JP3515126B2 - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置

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JP3515126B2
JP3515126B2 JP50268198A JP50268198A JP3515126B2 JP 3515126 B2 JP3515126 B2 JP 3515126B2 JP 50268198 A JP50268198 A JP 50268198A JP 50268198 A JP50268198 A JP 50268198A JP 3515126 B2 JP3515126 B2 JP 3515126B2
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passage
screw shaft
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健太郎 西村
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THK Co Ltd
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y10T74/19642Directly cooperating gears
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    • Y10T74/19702Screw and nut
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、多数のボールを介してねじ軸とナット部材
とが螺合したボールねじ装置に係り、特にボールの循環
構造としてナット装置の両端にボールの方向転換路を備
えたボールねじ装置に関する。
背景技術 従来、この種のボールねじ装置は、ねじ軸の外周面に
形成された螺旋状のボール転走溝とナット部材の内周面
に形成された螺旋状の負荷転走溝とが互いに対向して構
成される負荷ボール通路と、上記ナット部材を軸方向へ
貫通するボール戻し通路と、上記ナット部材の軸方向の
両端に設けられ、上記負荷ボール通路の端部とボール戻
し通路の端部とを連通する方向転換路とを備えており、
これら負荷ボール通路、ボール戻し通路及び方向転換路
から構成されるボールの無限循環路内を多数のボールが
循環することによって上記ねじ軸とナット部材の相対的
な回転運動を可能としている。
ねじ軸とナット部材とが相対的な回転運動を生じる
と、これらの間で荷重を負荷しながら上記負荷ボール通
路内を転走したボールが該負荷ボール通路から転がり出
てくるが、このボールを上記方向転換路に収容してボー
ル戻し通路へ導くに当たっては、かかるボールをねじ軸
のボール転走溝内から該ねじ軸の外径部まで離脱させる
必要がある。
従来、ねじ軸のボール転走溝からボールを離脱させる
構造としては、ボールの離脱位置に対応して上記ボール
転走溝内に舌片を挿入し、ボール転走溝を転走してきた
ボールを該舌片に乗り上げさせるようにしてこれを掬い
上げるものが一般的であった。
このようなボールの離脱構造においてはボールをボー
ル転走溝の接線方向へ掬い上げることが理想であるが、
その場合には舌片の先端の肉厚を薄くせざるを得ず、高
速で転走してきたボールが舌片に乗り上げる際の衝撃を
考慮すると、舌片の先端の強度及び耐久性が不足すると
いった問題点があった。その反面、強度及び耐久性を考
慮して舌片の先端を厚く形成したのでは、ボール転走溝
と舌片との間に段差が生じ、ボールが舌片に乗り上げる
際に該舌片に大きな衝撃が加わってしまうことから、経
時的な使用によって舌片が変形してしまう他、ボールが
舌片に乗り上げる度毎に衝突音が発生してしまうといっ
た問題点があった。
一方、舌片を用いることなくねじ軸のボール転走溝か
らボールを離脱させる方式としては、負荷ボール通路か
ら転がり出たボールの進行方向をねじ軸のボール転走溝
に対して若干変位させ、かかるボール転走溝の内周面を
利用してボールをねじ軸の外径部まで離脱させ、その後
に該ボールを方向転換路内に掬い上げる方式が提案され
ている(米国特許第4,148,226号公報)。
Fig.13及びFig.14は同公報に開示されたボールねじ装
置を示すものである。かかるボールねじ装置は、螺旋状
のボール転走溝102が外周面に形成されたねじ軸101と、
上記ボール転走溝102と相対向する螺旋状の負荷転走溝1
07が内周面に形成されると共に、ねじ軸101の軸方向に
沿ってボール戻し通路106が形成されたナット部材104
と、このナット部材104の軸方向の両端に固定されると
共に、上記負荷転走溝107とボール戻し通路106とを連通
連結する方向転換路113を有する一対のエンドキャップ1
09,109と、上記負荷転走溝107とボール転走溝102との間
で荷重を負荷しながら転動すると共に、上記ボール戻し
通路106及び方向転換路113を介して循環する多数のボー
ル100とから構成されている。
Fig.13(b)に示すように、上記ナット部材104の両
端部には負荷転走溝107から連続するガイド溝108が形成
されており、上記負荷転走溝107を転走してきたボール1
00は該ガイド溝108内において荷重から開放された後、
上記エンドキャップ109の方向転換路113に転がり込むよ
うになっている。そして、このガイド溝108はねじ軸101
の軸方向と直交する面内に形成されると共に、負荷転走
溝から方向転換路に近づくにつれ、その深さが徐々に深
くなるように形成されている。
従って、このボールねじ装置では、ナット部材104に
形成されたガイド溝108の延伸方向とねじ軸101のボール
転走溝102の延伸方向とが合致しておらず、ナット部材1
04の負荷転走溝107から転がり出たボール100は上記ガイ
ド溝108によって徐々にボール転走溝102の側壁に寄せら
れ、かかるボール転走溝102の内周形状に沿ってねじ軸1
01の外径円筒面103まで自然と這い上がってくることか
ら、舌片を用いずともボール100をボール転走溝102から
離脱させることができるものである。
しかし、このボールねじ装置では上記ガイド溝108を
ナット部材104の端部に設けていることから、上記ナッ
ト部材104を製作するに当たっては、その内周面に対し
て所定のリードで上記負荷転走溝107を形成した後に、
この負荷転走溝107に連続するガイド溝108をねじ軸101
の軸方向と直交する方向に形成する必要があり、ナット
部材104の加工に手間が掛かるといった問題点があっ
た。
また、前述のように上記ガイド溝108をねじ軸101の軸
方向と直交する方向に沿って形成した場合、ナット部材
104に形成されたガイド溝108とエンドキャップ109に形
成された方向転換路113との接続が困難になるといった
問題点もあった。
このため、かかる従来のボールねじ装置では、Fig.14
に示すように、ナット部材104の端面に略扇形の切り欠
き部105を形成して、かかる切り欠き部105に上記ガイド
溝108の一端が開口するように構成する一方、エンドキ
ャップ109にはこの切り欠き部105に嵌合する突出部110
を形成し、この突出部110に上記方向転換路113を形成す
ることで、かかるガイド溝108と方向転換路113との接続
を可能としていた。
しかし、かかる構造ではナット部材104の端面および
エンドキャップ109の端面の形状が複雑なものとなり、
その加工に手間が掛かり、生産コストが嵩むといった問
題点があった。
更に、このようにしてナット部材のガイド溝108とエ
ンドキャップ109の方向転換路113とを接続した場合、か
かる方向転換路113はナット部材104の端面と平行に形成
せざるを得ず、エンドプレート109に設けられた方向転
換路113からナット部材104のボール戻し通路106へボー
ル100を送り込むに当たっては、該ボール100の転動方向
を略直角に変化させなければならなかった。このため、
方向転換路113とボール戻し通路106との接続部分におけ
るボール100の転動に対して大きな抵抗が作用してしま
い、ボール100の円滑な循環が阻害される他、ボール同
士の衝突音も発生し易く、ねじ軸101に対してナット部
材104を高速で回転させることの障害となっていた。
発明の開示 本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであ
り、その目的とするところは、負荷ボール通路から転が
り出たボールを方向転換路に収容する際に、従来の舌片
を用いることなく該ボールをねじ軸のボール転走溝から
円滑に離脱させることが可能であり、しかもナット部材
の加工が極めて容易で生産コストの著しい低減化を図る
ことが可能なボールねじ装置を提供することにある。
すなわち、本発明のボールねじ装置は、外周面に螺旋
状のボール転走溝が形成されたねじ軸と、多数のボール
を介して上記ねじ軸に螺合すると共に、内周面には上記
ねじ軸のボール転走溝と相対向して螺旋状の負荷ボール
通路を構成する螺旋状の負荷転走溝が形成され、更に、
軸方向に沿ってボール戻し通路が貫通形成されたナット
部材と、このナット部材の両端に設けられると共に、上
記ナット部材の負荷ボール通路の端部とボール戻し通路
の端部とを連通する方向転換路が形成された一対のエン
ドキャップと、上記負荷ボール通路、ボール戻し通路お
よび方向転換路から構成される無限循環路内に挿入さ
れ、上記ねじ軸とナット部材との相対回転に伴って該無
限循環路内を循環する多数のボールとを備え、上記エン
ドキャップに形成された方向転換路が、上記負荷ボール
通路から転がり出たボールを上記ねじ軸のボール転走溝
の延伸方向と異なる方向へ案内し、該ボールを上記ボー
ル転走溝の内周面に沿って該ボール転走溝から離脱させ
るガイド溝と、このガイド溝によって上記ボール転走溝
から離脱したボールを収容し、上記ナット部材のボール
戻し通路の入口へ案内するボール誘導孔とから構成され
ることを特徴とするものである。
このような技術的手段によれば、ナット部材とねじ軸
の相対回転によって上記負荷ボール通路から転がり出た
ボールは先ず方向転換路を構成するガイド溝に進入す
る。かかるガイド溝はボールを上記ねじ軸のボール転走
溝の延伸方向を異なる方向へ案内することから、ボール
は徐々にボール転走溝の一側に寄せられ、ボール転走溝
の内周形状に沿ってねじ軸の外径円筒面まで這い上が
り、最終的にボール転走溝から離脱すると共に、かかる
ガイド溝とボール戻し孔とを連通するボール誘導孔に送
り込まれる。
このとき、本発明のボールねじ装置では、上記ガイド
溝を方向転換路の一部としてエンドキャップに形成して
いることから、ナット部材の両端部にガイド溝を形成す
る必要はなく、かかるナット部材の内周面には所定のリ
ードで負荷転走溝のみを形成すれば足りる。
また、このようにガイド溝をエンドキャップに形成
し、負荷転走溝のみをナット部材に形成するように構成
した場合、負荷ボール通路を転動し終えたボールはねじ
軸のボール転走溝に沿ってナット部材の端面から転がり
出るため、ナット部材の軸方向の端面を軸方向と直交す
る平坦面に形成しても負荷ボール通路からガイド溝へ安
易にボールを受け渡すことができる。従って、ナット部
材及びこれに当接するエンドキャップの形状を簡素化す
ることができ、これらを製作する際の加工コストを低減
化することができる。
一方、上記ガイド溝内のボールはねじ軸のボール転走
溝の内周面を転動しながら該ボール転走溝から徐々に離
脱するので、依然としてねじ軸に当接した状態にある。
従って、かかるボールをガイド溝からトンネル状のボー
ル誘導孔に送り込むに当たっては、ボールをねじ軸から
ボール誘導孔に掬い上げる必要があり、かかる掬い上げ
が円滑に行われない場合にはボールがボール誘導孔の入
口に衝突し、該ボールの円滑な転動が阻止される。かか
る観点からすれば、上記負荷ボール通路から転がり出た
ボールの進行方向に沿って上記ガイド溝をその幅方向の
両側から徐々に覆うボール掬い上げ部を設け、上記ボー
ル走行溝から離脱したボールを該ボール掬い上げ部で上
記ねじ軸から離間させて上記ガイド溝内に収容するのが
好ましい。
また、上記ガイド溝は負荷ボール通路から転がり出た
ボールをボール転走溝の延伸方向と異なる方向へ案内す
るものであれば、ボール転走溝の延伸方向よりもねじ軸
の軸方向へ変位して案内するものであっても、あるいは
ねじ軸の軸方向と直交する方向へ変位して案内するもの
であっても差し支えない。しかし、ガイド溝がねじ軸の
軸方向と直交する方向へ変位してボールを案内した場
合、ガイド溝の出口とボール戻し孔とが近接してしま
い、結果的に該ガイド溝とナット部材のボール戻し孔と
を連通するボール誘導孔はボールの転動方向を急激に略
90゜変更する必要が生じ、ボールの円滑な転動が阻害さ
れる懸念がある。
従って、かかる観点からすれば、上記ガイド溝は負荷
ボール通路から転がり出たボールをボール転走溝の延伸
方向よりもねじ軸の軸方向へ変位した方向へ案内するの
が好ましい。このように構成すれば、ガイド溝の出口と
ボール戻し孔の入口とを十分に離間させることができ、
ガイド溝からボール戻し通路に至るボール誘導孔は大き
い曲率半径の曲線路に形成することが可能となるので、
その分だけボール誘導孔を通過するボールの進行方向を
緩やかに変化させることができる。これにより、ボール
が該ボール誘導孔を高速で転動する場合にもその転動が
円滑に行われ、例えばねじ軸に対してナット部材が高速
で回転する場合等に有利である。
また、上記ガイド溝及びボール誘導孔から構成される
方向転換路を形成するに当たっては、一対のリターンプ
レートを接合させることによって該方向転換路を形成す
るのが好ましい。このように一対のリターンプレートの
組合せによって方向転換路を形成するようにすれば、複
雑に湾曲した方向転換路を容易に製作することができ
る。
更に、このように方向転換路を一対のリターンプレー
トから形成する場合、一方のリターンプレートはナット
部材と一体的に成形するのが好ましい。具体的には、ナ
ット部材を中子として成形金型内にインサートした後
に、かかる金型内に樹脂を射出し、該樹脂をナット部材
に肉付けしながらリターンプレートを成形することがで
きる。このように一体的に成形すれば、部品点数が減少
して組立行程を削減できるし、ナット部材の負荷転走溝
とリターンプレートに形成されるガイド溝との接続部を
段差無く連続的に成形することができ、ボールの円滑な
転動を期待することができる。
一方、前述したボール掬い上げ部を設けた場合、かか
るボール掬い上げ部がボール転走溝内を動転するボール
の中心よりもねじ軸側へ近接して配置されていれば、負
荷ボール通路を転がり出たボールは進行方向の両側から
徐々に上記ボール掬い上げ部に乗り上げてガイド溝内に
進入するので、かかるボール掬い上げ部の作用のみでボ
ールをねじ軸のボール転走溝から離脱させることができ
る。この場合、上記ガイド溝はボールをボール転走溝の
延伸方向と異なる方向へ案内する必要はなく、かかるガ
イド溝はボール転走溝と対向して配置すれば良い。
図面の簡単な説明 Fig.1は本発明のボールねじ装置の第1実施例を示す
断面図、 Fig.2はFig.1の側面図、 Fig.3は第1実施例に係るボールねじ装置の方向転換
路を示す要部拡大図、 Fig.4はFig.3の側面図、 Fig.5はナット部材とエンドキャップとの組立状態を
示す分解斜視図、 Fig.6はエンドキャップを構成するカバー部材を示す
図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のb−b線
断面図、(c)は背面図である。
Fig.7はエンドキャップを構成するリターンプレート
の組立状態を示す斜視図及び側面図、 Fig.8はリターンプレートを構成する第1プレートの
斜視図、正面図及び側面図、 Fig.9はリターンプレートを構成する第2プレートの
斜視図、正面図及び側面図、 Fig.10はFig4のa−a線,b−b線,c−c線,d−d線,e
−e線,f−f線,g−g線に沿った夫々の断面図、 Fig.11は本発明の第2実施例に係るボールねじ装置の
方向転換路を示す要部拡大図、 Fig.12はFig4のa−a線,b−b線,c−c線,d−d線,e
−e線,f−f線,g−g線に沿った夫々の断面図、 Fig.13は米国特許第4,148,226号に開示される従来の
ボールねじ装置を示す正面図及び断面図、 Fig.14はFig.13に示す従来のボールねじ装置のナット
部材とエンドプレートとの組立状態を示す斜視図であ
る。
[符号の説明] 1…ボールねじ装置、2…ボール転走溝、3…ねじ
軸、4…負荷転走溝、5…ナット部材、6…ボール、7
…負荷ボール転走路、9…中実部、10…ボール戻し通
路、11…エンドキャップ、11A…凹所、60…ボール列、1
2…方向転換路、13…ガイド溝、13A…ボール入り口部、
14…溝底部、15…構内周面、16…外径部、17…ボール掬
い上げ部、θ…ねじ溝のリード角、θ…ボール案内
溝の傾斜角、h…開口幅、18…ボール誘導孔 発明を実施するための最良の形態 以下、添付図面に基づいて本発明のボールねじ装置装
置を詳細に説明する。
Fig.1及びFig.2は本発明のボールねじ装置の第1実施
例を示すものである。
このボールねじ装置1は、Fig.1及びFig.2に示すよう
に、外周に螺旋状のボール転走溝2が形成されたねじ軸
3と、内周に上記ボール転走溝2と対応する負荷転走溝
4が形成されたナット部材5とから構成され、互いに対
向するこれらボール転走溝2及び負荷転走溝4によって
多数のボール6が転動自在に介装される螺旋状の負荷ボ
ール通路7が構成されている。
ナット部材5はフランジ8を有する略円筒形状に形成
されており、中実部9には軸方向に貫通するボール戻し
通路10が設けられる一方、かかるナット部材5の両端面
には一対のエンドキャップ11が取り付けられるようにな
っている。このエンドキャップ11には前記負荷ボール通
路7の端部とボール戻し通路10の端部とを連通する方向
転換路12が設けられており、一対のエンドキャップ11,1
1をナット部材5に固定することでボール6の無限循環
路が形成されるようになっている。
すなわち、ナット部材5とねじ軸3との相対回転によ
って上記負荷ボール通路7から転がり出たボール6は、
一方のエンドキャップ11に形成された方向転換路12を通
じて上記ボール戻し通路10に送り込まれ、かかるボール
戻し通路10を転動した後に他方のエンドキャップ11の方
向転換路12を通じて再度負荷ボール通路7に送りこまれ
る。この実施例のボールねじ装置装置は循環するボール
列60,60が2条組み込まれており、各ボール列は別個の
無限循環路を循環する。尚、各ボール列60,60の循環構
造は同一構造なので、以下の説明では1つのボール列60
の循環構造についてのみ説明する。
Fig.3及びFig.4に示すように、上記方向転換路12は、
ナット部材5とねじ軸3の相対回転によって負荷ボール
通路7の一端から押し出されたボール6をねじ軸3のボ
ール転走溝2の内部から外径部16まで半径方向外方へ離
脱させるガイド溝13と、このガイド溝13によってねじ軸
3のボール転走溝2から離脱したボール6をナット部材
5のボール戻し通路10の入口に案内するトンネル状のボ
ール誘導孔18とから構成されている。
かかるガイド溝13の一端はその入口部13Aにおいてね
じ軸3のねじ溝2と同一位相に設定され、ナット部材5
の負荷転走溝4の端部に連通される一方、他端はボール
誘導孔18に接続されており、ナット部材5の負荷転走溝
4を転走し終えて負荷ボール通路7の一端から転がり出
たボール6は、かかるガイド溝13に導かれて上記ボール
誘導孔18へと転動する。Fig.3に示すように、ボール転
走溝2はねじ軸3の軸方向と直交する面に対してリード
角θで傾斜して形成されているが、かかるガイド溝13
はリート角θよりも大きい傾斜角θで傾斜してお
り、負荷ボール通路7から転がり出たボール6を上記ボ
ール転走溝の延伸方向よりもねじ軸の軸方向へ変位させ
て案内するように構成されている。
また、かかるガイド溝13とねじ軸3の間には、上記負
荷ボール通路7から転がり出たボール6の進行方向に沿
って上記ガイド溝13をその幅方向の両側から徐々に覆う
ボール掬い上げ部17が形成されており、かかるガイド溝
13の働きによってねじ軸3のボール転走溝2から離脱し
てきたボール6を該ねじ軸3から離間させてガイド溝13
内に収容するように構成されている。Fig.4に示すよう
に、このボール掬い上げ部17がガイド溝13の入口部13A
においてボール6を誘導する方向はエンドキャップ11の
内周面の接線方向となっており、ボール6が負荷ボール
通路7から転がり出た方向と同一である。
Fig.5は上記方向転換路12が形成されたエンドキャッ
プ11を示すものである。この図から明らかなように、上
記ナット部材5の両端に固定される各エンドキャップ11
は、上記方向転換路12を備えた一対のリターンプレート
12と、このリターンプレート12を保持した状態で上記ナ
ット部材5の端部に固定されるカバー部材19とから構成
されている。
Fig.6に示すように、上記カバー部材19には上記ナッ
ト部材と同様にねじ軸3が貫通する貫通孔19aが形成さ
れると共に、上記リターンプレート12を収容するための
略扇形状の凹所11Aが上記貫通孔19aを挟んで二箇所に形
成されている。また、かかる貫通孔19aの内周面には、
上記ナット部材5の負荷転走溝4から転がり出たボール
6を上記リターンプレート12の方向転換路12へと導く導
入路4aが形成されている。かかる導入路4aは、ナット部
材5の負荷転走溝4と同一ピッチで、且つ、負荷転走溝
4よりも若干大きめに形成されており、導入路4aとねじ
軸3のボール転走溝2との間ではボール6に対してラジ
アル荷重や軸方向荷重が作用しないようになっている。
更に、このカバー部材19の凹所11Aに嵌合するリター
ンプレート12は、Fig.7に示すように、互いに重ね合わ
せた状態で上記凹所11Aに嵌合する一対の第1プレート1
2A及び第2プレート12Bから構成されており、これらプ
レート12A,12Bを重ね合わせることで上記方向転換路12
が完成するようになっている。各プレート12A,12Bは合
成樹脂の射出成形で製作されており、Fig.8及びFig.9に
示すように、第1プレート12Aの表面及び第2プレート1
2Bの裏面には上記方向転換路12をその長手方向に沿って
二分した断面略半円状の凹条溝121,122が夫々形成され
ている。
上記方向転換路12は、Fig.7に示すように、リターン
プレート12の内径側においてはカバー部材19の貫通孔19
aの接線方向へ延びる一方、外径側においては第1プレ
ート12Aの表面側へと立ち上がっている。これにより、
ナット部材5の負荷転走溝4を転走し終えたボール6は
カバー部材19の導入路4aを介して円滑に上記方向転換路
12に導かれる一方、かかる方向転換路12内においてその
転走方向をナット部材5の半径方向から軸方向へと転換
され、円滑にナット部材5のボール戻し通路10へと送り
こまれる。
また、各プレート12A,12Bの表面には上記方向転換路1
2に対応して半円形状の突片123,124が突設されており、
第1プレート12Aと第2プレート12Bとを重ね合わせた際
に、これら突片123,124が組合わさってリターンプレー
ト12の位置決め用ボス125が方向転換路12の端部に完成
するようになっている。
そして、第2プレート12Bから順番にこれらプレート1
2A,12Bをカバー部材19の凹所11Aに嵌合させると共に、
第1プレート12Aがナット部材5と当接するように上記
カバー部材19をナット部材5に固定することにより、か
かるナット部材5に対するエンドキャップ11の取付けが
完了する。これにより、Fig.1に示す如く負荷ボール通
路7とボール戻し通路10とが上記方向転換路12によって
連通連結され,ボール6の無限循環路が完成する。この
とき、リターンプレート12に形成された位置決め用ボス
125をナット部材5のボール戻し通路10の端部に形成さ
れた凹所10bに嵌合されることにより、ナット部材5と
エンドキャップ11との位置関係は適正化され、ボール戻
し通路10と方向転換路12との間におけるボール6の転走
の円滑化が確保される。
尚、この実施例では、第1プレート12A及び第2プレ
ート12Bをカバー部材19とは別体としたが、凹所11Aの奥
側に嵌合する第2プレート12Bはカバー部材19と一体に
形成しても良い。また、第1プレート12Aについても、
ナット部材5を成形金型内に中子としてインサート後、
合成樹脂の射出成形にてナット部材5の端面に肉付け
し、ナット部材5と一体に成形するようにしても良い。
このように構成すれば、ボール6の方向転換路12とナッ
ト部材5の負荷転走溝4を連続的に成形することができ
るので、これら両溝の接続部に段差が生じることが無
く、ボール6の循環を円滑にすることができる。
Fig.10は負荷ボール通路7から転がり出たボール6が
ガイド溝13を通過してボール誘導孔18に収容される迄の
状態を描いたものであり、(a)〜(f)の各図はFig.
4におけるa−a線、b−b線、c−c線、d−d線、
e−e線、f−f線の各断面におけるボール6の状態を
表している。
これらの図に示されるように、上記ガイド溝13はその
入口部13Aにおいてボール6の略半分が没する半円形状
に形成される一方、ボール誘導孔18に近づくにつれてそ
の深さが徐々に深くなり、負荷ボール通路7から転がり
出たボール6をねじ軸3のボール転走溝2から逃がすよ
うに構成されている。一方、このガイド溝13のねじ軸3
に対する開口部の両側縁には前述したボール掬い上げ部
17が設けられているが、かかるボール掬い上げ部17はガ
イド溝13のボール入り口部13Aからボール誘導孔18に近
づくにつれて徐々に突出量が増大し、かかる突出量が増
大するにつれてガイド溝13のねじ軸に対する開口幅hが
徐々に小さくなり、最終的にはボール掬い上げ部17がガ
イド溝13を略覆うように形成されている。ボール6に対
する掬い上げ部17の接触面はガイド溝13の内周形状に連
続する円弧状に形成されており、かかるガイド溝13の断
面形状はその入口部13Aからボール誘導孔18に近づくに
つれ半円形状から完全な円形状へと推移し、ボール誘導
穴18との接続部において略完全な円形状となっている。
そして、以上のようにガイド溝13が形成された本実施
例のボールねじ装置1にあっては、ねじ軸3とナット部
材5とが相対的に回転を生じると、負荷ボール通路7を
転走し終えたボール6が該負荷ボール通路7の一端から
転がり出し、負荷ボール通路7とボール戻し通路10とを
連通する方向転換路12へと進入する。
方向転換路12内に進入したボール6はガイド溝13によ
ってその進行方向をボール転走溝2の延伸方向よりもね
じ軸3の軸方向に変位させられることから、Fig.108
(a)〜(c)に示されるように、かかるボール6はガ
イド溝13の内周面13aに押されるようにしてボール転走
溝2の一側へ寄せられ、ボール転走溝2の内周面に沿っ
て該ボール転走溝2から浮き上がっていく。ボール転走
溝2から浮き上がってきたボール6は、Fig.10(d)に
示すように、ガイド溝13の開口部の両側縁に形成された
掬い上げ部17によって該ガイド溝13内に掬い上げられて
ボール転走溝2内から離脱し、更にFig.10(e)及び
(f)に示すように、ガイド溝13からボール誘導孔18へ
と送り込まれる。
このようにしてナット部材5とエンドキャップ11との
間でボール6の受け渡しが行われる本実施例のボールね
じ装置によれば、かかるナット部材5の内周面には所定
リードの負荷転走溝4のみが形成されており、しかもこ
の負荷転走溝4の両端部はナット部材5の軸方向の端面
に開放されていることから、ナット部材に対する負荷転
走溝の研削加工は極めて容易なものとなり、ナット部材
5の製作を容易に且つ安価に行うことができるものであ
る。
また、上記ガイド溝13をエンドキャップ11に設け、上
記負荷転走溝4の端部をナット部材5の端面に開放する
ように構成したので、負荷ボール通路7を転動し終えた
ボール6はねじ軸3のボール転走溝2に沿ってナット部
材5の端面から送り出されることとなり、ナット部材5
の端面を軸方向と直交する平坦面に形成しても、ナット
部材5側の負荷ボール通路6からエンドキャップ11側の
ガイド溝に対して容易にボール6を受け渡すことが可能
となった。従って、ナット部材5及びこれに当接するエ
ンドキャップ11の加工が容易となり、これらの製作を一
層安価に行い得るものである。
一方、ねじ軸3のボール転走溝2は一対のボール転走
面2a,2bによってゴシックアーチ状に形成されている
が、ボール6がねじ軸3のボール転走溝2内から浮き上
がっていく過程では、Fig.10(b),(c)に示すよう
に、一方のボール転走面2aとこれに対向するガイド溝13
の内周面13aとの間にボール6が挟まれており、ボール
6は上記ボール転走面2aを這い上がるようにしてボール
転走溝2から浮き上がっていく。
本実施例ではガイド溝13の入口部13Aにおいて、既に
ボール6はボール転走溝2の一方の転走面2aとガイド溝
13の内周面13a間に挟まれた状態となっているが(Fig.1
0(a)参照)、負荷ボール通路7内においてもボール
6はねじ軸3とボール転走溝2及びナット部材5の負荷
転走溝4に対して同様に接触しており、負荷ボール通路
7を転がり出たボール6は該負荷ボール通路内における
接触状態を維持したまま、ガイド溝13とボール転走溝2
の間に入り込んでくる。従って、負荷ボール通路7から
方向転換路12へのボール6の移行を円滑に行うことがで
きる。
また、ボール6は上記掬い上げ部17に乗り上げるよう
にしてガイド溝13に収容されるが、かかる掬い上げ部17
はボール6をその両側から支えるようにしてこれを持ち
上げるので、ボール6が掬い上げ部17に対して正面から
衝突することはなく、ボール6が高速で転動している場
合であっても、掬い上げ部17の変形や疲労を心配する必
要はない。従って、長期にわたって円滑なボール6の循
環を維持することができるものである。加えて、ボール
6がガイド溝13内をボール誘導孔18へ向けて進行にする
につれ、徐々に掬い上げ部17とボール6との接触面積は
増大することから、ボール6が掬い上げ部に対して及ぼ
す力は広範囲に分散されるので、より一層掬い上げ部17
の破損を防止することが可能となる。
更に、この実施例では、上記ガイド溝13の傾斜角θ
をねじ軸3のリード角θよりも大きく設定しているの
で、換言すれば、ガイド溝13内におけるボール6の進行
方向をボール転走溝2の延伸方向よりもねじ軸3の軸方
向へ変位させているので、Fig.3に示すように、このガ
イド溝13の出口とナット部材5のボール戻し通路10を連
通するボール誘導孔18は比較的大きな曲率半径の曲線路
に形成することができる。ボール誘導孔18内を転動する
ボール6は負荷ボール通路7から転がり出た後続のボー
ル6に順次押圧されて移動することになるが、ボール誘
導孔18をより直線に近い形状で形成した方が後続ボール
の押圧力を効率的に伝達することができ、かかるボール
誘導孔18内におけるボールの移動を円滑化することがて
きる。従って、このようにボール誘導孔18を大きな曲率
半径の曲線路に形成し、ボール6の進行方向を緩やかに
変化させるように構成すれば、ボール6の循環の円滑化
を図ることができる。
また、ボール誘導孔18はトンネル状に形成されている
ことから、ボール6の転動によって生じる騒音がエンド
キャップ11の外部に漏れだすのを効果的に防止すること
もできる。
更に、この実施例ではガイド溝13の傾斜角θをボー
ル転走溝2のリード角θよりも大きく設定することに
より、負荷ボール通路7から転がり出たボール6の進行
方向をボール転走溝2の延伸方向よりもねじ軸3の軸方
向へ変位させているが、ボール6の進行方向がボール転
走溝2の延伸方向から変位するのであれば、ガイド溝13
の傾斜角θはねじ溝2のリード角θに対して小さく
設定しても差し支えない。すなわち、ボール6がボール
転走溝2の内周面を徐々に這い上がるようにしてねじ軸
3の外径部16まで離脱するのであれば、ガイド溝13の傾
斜角θはねじ溝2のリード角θよりも大きくても又
は小さくても差し支えない。
Fig.11及びFig.12は本発明のボールねじ装置の第2実
施例を示すものである。
前述の第1実施例では負荷転走通路7から転がり出た
ボール6の進行方向をボール転走溝2の延伸方向から変
位させることによって、かかるボール6をねじ軸3のボ
ール転走溝2から浮き上がらせ、浮き上がったボール6
をボール掬い上げ部17によってガイド溝13に収容してい
たが、この第2実施例ではボール転走溝2を転走してき
たボール6を浮き上がらせることなく、当初から掬い上
げ部27でガイド溝23に掬い上げるようにしたものであ
る。尚、上記ガイド溝23及び掬い上げ部27以外の構成は
上記第1実施例と同一なので、Fig11及びFig.12に同一
の符号を付し、その説明は省略するものとする。
この実施例において、負荷ボール通路7から転がり出
たボール6をボール誘導孔18に案内するガイド溝23はボ
ール転走溝2と完全に対向しており、かかるガイド溝23
を転動するボール6はボール転走溝2の延伸方向と同一
方向に導かれてボール誘導孔に進入する。すなわち、Fi
g.11に示すように、かかるガイド溝23の傾斜方向はボー
ル転走溝2のリード角θと同一角度に形成されてい
る。従って、前述の第1実施例と異なり、ガイド溝23は
ボール6をボール転走溝2の片側に寄せる作用を発揮せ
ず、掬い上げ部27が設けられていなければボール6はボ
ール転走溝2から離脱しない。尚、ガイド溝23の深さ
は、第1実施例と同様に、ボール誘導孔18に近づくにつ
れて徐々に深くなっている。
一方、かかるガイド溝23とねじ軸3の間には、前述の
第1実施例と同様に、上記負荷ボール通路7から転がり
出たボール6の進行方向に沿って上記ガイド溝23をその
幅方向の両側から徐々に覆う掬い上げ部27が形成されて
おり、この掬い上げ部27によってボール転走溝2内を転
動するボール6を上記ガイド溝13内に掬い上げるように
構成されている。但し、この実施例ではボール転走溝2
の内部に位置しているボール6を上記掬い上げ部27のみ
によってガイド溝23へ掬い上げることから、かかる掬い
上げ部27はボール転走溝2内を転動するボール6の中心
よりもねじ軸3の外周面16に近接して配置されている。
また、かる掬い上げ部27とねじ軸の外周面16との干渉を
防止するため、ねじ軸3のボール転送溝2はその深さが
前述の第1実施例に比べて若干浅めに形成されている。
Fig.12は負荷ボール通路7から転がり出たボール6が
ガイド溝23を通過してボール誘導孔18に収容される迄の
状態を描いたものであり、(a)〜(f)の各図は第1
実施例と同様にFig.4におけるa−a線、b−b線、c
−c線、d−d線、e−e線、f−f線の各断面におけ
るボール6の状態を表している。
これらの図に示されるように、上記ガイド溝13はその
入口部13Aにおいてボール6の略半分が没する半円形状
に形成される一方、ボール誘導孔18に近づくにつれてそ
の深さが徐々に深くなり、負荷ボール通路7から転がり
出たボール6をねじ軸3のボール転走溝2から逃がすよ
うに構成されている。一方、このガイド溝23のねじ軸3
に対する開口部の両側縁には前述した掬い上げ部27が設
けられているが、かかる掬い上げ部27はガイド溝23のボ
ール入り口部13Aからボール誘導孔18に近づくにつれて
徐々に突出量が増大し、かかる突出量が増大するにつれ
てガイド溝23のねじ軸に対する開口幅が徐々に小さくな
り、最終的には掬い上げ部27がガイド溝23を略覆うよう
に形成されている。
このような構成によれば、上記掬い上げ部27が上記負
荷ボール通路7から転がり出たボール6の進行方向に沿
って上記ガイド溝23をその幅方向の両側から徐々に覆う
ように形成されており、しかも該ボール転走溝2内を転
動するボール6の中心よりもねじ軸3側へ突出している
ことから、Fig.12(a)〜(c)に示されるように、ガ
イド溝23に進入したボール6はボール6はその両側から
上記掬い上げ部27に徐々に乗り上げてボール転走溝2か
ら持ち上げられ、最終的に上記ボール転走溝2から離脱
してガイド溝23に収容される。
そして、この実施例においても、上記方向転換路12の
一部を構成するガイド溝23をエンドキャップ11側に形成
したことから、ナット部材5の内周面に対しては負荷転
走溝4のみを研削加工すれば良く、また、ナット部材5
の端面を軸方向と直交する平坦面に形成しても、ナット
部材5側の負荷ボール通路6からエンドキャップ11側の
ガイド溝に対して容易にボール6を受け渡すことができ
るので、ナット部材5及びこれに当接するエンドキャッ
プ11の加工を極めて容易に行うことができ、その製作を
安価に行い得るものである。
産業上の利用可能性 以上説明してきたように、本発明のボールねじ装置に
よれば、ねじ軸のボール転走溝と相俟って負荷ボール通
路を構成する負荷転走溝をナット部材の内周面に形成す
る一方、かかる負荷ボール通路から転がり出たボールを
ねじ軸のボール転走溝から離脱させるガイド溝をナット
部材ではなくエンドキャップに形成するようにしたの
で、ナット部材及びこれに当接するエンドキャップの形
状を極めて簡素化することができ、ボールねじ装置の製
作コストの著しい低減化を図ることが可能となる。
また、ねじ軸のボール転走溝からボールを方向転換路
に収容するに当たり、従来技術の如くボール転走溝の内
部に舌片を挿入せずとも、ボールを該ボール転走溝から
円滑に離脱させることが可能なので、ナット部材とねじ
軸とを高速で相対的に回転させても静粛である他、ボー
ルの循環をより円滑に行うことが可能となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−201013(JP,A) 特開 昭55−139550(JP,A) 特開 昭50−121662(JP,A) 実開 平6−51605(JP,U) 実開 昭63−154854(JP,U) 特公 昭36−9353(JP,B1) 実公 昭37−7107(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 19/00 - 31/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周面に螺旋状のボール転走溝が形成され
    たねじ軸と、 多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合すると共に、内
    周面には上記ねじ軸のボール転走溝と相対向して螺旋状
    の負荷ボール通路を形成する螺旋状の負荷転走溝が形成
    され、更に、軸方向に沿ってボール戻し通路が貫通形成
    されたナット部材と、 このナット部材の両端に設けられると共に、上記ナット
    部材の負荷ボール通路の端部とボール戻し通路の端部と
    を連通する方向転換路が形成された一対のエンドキャッ
    プと、 上記負荷ボール通路、ボール戻し通路および方向転換路
    から構成される無限循環路内に挿入され、上記ねじ軸と
    ナット部材との相対回転に伴って該無限循環路内を循環
    する多数のボールと、を備えたボールねじ装置におい
    て、 上記エンドキャップに形成された方向転換路は、 上記負荷ボール通路から転がり出たボールを上記ねじ軸
    のボール転走溝の延伸方向と異なる方向へ案内し、該ボ
    ールを上記ボール転走溝の内周面に沿って該ボール転走
    溝から離脱させるガイド溝と、 このガイド溝によって上記ボール転走溝から離脱したボ
    ールを収容し、上記ナット部材のボール戻し通路の入口
    へ案内するボール誘導孔とから構成され、更に、 上記ガイド溝はボールの進行方向を上記ねじ軸のボール
    転走溝のリード角よりも大きい角度で傾斜させているこ
    とを特徴とするボールねじ装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のボールねじ装置において、
    上記負荷ボール通路から転がり出たボールの進行方向に
    沿って上記ガイド溝をその幅方向の両側から徐々に覆う
    ボール掬い上げ部が形成され、上記ボール転走溝から離
    脱したボールを該ボール掬い上げ部で上記ねじ軸から離
    間させて上記ガイド溝内に収容することを特徴とするボ
    ールねじ装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載のボールねじ装置において、
    上記ボール誘導孔を略一定曲率の曲線路に形成したこと
    を特徴とするボールねじ装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載のボールねじ装置において、
    上記方向転換路は一対のリターンプレートを接合させる
    ことによって形成されることを特徴とするボールねじ装
    置。
  5. 【請求項5】請求項4記載のボールねじ装置において、
    一方のリターンプレートは上記ナット部材と一体的に成
    形されることを特徴とするボールねじ装置。
  6. 【請求項6】外周面に螺旋状のボール転走溝が形成され
    たねじ軸と、 多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合すると共に、内
    周面には上記ねじ軸のボール転走溝と相対向して螺旋状
    の負荷ボール通路を構成する螺旋状の負荷転走溝が形成
    され、更に、軸方向に沿ってボール戻し通路が貫通形成
    されたナット部材と、 このナット部材の両端に設けられると共に、上記ナット
    部材の負荷ボール通路の端部とボール戻し通路の端部と
    を連通する方向転換路が形成された一対のエンドキャッ
    プと、 上記負荷ボール通路、ボール戻し通路および方向転換路
    から構成される無限循環路内に挿入され、上記ねじ軸と
    ナット部材との相対回転に伴って該無限循環路内を循環
    する多数のボールと、 を備えたボールねじ装置において、 上記エンドキャップに形成された方向転換路は、 上記ねじ軸のボール転走溝に対向して形成されて上記負
    荷ボール通路から転がり出たボールを案内するガイド溝
    と、 上記負荷ボール通路から転がり出たボールの進行方向に
    沿って上記ガイド溝をその幅方向の両側から徐々に覆う
    ように形成されると共に、上記ボール転走溝内を転動す
    るボールの中心よりもねじ軸側へ突出して配置され、か
    かるボールをその進行に伴って上記ボール転走溝から離
    脱させてガイド溝内に収容するボール掬い上げ部と、 上記ねじ軸のボール転走溝から離脱してガイド溝内に収
    容されたボールを上記ナット部材のボール戻し通路の入
    口へ案内するボール誘導孔とから構成されることを特徴
    とするボールねじ装置。
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