等のうちの
少なくとも1種の重合性不飽和酸(c)5〜50重量
%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種の
アルキル(メタ)アクリレート(d)50〜95重量
%、及び(c),(d)と共重合可能な単量体0〜40
%を重合させることにより調整した酸基含有ラテックス
(S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体
である発色性に優れた熱可塑性樹脂組成物を内容とす
る。
【0006】本発明において特に重要なのは、グラフト
共重合体(I)であり、グラフト共重合体(I)におけ
るアクリル酸エステル系ゴム重合体(A)である。この
グラフト共重合体(I)は、発色性、耐衝撃性の向上の
ために使用される。アクリル酸エステル系ゴム重合体
(A)は、耐衝撃性の点から体積平均粒径100nm以
上、好ましくは150nm以上、更に好ましくは200
nm以上、耐衝撃性、表面性(光沢)の点から1000
nm以下、好ましくは900nm以下、更に好ましくは
800nm以下である。アクリル酸エステル系ゴム重合
体(A)は、ゴム重合体(B)を、酸基含有ラテックス
(S)を使用する凝集肥大法により製造して得る。ゴム
重合体(B)は、耐衝撃性、加工性、製造安定性の点か
ら、炭素数1〜12のアルキル基を有する少なくとも1
種のアクリル酸エステル50〜99.9重量%、好まし
くは60〜99.7重量%、更に好ましくは65〜9
9.5重量%、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有
する多官能性単量体0.1〜10重量%、好ましくは
0.3〜8重量%、更に好ましくは0.5〜7重量%、
及びこれらと共重合可能な単量体0〜50重量%、好ま
しくは0−40重量%、更に好ましくは0〜35重量%
(合計100重量%)を乳化重合して得る。アクリル酸
エステルが50%未満の場合、多官能性単量体が10重
量%を越える場合、共重合可能な単量体が50重量%を
越える場合のいずれでも、耐衝撃性が低下する。アクリ
ル酸エステルが99.9重量%を越える場合や多官能性
単量体が0.1重量%未満の場合は耐衝撃性、発色性が
低下する。炭素数1〜12のアルキル基を有する少なく
とも1種のアクリル酸エステルとしては、メチルアクリ
レート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。これら
のうちでは、製造安定性、経済性等の工業的見地から炭
素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルが
好ましく、特にブチルアクリレートが好ましい。これら
は単独または2種以上組み合わせて用いられる。分子中
に2つ以上の重合性の官能基を有する多官能性単量体と
しては、メタクリル酸アリル、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリル、ジビ
ニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジシクロペンタジ
エン(メタ)アクリレート、1,3,5―トリアクリロ
イルヘキサヒドロ−s−トリアジン等があげられる。共
重合可能な単量体としては、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート等の炭素数1〜12のアルキ
ル基を有する少なくとも1種のメタクリル酸エステル、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビ
ニル化合物、スチレン、αーメチルスチレン、p−メチ
ルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレ
ン、ブロムスチレン等の芳香族ビニル化合物、(メタ)
アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル以外の(メタ)アクリル酸誘導体およびマ
レイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合
物等が挙げられる。これらは、1種または2種以上であ
っても良い。ゴム重合体(B)を凝集肥大してアクリル
酸エステル系ゴム重合体(A)を製造する際に使用する
酸基含有ラテックス(S)は次の通りである。酸基含有
ラテックス(S)は、重合性不飽和酸(c)5〜50重
量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも1種
の(メタ)アルキルアクリレート(d)50〜95重量
%、及び(c),(d)と共重合可能な単量体0〜40
重量%を重合させることにより調整する。特に、発色
性、耐衝撃性、製造安定性の点から、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸のうちの少なくとも
1種の不飽和酸(c)5〜25重量%、アルキル基の炭
素数が1〜12の少なくとも1種のアルキルアクリレー
ト5〜30重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少
なくとも1種のアルキルメタクリレート80〜20重量
%(d)、(c)および(d)と共重合可能な芳香族ビ
ニル単量体、及び又は、分子中に2つ以上の重合性の官
能基を有する単量体、及び又はシアン化ビニル化合物0
〜40%を重合させることにより調整した酸基含有ラテ
ックス(S)が好ましい。不飽和酸(c)が5重量%未
満の場合、(メタ)アルキルアクリレート(d)が50
重量%未満の場合、共重合可能な単量体が40重量%を
越える場合のいずれでも、凝集肥大が起こりがたい。不
飽和酸(c)が50重量%を越える場合は製造安定性が
悪く、(メタ)アルキルアクリレート(d)が95重量
%を越える場合は凝集肥大が起こりがたい。
【0007】酸基含有ラテックス(S)に用いられる重
合性不飽和酸(c)としては、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸等が例示でき、特に製造安
定性の点からアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。ア
ルキルアクリレートとしては、アクリル酸と炭素数1〜
12の直鎖或いは側鎖を有するアルコールのエステルが
使用され、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル等が例示でき、特に製造安定性の点からア
ルキル基の炭素数1〜8のものが好ましい。これらは単
独また2種以上組合わせて使用することができる。アル
キル(メタ)クリレート(d)としては、(メタ)クリ
ル酸と炭素数1〜12の直鎖或いは側鎖を有するアルコ
ールのエステルが使用され、(メタ)クリル酸メチル、
(メタ)クリル酸エチル、(メタ)クリル酸プロピル、
(メタ)クリル酸ブチル、(メタ)クリル酸2−エチル
ヘキシル等が例示でき、特に製造安定性の点からアルキ
ル基の炭素数1〜8のものが好ましい。これらは単独ま
た2種以上組合わせて使用できる。これらの単量体
(c)、(d)と共重合可能な単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香
族ビニル単量体やアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ルの様なシアン化ビニル化合物である。又、その他メタ
クリル酸アリル、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート、トリメリット酸トリアリルのような分子中に2
つ以上の重合性の官能基を有するような単量体が挙げら
れる。これらは単独また2種以上組合わせて使用でき
る。酸基含有ラテックス(S)の使用量は、発色性、耐
衝撃性、製造安定性の点から、ゴムラテックス100重
量部(固形分)に対して0.1〜15重量部(固形
分)、好ましくは0.3〜10重量部、特に好ましくは
0.5〜8重量部を添加して凝集肥大を行わせる方法で
ある。酸基含有ラテックス(S)はゴム重合体(B)ラ
テックスに一度に添加してもよいし、分割して添加して
もよい。肥大を十分に行わせるために、攪拌下で酸基含
有ラテックス(S)を添加した後、10分から3時間、
特に30分から2時間、所定の温度で均一に攪拌するの
が好ましい。肥大時の温度は室温でもよいが、肥大特性
制御の点からに35〜85℃が好ましく、特に40〜8
0℃が好ましい。ゴム重合体(B)の粒径は、特に限定
はないが、肥大特性(肥大粒径、肥大時凝塊物)制御の
点から40〜400nmが好ましく、特に50〜300
nmが好ましい。ゴム重合体(B)ラテックスのpHは
肥大特性制御の点から7以上、好ましくは8以上、特に
9以上が好ましい。pHを調整するために水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム等のアルカリを添加してもよい。
肥大時のゴム重合体(B)ラテックスの固形分濃度は肥
大特性制御の点から、10〜50重量%が好ましく、特
に15〜45重量%が好ましい。肥大特性制御の点か
ら、脂肪酸金属塩、ロジン酸塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸塩等の界面活性
剤、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩を添加
してもよい。本発明のグラフト共重合体(I)は、アク
リル酸エステル系ゴム重合体(A)にシアン化ビニル化
合物10〜45重量%、好ましくは15〜40重量%、
更に好ましくは20〜35重量%、芳香族ビニル化合物
55〜90重量%、好ましくは60〜85重量%、更に
好ましくは65〜80重量%、及びこれらと共重合可能
な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、
更に好ましくは0〜10重量%(合計100重量%)の
単量体混合物を重合してなる。シアン化ビニル化合物が
10重量%未満の場合、芳香族ビニル化合物が90重量
%を越える場合、共重合可能な単量体が30重量%を越
える場合のいずれでも、耐衝撃性が低下する。シアン化
ビニル化合物が45重量%を越える場合、芳香族ビニル
化合物が55重量%未満の場合は加工性が低下する。グ
ラフト共重合体(I)はアクリル酸エステル系ゴム重合
体(A)30〜90重量部、好ましくは40〜85重量
部、更に好ましくは45〜80重量部に単量体混合物1
0〜70重量部、好ましくは25〜60重量部、更に好
ましくは20〜55重量部を重合してなる。アクリル酸
ステル系ゴム重合体(A)が30重量部未満では耐衝撃
性が低下し、90重量部を越えると発色性、加工性が低
下する。
【0008】グラフト共重合体(I)のグラフト率は2
0〜90重量%、好ましくは25〜85重量%、更に好
ましくは30〜80重量%である。グラフト率が20重
量%未満では耐衝撃性、発色性が低下し、90重量%を
越えると加工性が低下する。シアン化ビニル化合物とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が、芳
香族ビニル化合物としては、スチレン、αーメチルスチ
レン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレ
ン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられる。
工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはアクリ
ロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレンが特
に好ましい。これらは、1種または2種以上あっても良
い。共重合可能な単量体としては、メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート等の炭素数1〜12の
アルキル基を有する少なくとも1種のメタクリル酸エス
テル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート
等の(メタ)アクリル酸エステル以外の(メタ)アクリ
ル酸誘導体およびマレイミド、N−フェニルマレイミド
等のマレイミド化合物が挙げられる。これらは、1種ま
たは2種以上あっても良い。
【0009】本発明のスチレン系共重合体(II)は、シ
アン化ビニル化合物10〜40重量%、好ましくは15
〜35重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量%、
好ましくは65〜85重量%、マレイミド系単量体0〜
50重量%、好ましくは0〜40重量%、およびこれら
と共重合可能な単量体0〜30重量%、好ましくは0〜
20重量%(合計100重量%)からなる単量体混合物
を重合してなる共重合体である。スチレン系共重合体
(II)において、シアン化ビニル化合物が10重量%未
満では、耐衝撃性が、40重量%を越えると加工性が、
マレイミド系単量体が50重量%を越えると加工性が、
芳香族ビニル化合物が60重量%未満では加工性が、9
0重量%を越えると耐衝撃性が、各々低下する。
【0010】スチレン系共重合体(II)は、好ましくは
耐衝撃性、加工性の点から、メチルエチルケトン可溶分
の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶
液中)が0.3〜1.2dl/g、更に好ましくは0.
35〜1.0dl/g、特に好ましくは、0.40〜
0.9dl/gである。本発明に用いられるスチレン系
共重合体(II)のシアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等が、芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、αーメチルスチレン、p−
メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、クロルス
チレン、ブロムスチレン、ビニルナフタレン等が、マレ
イミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレ
イミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミ
ド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、
N−(p−メチルフェニル)マレイミド等が挙げられ
る。工業的見地から、シアン化ビニル化合物としてはア
クリロニトリル、芳香族ビニル化合物としてはスチレ
ン、マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミ
ドが特に好ましい。これらは、単独または2種以上組み
合わせて用いられる。共重合可能な単量体としては、
(メタ)アクリル酸およびそのメチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、2−ヒドロキシルエチル、2−エチルヘキ
シル、グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単
量体等が挙げられる。これらは、単独または2種以上あ
っても良い。本発明の範囲の組成が得られれば、グラフ
ト共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)はいかな
る重合法、開始剤、連鎖移動剤、界面活性剤を用いて製
造したものでもかまわない。例えば、公知の塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化−懸濁
重合法、乳化−塊状重合法等、本発明の範囲内の組成に
制御できればどの重合法よって製造したものでもよい。
グラフト共重合体(I)の製造は、グラフト率を制御し
やすい点から、乳化重合法が好ましい。また、本発明の
範囲であれば、いかなる開始剤、連鎖移動剤、乳化剤を
用いて製造したものでもかまわない。開始剤は、過硫酸
カリウム等の熱分解開始剤、Fe−還元剤−有機パーオキ
サイド等のレドックス系開始剤等公知の開始剤が使用で
きる。またt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメ
ルカプタン、αーメチルスチレンダイマー、テルピノレ
ン等公知の連鎖移動剤が使用できる。乳化剤としてはオ
レイン酸ソーダ、パルミチン酸ソーダ、ロジン酸ソーダ
等の脂肪酸金属塩系乳化剤、ドデシルベンゼンスルホン
酸ソーダ、炭素数12〜20のアルキルスルホン酸ソー
ダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ等のスルホン酸金
属塩系乳化剤等公知の乳化剤が使用できる。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト
共重合体(I)10〜80重量部、好ましくは15〜7
0重量部、更に好ましくは20〜65重量部、スチレン
系共重合体(II)20〜90重量部、好ましくは30〜
85重量部、更に好ましくは35〜80重量部(合計1
00重量部)からなる。グラフト共重合体(I)が10
重量部未満では耐衝撃性が低下し、80重量部を越える
と加工性が低下し好ましくない。スチレン系共重合体
(II)が90重量部を越えると耐衝撃性が低下し、20
重量部未満では加工性が低下する。
【0012】本発明の組成物は、通常よく知られた酸化
防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑
剤を必要に応じて適宜使用できる。特に、スチレン系樹
脂に用いられるフェノール系、イオウ系、リン系、ヒン
ダードアミン系の安定剤、抗酸化剤、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤及びオルガノ
ポリシロキサン、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸と高級ア
ルコールのエステル、高級脂肪酸のアミドまたはビスア
ミドおよびその変性体、オリゴアミド、高級脂肪酸の金
属塩類等の内部滑剤、外滑剤等は本発明になる組成物を
成形用樹脂として、より高性能なものとするために用い
ることができる。これらの安定剤、滑剤は、単独でもま
た2種以上混合して使用することもできる。特に安定剤
としては、金型汚染性、耐候性、熱安定性の点から、グ
ラフト共重合体(I)とスチレン系共重合体(II)から
なる樹脂組成物100重量部に対し、下記の安定剤
(イ)0.01〜3重量部、(ロ)0.01〜3重量
部、(ハ)0.01〜3重量部、(ニ)0.01〜3重
量部からなる安定剤0.05〜5重量部((イ)、
(ロ)、(ハ)、(ニ)の合計)が好ましい。金型汚染
性、耐候性、熱安定性、耐熱性の点から特に、樹脂組成
物100重量部に対し、下記の化合物(イ)0.03〜
2重量部、(ロ)0.03〜2重量部、(ハ)0.03
〜2重量部、(ニ)0.03〜2重量部からなる安定剤
0.10〜4重量部((イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)
の合計)が好ましい。 (イ):エステル基を分子内に有する分子量450以
上、かつ融点50℃以上のヒンダードアミン系化合物 (ロ):分子量550以上、かつ融点100℃以上のホ
スファイト系化合物 (ハ):エステル基あるいはシアヌレート基を分子内に
有する分子量500以上、融点50℃以上のヒンダード
フェノール系化合物 (ニ):分子量300以上、20℃での蒸気圧10-5
スカル以下のベンゾトリアゾール系化合物。
【0013】具体的に、エステル基を分子内に有する分
子量450以上、かつ融点50℃以上のヒンダードアミ
ン系化合物(イ)としては、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,
3,4−テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジルオキシカルボニル)ブタン、コハク酸ジ
メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシベンジ
ル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1,2,3,4
−ブタン−テトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペ
ンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2―
ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,
10−テトラオキソスピロ[5,5]ウンデカンの重縮
物、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4―ヒドロキシフ
ェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6―テトラメチ
ル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン等であ
る。これらは単独でもまた2種以上混合して使用するこ
ともできる。これらのヒンダードアミン系化合物であれ
ば金型汚染性、耐候性、熱安定性に効果がある。分子量
550以上、かつ融点100℃以上のホスファイト系化
合物(ロ)としては,2,2−メチルビス(4,6−ジ
−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリト
ールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス−ノニルフェニルペンタエリスリトールジホ
スファイト等である。これらは単独でもまた2種以上混
合して使用することもできる。これらのホスファイト系
化合物であれば金型汚染性、耐候性、熱安定性に効果が
ある。エステル基あるいはシアヌレート基を分子内に有
する分子量500以上、融点50℃以上のヒンダードフ
ェノール系化合物(ハ)としては、n−オクタデシル−
3−(4−ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキフェニ
ルプロピオネート)メタン、3,9−ビス[1,1−ジ
メチル−2−{β−(3−t−ブチルー4―ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウ
ンデカン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−
ブチル−4―ヒドロキシルベンジル)イソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(2’,6’−ジメチル−4’
−t−ブチル−3―ヒドロキシルベンジル)イソシアヌ
レート、1,3,5−トリス[β−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4―ヒドロキシフェニル)プロピオニルオ
キシエチル]イソシアヌレート等である。これらは単独
でもまた2種以上混合して使用することもできる。これ
らのヒンダードフェノール系化合物であれば金型汚染
性、耐候性、熱安定性に効果ある。分子量300以上、
20℃での蒸気圧10-5パスカル以下のベンゾトリアゾ
ール系化合物(ニ)としては、2−[2−ヒドロキシ−
3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]
−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−
ブチル−2―ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2―ヒドロキ
シフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2―ヒドロキシフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ―
t−ブチル―2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロト
リアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2―ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−
[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−
2−イル)―4―ヒドロキシフェニル]プロピオネート
とポリエチレングリコールの縮合物等である。これらは
単独でもまた2種以上混合して使用することもできる。
これらのヒンダードフェノール系化合物であれば金型汚
染性、耐候性、熱安定性に効果がある。本発明の熱可塑
性樹脂組成物は、更に他のスチレン系樹脂、例えば、ア
クリロニトリル−メチルメタクリレート−α−メチルス
チレン共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチ
レン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メチルメタ
クリレート共重合体等を50重量%以下、好ましくは4
0重量%以下で混合して、目的の性能に調整することが
できる。更に、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン
テレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂等を混合すること
も可能である。本発明のグラフト共重合体(I)、スチ
レン系共重合体(II)の樹脂混合物は、その製造方法に
よって異なるが、例えば、これらをラテックス、スラリ
ー、溶液、粉末、ペレット等の状態あるいはこれらの組
合わせにて混合して、製造できる。グラフト共重合体
(I)、スチレン系共重合体(II)がラテックスの場
合、ポリマー粉末を回収するときは通常の方法、例えば
ラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸
マグネシウムのようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナト
リウム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属の塩、塩
酸、硫酸、リン酸、酢酸のような無機酸及び有機酸を添
加することでラテックスを凝固した後、脱水乾燥する方
法で実施できる。またスプレー乾燥法も使用できる。
【0014】安定剤の使用する量の一部を分散液の状態
でこれら樹脂のラテックスあるいはスラリーに添加する
こともできる。本発明の樹脂組成物は、グラフト共重合
体(I)、スチレン系共重合体(II)の単独あるいはこ
れら2種以上の混合物からなる粉末、ペレットに対し、
上記の安定剤、必要ならば滑剤、顔料等を配合し、バン
バリミキサー、ロールミル、1軸押出し機、2軸押出し
機等公知の溶融混練機で混練することができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施例によって説明するが、
これら実施例は本発明を限定するものではない。実施例
中の「部」は重量部を、また「%」は重量%を表す。ま
た、単量体、重合開始剤等を次の略称で表示した。B
A:ブチルアクリレート、2EHA:2−エチルヘキシ
ルアクリレート、AN:アクリロニトリル、St:スチ
レン、TAC:トリアリルイソシアヌレート、tDM:
t−ドデシルメルカプタン、CHP:クメンハイドロパ
ーオキサイド、PMI:N−フェニルマレイミド、αM
St:α−メチルスチレン、BMA:ブチルメタクリレ
ート、MAA:メタクリル酸。 アクリル酸エステル系ゴム重合体(A)の製造 アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−1)の製造 第1段階としてアクリル酸エステル系ゴム重合体(A−
1)に肥大させるために必要な未肥大ゴム(B−1)を
製造した。攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー
導入口、温度計の設置された反応器に、純水200部、
パルミチン酸ナトリウム0.55部を仕込んだ。反応器
を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させた。昇
温後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミ
ン四酢酸ナトリウム0.01部を仕込んだ。更に、BA
98.5部、TAC1.5部、CHP0.3部の単量体
混合物を6時間かけて滴下し、滴下終了後60℃で1時
間攪拌を続け重合を終了した。単量体混合物滴下1.5
時間目にパルミチン酸ナトリウム0.3部を、滴下4時
間目にパルミチン酸ナトリウム0.35部を添加した。
重合添加率は98%、未肥大ゴム重合体(B−1)の体
積平均粒径は92nmであった。第二段階として、未肥
大ゴム重合体(B)からゴム重合体(A)に肥大させる
ために必要な酸基含有ラッテクス(S)を以下のように
製造した。攪拌機、還流器、窒素導入口、モノマー導入
口、温度計の設置された反応器に、純水200部、ジオ
クチルスルホコハク酸ナトリウム0.6部、ナトリウム
ホルムスルホキシレート0.5部、エチレンジアミン四
酢酸ナトリウム0.01部、硫酸第一鉄0.0025部
を仕込んだ。反応器を攪拌しながら攪拌下に70℃まで
昇温した。70℃に到達後、BMA25部、BA5部、
tDM0.1部、CHP0.15部の単量体混合物を2
時間かけて滴下後、更にBMA50部、BA4部、MA
A16部、tDM0.5部、CHP0.15部を4時間
かけて滴下し、滴下終了後、70℃で1時間攪拌を続け
重合を終了し、酸基含有ラテックス(S−1)を得た。
未肥大ゴム(B−1)のラテックス100重量部(固形
分)に酸基含有ラテックス(S−1)3.5部(固形
分)を60 で添加後、攪拌を1時間続けて肥大化さ
せ、アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−1)を得
た。体積平均粒径は290nmであった。
【0016】アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−
2)の製造 酸基含有ラテックス(S−1)と同様にして表2に示す
単量体混合物を用いて酸基含有ラテックス(S−2)を
得た。未肥大ゴム(B−1)100部(固形分)に水酸
化ナトリウム0.02部を添加し、更に酸基含有ラテッ
クス(S−2)2.0部(固形分)を60℃で添加後、
攪拌を1時間続けて肥大させ、アクリル酸エステル系ゴ
ム重合体(A−2)を製造した。体積平均粒径は505
nmであった。 アクリル酸エステル系ゴム(A−
3)の製造 第一段階として、単量体混合物、パルミチン酸ナトリウ
ム、重合時間以外は未肥大ゴム重合体(B−1)と同様
にして未肥大ゴム重合体(B−2)を製造した。単量体
は表1に示す通り三段階に分けて添加した。一段目は
1.5時間かけて滴下し、滴下後30分攪拌し、更に三
段目を1.5時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌し重
合を終了した。パルミチン酸ナトリウムは未肥大ゴム重
合体(B−1)と同様に0.55部、二段目滴下前に
0.3部、三段目滴下前に0.35部を添加した。重合
転化率は98%、体積平均粒径は98nmであった。次
いで、アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−1)と同
様に、未肥大ゴム重合体(B−2)100部(固形分)
と酸基含有ラテックス(S−1)3.5部(固形分)を
用いて肥大ゴム(A−3)を得た。体積平均粒径は34
0nmであった。
【0017】未肥大ゴム(B−3)の製造 同様の反応器に純水200部、パルミチン酸ナトリウム
0.006部を仕込んだ。反応器を攪拌しながら窒素気
流下に60℃まで昇温させた。昇温後、BA10部、T
AC0.15部、CHP0.06部を仕込んだ。攪拌
後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.
3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム0.01部を仕込んだ。2時間攪拌
後、BA88.5部、 TAC1.35部、CHP0.
24部を6時間かけて滴下し、滴下後1時間攪拌し重合
を終了した。パルミチン酸ナトリウムは二段目滴下前に
0.1部、二段目滴下1時間後に0.15部、2時間後
に0.3部、3時間後に0.3部、5時間後に0.35
部を添加した。重合転化率98%で未肥大ゴム重合体
(B−3)を得た。体積平均粒径は315nmであっ
た。 グラフト重合体(I)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に純水280部、アクリル酸エ
ステル系ゴム重合体(A−1)60部(固形分)、ナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、E
DTA0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を仕込ん
だ。反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温
させた。60℃到達後にAN10部、St30部、CH
P0.2部の混合物を連続的に5時間で滴下した。滴下
終了後、60℃で2時間攪拌を続け、重合を終了し、グ
ラフト重合体(I−a)を得た。重合転化率98%、グ
ラフト率は47%であった。グラフト共重合体(I−
a)と同様に、アクリル酸エステル系ゴム重合体(A−
2)70部(固形分)にAN10部、St20部、CH
P0.2部を用いて重合体(I−b)を得た。重合転化
率は98%、グラフト率は33%であった。グラフト共
重合体(I−a)と同様に、アクリル酸エステル系ゴム
重合体(A−3)45部(固形分)にAN14部、St
38部、tDM0.1部、CHP0.2部を用いて重合
しグラフト共重合体(I−c)を得た。重合転化率は9
8%、グラフト率は57%であった。グラフト共重合体
(I−a)と同様に、上記の未肥大ゴム重合体(B−
1)60部(固形分)を用い表4に示す処方で重合しグ
ラフト共重合体(I−d)を得た。重合転化率は98
%、重合転化率は98%、グラフト率は49%であっ
た。グラフト共重合体(I−a)と同様に、上記の未肥
大ゴム重合体(B−2)70部(固形分)を使用し、表
4に示す処方でグラフト共重合体(−e)を得た。重合
転化率は98%、グラフト率は32%であった。グラフ
ト共重合体(I−a)と同様に、上記の未肥大ゴム重合
体(B−3)45部(固形分)を用いて、表4に示す処
方でグラフト共重合体(I−f)を得た。重合転化率は
98%、グラフト率は56%であった。 スチレン系共重合体(II)の製造 攪拌機、環流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口、温
度計の設置された反応器に、純水250部、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム1.0部、ナトリウムホルム
アルデヒドスルホキシレート0.5部、EDTA0.0
1部、硫酸第一鉄0.0025部を仕込んだ。反応器を
攪拌しながら窒素気流下に65℃ まで昇温させた。6
5℃到達後、表5に示すようにAN30部、St70
部、tDM0.3部、CHP0.3部の混合物を連続的
に7時間で滴下した。また、ジオクチルスルホコハク酸
ナトリウムを重合時間1時間目に0.5部、3時間目に
0.5部追加した。滴下終了後65℃で1時間攪拌を続
け、重合を終了し、共重合体(II−a)を製造した。重
合転化率は99%、還元粘度は0.63であった。共重
合体(II−a)と同様に、表5に示すようにAN25
部、St5部、αMSt70部、tDM0.3部、CH
P0.3部を用いて共重合体(II−b)を製造した。重
合転化率は97%、還元粘度は0.62であった。共重
合体(II−a)と同様の方法で、PMI30部、AN1
5部、St55部、tDM0.27部、CHP0.3部
を用いて共重合体(II−c)を得た。重合転化率は99
%、還元粘度は0.66であった。 熱可塑性樹脂組成物の製造(実施例1〜5、比較例1〜
3) グラフト共重合体(I)のラテックス、スチレン系共重
合体(II)のラテックスを表6にそれぞれ示す割合で混
合し、フエノール系抗酸化剤を加えた後、塩化カルシウ
ムを加えて凝固させた。凝固スラリーを熱処理、脱水、
乾燥して(I)と(II)混合の樹脂組成物の粉末を得
た。次いで得られた樹脂組成物にエチレンビスステアリ
ルアミド1部および表7に示す安定剤を配合し、(株)
タバタ製20Lブレンダーで均一にブレンドした。更
に、(株)タバタ製40mm1軸押し出し機を用い、2
40〜260℃で溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペ
レットを得た。(実施例1〜5,比較例1〜3) 安定剤の配合は次の通り。 A配合:(イ)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジニル)セバケート(融点81℃、分子量4
80)、(ロ)ビス(2,4−ジーt−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト(融点165
℃、分子量604)、(ハ)3,9−ビス[1,1−ジ
メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ
−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]
−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウ
ンデカン(融点125℃、分子量741)、(ニ)2−
[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベ
ンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(融点
137℃、20℃蒸気圧2.1×10ー10pa) B配合:(イ)1,2,3,4−ブタン−テトラカルボ
ン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリ
ジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジ
メチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキソスピ
ロ[5,5]ウンデカンの重縮物(融点80℃)、
(ロ)ビス(2,6−ジ−4−メチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト(融点237℃、分子量
633)、(ハ)1,3,5−トリス(3’、5’−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)イソシアヌ
レート(融点221℃、分子量784)、(ニ)2−
(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール(融点157℃、20
℃蒸気圧1.1×10ー6pa) C配合:(イ)2,6−ジメチル−4−ピペリジルベン
ゾエート(融点95℃、分子量260)(ロ)ジフェニ
ルオクチルホスフアイト(常温液体、分子量346)
(ハ)2,6−ジ−t−エチルフェノール(融点44
℃、分子量234)(ニ)2−(5−メチル−2−ヒド
ロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点128℃、
20℃蒸気圧1.5×10ー4pa)。又、各種の測定は
次のように行った。 ゴム重合体の粒径: 日機装(株)製のマイクロトラッ
クUPA粒径分布計を用いて測定した(nm)。 重合転化率:添加したモノマー量と固形分濃度から計算
した(%)。 グラフト率: グラフト共重合体のパウダーをメチルエ
チルケトンに溶解して、遠心分離し、メチルエチルケト
ン可溶分と不溶分に分け、この可溶分と不溶分の比率か
ら計算した(%)。 還元粘度:共重合体のラテックスに塩化カルシウムを加
えて凝固させ、凝固スラリーを熱処理、脱水、乾燥して
得た樹脂粉末を0.3g/dl濃度のN,N−ジメチル
ホルムアミド溶液として、30で還元粘度を測定した。 発色性: カーボン0.3%を添加した熱可塑性樹脂組
成物の1/4インチバーを目視で5点評価法で評価した
(1点:成型品全体に激しい色むらがある。2点:成型
品全体に色むらがある。3点:ゲート等成型品の一部に
色むらがある。4点:ほとんど色むらがない。5点:色
むらなし。)。 落錘衝撃強度: 射出成形して得た2mm×100mm
×150mmの平板について、23℃での半数破壊エネ
ルギー(落錘重量×高さ)で評価した(kgf・m)。 IZOD衝撃強度:ASTM D−256規格(1/4
インチ厚み)の方法によって、23℃で測定した(kg・
cm/cm)。 引っ張り強度、引っ張り伸び:ASTM D−638規
格によって1号ダンベルを使用し、23℃で評価した
(kg/cm2、%)。 耐熱性(HDT): ASTM D648規格の従い18.6
kg/cm2荷重で評価した(℃)。 耐候変色性:カーボン0.13%を添加した樹脂組成物
の1/4インチバーをスガ試験(株)製サンシャインウ
エザオメーター(65℃、雨あり)による500時間照
射後の変色(ΔE値)で評価した。 金型汚染:3mm×100mm×150mmの平板を充
填量60%のシートショット状態で50ショット成型
し、金型面の状態を目視で判定した(○:汚染がほとん
どみられない。×:汚染がみられる。××:汚染が激し
い。)。未肥大ゴム(B)の処方を表1に、酸基含有ゴ
ムラテックス(S)の重合処方を表2に、アクリル酸エ
ステル系ゴム共重合体(A)の処方を表3に示した。ま
た、グラフト共重合体(I)の重合処方を表4に、スチ
レン系共重合体(II)の処方を表5に、熱可塑性樹脂組
成物の配合処方とその特性値を表6に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
【表6】
【0024】
【発明の効果】表6の結果から実施例1〜5に代表され
る本発明の熱可塑性樹脂組成物は発色性、平板の耐衝撃
性に優れ、かつ耐候性、引張強度、耐熱変形性、成型加
工性に優れている。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体積平均粒径が100〜1000nmのア
    クリル酸エステル系ゴム重合体(A)にシアン化ビニル
    化合物10〜45重量%、芳香族ビニル化合物55〜9
    0重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量
    %(合計100重量%)の単量体混合物を重合してな
    り、グラフト率が20〜90重量%であるグラフト共重
    合体(I)10〜80重量部、 シアン化ビニル化合物
    10〜40重量%、芳香族ビニル化合物60〜90重量
    %及びマレイミド系単量体0−50重量%、及びこれら
    と共重合可能な単量体0〜30重量%(合計100重量
    %)を重合してなるスチレン系共重合体(II)90〜
    20重量部からなる樹脂組成物(合計100重量部)で
    あり、かつアクリル酸エステル系ゴム重合体(A)が、
    炭素数1〜12のアルキル基を有する少なくとも1種の
    アクリル酸エステル50〜99.9重量%、分子中に2
    つ以上の重合性の官能基を有する多官能性単量体1〜1
    0重量%、及びこれらと共重合可能な単量体0〜50重
    量%(合計100重量%)を乳化重合させることにより
    得たゴム重合体(B)を、重合性不飽和酸(c)5〜5
    0重量%、アルキル基の炭素数が1〜12の少なくとも
    1種のアルキル(メタ)アクリレート(d)50〜95
    重量%、及び(c),(d)と共重合可能な単量体0〜
    40%を重合させることにより得た酸基含有ラテックス
    (S)を使用する凝集肥大法により製造したゴム重合体
    である、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】酸基含有ラテックス(S)がアクリル酸、
    メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸のうちの少なく
    とも1種の不飽和酸(c)5〜25重量%、アルキル
    (メタ)アクリレート(d)がアルキル基の炭素数1〜
    12の少なくとも1種のアルキルアクリレート5〜30
    重量%とアルキル基の炭素数1〜12の少なくとも1種
    のアルキルメタクリレート80〜20重量%、(c)、
    (d)と共重合可能な単量体が芳香族ビニル単量体、及
    び又は、分子中に2つ以上の重合性の官能基を有する単
    量体、及び又はシアン化ビニル化合物0〜40%を重合
    させて得られる共重合体のラテックスである請求項1記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】スチレン系共重合体(II)のメチルエチ
    ルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチル
    ホルムアミド溶液中)が各々0.3〜1.2dl/gで
    あり、かつゴム重合体含量が樹脂中5〜35重量%であ
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】グラフト共重合体(I)とスチレン系共重
    合体(II)らなる樹脂組成物100重量部に対し、下
    記の安定剤(イ)0.01−3重量部、(ロ)0.01
    〜3重量部、(ハ)0.01〜3重量部、(ニ)0.0
    1〜3重量部からなる安定剤合わせて0.05〜5重量
    部を添加した請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。 (イ):エステル基を分子内に有する分子量450以
    上、かつ融点50℃以上のヒンダードアミン系化合物 (ロ):分子量550以上、かつ融点100℃以上のホ
    スファイト系化合物 (ハ):エステル基あるいはシアヌレート基を分子内に
    有する分子量500以上、融点50℃以上のヒンダード
    フェノール系化合物 (ニ):分子量300以上、20℃での蒸気圧10-5
    スカル以下のベンゾトリアゾール系化合物。
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