JP2001233912A - メタクリル系重合体の製造方法 - Google Patents

メタクリル系重合体の製造方法

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JP2001233912A
JP2001233912A JP2000046134A JP2000046134A JP2001233912A JP 2001233912 A JP2001233912 A JP 2001233912A JP 2000046134 A JP2000046134 A JP 2000046134A JP 2000046134 A JP2000046134 A JP 2000046134A JP 2001233912 A JP2001233912 A JP 2001233912A
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polymer
polymerization initiator
molecule
reactor
radical polymerization
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Hirotoshi Mizota
浩敏 溝田
Hajime Okutsu
肇 奥津
Wataru Hatano
渉 波多野
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F220/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F220/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms; Derivatives thereof
    • C08F220/10Esters
    • C08F220/12Esters of monohydric alcohols or phenols
    • C08F220/14Methyl esters, e.g. methyl (meth)acrylate

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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い耐熱温度と優れた耐熱分解性を兼ね備えた
メタクリル系重合体を得る方法を提供すること。 【解決手段】メタクリル酸メチル95〜99質量%とア
クリル酸アルキルエステル1〜5質量%とを含む単量体
混合物を、重合開始剤および連鎖移動剤(アルキルメル
カプタン)の存在下、完全混合型反応器により連続的に
重合するに際し、反応温度を100〜140℃、平均滞
在時間を6時間以下とし、下記(1)式を満足する条件
で重合を行う。 【数1】 f:fファクター(重合開始剤の種類に応じて適宜な値
を入力する。) A:ラジカル重合開始剤濃度[mol/kg] B:連鎖移動剤濃度[mol/kg] C:重合体転化率[−] kd:反応器内の重合温度における重合開始剤の分解速
度定数[1/min] τ:平均滞在時間[min]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタクリル酸メチ
ルを含む単量体を連続的に重合する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル系樹脂は、優れた光学的性
質、耐候性及び高い機械的性質を有しているため、自動
車用部品、照明器具、OA機器部品などに広く用いられ
ており、更に近年に於いては、導光板や各種レンズにも
使用されている。これらの部品等は、メタクリル系樹脂
の押し出し成形、射出成形から得られるが、この成形温
度は通常200〜280℃の範囲で行われている。しか
し、メタクリル系樹脂の熱分解反応は250℃を超える
と顕著となる傾向があり、この熱分解温度と成形温度が
同一範囲にあるため、成形加工時に一般にジッパー反応
と云われるポリマー自身の熱分解や滞留劣化により発生
した単量体が成型品中に残存し、成型品の耐熱性を低下
させたり、シルバー等の発生原因となり成型品の外観不
良を招き歩留まりを低下させる要因となっていた。従っ
て、成型品の耐熱性を維持するためにはメタクリル系樹
脂の耐熱分解性を向上させることが重要となる。
【0003】耐熱分解性を向上させる方法として、メタ
クリル系樹脂にアクリル酸アルキルエステルを共重合さ
せることが有効である。しかし、この場合、共重合量を
多くすると熱変形温度が低下することが知られており、
耐熱性と耐熱分解性を両立させることは困難であった。
【0004】ところで、メタクリル系樹脂の連続的重合
方法は、バッチ式の懸濁重合に比べ、生産性に優れる、
分散剤等の補助剤を必要としないために透明性に優れる
等の利点があり、これまでに多くの検討がなされてき
た。
【0005】特公昭52−32665号公報には、重合
温度におけるラジカル重合開始剤の半減期と添加量を規
定することにより、重合反応温度130℃から160℃
において単量体転化率を向上させる方法が開示されてい
る。
【0006】また、特開平3−111408号公報に
は、完全混合型反応器一基を用いて、重合温度での半減
期が0.5〜120秒という短寿命のラジカル重合開始
剤を使用し、130〜160℃の温度で、単量体転化率
が45%〜70%となるように重合させる方法が示され
ている。さらに特開平7−126308号公報では、気
相部のない満液状態で、断熱状態として重合させる方法
が開示されている。
【0007】特公昭52−32665号公報、特開平3
−111408号公報、及び特開平7−126308号
公報には、いずれも、完全混合型反応器一基を用いたメ
タクリル系重合体の製造方法において重合反応の制御性
を良好にするための技術が開示されている。
【0008】重合体の耐熱分解性を改善する製造方法に
関しては、特公昭52−32665号公報に、特定の条
件において重合することにより耐熱分解性に優れた重合
体が製造可能であることが記載されている。また、特開
平3−294307号公報、特開平10−87739号
公報には耐熱分解性に優れた樹脂の特徴が開示されてい
る。但し、そうした樹脂を製造するための製造方法につ
いての指針は記載されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、メタク
リル系樹脂の製造技術に関し種々の検討が行われている
が、従来技術においては、高い耐熱温度と優れた耐熱分
解性を兼ね備えたメタクリル系重合体を得るための製造
プロセスに関する有効な指針は得られていなかった。本
発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、重合条
件を高度に制御することにより、高い耐熱温度と優れた
耐熱分解性を兼ね備えたメタクリル系重合体を得る方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】メタクリル系樹脂は高温
状態で高分子末端より解重合を起こし、いわゆるジッパ
ー型に分解することが知られている。本発明者らは、重
合体の分子末端に二重結合が存在すると低温から上記分
解反応が進行することを見出し、さらに、滞在時間、重
合温度、ラジカル重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度等の
重合条件と、分子末端二重結合量との相互因果関係を解
明し、かかる知見をもとに本発明を完成させたものであ
る。すなわち本発明は、重合条件の最適化により分子末
端二重結合量を低減させ、これにより、従来技術では両
立の困難であった耐熱性と耐熱分解性を兼ね備えたメタ
クリル系重合体の製造方法を提供するものである。
【0011】本発明によれば、メタクリル酸メチル95
〜99質量%とアクリル酸アルキルエステル1〜5質量
%とを含む単量体混合物を、ラジカル重合開始剤および
連鎖移動剤の存在下、完全混合型反応器により連続的に
重合するメタクリル系重合体の製造方法において、前記
ラジカル重合開始剤として1分子からCO2が1分子発
生する、もしくはCO2が発生しない有機過酸化物、ま
たは1分子からN2が1分子発生するアゾ化合物を用い
るとともに前記連鎖移動剤としてアルキルメルカプタン
を用い、反応温度を100〜140℃の範囲内とし、平
均滞在時間を6時間以下とし、さらに、下記(1)式を
満足する条件で重合することを特徴とするメタクリル系
重合体の製造方法、が提供される。
【0012】
【数3】
【0013】f:fファクター(ラジカル重合開始剤が
有機過酸化物であって該有機過酸化物一分子からCO2
一分子が発生する場合はf=0.5とし、ラジカル重合
開始剤がアゾ化合物であって該アゾ化合物一分子からN
2一分子が発生する場合はf=0.5とし、ラジカル重
合開始剤が有機過酸化物であって該有機過酸化物からC
2が発生しない場合はf=1とする。) A:反応器に供給するラジカル重合開始剤の濃度[mol
/kg] B:反応器に供給する連鎖移動剤の濃度[mol/kg] C:反応器出口における重合体転化率[−] kd:反応器内の重合温度におけるラジカル重合開始剤
の分解速度定数[1/min] τ:平均滞在時間[min] また本発明によれば、上記メタクリル系重合体の製造方
法において、さらに下記(2)式を満足する条件で重合
することを特徴とするメタクリル系重合体の製造方法が
提供される。
【0014】
【数4】
【0015】D:反応器に供給する単量体濃度の合計
[mol/kg] が提供される。
【0016】上式において、A、B、Dは、反応原料1
kg中に含まれるラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、単
量体のモル数である。ここで反応原料とは、反応基に供
給する単量体、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等の混
合物をいい、不活性溶媒を用いる場合はこれも含む。
【0017】本発明は、上記(1)式を満たすことによ
り、得られる重合体の二重結合末端を効果的に低減し、
重合体の耐熱分解性を大幅に改善するものである。ここ
で、重合体の二重結合末端とは、重合体の分子末端に存
在する不飽和結合(末端二重結合)をいい、本発明にお
ける二重結合末端の比率とは、複数の重合体分子におい
て重合体分子の総数に対する末端二重結合数の比率をい
う。例えば分子末端を2つ持つ重合体分子が100個あ
る場合は重合体分子末端の総数は200個となり、20
0個の分子末端中、3個が末端二重結合である時に、重
合体分子の総数に対して重合体末端二重結合の比率は3
%となる。重合体末端二重結合の比率を3%以下とする
ことにより、たとえば280℃付近での成形加工におい
ても充分な耐熱分解性が得られ、高温でのシルバー等の
欠陥の無い製品の成形加工が可能となり、成形加工時間
を短縮することができる。
【0018】(1)式の分母の項は、不均化停止反応と
連鎖移動反応によって生じる単位時間当たりの重合体の
停止末端数を意味している。一方、(1)式分子の項
は、その停止末端数中の二重結合の数を意味している。
すなわち、(1)式は、重合体の停止末端中の二重結合
末端の割合を0〜3%とするための条件式である。
【0019】(1)式の特徴は、fファクターを導入
し、ラジカル重合開始剤の種類を考慮した点、および、
連鎖移動反応によって生じる停止末端数をβの関係式
で表した点にある。(1)式を満たす重合条件で製造し
た重合体は、実施例にて後述するように、優れた耐熱分
解性を示す。
【0020】このように、本発明は(1)式を満たすこ
とにより重合体の耐熱分解性を大幅に改善しているた
め、従来技術に比し、耐熱性と耐熱分解性のバランスが
顕著に向上する。具体的には、100℃以上のHDT
(Heat Distortion Temperature)を有し、280℃付
近での成形加工においてもシルバー等の欠陥が生じない
耐熱分解性を有する重合体を得ることができる。
【0021】本発明においては、(1)式を満足すると
ともに、さらに(2)式を満足することが好ましい。
(2)式を満足することにより成形材料として工業的使
用に耐えうる充分な耐熱性および機械的強度が発現す
る。ここで、(2)式は、得られる重合体の数平均重合
度を示す尺度である。すなわち(2)式が300〜80
0の範囲内であれば、得られる重合体の数平均重合度
が、充分な耐熱性と機械的強度を発現する範囲となる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、メタクリル酸メチル9
5〜99質量%とアクリル酸アルキルエステル1〜5質
量%とを含む単量体混合物を重合するメタクリル系重合
体の製造方法に関するものである。
【0023】アクリル酸アルキルエステルとしては、炭
素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルが
好ましく用いられ、たとえば、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル
およびアクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、
1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。これらのうち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピルおよびアクリル酸n−ブチ
ルの1種を用いることが好ましい。
【0024】また、本発明によって得られるメタクリル
系重合体としては、特に、メタクリル酸メチルとアクリ
ル酸メチルとの共重合体や、メタクリル酸メチルとアク
リル酸エチルとの共重合体が好ましい。
【0025】本発明においては、単量体中のアクリル酸
アルキルエステルの含有量を1〜5質量%としている。
前述したように、アクリル酸アルキルエステルの含有量
を多くした場合、耐熱分解性が向上するが、一方で耐熱
性が低下しHDTの低下等をもたらす結果となる。そこ
で本発明では、100〜140℃という反応温度を規定
して重合体の立体規則性に関しシンジオタクチック構造
を多くすることで重合体の耐熱性を改善し、これによ
り、アクリル酸アルキルエステル含有量を多くした場合
における耐熱性の低下を抑制している。
【0026】本発明のメタクリル系重合体の製造方法を
実施するにあたっては、まず、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸アルキルエステル、ラジカル重合開始剤および
連鎖移動剤を含む単量体混合物を調製した後、単量体混
合物中の溶存酸素を除去することが好ましい。除去する
方法としては、単量体混合物に窒素等の不活性ガスを導
入する、もしくは減圧下に一定時間保持する等の方法を
用いることができる。不活性溶媒を使用する溶液重合の
場合においても、単量体混合物と不活性溶媒の混合液に
対して同様の操作を行い、溶存酸素を除去することが好
ましい。溶存酸素量は、好ましくは2ppm以下、より
好ましくは1ppm以下とする。これにより、重合反応
が安定するとともに、重合工程で重合系を長時間、高温
に保持した場合における着色の発生を抑えることができ
る。以上のように溶存酸素を除去した単量体混合物は、
完全混合型反応器に連続的に供給される。
【0027】本発明で使用されるメルカプタン類として
は、例えばn−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルメ
ルカプタン等のアルキル基を有するアルキルメルカプタ
ンが挙げられる。これは単独で又は2種類以上を組み合
わせて用いることができる。これらのメルカプタンの中
でも、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプ
タンが好ましい。メルカプタンの使用量は、(1)式に
示されるように平均滞在時間、ラジカル重合開始剤濃度
等とのバランスによって決められる。
【0028】本発明を溶液重合で行う場合、不活性溶媒
としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレ
ン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチルベンゼ
ン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなど公知の溶剤が
使用可能である。メタノール、トルエン、エチルベンゼ
ン、酢酸ブチル等が特に好ましい。溶媒の使用量は特に
制限されないが、良好な生産性を得る観点から、反応原
料(単量体、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤、不活性
溶媒等の重合系内に存在するすべての原料混合物)全体
に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは5
質量%以下とする。重合方法として特に好ましい方法
は、不活性溶媒を使用しない塊状重合であるが、溶液重
合を採用した場合でも、上記のように溶媒量を少なくす
ることにより、良好な生産性を得ることができる。
【0029】ラジカル重合開始剤の種類は、1分子から
CO2が1分子発生する、もしくはCO2が発生しない有
機過酸化物、または1分子からN2が1分子発生するア
ゾ化合物である限り特に限定されないが、半減期が10
秒以上30分以下のものが好ましく用いられる。半減期
が短かすぎると、重合系内に均一に拡散する前にほとん
どの開始剤が分解することとなり、熱分解しやすいオリ
ゴマーの発生が顕著となる。また、半減期が長すぎる
と、停電等で急に運転が停止した場合、反応液の重合が
進み高粘度となるため、再スタートが難しくなることが
ある。
【0030】なお、本明細書においては「ラジカル重合
開始剤の重合温度における半減期」の値として、日本油
脂株式会社または和光純薬株式会社等の公知の製品カタ
ログに記載の値を採用した。また、重合温度における分
解速度定数も公知の製品カタログの値を採用した。
【0031】本発明において、ラジカル重合開始剤とし
て有機過酸化物またはアゾ化合物を用いる。有機過酸化
物は、熱分解により1分子あたりCO21分子を発生さ
せるもの、または、CO2を発生させないものを用い
る。アゾ化合物としては、熱分解によりアゾ化合物一分
子からN2一分子が発生するものを用いる。
【0032】1分子あたりCO21分子を発生させる有
機過酸化物の例としては、 tert−ブチルパーオキ
シ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、tert−
ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオ
キシイソプロピルモノカーボネート、tert−ヘキシ
ルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert
−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパー
オキシ2−エチルヘキサネート、tert−ブチルパー
オキシイソブチレート、tert−ヘキシル−パーオキ
シ2−エチルヘキサネート等が挙げられる。
【0033】CO2を発生させない有機過酸化物として
は、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)
ヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキ
シ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−
ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等
が挙げられる。
【0034】また、アゾ化合物としては、2−(カルバ
モイルアゾ)−イソブチロニトリル、1,1'−アゾビ
ス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2
−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビ
スイソブチレート、2、2'−アゾビス(2,4,4−
トリメチルペンタン)、2、2'−アゾビス(2−メチ
ルプロパン)等が挙げられる。
【0035】開始剤の使用量は、重合温度、平均滞在時
間、目標とする重合率によって決められる。
【0036】本発明において重合温度は100℃以上、
好ましくは110℃以上とする。重合温度が低すぎる
と、生産性が低下する上、ゲル効果が顕著となって重合
制御が困難となり、溶媒の使用量が多くなって揮発成分
除去の負担が大きくなる場合がある。また、重合温度は
140℃以下、好ましくは135℃以下とする。重合温
度が高すぎると、重合体中のシンジオタクチックの比率
が低下し、重合体の耐熱性が低下することがある。ま
た、二量体の生成が多くなるため揮発分除去後の重合体
の透明性並びに機械的強度が低下することがある。重合
温度は100〜140℃の範囲内で、実質的に一定温度
に維持することが好ましい。
【0037】該完全混合型反応器の平均滞在時間は、好
ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上とす
る。これにより重合制御を安定にすることができる。一
方、上限については、好ましくは6時間以下、より好ま
しくは5時間以下とする。このようにすれば良好な生産
性が得られる上、品質低下の原因となる二量体の生成を
抑制することができる。
【0038】本発明において得られる重合体転化率は適
宜に設定することができるが、生産性の観点から30質
量%以上とすることが好ましい。また、不活性溶媒を使
用しない塊状重合においては、重合体転化率が高すぎる
と、ゲル効果にともなう重合反応加速現象により重合の
制御が難しくなることから、重合体転化率は60質量%
以下とすることが好ましい。なお、溶液重合ではゲル効
果が発現しにくいため、重合体転化率の上限については
特に制限がない。
【0039】本発明において、反応域内には重合反応と
攪拌混合による発熱があるので除熱して、場合によって
は加熱して所定の重合温度に制御する。温度制御は既知
の方法によって行うことができる。例えばジャケット、
反応域内に設置したドラフトチューブあるいはコイル等
への熱媒循環による伝熱除熱あるいは加熱、単量体混合
物の冷却供給、環流冷却等の方法を採用することができ
る。
【0040】本発明を実施する際に用いられる反応装置
は、供給口及び取り出し口を設けてなる攪拌装置を備え
た槽型反応装置であり、攪拌装置は、実質的に反応域全
体にわたる混合性能を有するものとする。
【0041】本発明の方法によりメタクリル系重合体を
製造した後、通常、未反応単量体を主成分とする揮発物
を分離する工程を実施する。すなわち、連続的に送られ
る所定の重合率を有する反応混合物を、減圧下で200
℃〜290℃に加熱し、単量体を主体とする揮発物の大
部分を連続的に分離除去する。最終成形材料中の残存単
量体含有量が、0.3質量%以下、二量体0.1質量%
以下となることが好ましい。
【0042】本発明により得られたメタクリル系重合体
を成形材料として用いる際には、高級アルコール類、高
級脂肪酸エステル類等の滑剤を添加することができる。
また、必要に応じて紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、
帯電防止剤等を添加することができる。
【0043】本発明に従えば、耐熱分解性が優れ成形加
工な上限温度の高いメタクリル系重合体が得られるの
で、成形温度幅の広い成形加工性の優れた成形材料を得
ることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものでは
ない。以下の実施例および比較例中の各種物性の測定お
よび性能評価は以下の方法により測定および評価した。
【0045】(1)重合体の数平均分子量(Mn)測定 樹脂をアセトンに溶解し、n−ヘキサン中で再沈、真空
乾燥させた試料をテトラヒドロフラン(THF)に40
℃で1時間かけて溶解させた後、液体クロマトグラフィ
ーHLC−8020型(東ソー株式会社製)を用いて重
合体の数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以
下のとおりである。 分離カラム:TSK-Gel GMHXL2本直列 溶媒:THF(テトラヒドロフラン) 流量:1.0ml/min 検出器:示差屈折計 測定温度:40℃ 注入量:0.1ml 標準ポリマー:ポリメタクリル樹脂 (2)残存単量体量 試料をアセトンに溶解後、ヒューレットパッカード社製
ガスクロマトグラフィーHP−6890型を用い残存単
量体量を測定した。分離カラムはHP−Wax(0.2
5mm径×30m長)、測定温度40℃、検出器FI
D、内部標準物質としてメチルイソブチルケトンを用い
て定量した。
【0046】(3)熱安定性測定 射出成型機125/75MS(三菱重工株式会社製)を
用いて、スパイラル金型を取り付け、ノズル温度280
℃、300℃、金型温度60℃、成形サイクル55秒の
条件で射出成形を行い、得られた成型品中の残存単量体
の定量を行い、成型品中の単量体の増加量をペレット中
の残存単量体と比較した。
【0047】(4)熱変形温度(HDT)の測定 ASTM D−648−56(Reapproved1961)に
準拠して測定した。 (実施例1)精製したメタクリル酸メチル98質量%と
メチルアクリレート2質量%とからなる単量体混合物に
窒素を導入して溶存酸素を0.5ppmとした後、この
単量体混合物に対してn−オクチルメルカプタン(ELF
ATOCHEM NORTH AMERICA INC製、純度99.5質量%)
0.0171モル/kgと、ラジカル重合開始剤として
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬製V−6
0、純度99質量%)を1.71 ×10-4 モル/kg
とを混合した。このようにして得られた原料単量体を、
重合温度128℃に制御された攪拌混合下の完全混合型
反応器に連続的に供給し重合を行った。重合温度におけ
る開始剤の分解反応速度定数kdは1.568[1/m
in]である。
【0048】反応槽内に供給された混合物は攪拌翼によ
り撹拌混合されていた。平均滞留時間は4時間とした。
続いて反応混合物を連続的にベントエクストルーダに供
給して、未反応単量体を主成分とする揮発物を分離除去
し重合体を得た。単位時間当たりの反応槽に供給する単
量体量と、ベントエクストルーダ先端から得られる重合
体量とから、反応槽における重合体転化率を計算した。
転化率は44質量%であった。
【0049】反応混合物から揮発物を分離して得た重合
体の残存単量体含有率は0.1質量%であり、二量体の
含有量は0.03質量%以下であった。さらにこの重合
体のゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC法)
により測定した重量平均分子量(Mw)は95000で
あり、数平均分子量(Mn)は51000であった。得
られた重合体のHDT、および射出成形した時の成型品
中の単量体の増加量を表2に示す。耐熱分解性に優れた
重合体が得られており、成形品の外観はシルバー等も発
生せず外観良好であった。
【0050】(実施例2〜5)表1に示す重合条件とし
たこと以外は実施例1と同様にして重合体を得た。得ら
れた重合体の諸特性を表2に示す。これらの実施例によ
り得られた重合体は、耐熱性と耐熱分解性に優れている
ことが判る。
【0051】(比較例1)精製したメタクリル酸メチル
98質量%とメチルアクリレート2質量%とからなる単
量体混合物に、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプ
タン(ELF ATOCHEM NORTH AMERICA INC製、純度99.
5質量%)0.0157モル/kgと、ラジカル重合開
始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(和光純
薬製V−60、純度99質量%)6.60 ×10-4
ル/kgとを混合し、原料単量体を得た。これを重合温
度128℃に制御された攪拌混合下の完全混合型反応器
に連続的に供給し、平均滞在時間を1時間として重合を
行った。これらの点以外は実施例1と同様にして重合体
を得た。得られた重合体の特性を表2に示す。得られた
重合体は熱分解しやすく、成形体表面にシルバーが発生
した。
【0052】(比較例2〜5)表1に示す重合条件で、
実施例1と同様にして重合体を得た。得られた重合体
は、熱分解しやすく成型品の表面にはシルバーが発生し
た(表2)。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、重
合に係わる諸条件を特定の関係式を満たすように制御し
ているため、従来、両立の困難であった耐熱性と耐熱分
解性を相備えたメタクリル酸メチル系重合体を製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 渉 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J011 BA01 BA03 BA06 BA07 BB01 BB02 BB03 NA25 NB04 4J015 AA01 AA03 AA06 BA05 BA07 BA08 4J100 AL03P AL03Q AL04Q CA04 FA03 FA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチル95〜99質量%と
    アクリル酸アルキルエステル1〜5質量%とを含む単量
    体混合物を、ラジカル重合開始剤および連鎖移動剤の存
    在下、完全混合型反応器により連続的に重合するメタク
    リル系重合体の製造方法において、前記ラジカル重合開
    始剤として1分子からCO2が1分子発生する、もしく
    はCO2が発生しない有機過酸化物、または1分子から
    2が1分子発生するアゾ化合物を用いるとともに前記
    連鎖移動剤としてアルキルメルカプタンを用い、反応温
    度を100〜140℃の範囲内とし、平均滞在時間を6
    時間以下とし、さらに、下記(1)式を満足する条件で
    重合することを特徴とするメタクリル系重合体の製造方
    法。 【数1】 f:fファクター(ラジカル重合開始剤が有機過酸化物
    であって該有機過酸化物一分子からCO2一分子が発生
    する場合はf=0.5とし、ラジカル重合開始剤がアゾ
    化合物であって該アゾ化合物一分子からN2一分子が発
    生する場合はf=0.5とし、ラジカル重合開始剤が有
    機過酸化物であって該有機過酸化物からCO2が発生し
    ない場合はf=1とする。) A:反応器に供給するラジカル重合開始剤の濃度[mol
    /kg] B:反応器に供給する連鎖移動剤の濃度[mol/kg] C:反応器出口における重合体転化率[−] kd:反応器内の重合温度におけるラジカル重合開始剤
    の分解速度定数[1/min] τ:平均滞在時間[min]
  2. 【請求項2】 さらに下記(2)式を満足する条件で重
    合することを特徴とする請求項1に記載のメタクリル系
    重合体の製造方法。 【数2】 D:反応器に供給する単量体濃度の合計[mol/kg]
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