JP2021116311A - (メタ)アクリル系重合体及び(メタ)アクリル系重合体の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系重合体及び(メタ)アクリル系重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性と耐熱分解性に優れた(メタ)アクリル系重合体を提供する。【解決手段】主鎖に環構造を有する構造単位を含む、(メタ)アクリル系重合体であって、ガラス転移温度が110℃以上、末端二重結合率が1.0%以上4.5%以下である、(メタ)アクリル系重合体。【選択図】 なし

Description

本発明は、(メタ)アクリル系重合体及びその製造方法に関する
ポリメチルメタクリレートやポリカーボネートは、優れた透明性や寸法安定性から、光学材料、車両用部品、照明用材料、建築用材料等、様々な分野で幅広く用いられている。
近年、ポリメチルメタクリレートやポリカーボネートの成形体は、部品の薄肉化や細密化に伴い、より高性能化が求められている。その性能の1つとして、耐熱性が挙げられる。特に、テールランプやヘッドランプ等の車両用部品は、自動車等の車両が高温多湿下でも用いられるため、より優れた耐熱性が求められている。
しかしながら、ポリメチルメタクリレートは、優れた透明性や耐候性を有するものの、耐熱性が十分ではなかった。また、ポリカーボネートは、優れた耐熱性や耐衝撃性を有するものの、光学的歪みである複屈折率が大きく成形体に光学的異方性が生じる、また、成形加工性や耐傷性や耐油性に著しく劣る。
そのため、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル樹脂の耐熱性を改善する検討が行われている。最近では、安価な原料と既存の設備を用いて製造することが可能な、メチルメタクリレート単位とメタクリル酸単位とグルタル酸無水物単位を有する共重合体が注目されている。
例えば、特許文献1には、メチルメタクリレート単位とメタクリル酸単位とグルタル酸無水物単位を有する共重合体を、バッチ式の懸濁重合法を用いて製造する技術が開示されている。
特許文献2には、メチルメタクリレート単位とメタクリル酸単位とグルタル酸無水物単位を有する共重合体を、連続式の塊状重合法を用いて製造する技術が開示されている。
再公表2017−022393号公報 WO2017/097979号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている製造方法では、懸濁重合を行うための安定剤や分散剤が熱安定性や着色に影響するため、最終的に得られた共重合体中にこれらの安定剤等が残留しないように、完全に除去する操作が必要であった。また、特許文献1の製造方法は、懸濁重合に長時間を要するため、連続的に重合し揮発物を除去する、連続生産プロセスに適用することが困難であった。
特許文献2で開示されている製造方法では、完全混合型反応器を使用して得られたシラップを、揮発物除去装置に供給し、揮発分を分離除去して、共重合体を製造している。特許文献2の製造方法では、揮発物除去装置の負荷を低減するため、前記シラップの重合率を高くする必要があり、そのため比較的大量の重合開始剤を使用している。その結果、得られた共重合体の末端ニ重結合量が多くなり、耐熱分解性が低下することが課題であった。また、完全混合型反応器で制御できるシラップの重合率は高々60%程度であり、生産性に課題があった。
本発明はこれらの問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、耐熱性と耐熱分解性に優れた(メタ)アクリル系重合体を提供することにある。さらに、前記(メタ)アクリル系重合体を高い生産性で提供する(メタ)アクリル系重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、本発明に至った。
本発明の第1の要旨は、主鎖に環構造を有する構造単位を含む、(メタ)アクリル系重合体であって、前記(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度が114℃以上であり、末端二重結合率が1.0%以上4.5%以下である、(メタ)アクリル系重合体にある。
本発明の第2の要旨は、下記の工程(1)、工程(2)及び工程(3)を含む、(メタ)アクリル系重合体の製造方法にある。
工程(1)
槽型反応器(A)を使用し、下記(1)−1、(1)−2及び(1)−3の各工程を含む第一のシラップを得る工程。
(1)−1:メタクリル酸メチル80mol%以上及び(メタ)アクリル酸(b)0.5mol%以上20mol%以下を含む単量体原料と、50質量ppm以上165質量ppm以下の第一のラジカル重合開始剤(a)及び0.1質量%〜10質量%の連鎖移動剤を含む単量体組成物(A)を、槽型反応器(A)に連続的に供給する。
(1)−2:槽型反応器(A)内の温度が120℃以上170℃以下の範囲内で撹拌混合し、重合転化率40質量%以上70質量%以下の範囲となるように重合して、第一のシラップを得る。
(1)−3:槽型反応器(A)から連続的に第一のシラップを得る。
工程(2)
管型混合ミキサー(B)及び管型反応器(C)を有する反応装置(D)を使用して第二のシラップを得る工程であって、
内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型混合ミキサー(B)にて第一のシラップに第二のラジカル重合開始剤(c)を添加してシラップ混合物とした後に、前記シラップ混合物を内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型反応器(C)にて、重合転化率が60質量%以上90質量%以下の範囲となるように重合して、第二のシラップを得る。
工程(3)
第二のシラップを揮発物除去装置(E)に連続的に供給し、連続的に揮発物を分離除去する。
本発明により、耐熱性と耐熱分解性に優れた(メタ)アクリル系重合体を安定に提供することができる。さらに、前記(メタ)アクリル系重合体を高い生産性で提供する(メタ)アクリル系重合体の製造方法を提供することができる。
このような、(メタ)アクリル系重合体は、テールランプやヘッドランプ等の車両用部材の用途に好適である。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法に用いる重合体製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法に用いる重合体製造装置の重合反応器の一例である槽型反応器の一例を示す模式図である。 本発明の重合体の製造方法に用いる重合体製造装置の重合反応器の一例である管型反応器の一例を示す模式図である。 本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法に用いる重合体製造装置の揮発物除去装置の一例である脱揮押出機の一例を示す模式図である。 実施例で用いた重合体製造装置を示す模式図である。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された前記単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
本明細書において、「メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位」のことを「MMA単位」又は「単位(A)」という。「(メタ)アクリル酸(b)由来の繰り返し単位」のことを「(メタ)アクリル酸(b)単位」又は「単位(B)」という。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有割合を示す。
特に断らない限り、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
下に本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの態様のみに限定されるものではない。
<(メタ)アクリル系重合体>
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、主鎖に環構造を有する構造単位を含み、ガラス転移温度が114℃以上であり、且つ、末端二重結合率が1.0%以上4.5%以下の重合体である。
上述した、主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体とは、主鎖に、(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」と略する。)と環構造由来の繰り返し単位(以下、「環構造単位」と略する。)を含む重合体である。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、主鎖に環構造単位を含むので、(メタ)アクリル系重合体及び前記(メタ)アクリル系重合体を含有する樹脂組成物のガラス転移温度や軟化温度が高くなり、本発明の(メタ)アクリル系重合体及び前記(メタ)アクリル系重合体を含有する樹脂組成物を成形して得られた樹脂成形体(以下、「得られた樹脂成形体」と略する。)の耐熱性が向上する。
このように主鎖に環構造を有する(メタ)アクリル系重合体から得られた樹脂成形体は、例えば、屋外等の高温環境下で長時間使用される車両外装部材や看板等の用途、光源などの発熱体の近傍に配置されるランプカバーや照明カバー等の用途に好適である。
環構造単位の種類としては、例えば、グルタル酸無水物構造単位、マレイン酸無水物構造単位、グルタルイミド構造単位、ラクトン環構造単位、及びN−置換マレイミド構造単位から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合の下限値は、本発明の(メタ)アクリル系重合体を成形して得られた樹脂成形体(以下、「得られた樹脂成形体」と略する。)が、透明性に優れ、加工性、機械的特性に優れるというアクリル樹脂本来の性能を損なわない観点から、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、80.0mol%が好ましく、90.0mol%がより好ましく、94.0mol%がさらに好ましい。一方、(メタ)アクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合の上限値は、得られた成形体の耐熱性に優れる観点から、99.999mol%が好ましく、99.9mol%が好ましく、99.5mol%がより好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
(メタ)アクリル系重合体中の環構造単位の含有割合の下限値は、得られた成形体が耐熱性に優れる観点から、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、0.001mol%が好ましく、0.01mol%がより好ましく、0.05mol%がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体中の環構造単位の含有割合の上限値は、得られた成形体の、耐熱性に優れる観点から、10.0mol%が好ましく、成形着色の抑制、成形外観、及び耐候性に優れる観点から、3.0mol%がより好ましく、0.3mol%がさらに好ましい。
上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリル酸などの単量体に由来する構成単位である。これらの構成単位は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。得られた樹脂成形体の熱安定性が向上する観点から、メタクリル酸メチル単位が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位(以下、「カルボン酸基を有する単量体単位」と略する。)を含むことができる。カルボン酸基を有する単量体単位は、環化反応により環構造単位を形成するので、(メタ)アクリル系重合体の主鎖中に環構造単位を導入できる。したがって、(メタ)アクリル系重合体に、未反応のカルボン酸基を有する単量体単位が含まれていてもよい。カルボン酸基を有する単量体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位、環構造単位以外にも、他の単量体由来の繰り返し単位(以下、「他の単量体単位」と略する。)を含んでもよい。
前記他の単量体としては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン化合物等が挙げられる。これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の一実施形態としては、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位(A)(以下、「単位(A)」と略する。)、(メタ)アクリル酸(b)由来の繰り返し単位(B)(以下、「単位(B)」と略する。)、及びグルタル酸無水物構造を有する繰り返し単位(C)(以下、「単位(C)」と略する。)を含む重合体が挙げられる。
なお、(メタ)アクリル系重合体中の単位(C)は、以下の化学構造式で示される構造単位である。
Figure 2021116311

[式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示す。]
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、単位(C)を含むことにより、着色や加水分解などの影響を受けることなく、耐熱性を向上することができる。
(メタ)アクリル系重合体中の単位(A)の含有割合の下限値は、本発明の(メタ)アクリル系重合体を成形して得られた成形体(以下、「得られた成形体」と略する。)が、透明性に優れ、加工性、機械的特性に優れるというアクリル樹脂本来の性能を損なわない観点から、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、80.0mol%が好ましく、90.0mol%がより好ましく、94.0mol%がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体中の単位(A)の含有割合の上限値は、得られた成形体の耐熱性に優れる観点から、99.499mol%が好ましく、99.0mol%がより好ましく、98.0mol%がさらに好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
なお、後述するように、グルタル酸無水物構造を有する繰り返し単位(C)は、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸(b)を共重合させた共重合体において、単位(A)に由来するメトキシカルボニル基と、該単位(A)に隣接する単位(B)に由来するカルボキシル基との環化反応により構築された単位であり、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸(b)に由来するが、本発明において、単位(A)には、単位(C)を含まないものとする。
(メタ)アクリル系重合体中の単位(B)の含有割合の下限値は、得られた成形体の耐熱性、機械特性に優れる観点から、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、0.5mol%が好ましく、1.0mol%がより好ましく、2.0mol%がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体中の単位(B)の含有割合の上限値は、得られた成形体の成形外観、低吸水性、及び成形性に優れるというアクリル樹脂本来の性能を損なわない観点から、20.0mol%が好ましく、10.0mol%がより好ましく、7.0mol%がさらに好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
なお、後述するように、グルタル酸無水物構造を有する繰り返し単位(C)は、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸(b)を共重合させた共重合体において、単位(A)に由来するメトキシカルボニル基と、該単位(A)に隣接する単位(B)に由来するカルボキシル基との環化反応により構築された単位であり、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸(b)に由来するが、本発明においては、前記単位(B)は、前記単位(C)を含まないものとする。
(メタ)アクリル系重合体中の単位(C)の含有割合の下限値は、得られた成形体が耐熱性に優れる観点から、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、0.001mol%が好ましく、0.01mol%がより好ましく、0.05mol%がさらに好ましく、0.1mol%が特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体中の単位(C)の含有割合の上限値は、得られた成形体の、耐熱性に優れる観点から、10.0mol%が好ましく、成形着色の抑制、成形外観、及び耐候性に優れる観点から、3.0mol%がより好ましく、0.3mol%がさらに好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系重合体中の各単位の含有割合は、H−NMR測定から算出した値とする。
また、具体的な算出方法については、実施例に記載の方法を採用することができる。
(メタ)アクリル系重合体は、単位(A)、単位(B)、単位(C)以外にも、他の単量体(d)由来の繰り返し単位(以下、「単位(D)」と略する。)を含んでもよい。
(メタ)アクリル系重合体中の単位(D)の含有割合は、得られた成形体がアクリル樹脂本来の性能を損なわないことから、(メタ)アクリル系重合体中に単位(D)を含まないことが好ましい。また、(メタ)アクリル系重合体中に単位(D)を含む場合であっても、(メタ)アクリル系重合体中の単位(D)の含有割合は、(メタ)アクリル系重合体に含まれる繰り返し単位の総モル数に対して、0mol%超15mol%以下が好ましく、0mol%超5mol%以下がより好ましい。
単位(D)を構成する他の単量体(d)としては、たとえば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の公知の(メタ)アクリレート類;スチレン、α−メチルスチレン等の公知の芳香族ビニル単量体等が挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明の(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性を向上させる観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートがより好ましい。
<(メタ)アクリル酸(b)>
(メタ)アクリル酸(b)は、本発明の(メタ)アクリル系重合体に含まれる単位(B)の由来となる単量体である。また、(メタ)アクリル酸(b)の一部は、メタクリル酸メチルの一部とともに、(メタ)アクリル系重合体に含まれる単位(C)の由来となる単量体である。
(メタ)アクリル酸(b)は、アクリル酸若しくはメタクリル酸、又はそれらの混合物をいう。
(メタ)アクリル酸(b)の中でも、得られた成形体の耐熱性に優れることから、メタクリル酸が好ましい。
単位(B)も同様に、得られた成形体の耐熱性に優れることから、メタクリル酸由来の繰り返し単位が好ましい。
<(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度>
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度の下限は、(メタ)アクリル系重合体の耐熱性に優れることから、114℃以上である。115℃以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度の上限は、特に制限されるものではないが、ガラス転移温度が高すぎると、溶融成形温度を高くする必要があり、その結果、溶融成形時に、(メタ)アクリル系重合体のポリマー主鎖の間に架橋構造が生じて成形性や加工性が低下したり、得られた樹脂成形体中の異物が増加し、外観や機械的強度が損なわれやすいことから、135℃以下が好ましい。130℃以下がより好ましい。尚、本明細書において、ガラス転移温度は、後述する測定方法に準拠して測定した値とする。
ガラス転移温度を114℃以上とするには、(メタ)アクリル系重合体に含まれる単位(A)を80mol%以上、単位(B)を0.5mol%以上、単位(C)を0.001mol%以上とすれば良い。ガラス転移温度を135℃以下とするには、(メタ)アクリル系重合体に含まれる単位(B)を20.0mol%以下、単位(C)を10.0mol%以下とすれば良い。
<(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合率>
さらに、本発明の(メタ)アクリル系重合体は、下記式(3)から算出される末端二重結合率が1.0%以上4.5%以下の範囲にある。
本明書において、末端二重結合とは、重合体の分子末端に存在する不飽和結合(末端二重結合)をいう。
本発明において、末端二重結合率とは、(メタ)アクリル系重合体の熱分解性の指標であり、核磁気共鳴スペクトル法(H−NMR)で測定した末端二重結合(=CH)(共鳴周波数5.5ppm及び6.1ppm)のピークの積分強度とメタクリル酸メチル由来の構造単位中の主鎖のメトキシ基(−OCH)(共鳴周波数3.6ppm)のピークの積分強度との比率、及び、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)を用いて下記式(1)から算出した値であり、(メタ)アクリル系重合体の分子の総数に対する、(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合の数の比率のことをいう。
末端二重結合率の値が小さいほど、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性は向上する傾向がある。具体的な末端二重結合率の測定方法は、後述する。
Figure 2021116311
末端二重結合率の上限は、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性が良好となることから、4.5%以下である。4.0%以下がより好ましい。末端二重結合率の下限は、重合温度が高くなり、得られる樹脂の耐熱性が低下するため、1.0%以上である。1.5%以上がより好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。或いは又、末端二重結合率は、1.0%以上4.5%以下であり、1.5%以上4.0%以下がより好ましい。
末端二重結合率を1.0%以上4.5%以下とするには、後述する(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(1)で槽型反応器(A)を使用して、槽型反応器(A)内の温度と単量体原料の重合体の含有割合が所定の範囲に収まるようにし、かつ、工程(2)で反応装置(D)を使用して、管型混合ミキサー(B)の内壁温度と単量体原料の重合体の含有割合が所定の範囲に収まるようにすることで、制御できる。
さらに、工程(1)において槽型反応器(A)に供給する第一のラジカル重合開始剤(a)の量や、工程(2)において第一のシラップに添加する第二のラジカル重合開始剤(c)の量が所定の範囲に収まるようにすることで、末端二重結合率を制御して、上述した理由により、(メタ)アクリル系重合体の熱分解性と耐熱性のバランスをより良好にできる。
<(メタ)アクリル系重合体の立体規則性(S/H比)>
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、核磁気共鳴スペクトル法で測定して下記式(2)から算出される立体規則性(S/H比)を1.10以上1.40以下とすることができる。
Figure 2021116311

本明書において、立体規則性(S/H比)は、(メタ)アクリル系重合体の耐熱性の指標となる。立体規則性の値が大きいほど、(メタ)アクリル系重合体の耐熱性は向上する傾向がある。立体規則性(S/H比)の測定方法は、後述する。
立体規則性(S/H比)の下限は、特に制限されるものではなく、(メタ)アクリル系重合体の耐熱性が良好となることから、1.1以上が好ましい。1.15以上がより好ましく、1.20以上がさらに好ましい。一方、立体規則性(S/H比)の上限は、特に制限されるものではなく、ラジカル重合時の重合温度を抑えることで、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性を良好に維持できることから、1.4以下が好ましい。1.35以下がより好ましく、1.30以下がさらに好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。或いは又、立体規則性(S/H比)は1.10以上1.40以下が好ましく、1.15以上1.35以下がより好ましく、1.20以上.30以下がさらに好ましい。
立体規則性(S/H比)を1.10以上1.40以下とするには、後述する(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(1)で槽型反応器(A)を使用して、槽型反応器(A)内の温度が所定の範囲に収まるようにし、かつ、工程(2)で反応装置(D)を使用して、管型混合ミキサー(B)の内壁温度が所定の範囲に収まるようにすることで制御できる。
<(メタ)アクリル系重合体の分子量(分布)>
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)を30,000以上500,000以下とすることができる。
Mwの下限は、特に制限されるものではなく、(メタ)アクリル系重合体の力学物性が良好となることから、30,000以上が好ましく、45,000以上がより好ましく、60,000以上がさらに好ましい。一方、Mwの上限は、特に制限されるものではなく、使用する連鎖移動剤の量が減り、得られる(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性が低下するため、500,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系重合体は、GPCで測定した重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を2.00以上2.60以下とすることができる。
Mw/Mnの下限は、特に制限されるものではなく、(メタ)アクリル系重合体の溶融成形性と耐熱性が良好となることから、2.00以上が好ましく、2.10以上がより好ましく、2.12以上がさらに好ましい。一方、Mw/Mnの上限は、特に制限されるものではなく、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性が良好となることから、2.60以下が好ましく、2.40以下がより好ましく、2.20以下がさらに好ましい。上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。
質量平均分子量(Mw)を30,000以上500,000以下、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を200以上2.60以下とするには、後述する(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(1)において槽型反応器(A)に供給する第一のラジカル重合開始剤(a)の種類や添加量や、工程(2)において第一のシラップに添加する第二のラジカル重合開始剤(c)の種類や添加量を調整し、且つ、工程(1)の槽型反応器(A)内の温度と、工程(2)の管型混合ミキサー(B)と管型反応器(C)の内壁温度が所定の範囲に収まるように調整することで制御できる。
なお、質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、標準試料として標準ポリスチレンを用いて測定した値とする。
<(メタ)アクリル系重合体の製造方法>
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法は、下記の工程(1)、工程(2)及び工程(3)を順次行うことを含む。
工程(1):
槽型反応器(A)を使用し、下記(1)−1、(1)−2及び(1)−3の各工程を含む第一のシラップを得る工程。
(1)−1:メタクリル酸メチル80mol%以上及び(メタ)アクリル酸(b)0.5mol%以上20mol%以下を含む単量体原料と、50質量ppm以上165質量ppm以下の第一のラジカル重合開始剤(a)及び0.1質量ppm〜10質量ppmの連鎖移動剤を含む単量体組成物(A)を、槽型反応器(A)に連続的に供給する。
(1)−2:槽型反応器(A)内の温度が120℃以上170℃以下の範囲内で撹拌混合し、重合転化率40質量%以上70質量%以下の範囲となるように重合して、第一のシラップを得る。
(1)−3:槽型反応器(A)から連続的に第一のシラップを得る。
工程(2):
管型混合ミキサー(B)及び管型反応器(C)を有する反応装置(D)を使用して第二のシラップを得る工程であって、
内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型混合ミキサー(B)にて第一のシラップに第二のラジカル重合開始剤(c)を添加してシラップ混合物とした後に、前記シラップ混合物を内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型反応器(C)にて、重合転化率が60質量%以上90質量%以下の範囲となるように重合して、第二のシラップを得る。
工程(3):
第二のシラップを揮発物除去装置(E)に連続的に供給し、連続的に揮発物を分離除去する。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法を用いることで、耐熱性と耐熱分解性に優れた(メタ)アクリル系重合体を高い生産性で安定に得ることができる。
以下に、工程(1)〜工程(3)について詳述する。
(工程(1))
工程(1)は、槽型反応器(A)(以下、「反応器(A)」と略する。)を使用し、下記(1)−1、(1)−2及び(1)−3の各工程を含む第一のシラップを得る工程である。
(1)−1:メタクリル酸メチル80mol%以上及び(メタ)アクリル酸(b)0.5mol%以上20mol%以下を含む単量体原料に、連鎖移動剤、並びに第一のラジカル重合開始剤(a)を添加して得られた単量体組成物(A)を、反応器(A)に連続的に供給する工程である。
前記連鎖移動剤は、前記単量体組成物(A)中の含有割合が0.1質量ppm〜10質量ppmとなるように、単量体原料に添加される。
(1)−2:反応器(A)内の温度120℃以上170℃以下にて撹拌混合し、重合転化率40質量%以上70質量%以下の範囲となるように重合して、第一のシラップを得る工程である。
(1)−3:反応器(A)から連続的に第一のシラップを得る工程である。
本明細書において、シラップとは単量体原料の一部が重合した、重合体と未反応の単量体原料との混合体をいう。
上記の(メタ)アクリル酸(b)としては、(メタ)アクリル系重合体の項に記載した(メタ)アクリル酸(b)と同様の化合物を用いることができる。得られた成形体の耐熱性に優れることから、メタクリル酸由来の繰り返し単位が好ましい。
単量体原料中のメタクリル酸メチルの含有割合の下限値は、特に制限されるものではなく、得られた成形体が透明性に優れ、加工性、機械的特性に優れるというアクリル樹脂本来の性能を損なわない観点から、該単量体原料に含まれる単量体の総モル数に対して、80.0mol%が好ましく、90.0mol%がより好ましい。一方、単量体原料中のメタクリル酸メチルの含有割合の上限値は、特に制限されるものではなく、得られた成形体の耐熱性に優れる観点から、該単量体原料に含まれる単量体の総質量に対して、99.5mol%が好ましく、98.0mol%がより好ましい。
単量体原料中の(メタ)アクリル酸(b)の含有割合の下限値は、特に制限されるものではなく、得られた成形体の耐熱性、機械特性に優れる観点から、該単量体原料中に含まれる単量体の総モル数に対して、0.5mol%が好ましく、2.0mol%がより好ましい。一方、単量体原料中の、(メタ)アクリル酸(b)の含有割合の上限値は、得られた成形体の成形外観、低吸水性、及び成形性に優れるというアクリル樹脂本来の性能を損なわない観点から、該単量体原料に含まれる単量体の総モル数に対して、20.0mol%が好ましく、10.0mol%がより好ましい。
また、単量体原料には、メタクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸(b)以外に、得られる(メタ)アクリル系重合体の性能を損なわない範囲で、(メタ)アクリル系重合体の項に記載した他の単量体(d)と同様の化合物を用いることができる。
即ち、前記単量体原料は、メタクリル酸メチル80mol%以上99.5mol%以下及び(メタ)アクリル酸(b)0.5mol%以上20mol%以下を含むことがより好ましく、メタクリル酸メチル80mol%以上98.0mol%以下及び(メタ)アクリル酸(b)2.0mol%以上20mol%以下を含むことがさらに好ましい。
また、前記単量体原料には、(メタ)アクリル酸(b)以外に、得られる(メタ)アクリル系重合体の性能を損なわない範囲で、(メタ)アクリル系重合体の項に記載した他の単量体(d)を含むことができる。
工程(1)における第一のシラップの重合転化率の下限値は、40質量%以上70質量%以下が好ましく、45%質量%以上65質量%以下がより好ましい。工程(1)における重合転化率が40質量%以上であると、工程(3)における揮発分除去の負荷を抑制することができる。また、工程(1)における重合転化率が70質量%以下であると、混合や伝熱を十分に行うことができ、重合安定性に優れる。
尚、本明細書において工程(1)における重合転化率は、「得られた第一のシラップの質量」に対する「得られた第一のシラップ中の重合体の質量」の割合のことをいう。前記重合転化率の具体的な測定方法としては、槽型反応器から、一定時間の間、取り出した第一のシラップを脱揮押出機に供給し、残存単量体を揮発除去して得られた(メタ)アクリル系重合体の量を測定して、これを、脱揮押出機に供給した第一のシラップの量で除して得られた値を、工程(1)における重合転化率とする方法を用いることができる。
工程(1)に使用される第一のラジカル重合開始剤(a)は、特に制限されるものではなく、後述するラジカル重合開始剤を使用することができる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、1,1−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシエチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩化合物;レドックス系重合開始剤等が挙げられる。これらの重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの重合開始剤の中でも、保存安定性、メタクリル酸メチルとの反応性に優れることから、アゾ化合物、有機過酸化物が好ましい。
工程(1)における第一のラジカル重合開始剤(a)の供給量の下限は、原料単量体との反応性に優れる観点から、前記単量体組成物(A)における第一のラジカル重合開始剤(a)の含有割合が、50質量ppm以上となるように添加することが好ましく、65質量ppm以上がより好ましい。また、第一のラジカル重合開始剤(a)の供給量の上限は、得られる(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合率が低減し、耐熱分解性が良好となる観点から、前記単量体組成物(A)における第一のラジカル重合開始剤(a)の含有割合が、165質量ppm以下となるように添加することが好ましく、150質量ppm以下がより好ましい。
上記の好ましい上限及び好ましい下限は任意に組み合わせることができる。たとえば、工程(1)における第一のラジカル重合開始剤(a)の供給量は、50質量ppm以上165質量ppm以下が好ましく、65質量ppm以上150質量ppm以下がより好ましい。
工程(1)においては、(メタ)アクリル系重合体の質量平均分子量を調整するために、連鎖移動剤が用いられる。連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン化合物;α−メチルスチレンダイマー;テルピノレン等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの連鎖移動剤の中でも、メタクリル酸メチルとの反応性に優れることから、メルカプタン化合物が好ましく、アルキルメルカプタン化合物がより好ましい。
工程(1)における連鎖移動剤の供給量は、前記単量体原料100モル部に対して、0.01モル部以上10モル部以下が好ましく、0.1モル部以上1.0モル部以下がより好ましい。連鎖移動剤の供給量が0.01モル部以上であると、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性が良好となる。また、連鎖移動剤の含有割合が10モル部以下であると、得られる(メタ)アクリル系重合体の機械特性が良好となる。
工程(1)の重合方法は、塊状重合法又は溶液重合法が好ましく、ゲル効果により少量の重合開始剤で重合転化率を上げることができることから、塊状重合法がより好ましい。
重合方法を溶液重合法とした場合の溶媒としては、不活性溶媒であれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、溶解性、反応性、分離性に優れることから、メタノール、トルエン、エチルベンゼン、酢酸ブチルが好ましい。
重合方法を溶液重合法とした場合の溶媒の使用量は、単量体組成物(A)100質量部に対して、0.1質量部〜200質量部が好ましく、1〜150質量部がより好ましい。溶媒の使用量が0.1質量部以上であると、重合反応液の粘度が低く、取り扱い性に優れる。また、溶媒の使用量が200質量部以下であると、工程(3)における揮発分除去の負荷を抑制することができる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
工程(1)の「反応器(A)内の重合温度」とは、「反応器(A)内の反応混合物の温度」(以下、「重合温度」ともいう。)のことを意味する。反応混合物とは、工程(1)における単量体組成物(A)又はシラップのことをいう。重合温度は、120℃以上170℃以下が好ましく、130℃以上150℃以下がより好ましい。重合温度が120℃以上であると、ゲル効果による重合速度の加速が大きくなり、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れる。また、重合温度が170℃以下であると、第一のラジカル重合開始剤(a)の添加量を低減できるので、得られた(メタ)アクリル系重合体は、末端二重結合率が低減し、耐熱分解性が向上するとともに、重合反応中の(メタ)アクリル系重合体の分解を抑制することができ、最終的に得られた(メタ)アクリル系重合体の透明性、機械特性、耐熱性、耐熱分解性に優れる。
工程(1)の第一のラジカル重合開始剤(a)の反応器(A)内の温度における半減期は、5秒〜60分となるように設定することが好ましく、10秒〜30分がより好ましい。第一のラジカル重合開始剤(a)の半減期が5秒以上であると、重合開始剤分解前に重合開始剤を重合反応系内に均一に拡散させることができるので十分に重合転化率を上げることができ、二量体の生成を抑制できるので、(メタ)アクリル系重合体の物性の低下を抑制できる。また、第一のラジカル重合開始剤(a)の半減期が60分以下であると、反応器壁面の流動性の低い部分での重合転化率の上昇を抑制できる傾向にあり、反応器(C)の閉塞を抑制でき、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れる。
工程(1)において、単量体組成物(A)の槽型反応器内の平均滞在時間(以下、「重合時間」と略する。)は、重合方法等に応じ、また、所望の質量平均分子量の(メタ)アクリル系重合体が得られるよう適宜設定すればよい。
重合時間は、15分〜600分が好ましく、30分〜480分がより好ましい。重合時間が15分以上であると、重合転化率を十分高くすることができる。また、重合時間が600分以下であると、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れ、副生成物の生成を抑制することができる。
(メタ)アクリル系重合体の立体規則性(S/H比)は、反応器(A)における重合温度を120℃以上170℃以下の範囲に設定することで、1.10以上1.40以下の範囲に制御することができる。
(工程(2))
工程(2)は、管型混合ミキサー(B)(以下、「ミキサー(B)」と略する。)及び管型反応器(C)(以下、「反応器(C)」と略する。)を有する反応装置(D)を使用して、第二のシラップを得る工程である。
工程(2)においては、反応器(A)から抜き出した前記第一のシラップに、第二のラジカル重合開始剤(c)を添加して、混合ミキサー(B)で混合し、シラップ混合物を得る。
次いで、得られたシラップ混合物を、反応器(C)にて、重合転化率が60質量%以上90質量%以下の範囲となるように重合して、第二のシラップを得る。
すなわち、反応器(A)から抜き出した第一のシラップに、まず始めに第二のラジカル重合開始剤(c)を添加し、ミキサー(B)で混合し、次いで反応器(C)で重合を進める。尚、反応装置(D)として、n組のミキサー(Bn)及び反応器(Cn)(nは1以上の整数)がミキサー(Bn)及び反応器(Cn)の順に配設されたものを使用することができる。この場合、各ミキサー(Bn)入口で第二のラジカル重合開始剤(cn)を添加することができる。第二のラジカル重合開始剤(cn)としては、各ラジカル重合開始剤(cn)は同一のものでも異なるものでもよい。また、各ラジカル重合開始剤(cn)の添加量も同一でも異なっていてもよい。この場合、第二のラジカル重合開始剤(c)の使用量は第二のラジカル重合開始剤(cn)の合計量である。
反応装置(D)を一組のみ使用する場合は、反応器(A)から前記方法により抜出された第一のシラップは、引き続き設置されたミキサー(B)により、第二のラジカル重合開始剤(c)と混合されてシラップ混合物が得られ、反応器(C)内で重合して第二のシラップが得られる。反応装置(D)として、n組のミキサー(Bn)及び反応器(Cn)(nは1以上の整数)がミキサー(Bn)及び反応器(Cn)の順に配設されたものを使用する場合は、反応器(Cn)で得られたシラップが第二のシラップとなる。
工程(2)で、工程(1)で得られた第一のシラップに、第二のラジカル重合開始剤(c)を添加することで、第二のシラップの重合転化率を、第1のシラップの重合転化率よりも高めることができ、更に引き続く工程(3)の揮発分除去の負担を軽減することが可能となり、(メタ)アクリル系重合体の生産性が向上する。
混合ミキサー(B)の内壁温度は、反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定されている。
ミキサー(B)の内壁温度を反応器(A)内温度以上とすることによりミキサー(B)内壁面においてシラップ混合物の粘度の上昇を抑制してミキサーの閉塞を抑制できる傾向にあり、長期的な運転が可能となる傾向にある。また、ミキサー(B)の内壁温度を230℃以下とすることにより、第二のラジカル重合開始剤(c)の分解を抑制し、後工程である反応器(C)において重合転化率を十分に高くすることができる傾向にある。ミキサー(B)の内壁温度は200℃以下であることが好ましい。
反応器(C)の内壁温度は、反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定されている。
反応器(C)の内壁温度を反応器(A)内温度以上とすることにより、反応器(C)内壁面においてシラップの粘度の上昇を抑制してミキサーの閉塞を抑制でき、長期的な運転を達成できる傾向にある。また反応器(C)の内壁温度を230℃以下、好ましくは200℃以下とすることにより、ラジカル重合開始剤(c)の分解を抑制して十分な重合転化率を得ることができる傾向にある。
第二のラジカル重合開始剤(c)の種類は工程(1)と同様に設定すれば良い。工程(1)に用いられるラジカル重合開始剤と同じ化合物を用いても良いし、異なる化合物を用いても良い。ラジカル重合開始剤の中でも、保存安定性、メタクリル酸メチルとの反応性に優れることから、アゾ化合物、有機過酸化物が好ましい。
工程(2)における第二のラジカル重合開始剤(b)の供給量の下限値は、原料単量体との反応性に優れる観点から、前記単量体原料100モル部に対して、2.5質量ppm以上が好ましく、15質量ppm以上がより好ましい。また、第二のラジカル重合開始剤(b)の供給量の上限値は、得られる(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合率が低減し、耐熱分解性が良好となる観点から、前記単量体原料100モル部に対して、115質量ppm以下が好ましく、60質量ppm以下がより好ましい。
上記の好ましい上限値及び好ましい下限値は任意に組み合わせることができる。たとえば、工程(2)における第二のラジカル重合開始剤(b)の供給量は、2.5質量ppm以上115質量ppm以下が好ましく、15質量ppm以上60質量ppm以下がより好ましい。
工程(2)における重合転化率は、50質量%以上90質量%以下が好ましく、60質量%以上80質量%以下がより好ましい。工程(2)における重合転化率が50質量%以上であると、工程(3)における揮発分除去の負荷を抑制することができる。また、工程(2)における重合転化率が90質量%以下であると、混合や伝熱を十分に行うことができ、重合安定性に優れる。
尚、本明細書において工程(2)における重合転化率は、「得られた第二のシラップの質量」に対する「得られた第二のシラップ中の重合体の質量」の割合のことをいう。前記重合転化率の具体的な測定方法としては、管型反応器から取り出した第二のシラップを脱揮押出機に供給し、残存単量体を揮発除去して得られた(メタ)アクリル系重合体の量を測定して、これを、脱揮押出機に供給した第二のシラップの量で除して得られた値を、工程(2)における重合転化率とする方法を用いることができる。
工程(2)において、(メタ)アクリル系重合体の質量平均分子量を調整するために、工程(1)の項に記載した連鎖移動剤を添加することができる。また、連鎖移動剤の供給量も、工程(1)と同様に設定すれば良い。工程(1)に用いられる連鎖移動剤と同じ化合物を用いても良いし、異なる化合物を用いても良い。
工程(2)において、工程(1)と同様に不活性溶媒を添加することができる。不活性溶媒の種類や添加量は工程(1)と同様に設定すれば良い。工程(1)に用いられる不活性溶媒と同じ溶媒を用いても良いし、異なる溶媒を用いても良い。
工程(2)の第二のラジカル重合開始剤(c)の反応器(C)の内壁温度における半減期は、5秒〜60分となるように設定することが好ましく、10秒〜30分がより好ましい。第二のラジカル重合開始剤(c)の半減期が5秒以上であると、重合開始剤分解前に重合開始剤を重合反応系内に均一に拡散させることができるので十分に重合転化率を上げることができ、二量体の生成を抑制できるので、(メタ)アクリル系重合体の物性の低下を抑制できる。また、第二のラジカル重合開始剤(c)の半減期が60分以下であると、反応器壁面の流動性の低い部分での重合転化率の上昇を抑制できる傾向にあり、反応器(C)の閉塞を抑制でき、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れる。
工程(2)において、単量体組成物(A)の槽型反応器内の滞在時間(以下、「重合時間という。」は、重合方法等に応じ、また、所望の質量平均分子量の(メタ)アクリル系重合体が得られるよう適宜設定すればよい。
重合時間は、15分〜600分が好ましく、30分〜480分がより好ましい。重合時間が15分以上であると、重合転化率を十分高くすることができる。また、重合時間が600分以下であると、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れ、副生成物の生成を抑制することができる。
尚、反応装置(D)として、n組のミキサー(Bn)及び反応器(Cn)(nは1以上の整数)がミキサー(Bn)及び反応器(Cn)の順に配設されたものを使用することができる。この場合、各ミキサー(Bn)入口で第二のラジカル重合開始剤(cn)を添加することができる。第二のラジカル重合開始剤(cn)としては、各ラジカル重合開始剤(cn)は同一のものでも異なるものでもよい。また、各ラジカル重合開始剤(cn)の添加量も同一でも異なっていてもよい。
(工程3)
工程(3)は、工程(2)で得られた第二のシラップを揮発物除去装置(E)に連続的に供給し、第二のシラップに含まれる揮発性物を連続的に分離除去(以下、「脱揮」ともいう。)するとともに、第二のシラップに含まれるメタクリル酸メチル単位に由来するメトキシカルボニル基と、該メタクリル酸メチル単位に隣接する(メタ)アクリル酸(b)単位に由来するカルボキシル基とを加熱により環化反応させ、単位(C)を形成し、本発明の(メタ)アクリル系重合体を得る工程である。揮発物除去装置(E)としては、公知の単軸または二軸押出機、脱揮槽等を用いても良い。
揮発物は、得られた(メタ)アクリル系重合体中に含まれる、重合体以外の揮発性の成分をいい、例えば、未反応の単量体、二量体、連鎖移動剤、溶媒等が挙げられる。
揮発物除去装置(E)で揮発物を脱揮する温度(以下、「脱揮温度」と略する。)は、200℃以上270℃以下が好ましく、210℃以上260℃以下がより好ましい。脱揮温度が200℃以上であると、環化反応の効率と脱揮効率に優れ、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れる。また、脱揮温度が270℃以下であると、(メタ)アクリル系重合体の熱劣化を抑制することができる。
脱揮を効率よく進行させるために、脱揮の際に減圧してもよい。脱揮で減圧する際の圧力は、脱揮効率に優れ、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れることから、90kPaA以下が好ましく、60kPaA以下がより好ましい。
(重合体製造装置)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法は、重合反応器及び揮発物除去装置を有する重合体製造装置を用いて行うことができる。
本発明において、前記重合反応器とは、上述した反応器(A)及び上述した反応器(C)のことをいい、前記揮発物除去装置とは、上述した揮発物除去装置(E)のことをいう。
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法における工程(1)を及び工程(2)を重合反応器にて行い、本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法における工程(3)を揮発物除去装置にて行うことが好ましい。
図1に重合体製造装置の一例を示す。図1に示す重合体製造装置10は、重合反応器20及び揮発物除去装置30が順次接続された装置である。重合反応器20は、槽型反応器40及び管型反応器50が順次接続されたものである。槽型反応器40と管型反応器50を接続する配管の途中には、第二のラジカル重合開始剤(c)を供給するための供給槽70が接続されている。揮発物除去装置30は、脱揮押出機60である。
図5に重合体製造装置の別の一例を示す。図2に示す重合体製造装置80は、
完全混合型反応器81、ギヤポンプ82、管型混合ミキサー83、管型反応器84、管型混合ミキサー85、管型反応器86、脱揮押出機87が順次接続された装置である。
完全混合型反応器81と管型混合ミキサー85を接続する配管の途中には、第二のラジカル重合開始剤(c)を供給するための供給槽70が接続されているが図5には図示されていない。揮発物除去装置は、脱揮押出機87である。
(重合反応器)
重合反応器としては、槽型反応器及び管型反応器を備えている。前記槽型反応器とは、上述した反応器(A)のことをいい、前記管型反応器とは、上述した反応器(C)のことをいう。管型反応器は、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよく、同種のものを複数用いてもよい。本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法においては、槽型反応器及び管型反応器を順次接続した重合反応器を用いることにより、上述したように、前記槽型反応器において供給する第一のラジカル重合開始剤(a)の使用量を低減できるので、得られた(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合率を低減でき、(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性が優れたものになる。さらに、前記管型反応器を用いることにより、揮発物除去装置に供給する第2のシラップの重合転化率を高くできるので、揮発分除去の負担を軽減することが可能となり、(メタ)アクリル系重合体の生産性が向上する。
(槽型反応器)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(1)では、槽型反応器を用いることができる。槽型反応器は、重合反応液の均一性に優れることから、完全混合型の槽型反応器が好ましい。
完全混合型の槽型反応器とは、供給した原料を撹拌装置等により均一に混合した状態で反応させるための槽型の反応器をいう。
上述したように、本発明において、前記槽型反応器とは、上述した反応器(A)のことをいう。
図2に槽型反応器の一例を示す。図2に示す槽型反応器40は、上方に原料単量体供給ノズル41、下方にシラップ排出口42、中央に撹拌翼43及びシャフト44、外部上方にモーター45、外周にジャケット46を有する槽型反応器である。
槽型反応器の容量は、0.05m〜100mが好ましく、0.1m〜50mがより好ましい。槽型反応器の容量が0.05m以上であると、(メタ)アクリル系重合体の生産性に優れる。また、槽型反応器の容量が100m以下であると、重合反応液の混合性に優れる。
槽型反応器で用いる撹拌翼の種類としては、例えば、ヘリカルリボン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼又はピッチドタービン翼、プロペラ翼、パドル翼等が挙げられる。これらの撹拌翼の中でも、重合反応液の混合性に優れることから、ヘリカルリボン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、アンカー翼、ピッチドタービン翼が好ましい。
(管型反応器)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(2)では、管型反応器を用いることができる。
管型反応器は、重合反応性に優れることから、プラグフロー型の管型反応器が好ましい。
プラグフロー型の管型反応器とは、管内で原料を流動させながら反応させるための管型の反応器をいう。
上述したように、本発明において、前記管型反応器とは、上述した反応器(C)のことをいう。
図3に管型反応器の一例を示す。図3に示す管型反応器50は、上方に混合物供給口51、下方にシラップ排出口52、外周にジャケット53、内部にミキサー54を有する管型反応器である。
(管型混合ミキサー)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法において、工程(2)では、管型反応器内で均一に重合させるために、管型混合ミキサーを用いることが好ましい。
管型反応器で用いるミキサーの種類としては、例えば、管型混合ミキサー、スタティックミキサー等が挙げられる。これらのミキサーの中でも、重合反応液の混合性、流動性に優れることから、プラグフロー型混合ミキサーが好ましい。プラグフロー型混合ミキサーとは、管内で原料を流動させながら混合させるための管型の混合ミキサーをいう。
上述したように、本発明において、前記ミキサーとは、上述した管型混合ミキサー(B)のことをいう。
(槽型反応器・管型反応器)
槽型反応器及び管型反応器を順次接続した重合反応器を用いた場合、槽型反応器及び管型反応器における重合反応を連続して行うことが好ましい。
工程(1)の槽型反応器と工程(2)の管型反応器を順次接続した重合反応器を用いた場合、槽型反応器と管型反応器との間で、第二のラジカル重合開始剤(c)を供給するための供給槽から単量体組成物(B)を添加することができる。必要に応じて、連鎖移動剤等を添加してもよい。
(揮発物除去装置)
揮発物除去装置は、脱揮効率に優れることから、脱揮押出機が好ましい。図4に脱揮押出機の一例を示す。図4に示す脱揮押出機60は、上方に混合物供給口61、側方に(メタ)アクリル系重合体排出口62、上方にベント63を有する脱揮押出機である。脱揮押出機の種類としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。これらの脱揮押出機の中でも、脱揮効率、混合性に優れることから、単軸押出機、二軸押出機が好ましい。揮発物の除去を効率的に行うために、脱揮押出機にベントを有することが好ましい。ベントは単数でも複数でもよいが、揮発物の脱揮効率に優れることから、複数が好ましい。
上述したように、本発明において、前記ミキサーとは、上述した揮発物除去装置(E)のことをいう。
(添加剤)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法で得られた(メタ)アクリル系重合体に、さらに、添加剤を添加してもよい。添加剤は、揮発物除去装置で添加してもよく、(メタ)アクリル系重合体を得た後に(メタ)アクリル系重合体と混合してもよい。添加剤としては、例えば、滑剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加剤の添加量は、(メタ)アクリル系重合体の用途や添加剤の種類等により適宜調整することができる。
(成形品)
本発明の(メタ)アクリル系重合体の製造方法で得られた(メタ)アクリル系重合体を成形することで、成形品が得られる。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、加圧成形等が挙げられる。また、得られた成形品を、さらに、圧空成形や真空成形等の二次成形をしてもよい。得られた成形品は、光学材料、車両用部品、照明用材料、建築用材料等に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
<評価方法>
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
[ガラス転移温度(Tg)]
示差走査型熱量測定装置(DSC)(商品名:X−DSC7000、セイコーインスツルメンツ社製、)を用いて、以下の手順でガラス転移温度(Tg)を測定した。(メタ)アクリル系重合体約10mgをサンプル容器に入れ、窒素ガスを30mL/minで流しながら、20℃で1分間保持した。次いで、20℃から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して、200℃で5分間保持した。次いで、200℃から20℃まで冷却速度20℃/分で冷却して、20℃で5分間保持した。その後、20℃から200℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、この時のガラス転移温度(Tg)(単位:℃)を求めた。
[末端二重結合率、立体規則性(S/H比)]
(メタ)アクリル系重合体の耐熱分解性の指標として末端二重結合率を、また、耐熱性の指標として立体規則性(S/H比)を、下記の方法に従って測定した。
(メタ)アクリル系重合体のペレットをDMSO−dに80〜100mg/mlの濃度となるように溶解して、これを核磁気共鳴スペクトル測定用の試料とした。得られた試料について、核磁気共鳴スペクトル測定装置(装置名:UNITY INOVA 500、Varian(株)製)を用いて、測定温度120℃、積算回数10000回で測定し、核磁気共鳴スペクトルを取得した。
次いで、核磁気共鳴スペクトルから得られた末端二重結合(共鳴周波数5.5ppm及び6.1ppm)のピークの積分強度、MMA単位中の主鎖のメトキシ基(共鳴周波数3.6ppm)のピークの積分強度、及び、後述する方法を用いて測定した(メタ)アクリル系重合体の数平均分子量(Mn)を用いて、下記式(1)から算出した値を、(メタ)アクリル系重合体の末端二重結合率とした。
Figure 2021116311

また、核磁気共鳴スペクトルから得られた、α−CH基由来のSyndiotacticピークの積分強度と、α−CH基由来のHeterotacticピークの積分強度を用いて、下記式(2)から算出した値(S/H比)を、メタタクリル系樹脂の立体規則性を表す指標とした。
Figure 2021116311
[質量平均分子量(Mw)、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)]
(メタ)アクリル系重合体のペレットを、テトラヒドロフランに0.06g/25mlの濃度となるように溶解して、これをGPC測定用試料とした。前記試料10μlを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(装置名:HPLC−8220GPC、東ソー(株)製、カラム:TSK−GEL SUPER HM−H(排除限界分子量=4×10)、6.0mmφ×150mmを2本直列接続、検出器:RI(示差屈折計))に注入した。測定温度は40℃とし、分子量既知の標準ポリスチレンを内部標準物質として用いて、質量平均分子量(Mw)と重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)を測定した。
[生産量]
単位時間(hr)当たりに得られる(メタ)アクリル系重合体の質量(kg)を生産量(kg/hr)とした。
[重合転化率]
工程(1)直後、及び、工程(2)直後の重合転化率を、下記の方法で測定した。
槽型反応器から、一定時間の間、取り出した第一のシラップを脱揮押出機に供給し、残存単量体を揮発除去して得られた(メタ)アクリル系重合体の量を測定して、これを、脱揮押出機に供給した第一のシラップの量で除して得られた値を、工程(1)直後の重合転化率とした。
第二の管型反応器から取り出した第二のシラップを脱揮押出機に供給し、残存単量体を揮発除去して得られた(メタ)アクリル系重合体の量を測定して、これを、脱揮押出機に供給した第二のシラップの量で除して得られた値を、工程(2)直後の重合転化率とした。
[単位(A)、(B)及び(C)の含有割合]
(メタ)アクリル系重合体に含まれる、単位(A)、(B)及び(C)の含有割合を、以下の手順に従って測定した。
実施例及び比較例で得られた(メタ)アクリル系重合体2.5gをアセトン20mLに溶解させた後、90mLのメタノール中に滴下して沈殿物を得た。次いで、濾紙を用いて濾液を取り除き、沈殿物(1)を得た。次いで、得られた沈殿物(1)約2.1gをアセトン20mLに溶解させた後、90mLのメタノール中に滴下して沈殿物(2)を得た。得られた沈殿物(2)を、真空式乾燥器を用いて40℃で一晩乾燥し、これをNMR測定用のサンプル(以下、「共重合体(P)」と略する。)とした。
上記の共重合体(P)50mg及びジメチルスルホキシド(DMSO−d)2mlを、撹拌子を備えた20mlのシュレンク管に供給し、撹拌しながら80℃に加熱し、共重合体(P)を溶解させた。その後、23℃まで冷却し、ベンジルアミン50mg(51.0μl)をシュレンク管に加え、撹拌しながら80℃に加熱して1時間保持して、重合体溶液を得た。
上述したベンジルアミンによる処理により、共重合体(P)中の単位(C)は、ベンジルアミンとの反応で開環し、(メタ)アクリル酸ベンジルアミド構造単位と、新たに(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位とが形成される。前記(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位は、単位(B)と同じ構造を有する。したがって、測定された(メタ)アクリル酸ベンジルアミド構造の含有量の値にもとづいて、共重合体(P)中の単位(C)の含有割合を算出した。さらに、測定された単位(B)の含有量の値から、単位(C)の含有量を引いた値にもとづいて、共重合体(P)中の単位(B)の含有割合を算出した。また、測定された単位(A)の含有量の値にもとづいて、共重合体(P)中の単位(A)の含有割合を算出した。
上記のシュレンク管の重合体溶液を、室温まで冷却した後、核磁気共鳴スペクトル測定装置(Varian社製、共鳴周波数:270MHz)を用い、測定温度80℃、積算回数128回の条件で、H−NMR測定を行った。
得られたH−NMR測定結果から、3.7ppm付近に存在する未反応ベンジルアミンのベンジルプロトンのシングレットピークの積分値(I)と、4.2ppm付近に存在する、単位(C)に由来する(メタ)アクリル酸ベンジルアミド構造由来のベンジルプロトンのシングレットピークの積分値(I)から、下記式(I)を用いて、共重合体(P)中の単位(C)の含有量に対する、未反応ベンジルアミンのベンジルプロトンの量の比率Rcを算出した。
Rc=I/(I×2) (I)
3.5ppm付近に存在する単位(A)に由来するシングレットピークのプロトンの積分値(I)と、前記の積分値(I)から、下記式(II)を用いて、共重合体(P)中の単位(A)の含有量に対する、未反応ベンジルアミンのベンジルプロトンの量の比率Raを算出した。
Ra=I/(I×3) (II)
0.5ppm以上2.5ppm以下付近に存在する単位(A)及び単位(B)に由来するメタクリル酸単位のシングレットピークのプロトンの積分値(I)と、前記の積分値(I)から、下記式(III)を用いて、共重合体(P)中の単位(B)の含有量に対する、未反応ベンジルアミンのベンジルプロトンの量の比率Rbを算出した。
Rb=[I/(I×5)]−(Rc+Ra) (III)
得られたRa,Rb,Rcの値から、下記式(IV)〜(IX)を用いて、前記共重合体(P)中の、単位(A)、単位(B)、及び単位(C)の含有割合(単位:mol%)を算出し、これを(メタ)アクリル系重合体の単位(A)、単位(B)、及び単位(C)の含有割合とした。
Figure 2021116311
(原材料)
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
MMA:メタクリル酸メチル(商品名:アクリエステル(登録商標)M、三菱ケミカル(株)製)
MAA:メタクリル酸
重合開始剤(1):2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩
重合開始剤(2):2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(商品名:V−59、和光純薬工業(株)製)
重合開始剤(3):t−ブチルパーオキシベンゾエート(商品名:トリゴノックス42、化薬アクゾ(株)製)
OcSH:n−オクチルメルカプタン(東京化成工業(株)製)
[実施例1]
実施例1では、工程(1)及び(2)の連続重合法を行った後に、工程(3)を行い、(メタ)アクリル系重合体を製造した。以下にその操作を記載する。
<工程(1)>
MMA95.0質量%とMAA5.0質量%からなる単量体原料に、溶存酸素量が0.5ppm以下となるまで窒素を吹き込んだ。次いで、第一のラジカル重合開始剤(a)として重合開始剤(3)を128質量ppm及び連鎖移動剤としてOcSHを3300質量ppmの含有割合となるように添加、混合して、これを単量体組成物(A)とした。
得られた単量体組成物(A)を100Lの完全混合型の槽型反応器に、平均滞在時間120分となるように、25kg/Hrで連続的に供給し、撹拌混合しながら、重合温度135℃で重合して、第一のシラップを得た。
<工程(2)>
工程(1)の槽型反応器からギアポンプを用いて第一のシラップを連続的に抜出し、開始剤投入器(住友重機械工業(株)製SMXスルーザーミキサーを内装した配管)を用いて、第二のラジカル重合開始剤(c)として重合開始剤(3)を15質量ppmの含有割合となるように、第一のシラップに添加した。
続いて、第一の管型反応器である、プラグフロー型混合ミキサー(ノリタケカンパニー(株)製)を内装した管型反応器(プラグフロー型反応器)に供給し、重合温度160℃で、平均滞留時間20分となるように重合した。
さらに、第一の管型反応器から出てきたシラップに開始剤投入機(住友重機械工業(株)製SMXスルーザーミキサーを内装した配管)を用いて、第三のラジカル重合開始剤として重合開始剤(3)を0.0015質量%の含有割合となるように添加した。続いて、第二の管型反応器であるプラグフロー型混合ミキサー(ノリタケカンパニー(株)製)を内装した管型反応器(プラグフロー型反応器)に供給し、重合温度180℃で、平均滞留時間20分となるように重合して、第二のシラップを得た。
なお、工程(1)直後の重合転化率は64.7質量%であった。工程(2)直後の重合転化率は78.0質量%であった。
<工程(3)>
次に、工程(2)で得られた第二のシラップを、温度195℃で、第二の管型反応器の出口から連続的に脱揮押出機(ベントエクストルーダ型押出機)に供給して、脱揮温度270℃で未反応モノマーを主成分とする揮発分を分離除去し、(メタ)アクリル系重合体を得た。
得られた(メタ)アクリル系重合体の組成は、単位(A)であるMMA単位95.0mol%、単位(B)であるMAA単位4.90mol%、単位(C)0.10mol%であった。
工程(1)〜(3)の条件を表1に示す。また、得られた(メタ)アクリル系重合体の評価結果を表2に示す。
[実施例2]
工程(1)の重合開始剤(3)を105質量ppm及びOcSHを3200質量ppmの含有割合になるように添加した以外は実施例1と同様の操作を行い、(メタ)アクリル系重合体を得た。
工程(1)〜(3)の条件を表1に示す。また、得られた(メタ)アクリル系重合体の評価結果を表2に示す。
[比較例1]
比較例1では、工程(1)の連続重合法を行った後に、工程(3)を行い、比較用の(メタ)アクリル系重合体を製造した。以下にその操作を記載する。
<工程(1)>
MMA95.0質量%とMAA5.0質量%からなる単量体原料に、溶存酸素量が0.5ppm以下となるまで窒素を吹き込んだ。次いで、第一のラジカル重合開始剤(a)として重合開始剤(3)を185質量ppm及び連鎖移動剤としてOcSHを3300質量ppmの含有割合となるように添加、混合して、これを単量体組成物(A)とした。
得られた単量体組成物(A)を100Lの完全混合型の槽型反応器に、平均滞在時間120分となるように、25kg/Hrで連続的に供給し、撹拌混合しながら、重合温度135℃で、平均滞在時間80分となるように重合して、シラップを得た。
なお、工程(1)直後の重合転化率は52.1質量%であった。
<工程(3)>
次に、工程(1)で得られたシラップを、温度195℃で、100L槽型反応器の出口から連続的に脱揮押出機(ベントエクストルーダ型押出機)に供給して、脱揮温度270℃で未反応モノマーを主成分とする揮発分を分離除去し、比較用の(メタ)アクリル系重合体を得た。
工程(1)及び工程(3)の条件を表1に示す。また、得られた比較用の(メタ)アクリル系重合体の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
比較例2では、工程(1)及び(2)の連続重合法を行う代わりに、懸濁重合法で共重合体前駆体(1)を合成した後、不連続的に工程(3)を行い、比較用の(メタ)アクリル系重合体を製造した。以下にその操作を記載する。
(分散剤の製造)
脱イオン水900質量部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム60質量部、メタクリル酸カリウム10質量部及びMMA12質量部を、内部を窒素置換した還流冷却器付き反応容器に加えた後、撹拌しながら反応容器内の液温が50℃になるように昇温した。その後、重合開始剤(1)0.08質量部を加え、撹拌しながら反応容器内の液温が60℃になるように昇温した後、滴下ポンプを用いて、MMAを0.24質量部/分の速度で75分間かけて連続的に滴下した。その後、さらに6時間保持して重合を行ない、分散剤(固形分10質量%)を得た。
(共重合体前駆体(1)の合成)
脱イオン水2000質量部及び硫酸ナトリウム4.2質量部を、窒素ガス導入管を備えた還流冷却器付き反応容器に加えた後、320rpmの撹拌速度で15分間撹拌した。その後、MMA1351.6質量部、MAA36.3質量部、MA12.1質量部、重合開始剤(2)を2.8質量部及びOcSH4.2質量部の混合溶液を反応容器に加え、5分間撹拌した。次いで、製造例1で製造した分散剤(固形分10質量%)6.72質量部を反応容器に加えた後、撹拌して、反応容器中の単量体組成物を水中に分散させた。その後、反応容器内を窒素置換した。
次いで、反応容器内の液温が75℃になるように昇温した後、さらに反応容器内の液温を連続的に測定して重合発熱ピークが観測されるまで75℃を保持した。重合発熱ピークが観測された後、反応容器内の液温が90℃になるように昇温した後、60分間保持して、重合を行なった。その後、反応容器内の混合物を濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、80℃で16時間乾燥し、ビーズ状の共重合体を得て、これを共重合体前駆体(1)とした。
共重合体前駆体(1)の組成は、MMA単位94.0mol%、MAA単位5.0mol%であった。
(比較用の(メタ)アクリル系重合体)
前記共重合体前駆体(1)100質量部を二軸押出機(機種名「PCM30」、(株)池貝製)に供給し、250℃で混練し、ペレット状の比較用の(メタ)アクリル系重合体を得た。
得られた比較用の(メタ)アクリル系重合体の評価結果を表2に示す。












Figure 2021116311
Figure 2021116311
実施例1及び2の(メタ)アクリル系重合体は、ガラス転移温度が高いので耐熱性に優れ、末端二重結合率が低いため耐熱分解性に優れていた。また、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値が2.00以上であるため、溶融成形性が良好となることが期待される。
比較例1の比較例用の(メタ)アクリル系重合体は、工程(1)で使用した第1のラジカル重合開始剤の添加量が185質量ppmと高いため、末端二重結合率が高く耐熱分解性に劣っていた。また、(メタ)アクリル系重合体の生産量は、実施例1及び2の生産量より低く、生産性が不十分であった。
比較例2の懸濁重合法で製造した比較例用の(メタ)アクリル系重合体は、懸濁重合で多量の重合開始剤を用いているため、末端二重結合率が高く耐熱分解性が不十分であった。また、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の値が2.00未満であるため、溶融成形性が不十分となるおそれがある。
10 重合体製造装置
20 重合反応器
30 揮発物除去装置
40 槽型反応器
41 原料単量体供給ノズル
42 シラップ排出口
43 撹拌翼
44 シャフト
45 モーター
46 ジャケット
47 ギアポンプ
50 管型反応器
51 混合物供給口
52 シラップ排出口
53 ジャケット
54 ミキサー
55 開始剤混合器
56 (メタ)アクリレート混合器
60 脱揮押出機
61 混合物供給口
62 (メタ)アクリル系重合体排出口
63 ベント
70 単量体組成物(B)供給槽
80:重合体製造装置
81:完全混合型反応器
82:ギヤポンプ
83:管型混合ミキサー
84:管型反応器
85:管型混合ミキサー
86:管型反応器
87:脱揮押出機

Claims (8)

  1. 主鎖に環構造を有する構造単位を含む、(メタ)アクリル系重合体であって、
    前記(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度が114℃以上であり、
    末端二重結合率が1.0%以上4.5%以下である、(メタ)アクリル系重合体。
  2. 核磁気共鳴スペクトル法で測定した下記式(2)から算出される立体規則性(S/H比)が1.10以上1.40以下である、請求項1に記載の(メタ)アクリル系重合体。
    Figure 2021116311
  3. GPCで測定した重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が2.00以上2.60以下である、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  4. 前記(メタ)アクリル系重合体が、(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し単位と環構造由来の繰り返し単位を含み、
    前記環構造由来の繰り返し単位が、グルタル酸無水物構造単位、マレイン酸無水物構造単位、グルタルイミド構造単位、ラクトン環構造単位、及びN−置換マレイミド構造単位から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  5. 前記(メタ)アクリル系重合体が、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位(A)、(メタ)アクリル酸(b)由来の繰り返し単位(B)、及びグルタル酸無水物構造を有する繰り返し単位(C)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  6. 前記(メタ)アクリル系重合体が、該重合体100mol%中、前記単位(A)80mol%以上、前記単位(B)0.5mol%以上20.0mol%以下、及び前記単位(C)0.001mol%以上10.0mol%以下を含む、請求項5に記載の(メタ)アクリル系重合体。
  7. 下記の工程(1)、工程(2)及び工程(3)を含む、(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
    工程(1)
    槽型反応器(A)を使用し、下記(1)−1、(1)−2及び(1)−3の各工程を含む第一のシラップを得る工程。
    (1)−1:メタクリル酸メチル80mol%以上及び(メタ)アクリル酸(b)0.5mol%以上20mol%以下を含む単量体原料と、50質量ppm以上165質量ppm以下の第一のラジカル重合開始剤(a)及び0.1質量%〜10質量%の連鎖移動剤を含む単量体組成物(A)を、槽型反応器(A)に連続的に供給する。
    (1)−2:槽型反応器(A)内の温度が120℃以上170℃以下の範囲内で撹拌混合し、重合転化率40質量%以上70質量%以下の範囲となるように重合して、第一のシラップを得る。
    (1)−3:槽型反応器(A)から連続的に第一のシラップを得る。
    工程(2)
    管型混合ミキサー(B)及び管型反応器(C)を有する反応装置(D)を使用して第二のシラップを得る工程であって、
    内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型混合ミキサー(B)にて第一のシラップに第二のラジカル重合開始剤(c)を添加してシラップ混合物とした後に、前記シラップ混合物を内壁温度が槽型反応器(A)内の温度以上230℃以下の範囲に設定された管型反応器(C)にて、重合転化率が60質量%以上90質量%以下の範囲となるように重合して、第二のシラップを得る。
    工程(3)
    第二のシラップを揮発物除去装置(E)に連続的に供給し、連続的に揮発物を分離除去する。
  8. 反応装置(D)として、n組の管型混合ミキサー(Bn)及び管型反応器(Cn)(nは1以上の整数)が、管型混合ミキサー(Bn)及び管型反応器(Cn)の順に配設されたものであり、各ミキサー(Bn)入口で第二のラジカル重合開始剤(cn)(nは1以上の整数)を添加し、各反応器(Cn)で順次重合することにより第二のシラップを得る、請求項7に記載の(メタ)アクリル系重合体の製造方法。
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