JP3557464B2 - タイヤのスリップ防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冬季の雪道や凍結した路面等において自動車等のタイヤがスリップしないよう、自動車等のタイヤに取付けるタイヤのスリップ防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冬季の雪道等での自動車の走行において、タイヤのスリップを防止するためには、スノータイヤ、スパイクタイヤ、スタッドレスタイヤ等、タイヤ自体のスリップ防止機能を高めた冬用タイヤが使用される。一方、この冬用タイヤは、夏用タイヤ(ノーマルタイヤ)より柔らかい素材(ゴム)からなり、雪道等以外の通常の路面では夏用タイヤと比較して磨耗が早い等の特徴があるため、通常は、冬季以外には夏用タイヤを、冬季には冬用タイヤを使用する場合があり。この場合、夏用タイヤ(4本)及び冬用タイヤ(4本)という2セットのタイヤを用意する必要があり、また、夏用タイヤと冬用タイヤとの間での履き替え作業も面倒である。よって、特に冬用タイヤを用意することなく、夏用タイヤをそのまま冬季にも使用する場合も多い。この場合、夏用タイヤに取付けて、夏用タイヤのスリップ防止機能を向上するものとして、各種タイヤチェーン(スノーチェーン)が提供されている。タイヤチェーンの形状としては、ラダー型(はしご型)、亀甲型(リング型)、ネット型等があり、材質としては、金属製や非金属製(ゴム製、ウレタン製)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、従来のタイヤチェーンは、装着が非常に面倒で、時間がかかる。例えば、最も一般的なラダー型タイヤチェーンの場合、装着前にねじれが無いように確認した上、取付けるタイヤの前に並べ、自動車を若干前方に移動して、タイヤのトレッド(接地面)をタイヤチェーンの上に載せる。そして、タイヤチェーンをタイヤのトレッドの外周面に沿って巻き付け、その両端を連結部により連結する。このとき、タイヤチェーンのクロスチェーン(タイヤのトレッドの幅方向に沿って配置される部分)がタイヤに均等にかかるようにする。その後、タイヤチェーンの装着状態を確認し、緩みや片寄りがないかどうか確認して必要な調整や増し締めを行い、附属のチェーンバンドをタイヤチェーンのサイドチェーン(タイヤのサイドウォールの円周方向に沿ってクロスチェーンを連結する部分)に引っ掛け、タイヤチェーン全体の支持状態を安定させる。しかし、これら一連の作業は、タイヤチェーンを年に1回〜数回程度しか扱わない一般のユーザにとっては、作業が複雑で非常に面倒であり、タイヤチェーンの装着に相当な時間がかかってしまう。特に、雪道等の悪状況の下では、その作業が一層困難となる。また、女性等の力の弱いユーザにとっても、その作業は大変困難となる。
【0004】
そこで、本発明は、誰でも簡単に短時間でタイヤに装着することができるタイヤのスリップ防止装置の提供を課題とする。
【0005】
〔課題を解決するための手段〕
請求項1に係るタイヤのスリップ防止装置は、タイヤの内側面と接地面と外側面とに順次屈曲して接するクロス部を一対と、タイヤの内側面側において前記一対のクロス部をタイヤの内側のサイドウォールの内周緑の一部に沿って互いに連結する内側サイド部と、タイヤの外側面側において前記一対のクロス部からタイヤの外側のサイドウォールの内周緑の一部に沿って互いにタイヤの円周方向外向きに延びる一対の外側サイド部とを有したアームフレームを複数設け、各前記外側サイド部の先端にはタイヤへの装着の際に隣接させる他のアームフレームに対して着脱自在に連結するための連結部を設けて構成してなり、タイヤに装着するに際しては、それらのアームフレームどうしを前記連結部のみにより互いに連結するようにした。この構成によれば、最もシンプルな構造とすることができる。また、アームフレーム同士の連結により、タイヤへの自己保持を行うことができる。即ち、タイヤの内側面と道路接地面と外側面とがつながっており、物理的にタイヤから外れることが無く、そして、タイヤの回転によるけりだし時は、アームフレームの道路接地面部に車の重力が加わり、特に、内側面及び外側面方向へ、タイヤの幅が広がり、その保持力は大きくなる。なお、全てのアームフレームが、タイヤを一周するように、内側面、道路接地面、外側面とで連結するため、一連のアームフレーム全体で振動も吸収し、タイヤの回転により、常に求心状態になり、そのアームフレームの道路接地面にて摩擦が生じるため、タイヤのスリップ防止装置になる。
【0006】
請求項2に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記アームフレームの中にフリージョイント部を有している。よって、アームフレームの中にフリージョイントなる連結部が動くようになっている機能を有することによって、前記のタイヤの回転時やブレーキ時等におけるアームフレームへの力や振動を逃がすためのものであり、また、タイヤへの装着性を増加させるためのものでもある。
【0007】
請求項3に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記アームフレームの中のフリージョイント部に弾性体を装着した。よって、前記アームフレームの中のフリージョイント部に、弾力体、例えば、ばね、ゴム等のものを装着することにより、タイヤへの装着性を一段と高め、そして、振動や音の吸収を一段と高め、特に、前記の複合使用は一段と性能を高めることになる。
【0008】
請求項4に係るタイヤのスリップ防止装置は、タイヤの外側のサイドウォールの内周緑に沿って延びる長尺状をなし、タイヤのサイドウォールの円周方向に所定角度間隔で離間して配置される一対の外側サイド部と、前記両外側サイド部の基端から、それぞれ、タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状をなす一対のクロス部と、前記両クロス部の先端を互いに連結すると共に、前記タイヤの内側のサイドウォールの内周緑に沿って延びる長尺状をなす内側サイド部とを含むアームフレームを2個以上具備し、タイヤに装着するに際して、前記2個以上のアームフレームの外側サイド部の先端のみを、それぞれ着脱自在の連結部を介して互いに連結することにより、前記クロス部を前記タイヤのトレッドの内周方向に沿って所定間隔で配置する。
【0009】
請求項5に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記両外側サイド部間及び/または両クロス部間を一体的に連結して補強する長尺状の剛性補強材を具備する。
【0010】
請求項6に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記両クロス部間の全体にわたってはしご状、亀甲模様状、またはネット状の補助滑止部を一体的に設けた。
【0011】
請求項7に係るタイヤのスリップ防止装置は、タイヤの外側のサイドウォールの内周緑に沿って延びる長尺状をなし、タイヤのサイドウォールの円周方向に所定角度間隔にわたって配置される外側サイド部と、前記外側サイド部から、タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状をなすクロス部とを含むアームフレームを2個以上具備し、タイヤに装着するに際して、前記2個以上のアームフレームの外側サイド部のみを、それぞれ着脱自在の連結部を介して互いに連結することにより、前記クロス部を前記タイヤのトレッドの円周方向に沿って所定間隔で配置する。
【0012】
請求項8に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記外側サイド部の基端とクロス部との接続部分、クロス部の先端と内側サイド部との接続部分を切断して、それぞれ、第1の部分及び第2の部分に分割すると共に、前記第1の部分及び第2の部分を前記タイヤの側面の面方向に沿って相対傾動自在となるように互いに連結してフリージョイント部を構成し、前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部とが、それぞれ、前記フリージョイント部を介して、前記タイヤの側面の面方向に沿って相対傾動自在となるようにした。
【0013】
請求項9に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記フリージョイント部に弾性体を設け、前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部とを、それぞれ、略直交状態に維持し、前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部との前記タイヤの側面の面方向に沿った相対傾動を緩衝するようにした。
【0014】
請求項10に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記各クロス部が、前記外側サイド部の少なくとも長さ方向両端付近から、前記タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす骨格部を備える。
【0015】
請求項11に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記各クロス部が、前記外側サイド部の少なくとも長さ方向両端付近から、前記タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす骨格部と、前記骨格部の先端を互いに連結すると共に、前記タイヤの内側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなす内側補強部とを備える。
【0016】
請求項12に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記クロス部の少なくとも前記タイヤのトレッドに対応する部分に、前記クロス部から露出する前記トレッドを覆うはしご状、亀甲状またはネット状の滑止部を設けた。
【0017】
請求項13に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記各クロス部が、その基端側を前記外側サイド部に一体的に固定されている。
【0018】
請求項14に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記クロス部を前記タイヤの半径方向に伸縮自在とする伸縮手段と、前記伸縮手段と作用的に連結されて、前記クロス部の最大長さ及び最小長さを規定すると共に、前記伸縮手段による前記クロス部の伸縮を弾性的に緩衝する緩衝手段とを具備し、前記アームフレームを前記タイヤに装着したときに、前記クロス部の前記タイヤのトレッドと対応する部分が前記タイヤのトレッドに押圧された状態となるよう、前記緩衝手段により前記クロス部の最大長さを設定する。
【0019】
請求項15に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記タイヤの外側サイドウォールに対応する前記各クロス部の長さ方向の途中の位置を切断して第1の部分及び第2の部分に分割し、前記第1の部分及び第2の部分を長さ方向に相対移動自在に接続することにより、前記伸縮手段を構成し、前記第1の部分及び第2の部分に取付けられ、前記第1の部分に一端を、前記第2の部分に他端を固着されたコイルばねにより前記緩衝手段を構成し、前記コイルばねの非圧縮状態における全長により前記クロス部の最大長さを規定すると共に、前記コイルばねの最大圧縮長さにより前記クロス部の最小長さを規定する。
【0020】
請求項16に係るタイヤのスリップ防止装置は、前記クロス部が、前記外側サイド部とは分離して別体で設けられると共に、前記外側サイド部の前記連結部に対応する部分以外の略全長にわたって前記サイド部と略平行に延びる略円弧状の長尺状をなす接続部を有し、前記クロス部の接続部には、その長さ方向に間隔を置いて、タイヤの半径方向に延びる長孔を複数貫通形成し、前記外側サイド部には、前記クロス部の接続部の長孔に対応する位置に、それぞれ、ピンを固定して、前記接続部の長孔に挿入し、前記長孔の長さの範囲内で前記クロス部を前記サイド部に対してタイヤの半径方向に移動自在とし、前記ピンには、前記クロス部を前記外側サイド部に対してタイヤの中心に向かう方向に付勢する弾性体を取付け、前記弾性体により前記クロス部を常に前記タイヤのトレッドに密着させる方向に付勢し、前記タイヤの一部が圧縮してその部分の径を縮小したときに、前記ピンが前記長孔内を前記タイヤの中心に向かって移動することにより、前記クロス部の径が前記タイヤの圧縮部分の径の縮小に追随して縮小するようにした。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0031】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。図2は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す側面図である。図3は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す背面図である。図4は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置の連結部を示す一部断面図である。図5は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す斜視図である。図6は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置の連結部によるアームフレームの連結方法を示す斜視図である。
【0032】
本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置は、図1〜図5に示すように、タイヤ1の内側面と接地面(道路接面)と外側面とに接すると共に、前記タイヤ1の外側面側に連結部2を有したアームフレーム3を複数設け、それらのアームフレーム3どうしを前記連結部2により連結するようにしている。詳細には、実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置は、2個のアームフレーム3からなる。各アームフレーム3は、一対の外側サイド部3a1,3a2と、一対のクロス部3b,3c,3dと、連結部2とを備える。各外側サイド部3a1,3a2は、タイヤ1の外側面を構成する外側のサイドウォール1aの内周縁の一部に沿ってその円周方向に延びると共に、タイヤ1のサイドウォール1aのビート1x付近に接触して支持される略円弧状の長尺状をなしている。そして、一対の外側サイド部3a1,3a2は、タイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に所定角度間隔で離間して配置される。具体的には、実施の形態1では、外側サイド部3a1,3a2の基端(一端または対向端)間が、タイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に約90度の角度間隔で離間するよう、各アームフレーム3が形成されている。また、各外側サイド部3a1,3a2自体は、タイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に約45度の角度で延びる円弧状をなす。
【0033】
前記各クロス部3b,3c,3dは、各外側サイド部3a1,3a2の基端から、それぞれ、タイヤ1の外側のサイドウォール1a、接地面を構成するトレッド1c及び内側面を構成する内側のサイドウォール1bにかけて延びる略チャンネル状をなす。各クロス部3b,3c,3dは、外側部3b、接地部3c、内側部3dからなる。外側部3bは、タイヤ1のサイドウォール1aに沿ってその半径方向に延びるようサイドウォール1aに密接して支持される。接地部3cは、タイヤ1のトレッド1cに沿ってその幅方向に延びるようトレッド1cに密接して支持される。内側部3cは、タイヤ1のサイドウォール1bに沿ってその半径方向に延びるようサイドウォール1bに密接して支持される。一対のクロス部3b,3c,3dは、一対の外側サイド部3a1,3a2の基端間の角度間隔に対応して、約90度の角度間隔で配置される。
【0034】
各アームフレーム3は、更に、内側サイド部3eを備える。内側サイド部3eは、前記両クロス部3b,3c,3dの先端を互いに連結するものである。また、内側サイド部3eは、前記タイヤ1の内側のサイドウォール1bの内周縁の一部に沿ってその円周方向に延びると共に、タイヤ1のサイドウォール1bのビート1x付近より若干外周側の位置に接触して支持される略円弧状の長尺状をなす。内側サイド部3eは、一対の外側サイド部3a1,3a2の基端間の角度間隔及び一対のクロス部3b,3c,3dの配置角度間隔に対応して、約90度の角度にわたって延びる円弧状をなす。アームフレーム3は、例えば、1本の鋼製または合金製の丸棒材を屈曲することにより、前記外側サイド部3a1,3a2、クロス部3b,3c,3d及び内側サイド部3eを加工形成することができる。或いは、繊維強化プラスチック(FRP,CFRP)やエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂材料により、アームフレーム3を一体成形することも可能である。なお、アームフレームは、丸棒材(断面円形)以外に、断面楕円形の棒材や長尺状の板材等、他の長尺状とすることができる。
【0035】
前記連結部2は、連結筒7及び圧縮コイルばね8を有する。詳細には、図4に示すように、一方の外側サイド部3a1の先端部11は、外側サイド部3a1の断面の約半分の断面とされ、その先端にはかぎ状の掛止突起11aが一体形成されている。また、他方の外側サイド部3a2の先端部10は、外側サイド部3a2の断面の約半分の断面とされ、その基端には前記掛止突起11aと対応するかぎ状断面の掛止凹部11aが一体形成されている。そして、外側サイド部3a1の先端部11と外側サイド部3a2の先端部10とを合致させ、先端部11の掛止突起11aを先端部10の掛止凹部10aに掛止することにより、外側サイド部3a1と外側サイド部3a2とをそれらの軸方向(長さ方向)に連結固定するようになっている。更に、他方の外側サイド部3a2の先端部11の外周には、筒状の連結筒7が軸方向への摺動自在に取付けられる。連結筒7は、外側サイド部3a1,3a2の断面に対応する内周面を有している。例えば、外側サイド部3a1,3a2を丸棒状とした場合、連結筒7は対応する円形断面の内周面を有する。連結筒7の一端(図4中右端)には圧縮コイルばね8の一端(図4中左端)が固着されている。圧縮コイルばね8の他端(図4中右端)は、他方の外側サイド部3a2の外周面において、外側サイド部3a2の先端から所定距離の位置に固着されている。また、一方の外側サイド部3a1の先端から所定距離の位置の外周面には、その周方向に所定間隔を置いて複数の規制突起7aが一体形成されている。そして、圧縮コイルばね8により連結筒7を一方の外側サイド部3a1に向かって付勢すると共に、連結筒7の他端を規制突起7aに当接させて、連結筒7の更なる移動を規制及び阻止するようになっている。このとき、圧縮コイルばね8が若干圧縮した状態(初期状態)となるよう、圧縮コイルばね8の取付け位置や規制突起7aの位置が設定される。また、このとき、連結筒7が、連結した両外側サイド部3a1,3a2の先端部10,11を完全に覆うようになっている。即ち、このとき、連結した両外側サイド部3a1,3a2の先端部10,11が、連結筒7の略中央に位置するようになっている。
【0036】
そして、前記2個のアームフレーム3の外側サイド部3aの他端または離間端である先端を、それぞれ、連結部2を介して互いに円周方向に挿入及び離脱して、かつ、着脱自在に連結して一体化することにより、前記2個のアームフレーム3のクロス部3b,3c,3dを前記タイヤ1のトレッド1cの円周方向に沿って、トレッド1cの円周方向全体にわたるよう、所定間隔で配置するようになっている。即ち、図6に示すように、連結筒7を圧縮コイルばね8の不勢力に抗して他方の外側サイド部3a2側に摺動させることにより(図6中の右側の連結筒7参照)、外側サイド部3a1,3a2を互いに連結したり、その連結を解除したりすることができる。なお、外側サイド部3a1,3a2を互いに連結した後は、連結筒7が圧縮コイルばね8の不勢力により自然と原位置に復帰し(図6中の左側の連結筒7参照)、連結部分である先端部10,11を外側から覆う。
【0037】
{取付け方法}
上記のように構成したタイヤのスリップ防止装置をタイヤに取付けるには、まず、アームフレーム3を2個用意し、一方のアームフレーム3をタイヤ1の一側方(例えば左側方)から接近させ、そのクロス部3b,3c,3dをタイヤ1の一側(例えば左半分)に嵌め合わせる。このとき、クロス部の外側部3b、接地部3c及び内側部3dが、それぞれ、タイヤ1の外側サイドウォール1a、トレッド1c及び内側サイドウォール1bに密接して支持される。次に、この状態で、一方のアームフレーム3をタイヤ1の他側方(例えば右側方)から接近させ、そのクロス部3b,3c,3dをタイヤ1の他側(例えば右半分)に嵌め合わせる。このとき、クロス部の外側部3b、接地部3c及び内側部3dが、それぞれ、タイヤ1の外側サイドウォール1a、トレッド1c及び内側サイドウォール1bに密接して支持される。このように、実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置は、タイヤ1の接地面以外の部分(空間に位置する部分)に簡単に取付けることができ、装着のためにタイヤ1を回転させる等の面倒な作業を必要とすることがない。
【0038】
次に、この状態で対向する両アームフレーム3を互いに接近させ、対向する一方のアームフレーム3の外側サイド部3a1と他方のアームフレーム3の外側サイド部3a2、及び、一方のアームフレーム3の外側サイド部3a2と他方のアームフレーム3の外側サイド部3a1とを、それぞれ、連結部2により連結する。これにより、図1、図3、図5に示すように、両アームフレーム3の隣接するクロス部3b,3c,3dが互いに所定間隔で配置され、各アームフレーム3自体のクロス部3b,3c,3dが各アームフレーム3自体において所定間隔で配置される。このとき、クロス部の外側部3bと内側部3dとの間の寸法をタイヤ1の幅(サイドウォール1a,1b間の寸法)より若干小さくし、クロス部の外側部3b及び内側部3d並びに外側サイド部3a1,3a2及び内側サイド部3eが、それぞれ、タイヤ1のサイドウォール1a,1bに圧接するようにすることが好ましい。また、連結したアームフレーム3の直径(タイヤの回転中心を挟んで対向するクロス部の接地部3c間の寸法)を、タイヤ1のトレッド1cの直径より若干小さくし、クロス部の接地部3cがタイヤ1のトレッド1cに圧接するようにすることが好ましい。更に、このとき、好ましくは、クロス部3b,3c,3dを一定角度間隔で均等に配置するよう、クロス部3b,3c,3dの配置角度間隔(外側サイド部3a1,3a2の長さ及び配置角度間隔)を設定する。具体的には、実施の形態1では、2個のアームフレーム3が、タイヤ1の円周方向に各々180度の角度にわたって取付け及び配置され(合計360度)、各アームフレームの両クロス部3b,3c,3d間の間隔と、連結された2個のアームフレーム3の隣接するクロス部3b,3c,3d間の間隔とが、それぞれ、約90度の角度間隔で、タイヤ1の円周方向に配置されるようにすることが好ましい。
【0039】
{作用及び効果}
上記のように、実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置は、一対の同一構成のアームフレーム3をタイヤ1の両側から嵌め合わせ、両アームフレーム3を連結部2を介して連結するだけで、タイヤ1に簡単に短時間で装着することができる。即ち、従来のタイヤチェーンのような複雑な作業は不要であり、誰でも簡単に短時間でタイヤに装着することができる。また、タイヤ1に装着したタイヤのスリップ防止装置は、タイヤ1の外周面に圧接して支持されるため、自動車等の走行時にタイヤ1と同期して回転する。そして、走行時に、クロス部の接地部3cが雪道等の路面5に接触して、必要なスリップ防止機能を発揮する。特に、クロス部の接地部3cは、タイヤ1のトレッド1cと路面5との間に位置したときにそのスリップ防止機能を発揮するが、このとき、クロス部の接地部3cはトレッド1cと路面5との間で車重に応じた圧接力を受ける。したがって、クロス部の接地部3cは、トレッド1c表面を滑ることなくトレッド1cと路面5との間に確実に保持され、所定のスリップ防止機能を十分に発揮する。また、このとき、タイヤ1は、車重により幅方向に膨張するため、クロス部の外側部3bと内側部3d及び外側サイド部3a1,3a2と内側サイド部3eとが、それぞれ、タイヤ1の外側サイドウォール1a及び内側サイドウォール1bに圧接され、所定位置に確実に保持される。したがって、アームフレーム3がタイヤ1の円周方向に滑動して位置ずれを生じるといった不具合を防止することができ、タイヤのスリップ防止装置によるスリップ防止機能を十分に発揮することができる。更に、同一構成のアームフレームを2個使用して完全な1セットを構成することができるため、製造原価を低減することができ、安価な構成とすることができる。
【0040】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。
【0041】
{3個のアームフレーム}
実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置は、3個のアームフレーム13を使用する。各アームフレーム13は、実施の形態1のアームフレーム3と同様の基本的構成である。詳細には、各アームフレーム13は、一対の外側サイド部13a1,13a2と、一対のクロス部3b,3c,3dと、1本の内側サイド部15とを備える。一方、実施の形態2では、3本のアームフレームを使用するため、一対の外側サイド部13a1,13a2と、一対のクロス部3b,3c,3dと、1本の内側サイド部15の配置角度間隔または配置角度が、実施の形態1と異なる。即ち、各外側サイド部13a1,13a2は、実施の形態1の外側サイド部3a1,3aと同様の略円弧状の長尺状をなしている。そして、一対の外側サイド部3a1,3a2は、その基端間がタイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に約70度の角度間隔で離間して配置される。また、各外側サイド部13a1,13a2自体は、タイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に約25度の角度で延びる円弧状をなす。一対のクロス部3b,3c,3dは、一対の外側サイド部13a1,13a2の基端間の角度間隔に対応して、約70度の角度間隔で配置される。また、内側サイド部15は、一対の外側サイド部13a1,13a2の基端間の角度間隔及び一対のクロス部3b,3c,3dの配置角度間隔に対応して、約70度の角度にわたって延びる円弧状をなす。そして、各アームフレーム13は、実施の形態1と同様、一対の外側サイド部13a1,13a2の先端部同士を連結部2により連結して、タイヤの円周方向に一体的に装着するようになっている。このとき、実施の形態1と同様、各アームフレーム13の外側サイド部13a1,13a2、クロス部3b,3c,3d及び内側サイド部15が、それぞれ、タイヤ1のサイドウォール1a,1b及びトレッド1cに圧接して支持される。これにより、実施の形態2では、3個のアームフレーム13が、タイヤ1の円周方向に各々120度の角度にわたって取付け及び配置され(合計360度)、各アームフレーム13の両クロス部3b,3c,3d間の間隔が、約70度の角度間隔でタイヤ1の円周方向に配置されると共に、連結された3個のアームフレーム13の隣接するクロス部3b,3c,3d間の間隔が、それぞれ、約50度の角度間隔でタイヤ1の円周方向に配置される。なお、この配置間隔を他の間隔とすることもでき、例えば、クロス部3b,3c,3dの配置間隔を全て60度とするようアームフレームを構成することもできる。
【0042】
{補強材14}
実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、前記両外側サイド部13a1,13a2間及び両クロス部3b,3c,3d間を一体的に剛的に連結して補強する円弧状の長尺状をなす補強材14を備えている。補強材14は、外側サイド部13a1,13a2より若干半径方向外側の位置で同心状に(溶接、接着等により)一体形成され、外側サイド部13a1,13a2間の角度に対応して、約70度の角度にわたって延びている。なお、補強材14を外側サイド部13a1,13a2と半径方向と同一位置に配置してもよく、この場合、外側サイド部13a1,13a2と補強材14とが、1本の大きな円弧状を形成する。前記補強材14は、特に両外側サイド部13a1,13a2間でアームフレーム13を補強する。実施の形態2では、更に、クロス部の外側部3bの両端間の任意の位置(例えば中間位置)、クロス部の接地部3cの両端間の任意の位置(例えば中間位置)、クロス部の内側部3dの両端間の任意の位置(例えば中間位置)に、それぞれ、同様の円弧状の補強材を一体形成してもよい。この場合、クロス部3b,3c,3dに、複数本の補強材がはしご状に配置され、アームフレーム13全体を一層強固に補強する。特に、接地部3cの補強材は、タイヤ1の横方向(トレッド1cの幅方向)におけるスリップを防止するスリップ防止材としても機能し、タイヤのスリップ防止装置全体のスリップ防止効果を一層向上する。
【0043】
{フリージョイント部16}
図8は本発明の実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部をタイヤの半径方向から見た状態を示す平面図である。
実施の形態2では、更に、前記アームフレーム13の中にフリージョイント部16を有している。詳細には、外側サイド部13a1,13a2の基端とクロス部3b,3c,3dとの接続部分、クロス部3b,3c,3dの先端と内側サイド部15との接続部分、更に、内側サイド部15の略中央部分、補強材16の略中央部分を切断して、それぞれ、第1の部分及び第2の部分に分割すると共に、前記第1の部分及び第2の部分を前記タイヤ1の側面(サイドウォール1a、1b)の面方向に沿って相対傾動自在となるように互いに連結してフリージョイント部を構成している。そして、外側サイド部13a1,13a2とクロス部3b,3c,3d、及び、クロス部3b,3c,3dと内側サイド部15とが、それぞれ、フリージョイント部16を介して、タイヤ1の側面の面方向に沿って相対傾動自在となるようにしている。同様に、内側サイド部15及び補強材16が、それぞれ、それらの略中央部分で、フリージョイント部16を介して、タイヤ1の側面の面方向に沿って相対傾動自在となるようにしている。具体的には、補強材14の場合を例にとって説明すると、図8に示すように、補強材14は、その略中央部分を切断して、それぞれ、第1の部分14a及び第2の部分14bに分割している。第1の部分14aの先端部16a及び第2の部分14bの先端部16bは、それぞれ、第1の部分14a及び第2の部分14bの約半分の断面とされ、ピン16cを介して互いに回動自在に連結されている。ピン16の軸心は、外側サイド部13a1,13a2から内側サイド部15へ向かう方向(タイヤ1の軸心方向)に延びており、これにより、補強材14が、タイヤ1の側面の面方向に沿って相対傾動自在となる。なお、補強材14以外の接続部16も同様の構成であるため、重複した説明は省略する。
【0044】
{作用及び効果}
上記のように構成した実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態1と同様にしてタイヤ1に装着することができ、実施の形態1と同様の作用及び効果を発揮する。更に、実施の形態2では3個のアームフレーム13を使用するため、クロス部3b,3c,3dの全体数が増加し、スリップ防止効果を一層効率良く発揮することができる。また、タイヤ1への装着時に対をなすアームフレーム13を連結部2を介して連結する際に、隣接するクロス部3b,3c,3d間の角度は約50度になり、通常のタイヤ1の接地面の角度より十分に大きいため、タイヤ1の接地面以外の部分にアームフレーム13を容易に装着し、連結部2により全体を一体化することができる。即ち、実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態1と同様、各アームフレーム13をタイヤ1の接地面以外の部分に簡単に取付けることができ、装着のためにタイヤ1を回転させる等の面倒な作業を必要とすることがない。更に、車両等の走行時に、アームフレーム13がタイヤ1と同期回転するときに、フリージョイント部16を介して、外側サイド部13a1,13a2、クロス部3b,3c,3d、内側サイド部15、補強材14が、それぞれ、その連結部または中央部で、タイヤ1の変形等に追随して相対傾動し、アームフレーム13に加わる応力歪を吸収または緩衝する。その結果、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置は、より円滑にスリップ防止機能を発揮することができる。また、タイヤ1への装着作業時には、フリージョイント部16を介して、外側サイド部13a1,13a2、クロス部3b,3c,3d、内側サイド部15、補強材14が、それぞれ、その連結部または中央部で相対傾動するため、アームフレーム13全体をタイヤ1の外形に合わせて若干変形または形状調整しながらタイヤ1に装着することができるため、タイヤ1への装着作業が一層容易になる。
【0045】
[実施の形態3]
{フリージョイント部のねじりコイルばね16d}
図9は本発明の実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部に弾性体としてのねじりコイルばねを設けた状態を示す平面図である。
実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置とほぼ同様の構成であるが、更に、前記フリージョイント部16に、スプリングからなる弾性体を設けている。その他の構成は実施の形態2と同様である。具体的には、補強材14の場合を例にとって説明すると、図9に示すように、補強材14の第1の部分14aの接続部16aと第2の部分14bの接続部16bとの間には、それら接合面に沿って、弾性体としてのねじりコイルばね16dが介装されている。ねじりコイルばね16dは、中央のコイル部分(円形に巻き回した部分)をピン16cの軸の外周に装着すると共に、その一端を第1の部分14aの接続部16aに、他端を第2の部分14bの接続部16bに固着している。そして、ねじりコイルばね16dのばね力(ピン16cの軸心を中心とした回転トルク)により、第1の部分14aと第2の部分14bとを所定の傾動状態(傾動角度)となるよう付勢している。即ち、ねじりコイルばね16dの付勢力により、外側サイド部13a1,13a2とクロス部3b,3c,3d、及び、クロス部3b,3c,3dと内側サイド部15とを、それぞれ、そのフリージョイント部16にて略直交状態(初期状態)に維持している。また、ねじりコイルばね16dの付勢力により、内側サイド部15及び補強材14を、そのフリージョイント部16にて円弧状態(初期状態)に維持している。
【0046】
{作用及び効果}
実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置と同様の作用及び効果を発揮する。更に、車両等の走行時に、アームフレーム13がタイヤ1と同期回転し、フリージョイント部16がアームフレーム13に加わる応力歪を吸収または緩衝するときに、ねじりコイルばね16dにより、その応力吸収効果または応力緩衝効果を一層増大することができる。詳細には、外側サイド部13a1,13a2とクロス部3b,3c,3d、及び、クロス部3b,3c,3dと内側サイド部15とのタイヤ1の側面の面方向に沿った(フリージョイント部16による)相対傾動を一層効果的に緩衝することができる。同様に、補強材14及び内側サイド部15自体の第1及び第2の部分14a,14bの(フリージョイント部16による)相対傾動を一層効果的に緩衝することができる。これにより、フリージョイント部16での急激な折れ曲がりを防止し、外側サイド部13a1,13a2とクロス部3b,3c,3d、及び、クロス部3b,3c,3dと内側サイド部15とが、円滑に相対傾動することができる。同様に、補強材14及び内側サイド部15の第1及び第2の部分14a,14bが円滑に相対傾動することができる。その結果、実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置は、より一層円滑にスリップ防止機能を発揮することができる。
【0047】
[実施の形態4]
{フリージョイント部のゴム被覆体16e}
図10は本発明の実施の形態4に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部に弾性体としてのゴム被覆体を設けた状態を示す平面図である。
実施の形態4に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置とほぼ同様の構成であるが、更に、前記フリージョイント部16に、ゴム被覆体16eからなる弾性体を設けている。その他の構成は実施の形態2と同様である。具体的には、補強材14の場合を例にとって説明すると、図10に示すように、補強材14の第1の部分14a及び接続部16aと第2の部分14bの接続部16bには、それらの外側を覆うよう、ゴム(天然ゴム、合成ゴム)からなるゴム被覆体16eが一体的に設けられている。ゴム被覆体16eは、アームフレーム13の製造時(第1の部分14a及び接続部16aと第2の部分14bの接続部16bとのピン16cによる連結後)に、例えば、接続部16a、接続部16b及びピン16c全体を被覆するように未加硫のゴムを塗布または成形して、その後硬化させることにより形成することができる。或いは、予め図10に示す所定形状(円筒状等の筒状)に成形したゴム被覆体16eを、後付けにより接続部16a、接続部16b及びピン16c全体を被覆するよう取付けることもできる。ゴム被覆体16eは、実施の形態3のねじりコイルばね16dと同様、その弾性力により、第1の部分14aと第2の部分14bとを所定の傾動状態(傾動角度)に維持している。即ち、ゴム被覆体16eの有する弾性的形状保持力により、外側サイド部13a1,13a2とクロス部3b,3c,3d、及び、クロス部3b,3c,3dと内側サイド部15とを、それぞれ、そのフリージョイント部16にて略直交状態(初期状態)に維持している。また、ゴム被覆体16eの有する弾性的形状保持力により、内側サイド部15及び補強材14を、そのフリージョイント部16にて円弧状態(初期状態)に維持している。実施の形態4に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置と同様の作用及び効果を発揮する。
【0048】
[実施の形態5]
図11は本発明の実施の形態に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示し、(a)はその正面図、(b)は(a)をA方向から見た矢視図である。
実施の形態5に係るタイヤのスリップ防止装置は、図11(a)に示すように、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置とほぼ同様の構成である。一方、実施の形態5に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置のようなフリージョイント部16は設けておらず、全体を剛的に連結或いは一体形成している。なお、実施の形態5においては、実施の形態2と同様、各外側サイド部13a1,13a2自体の円弧角度は約25度であり、隣接するアームフレーム13のクロス部3b,3c,3d間の角度θ1は約50度である。また、各アームフレーム13において、両外側サイド部3a1,3a2の基端間の角度θ2は、約70度であり、両クロス部3b,3c,3d間の角度(連結材14の円弧角度)は約70度となる。なお、実施の形態2で述べたように、タイヤ1の接地面角度より十分大きい角度を確保できる限りにおいて、前記角度θ1及びθ2を別の角度(例えばそれぞれ60度)とすることもできる。
【0049】
また、実施の形態5に係るタイヤのスリップ防止装置では、図11(b)に示すように、クロス部の内側部3dの長さH2を外側部3dの長さH1より若干短く設定している。即ち、クロス部の外側部3dはタイヤ1のビート1x付近まで延び、外側サイド部13a1,13a2は、タイヤ1のビート1x付近でサイドウォール1aに圧接する。一方、クロス部の内側部3dは、タイヤ1のビート1x付近より半径方向において若干外方の位置まで延び、内側サイド部15は、タイヤ1のビート1x付近より半径方向において若干外方の位置でサイドウォール1bに圧接する。こうすることにより、クロス部の内側部3dをタイヤ1の奥側(ホイールハウスの内部側)に容易に差し込んで、簡単に取付けることができる。
【0050】
実施の形態5では、更に、各アームフレーム13の両クロス部3b,3c,3d間の全体にわたって補助滑止部17を一体的に設けている(図11の二点差線)。補助滑止部17は、はしご状、亀甲模様状、またはネット状等の金属材、ゴム材、合成樹脂材等からなり、両クロス部3b,3c,3d間において多数の線的な補助滑止手段または面的な補助滑止手段を構成する。即ち、実施の形態5に係るタイヤのスリップ防止装置は、車両等の走行時に、クロス部の接地部3cが雪面や凍結路面と接触して、所定のスリップ防止機能を発揮することに加え、補助滑止部17が雪面や凍結路面と接触して、追加のスリップ防止機能を発揮する。なお、補助滑止部17の代わりに、或いは、補助滑止部17と共に、ゴムコーティング材からなる滑止手段をクロス部の接地部3c表面に一体的に設けてもよい。或いは、ゴム材からなる滑止手段を別体で形成し、クロス部の接地部3cの外周に着脱自在に取付けるようにすることもできる。更に、かかるゴムコーティング材からなる滑止手段またはゴム材からなる別体の滑止手段を、外側サイド部13a1,13a2や内側サイド部15、或いは補助材14に設け、タイヤ1のサイドウォール1a,1bとの間で摩擦抵抗を増大するようにしてもよい。この場合、外側サイド部13a1,13a2、内側サイド部15、或いは補助材14が、タイヤ1のサイドウォール1a,1bに対して圧接されることに加え、滑り止め手段により滑り難くなるため、タイヤ1の回転加速に伴うアームフレーム13の慣性力により、アームフレーム13がタイヤ1との間で相対回動することより効果的に防止することができる。なお、本発明に係るタイヤのスリップ防止装置は、アームフレーム13とタイヤ1との間の相対回動を防止する手段を更に別個に設けてもよい。
【0051】
[実施の形態6]
図12は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。図13は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を側面から見て示す説明図である。図14は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部とクロス部との連結部分を正面から見て示す説明図である。図15は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部及び連結筒を示す斜視図である。図16は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部及び連結部を示す平面図である。
【0052】
実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置は、3個のアームフレーム20からなる。各アームフレーム20は、図12及び図13に示すように、1本の外側サイド部21と、1個のクロス部22と、連結部27,28とを備える。外側サイド部21は、タイヤ1の外側のサイドウォール1aの内周縁に沿ってその円周方向に延びると共に、タイヤ1のサイドウォール1aのビート1x付近に接触して支持される略円弧状の長尺状をなしている。前記外側サイド部21は、タイヤ1のサイドウォール1aの円周方向に所定角度間隔(角度範囲)にわたって延びるよう配置される。実施の形態3では、実施の形態2と同様に3個のアームフレーム20を使用する一方、各アームフレーム20は1本の外側サイド部21のみを有するため、各アームフレーム20の外側サイド部21は、約120度の角度範囲にわたって延びる円弧状をなす。
【0053】
外側サイド部21は、図15及び図16に示すように、鋼製の板材を所定形状(図15に示す形状)にプレス加工、打ち抜き加工等することにより形成されている。詳細には、外側サイド部21の一端(図15中左端)には、かぎ状の掛止部21aが一体形成されている。また、外側サイド部21の他端(図15中右端)には、前記掛止部21aと対応するかぎ状の掛止部21bが一体形成されている。そして、隣接するアームフレーム20同士を連結するときに、一方のアームフレーム20の外側サイド部21の一端側の掛止部21aと、他方のアームフレーム20の外側サイド部21の他端側の掛止部21aとを合致させて互いに掛止状態とすることにより、一方の外側サイド部21と他方の外側サイド部21とをそれらの軸方向(長さ方向)に連結固定するようになっている。更に、外側サイド部21の一端側には、実施の形態1の連結筒7と同様にして、連結筒27が軸方向への摺動自在に取付けられている。連結筒27は、外側サイド部21の断面に対応する板状(長方形状)の内周面を有しており、板状の外側サイド部21に対応する四角(長方形)筒状に形成されている。連結筒27の一端(図15中右端)には、実施の形態1の圧縮コイルばね8と同様にして、圧縮コイルばね28の一端が固着されている。圧縮コイルばね28の他端は、外側サイド部21の外周面において、外側サイド部21の一端から所定距離の位置に固着されている。圧縮コイルばね8は、連結筒7の外形(長方形)に対応して、四角渦状のコイル状に形成することが好ましい。また、外側サイド部21の他端から所定距離の位置の外周面には、実施の形態1の規制突起7aと同様に、その周方向に所定間隔を置いて、規制突起(図示略)が一体形成されている。
【0054】
そして、アームフレーム20を連結する際に、圧縮コイルばね28により連結筒27を、一方のアームフレーム20の外側サイド部21の他端に向かって付勢すると共に、連結筒27の他端を規制突起に当接させて、連結筒27の更なる移動を規制及び阻止するようになっている。このとき、圧縮コイルばね28が若干圧縮した状態(初期状態)となるよう、圧縮コイルばね28の取付け位置や規制突起の位置が設定される。また、このとき、連結筒27が、連結した一方の外側サイド部21の他端部(掛止部21b)及び他方の外側サイド部21の一端部(掛止部21a)を完全に覆うようになっている。即ち、このとき、図16に示すように、連結した両外側サイド部21の先端の掛止部21a,21bが、連結筒27の略中央に位置するようになっている。なお、連結筒27と圧縮コイルばね28の位置関係を左右で逆とすることもできる。例えば、図12では、時計回り方向において連結筒27が右側に、圧縮コイルばね28が左側に配置されている。なお、図15及び図16では、時計回り方向において連結筒27が左側に、圧縮コイルばね28が右側に配置される。
【0055】
そして、前記3個のアームフレーム20の外側サイド部21の両端を、それぞれ、実施の形態1と同様にして、連結部の連結筒27及び圧縮コイルばね28を介して互いに円周方向に挿入及び離脱して、かつ、着脱自在に連結して一体化することにより、前記3個のアームフレーム20のクロス部22を前記タイヤ1のトレッド1cの円周方向に沿って、トレッド1cの円周方向全体にわたるよう、所定間隔で配置するようになっている。
【0056】
前記クロス部22は、外側サイド部21から、タイヤ1の外側のサイドウォール1a、トレッド1c及び内側のサイドウォール1bにかけて延びる略チャンネル状をなす。ここで、上記各実施の形態では、クロス部3b,3c,3dは、その基端を外側サイド部3a1,3a2または外側サイド部13a1,13a2の基端に一体的に固定されている。一方、実施の形態6では、クロス部22は、前記外側サイド部21とは分離して別体で設けられる。即ち、クロス部22は、外側サイド部21の連結部27,28に対応する部分以外の略全長にわたって、外側サイド部21と略平行に延びる略円弧状の長尺状をなす接続部23を有している。クロス部22の接続部23には、その長さ方向に一定間隔を置いて、タイヤ1の半径方向に延びる長孔23aが複数貫通形成されている。一方、外側サイド部21には、前記クロス部22の接続部23の長孔23aに対応する位置に、それぞれ、ピン25を前記クロス部22の接続部23に向かって突出するよう固定して、前記接続部23の長孔23aに挿入している。これにより、接続部23の長孔23aの長さの範囲内で、クロス部22を外側サイド部21に対してタイヤ1の半径方向に移動自在としている。
【0057】
前記クロス部22は、全体として、外側サイド部21の少なくとも長さ方向両端付近から、タイヤ1の外側のサイドウォール1a、トレッド1c及び内側のサイドウォール1bにかけて延びる略チャンネル状の長尺板状をなす。即ち、クロス部22は、接続部23の幅方向一端(半径方向外側端)に連続して、断面チャンネル状の板状部24を一体形成している。詳細には、板状部24は、その長さ方向両端及び中央に、むく板からなるチャンネル板状の骨格部24A,24B,24Cを備えている。また、板状部24は、骨格部24Aと骨格部24C及び骨格部24Bと骨格部24Cとの間に、それぞれ、網板からなるチャンネル板状の滑止部24a,24b,24cを一体形成している。なお、滑止部24a,24b,24cを側面から見ると、図13に示すように、実施の形態1のクロス部3b,3c,3dと同様、サイドウォール1aに密接する外側部24aと、トレッド1cに圧接する接地部24bと、サイドウォール1bに圧接する内側部24cとからなる。
【0058】
同様に、各骨格部24A,24B,24Cも、滑止部24a,24b,24cに対応して、サイドウォール1aに密接する外側部と、トレッド1cに圧接する接地部と、サイドウォール1bに圧接する内側部とからなる。即ち、各骨格部24A,24B,24Cは、外側サイド部21の長さ方向両端付近及び中央から、タイヤ1の外側のサイドウォール1a、トレッド1c及び内側のサイドウォール1bにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす。なお、前記内側部24cの先端に、追加の骨格部として、むく板からなる円弧板状の内側サイド部を一体形成してもよい。こうすると、板状部24全体の強度を一層向上することができる。即ち、骨格部24A,24B,24Cの先端を互いに連結すると共に、タイヤ1の内側のサイドウォール1bの内周縁に沿ってその円周方向に延びると共に、タイヤ1のサイドウォール1bのビート1x付近より若干外周側の位置に接触して支持される略円弧状の長尺板状をなす内側補強部として、内側サイド部を備えるようにしてもよい。
【0059】
前記骨格部24A,24B,24Cは、板状部24の強度を増加するための補強手段として機能すると共に、車両等の走行時に、雪道の路面や凍結路面と接触して、所定のスリップ防止機能を発揮する滑止手段としても機能する。また、板状部24は、主に、車両等の走行時に、雪道の路面や凍結路面と接触して、所定のスリップ防止機能を発揮する滑止手段として機能するが、単体でも必要な強度を有するよう構成することができる。よって、板状部24は、骨格部24A,24B,24Cを備えない構成、即ち、網板状の滑止部24a,24b,24cのみの構成とすることもできる。或いは、逆に、板状部24は、網板状の滑止部24a,24b,24cを備えない構成、即ち、骨格部24A,24B,24Cのみの構成とすることもできる。なお、滑止部24a,24b,24cは、クロス部22の少なくともタイヤ1のトレッド1cに対応する部分に設ければよく、また、その形状は、クロス部22から露出するトレッド1c(骨格部24A,24B,24C間の隙間)を覆うはしご状、亀甲状またはネット状等とすることができる。
【0060】
前記ピン25には、図14に示すように、クロス部22を外側サイド部21に対してタイヤ1の中心に向かう方向に付勢する弾性体としてのねじりコイルばね26を取付けている。具体的には、接続部23の外側サイド部21と対向する側面(内側面)には、前記長孔23a及びピン25の左右両側の下方には、所定距離を置いて一対の小突起23aが一体形成されている。また、前記ねじりコイルばね26は、外側サイド部21と接続部23の対向側面乃至接合面(内側面)に沿って介装されている。ねじりコイルばね26は、中央のコイル部分(円形に巻き回した部分)をピン25の軸の外周に装着すると共に、その一端を一方の小突起23aの一側面(図14中上面)に、他端を他方の小突起23aの一側面(図14中上面)に、それぞれ、タイヤ1の半径方向外側から係止している。そして、前記ねじりコイルばね26により、小突起23aを介して、クロス部22の接地部24b内側面を常にタイヤ1のトレッド1cに密着させる方向(図14中の矢印I方向)に付勢している。また、タイヤ1の一部が圧縮してその部分の径を縮小したときに、外側サイド部21のピン25が接続部23の長孔23a内をタイヤ1の中心に向かって移動することにより、クロス部22の径がタイヤ1の圧縮部分の径の縮小に追随して縮小するようになっている。これにより、クロス部22の幅方向(タイヤ1の半径方向)における若干の変形や歪に対してクロス部22が追随して、その変形や歪を吸収または緩衝することができるようになる。なお、接続部23の長孔23aはスロット状をなすが、これをタイヤ1の半径方向外側に向かって拡大する略扇状の長孔23axとすることもできる。この場合、クロス部22の長さ方向(タイヤ1の回転方向)における若干の変形や歪に対してもクロス部22が追随して、その変形や歪を吸収または緩衝することができるようになる。なお、ねじりコイルばね26を図14の場合と逆方向に取付けることも可能である。即ち、ピン25の左右両側の上方に、所定距離を置いて一対の小突起23aを一体形成する。また、ねじりコイルばね26を、その初期状態(トルクを発生していない状態)で、中央のコイル部分をピン25の軸の外周に装着すると共に、その一端を一方の小突起23aの下面に、他端を他方の小突起23aの下面に、それぞれ、タイヤ1の半径方向内側から係止するよう配置する。これにより、タイヤ1の一部が圧縮してその部分の径を縮小したときに、ねじりコイルばね26がその圧縮に伴うクロス部22の半径方向への移動や変形等を吸収または緩衝するようになる。
【0061】
{作用及び効果}
実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置と同様にして、タイヤ1に装着され、同様の作用及び効果を発揮する。即ち、3個のアームフレーム20の外側サイド部21を、それぞれ、連結部としての連結筒27及び圧縮コイルばね28を介して円周方向に挿入及び離脱して、かつ、着脱自在に互いに連結して一体化することにより、前記3個のアームフレーム20のクロス部22をタイヤ1のトレッド1cの円周方向に沿って、トレッド1cの円周方向全体にわたるよう一定間隔で均等に配置することができる。これにより、各アームフレーム20のクロス部22が互いに所定間隔で配置され、各アームフレーム20自体のクロス部22が各アームフレーム20自体において所定間隔で配置される。
【0062】
なお、実施の形態6では、前記外側サイド部21は鋼製の板材より形成することができ、また、クロス部22の接続部24も鋼製の板材により形成することができる。一方、外側サイド部21は、ピン25を固定できる限りにおいて、その他の材料、例えば、棒材により形成することもできる。
【0063】
[実施の形態7]
図17は本発明の実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。図18は本発明の実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置の補助連結材を示す平面図である。
実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置とほぼ同様の構成であるが、実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置は、更に、図17に示すように、隣接するアームフレーム20の隣接するクロス部22の長さ方向の途中の位置を互いに伸縮自在に連結する補助連結材31,32,33を備えている。詳細には、図18に示すように、補助連結材31,32,33は、ゴムひも等の長尺状の弾性体からなる弾性部31と、弾性部31の一端に固定した取付部32と、弾性部31の他端に固定した固着部33とからなる。取付部32は、先端を開口した断面筒状の略リング状をなす基部32aと、基部32aの先端側の側壁の一側に貫通形成されたスロット状の移動溝32bと、基部32aの先端側の側壁内に摺動自在に収容された円弧状の可動部32dと、可動部32dの一端側(基部32a側)に一体的に固着された係止突起32eとを備える。係止突起32eは、基部32aの移動溝32b内に収容されると共に、可動部32dの一端は基部32aに収容した圧縮コイルばね(図示略)により基部32aの先端に向けて付勢されている。そして、係止突起32eを介して可動部32dを円弧方向(基部32aの円周方向)に移動することにより、基部32aの先端を開いたり閉じたりすることができるようになっている。一方、固着部33は、単なるリング状をなし、各アームフレーム20のクロス部22の長さ方向一端(例えば、図17の時計回り方向における左端)に予め固着されている。
【0064】
実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置では、各アームフレーム20をタイヤ1に装着した後、各アームフレーム20のクロス部22の長さ方向他端(例えば、図17の時計回り方向における右端)に一体形成したフック等の掛止部(図示略)に、補助連結材31,32,33の基部32aを引っ掛けて装着することにより、隣接するアームフレーム20を、タイヤ1の半径方向におけるクロス部22の途中部分で弾性的に連結することができる。即ち、補助連結材31,32,33の弾性部31が隣接するアームフレーム20のクロス部22を弾性的に連結し、特に、接地部24bをタイヤ1のトレッド1cに対してより確実に圧接させる。
【0065】
[実施の形態8]
図19は本発明の実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。
図19に示すように、実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置は、例えば実施の形態1の構成に加え、更に、クロス部43b1,43b2,3c,3dをタイヤ1の半径方向に伸縮自在とする伸縮手段と、伸縮手段と作用的に連結されて、前記伸縮手段によるクロス部43b1,43b2,3c,3dの最大長さ及び最小長さを規定すると共に、伸縮手段によるクロス部部43b1,43b2,3c,3dの伸縮を弾性的に緩衝する緩衝手段とを備える。その他の構成は、実施の形態1の構成と同様とすることができる。そして、アームフレームをタイヤ1に装着したときに、クロス部43b1,43b2,3c,3dのタイヤ1のトレッド1cと対応する接地部3cが、タイヤ1のトレッド1cに押圧された状態となるよう、前記緩衝手段によりクロス部43b1,43b2,3c,3dの最大長さを設定している。
【0066】
詳細には、タイヤ1の外側サイドウォール1aに対応するクロス部の外側部43b1,43b2(実施の形態1の外側部3bに対応)は、その長さ方向の途中の位置を切断して、第1の部分43a1及び第2の部分43a2に分割している。そして、第1の部分43a1の一端部(図19中下端部)と第2の部分43a2の他端部(図19中上端部)とを重ね合わせた状態で、長さ方向に相対移動自在に接続することにより、前記伸縮手段を構成している。なお、前記第1の部分43a1及び第2の部分43a2は、その一方の長さ方向に沿ってスライド溝を設けると共に、他方の長さ方向に沿ってそのスライド溝に嵌合するスライド突起を設けて、その幅方向乃至半径方向への離脱を防止するようにすることが好ましい。この場合も、第1の部分43a1及び第2の部分43a2は、スライド溝及びスライド突起の嵌合関係により、その長さ方向に相対移動(伸縮)自在となる。
【0067】
また、第1の部分43a1及び第2の部分43a2に取付けられ、第1の部分43a1に一端を、第2の部分43a2に他端を固着された圧縮コイルばね45により前記緩衝手段を構成している。そして、圧縮コイルばね45の非圧縮状態における全長によりクロス部43b1,43b2,3c,3dの最大長さ乃至高さを規定すると共に、圧縮コイルばね45の最大圧縮長さによりクロス部43b1,43b2,3c,3dの最小長さを規定している。具体的には、前記圧縮コイルばね45は、その一端をクロス部の外側部の第1の部分43a1に、他端をクロス部の外側部の第2の部分43a2に、それぞれ固着している。また、圧縮コイルばね45は、前記クロス部の外側部の第1の部分43a1及び第2の部分43a2の重合部分に略密着して巻き回されている。これにより、圧縮コイルばね45自体の形状保持力によって、第1の部分43a1及び第2の部分43a2がその幅方向に相対移動して離脱することを防止することができる。
【0068】
更に、実施の形態8では、圧縮コイルスプリング45の代わりに、前記第1の部分43a1及び第2の部分43a2の重合部分を外側から被覆するゴム被覆体47からなる弾性体を一体的に設けたり、別体の弾性体を後付けで取付けたりすることもできる。ゴム被覆体47は、実施の形態4のゴム被覆体16eと同様の構成とすることができる。この場合、ゴム被覆体47の弾性的保持力により、前記第1の部分43a1及び第2の部分43a2の連結関係を良好に維持すると共に、それらの長さ方向への弾性的移動を可能にして、圧縮コイルスプリング45と同様の効果を発揮する。
【0069】
{作用及び効果}
実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置と同様の作用及び効果を発揮する。更に、実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置は、タイヤ1の一部が圧縮してその部分の径を縮小したとき等において、伸縮手段としての第1の部分43a1及び第2の部分43a2がその長さ方向に相対移動すると共に、緩衝手段としての圧縮コイルばね45により、クロス部43a1,43a2,3c,3dの幅方向(タイヤ1の半径方向)における若干の移動や変形や歪を吸収または緩衝することができるようになる。なお、本実施の形態において、圧縮コイルばね45の代わりに引張りコイルばねを使用すれば、そのばね力(引張り応力)により、クロス部の接地部3cをタイヤ1のトレッド1cにより確実かつ強力に圧接することができる。
【0070】
[実施の形態9]
図20は本発明の実施の形態9に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。
実施の形態9に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置と同様、伸縮手段と緩衝手段とを備える。詳細には、図20に示すように、実施の形態9に係るタイヤのスリップ防止装置は、クロス部の外側部53b1,53b2を第1の部分53b1及び第2の部分53b2に分割し、それらを長さ方向に相対移動自在に連結して伸縮手段を構成している。即ち、第1の部分53b1を円筒状(シリンダー状)に形成し、第2の部分53b2は、第1の部分53b1の内部に摺動自在に嵌合される円柱状(ピストン状)に形成している。また、圧縮コイルばね55の一端を第1の部分53a1の基端(図20中上端)に固着すると共に、他端を第2の部分53a2の基端(図20中上端)に固着している。更に、圧縮コイルばね55は、前記クロス部の外側部の第1の部分53a1及び第2の部分53a2の重合部分に略密着して巻き回されている。そして、圧縮コイルばね55の非圧縮状態における全長によりクロス部53b1,53b2,3c,3dの最大長さ乃至高さを規定すると共に、圧縮コイルばね55の最大圧縮長さによりクロス部53b1,53b2,3c,3dの最小長さを規定している。
【0071】
{作用及び効果}
実施の形態9に係るタイヤのスリップ防止装置は、実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置と同様の作用及び効果を発揮する。なお、本実施の形態においても、圧縮コイルばね55の代わりに引張りコイルばねを使用すれば、そのばね力(引張り応力)により、クロス部の接地部3cをタイヤ1のトレッド1cにより確実かつ強力に圧接することができる。
【0072】
[実施の形態10]
図21は本発明の実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。図22は本発明の実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置の固定手段を示す平面図である。
実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置は、図21に示すように、実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置において、各アームフレームを、前記外側サイド部21と、前記骨格部24A,24B,24Cに対応するチャンネル板状の骨格部61b,61c,61dより構成している。骨格部61b,61c,61dは、サイドウォール1aに密接する外側部61bと、トレッド1cに圧接する接地部61cと、サイドウォール1bに圧接する内側部61dとからなる。即ち、各骨格部61b,61c,61dは、外側サイド部21の長さ方向両端付近及び中央から、タイヤ1の外側のサイドウォール1a、トレッド1c及び内側のサイドウォール1bにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす。更に、実施の形態10のアームフレームは、骨格部61b,61c,61dの先端を互いに連結すると共に、タイヤ1の内側のサイドウォール1bの内周縁に沿ってその円周方向に延びると共に、タイヤ1のサイドウォール1bのビート1x付近より若干外周側の位置に接触して支持される略円弧状の長尺板状をなす内側補強部として、内側サイド部61eを備えている。
【0073】
加えて、実施の形態10のアームフレームは、クロス部の接地部61cの長さ方向略中央に、別体のタイヤチェーンを固定するための固定手段65を設けている。詳細には、図22に示すように、固定手段65は、接地部61cと略面一でタイヤ1のトレッド1cの面方向に沿って延びている。固定手段65は、一対のL字状の支持部65a及びL字状の支持部65bを前記接地部61cから突出するよう固着している。一方のL字状の支持部65aは、他方のL字状の支持部65bよりも先端側折曲部の長さが短くなっている。そして、両支持部65a,65bの先端間には、所定の隙間Gが設けられている。更に、両支持部65a,65bの先端部間には、前記隙間Gを覆うように、筒状(円筒状、四角筒状等)のカバー65cが取付けられている。また、カバー65cの一端(図22中左端)には、圧縮コイルばね65dが装着されている。そして、圧縮コイルばね65dのばね力により、常には、カバー65cを付勢して、両支持部65a,65bの先端部間の隙間Gを覆うと共に、必要時には、圧縮コイルばね65dのばね力に抗してカバー65cを移動して、両支持部65a,65bの先端部間の隙間Gを露出できるようになっている。一方、実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置は、少なくとも前記タイヤのトレッドに対応するクロス部の部分、即ち、接地部61c間の全体を覆う別体のタイヤチェーン67を備えている。そして、タイヤチェーン67のチェーンの一つを、各接地部61cの固定手段65の両支持部65a,65bの先端部間の隙間Gからその内部に嵌め入れ、カバー65cを元に戻すことにより、タイヤチェーン67をクロス部の接地部61cに固定できるようになっている。なお、このとき。タイヤチェーン67は、図21中の二点差線で示す部分までタイヤ1のトレッド1cを被覆するようにすれば十分であるが、更に、クロス部の外側部61b及び/または内側部61dまで覆うような大きさのタイヤチェーンを使用することもできる。
【0080】
〔その他の変更例〕
本発明に係るタイヤのスリップ防止装置では、アームフレームの数は2個以上であれば任意である。アームフレームの数が増えれば、タイヤ1への装着は多少面倒になるが、スリップ防止効果はより高くなる。好ましくは3個以上のアームフレームを使用する。しかし、実施の形態2においてアームフレームを2個にしたり、実施の形態1においてアームフレームを4個以上としたりしてもよい。また、前記クロス部は、上記のように、板状、1又は2以上の単純棒状、コ字棒状、はしご棒状、はしご棒状と網板材との組合せ等、任意の形態とすることができる。なお、アームフレームを2個使用するものは、左右に分けて車のフェンダーとタイヤとの間に挿入して、タイヤに被せるようにして左右を組合せるようにセットする。なお、このときの連結部は、固定式のボルト式でもよく、またフリー連結のボルト式でも、いろいろ考えられる。実施の形態1のような構成のタイヤのスリップ防止装置は、最も構造がシンプルなため、一般に、軽自動車等、車体重量の軽く、低速で走行するものに好適である。また、前記フリージョイント部16の方向は、逆方向(90度)に屈折するものを組合せるよう構成する場合もある。そして、アームフレーム全体を被覆したり、また、部分的に被覆したるすることもできる。また、アームフレームの材質としては、必要な弾力(弾性)と強度等の特性を備え、かつ、磨耗に強いものが好適である。また、複合材を使用したり、コーテング加工材を使用したりすることもできる。
【0081】
[用途]
本発明に係るタイヤのスリップ防止装置は、自動車、フォークリフト、その他の車両、飛行機、その他の乗物等、タイヤを使用する限りにおいて、全てのものに適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1〜25に係るタイヤのスリップ防止装置は、誰でも簡単に短時間でタイヤに装着することができる。即ち、シンプルな構造で、耐久力及び制動力も十分で、なおかつ、大変着脱が簡単なため、誰でも、どこでも、いつでも、使用することができる。また、急に必要なときにも、また、急に不要な場合でも、大変便利なため、ドライバーの装着率が上がり、冬季の交通事故の減少につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す側面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す背面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置の連結部を示す一部断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1に係るタイヤのスリップ防止装置の連結部によるアームフレームの連結方法を示す斜視図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部をタイヤの半径方向から見た状態を示す平面図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態3に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部に弾性体としてのねじりコイルばねを設けた状態を示す平面図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4に係るタイヤのスリップ防止装置のフリージョイント部に弾性体としてのゴム被覆体を設けた状態を示す平面図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示し、(a)はその正面図、(b)は(a)をA方向から見た矢視図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を側面から見て示す説明図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部とクロス部との連結部分を正面から見て示す説明図である。
【図15】図15は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部及び連結筒を示す斜視図である。
【図16】図16は本発明の実施の形態6に係るタイヤのスリップ防止装置の外側サイド部及び連結部を示す平面図である。
【図17】図17は本発明の実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置をタイヤに装着した状態を示す正面図である。
【図18】図18は本発明の実施の形態7に係るタイヤのスリップ防止装置の補助連結材を示す平面図である。
【図19】図19は本発明の実施の形態8に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。
【図20】図20は本発明の実施の形態9に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。
【図21】図21は本発明の実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置の要部を示す斜視図である。
【図22】図22は本発明の実施の形態10に係るタイヤのスリップ防止装置の固定手段を示す平面図である。
【符号の説明】
1:タイヤ、1a:外側面、1b:内側面、1c:接地面
2:連結部
3,20:アームフレーム
16:フリージョイント部

Claims (16)

  1. タイヤの内側面と接地面と外側面とに順次屈曲して接するクロス部を一対と、タイヤの内側面側において前記一対のクロス部をタイヤの内側のサイドウォールの内周縁の一部に沿って互いに連結する内側サイド部と、タイヤの外側面側において前記一対のクロス部からタイヤの外側のサイドウォールの内周縁の一部に沿って互いにタイヤの円周方向外向きに延びる一対の外側サイド部とを有したアームフレームを複数設け、各前記外側サイド部の先端にはタイヤへの装着の際に隣接させる他のアームフレームに対して着脱自在に連結するための連結部を設けて構成してなり、タイヤに装着するに際しては、それらのアームフレームどうしを前記連結部のみにより互いに連結するようにしたことを特徴とするタイヤのスリップ防止装置。
  2. 前記アームフレームの中にフリージョイント部を有した請求項1記載のタイヤのスリップ防止装置。
  3. 前記アームフレームの中のフリージョイント部に弾性体を装着した請求項2記載のタイヤのスリップ防止装置。
  4. タイヤの外側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなし、タイヤのサイドウォールの円周方向に所定角度間隔で離間して配置される一対の外側サイド部と、前記両外側サイド部の基端から、それぞれ、タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状をなす一対のクロス部と、前記両クロス部の先端を互いに連結すると共に、前記タイヤの内側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなす内側サイド部とを含むアームフレームを2個以上具備し、タイヤに装着するに際して、前記2個以上のアームフレームの外側サイド部の先端のみを、それぞれ着脱自在の連結部を介して互いに連結することにより、前記クロス部を前記タイヤのトレッドの円周方向に沿って所定間隔で配置することを特徴とするタイヤのスリップ防止装置。
  5. 更に、前記両外側サイド部間及び/または両クロス部間を一体的に連結して補強する長尺状の剛性補強材を具備することを特徴とする請求項4記載のタイヤのスリップ防止装置。
  6. 更に、前記両クロス部間の全体にわたってはしご状、亀甲模様状、またはネット状の補助滑止部を一体的に設けたことを特徴とする請求項4または5記載のタイヤのスリップ防止装置。
  7. タイヤの外側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなし、タイヤのサイドウォールの円周方向に所定角度間隔にわたって配置される外側サイド部と、前記外側サイド部から、タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状をなす一対のクロス部と、前記両クロス部の先端を互いに連結すると共に、前記タイヤの内側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなす内側サイド部とを含むアームフレームを2個以上具備し、タイヤに装着するに際して、前記2個以上のアームフレームの外側サイド部のみを、それぞれ着脱自在の連結部を介して互いに連結することにより、前記クロス部を前記タイヤのトレッドの円周方向に沿って所定間隔で配置することを特徴とするタイヤのスリップ防止装置。
  8. 更に、前記外側サイド部の基端とクロス部との接続部分、クロス部の先端と前記内側サイド部との接続部分を切断して、それぞれ、第1の部分及び第2の部分に分割すると共に、前記第1の部分及び第2の部分を前記タイヤの側面の面方向に沿って相対傾動自在となるように互いに連結してフリージョイント部を構成し、前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部とが、それぞれ、前記フリージョイント部を介して、前記タイヤの側面の面方向に沿って相対傾動自在となるようにしたことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項記載のタイヤのスリップ防止装置。
  9. 前記フリージョイント部に弾性体を設け、前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部とを、それぞれ、略直交状態に維持し、
    前記外側サイド部と前記クロス部、及び、前記クロス部と前記内側サイド部との前記タイヤの側面の面方向に沿った相対傾動を緩衝するようにしたことを特徴とする請求項8記載のタイヤのスリップ防止装置。
  10. 前記各クロス部は、前記外側サイド部の少なくとも長さ方向両端付近から、前記タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす骨格部を備えることを特徴とする請求項7記載のタイヤのスリップ防止装置。
  11. 前記各クロス部は、
    前記外側サイド部の少なくとも長さ方向両端付近から、前記タイヤの外側のサイドウォール、トレッド及び内側のサイドウォールにかけて延びる略チャンネル状の長尺状をなす骨格部と、
    前記骨格部の先端を互いに連結すると共に、前記タイヤの内側のサイドウォールの内周縁に沿って延びる長尺状をなす内側補強部とを備えることを特徴とする請求項7記載のタイヤのスリップ防止装置。
  12. 更に、前記クロス部の少なくとも前記タイヤのトレッドに対応する部分に、前記クロス部から露出する前記トレッドを覆うはしご状、亀甲状またはネット状の滑止部を設けたことを特徴とする請求項10または11記載のタイヤのスリップ防止装置。
  13. 前記各クロス部は、その基端側を前記外側サイド部に一体的に固定されていることを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1項記載のタイヤのスリップ防止装置。
  14. 更に、前記クロス部を前記タイヤの半径方向に伸縮自在とする伸縮手段と、
    前記伸縮手段と作用的に連結されて、前記クロス部の最大長さ及び最小長さを規定すると共に、前記伸縮手段による前記クロス部の伸縮を弾性的に緩衝する緩衝手段とを具備し、
    前記アームフレームを前記タイヤに装着したときに、前記クロス部の前記タイヤのトレッドと対応する部分が前記タイヤのトレッドに押圧された状態となるよう、前記緩衝手段により前記クロス部の最大長さを設定する
    ことを特徴とする請求項4乃至12のいずれか1項記載のタイヤのスリップ防止装置。
  15. 前記タイヤの外側サイドウォールに対応する前記各クロス部の長さ方向の途中の位置を切断して第1の部分及び第2の部分に分割し、前記第1の部分及び第2の部分を長さ方向に相対移動自在に接続することにより、前記伸縮手段を構成し、
    前記第1の部分及び第2の部分に取付けられ、前記第1の部分に一端を、前記第2の部分に他端を固着されたコイルばねにより前記緩衝手段を構成し、前記コイルばねの非圧縮状態における全長により前記クロス部の最大長さを規定すると共に、前記コイルばねの最大圧縮長さにより前記クロス部の最小長さを規定することを特徴とする請求項14記載のタイヤのスリップ防止装置。
  16. 前記クロス部は、前記外側サイド部とは分離して別体で設けられると共に、前記外側サイド部の前記連結部に対応する部分以外の略全長にわたって前記サイド部と略平行に延びる略円弧状の長尺状をなす接続部を有し、
    前記クロス部の接続部には、その長さ方向に間隔を置いて、タイヤの半径方向に延びる長孔を複数貫通形成し、
    前記外側サイド部には、前記クロス部の接続部の長孔に対応する位置に、それぞれ、ピンを固定して、前記接続部の長孔に挿入し、前記長孔の長さの範囲内で前記クロス部を前記サイド部に対してタイヤの半径方向に移動自在とし、
    前記ピンには、前記クロス部を前記外側サイド部に対してタイヤの中心に向かう方向に付勢する弾性体を取付け、前記弾性体により前記クロス部を常に前記タイヤのトレッドに密着させる方向に付勢し、
    前記タイヤの一部が圧縮してその部分の径を縮小したときに、前記ピンが前記長孔内を前記タイヤの中心に向かって移動することにより、前記クロス部の径が前記タイヤの圧縮部分の径の縮小に追随して縮小するようにした
    ことを特徴とする請求項14記載のタイヤのスリップ防止装置。
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