JP3638179B2 - プラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造 - Google Patents
プラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンの点火プラグに直接取付ける、プラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラグキャップ一体型点火コイル装置として、例えば、実開昭62−179364号公報「点火コイル」の技術がある。この技術は、その公報の第1図によれば、点火栓3(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に嵌着する点火栓接続キャップ19を、同心に配列したコア15、二次コイル14、一次コイル12でこの順に囲い、これらを有底円筒のケース11で囲って、点火コイル10を構成したものである。
そして、この技術は、シリンダヘッド2に点火栓3をねじ込み、この点火栓3に点火コイル10を差込んだものであるが、この点火コイル10は、実質的にエンジンカバー6に取付けたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンカバー6が樹脂であるので、シリンダヘッド2とエンジンカバー6とで、振動に差が出るため、ズレが生じる。その結果、点火栓3に外力が作用する。点火コイル10は、点火栓接続キャップ19の他に一次・二次コイル12,14及びコア15を内蔵しているので重く、この重量が点火栓3に作用するので、取付け強度を考慮する必要が生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題を解決するために請求項1は、シリンダヘッドに取付けた点火プラグに、プラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合し、一方、シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを設け、このファンシュラウドに、弾性体を介して前記点火コイル装置を取付けたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記シリンダヘッドの上方から突起部を突出させ、この突起部にプラグキャップの近傍位置にて前記弾性体を介して点火コイル装置を係合したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、弾性体は中央にマウント用筒部を備え、ファンシュラウドは点火プラグに臨むノズルを備え、このノズルに筒部が嵌装され、弾性体が筒部によりファンシュラウドのノズルにも係合され、シリンダヘッドとファンシュラウド双方に係合したことを特徴とする。
【0005】
点火プラグを取付けたシリンダヘッドに、プラグキャップ一体型点火コイル装置を係合したので、点火プラグと点火コイル装置との間にズレが生じても、点火コイル装置を有効に保持できる。このため、点火コイル装置のプラグキャップと点火プラグとの嵌合状態を、確実に且つ安定した状態に維持できる。
弾性体が筒部によりファンシュラウドのノズルにも係合され、シリンダヘッドとファンシュラウド双方に係合されることで、点火コイル装置の取付け位置の精度が向上する。
また、ファンシュラウドや点火コイル装置の振動及び騒音を低減することができる。
【0006】
請求項2は、前記突起部を、前記シリンダヘッドに設けた空冷用フィンと一体にしたことを特徴とする。
【0007】
突起部が空冷用フィンの役割を果たすことができる。また、シリンダヘッドに、空冷用フィンとともに突起部を一体に設けるので、突起部の構成が簡単である。
請求項3は、突起部は、ノズル内に棒状に突入し、筒部の嵌合孔に係止することを特徴とする。
突起部によって筒部の位置決めが向上しする。つまり、弾性体の位置決めの向上により、点火コイル装置の組付け作業性が向上する。
【0008】
請求項4は、シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを備え、また、シリンダヘッドに点火プラグを取付け、この点火プラグにプラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合させたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記点火コイル装置を、ファンシュラウドを貫通させて前記シリンダヘッドに締結したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、ファンシュラウドは、締結用のボルトを貫通させる貫通孔を開け、この貫通孔とボルトの間に嵌装した弾性体を備えたことを特徴とする。
【0009】
点火プラグを取付けたシリンダヘッドに、プラグキャップ一体型点火コイル装置を取付けたので、点火プラグと点火コイル装置との間にズレが生じても、点火コイル装置を有効に保持できる。このため、点火コイル装置のプラグキャップと点火プラグとの嵌合状態を、確実に且つ安定した状態に維持できる。
ファンシュラウドの貫通孔とボルトの間に嵌装した弾性体によって、ファンシュラウドや点火コイル装置の振動を低減することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向に従い、また、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図であり、スクータ型自動二輪車1は車体フレーム2と、この車体フレーム2を覆う車体カバー11と、前輪21と、後輪22と、運転者が座るシート25と、燃料タンク26と、パワーユニット31と、リヤクッション47等からなる。
【0011】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ3と、このヘッドパイプ3に支承した前輪21懸架用フロントフォーク4と、ヘッドパイプ3の後下方に延出したダウンチューブ5と、このダウンチューブ5の下端から後方に連設したリヤフレーム6とからなる。
リヤフレーム6は、ダウンチューブ5の下端から後方に略水平に延びる左右1対の前部フレーム部6a(この図では一方のみを示す)と、これらの前部フレーム部6aの後部から後上方に延びる左右1対の中間フレーム部6bと、これらの中間フレーム部6bの後端を相互に連結する後部フレーム部6cとからなる、平面視略楕円状フレームである。
【0012】
車体カバー11はヘッドパイプ3の前部及び前輪21の上部を覆うフロントカバー12及びにフロントサイドカバー13と、運転者の脚部前方を覆うレッグシールド14と、運転者の足元を支持するフロアボード15と、車体フレーム2の後部両側面を覆うリヤロアカバー16と、車体フレーム2の後部上部を覆うリヤアッパカバー17と、後輪22の上部を覆うリヤフェンダ24とからなる。
【0013】
リヤアッパカバー17に開閉可能にヒンジ装着したシート25は、リヤアッパカバー17の上部の開口部を覆う役割を果たす。
燃料タンク26は、レッグシールド14の下方において、前部フレーム部6aに取付けたものである。
【0014】
パワーユニット31は、前部の2サイクル強制空冷型エンジン32と、後部の無段変速機39とを一体的に組立たユニットである。無段変速機39は、この無段変速機39に取付けた後輪22に、エンジン32の出力を伝達するものである。
【0015】
自動二輪車1のリヤサスペンションは、車体フレーム2の後部にリヤクッション(ダンパ)47でパワーユニット31を吊下げた、スイングアーム方式であり、パワーユニット31をスイングアームとしたことを特徴とする。
詳述すれば、リヤサスペンションは、パワーユニット31の前部を、リンク機構41で中間フレーム部6bに前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に取付け、パワーユニット31の後部を、リヤクッション47で中間フレーム部6bに懸架したものである。
【0016】
図2は本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図であり、燃料タンク26とエンジン32との配置関係を示す。
リンク機構41は、中間フレーム部6bに取付けた支持部42と、この支持部42に前後(自動二輪車1の走行方向)揺動可能に支持したリンク43と、このリンク43の揺動先端に前後揺動可能に連結したピボット44とからなり、このピボット44は、エンジン32のシリンダブロック(図示せず)上部に一体形成したものである。
【0017】
エンジン32は、エンジン前端部に着脱可能な点火コイル装置50を備え、この点火コイル装置50は、燃料タンク26の後部近傍に配設したものである。
なお、27は燃料タンク26に給油するために、リヤアッパカバー17の前部に設けたリッドである。
【0018】
図3は本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図であり、燃料タンク26に点火コイル装置50が近接するため、燃料タンク26の後部を斜めにカットして干渉を避けるようにしたことを示す。
点火コイル装置50にカプラ71で接続する外部配線72は、平面視左側(この図の下側)を向いて配線したものであり、このため、カプラ71及び外部配線72が、燃料タンク26の後端面26aに当たることはない。
なお、26bは燃料タンク26に給油するための給油口である。
【0019】
点火コイル装置50の回路(二次コイル54及び一次コイル56)構成は次の通りである。
図4は本発明に係る点火コイル装置の回路図である。
二次コイル54の回路構成は、第1巻回端部54aを、二次コイル用正極端子64と電波雑音防止用抵抗器65とキャップ用端子66とプラグキャップ51とを介して点火プラグ35に接続し、第2巻回端部54bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
一次コイル56の回路構成は、第1巻回端部56aを、一次コイル用正極端子67を介してCDIユニット(容量放電点火装置)69に接続し、第2巻回端部56bを、一次・二次コイル用負極端子68を介してアースに接続したものである。
【0020】
図5は図2の矢視5線図であり、シール用充填剤を充填しない状態の点火コイル装置50の平面姿を示す。
一次コイル用正極端子67と一次・二次コイル用負極端子68とは、ケース57の上部(この図の表側)に並設し、更に、カプラ差込口58内に延びたものである。
二次コイル用正極端子64とキャップ用端子66とは、二次コイル用ボビン53の端子基盤53bに並設したものである。
【0021】
図6は図5の6−6線断面図であり、点火コイル装置50の断面構成を示す。点火コイル装置50は、後述する点火プラグ35に嵌着するためのプラグキャップ51を、これと同心に配列したヨーク(鉄芯)52、二次コイル用ボビン53及び一次コイル用ボビン55でこの順に囲い、更に、これらをケース57で囲ったものである。
詳述すると、ケース57は電気絶縁性樹脂にて、ドーナツ状底部57aと、この底部57aの内外縁から立上がった内筒部57b及び外筒部57cとを、一体に形成した上部開放ケースである。
【0022】
内筒部57bは、プラグキャップ51を保持するためのキャップ保持部の役割と、ヨーク52を保持するためのヨーク保持部の役割とを兼ねた部材である。詳しくは、内筒部57bは、上端部に導電性プラグキャップ51を一体成形により固定し、壁内に内筒部57bと同心のヨーク52を埋設したものである。
ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sは、一次コイル用ボビン55と、この一次コイル用ボビン55内に嵌合した二次コイル用ボビン53とを嵌合するものである。すなわち、電気絶縁性樹脂からなる一次・二次コイル用ボビンは、ケース57と別部品である。
【0023】
二次コイル用ボビン53は、外周に二次コイル54を巻回した円筒部53aと、この円筒部53aの上部縁に掛け渡した水平状の端子基盤53bとを、一体に形成した下部開放ボビンである。端子基盤53b上に固定用突起53cにて固定した上記キャップ用端子66は、プラグキャップ51の上端部51aに連結した構成である。
一次コイル用ボビン55は、外周に一次コイル56を巻回した円筒状ボビンである。
【0024】
ところで、ケース57(内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sを含む)へは、電気絶縁性樹脂からなるシール用充填剤59を、上部開放端から充填することができる。
ケース57に取付けた上記カプラ差込口58は、プラグキャップ51の軸心と直交する面に、ほぼ平行に延出したものである。
なお、53dは二次コイル54の第1・第2巻回端部54a,54bを絡げるコイル端部絡げ部、55aは一次コイル56の第1・第2巻回端部56a,56bを絡げるコイル端部絡げ部である。
【0025】
図7は本発明に係る点火コイル装置をエンジンに係合した状態の断面図であり、ファンシュラウド36に、弾性体37を介して点火コイル装置50を取付けたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、シリンダヘッド34の上方から突起部34aを突出させ、この突起部34aにプラグキャップ51の近傍位置にて弾性体37を介して点火コイル装置50を係合したことを特徴とする。
エンジン32は強制空冷型であり、このため、シリンダブロック33及びシリンダヘッド34をファンシュラウド(強制空冷用エンジンカバー)36で囲った空間に、エンジン32の側端部に設けられたファン(図示せず)により発生した空気流を流して、エンジン32を冷却する構成である。シリンダヘッド34は、点火プラグ35をねじ止めするとともに、この点火プラグ35に沿って上方から突出させた2個の棒状の突起部34a,34a(この図では1個のみ示す。)を、一体に形成したものである。これらの突起部34a,34aは、弾性体(弾性係合部材)37を介して点火コイル装置50を係合する部材であり、シリンダヘッドに設けた空冷用フィンと一体にしたものである。
【0026】
詳しくは、弾性体37はゴム材等の可撓性材料にて、中央のマウント用筒部37aと、この筒部37aの下部から周囲に延びる平板部37bとを一体に形成した部材である。筒部37aは、上記2個の棒状の突起部34a,34aに弾性嵌合する2つの嵌合孔37c,37c(図6参照)を形成し、これら嵌合孔37c,37cと突起部34a,34aとの嵌合にて、突起部34a,34aに係止するものである。
なお、嵌合孔37cは図6に示すように平面視略T字状孔である。また、突起部34aも、嵌合孔37cの形状に合致した平面視略T字状突起である。
【0027】
一方、ファンシュラウド36は点火プラグ35に臨むノズル36aを備え、このノズル36aは弾性体37の筒部37aが嵌装されることで、弾性保持される。なお、弾性体37の平板部37bは、シリンダヘッド34の冷却用フィン34b…(…は複数を示す。以下同じ。)の先端と当接し、ファンシュラウド36の振動を吸収する役割を果たす。
弾性体37は、筒部37a内にケース57を嵌合することで、点火コイル装置50をマウントする。そして、点火コイル装置50を弾性体37にマウントした状態で、プラグキャップ51は点火プラグ35に嵌合した状態になる。
なお、61はケース57に取付けた弾性シール部材であり、点火プラグ35にプラグキャップ51を嵌着した際の点火プラグ35外周のシールをするものである。
【0028】
次に、上記構成の点火コイル装置50の組立手順を説明する。
図8は本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図である。
(1)先ず、二次コイル用ボビン53に二次コイル54を巻回し、一次コイル用ボビン55に一次コイル56を巻回する。
(2)一次コイル用ボビン55内に二次コイル用ボビン53を嵌合する(矢印▲1▼)。
(3)二次コイル用ボビン53を組込んだ一次コイル用ボビン55を、ケース57の内筒部57bと外筒部57cとの間の空間Sに嵌合する(矢印▲2▼)。
(4)二次コイル用ボビン53の上端の固定用突起53cと、プラグキャップ51の上端部51aとに、キャップ用端子66をスナップフィットにて固定する(矢印▲3▼)。
(5)図4に示す各端子64,66,67,68に巻回端部54a,54b,56a,56bや電波雑音防止用抵抗器65を取付ける。
(6)最後に、ケース57内にシール用充填剤59(図6参照)を充填し、内部をシールして、組立作業を完了する。
【0029】
次に、上記構成の点火コイル装置50をエンジン32に係合する手順を説明する。
図9は本発明に係る点火コイル装置の係合手順説明図である。
(1)先ず、シリンダヘッド34に点火プラグ35を取付ける。
(2)ファンシュラウド36のノズル36aに弾性体37を嵌装する。
(3)エンジン32にファンシュラウド36を被せ、突起部34a,34aに嵌合孔37c,37cを固く嵌合することで弾性体37を係止する(矢印▲4▼)。
(4)筒部37a内にケース57を嵌合することで、弾性体37に点火コイル装置50をマウントする(矢印▲5▼)。その結果、点火コイル装置50はエンジン32に係合された状態になる。同時に、プラグキャップ51も点火プラグ35に嵌合された状態になる(矢印▲6▼)。これで、係合作業を完了する。
【0030】
なお、図8に示す点火コイル装置50の組立手順、図9に示す点火コイル装置50の係合手順は、上記構成の理解を容易にするために説明したものであり、これらの手順に限定するものではない。
【0031】
次に、上記構成の点火コイル装置50の作用を図4に基づき説明する。
低電圧をCDIユニット69から一次コイル用正極端子67→一次コイル56→一次・二次コイル用負極端子68の経路で印加すると、二次コイル54に発生した高圧電流がプラグキャップ51→点火プラグ35→アースの経路で流れ、点火プラグ35はスパークを発生してエンジン32(図7参照)に点火する。
【0032】
次に、上記構成のエンジン32が揺動した場合の燃料タンク26との関係を説明する。
図10(a)〜(c)は本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図である。
リヤクッション47(図1参照)が伸縮方向の中間位置にある状態では、(a)に示すようにリンク機構41のピボット44が比較的高位にあり、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端よりも上方にある。
【0033】
リヤクッション47が最も伸びた状態では、(b)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、更に、エンジン32がこの図で反時計回りに揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上端近傍にある。
【0034】
リヤクッション47が最も縮んだ状態では、(c)に示すようにピボット44が上記(a)よりも低位にあり、エンジン32がこの図で反時計回りに更に揺動するので、点火コイル装置50が燃料タンク26の後端面26a上部近傍(上記(b)よりも若干低位)にある。
【0035】
このように、点火プラグ35(図7参照)及び点火コイル装置50を、車体フレーム2にリンク機構41を介して揺動可能に取付けたエンジン32に取付けたので、点火プラグ35及び点火コイル装置50の揺動範囲を狭くできる。このため、燃料タンク26をエンジン32に接近して配置することにより、スペースを有効活用できる。
【0036】
図11は本発明に係る点火コイル装置をエンジンに係合した状態(変形例)の断面図であり、この変形例は、点火コイル装置50を、ファンシュラウド36を貫通させてシリンダヘッド34に締結したことを特徴とする。
なお、上記図7に示す構成と同様の構成については同一番号を付し、その説明を省略する。
シリンダヘッド34は、点火プラグ35に沿って突出させた2個の突起部34c,34c(この図では1個のみ示す。)を、一体に形成したものである。ファンシュラウド36は、突起部34cの上端位置に一致した貫通孔36bを開け、この貫通孔36bに弾性体81付きカラー82を嵌装したものである。点火コイル装置50のケース57はブラケット57dを一体に形成し、このブラケット57dにボルト挿通用カラー83を嵌装したものである。
【0037】
点火コイル装置50は、2つのカラー83,82を挿通したボルト84を突起部34cにねじ結合することで締結されることになる。
すなわち、突起部34cの上端面に、弾性体81付きカラー82とボルト挿通用カラー83とブラケット57dとを重ね合わせて、これらの部材をボルト84にて突起部34cにねじ止めすることで、点火コイル装置50をシリンダヘッド34に締結することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態において、突起部34a及び嵌合孔37cの数量は、弾性体37を安定的に係合できばよく、2つに限定するものではない。また、突起部34a及び嵌合孔37cの形状を問わない。更に、変形例における突起部34cやブラケット57dの数量も同様である。
更に、弾性体37は、突起部34aに係止するとともに、点火コイル装置50を係合させるものであればよく、ファンシュラウド36のノズル36aに嵌装する構成に限定するものではない。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、シリンダヘッドに取付けた点火プラグに、プラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合し、一方、シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを設け、このファンシュラウドに、弾性体を介して前記点火コイル装置を取付けたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記シリンダヘッドの上方から突起部を突出させ、この突起部にプラグキャップの近傍位置にて前記弾性体を介して点火コイル装置を係合したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、弾性体は中央にマウント用筒部を備え、ファンシュラウドは点火プラグに臨むノズルを備え、このノズルに筒部が嵌装され、弾性体が筒部によりファンシュラウドのノズルにも係合され、シリンダヘッドとファンシュラウド双方に係合したことを特徴とする。
【0040】
点火プラグを取付けたシリンダヘッドに、プラグキャップ一体型点火コイル装置を係合したので、点火プラグと点火コイル装置との間にズレが生じても、点火コイル装置を有効に保持できる。このため、点火コイル装置のプラグキャップと点火プラグとの嵌合状態を、確実に且つ安定した状態に維持できる。
弾性体が筒部によりファンシュラウドのノズルにも係合され、シリンダヘッドとファンシュラウド双方に係合されることで、点火コイル装置の取付け位置の精度が向上する。
また、ファンシュラウドや点火コイル装置の振動及び騒音を低減することができる。
【0041】
請求項2は、前記突起部を、前記シリンダヘッドに設けた空冷用フィンと一体にしたことを特徴とする。
【0042】
突起部が空冷用フィンの役割を果たすことができる。また、シリンダヘッドに、空冷用フィンとともに突起部を一体に設けるので、突起部の構成が簡単である。
請求項3は、突起部は、ノズル内に棒状に突入し、筒部の嵌合孔に係止することを特徴とする。
突起部によって筒部の位置決めが向上しする。つまり、弾性体の位置決めの向上により、点火コイル装置の組付け作業性が向上する。
【0043】
請求項4は、シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを備え、また、シリンダヘッドに点火プラグを取付け、この点火プラグにプラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合させたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記点火コイル装置を、ファンシュラウドを貫通させて前記シリンダヘッドに締結したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、ファンシュラウドは、締結用のボルトを貫通させる貫通孔を開け、この貫通孔とボルトの間に嵌装した弾性体を備えたことを特徴とする。
【0044】
点火プラグを取付けたシリンダヘッドに、プラグキャップ一体型点火コイル装置を取付けたので、点火プラグと点火コイル装置との間にズレが生じても、点火コイル装置を有効に保持できる。このため、点火コイル装置のプラグキャップと点火プラグとの嵌合状態を、確実に且つ安定した状態に維持できる。
ファンシュラウドの貫通孔とボルトの間に嵌装した弾性体によって、ファンシュラウドや点火コイル装置の振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクータ型自動二輪車の側面図
【図2】本発明に係るエンジンと燃料タンクの側面図
【図3】本発明に係るエンジンと燃料タンクの平面図
【図4】本発明に係る点火コイル装置の回路図
【図5】図2の矢視5線図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係る点火コイル装置をエンジンに係合した状態の断面図
【図8】本発明に係る点火コイル装置の組立手順説明図
【図9】本発明に係る点火コイル装置の係合手順説明図
【図10】本発明に係るエンジンと燃料タンクの関係の作用説明図
【図11】本発明に係る点火コイル装置をエンジンに係合した状態(変形例)の断面図
【符号の説明】
32…エンジン、34…シリンダヘッド、34a…突起部、34b…冷却用フィン、35…点火プラグ、36…フアンシュラウド(エンジンカバー)、36a…ノズル、36b…貫通孔、37…弾性体(弾性係合部材)、37a…マウント用筒部、37c…嵌合孔、50…点火コイル装置、51…プラグキャップ、52…ヨーク、53…二次コイル用ボビン、54…二次コイル、55…一次コイル用ボビン、56…一次コイル、57…ケース、57a…ドーナツ状底部、57b…内筒部(ヨーク保持部)、57c…外筒部、57d…ブラケット、59…シール用充填剤、81…弾性体、84…ボルト、S…内筒部と外筒部との間の空間。
Claims (4)
- シリンダヘッドに取付けた点火プラグに、プラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合し、一方、シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを設け、このファンシュラウドに、弾性体を介して前記点火コイル装置を取付けたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記シリンダヘッドの上方から突起部を突出させ、この突起部にプラグキャップの近傍位置にて前記弾性体を介して点火コイル装置を係合したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、
前記弾性体は中央にマウント用筒部を備え、
前記ファンシュラウドは点火プラグに臨むノズルを備え、このノズルに前記筒部が嵌装され、
前記弾性体が筒部によりファンシュラウドのノズルにも係合され、シリンダヘッドとファンシュラウド双方に係合したことを特徴とするプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造。 - 前記突起部は、前記シリンダヘッドに設けた空冷用フィンと一体であることを特徴とした請求項1記載のプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造。
- 前記突起部は、ノズル内に棒状に突入し、筒部の嵌合孔に係止することを特徴とした請求項1記載のプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造。
- シリンダヘッドの上方にファンシュラウドを備え、また、シリンダヘッドに点火プラグを取付け、この点火プラグにプラグキャップを一体に備えた点火コイル装置を嵌合させたプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造において、前記点火コイル装置を、ファンシュラウドを貫通させて前記シリンダヘッドに締結したプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造であって、
前記ファンシュラウドは、締結用のボルトを貫通させる貫通孔を開け、この貫通孔とボルトの間に嵌装した弾性体を備えたことを特徴とするプラグキャップ一体型点火コイル装置の取付構造。
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