JP3602267B2 - 点火コイル装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの点火プラグに直接取付ける点火コイル装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、点火コイル装置として、例えば、実開昭62−179364号公報「点火コイル」)の技術がある。この技術は、その公報の第1図によれば、点火栓3(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に嵌着する点火栓接続キャップ19を、同心に配列したコア15、二次コイル14、一次コイル12でこの順に囲い、これらを有底円筒のケース11で囲い、このケース11内を絶縁性合成樹脂26でシールしたものである。
ケース11は、内部に一次コイル12を巻回したものであり、ボビン13は、コア15の円筒部16を埋設するとともに二次コイル14を巻回したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術は、ボビン13とコア15(ヨークに相当)が一体であり、▲1▼ボビン13に巻かれた二次コイル14の発熱量が大きいため、ボビン13とコア15の材質の違いからくる熱膨張の違いにより、熱応力が発生したり、▲2▼また、全体的に重くなるので、ボビン13に二次コイル14を巻くに際し、取扱いにくく、作業性は劣る。
そこで、ボビン13とコア15を別体にすることになると、部品点数が増え、コストアップや生産性の低下につながる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ボビンが高温になってもボビンとヨークが互いに熱影響を受けず、且つ、二次コイルを容易に巻回でき、それでいて、部品点数を減らして、コストの低減や生産性の向上を図った点火コイル装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1は、点火プラグに嵌着するプラグキャップを、同心に配列したヨーク、二次コイル用ボビン及び一次コイル用ボビンで囲い、更に、これらをケースで囲ってなる点火コイル装置において、ヨークを保持するためのヨーク保持部を前記ケースと一体に形成し、また、前記二次コイル用ボビンを前記ケースと別部品で構成したことを特徴とする。
【0006】
二次コイル用ボビンを、ヨークを保持したケースと別部品で構成したので、二次コイル用ボビンが全体的に軽くなり、ボビンにコイルを巻くに際し、取扱い易く、二次コイルを容易に巻回でき、作業性に優れる。また、二次コイル用ボビンとヨークが別体なので、通電時にボビンが高温になっても、ボビンとヨークは互いに熱影響を受け難い。しかも、ケースにヨークを備えたので点火コイル装置を構成する部品数を少なくでき、コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
また、ヨーク保持部をケースと一体に形成したので、ケースにヨークを直接取付けることができる。その結果、ケースにヨークの位置を正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースとヨークの位置関係がずれない。
【0007】
請求項2は、ケースを、ドーナツ状底部と、この底部の内外縁から立上がった内筒部及び外筒部とからなる構成とし、内筒部を、プラグキャップ及びヨークを保持する部材とし、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するとともに、シール用充填剤を充填可能にしたことを特徴とする。
【0008】
ケースの内筒部にヨークを保持し、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するようにしたので、簡単な構成で、ケースに対する一次・二次コイル用ボビンとヨークの位置決めができる。その結果、一次コイルと二次コイルとヨークとの位置関係を、正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースにシール用充填剤を充填する際や、点火コイル装置を組立後に、互いの位置関係がずれることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向に従い、また、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図であり、スクータ型自動二輪車1は車体フレーム2と、この車体フレーム2を覆う車体カバー11と、前輪21と、後輪22と、運転者が座るシート25と、燃料タンク26と、パワーユニット31と、リヤクッション47等からなる。
【0010】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3に支承した前輪21懸架用フロントフォーク4と、ヘッドパイプ3の後下方に延出したダウンチューブ5と、このダウンチューブ5の下端から後方に連設したリヤフレーム6とからなる。
リヤフレーム6は、ダウンチューブ5の下端から後方に略水平に延びる左右1対の前部フレーム部6a(この図では一方のみを示す)と、これらの前部フレーム部6aの後部から後上方に延びる左右1対の中間フレーム部6bと、これらの中間フレーム部6bの後端を相互に連結する後部フレーム部6cとからなる、平面視略楕円状フレームである。
【0011】
車体カバー11はヘッドパイプ3の前部及び前輪21の上部を覆うフロントカバー12及びにフロントサイドカバー13と、運転者の脚部前方を覆うレッグシールド14と、運転者の足元を支持するフロアボード15と、車体フレーム2の後部両側面を覆うリヤロアカバー16と、車体フレーム2の後部上部を覆うリヤアッパカバー17と、後輪22の上部を覆うリヤフェンダ24とからなる。
【0012】
リヤアッパカバー17に開閉可能にヒンジ装着したシート25は、リヤアッパカバー17の上部の開口部を覆う役割を果たす。
燃料タンク26は、レッグシールド14の下方において、前部フレーム部6aに取付けたものである。
【0013】
パワーユニット31は、前部の2サイクル強制空冷型エンジン32と、後部の無段変速機39とを一体的に組立たユニットである。無段変速機39は、この無段変速機39に取付けた後輪22に、エンジン32の出力を伝達するものである。
【0014】
自動二輪車1のリヤサスペンションは、車体フレーム2の後部にリヤクッション(ダンパ)47でパワーユニット31を吊下げた、スイングアーム方式であり、パワーユニット31をスイングアームとしたことを特徴とする。
詳述すれば、リヤサスペンションは、パワーユニット31の前部を、リンク機構41で中間フレーム部6bに前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に取付け、パワーユニット31の後部を、リヤクッション47で中間フレーム部6bに懸架したものである。
【0015】
図2は本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図であり、燃料タンク26とエンジン32との配置関係を示す。
リンク機構41は、中間フレーム部6bに取付けた支持部42と、この支持部42に前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に支持したリンク43と、このリンク43の揺動先端に前後揺動可能に連結したピボット44とからなり、このピボット44は、エンジン32のシリンダブロック(図示せず)上部に一体形成したものである。
【0016】
エンジン32は、エンジン前端部に着脱可能な点火コイル装置50を備え、この点火コイル装置50は、燃料タンク26の後部近傍に配設したものである。
なお、27は燃料タンク26に給油するために、リヤアッパカバー17の前部に設けたリッドである。
【0017】
図3は本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図であり、燃料タンク26に点火コイル装置50が近接するため、燃料タンク26の後部を斜めにカットして干渉を避けるようにしたことを示す。
点火コイル装置50にカプラ71で接続する外部配線72は、平面視左側(この図の下側)を向いて配線したものであり、このため、カプラ71及び外部配線72が、燃料タンク26の後端面26aに当たることはない。
なお、26bは燃料タンク26に給油するための給油口である。
【0018】
点火コイル装置50の回路(二次コイル54及び一次コイル56)構成は次の通りである。
図4は本発明に係る点火コイル装置の回路図である。
二次コイル54の回路構成は、第1巻回端部54aを、二次コイル用正極端子64と電波雑音防止用抵抗器65とキャップ用端子66とプラグキャップ51とを介して点火プラグ35に接続し、第2巻回端部54bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
一次コイル56の回路構成は、第1巻回端部56aを、一次コイル用正極端子67を介してCDIユニット(容量放電点火装置)69に接続し、第2巻回端部56bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
【0019】
図5は図2の矢視5線図であり、シール用充填剤を充填しない状態の点火コイル装置50の平面姿を示す。
一次コイル用正極端子67と一次・二次コイル用負極端子68とは、ケース57の上部(この図の表側)に並設し、更に、カプラ差込口58内に延びたものである。
二次コイル用正極端子64とキャップ用端子66とは、二次コイル用ボビン53の端子基盤53bに並設したものである。
【0020】
図6は図5の6−6線断面図であり、点火コイル装置50の断面構成を示す。点火コイル装置50は、後述する点火プラグ35に嵌着するためのプラグキャップ51を、これと同心に配列したヨーク(鉄芯)52、二次コイル用ボビン53及び一次コイル用ボビン55でこの順に囲い、更に、これらをケース57で囲ったものである。
詳述すると、ケース57は電気絶縁性樹脂にて、ドーナツ状底部57aと、この底部57aの内外縁から立上がった内筒部57b及び外筒部57cとを、一体に形成した上部開放ケースである。
【0021】
内筒部57bは、プラグキャップ51を保持するためのキャップ保持部の役割と、ヨーク52を保持するためのヨーク保持部の役割とを兼ねた部材である。詳しくは、内筒部57bは、上端部に導電性プラグキャップ51を一体成形により固定し、壁内に内筒部57bと同心のヨーク52を埋設したものである。
ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sは、一次コイル用ボビン55と、この一次コイル用ボビン55内に嵌合した二次コイル用ボビン53とを嵌合するものである。すなわち、電気絶縁性樹脂からなる一次・二次コイル用ボビンは、ケース57と別部品である。
【0022】
二次コイル用ボビン53は、外周に二次コイル54を巻回した円筒部53aと、この円筒部53aの上部縁に掛け渡した水平状の端子基盤53bとを、一体に形成した下部開放ボビンである。端子基盤53b上に固定用突起53cにて固定した上記キャップ用端子66は、プラグキャップ51の上端部51aに連結した構成である。
一次コイル用ボビン55は、外周に一次コイル56を巻回した円筒状ボビンである。
【0023】
ところで、ケース57(内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sを含む)へは、電気絶縁性樹脂からなるシール用充填剤59を、上部開放端から充填することができる。
ケース57に取付けた上記カプラ差込口58は、プラグキャップ51の軸心と直交する面に、ほぼ平行に延出したものである。
なお、53dは二次コイル54の第1・第2巻回端部54a,54bを絡げるコイル端部絡げ部、55aは一次コイル56の第1・第2巻回端部56a,56bを絡げるコイル端部絡げ部である。
【0024】
図7は本発明に係る点火コイル装置をエンジンにマウントした状態の断面図である。
エンジン32は強制空冷型であり、このため、シリンダブロック33及びシリンダヘッド34を強制空冷用エンジンカバー(ファンシュラウド)36で囲った空間に、エンジン32の側端部に設けられたファン(図示せず)により発生した空気流を流して、エンジン32を冷却する構成である。シリンダヘッド34は、点火プラグ35をねじ止めするとともに、この点火プラグ35に沿って突出させた2個の棒状の支持突起34a,34a(この図では1個のみ示す。)を、一体に形成したものである。これらの支持突起34a,34aは、弾性マウント部材37を介して点火コイル装置50をマウントする部材である。
【0025】
詳しくは、弾性マウント部材37はゴム材等の可撓性材料にて、中央のマウント用筒部37aと、この筒部37aの下部から周囲に延びる平板部37bとを一体に形成した部材である。筒部37aは、上記2個の棒状の支持突起34a,34aに弾性嵌合する2つの嵌合孔37c,37c(図6参照)を形成し、これら嵌合孔37c,37cと支持突起34a,34aとの嵌合にて、支持突起34a,34aに係止するものである。
なお、嵌合孔37cは図6に示すように平面視略T字状孔である。また、支持突起34aも、嵌合孔37cの形状に合致した平面視略T字状突起である。
【0026】
一方、エンジンカバー36は点火プラグ35に臨むノズル36aを備え、このノズル36aは弾性マウント部材37の筒部37aが嵌装されて、弾性保持されている。なお、弾性マウント部材37の平板部37bは、シリンダヘッド34の放熱フィン34b…(…は複数を示す。以下同じ。)の先端と当接し、エンジンカバー36の振動を吸収する役割を果たす。
弾性マウント部材37は、筒部37a内にケース57を嵌合することで、点火コイル装置50をマウントする。そして、点火コイル装置50を弾性マウント部材37にマウントした状態で、プラグキャップ51は点火プラグ35に嵌合した状態になる。
なお、61はケース57に取付けた弾性シール部材であり、点火プラグ35にプラグキャップ51を嵌着した際の点火プラグ35外周のシールをするものである。
【0027】
次に、上記構成の点火コイル装置50の組立手順を説明する。
図8は本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図である。
(1)先ず、二次コイル用ボビン53に二次コイル54を巻回し、一次コイル用ボビン55に一次コイル56を巻回する。
(2)一次コイル用ボビン55内に二次コイル用ボビン53を嵌合する(矢印▲1▼)。
(3)二次コイル用ボビン53を組込んだ一次コイル用ボビン55を、ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sに嵌合する(矢印▲2▼)。
(4)二次コイル用ボビン53の上端の固定用突起53cと、プラグキャップ51の上端部51aとに、キャップ用端子66をスナップフィットにて固定する(矢印▲3▼)。
(5)図4に示す各端子64,66,67,68に巻回端部54a,54b,56a,56bや電波雑音防止用抵抗器65を取付ける。
(6)最後に、ケース57内にシール用充填剤59(図6参照)を充填し、内部をシールして、組立作業を完了する。
【0028】
次に、上記構成の点火コイル装置50をエンジン32にマウントする手順を説明する。
図9は本発明に係る点火コイル装置のマウント手順説明図である。
(1)先ず、シリンダヘッド34に点火プラグ35を取付ける。
(2)エンジンカバー36のノズル36aに弾性マウント部材37を嵌装する。
(3)エンジン32にエンジンカバー36を被せ、支持突起34a,34aに嵌合孔37c,37cを固く嵌合することで弾性マウント部材37を係止する(矢印▲4▼)。
(4)筒部37a内にケース57を嵌合することで、弾性マウント部材37に点火コイル装置50をマウントする(矢印▲5▼)。その結果、点火コイル装置50はエンジン32にマウントされた状態になる。同時に、プラグキャップ51も点火プラグ35に嵌合された状態になる(矢印▲6▼)。これで、マウント作業を完了する。
【0029】
なお、図8に示す点火コイル装置50の組立手順、図9に示す点火コイル装置50のマウント手順は、上記構成の理解を容易にするために説明したものであり、これらの手順に限定するものではない。
【0030】
次に、上記構成の点火コイル装置50の作用を図4に基づき説明する。
低電圧をCDIユニット69から一次コイル用正極端子67→一次コイル56→一次・二次コイル用負極端子68の経路で印加すると、二次コイル54に発生した高圧電流がプラグキャップ51→点火プラグ35→アースの経路で流れ、点火プラグ35はスパークを発生してエンジン32(図7参照)に点火する。
【0031】
次に、上記構成のエンジン32が揺動した場合の燃料タンク26との関係を説明する。
図10(a)〜(c)は本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図である。
リヤクッション47(図1参照)が伸縮方向の中間位置にある状態では、(a)に示すようにリンク機構41のピボット44が比較的高位にあり、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端よりも上方にある。
【0032】
リヤクッション47が最も伸びた状態では、(b)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、更に、エンジン32がこの図で反時計回りに揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端近傍にある。
【0033】
リヤクッション47が最も縮んだ状態では、(c)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、エンジン32がこの図で反時計回りに更に揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上部近傍(上記(b)よりも若干低位)にある。
【0034】
このように、点火プラグ35(図7参照)及び点火コイル装置50を、車体フレーム2にリンク機構41を介して揺動可能に取付けたエンジン32に取付けたので、点火プラグ35及び点火コイル装置50の揺動範囲を狭くできる。このため、燃料タンク26をエンジン32に接近して配置することにより、スペースを有効活用できる。
【0035】
なお、上記実施の形態において、支持突起34a及び嵌合孔37cの数量は、弾性マウント部材37を安定的にマウントできるように複数あればよく、2つに限定するものではない。
【0036】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、点火プラグに嵌着するプラグキャップを、同心に配列したヨーク、二次コイル用ボビン及び一次コイル用ボビンで囲い、更に、これらをケースで囲ってなる点火コイル装置において、ヨークを保持するためのヨーク保持部を前記ケースと一体に形成し、また、前記二次コイル用ボビンを前記ケースと別部品で構成したことを特徴とする。
【0037】
二次コイル用ボビンを、ヨークを保持したケースと別部品で構成したので、二次コイル用ボビンが全体的に軽くなり、ボビンにコイルを巻くに際し、取扱い易く、二次コイルを容易に巻回でき、作業性に優れる。また、二次コイル用ボビンとヨークが別体なので、通電時にボビンが高温になっても、ボビンとヨークは互いに熱影響を受け難い。しかも、ケースにヨークを備えたので点火コイル装置を構成する部品数を少なくでき、コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
また、ヨーク保持部をケースと一体に形成したので、ケースにヨークを直接取付けることができる。その結果、ケースにヨークの位置を正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースとヨークの位置関係がずれない。
【0038】
請求項2は、ケースを、ドーナツ状底部と、この底部の内外縁から立上がった内筒部及び外筒部とからなる構成とし、内筒部を、プラグキャップ及びヨークを保持する部材とし、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するとともに、シール用充填剤を充填可能にしたことを特徴とする。
【0039】
ケースの内筒部にヨークを保持し、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するようにしたので、簡単な構成で、ケースに対する一次・二次コイル用ボビンとヨークの位置決めができる。その結果、一次コイルと二次コイルとヨークとの位置関係を、正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースにシール用充填剤を充填する際や、点火コイル装置を組立後に、互いの位置関係がずれることはない。
また、ケースの内筒部が、プラグキャップを保持する部材と、ヨークを保持する部材とを兼ねたので、保持部材の個数を少なくできる。このため、保持構成を簡単にでき、ケースを小型にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図
【図3】本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図
【図4】本発明に係る点火コイル装置の回路図
【図5】図2の矢視5線図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係る点火コイル装置をエンジンにマウントした状態の断面図
【図8】本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図
【図9】本発明に係る点火コイル装置のマウント手順説明図
【図10】本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図
【符号の説明】
32…エンジン、34…シリンダヘッド、34a…支持突起、35…点火プラグ、36…エンジンカバー、36a…ノズル、37…弾性マウント部材、50…点火コイル装置、51…プラグキャップ、52…ヨーク、53…二次コイル用ボビン、54…二次コイル、55…一次コイル用ボビン、56…一次コイル、57…ケース、57a…ドーナツ状底部、57b…内筒部(ヨーク保持部)、57c…外筒部、59…シール用充填剤、S…内筒部と外筒部との間の空間。
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの点火プラグに直接取付ける点火コイル装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、点火コイル装置として、例えば、実開昭62−179364号公報「点火コイル」)の技術がある。この技術は、その公報の第1図によれば、点火栓3(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に嵌着する点火栓接続キャップ19を、同心に配列したコア15、二次コイル14、一次コイル12でこの順に囲い、これらを有底円筒のケース11で囲い、このケース11内を絶縁性合成樹脂26でシールしたものである。
ケース11は、内部に一次コイル12を巻回したものであり、ボビン13は、コア15の円筒部16を埋設するとともに二次コイル14を巻回したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術は、ボビン13とコア15(ヨークに相当)が一体であり、▲1▼ボビン13に巻かれた二次コイル14の発熱量が大きいため、ボビン13とコア15の材質の違いからくる熱膨張の違いにより、熱応力が発生したり、▲2▼また、全体的に重くなるので、ボビン13に二次コイル14を巻くに際し、取扱いにくく、作業性は劣る。
そこで、ボビン13とコア15を別体にすることになると、部品点数が増え、コストアップや生産性の低下につながる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、ボビンが高温になってもボビンとヨークが互いに熱影響を受けず、且つ、二次コイルを容易に巻回でき、それでいて、部品点数を減らして、コストの低減や生産性の向上を図った点火コイル装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1は、点火プラグに嵌着するプラグキャップを、同心に配列したヨーク、二次コイル用ボビン及び一次コイル用ボビンで囲い、更に、これらをケースで囲ってなる点火コイル装置において、ヨークを保持するためのヨーク保持部を前記ケースと一体に形成し、また、前記二次コイル用ボビンを前記ケースと別部品で構成したことを特徴とする。
【0006】
二次コイル用ボビンを、ヨークを保持したケースと別部品で構成したので、二次コイル用ボビンが全体的に軽くなり、ボビンにコイルを巻くに際し、取扱い易く、二次コイルを容易に巻回でき、作業性に優れる。また、二次コイル用ボビンとヨークが別体なので、通電時にボビンが高温になっても、ボビンとヨークは互いに熱影響を受け難い。しかも、ケースにヨークを備えたので点火コイル装置を構成する部品数を少なくでき、コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
また、ヨーク保持部をケースと一体に形成したので、ケースにヨークを直接取付けることができる。その結果、ケースにヨークの位置を正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースとヨークの位置関係がずれない。
【0007】
請求項2は、ケースを、ドーナツ状底部と、この底部の内外縁から立上がった内筒部及び外筒部とからなる構成とし、内筒部を、プラグキャップ及びヨークを保持する部材とし、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するとともに、シール用充填剤を充填可能にしたことを特徴とする。
【0008】
ケースの内筒部にヨークを保持し、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するようにしたので、簡単な構成で、ケースに対する一次・二次コイル用ボビンとヨークの位置決めができる。その結果、一次コイルと二次コイルとヨークとの位置関係を、正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースにシール用充填剤を充填する際や、点火コイル装置を組立後に、互いの位置関係がずれることはない。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向に従い、また、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図であり、スクータ型自動二輪車1は車体フレーム2と、この車体フレーム2を覆う車体カバー11と、前輪21と、後輪22と、運転者が座るシート25と、燃料タンク26と、パワーユニット31と、リヤクッション47等からなる。
【0010】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3に支承した前輪21懸架用フロントフォーク4と、ヘッドパイプ3の後下方に延出したダウンチューブ5と、このダウンチューブ5の下端から後方に連設したリヤフレーム6とからなる。
リヤフレーム6は、ダウンチューブ5の下端から後方に略水平に延びる左右1対の前部フレーム部6a(この図では一方のみを示す)と、これらの前部フレーム部6aの後部から後上方に延びる左右1対の中間フレーム部6bと、これらの中間フレーム部6bの後端を相互に連結する後部フレーム部6cとからなる、平面視略楕円状フレームである。
【0011】
車体カバー11はヘッドパイプ3の前部及び前輪21の上部を覆うフロントカバー12及びにフロントサイドカバー13と、運転者の脚部前方を覆うレッグシールド14と、運転者の足元を支持するフロアボード15と、車体フレーム2の後部両側面を覆うリヤロアカバー16と、車体フレーム2の後部上部を覆うリヤアッパカバー17と、後輪22の上部を覆うリヤフェンダ24とからなる。
【0012】
リヤアッパカバー17に開閉可能にヒンジ装着したシート25は、リヤアッパカバー17の上部の開口部を覆う役割を果たす。
燃料タンク26は、レッグシールド14の下方において、前部フレーム部6aに取付けたものである。
【0013】
パワーユニット31は、前部の2サイクル強制空冷型エンジン32と、後部の無段変速機39とを一体的に組立たユニットである。無段変速機39は、この無段変速機39に取付けた後輪22に、エンジン32の出力を伝達するものである。
【0014】
自動二輪車1のリヤサスペンションは、車体フレーム2の後部にリヤクッション(ダンパ)47でパワーユニット31を吊下げた、スイングアーム方式であり、パワーユニット31をスイングアームとしたことを特徴とする。
詳述すれば、リヤサスペンションは、パワーユニット31の前部を、リンク機構41で中間フレーム部6bに前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に取付け、パワーユニット31の後部を、リヤクッション47で中間フレーム部6bに懸架したものである。
【0015】
図2は本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図であり、燃料タンク26とエンジン32との配置関係を示す。
リンク機構41は、中間フレーム部6bに取付けた支持部42と、この支持部42に前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に支持したリンク43と、このリンク43の揺動先端に前後揺動可能に連結したピボット44とからなり、このピボット44は、エンジン32のシリンダブロック(図示せず)上部に一体形成したものである。
【0016】
エンジン32は、エンジン前端部に着脱可能な点火コイル装置50を備え、この点火コイル装置50は、燃料タンク26の後部近傍に配設したものである。
なお、27は燃料タンク26に給油するために、リヤアッパカバー17の前部に設けたリッドである。
【0017】
図3は本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図であり、燃料タンク26に点火コイル装置50が近接するため、燃料タンク26の後部を斜めにカットして干渉を避けるようにしたことを示す。
点火コイル装置50にカプラ71で接続する外部配線72は、平面視左側(この図の下側)を向いて配線したものであり、このため、カプラ71及び外部配線72が、燃料タンク26の後端面26aに当たることはない。
なお、26bは燃料タンク26に給油するための給油口である。
【0018】
点火コイル装置50の回路(二次コイル54及び一次コイル56)構成は次の通りである。
図4は本発明に係る点火コイル装置の回路図である。
二次コイル54の回路構成は、第1巻回端部54aを、二次コイル用正極端子64と電波雑音防止用抵抗器65とキャップ用端子66とプラグキャップ51とを介して点火プラグ35に接続し、第2巻回端部54bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
一次コイル56の回路構成は、第1巻回端部56aを、一次コイル用正極端子67を介してCDIユニット(容量放電点火装置)69に接続し、第2巻回端部56bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
【0019】
図5は図2の矢視5線図であり、シール用充填剤を充填しない状態の点火コイル装置50の平面姿を示す。
一次コイル用正極端子67と一次・二次コイル用負極端子68とは、ケース57の上部(この図の表側)に並設し、更に、カプラ差込口58内に延びたものである。
二次コイル用正極端子64とキャップ用端子66とは、二次コイル用ボビン53の端子基盤53bに並設したものである。
【0020】
図6は図5の6−6線断面図であり、点火コイル装置50の断面構成を示す。点火コイル装置50は、後述する点火プラグ35に嵌着するためのプラグキャップ51を、これと同心に配列したヨーク(鉄芯)52、二次コイル用ボビン53及び一次コイル用ボビン55でこの順に囲い、更に、これらをケース57で囲ったものである。
詳述すると、ケース57は電気絶縁性樹脂にて、ドーナツ状底部57aと、この底部57aの内外縁から立上がった内筒部57b及び外筒部57cとを、一体に形成した上部開放ケースである。
【0021】
内筒部57bは、プラグキャップ51を保持するためのキャップ保持部の役割と、ヨーク52を保持するためのヨーク保持部の役割とを兼ねた部材である。詳しくは、内筒部57bは、上端部に導電性プラグキャップ51を一体成形により固定し、壁内に内筒部57bと同心のヨーク52を埋設したものである。
ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sは、一次コイル用ボビン55と、この一次コイル用ボビン55内に嵌合した二次コイル用ボビン53とを嵌合するものである。すなわち、電気絶縁性樹脂からなる一次・二次コイル用ボビンは、ケース57と別部品である。
【0022】
二次コイル用ボビン53は、外周に二次コイル54を巻回した円筒部53aと、この円筒部53aの上部縁に掛け渡した水平状の端子基盤53bとを、一体に形成した下部開放ボビンである。端子基盤53b上に固定用突起53cにて固定した上記キャップ用端子66は、プラグキャップ51の上端部51aに連結した構成である。
一次コイル用ボビン55は、外周に一次コイル56を巻回した円筒状ボビンである。
【0023】
ところで、ケース57(内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sを含む)へは、電気絶縁性樹脂からなるシール用充填剤59を、上部開放端から充填することができる。
ケース57に取付けた上記カプラ差込口58は、プラグキャップ51の軸心と直交する面に、ほぼ平行に延出したものである。
なお、53dは二次コイル54の第1・第2巻回端部54a,54bを絡げるコイル端部絡げ部、55aは一次コイル56の第1・第2巻回端部56a,56bを絡げるコイル端部絡げ部である。
【0024】
図7は本発明に係る点火コイル装置をエンジンにマウントした状態の断面図である。
エンジン32は強制空冷型であり、このため、シリンダブロック33及びシリンダヘッド34を強制空冷用エンジンカバー(ファンシュラウド)36で囲った空間に、エンジン32の側端部に設けられたファン(図示せず)により発生した空気流を流して、エンジン32を冷却する構成である。シリンダヘッド34は、点火プラグ35をねじ止めするとともに、この点火プラグ35に沿って突出させた2個の棒状の支持突起34a,34a(この図では1個のみ示す。)を、一体に形成したものである。これらの支持突起34a,34aは、弾性マウント部材37を介して点火コイル装置50をマウントする部材である。
【0025】
詳しくは、弾性マウント部材37はゴム材等の可撓性材料にて、中央のマウント用筒部37aと、この筒部37aの下部から周囲に延びる平板部37bとを一体に形成した部材である。筒部37aは、上記2個の棒状の支持突起34a,34aに弾性嵌合する2つの嵌合孔37c,37c(図6参照)を形成し、これら嵌合孔37c,37cと支持突起34a,34aとの嵌合にて、支持突起34a,34aに係止するものである。
なお、嵌合孔37cは図6に示すように平面視略T字状孔である。また、支持突起34aも、嵌合孔37cの形状に合致した平面視略T字状突起である。
【0026】
一方、エンジンカバー36は点火プラグ35に臨むノズル36aを備え、このノズル36aは弾性マウント部材37の筒部37aが嵌装されて、弾性保持されている。なお、弾性マウント部材37の平板部37bは、シリンダヘッド34の放熱フィン34b…(…は複数を示す。以下同じ。)の先端と当接し、エンジンカバー36の振動を吸収する役割を果たす。
弾性マウント部材37は、筒部37a内にケース57を嵌合することで、点火コイル装置50をマウントする。そして、点火コイル装置50を弾性マウント部材37にマウントした状態で、プラグキャップ51は点火プラグ35に嵌合した状態になる。
なお、61はケース57に取付けた弾性シール部材であり、点火プラグ35にプラグキャップ51を嵌着した際の点火プラグ35外周のシールをするものである。
【0027】
次に、上記構成の点火コイル装置50の組立手順を説明する。
図8は本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図である。
(1)先ず、二次コイル用ボビン53に二次コイル54を巻回し、一次コイル用ボビン55に一次コイル56を巻回する。
(2)一次コイル用ボビン55内に二次コイル用ボビン53を嵌合する(矢印▲1▼)。
(3)二次コイル用ボビン53を組込んだ一次コイル用ボビン55を、ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sに嵌合する(矢印▲2▼)。
(4)二次コイル用ボビン53の上端の固定用突起53cと、プラグキャップ51の上端部51aとに、キャップ用端子66をスナップフィットにて固定する(矢印▲3▼)。
(5)図4に示す各端子64,66,67,68に巻回端部54a,54b,56a,56bや電波雑音防止用抵抗器65を取付ける。
(6)最後に、ケース57内にシール用充填剤59(図6参照)を充填し、内部をシールして、組立作業を完了する。
【0028】
次に、上記構成の点火コイル装置50をエンジン32にマウントする手順を説明する。
図9は本発明に係る点火コイル装置のマウント手順説明図である。
(1)先ず、シリンダヘッド34に点火プラグ35を取付ける。
(2)エンジンカバー36のノズル36aに弾性マウント部材37を嵌装する。
(3)エンジン32にエンジンカバー36を被せ、支持突起34a,34aに嵌合孔37c,37cを固く嵌合することで弾性マウント部材37を係止する(矢印▲4▼)。
(4)筒部37a内にケース57を嵌合することで、弾性マウント部材37に点火コイル装置50をマウントする(矢印▲5▼)。その結果、点火コイル装置50はエンジン32にマウントされた状態になる。同時に、プラグキャップ51も点火プラグ35に嵌合された状態になる(矢印▲6▼)。これで、マウント作業を完了する。
【0029】
なお、図8に示す点火コイル装置50の組立手順、図9に示す点火コイル装置50のマウント手順は、上記構成の理解を容易にするために説明したものであり、これらの手順に限定するものではない。
【0030】
次に、上記構成の点火コイル装置50の作用を図4に基づき説明する。
低電圧をCDIユニット69から一次コイル用正極端子67→一次コイル56→一次・二次コイル用負極端子68の経路で印加すると、二次コイル54に発生した高圧電流がプラグキャップ51→点火プラグ35→アースの経路で流れ、点火プラグ35はスパークを発生してエンジン32(図7参照)に点火する。
【0031】
次に、上記構成のエンジン32が揺動した場合の燃料タンク26との関係を説明する。
図10(a)〜(c)は本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図である。
リヤクッション47(図1参照)が伸縮方向の中間位置にある状態では、(a)に示すようにリンク機構41のピボット44が比較的高位にあり、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端よりも上方にある。
【0032】
リヤクッション47が最も伸びた状態では、(b)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、更に、エンジン32がこの図で反時計回りに揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端近傍にある。
【0033】
リヤクッション47が最も縮んだ状態では、(c)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、エンジン32がこの図で反時計回りに更に揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上部近傍(上記(b)よりも若干低位)にある。
【0034】
このように、点火プラグ35(図7参照)及び点火コイル装置50を、車体フレーム2にリンク機構41を介して揺動可能に取付けたエンジン32に取付けたので、点火プラグ35及び点火コイル装置50の揺動範囲を狭くできる。このため、燃料タンク26をエンジン32に接近して配置することにより、スペースを有効活用できる。
【0035】
なお、上記実施の形態において、支持突起34a及び嵌合孔37cの数量は、弾性マウント部材37を安定的にマウントできるように複数あればよく、2つに限定するものではない。
【0036】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、点火プラグに嵌着するプラグキャップを、同心に配列したヨーク、二次コイル用ボビン及び一次コイル用ボビンで囲い、更に、これらをケースで囲ってなる点火コイル装置において、ヨークを保持するためのヨーク保持部を前記ケースと一体に形成し、また、前記二次コイル用ボビンを前記ケースと別部品で構成したことを特徴とする。
【0037】
二次コイル用ボビンを、ヨークを保持したケースと別部品で構成したので、二次コイル用ボビンが全体的に軽くなり、ボビンにコイルを巻くに際し、取扱い易く、二次コイルを容易に巻回でき、作業性に優れる。また、二次コイル用ボビンとヨークが別体なので、通電時にボビンが高温になっても、ボビンとヨークは互いに熱影響を受け難い。しかも、ケースにヨークを備えたので点火コイル装置を構成する部品数を少なくでき、コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
また、ヨーク保持部をケースと一体に形成したので、ケースにヨークを直接取付けることができる。その結果、ケースにヨークの位置を正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースとヨークの位置関係がずれない。
【0038】
請求項2は、ケースを、ドーナツ状底部と、この底部の内外縁から立上がった内筒部及び外筒部とからなる構成とし、内筒部を、プラグキャップ及びヨークを保持する部材とし、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するとともに、シール用充填剤を充填可能にしたことを特徴とする。
【0039】
ケースの内筒部にヨークを保持し、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するようにしたので、簡単な構成で、ケースに対する一次・二次コイル用ボビンとヨークの位置決めができる。その結果、一次コイルと二次コイルとヨークとの位置関係を、正確に且つ容易に設定でき、しかも、ケースにシール用充填剤を充填する際や、点火コイル装置を組立後に、互いの位置関係がずれることはない。
また、ケースの内筒部が、プラグキャップを保持する部材と、ヨークを保持する部材とを兼ねたので、保持部材の個数を少なくできる。このため、保持構成を簡単にでき、ケースを小型にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図
【図3】本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図
【図4】本発明に係る点火コイル装置の回路図
【図5】図2の矢視5線図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係る点火コイル装置をエンジンにマウントした状態の断面図
【図8】本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図
【図9】本発明に係る点火コイル装置のマウント手順説明図
【図10】本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図
【符号の説明】
32…エンジン、34…シリンダヘッド、34a…支持突起、35…点火プラグ、36…エンジンカバー、36a…ノズル、37…弾性マウント部材、50…点火コイル装置、51…プラグキャップ、52…ヨーク、53…二次コイル用ボビン、54…二次コイル、55…一次コイル用ボビン、56…一次コイル、57…ケース、57a…ドーナツ状底部、57b…内筒部(ヨーク保持部)、57c…外筒部、59…シール用充填剤、S…内筒部と外筒部との間の空間。
Claims (2)
- 点火プラグに嵌着するプラグキャップを、同心に配列したヨーク、二次コイル用ボビン及び一次コイル用ボビンで囲い、更に、これらをケースで囲ってなる点火コイル装置において、ヨークを保持するためのヨーク保持部を前記ケースと一体に形成し、また、前記二次コイル用ボビンを前記ケースと別部品で構成したことを特徴とする点火コイル装置。
- 前記ケースは、ドーナツ状底部と、この底部の内外縁から立上がった内筒部及び外筒部とからなり、内筒部はプラグキャップ及びヨークを保持する部材であり、内筒部と外筒部との間の空間に一次・二次コイル用ボビンを嵌合するとともに、シール用充填剤を充填可能にしたことを特徴とする請求項1記載の点火コイル装置。
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