JP3628518B2 - メタクリル系重合体およびその製造方法 - Google Patents

メタクリル系重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクリル系重合体を塊状重合により連続的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)の塊状重合による連続的重合方法は、バッチ式の懸濁重合に比べ生産性に優れること、また分散剤等の補助剤を必要としないために非常に透明性に優れること、さらに溶液重合に比べ反応溶媒の分離が必要でないこと、揮発成分の除去後の重合体中に残存溶媒が存在しないために非常に透明性に優れていること、さらには反応域に供給するラジカル開始剤が非常に少量で済むことから耐熱分解性に優れた重合体が得られること等の理由から、古くより鋭意研究が行われている。
【0003】
一方で、溶液重合法は塊状重合法に比べ重合体の耐熱分解性が悪く成形加工性には劣るものの重合の制御が容易であるという理由により古くより研究が行われてきた。
【0004】
例えば特公昭52−32665号公報では、重合温度におけるラジカル開始剤の半減期と添加量を規定し、完全混合型反応器1基を用いて130℃〜160℃においてモノマー転化率50%〜70%とする方法が開示されている。
【0005】
また、特開平3−111408号公報では、完全混合型反応器1基を用いて、重合温度での半減期が0.5〜120秒という短寿命のラジカル開始剤を使用し、130〜160℃で、モノマー転化率が45%〜70%となるように重合させる方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、メチルメタクリレートの塊状重合においては、重合率が高くなるとゲル効果により反応速度の加速現象が起こることが知られている。そのため、完全混合型反応器1基を用いて塊状重合を行う場合には、重合温度に対して安定に反応を制御しながら運転を行うことができる限界重合率が存在する。したがって、上記特公昭52−32665号公報および特開平3−111408号公報に記載の方法では、いずれもこの限界重合率以下で重合反応を行わざるを得ない。このような制限下で生産性を優先させる場合は、重合温度を高くすることにより重合率を高く維持する方法がとられる。
【0007】
しかしながら、重合体の成形材料としての物性を高めるためには、二量体や末端二重結合が少なくなる低い温度での重合を行う必要があり、重合温度を低くしなければならない。重合温度を低くすると重合率が低くなり生産性が損なわれるという問題が生じる。
【0008】
また、特開昭54−90284号公報には、まず均一攪拌混合型反応器を使用して120〜200℃の範囲で重合率30〜80重量%まで重合し、引き続いてプラグフロー型反応器を使用して120〜200℃で重合率90重量%以上まで塊状重合する方法が記載されている。しかしながら、実際、メチルメタクリレートの連続塊状重合について我々が検討した結果、プラグフロー型反応器で重合率90%以上を安定に製造することは著しく困難であり、さらに品質に優れかつ生産性よく製造することも非常に困難であることが明らかになった。
【0009】
また、特公昭59−21325号公報および特公平1−49295号公報には、完全混合型反応器1基とそれに続くプラグフロー型反応器を用いて、連続的にメチルメタクリレート系シロップを製造する方法が記載されている。いずれの公報に記載の方法も、注型重合してシートを製造するための前駆体であるシロップの製造方法であり、この方法におけるプラグフロー型反応器は、1段目の完全混合型反応器を出た後のシロップ中の残存開始剤を分解させ、後重合を起こさない安定なシロップを製造することを目的に配置されている。そのため、これらの公報に記載の方法は、残存開始剤のない流動性に優れたシロップを経済的に製造することが目的であり、2段目のプラグフロー型反応器では改めてラジカル開始剤を追加することはなく、最終重合率も40重量%以下と低いものであった。また、仮に、これらの公報の記載にしたがって製造したメタクリル系重合体を成形材料とした場合、重合時間が極端に短く、ラジカル開始剤の使用量が極端に多いため、末端二重結合量が多く耐熱分解性が著しく悪い重合体しか得られず物性上問題がある。
【0010】
連続溶液重合については、特開昭63−57613号公報、特開平1−79209号公報に不活性溶媒10〜25重量%を使用して完全混合型反応器において連続的に重合を行う方法、また特開平7−206906号公報、特開平8−253507号公報に不活性溶媒5〜29重量%を使用して完全混合型反応器1基およびそれに続く完全混合型反応器またはプラグフロー型反応器を用いて重合を行う方法、さらに特開平1−172401号公報には不活性溶媒を40重量%以上を使用して反応器2基以上で連続的に重合を行う方法、また特公昭40−22200号公報には完全混合槽とプラグフロー型反応器を直列で使用し、溶媒10〜40重量%添加して連続的に重合させるメタクリル系重合体の製造方法が記載されている。これら公報に記載の方法は、いずれも溶媒を少なくとも5重量%以上、またその多くは10重量%以上を使用することにより、ゲル効果を抑制し、反応の制御を平易にするために使用されている。しかしながら、溶媒を5重量%以上添加した重合方法では、重合速度が遅いため生産性が低く経済的に不利になること、ラジカル開始剤の使用量が多くなるため重合体の末端二重結合量が増え、耐熱分解性が悪くなること、大量の溶媒の分離回収が必要であり揮発物分離工程の負担が大きいといった問題を抱えている。
【0011】
また、特開昭58−132002号公報には、完全混合型反応器とプラグフロー型反応器を一体化させた特殊な反応器を用いて、メチルイソブチレート1〜30重量%を不活性溶媒として連続的に重合を行う方法が開示されている。しかしながら、この方法はプラグフロー型反応器に特殊なスクリュ攪拌機を使用する必要があり経済的に不利であり、また工業的に大容量化することは困難である。
【0012】
そこで本発明は、このような従来の問題点を鑑みてなされたものであり、成形加工性に優れたメタクリル系重合体を、生産性よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、完全混合型反応器1基とそれに引き続き直列に配置されたプラグフロー型反応器と揮発物除去装置を使用して、メチルメタクリレート単独重合体、あるいはメチルメタクリレート単位とアルキルアクリレート単位もしくはアルキルメタクリレート単位(メチルメタクリレート単位を除く)を含む共重合体を製造する方法において、
a)予め単量体あるいは単量体含有混合物中の溶存酸素を2ppm以下にする工程、
b)完全混合型反応器において、連鎖移動剤としてメルカプタン化合物0.01〜1.0モル%と、重合温度での半減期が10秒〜1時間のラジカル開始剤を用い、重合温度110〜160℃において、実質的に均一に攪拌混合し、この反応域における重合体含有率が35〜65重量%になるように不活性溶媒5重量%未満の連続溶液重合あるいは連続塊状重合を行う工程、
c)反応液を、ポンプにより連続的に抜き出し、プラグフロー型反応器内の全域において液圧を反応液の蒸気圧以上になるように加圧しながらプラグフロー型反応器内へ送液する工程、
d)プラグフロー型反応器において、該反応器内壁の温度を、1段目の完全混合型反応器の前記重合温度以上250℃以下に設定し、該反応器内壁温度での半減期が1000秒以下のラジカル開始剤の1種以上を添加混合して重合させながら反応液を通過させ、出口における重合体含有率が50〜85重量%になるように重合を行う工程、
e)引き続き反応液を揮発物除去装置に供給し、連続的に揮発物を分離除去する工程を有することを特徴とするメタクリル系重合体の製造方法に関する。
【0014】
また本発明は、GPCで測定した重量平均分子量が7〜15万、残存ダイマーが1000ppm以下、残存単量体が3000ppm以下、残存メルカプタンが50ppm以下、重合体のタクチシティがシンジオタクチックとヘテロタクチックの比S/Hで1.22以上1.40以下であるメタクリル系重合体に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法は、メタクリル系重合体、すなわちメチルメタクリレート単独重合体または共重合体の製造に適用される。共重合体としては、80重量%以上のメチルメタクリレート単位と20重量%以下のアルキルアクリレート単位またはアルキルメタクリレート単位(メチルメタクリレートを除く)単位とを含む共重合体の製造に好ましく適用される。
【0016】
それぞれ、モノマーとしてメチルメタクリレートの単独重合、あるいはモノマーとしてメチルメタクリレートとアルキルアクリレート若しくはアルキルメタクリレート(メチルメタクリレートを除く)とを含む単量体混合物の共重合によって得られる。
【0017】
共重合を行う場合、メチルメタクリレートとともに使用するアルキルアクリレートは、炭素数1〜18のアルキル基を有するものの中から選ばれ、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、2−エチルヘキシル、ドデシル、ステアリル等のアルキル基を有するアルキルアクリレートが含まれる。
【0018】
また、メチルメタクリレートと共に使用するアルキルメタクリレートは、炭素数2〜18のアルキル基を有するものの中から選ばれ、例えばメチル基を除く上述と同様なアルキル基を有するアルキルメタクリレートが含まれる。
【0019】
本発明によって得られるメタクリル系重合体としては、特に、単独重合体すなわちポリメチルメタクリレート、並びにメチルメタクリレートとメチル、エチル、及びブチルアクリレートから選ばれるアルキルアクリレートとの共重合体が好ましい。
【0020】
メチルメタクリレートは、これと共重合される他のアルキルメタクリレート及びアルキルアクリレートに対してそれぞれ重合活性が異なるので、上記組成の共重合体を得ようとする場合、仕込みモノマー混合物の組成はそれらの重合活性に応じて適宜選定する。例えば、メチルメタクリレートをメチルアクリレート又はエチルアクリレートと共重合する場合の仕込みモノマー混合物の組成は、メチルメタクリレート70重量%以上、メチルアクリレート又はエチルアクリレート30重量%以下とすることが好ましい。
【0021】
本発明では、まず、原料モノマーに窒素等の不活性ガスを導入するか、もしくは減圧下に一定時間保持することにより、溶存酸素を2ppm以下とする。不活性溶媒を使用する溶液重合の場合にも、原料モノマーと不活性溶媒の混合液に対して同様の操作を行い溶存酸素を2ppm以下とする。溶存酸素が2ppmより多いと重合反応が安定しないばかりでなく、重合工程で長時間、高温に保持されることにより容易に着色成分となるためである。好ましくは1ppm以下とする。
【0022】
上記のようにして溶存酸素を除去したモノマーあるいはモノマー含有混合物は、連鎖移動剤としてメルカプタン化合物およびラジカル重合開始剤を混合し、メチルメタクリレートを主成分とするモノマー含有混合物として一基の完全混合型反応器に連続的に供給する。
【0023】
本発明で使用されるメルカプタン化合物としては、n−ブチル、イソブチル、n−オクチル、n−ドデシル、sec−ブチル、sec−ドデシル、tert−ブチルメルカプタン等のアルキル基又は置換アルキル基を有する第1級、第2級、第3級メルカプタン;フェニルメルカプタン、チオクレゾール、4−tert−ブチル−o−チオクレゾール等の芳香族メルカプタン;チオグリコール酸とそのエステル;エチレンチオグリコール等の炭素数3〜18のメルカプタンが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらのメルカプタンの中でも、tert−ブチル、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルメルカプタンが好ましい。
【0024】
メルカプタンの連鎖移動反応により末端停止した重合体は耐熱分解性に優れており、全重合体末端数に占めるメルカプタン停止末端数の割合が多いほど、耐熱分解性に優れた重合体が得られる。しかしながら、多すぎると重合体の重合度が低くなり製品強度が低下するので、製品強度を保ちつつ成形加工が可能な適度な重合度(本発明では、最終的に揮発分を除去した後の重合体の重量平均分子量が7万〜15万の範囲が好ましい。)を得るとともに耐熱分解性に優れた重合体を製造するには、メルカプタンの使用量は、モノマーに対して0.01〜1.0モル%、好ましくは0.05〜0.5モル%である。
【0025】
本発明を溶液重合で行う場合、不活性溶媒としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルベンゼン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなど公知の溶剤が使用可能である。メタノール、トルエン、エチルベンゼン、酢酸ブチル等が特に好ましい。
【0026】
溶液重合を行う場合の不活性溶媒の使用量は、5重量%未満である必要がある。好ましくは不活性溶媒を使用しない塊状重合であるが、溶媒5重量%未満であれば従来の溶液重合の欠点である耐熱分解性を損なうことなく、塊状重合と同様にゲル効果を利用することにより、少量の重合開始剤の使用により効果的に重合率を高めることが可能であり、耐熱分解性に優れた重合体を生産性よく製造することが可能であり、本発明の効果が発現できる。不活性溶媒が5重量%以上では、従来技術にあるようにゲル効果が抑制されるため本発明の効果は発現できない。
【0027】
完全混合型反応器で使用するラジカル重合開始剤は、その反応器における重合温度での半減期が10秒〜1時間であることが重要である。この半減期が10秒より短いとラジカル開始剤が反応器内に均一に分散する前に大部分が分解してしまうためラジカル開始剤の利用効率が低下し好ましくない。攪拌強度を大きくしてラジカル開始剤が分解する前に分散させることも可能であるが、そのためには非常に大きい攪拌動力が必要であり経済的に不利である。好ましくはこの半減期が120秒以上のラジカル開始剤を使用する。
【0028】
一方、上記半減期が1時間を超えるラジカル開始剤を使用すると、反応器内に重合体塊が生成しやすく安定に運転することが困難となる。また、停電等により運転を急に停止した場合、反応液の重合が進み高粘度となるため、再スタートが非常に難しくなる。好ましくはこの半減期が30分以下のラジカル開始剤を使用する。
【0029】
本発明では、ラジカル開始剤の「重合温度での半減期」の値は、日本油脂(株)または和光純薬(株)等の公知の製品カタログに記載の値を採用した。
【0030】
本発明において完全混合型反応器で使用されるラジカル開始剤は、重合温度において10秒〜1時間、好ましくは120秒から30分の範囲の半減期を有するものを用いる。後述のプラグフロー型反応器では反応器内壁温度での半減期が1000秒以下のものを用いる。このようなラジカル開始剤としては、例えばtert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサネート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物、または2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、2、2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2、2’−アゾビス(2−メチルプロパン)等のアゾ化合物等から重合温度を考慮して選択することができる。
【0031】
さらに本発明の製造方法は、完全混合型反応器において、反応液の重合温度が110〜160℃の範囲において、実質的に均一に攪拌混合する必要がある。重合温度が110℃より低いとゲル効果による重合速度の加速現象が大きくなるため重合率が低い条件でしか安定に運転することが困難となり、生産性が低下して経済的に不利である。好ましい重合温度は120℃以上である。
【0032】
一方、この重合温度が160℃より高いと、重合反応は安定になり重合率を高くすることができるが、二量体の生成が非常に多くなるため揮発分除去後の重合体の透明性ならびに機械的強度が低下する。また、重合体の立体規則性においてシンジオタクチックの比率が低下するため重合体の熱変形温度が低下する。また、共重合成分として重合体に含まれるアルキルアクリレートは、その含有量が多いほど熱変形温度は低下するが一方で耐熱分解性は向上することが知られている。メチルメタクリレートとアルキルアクリレートの比率が同じ重合体を製造する場合、重合温度が低い方がシンジオタクチックの比率が高くなり熱変形温度が高くなる。そのため、重合温度が低ければ、重合温度が高い場合と比較して、アルキルアクリレートの含有量を多くして耐熱分解性を向上させたにもかかわらず、重合温度が高い方と同等の熱変形温度を有する重合体を得ることができるため、熱変形温度と耐熱分解性を兼ね備えた重合体として工業的優位性が非常に大きい。したがってこの重合温度は140℃以下にすることがより好ましい。
【0033】
ラジカル開始剤の使用量は、重合温度、平均滞在時間、目標とする重合率によって決まるが、重合体の末端二重結合量の少ない耐熱分解性に優れた重合体を得るためには、その使用量の上限はモノマー1モルに対して5.0×10−5モル、また工業的生産性を考慮して下限は5.0×10−6モルの範囲で供給することが好ましい。
【0034】
完全混合型反応器における平均滞在時間は、1〜6時間の範囲で実施することが好ましい。この範囲内にすることにより、重合制御を安定にすることができるとともに、成形加工性に優れた重合体を製造することができる。滞在時間が1時間より短いと、ラジカル開始剤の使用量を増やす必要があり、ラジカル開始剤の増加により重合反応の制御が難しくなるとともに、重合体の末端二重結合量が多くなるため耐熱分解性に優れた重合体は得られない。より好ましくは2時間以上である。一方、上記平均滞留時間が6時間を超えると生産性が低下するとともに、二量体の生成が多くなるため好ましくない。より好ましくは5時間以下である。
【0035】
反応域内には重合反応と攪拌混合による発熱があるので除熱して、場合によっては加熱して所定の重合温度に制御する。温度制御は既知の方法によって行うことができる。例えば、ジャケット、反応域内に設置したドラフトチューブあるいはコイル等への熱媒循環による伝熱除熱あるいは加熱、モノマー混合物の冷却供給、環流冷却等の方法を採用することができる。
【0036】
さらに本発明においては、完全混合型反応器において反応混合物の重合体含有率(重量%)φ、すなわち重合率を、35≦φ≦65の範囲で実質的に一定のある値に維持することが極めて重要である。重合率φが規定される上限を超えると、混合および伝熱が十分に達成されなくなり、安定な操作が難しくなる。重合率φが規定されている下限より低いと、引き続いてプラグフロー型反応器においてゲル効果が十分に発現できないために最終重合率が低くなり、未反応モノマーを主成分とする揮発物の分離のためにコストが増大して工業的メリットが少なくなる。従って、重合率φは前記規定範囲内に維持する必要がある。さらに、より安定に経済的に有利に製造する条件は、好ましくは、重合温度が120〜140℃の範囲において40〜55重量%の範囲である。
【0037】
本発明に用いられる完全混合型反応器としては、供給口、取り出し口および攪拌装置を備えた槽型反応装置を用いることができ、攪拌装置は反応域全体にわたる混合性能を持つことが必要である。
【0038】
本発明では、引き続いてプラグフロー型反応器を用いて更に重合を行う。
【0039】
本発明では、完全混合型反応器から反応液を抜き出してプラグフロー型反応器へ送液する操作はポンプにより行うことができる。ポンプは市販のギアポンプが好ましい。ポンプにより反応液を抜き出すことにより、安定に次の工程に反応液を送液することができるとともに、続いて設置されたプラグフロー型反応器内部を反応液の蒸気圧以上に昇圧することができる。
【0040】
プラグフロー型反応器内部の圧力は反応液の蒸気圧以上であることが必要である。好ましくは、5〜40kg/cmGかつ反応液の蒸気圧以上である。反応器内部を反応液の蒸気圧以上に維持することにより、反応液の発泡が抑えられ、発泡による閉塞が防止できる。
【0041】
プラグフロー型反応器で更に重合を進めることにより、最終重合体含有率(重合率)を高くして、引き続いて行う揮発物除去工程の負担を軽減することが可能となり、経済的に有利な製造方法として工業的メリットが大きい。さらに、このプラグフロー型反応器においてさらに重合を進めることで、1段目の完全混合型反応器において重合率を低くしても経済的採算が十分に取れるため、完全混合型反応器の重合温度を低くして重合体の熱変形温度と耐熱分解性を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0042】
本発明では、プラグフロー型反応器を用いてさらに重合を進めるにあたり、1段目の完全混合型反応器の重合温度以上250℃以下の温度にこのプラグフロー型反応器の内壁温度を設定することが重要である。1段目の完全混合型反応器の重合温度より低いと、反応器壁面において粘度が高くなるため反応器の閉塞がおこり長期的な運転が不可能である。また、反応器内壁温度が250℃より高いと、伝熱により反応液が温度上昇するため、ラジカル開始剤の分解が速くなり、重合率を十分に高くすることができない。好ましくは200℃以下とする。
【0043】
また本発明では、重合発熱によって反応液温度が上昇するのに応じて、このプラグフロー型反応器内壁温度を二つ以上の温度領域に分割して設定し、反応液入口から順次高くしていくことが好ましい。これにより二量体の生成を抑制しながら、かつラジカル開始剤の急激な分解を抑え、効果的に重合率を高めることが可能となる。
【0044】
また本発明では、プラグフロー型反応器でさらに重合を進めるにあたり、反応器内壁温度における半減期が1000秒以下であるラジカル開始剤を1種以上添加することが重要である。この半減期が1000秒を超えると反応器壁面の流動性の低い部分で重合率が高くなり、この現象が長時間にわたり進行することにより反応器の閉塞が起こる。この現象を回避するためにはこの半減期は1000秒以下であることが必須であり、より好ましくは500秒以下である。一方、この半減期が短かすぎると運転上は支障はないが、ラジカル開始剤の分解が速くなり十分に重合率を上げることができず、反応器を通過する間に二量体ばかりが生成し物性の劣る重合体が生成する。そのためこの半減期が0.1秒以上のラジカル開始剤を使用することが好ましい。
【0045】
さらに本発明では、このプラグフロー型反応器の出口における最終重合率は50〜85重量%の範囲になるように製造する。この最終重合率が50重量%未満では、完全混合型反応器1基で製造した方が経済的に有利となり、本発明の効果が発現できない。一方、この最終重合率が85重量%を超えると流動性が著しく低下するため、安定に輸送することが不可能となる。好ましくは55〜85重量、より好ましくは60〜80重量%である。
【0046】
本発明を更に効果的に行うためには、プラグフロー型反応器はスタティックミキサーを内装した管型反応器であることが好ましい。スタティックミキサーを用いることにより、装置本体が簡単になるばかりか、攪拌に要する動力が必要でないため付属設備も必要なく設備費が低減でき、またランニングコストも低減できる。スタティックミキサーは市販のものを使用することが可能であり、たとえばノリタケカンパニー(株)市販のスタティックミキサー、あるいは住友重機械(株)市販のスルーザミキサーが好適である。
【0047】
本発明は、このプラグフロー型反応器における反応液の平均滞留時間を1分〜1時間の範囲で行うことが好ましい。この平均通過時間が1分より短いと重合率を十分に高めることができない。一方、この平均通過時間が1時間より長いと二量体の生成が多くなり、生産性も低下するため好ましくない。
【0048】
このプラグフロー型反応器において使用するラジカル開始剤の添加方法は、このプラグフロー型反応器入口において、別に直列配置されたスタティックミキサーでラジカル開始剤を予備混合し、このプラグフロー型反応器に通す方法が好適である。
【0049】
このラジカル開始剤は、一種もしくは二種以上の混合物として使用することができる。二種以上を使用する場合は、十時間半減期温度が5℃以上離れているものを使用することが好ましい。これにより効率的に重合を進めることができる。
【0050】
さらに、反応液の温度上昇に併せて、このプラグフロー型反応器の反応液入口直前部と、反応器内部の1箇所以上にラジカル開始剤を添加することが好ましい。これにより、更に効果的に重合を進めることが可能となる。この場合、反応器内壁温度における半減期が1000秒以下で且つ十時間半減期が入り口側から順次長くなるような組み合わせでラジカル開始剤の種類を選択し添加することが好ましい。
【0051】
このときのラジカル開始剤の添加量は、反応液をモノマー量に換算した1モルに対して5.0×10−6〜5.0×10−5モルの範囲で供給することが好ましい。
【0052】
本発明では、プラグフロー型反応器の条件を上記範囲で運転することが非常に重要である。上記特定条件を採用することで、従来技術では成しえなかった重合体含有率50重量%以上での連続塊状重合、及び不活性溶媒5重量%未満の連続溶液重合を安定に行うことが初めて可能になった。さらに、本発明の製造方法により、耐熱分解性に優れた成形加工性の良好なメタクリル系重合体を工業的に有利に提供することが可能となった。
【0053】
本発明の製造方法は、上記のような重合工程の後に、未反応モノマーを主成分とする揮発物を分離除去する工程を有している。連続的に送られてくる所定の重合率を有する反応混合物を、減圧下に200〜290℃に加熱してモノマーを主体とする揮発物の大部分を連続的に分離除去することが好ましい。
【0054】
このような分離除去工程により、重合体中の揮発分としてのダイマーが1000ppm以下および残存モノマーが3000ppm以下とすることが好ましい。この範囲を外れると、熱変形温度が低下するとともに、シルバー等の成形不良が発生しやすくなり成形加工性が低下する。また、残存メルカプタン量は50ppm以下にすることが好ましい。これにより、成形加工時の加熱による着色を抑制することができる。
【0055】
本発明の製造方法により得られる重合体の分子量は、機械的強度を損なうことなく、良好な成形加工性を発現させるために、重量平均分子量7万〜15万の範囲にあることが好ましい。
【0056】
以上のようにして製造したメタクリル系重合体を成形材料として用いる際には、高級アルコール類、高級脂肪酸エステル類等の滑剤を添加してもよい。また、必要に応じて紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0057】
本発明で得られるメタクリル系重合体は、成形材料として用いたときに品質的に、とりわけ成形加工性に優れていることが特徴である。成形加工性の良否は成形加工可能な温度幅をもってその目安とすることができ、この幅が大きいほどよい。
【0058】
この温度幅の下限温度は、主として成形材料の流動性に依存して決まり、これは平均重合度、共重合成分量、可塑剤量を変えることにより比較的容易に制御可能である。しかし、流動性を増大しこの下限温度を低下させると、同時に熱変形温度や機械的強度等の低下を招くので、実際上、下限温度の低下は困難である。
【0059】
他方、上記温度幅の上限温度は、成形材料の耐熱分解性および揮発物含有量に依存する。また、重合体の耐熱分解性は主としてラジカルの停止反応に伴う重合体末端の二重結合の数、及びアルキルアクリレートの共重合量により決まる。二重結合が少ない方が耐熱分解性に優れるためラジカル開始剤の添加量は少ない方が好ましく、メルカプタンの連鎖移動反応によって停止した重合体末端数の割合が多いほど耐熱分解性に優れる。また、アルキルアクリレートの共重合量が多い方が耐熱分解性に優れるがアルキルアクリレートの共重合量が増えると、共重合体のガラス転移温度が低下して熱変形温度が低下するため成形材料として高い熱変形温度を有するものが要求される場合には共重合量に限界がある。そこで、熱変形温度を低下させずにアルキルアクリレートの共重合量を増やすには、重合温度を低くして生成する重合体のタクチシティをシンジオタクチックリッチにすることによりガラス転移温度を上げ、その分アルキルアクリレートの共重合量を増やすことができる。高い熱変形温度と耐熱分解性を有するメタクリル系重合体を得るには、シンジオタクチックとヘテロタクチックの比(S/H)が、1.22以上1.40以下であることが好ましい。
【0060】
以上の理由により、比較的低い重合温度で、高い熱変形温度と耐熱分解性を兼ね備えた成形加工性に優れたメタクリル系重合体を生産性良く製造することができる。すなわち本発明では、完全混合型反応器1基と引き続いてプラグフロー型反応器を用いて特定の条件下で重合することにより、従来技術では成し得なかった、「生産性を向上させるとともに、成形加工性に優れた重合体を製造する」という課題を克服するに至った。
【0061】
さらに本発明では、揮発物除去工程で分離除去した未反応単量体および不活性溶媒を1段目の完全混合型反応器にリサイクルすることが可能であり、さらに経済的に有利となる。
【0062】
本発明によれば、耐熱分解性が優れるため、成形可能な上限温度の高いメタクリル系重合体が得られるので、成形温度幅が広く成形加工性に優れた成形材料を工業的に優位な方法で得ることができる。
【0063】
本発明の方法により得られたメタクリル系重合体は、その優れた透明性や耐候性を生かして照明、看板、車両等の多くの分野で使用できる。また、最近では光学レンズ、ディスク基盤、プラスチック光ファイバ等の光学用途にも適用できる。また、本発明により得られた重合体は、射出成形時に、シリンダ内での保持時間が長くなる大型成形品や、樹脂温度を高く設定する薄肉成形品に適している。
【0064】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0065】
なお、実施例の重合体の物性評価は以下の方法で行った。
【0066】
耐熱分解性の評価
セイコー電子工業(株)製の示差熱電子天秤(SSC500)を使用し、重合体ペレットを空気中で5℃/分の昇温速度で400℃まで昇温したときの屈曲温度(℃)を示す。
【0067】
GPCによる分子量の測定
測定は以下に記載した方法で行った。
装置はTOSOH製HLC−8020を使用し、カラムとしてGMHXL(TOSOH製)2本を用いた。溶媒はTHFを使用し、TOSOH製TSK標準ポリスチレンを用いて検量線を作り、試料は静置溶解した濃度0.1g/dlの溶液を用いた。
重量平均分子量Mwは市販のGPCデータ処理装置(TOSOH製データ装置SC−8010)によって求めた。
【0068】
タクチシティの測定
重合体のNMRスペクトルにおけるメチルメタクリレート成分のα−メチル基シグナルにおいて、シンジオタクチックなものとヘテロタクチックなものに帰属される面積の比(S/H)で表す。
【0069】
[実施例1]
精製されたメチルメタクリレート98wt%とメチルアクリレート2wt%とからなるモノマー混合物に窒素を導入して溶存酸素を0.5ppmとした後、このモノマー混合物に対してn−オクチルメルカプタン0.157モル%(0.23wt%)と、ラジカル開始剤として1,1―ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1.0×10−5モル/モノマー1モル(0.003wt%)とを混合した原料モノマーを、重合温度135℃に制御された完全混合型反応器に攪拌混合しながら連続的に供給し重合を行った。
【0070】
この重合温度における半減期は230秒である。反応域での平均滞在時間を3.0時間として重合を実施した。
【0071】
続いて、反応混合物を連続的に反応器から抜き出し、住友重機械工業(株)製SMXスルーザミキサを内装した配管部で、さらに1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシロキサン6.6×10−6モル/モノマー1モル(0.002wt%)を添加し、ノリタケカンパニ−(株)製スタティックミキサーを内装した管型反応器(プラグフロー型反応器)に供給した。
【0072】
管型反応器の内壁温度を150℃とした。この内壁温度におけるラジカル開始剤の半減期は54秒である。平均滞留時間は30分であった。また、内圧は25kg/cmGとした。
【0073】
次に、反応混合物を230℃で、この管型反応器出口から連続的にベントエクストルーダ型押し出し機に供給して、270℃で未反応モノマーを主成分とする揮発物を分離除去し、重合体を得た。
【0074】
各工程での重合体の物性を調べたところ、完全混合型反応器出口の反応液の重合体含有率は47wt%であり、管型反応器出口の重合体含有率は58wt%であった。また、揮発分を分離した後に得た重合体の残存モノマー量は250ppm、残存二量体量は300ppm、残存メルカプタン量は20ppmであった。
【0075】
この重合体の物性を評価したところ表3に示す結果が得られ、耐熱分解性に非常に優れた重合体であった。
【0076】
また、360時間の連続運転においても、重合の制御には問題はなく、運転終了後の反応器内の観察においても装置への付着物や異物の生成等は認められなかった。
【0077】
[実施例2〜6]
表1及び表2に示す原料および条件を用いた以外は実施例1と同様にして、表3に示す物性の重合体を得た。実施例2〜6のいずれも360時間の連続運転において重合の制御には問題なく、運転終了後の反応器内の観察においても装置への付着物や異物の生成等は認められなかった。
【0078】
なお、表2中の後添加とは、入り口直前部から開始剤を添加した後に、プラグフロー型反応器内の一箇所から開始剤を添加したことを示す。
【0079】
[比較例1]
精製されたメチルメタクリレート98wt%とメチルアクリレート2wt%とからなるモノマー混合物に窒素を導入して溶存酸素を0.5ppmとした後、モノマー混合物に対してn−オクチルメルカプタン0.157モル%(0.23wt%)と、ラジカル開始剤としてジ−tert−ブチルパ−オキサイド1.0×10−5モル/モノマー1モル(0.0015wt%)とを混合した原料モノマーを、重合温度165℃に制御された完全混合型反応器に撹拌混合しながら連続的に供給し重合を行った。
【0080】
この重合温度における半減期は420秒である。反応域での平均滞在時間を4.0時間として重合を実施した。
【0081】
次に、反応混合物を、連続的に反応器から抜き出し、ベントエクストルーダ型押し出し機に供給して、未反応モノマーを主成分とする揮発物を分離除去し、重合体を得た。
【0082】
各工程での重合体の物性を調べたところ、完全混合型反応器出口の反応液の重合体含有率は58wt%であった。また、揮発分を分離した後に得た重合体の残存モノマー量は300ppmであり、残存二量体量は2000ppm、残存メルカプタン量は20ppmであった。
【0083】
この重合体の物性を評価したところ表3に示す結果が得られ、実施例1に比べて耐熱分解性の劣った重合体であった。
【0084】
[比較例2]
精製されたメチルメタクリレート98wt%とメチルアクリレート2wt%とからなるモノマー混合物に窒素を導入して溶存酸素を0.5ppmとした後、このモノマー混合物に対してn−オクチルメルカプタン0.157モル%(0.23wt%)と、ラジカル開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5×10−5モル/モノマー1モル(0.008wt%)とを混合した原料モノマーを、重合温度150℃に制御された完全混合型反応器に撹拌混合しながら連続的に供給し重合を行った。
【0085】
この重合温度における半減期は3.5秒である。反応域での平均滞在時間を4.0時間として重合を実施した。
【0086】
次に、反応混合物を、連続的に反応器から抜き出し、ベントエクストルーダ型押し出し機に供給して、未反応モノマーを主成分とする揮発物を分離除去し、重合体を得た。
【0087】
各工程での重合体の物性を調べたところ、完全混合型反応器出口の反応液の重合体含有率は57wt%であった。また、揮発分を分離した後に得た重合体の残存モノマー量は290ppmであり、残存二量体量は1300ppmであり、残存メルカプタン量は20ppmであった。
【0088】
この重合体の物性を評価したところ表3に示す結果が得られ、実施例1に比べ耐熱分解性の劣った重合体であった。
【0089】
[比較例3、4]
表1及び表2に示す原料および条件を用いた以外は実施例1と同様にして、重合を行ったが、管型反応器において閉塞がおこり長期運転が不可能であった。
【0091】
[比較例6]
表1及び2に示す原料および条件を用いた以外は実施例1と同様にして、表3に示す物性の重合体を得た。安定した運転は可能であったが、得られた重合体の耐熱分解性が悪い結果となった。
【0092】
【表1】
Figure 0003628518
【0093】
【表2】
Figure 0003628518
【0094】
【表3】
Figure 0003628518
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、成形加工性に優れたメタクリル系重合体を経済的に有利な方法で製造することができる。

Claims (9)

  1. 完全混合型反応器1基とそれに引き続き直列に配置されたプラグフロー型反応器と揮発物除去装置を使用して、メチルメタクリレート単独重合体、あるいはメチルメタクリレート単位とアルキルアクリレート単位もしくはアルキルメタクリレート単位(メチルメタクリレート単位を除く)を含む共重合体を製造する方法において、
    a)予め単量体あるいは単量体含有混合物中の溶存酸素を2ppm以下にする工程、
    b)完全混合型反応器において、連鎖移動剤としてメルカプタン化合物0.01〜1.0モル%と、重合温度での半減期が10秒〜1時間のラジカル開始剤を用い、重合温度110〜160℃において、実質的に均一に攪拌混合し、この反応域における重合体含有率が35〜65重量%になるように不活性溶媒5重量%未満の連続溶液重合あるいは連続塊状重合を行う工程、
    c)反応液を、ポンプにより連続的に抜き出し、プラグフロー型反応器内の全域において液圧を反応液の蒸気圧以上になるように加圧しながらプラグフロー型反応器内へ送液する工程、
    d)プラグフロー型反応器において、該反応器内壁の温度を、1段目の完全混合型反応器の前記重合温度以上250℃以下に設定し、該反応器内壁温度での半減期が1000秒以下のラジカル開始剤の1種以上を添加混合して重合させながら反応液を通過させ、出口における重合体含有率が50〜85重量%になるように重合を行う工程、
    e)引き続き反応液を揮発物除去装置に供給し、連続的に揮発物を分離除去する工程を有することを特徴とするメタクリル系重合体の製造方法。
  2. 前記共重合体が、80重量%以上のメチルメタクリレート単位と20重量%以下のアルキルアクリレート単位またはアルキルメタクリレート単位(メチルメタクリレート単位を除く)を含む共重合体であることを特徴とする請求項1記載のメタクリル系重合体の製造方法。
  3. 前記プラグフロー型反応器の内壁温度を、反応液導入側から順次高温になるように二つ以上の温度領域に分割して設定することを特徴とする請求項1又は2記載のメタクリル系重合体の製造方法。
  4. プラグフロー型反応器の反応液導入直前部においてラジカル開始剤の2種類以上を添加混合し、該ラジカル開始剤が十時間半減期温度で5℃以上離れているラジカル開始剤の組み合わせとすることを特徴とする請求項1、2又は3記載のメタクリル系重合体の製造方法。
  5. プラグフロー型反応器の反応液導入直前部に一箇所と、該反応器内の1箇所以上に、反応器内壁温度における半減期が1000秒以下のラジカル開始剤を添加混合し重合させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタクリル系重合体の製造方法。
  6. 揮発物除去装置で分離除去した未反応単量体、あるいは未反応単量体と不活性溶媒の混合物を1段目の完全混合型反応器にリサイクルすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタクリル系重合体の製造方法。
  7. GPCで測定した重量平均分子量が7〜15万、残存ダイマーが1000ppm以下、残存単量体が3000ppm以下、残存メルカプタンが50ppm以下、重合体のタクチシティがシンジオタクチックとヘテロタクチックの比S/Hで1.22以上1.40以下であるメタクリル系重合体。
  8. メチルメタクリレート単独重合体、あるいは80重量%以上のメチルメタクリレート単位と20重量%以下のアルキルアクリレート単位またはアルキルメタクリレート単位(メチルメタクリレート単位を除く)を含む共重合体であることを特徴とする請求項7記載のメタクリル系重合体。
  9. 請求項1記載の方法により製造された請求項8記載のメタクリル系重合体。
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