JP3565229B2 - メタクリル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はメタクリル樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた耐熱分解性を有するメタクリル樹脂の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル樹脂は透明性、耐候性、機械的強度が優れており、建築用資材や家具、室内装飾用素材、自動車部品、電気部品等各種成形材料として各方面に広く利用されている。従来、成形材料として用いられるメタクリル樹脂の製造法としては懸濁重合法が一般に採用されているが、この方法は使用される懸濁分散剤等の副材料がポリマー中に混入するため高純度の重合体は得られ難く光学材料等の用途には不向きとされている。更に重合体の後処理工程がろ過、洗浄、乾燥と煩雑な上、大量の排水処理を伴うなど工業プロセスとしても問題点を残している。
【0003】
この懸濁重合法の欠点を改善する方法として近年、連続的な塊状重合法と溶液重合法が注目されている。これらの方法によれば、懸濁分散剤等が使用されないため光学特性に優れた高品質樹脂の製造が可能である。
しかしながら、前者の方法は「ゲル効果」と呼ばれる自動加速効果のため、高いモノマー転化率を維持しながら重合反応を安定に制御することは非常に難しく、ポリマー濃度の高い最終重合物を得るのは困難とされる。
【0004】
特公昭52−32665号公報には槽型反応装置を用いて比較的低いモノマー転化率で均一相反応させ、未反応モノマーを連続的に分離除去する連続塊状重合法が提案されている。この方法では、未反応モノマーの残存量が多く、この回収再使用と重合体の濃縮のための脱揮工程で多くのエネルギーを費やさねばならない上、その際重合体が熱履歴を受け着色や変質を起こしやすいという欠点がある。特公昭55−7845号公報等に示されているように溶媒としてベンゼンもしくはアルキルベンゼンを用いる溶液重合法によれば溶剤によって反応液の粘度が低減されるため、ゲル効果が抑制され、高いモノマー転化率で安定した重合反応が可能となることが知られている。
【0005】
このような溶液重合法の場合、溶媒の使用量低減には限界がありモノマー転化率を高めて反応液中に残存する未反応モノマーは減少しても溶媒を含めた揮発分含有量は減少せず、揮発成分の除去に費やされるエネルギーは塊状重合法と変わらない場合もあり、加えて重合体の耐熱分解性の低下や溶媒及びモノマー成分の回収再使用の方法が煩雑になる等の問題点も抱えている。一方、特開昭62−241905号公報にはメタノール等の脂肪族一価アルコールを溶媒としてメチルメタクリレートを主成分とするモノマー混合物のラジカル重合を行い、得られた重合体をスラリー状に沈澱させて分離する方法が示されているが、モノマー成分20〜70部に対して溶媒80〜30部と多量の溶媒を使用すること、重合体を分離するため冷却、沈澱、ろ過、乾燥工程が必要となること及び連続プロセスとする場合にスラリー状の重合液を均一に移送・処理する必要があることなど工業的に解決しなければならない問題も多く存在する。
【0006】
そして、この方法に従って、成形材料に適した分子量を有するメタクリル樹脂を製造すると、極めて耐熱分解性の低いポリマーしか得られないことが本発明者らの実験によりわかった(比較例2参照)。また、特開平1−201307号公報には1価のアルキルアルコールとベンゼンもしくはアルキルベンゼンより成る混合溶媒を5重量%以上30重量%未満用いてメチルメタクリレートを主成分とするモノマー混合物の溶液重合を行う方法が示されているが、一価のアルキルアルコールは混合溶媒中で5〜50重量%を占めるに過ぎず、一般的なベンゼンもしくはアルキルベンゼンを溶媒とする方法を抜本的に変えるものではない。
【0007】
本発明者らは、従来法の上記のような問題点を解決し、メタクリル樹脂を安定に制御された重合反応を経て経済的に有利に製造する方法として先の出願(特願平5−279861)において、メタノール5〜29重量%添加した連続溶液重合法を開示した。本法によればゲル効果が発現するポリマー濃度を高めることができるので重合を安定化することができる。ところで、一般にメタクリル樹脂は230℃付近から分解し始め、270℃付近から特に顕著である。この熱分解はポリマー末端に残存した二重結合に対して隣接した炭素−炭素単結合が熱的に弱く、230〜270℃付近で開裂して、いわゆるジッパー分解の開始点となることによる(カシワギ、イナベ、ブラウン、キタヤマ、マスダ,マクロモレキュラス,19,2160(1986)(T.Kashiwagi,A.Inaba,E.Brown,K.Hatada,T.Kitayama,E.Masuda,Macromolecules))。
【0008】
他方、メタクリル樹脂は230℃〜250℃で射出成形あるいは押出成形される。このとき成形されるメタクリル樹脂が熱分解温度と接近しているため、一部ポリマーより加熱分解したモノマーが成形品中に残留してシルバーストリークスや発泡を発生させたり、着色、耐熱変形性の低下、臭気による作業環境の悪化等をきたし、実用上の問題となっている。 これまでメタクリル樹脂の耐熱分解性を向上させるために種々の工夫がなされてきている。たとえば、初期において抗酸化剤を添加して加熱成形することが試みられたが、充分な効果が得られないばかりか着色する等の欠点を有していた。
【0009】
近年、メタクリル樹脂を連続重合法で製造することにより耐熱分解性が改良されることが示されている。たとえば、前述した特公昭52−32665号公報では温度130〜160℃において1段完全混合型連続重合を行うに当たり、連鎖移動剤としてメルカプタン濃度0.01〜1.0モル%および下記式
10≧A1/2 ・B−1/2×10
3≧A・B×10
2.9≧A−1・(B+10.3)×10−6
ここで、A=モノマーフィード100g中のラジカル重合開始剤のモル数
B=ラジカル重合開始剤の重合温度における半減期(時間)
を満足するモノマー組成物を連続的にフィードしてモノマー転化率50〜78%に維持する方法が示され、特開平3−111408号公報では1段完全混合型連続重合を行うに当たり、重合温度130〜160℃における半減期が0.5〜2分の開始剤を用い、重合温度でのラジカル開始剤の半減期と平均滞留時間の比が1/200〜1/10000となるように平均滞留時間を設定し、モノマー転化率が45〜70%とする方法が開示されている。
【0010】
これらいずれの技術においても、問題とする耐熱分解性は未反応モノマー等残存揮発分を高温下で除去する真空脱揮工程や押出成形工程を経たポリマーについて評価したものである。本発明者らの検討によれば重合工程で生成してくるポリマーそのものの耐熱分解性については必ずしも十分ではなかった。脱揮工程や押出成形工程での熱分解による収率低下、熱履歴による着色等を考慮すれば重合工程で生成するポリマーの耐熱分解性を向上させることが極めて重要である。
【0011】
更に、特開平6−239938号では、メタクリル樹脂の連続重合方法において、熱分解指数αが3.0以下であるメタクリル樹脂が耐熱分解性良好であるとの記述がある。しかしながら、熱分解指数αの定義は示されているものの、熱分解指数αが3.0以下であるメタクリル樹脂の製造条件については全く述べられていない。特開平1−172401号公報では、多段完全混合槽型連続重合法においてメチルアクリレートまたはエチルアクリレート等のコモノマーや連鎖移動剤の一部を分割フィードすることにより生成ポリマーの熱安定性等品質が向上すると記載されているものの具体的な方法および実施例は一切記載されていない。
【0012】
本発明者らは、前述の特願平5−279861号において、メタノール5〜29重量%添加した連続溶液重合法によりゲル効果が発現するポリマー濃度を高めることができるので重合を安定化させ得ることを開示したが、得られるポリマーの耐熱分解性においては必ずしも満足されるものではなかった。上述した従来技術は重合反応操作の安定性、生産効率の向上を可能にしたとしても必ずしも優れた耐熱分解性を有するメタクリル樹脂の製造方法を提供するものではなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した課題を解決し、熱成形時におけるシルバーストリークスや発泡、着色および臭気等の発生の少ない、耐熱分解性に優れたメタクリル樹脂の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、連続溶液重合において、特定のラジカル重合開始剤の半減期とその濃度、連鎖移動剤濃度、モノマー濃度および溶媒濃度、重合温度、平均滞留時間の条件下で反応させることにより、上記した課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明は、
1段完全混合槽を使用して(以下、A法ということがある)、メチルメタクリレート単独、またはメチルメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重量%以下のモノマー混合物71〜95重量%および溶媒29〜5重量%からなる混合物を、
▲1▼重合温度90〜180℃における半減期が0.05〜20分であるラジカル重合開始剤を使用し、かつ平均滞留時間がラジカル重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるように調製し、
▲2▼該組成物に対するラジカル重合開始剤濃度が1.0×10−4〜0.16モル/リットル、連鎖移動剤濃度が1.0×10−4〜0.37モル/リットルとなるように調製し、
▲3▼更に反応組成物をモノマー転化率40〜90%に維持しながら
連続的に重合させ、該重合反応で得られたポリマーの熱分解率(重合反応終了後、脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率)が、5重量%以下であることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法
【0016】
2段直列結合された完全混合槽を使用して(以下、B法ということがある)、メチルメタクリレート単独、またはメチルメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重量%以下のモノマー混合物71〜95重量%および溶媒29〜5重量%からなる混合物を、
▲1▼第1槽重合温度100〜170℃、第2槽重合温度130〜170℃における半減期が0.05〜20分であるラジカル重合開始剤を使用し、
▲2▼かつ平均滞留時間がラジカル重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるように設定し、
▲3▼該組成物に対するラジカル重合開始剤濃度が5.0×10−5〜0.12モル/リットル、連鎖移動剤濃度が1.0×10−4〜0.1モル/リットルとなるように調製し、
▲4▼該反応組成物を第2槽目モノマー転化率70〜90%に維持しながら
連続的に重合させ、該重合反応で得られたポリマーの熱分解率(重合反応終了後、脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率)が、5重量%以下であることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法
および
【0017】
2段に直列結合された第1段目反応器の完全混合槽と第2段目反応器のプラグフロー型反応器を使用して(以下、C法ということがある)、メタクリレート単独、またはメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重量%以下のモノマー混合物71〜95重量%および溶媒29〜5重量%からなる混合物を、
▲1▼重合温度が1段目完全混合槽100〜170℃、2段目プラグフロー型反応器100〜170℃にして、
▲2▼1段目完全混合槽の平均滞留時間が重合温度における開始剤の半減期の5〜7000倍、2段目プラグフロー型反応器での滞留時間が開始剤半減期の5〜50倍となるように設定し、
▲3▼該組成物に対するラジカル重合開始剤濃度1.0×10−4〜0.16モル/リットル、
▲4▼および連鎖移動剤濃度1.0×10−4〜0.1モル/リットルとなるように調製した反応組成物を
▲5▼2段目プラグフロー型反応器出口でのモノマー転化率を70〜90%に維持しながら
連続的に重合させ、該重合反応で得られたポリマーの熱分解率(重合反応終了後、脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率)が、5重量%以下であることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法
に関する発明である。
【0018】
(A)方法Aについて
1段完全混合槽を使用して行う場合(方法A)によれば、メチルメタクリレート単独、またはメチルメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重量%以下のモノマー混合物71〜95重量%および溶媒29〜5重量%からなる混合物、ラジカル重合開始剤および連鎖移動剤からなる原料組成物を、該組成物中のラジカル重合開始剤濃度が1.0×10−4〜0.16モル/リットルおよび連鎖移動剤濃度が1.0×10−4〜0.37モル/リットルとなるように調製し、重合温度90〜180℃、該重合温度における半減期が0.05〜20分であるラジカル重合開始剤を使用し、かつ該半減期の5〜7000倍である平均滞留時間にて、モノマー転化率40〜90%に維持しながら前記モノマーを連続的に重合することによって、重合工程で生成し、かつ脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率が5重量%以下の耐熱分解性を有するメタクリル樹脂を製造することができる。
【0019】
上記方法Aにおける条件のうち、特に好ましい条件は、下式(1)〜(3)を満足するものである。
【0020】
Figure 0003565229
【0021】
ここで、Cはモノマー転化率(%)、τはラジカル重合開始剤の半減期(分)θは平均滞留時間(分)、Tは重合温度(絶対温度)、Iはフィードされるラジカル重合開始剤濃度(モル/リットル)、Mはフィードされるモノマー濃度(モル/リットル)を示す。 また、D、E、FおよびGはそれぞれ下式で定義される。
【0022】
D=(7.75×10−3674/T ・ X)/〔100 +(7.75 ×10・ e−3674/T −1)C〕
E=(423e−6021/T ・S)/〔100 +(423e−6021/T −1)・C〕
F=(1.13×10−44529/T・C)/〔θ・(100−C)
G= 2.0×10−3・H−8.5×10−2・H+1
【0023】
ここで、Xはフィードされる連鎖移動剤濃度(モル/リットル)、Sはフィードされる溶媒濃度(モル/リットル)を示し、Hはモノマー転化率とフィードモノマー中のアクリレート濃度から導かれる定数であって、下式で定義される。
【0024】
H= m・(3.7×10−3・C+0.63)
(mはフィードモノマー中アクリレート濃度(モル%))
本発明でいう耐熱分解性は、重合槽中で得られた脱揮工程や押出成形工程を経る前の熱履歴を受けていないポリマーを、窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率で表す。本発明において、熱分解率は5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは2%以下とする。熱分解率が5%を越えると、成形時においてシルバーストリークスやボイド等の成形不良を生ずる。
【0025】
本発明のA法においては、上述のように、使用するモノマー成分としてはメチルメタクリレート単独またはメチルメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートまたはブチルアクリレート25重量%以下からなるモノマー混合物である。
本発明で使用する溶媒はトルエン、メタノール、アセトン、酢酸エチル等が挙げられるが、特にメタノールの使用が、重合反応後の処理等を考慮すると特に望ましい。溶媒の使用割合はモノマーもしくはモノマー混合物71〜95重量%に対し、溶媒29〜5重量%である。
【0026】
溶媒濃度が上記5重量%未満では、メチルメタクリレートのラジカル重合に顕著な自動促進効果、すなわち系内粘度上昇による重合速度の異常加速現象が生じ易く、安定に重合が維持できなくなる。 一方、溶媒濃度が上記29重量%を越えると、設定できる分子量範囲が狭められ、かつ熱分解し易い末端二重結合を有するポリマーの生成率が大きくなり、優れた耐熱分解性を有するポリマーの製造条件を設定範囲が極端に狭くなる。
【0027】
重合開始剤としては、ジ−t−ブチルパーカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、tーブチルパーオキシジネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、あるいは2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)等のアゾ化合物が挙げられ、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0028】
方法Aにおいては、原料組成物中のラジカル重合開始剤濃度は、1.0×10−4〜0.16モル/リットル、好ましくは1.0×10−4〜0.10モル/リットルの範囲である。ラジカル重合開始剤濃度が1.0×10−4モル/リットル未満では工業的に有利なモノマー転化率を達成することができず、生産効率が低下する。ラジカル重合開始剤濃度が0.16モル/リットルを越えると、高モノマー転化率を達成できるが設定できる分子量範囲が狭められ、かつ生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなり、耐熱分解性が著しく低下する。また、大量の重合開始剤の使用は製品ポリマーの透明性に問題が生じる。
【0029】
「有機過酸化物」資料集第13版、「アゾ系重合物開始剤(Azo Polymerization Initiators)」等のデータより知ることができる。
連鎖移動剤としては通常のラジカル重合で用いられるt−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等が使用できる。
方法Aにおいては、原料組成物中の連鎖移動剤濃度は、1.0×10−4〜0.37モル/リットルの範囲である。連鎖移動剤濃度が1.0×10−4モル/リットル未満であると、生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなり、耐熱分解性が低下する。
一方、連鎖移動剤濃度が0.37モル/リットルを越えると、生成ポリマーの分子量が小さくなり、成形材料としての使用に耐える機械的物性を得ることができない。
【0030】
これら重合開始剤と連鎖移動剤の重合槽への供給は、フィードする原料組成物に対して所望の濃度となるようにそれぞれ単独に供給してもよいが、予めモノマーもしくはモノマー混合物、あるいは溶媒に溶解してから連続供給するのが望ましい。
方法Aにおける重合温度は90〜180℃、好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは110〜170℃である。重合温度が低すぎると生成ポリマー鎖中に200℃以下で断裂する熱的に極めて弱いヘッド−ヘッド結合が残存する(ハタダ、キタヤマ、マスダ,ポリマージャーナル(K.Hatada,T.Kitayama,E.Masuda,Polymer Jounal),第1巻,No.5,395(1986)および前述、マクロモレキュレス(Macromolecules),19,2160(1986))。一方、重合温度が高すぎると、ポリマーを着色させると考えられるオリゴマーの生成が著しい(井手文雄、高分子,27巻,11月号,819(1978))。
【0031】
方法Aでは、平均滞留時間は、重合温度における重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるようにする。平均滞留時間が、重合開始剤の半減期の上記5倍未満では、モノマー転化率が低いにもかかわらず大量の重合開始剤が必要となるので製品ポリマーの透明性が損なわれる。一方、上記7000倍を越えると、重合反応槽が大きくなりすぎて工業的に不利である。 方法Aにおいては、モノマー転化率を40〜90%、好ましくは40〜80%、さらに好ましくは50〜80%に維持しながら連続的に重合する。モノマー転化率が上記40%未満では、単位時間当たりのポリマー収量が小さくなり、工業的に不利である。一方、上記90%を越えると、生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が急激に大きくなり、耐熱分解性が著しく低下する。
【0032】
(B)方法Bについて
次に本発明を2段に直列結合された完全混合槽を使用して行う場合(方法B)、前述の原料組成物を、該組成物中のラジカル重合開始剤濃度が5.0×10−5〜0.12モル/リットルおよび連鎖移動剤濃度が1.0×10−4〜0.1モル/リットルとなるように調製し、2段直列結合完全混合槽において、第1槽重合温度90〜170℃、第2槽重合温度130〜180℃、および該重合温度における半減期が0.05〜20分であるラジカル重合開始剤を使用し、かつ該半減期の5〜7000倍である平均滞留時間にて、第2槽でのモノマー転化率を40〜90%に維持しながら前記モノマーを連続的に重合することによって、重合工程で生成し、かつ脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率が5重量%以下である耐熱分解性を有するメタクリル樹脂を製造することができる。
【0033】
上記方法Bにおける条件のうち、特に好ましい条件は、下式(4)〜(6)を満足するものである。
【0034】
Figure 0003565229
【0035】
ここで、Ci (i=1または2)は第i槽のモノマー転化率(%)、τi は第i槽のラジカル重合開始剤の半減期(分)、θi は第i槽の平均滞留時間(分)、Tは第1槽の重合温度(絶対温度)、Iはフィードされるラジカル重合開始剤濃度(モル/リットル)、Mはフィードされるモノマー濃度(モル/リットル)を示す。
【0036】
また、D′、E′、F′およびG′はそれぞれ下式で定義される。
D′=(7.75 ×10−3674/T ・X)/[100+(7.75 ×10−3674/T −1)C
E′=( 423e−6021/T ・S)/〔 100+(423e−6021/T −1)・C
F′=( 1.13 ×10−44529/T・C)/〔θ・(100 −C
G′= 2.0×10−3・H −8.5 ×10−2・H+1
【0037】
ここで、Xはフィードされる連鎖移動剤濃度(モル/リットル)、Sはフィードされる溶媒濃度(モル/リットル)を示し、Hは第1槽のモノマー転化率とフィードモノマー中のアクリレート濃度から導かれる定数であって、下式で定義される。
=m・(3.7×10−3・C+0.63)
(mはフィードモノマー中アクリレート濃度(モル%))
方法Bにおいては、前述の原料組成物中の単量体混合物は第1槽目に供給されるが、一部を第2槽目にサイドフィードすることもできる。その際、1、2槽目に供給される単量体混合物組成は必ずしも一致させる必要はない。第2槽目から流出するポリマー中のアクリレート単位濃度が所望する濃度になるように供給される。サイドフィード量はメインフィード量に対して1/50〜1/5の割合が望ましい。
【0038】
方法Bにおいては、前述の原料組成物中のラジカル重合開始剤濃度は、5.0×10−5〜0.12モル/リットル、好ましくは5.0×10−5〜0.10モル/リットルの範囲である。ラジカル重合開始剤濃度が5.0×10−5モル/リットル未満では工業的に有利なモノマー転化率を達成することができず、生産効率が低下する。ラジカル重合開始剤濃度が0.12モル/リットルを越えると、高モノマー転化率を達成できるが設定できる分子量範囲が狭められ、かつ生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなり、耐熱分解性が著しく低下する。また、大量の重合開始剤の使用は製品ポリマーの透明性に問題が生じる。
【0039】
また、方法Bにおいては、前述の原料組成物中の連鎖移動剤濃度は、1.0×10−4〜0.10モル/リットル、好ましくは2.0×10−3〜0.06モル/リットルの範囲である。連鎖移動剤濃度が上記1.0×10−4モル/リットル未満であると、生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなり、耐熱分解性が低下する。一方、上記0.10モル/リットルを越えると、生成ポリマーの分子量が小さくなり、充分な機械的物性を得ることができない。
これら重合開始剤と連鎖移動剤の重合槽への供給は、フィードする原料組成物に対して所望の濃度となるようにそれぞれ単独に供給してもよいが、予めモノマーもしくはモノマー混合物、あるいは溶媒に溶解してから連続供給するのが望ましい。
【0040】
また、連鎖移動剤の一部を第2槽目にサイドフィードすることもできる。第1槽目と第2槽目とから生成するポリマーの分子量ができるだけ等しくなるように供給することが望ましい。方法Bにおける重合温度は第1槽で90〜170℃、好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは110〜170℃、第2槽で120〜180℃、好ましくは120〜170℃、さらに好ましくは130〜170℃である。第1槽、第2槽で必ずしも一致させる必要はない。重合温度が低すぎると生成ポリマー鎖中に200℃以下で断裂する熱的に極めて弱いヘッド−ヘッド結合が残存する可能性がある(前述、ポリマー ジャーナル(Polymer Jounal),第1巻,No.5,395(1986)およびマクロモレキュレス(Macromolecules),19,2160(1986))。一方、重合温度が高すぎると、ポリマーを着色させると考えられるオリゴマーの生成が著しい(前述、高分子,27巻,11月号,819(1978))。また、第2槽目での重合温度が上記120℃未満では反応液粘度が高くなり、充分な撹拌ができなくなる。
【0041】
方法Bにおいて、平均滞留時間は、重合温度における重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるようにするが、第1槽、第2槽で必ずしも一致させる必要はない。平均滞留時間が、重合開始剤の半減期の上記5倍未満では、所望のモノマー転化率を得るには大量の重合開始剤が必要となるので製品ポリマーの透明性が損なわれる。一方、上記7000倍を越えると、重合反応槽が大きくなりすぎて工業的に不利である。
方法Bにおいて、モノマー転化率を第2槽目で70〜90%、好ましくは70〜80%に維持しながら連続的に重合する。第2槽目のモノマー転化率が上記70%未満では、単位時間当たりのポリマー収量が小さくなり、反応槽を二つ使用する優位性がなくなる。一方、第2槽目のモノマー転化率が上記90%を越えると、生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が急激に大きくなり、耐熱分解性が著しく低下する。
【0042】
(C)方法Cについて
さらに、本発明の方法を2段に直列結合された第1段反応器の完全混合槽と第2段反応器のプラグフロー型反応器を使用して行う場合(方法C)、前述の原料組成物を、該組成物中のラジカル重合開始剤濃度が1.0×10−4〜0.16モル/リットルおよび連鎖移動剤濃度が1.0×10−4〜0.1モル/リットルとなるように調製し、2段に直列結合された第1段反応器の完全混合槽と第2段反応器のプラグフロー型反応器において、第1段反応器である完全混合槽での重合温度90〜180℃、および前記完全混合槽の平均滞留時間が重合時間における重合開始剤半減期の5〜7000倍、前記プラグフロー型反応器での滞留時間が重合温度における重合開始剤半減期の5〜50倍となるようにして、該プラグフロー型反応器出口でのモノマー転化率を70〜90%に維持しながら前記モノマーを連続的に重合することによって、重合工程で生成し、かつ脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率が5重量%以下である耐熱分解性を有するメタクリル樹脂を製造することができる。
【0043】
上記方法Cにおける条件のうち、特に好ましい条件は、下式(7)〜(9)を満足するものである
Figure 0003565229
【0044】
ここで、Cは第1段完全混合槽のモノマー転化率(%)、τは第1段完全混合槽のラジカル重合開始剤の半減期(分)、θは第1段完全混合槽の平均滞留時間(分)、Tは第1段完全混合槽の重合温度(絶対温度)、Iはフィードラジカル重合開始剤の濃度(モル/リットル)、Mはフィードモノマーの濃度(モル/リットル)を示す。
【0045】
また、D、E、FおよびGはそれぞれ下式で定義される。
D=(7.75×10−3674/T ・X)/[100+(7.75 ×10−3674/T −1) ・C] E=( 423e−6021/T ・S)/〔100 +(423e−6021/T −1)・C〕
F=(1.13×10−44529/T・C)/〔θ・( 100−C)
G= 2.0×10−3・H−8.5×10−2・H+1
【0046】
ここで、Xはフィードされる連鎖移動剤濃度(モル/リットル)、Sはフィードされる溶媒濃度(モル/リットル)を示し、Hはモノマー転化率とフィードモノマー中のアクリレート濃度から導かれる定数であって、下式で定義される。
H=m・(3.7 ×10−3・C+0.63)
(mはフィードモノマー中 アクリレート濃度(モル%))
【0047】
方法Cにおいては、原料となるモノマーあるいはモノマー混合物は、通常はその全量が1段目完全混合槽に供給されるが、その一部を2段目プラグフロー型反応器入り口および/あるいは途中にサイドフィードすることもできる。
その際、1段目、2段目に供給される単量体混合物組成は必ずしも一致させる必要はない。2段目から流出するポリマー中のアクリレート単位濃度が所望する濃度になるように供給される。サイドフィード量はメインフィード量に対して1/50〜1/5の割合が望ましい。方法Cにおいては、前述の原料組成物中のラジカル重合開始剤濃度は、1.0×10−4〜0.16モル/リットル、好ましくは1.0×10−4〜0.12モル/リットルの範囲である。ラジカル重合開始剤濃度が、上記1.0×10−4モル/リットル未満では、1段目完全混合槽でのモノマー転化率が低く、結果的に2段目プラグフロー型反応器で生成したポリマーの割合が大きくなり分子量分布が広がってしまう。
【0048】
一方、上記0.16モル/リットルを越えると、高モノマー転化率を達成できるが設定できる分子量範囲が狭められ、かつ生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなり、耐熱分解性が著しく低下する。また、大量の重合開始剤の使用は製品ポリマーの透明性に問題が生じる。 また、方法Cにおいては、前述の原料組成物中の連鎖移動剤濃度は、1.0×10−4〜0.1モル/リットル、好ましくは1.6×10−3〜0.1モル/リットルの範囲である。連鎖移動剤濃度が上記1.0×10−4モル/リットル未満であると、生成ポリマー中の末端二重結合を有するポリマーの含有率が極端に大きくなることにより、耐熱分解性が著しく低下する。一方、上記0.1モル/リットルを越えると、生成ポリマーの分子量が小さくなり、充分な機械的物性を得ることができない。 また、連鎖移動剤は一部を2段目プラグフロー型反応器入口および/あるいは途中にサイドフィードすることもできる。1段目完全混合槽出口と2段目プラグフロー型反応器出口から流出するポリマーの分子量ができるだけ等しくなるように供給することが望ましい。
【0049】
方法Cにおいて、重合温度は、1段目完全混合槽で90〜180℃、好ましくは100〜170℃、さらに好ましくは110〜170℃である。2段目プラグフロー型反応器で100〜180℃、好ましくは100〜170℃である、さらに好ましくは110〜170℃である。1段目、2段目で必ずしも一致させる必要はない。重合温度が低すぎると生成ポリマー鎖中に200℃以下で断裂する熱的に極めて弱いヘッド−ヘッド結合が残存する可能性がある(前述、ポリマー
ジャーナル(Polymer Jounal),第1巻,No.5,395(1986)およびマクロモレキュレス(Macromolecules),19,2160(1986))。一方、重合温度が高すぎると、ポリマーを着色すると考えられるオリゴマーの生成が著しい(前述、高分子,27巻,11月号,819(1978))。
【0050】
この方法Cにおいて、1段目完全混合槽の平均滞留時間は、重合温度における重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるようにする。平均滞留時間が、重合開始剤の半減期の上記5倍未満では、所望のモノマー転化率を得るには大量の重合開始剤が必要となるので製品ポリマーの透明性が損なわれる。一方、上記7000倍を越えると、重合反応槽が大きくなりすぎて工業的に不利である。2段目プラグフロー型反応器の滞留時間は、重合温度における開始剤半減期の5〜50倍となるようにする。滞留時間が、重合開始剤の半減期の上記5倍未満では、モノマー転化率を高くすることができない。一方、上記50倍を越えると、プラグフロー型反応器が大きくなりすぎて、反応器を二つ使用する優位性が小さくなる。
【0051】
方法Cでは、モノマー転化率を2段目プラグフロー型反応器出口で70〜90%になるように連続的に重合する。2段目プラグフロー型反応器出口でのモノマー転化率が上記70%未満では、単位時間当たりのポリマー収量が小さくなり反応器を二つ使用するメリットが小さくなる。一方、2段目のモノマー転化率が上記90%を越えるには、反応器が極端に大きなものにするか、重合温度あるいは開始剤濃度を高めることを必要とし、先の多くの問題を生じる。
【0052】
なお、方法A、BおよびCによって優れた耐熱分解性を有するメタクリル樹脂を製造するには、上述の条件を選定すればよいが、さらに反応系の酸素は充分に除去しておくことが好ましい(前述、高分子,27巻,11月号,819(1978))。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、1段完全混合槽型連続重合法(A法)、2段に直列結合された完全混合槽型連続重合法(B法)および完全混合槽とプラグフロー型反応器とを直列結合した連続重合法(C法)において、特定のラジカル重合開始剤の半減期とその濃度、連鎖移動剤濃度、モノマー濃度および溶媒濃度、重合温度、平均滞留時間の条件下で反応させることにより、重合工程直後、すなわち真空脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーが優れた耐熱分解性を有するメタクリル樹脂を製造することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。本例で示すポリマーの物性測定は以下の方法により行った。
本実施例、比較例において、「部」は「重量部」を示す。
(1)耐熱分解性の測定は熱重量分析によった。セイコー電子工業(株)製RTG220型熱重量分析(TGA)装置を用いて、メタクリル樹脂約5mgを白金パン上に置き、300ml/minの窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの昇温速度で加熱し減量変化を測定した。
(2)モノマー転化率は、GLサイエンス製GC−380型ガスクロマトグラフィーを用いて重合槽から流出する反応液中の未反応モノマー濃度を測定することにより求めた。
【0055】
(3)ポリマーの分子量は東ソー製8010型ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
(4)ポリマーの全光線透過率の測定には日本電色工業製Z−Sensor Σ80
NDHを用いて、透過法で測定した。 以下、実施例1〜5、比較例1〜2に1段完全混合槽型連続重合について説明する。実施例6〜10、比較例3〜4には2段直列結合された完全混合槽型連続重合について、実施例11〜15、比較例5〜6には完全混合槽とプラグフロー型反応器を2段直列結合して行う連続重合について、それぞれ説明する。
【0056】
実施例1
1段完全混合槽型連続重合の実施例を示す。
メチルメタクリレート88.3部(8.11モル/リットル)、メチルアクリレート5.5部(0.69モル/リットル)、メタノール6.2部(1.79モル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン0.15モル%(0.016モル/リットル)、2, 2’−アゾビスイソブチロニトリルを4.2×10−3モル%(0.45ミリモル/リットル)の濃度となるように配合して得られた組成物をヘリカルリボン翼付き10リットル完全混合槽に、1Kg/Hrで連続的にフィードして連続重合を行った。重合槽内の反応液量は5Kgとした。したがって、平均滞留時間は5時間とした。重合温度は150℃となるようにジャケット温度を調整した。モノマー転化率は61.5%、ポリマーの重量平均分子量は85,000でそれぞれ一定となり、安定に運転できた。
【0057】
重合槽液面が一定となるように底部から反応液をギヤポンプで抜き出し、熱交換器で270℃に加熱した後、圧力が10torrに調節された脱揮槽内に連続的に導入してフラッシュさせた。揮発分を除去した溶融ポリマーは底部よりギヤポンプでストランドとして抜き出し、切断してペレットとした(熱履歴を受けたポリマーP)。また、重合槽から流出する反応液より沈澱精製することによってもポリマーを得た(熱履歴を受けていないポリマーP)。
【0058】
表1に使用したモノマー濃度、モノマー中アクリレート濃度、メタノール濃度、重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度、使用した重合開始剤の半減期、設定した平均滞留時間、重合温度、到達したモノマー転化率、およびこれらを(1)式〜(3)式に代入した各々の値と熱重量分析によって測定した生成ポリマーの熱分解率を示す。熱履歴を受ける前の沈澱精製ポリマー(P)と加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果を図1、図2にそれぞれ示す。両者とも実質的な熱分解開始温度は300℃であった。熱分解率はPで0.5%、Pで0.2%であり、重合工程、脱揮工程にかかわらず耐熱分解性良好なポリマーが得られたことがわかった。 真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスやボイドの発生は全くみられなかった。全光線透過率は93%であり、優れた透明性を有していた。
【0059】
Figure 0003565229
【0060】
実施例2〜5
実施例1と同様の方法により各種条件で1段完全混合槽型連続重合を実施した。いずれの実施例でも重合反応は安定に制御され耐熱分解性良好なポリマーが得られた。表2に原料組成、重合条件、モノマー転化率、樹脂の特性(重量平均分子量、熱分解率)を示した。
【0061】
Figure 0003565229
【0062】
表2中の略語の説明(以下の表中においても同様の略語を使用する)
MMA:メチルメタクリレート MA:メチルアクリレート
EA :エチルアクリレート BA:ブチルアクリレート
AIBN:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
DTAP:ジ−t−アミルパーオキサイド
DTBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド
DM :n−ドデシルメルカプタン
OM :n−オクチルメルカプタン
【0063】
比較例1
1段完全混合槽型連続重合例である。
メチルメタクリレート50.1部(4.29モル/リットル)、メチルアクリレート1.8部(0.21モル/リットル)、メタノール48.1部(12.91モル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン5.7×10−4モル%(0.1ミリモル/リットル)、ジ−t−アミルパーオキサイド0.017モル%(3.0ミリモル/リットル)からなる組成物1.67Kg/Hrを実施例1と同様の重合槽に連続的にフィードして平均滞留時間180分 (θ/τ=4.0)、重合温度は140℃で連続重合を行ったところ、モノマー転化率67.7%、重量平均分子量73,000で運転維持できた。 表3に使用したモノマー濃度、モノマー中アクリレート濃度、メタノール濃度、重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度、使用した重合開始剤の半減期、設定した平均滞留時間、重合温度、到達したモノマー転化率、およびこれらを(1)式〜(3)式に代入した各々の値と熱重量分析によって測定した生成ポリマーの熱分解率を示す。
【0064】
実施例1と同様に重合槽から流出する反応液より沈澱精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)と270℃で真空脱揮した後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果を図3、図4にそれぞれ示す。熱分解開始温度は重合槽から流出するポリマー(P)、270℃の真空脱揮した後のポリマー(P)ともに250℃であった。重合槽から流出するポリマーの300℃までの分解率は9.0%であった。
真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスが発生し、全光線透過率は91%であった。
【0065】
Figure 0003565229
【0066】
比較例2
1段完全混合槽型連続重合例である。
メチルメタクリレート44.8部(3.85モル/リットル)、メチルアクリレート5.0部(0.50モル/リットル)、メタノール50.2部(13.43モル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン0.011モル%(2.0ミリモル/リットル)、ラウロイルパーオキサイド0.028モル%(5.0ミリモル/リットル)からなる組成物を重合槽に連続的にフィードして平均滞留時間300分(θ/τ=6.7)、重合温度は90℃で連続重合を行ったところ、モノマー転化率64.0%、重量平均分子量80,000で安定に運転が維持できた。重合槽から流出する反応液より沈澱精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)と270℃の真空脱揮した後の熱履歴を受けたポリマー(P)の熱分解温度は、いずれも250℃であった。重合槽から流出するポリマー(P)の300℃までの分解率は12.6であった。
【0067】
実施例6
2段に直列結合された完全混合槽型連続重合を行うに当たり、第1槽、第2槽ともにヘリカルリボン翼付き10リットル完全混合槽を使用した。 メチルメタクリレート84.6部、メチルアクリレート6.3部、メタノール9.1部、n−ドデシルメルカプタン0.148モル%、ジ−t−アミルパーオキサイド0.006モル%からなる組成物を第1槽目に1Kg/Hrで連続的にフィードするとともに第1槽液面レベルが一定となるように底部よりギヤポンプで抜き出して第2槽に流入させ、さらに第2槽の液面レベルが一定となるように第2槽底部よりギヤポンプで抜き出した。重合槽内の反応液量は両槽とも5Kg、平均滞留時間はともに5時間とした。重合温度は150℃となるようにジャケット温度を調整した。したがって、平均滞留時間は開始剤半減期の16.9倍となった。1段目のモノマー転化率61.5%、2段目はモノマー転化率73.4%、重量平均分子量85,000であった。
【0068】
第2槽底部から抜き出した反応液を熱交換器で270℃に加熱した後、圧力が10torrに調節された脱揮槽内に連続的に導入してフラッシュした。揮発分を除去された溶融ポリマーは底部よりギヤポンプでストランドとして抜き出し、切断してペレットを得た(P)。また、第2槽から流出する反応液より沈澱精製することによってもポリマーを得た(P)。 表4に使用したモノマー濃度、モノマー中アクリレート濃度、メタノール濃度、重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度、使用した重合開始剤の半減期、設定した平均滞留時間、重合温度、到達したモノマー転化率、およびこれらを(4)式〜(6)式に代入した各々の値と熱重量分析によって測定した生成ポリマーの熱分解率を示す。
【0069】
重合工程後の熱履歴を受ける前の沈澱精製ポリマー(P)と脱揮工程後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果を図5、図6にそれぞれ示す。両者とも実質的な熱分解開始温度は300℃であった。熱分解率はPで0.5%、Pで0.2%であり、重合工程、脱揮工程にかかわらず耐熱分解性良好なポリマーが得られたことがわかった。 真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスやボイドの発生は全くみられなかった。全光線透過率は93%であり、優れた透明性を有していた。
【0070】
Figure 0003565229
【0071】
実施例7〜10
実施例6と同様の方法により各種条件で2段に直列結合された完全混合槽型連続重合を実施した。いずれの実施例でも重合反応は安定に制御され耐熱分解性良好なポリマーが得られた。表5に原料組成、重合条件、モノマー転化率、樹脂の特性(重量平均分子量、熱分解率)を示した。
【0072】
Figure 0003565229
【0073】
Figure 0003565229
【0074】
比較例3
2段に直列結合された完全混合槽型連続重合を実施した。
メチルメタクリレート58.3部、メチルアクリレート2.0部、メタノール39.7部、n−ドデシルメルカプタン3.2ミリモル/リットル、ジ−t−アミルパーオキサイド2.0ミリモル/リットルからなる組成物を1.67Kg/Hrで第1槽に連続的にフィードし、さらに第2槽にメチルメタクリレート90.0部、メチルアクリレート10.0部、n−ドデシルメルカプタン1.2ミリモル/リットル、ジ−t−アミルパーオキサイド1.9ミリモル/リットルからなる組成物を120g/Hrでサイドフィードした。2槽とも重合温度140℃、平均滞留時間3時間で連続重合を行った。したがって、平均滞留時間は開始剤半減期の3.4倍となった。1段目のモノマー転化率63.8%、2段目のモノマー転化率82.2%、重量平均分子量86,000で運転維持した。
【0075】
重合槽から流出する反応液より沈澱精製した熱履歴を受けていないポリマー(P)と270℃で真空脱揮した後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果を図7、図8にそれぞれ示す。熱分解開始温度は重合槽から流出するポリマー、270℃の真空脱揮した後のポリマーともに250℃であった。重合槽から流出するポリマーの300℃までの分解率は7.0であった。 真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスが発生し、全光線透過率は91%であった。
【0076】
Figure 0003565229
【0077】
比較例4
2段に直列結合された完全混合槽型連続重合の例である。
メチルメタクリレート62.0部(5.44モル/リットル)、メチルアクリレート0.6部(0.06モル/リットル)、メタノール37.4部(10.24モル/リットル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.007モル%(1.1ミリモル/リットル)からなる組成物を実施例1と同様の第1槽に1.67Kg/Hrで連続的にフィードし、さらに第2槽にメチルメタクリレート95.0部(8.93モル/リットル)、メチルアクリレート5.0部(0.55モル/リットル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.12モル%(11.5ミリモル/リットル)からなる組成物を120g/Hrでサイドフィードした。2槽とも重合温度130℃、平均滞留時間3時間で連続重合を行った。したがって、平均滞留時間は開始剤半減期の479倍となった。1段目のモノマー転化率60.3%、2段目のモノマー転化率82.7%、重量平均分子量79.000で運転維持した。
【0078】
第2槽から流出する反応液より沈澱精製したポリマー(P)と270℃で真空脱揮した後のポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果、いずれのポリマーも熱分解開始温度は250℃であった。熱履歴を受ける前のポリマー(P)の熱分解率は8.2%であった。
真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスが発生し、全光線透過率は91%であった。
【0079】
実施例11
直列結合された1段目完全混合槽と2段目プラグフロー型反応器を使用して連続重合を行うに当たり、1段目にヘリカルリボン翼付き10リットル完全混合槽、2段目に熱媒ジャケット付きスタティックミキサー(内径3/4インチ)を用いた。メチルメタクリレート84.6部(7.82モル/リットル)、メチルアクリレート6.4部(0.68モル/リットル)、メタノール9.1部(2.61モル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン0.148モル%(0.14モル/リットル)、ジ−t−アミルパーオキサイド6ミリモル%(6ミリモル/リットル)からなる組成物を1段目完全混合槽に1Kg/Hrで連続的にフィードするとともに槽底部よりギヤポンプにて抜き出して2段目のスタティックミキサーに流入させた。
1段目の槽内の反応液量は5Kgとし、レベル一定となるように流量調整を行い、平均滞留時間は5時間とした。2段目のスタティックミキサーの滞留時間は2時間とした。重合温度はともに150℃となるようにジャケット温度を調整した。結果、1段目のモノマー転化率61.3%、2段目はモノマー転化率80.7%、重量平均分子量85,000であった。
【0080】
スタティックミキサー出口からの反応液は熱交換器に導入して270℃に加熱した後、圧力が10torrに調節された脱揮槽内に連続的に導入してフラッシュした。揮発分を除去された溶融ポリマーは脱揮槽底部よりギヤポンプでストランドとして抜き出し、切断してペレットとした(P)。また、スタティックミキサーから流出する反応液を沈澱精製することによってもポリマーを得た(P)。表7に使用したモノマー濃度、モノマー中アクリレート濃度、メタノール濃度、重合開始剤濃度、連鎖移動剤濃度、使用した重合開始剤の半減期、設定した平均滞留時間、重合温度、到達したモノマー転化率、およびこれらを(7)式〜(9)式に代入した各々の値と熱重量分析によって測定した生成ポリマーの熱分解率を示す。
熱履歴を受ける前の沈澱精製ポリマー(P)と脱揮工程後の熱履歴を受けたポリマーの耐熱分解性を調べた結果を図9、図10にそれぞれ示す。両者とも実質的な熱分解開始温度は300℃であり、それらの熱分解率はPで0.6%、Pで0.2%であり、重合工程、脱揮工程にかかわらず耐熱分解性良好なポリマーが得られたことがわかった。 真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したが、シルバーストリークスやボイドの発生は全くみられなかった。全光線透過率は93%であり、優れた透明性を有していた。
【0081】
Figure 0003565229
【0082】
実施例12〜15
実施例11と同様の方法により各種条件で2段直列結合された完全混合槽とプラグフロー型反応器を使用した連続重合を行った。第1段にヘリカルリボン翼付き10リットル完全混合槽、第2段にスタティックミキサーを用いた。いずれの実施例でも重合反応は安定に制御され耐熱分解性良好なポリマーが得られた。表8に原料組成、重合条件、モノマー転化率、樹脂の特性(重量平均分子量、熱分解率)を示した。
【0083】
Figure 0003565229
【0084】
Figure 0003565229
Figure 0003565229
【0085】
比較例5
完全混合槽とプラグフロー型反応器とを直列結合して連続重合を行った。
メチルメタクリレート59.6(5.23モル/リットル)、メチルアクリレート2.6部(0.27モル/リットル)、メタノール37.7部(10.32モル/リットル)、ジ−t−アミルパーオキサイド0.021モル%(2.0ミリモル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン0.021モル%(2.0ミリモル/リットル)からなる組成物を1.67kg/hrで1段目完全混合槽に連続的にフィードし、2段目反応器のスタティックミキサーに導入した。さらに、メチルメタクリレート80.0部(7.53モル/リットル)、メチルアクリレート20.0部(2.19モル/リットル)、ジ−t−アミルパーオキサイド0.051モル%(5.0ミリモル/リットル)、n−ドデシルメルカプタン0.051モル%(5.0ミリモル/リットル)からなる組成物を167g/hrでスタティックミキサー入口部サイドフィードした。
【0086】
両反応器とも重合温度140℃、平均滞留時間3hr、滞留時間2hrで重合させた。したがって、完全混合槽の平均滞留時間は開始剤半減期の3.4倍、スタティックミキサーの滞留時間は2.3倍であった。
結果、1段目のモノマー転化率58.3%、2段目スタティックミキサー出口でのモノマー転化率88.2%、重量平均分子量79,000であった。 スタティックミキサー出口から流出する反応液より沈澱精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)と270℃で真空脱揮した後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果を図11、図12にそれぞれ示す。熱分解開始温度は重合槽から流出するポリマー、270℃の真空脱揮した後のポリマーともに250℃であった。重合槽から流出するポリマー(P)の300℃までの熱分解率は7.0であった。
真空脱揮したポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したところ、シルバーストリークスが発生し、白濁した。全光線透過率は91%であった。
【0087】
Figure 0003565229
【0088】
比較例6
2段直列結合された完全混合槽とプラグフロー型反応器を使用した連続重合を行った。メチルメタクリレート5.70モル/リットル、メチルアクリレート0.20モル/リットル、メタノール9.95モル/リットル、n−ドデシルメルカプタン2.1ミリモル/リットル、ジ−t−ブチルパーオキサイド3.2ミリモル/リットルからなる組成物を1.67Kg/Hrで第1槽に連続的にフィードし、さらに第2段スタティックミキサーにメチルメタクリレート8.47ル/リットル、メチルアクリレート1.09モル/リットル、n−ドデシルメルカプタン5.0ミリモル/リットル、ジ−t−ブチルパーオキサイド5.0ミリモル/リットルからなる組成物を110g/Hrでサイドフィードした。
【0089】
両反応器とも重合温度140℃、第1槽の平均滞留時間3時間、第2段スタティックミキサーの滞留時間2hrで連続重合を行った。 1段目のモノマー転化率62.7%、2段目のモノマー転化率88.0%、重量平均分子量100,000で運転維持した。第2段スタティックミキサーから流出する反応液より沈澱精製したポリマー(P)と270℃の真空脱揮後のポリマー(P)の耐熱分解性を調べた結果、いずれのポリマーサンプルも熱分解開始温度は250℃であった。
重合槽から流出するポリマーの300℃までの熱分解率は9.5であった。
脱揮されたポリマーをアーブルク製45t射出成形機を用いて260℃で150mmφ×3mmの円板を成形したところ、シルバーストリークスが発生し、白濁した。全光線透過率は91%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図2】実施例1での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図3】比較例1での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図4】比較例1での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図5】実施例6での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図6】実施例6での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図7】比較例3での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図8】比較例3での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図9】実施例11での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図10】実施例11での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図11】比較例5での沈殿精製した熱履歴を受ける前のポリマー(P)の耐熱分解性を示す。
【図12】比較例5での加熱真空脱揮後の熱履歴を受けたポリマー(P)の耐熱分解性を示す。

Claims (3)

  1. 1段完全混合槽を使用して、メチルメタクリレート単独、またはメチルメタクリレート75重量%以上とメチルアクリレート、エチルアクリレートもしくはブチルアクリレートから選ばれた少なくとも一種以上が25重量%以下のモノマー混合物71〜95重量%および溶媒29〜5重量%からなる混合物を、
    1.重合温度90〜180℃における半減期が0.05〜20分であるラジカル重合開始剤を使用し、かつ平均滞留時間がラジカル重合開始剤の半減期の5〜7000倍となるように調製し、
    2.該組成物に対するラジカル重合開始剤濃度が1.0×10-4〜0.16モル/リットル、連鎖移動剤濃度が1.0×10-4〜0.37モル/リットルとなるように調製し、
    3.更に反応組成物をモノマー転化率40〜90%に維持しながら連続的に重合させ、該重合反応で得られたポリマーの熱分解率(重合反応終了後、脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーを窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率)が、5重量%以下であることを特徴とするメタクリル樹脂の製造方法。
  2. 重合反応終了後、脱揮工程や押出成形工程を経る前のポリマーの熱分解率(窒素気流中、30℃から300℃まで2℃/minの割合で加熱昇温したときの熱分解率)が、2重量%以下である請求項1項記載のメタクリル樹脂の製造方法。
  3. 溶媒がメタノールである請求項項記載のメタクリル樹脂の製造方法。
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