JP2970051B2 - ボールねじ一体型直動案内ユニット - Google Patents

ボールねじ一体型直動案内ユニット

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JP2970051B2
JP2970051B2 JP3129691A JP12969191A JP2970051B2 JP 2970051 B2 JP2970051 B2 JP 2970051B2 JP 3129691 A JP3129691 A JP 3129691A JP 12969191 A JP12969191 A JP 12969191A JP 2970051 B2 JP2970051 B2 JP 2970051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばロボットの作
動アームやXYテーブル等に組み込んで好適に使用でき
るボールねじ一体型直動案内ユニットに係り、特にボー
ルねじ系のボール循環部分を改良して高速化,高精度位
置決め,部品点数の削減を可能としたボールねじ一体型
直動案内ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のボールねじ一体型直動案内ユニッ
トとしては、例えば実開平2−12554号公報に記載
されているものがある。この従来例は、外面に螺旋溝を
有するボールねじのねじ軸と、側面に軸方向のボール転
動溝を有してねじ軸を挟み平行に配された案内レールと
を備え、ねじ軸にはそのねじ溝内を転動する多数のボー
ルを介してナットを螺合し、そのナットの両側面に前記
案内レールのボール転動溝に対向するボール転動溝を形
成して、それら相対する両ボール転動溝内を転動する多
数のボールの転動を介してナットを軸方向に案内しつつ
直線的に前後に移動させるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のボールねじ一体型直動案内ユニットにあっては、ボ
ールねじのねじ軸とナットとの対向する螺旋溝内を転動
するボールを導いて循環させるボールねじ系のボール循
環部分が、U字形に形成したボール循環チューブとされ
てナット上部に組み込まれたいわゆるボールチューブ式
に構成されているため、大リード化が困難であり、した
がって高速,高精度位置決めという市場ニーズに応える
ことが難しいという問題点があった。
【0004】一方、案内レールとナットとの対向するボ
ール転動溝内を転動するボールを導いて循環させる直線
案内系のボール循環部分は、ナットの前後両端に取付た
エンドキャップにU字形の湾曲路として形成されてお
り、両系のボール循環部分がそれぞれに別個の構成部品
内に別々に形成されているため部品点数が多く、組立工
数も多くなるという問題点があった。
【0005】そこでこの発明は、上記従来の問題点を解
決することを課題とするものであり、両系統のボール循
環部分を共通の部材であるエンドキャップに併設するこ
とにより、ボール循環チューブを省き部品点数を削減す
ると共に高速化,高精度位置決めをも可能としたボール
ねじ一体型直動案内ユニットを提供することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、側面に軸方
向のボール転動溝を有して延長された案内レールと、該
案内レールに平行に配設され外面にボールねじ溝を有す
るねじ軸と、このねじ軸のボールねじ溝に対向するボー
ルねじ溝を備えてそれら相対する両ボールねじ溝内を転
動する多数のボールを介してねじ軸に螺合されると共
に、両側面に前記案内レールのボール転動溝に対向する
ボール転動溝を備えてそれら相対する両ボール転動溝内
の多数のボールの転動を介して軸方向に移動可能とされ
たナットとを備えたボールねじ一体型直動案内ユニット
において、前記ナットの肉厚内に、前記ボール転動溝内
のボールのボール戻り通路となる軸方向の貫通孔と、前
記ボールねじ溝内のボールのボール戻り通路となる軸方
向の貫通孔とを設けるとともに、前記ナットの前後の両
端面に固定されたエンドキャップに、前記ボール転動溝
とこれに対応する前記貫通孔とを連通させる湾曲路と、
前記ボールねじ溝とこれに対応する前記貫通孔とを連通
させる湾曲路と、前記ボールねじ溝に嵌合する螺旋状突
起部を設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用】この発明にあっては、ナット内部に直線案内系
統のボールの戻り通路と共にボールねじ系統のボールの
戻り通路を併設し、且つナット両端のエンドキャップに
両系統のボールをUターンさせる湾曲路をそれぞれに設
けて、ボールねじのボール循環チューブを省いた。これ
により、部品点数,組立工数が削減される。また、ボー
ルねじのボール循環経路をねじ軸の周囲に複数配設する
ことで多条ねじとして大リード化が容易となり、これに
よるナットの高速送りと高精度位置決めを実現すること
ができる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。図1は、この発明の一実施例を示す側面図、図
2は図1のII−II線断面図、図3はナット本体の斜視
図、図4はエンドキャップの接合端側を示す斜視図、図
5は図2のV −V 線断面図、図6は図4のVI矢視図でナ
ット本体のボール転動溝及びボール戻り通路と湾曲路と
の連結状態を説明する図である。
【0009】図1,図2に示すように、この実施例の案
内レール1は横断面略コ字状で、底面から立ち上げた両
側縁部1a,1aの内面に、それぞれ軸方向に延びる1
本のボール転動溝2を対向位置に有して延長されてい
る。この案内レール1の長さ方向の両端には、軸受け板
3,4がねじ止めして取付けられている。軸受け板3に
は図示しないボールベアリングが取りつけられ、軸受け
板4にはベアリングハウジング6を介し図示しないボー
ルベアリングがダブルに取りつけられており、これらの
ベアリングに支持されて、ボールねじのねじ軸7が案内
レール1の幅の中心部においてボール転動溝2と平行に
配設されている。この実施例のねじ軸7のボールねじ溝
8は、大リードの4条ねじとして形成されている。ねじ
軸7の一方の軸端部7aはベアリングハウジング6から
外方に突出して図外の駆動モータの出力軸と連結可能と
されている。
【0010】10はねじ軸7に螺合されたナットで、図
3に示すような角形のナット本体10Aと、その前後の
両端にそれぞれボルトで固定したエンドキャップ12と
を備えている。ナット本体10Aの中心部に形成された
ねじ孔11の内周面には、ねじ軸7のボールねじ溝8に
対応するボールねじ溝9が形成されている。ナット本体
10Aの横幅は案内レール1の両側縁部1a,1a間の
内のり寸法より僅かに小さく形成されていて、その左右
両側面の下部には案内レール1のボール転動溝2にそれ
ぞれ対向させたボール転動溝13が形成されると共に、
これに平行する直線状の貫通孔からなるボール戻り通路
14がナット肉厚内に形成されている。
【0011】一方、図4,図5に示すように、エンドキ
ャップ12のナット本体10Aとの接合端面には、前記
ボール転動溝13とボール戻り通路14とを連通させる
半ドーナツ状の湾曲路15が形成されている。この湾曲
路15の半ドーナツ形状の構成について説明すると、図
4に示す形状のエンドキャップ12の側面に、案内レー
ル1のボール転動溝2に係合する側方への突出部17が
形成されており、この突出部17の端面からエンドキャ
ップ12のナット本体10Aとの接合端面にかけて、大
径の半円状凹部18が形成されている。さらにこの半円
状凹部18の開口の中心位置には、開口に直交する小径
の半円筒状凹部19が形成されている。その半円筒状凹
部19に半円筒状リターンガイド20を嵌着して半ドー
ナツ状の湾曲路15が形成されている。このようにし
て、ナット10の下部には、図5に示すように案内レー
ル1のボール転動溝2とこれに対向するボール転動溝1
3およびボール戻り通路14と湾曲路15とからなる直
線案内系のボール無限循環路が構成され、このボール無
限循環路内に多数のボール21が転動自在に装着されて
いる。エンドキャップ12の側面の突出部17の湾曲路
端は、案内レールのボール転動溝2からボール21を掬
い上げて湾曲路15に滑らかに導くための掬い上げ突部
22として形成されている。なお、図示を省略してある
が、前記湾曲路15の溝底に逃げ溝を設け、この逃げ溝
に円弧状の曲がり部分を直線部分の両端に有する線材よ
りなる保持器を係合せしめて、ボール転動溝13に配さ
れたボール21の脱落を阻止する公知のボール保持構造
をもうけることもできる。
【0012】ナット本体10Aの肉厚内には、更に、ね
じ孔11を取り囲むようにして4本の平行する直線状の
貫通孔が、ボールねじ系のボール戻り通路24として円
周等分に配設して形成されている。これに対して、エン
ドキャップ12の方には、ナット本体10Aとの接合端
面に、ねじ軸7の挿通孔25を囲んで接線方向に傾けた
大径の半円状凹部26が4個、円周等分に配して形成さ
れている(図4参照)。この半円状凹部26の開口の中
心位置には、開口に直交する小径の半円筒状凹部27が
形成されており、その半円筒状凹部27に半円筒状リタ
ーンガイド28(1個のみ図示)を嵌着して、ほぼ半ド
ーナツ状に湾曲路29(図6)が形成される。このボー
ルねじ系の湾曲路29は、ねじ軸7の4条のボールねじ
溝8における各ねじ溝と各ボール戻り通路24とをそれ
ぞれに連通させるものである。また、ねじ軸の挿通孔2
5の内周面25aには、ねじ軸7の4条のボールねじ溝
8の各溝に対応させた4本の螺旋突起部31が、各ボー
ルねじ溝に係合可能に前記湾曲路29と交差して形成さ
れている。これにより、ねじ軸のボールねじ溝8および
これに対向するナットのボールねじ溝9とボール戻り通
路24と湾曲路29とからなるボールねじ系のボール無
限循環路が、直線案内系のボール無限循環路と同様に形
成され、そのボール無限循環路内に多数のボール32
(図6)が転動自在に装着されている。前記螺旋突起部
31はねじ軸のボールねじ溝8の防塵シール部をなすと
共に、ボールねじ溝9にのぞむ端部がボールねじ溝8内
のボールを掬い上げて湾曲路29に滑らかに導くための
掬い上げ突部33として形成されている。
【0013】なお、図3に示すように、ナット本体10
Aの両側部は上方へ伸ばされてテーブル取付け台40が
設けられ、これにテーブル取付けねじ用のねじ穴41が
穿設されている。これは、不図示のテーブルを介してナ
ット本体10Aに加えられる上下方向の負荷を、テーブ
ル取付け台40の直下に加えるようにするもので、ナッ
ト本体10Aの中央部に荷重が加わると、ナット下部両
側面が外側に開いてボール17とボール転動溝2,13
との間の嵌合が緩んでしまい、その結果ナット10のロ
ーリングやヨーイングやピッチング等が生じる現象を防
止するためである。
【0014】また、図4に示すように、エンドキャップ
12に設けた取付けボルト挿通孔42の接合端面側には
位置決め用突起43を形成して、この位置決め用突起4
3をナット本体10Aの端面に設けた取付けボルト挿通
44の凹部に嵌合せしめることにより、直線案内系及
びボールねじ系の各ボール無限循環路がずれること無く
正確に形成されるようにしている。
【0015】次に作用を説明する。図示されない駆動モ
ータの作動でねじ軸7を正(逆)回転させると、その軸
回転がねじ軸のボールねじ溝8とナットのボールねじ溝
9との間に介装されたボールねじ系のボール32を介し
てナット10に伝達され、ナット10は応動して軸方向
に前進(後退)移動する。ナット10の回転は、ナット
のボール転動溝13と案内レールのボール転動溝2との
間に介装された直線案内系のボール21により阻止され
る。両系統の各ボール21,32は、いずれもナット1
0の移動に伴い転動しつつ移動して各系統の無限循環経
路を循環する。その場合のボールねじ系のボール32の
方向転換は、エンドキャップ12内に設けた湾曲路29
により行われる。すなわち、ボール32は、ナット10
の進行に伴い、ねじ軸とナットのボールねじ溝8,9内
を転動して一方のエンドキャップ12に到達すると、図
6に示すように螺旋突起部31の端部の掬い上げ突部3
3の曲面に当たり、その曲面に導かれてエンドキャップ
12内の湾曲路29に移り、Uターンしてナット本体1
0A内のボール戻り通路24に入る。このボール戻り通
路24内を転動して反対端のエンドキャップ12に達す
ると湾曲路29に移り逆Uターンし、螺旋突起部31の
端部の掬い上げ突部33の曲面に導かれてねじ軸とナッ
トのボールねじ溝8,9内に戻る循環を繰り返す。
【0016】かくして、従来のボールねじ一体型直動案
内ユニットにおいて必須とされたボールねじ系のボール
循環チューブが不要となり、部品点数,組立工数が削減
できる。また、この実施例にあってはボールねじ系のボ
ール循環経路をねじ軸7の周囲に4系列配設すること
で、ねじ軸7を4条ねじとし、従来と同一軸径の1条ね
じの場合に対し負荷容量減らすことなく4倍に大リー
ド化した。これによりナット10は同一回転数で4倍の
高速送りが可能である。また、同一送り速度での回転数
が1/4となり、高精度位置決めが可能である。また、
この実施例の螺旋突起部31はねじ軸7のボールねじ溝
8に嵌合するようにしたため、端部の掬い上げ突部33
でボール32を案内するのみでなく、ボールねじ系の防
塵装置としても機能している。
【0017】図7,図8に他の実施例を示す。この実施
例は、ボールねじ系の循環経路における湾曲路29の構
成が上記実施例とは異なっている。すなわち、エンドキ
ャップ12の接合端面に形成した大径の半円状凹部26
には、上記実施例における開口の中心位置の小径の半円
筒状凹部27が形成されていない。したがって、その半
円筒状凹部27に嵌着する半円筒状のリターンガイド2
8も有しない。一方、ナット本体10Aの端面には、図
7に示すようにボール戻り通路24の開口からねじ孔1
1にかけて連続すると共にねじ孔11の内面の対応する
ボールねじ溝9に滑らかに連なる凸部50が形成されて
おり、この突部50がエンドキャップ12の半円状凹部
26に嵌合してリターンガイドとなり、湾曲路29が構
成されるようにしてある。
【0018】その他の構成は上記第1実施例と同様であ
り、作用,効果に関しても特に異なるところはない。な
お、上記各実施例では、直線案内系のボール無限循環経
路を片側で1条としたものを説明したが、複数状の場合
にも本発明を適用することが可能である。また、ボール
ねじ系のボール無限循環経路は4系統に限らず多条ねじ
の条数に応じて増減されることはいうまでもない。
【0019】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のボールね
じ一体型直動案内ユニットは、ナットの肉厚内に、直線
案内系のボール転動溝内のボールのボール戻り通路とな
る軸方向の貫通孔と、ボールねじ系のボールねじ溝内の
ボールのボール戻り通路となる軸方向の貫通孔とを設け
るとともに、ナットの前後の両端面に固定されたエンド
キャップに、前記ボール転動溝とこれに対応するボール
戻り通路とを連通させる湾曲路と、前記ボールねじ溝と
これに対応するボール戻り通路とを連通させる湾曲路を
設けた構成とした。これにより、従来ナット本体内に形
成されていたボールねじのボール循環チューブが省略で
きて、その結果、部品点数を減らし,組立工数を削減す
ることができるという効果が得られる。さらに、エンド
キャップに螺旋状突起部を設けて前記ボールねじ溝に嵌
合させることで、ボールねじ系の防塵機能が果たせると
いう効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】ナット本体の斜視図である。
【図4】エンドキャップの接合端側を示す斜視図であ
る。
【図5】図2のV −V 線断面図である。
【図6】図4のVI矢視図で、ナット本体のボール転動溝
及びボール戻り通路と湾曲路との連結状態を説明する図
である。
【図7】この発明の他の実施例のナット本体の斜視図で
ある。
【図8】図7のナット本体に接合するエンドキャップの
接合端側を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 案内レール 2 ボール転動溝(案内レールの) 7 ねじ軸 8 ボールねじ溝(ねじ軸の) 9 ボールねじ溝(ナットの) 10 ナット 12 エンドキャップ 13 ボール転動溝(直線案内系の) 14 ボール戻り通路(直線案内系の) 15 湾曲路(直線案内系の) 21 ボール(直線案内系の) 24 ボール戻り通路(ボールねじ系の) 29 湾曲路(ボールねじ系の) 31 螺旋突起部 32 ボール(ボールねじ系の)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側面に軸方向のボール転動溝を有して延
    長された案内レールと、該案内レールに平行に配設され
    外面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸のボ
    ールねじ溝に対向するボールねじ溝を備えてそれら相対
    する両ボールねじ溝内を転動する多数のボールを介して
    ねじ軸に螺合されると共に、両側面に前記案内レールの
    ボール転動溝に対向するボール転動溝を備えてそれら相
    対する両ボール転動溝内の多数のボールの転動を介して
    軸方向に移動可能とされたナットとを備えたボールねじ
    一体型直動案内ユニットにおいて、 前記ナットの肉厚内に、前記ボール転動溝内のボールの
    ボール戻り通路となる軸方向の貫通孔と、前記ボールね
    じ溝内のボールのボール戻り通路となる軸方向の貫通孔
    とを設けるとともに、前記ナットの前後の両端面に固定
    されたエンドキャップに、前記ボール転動溝とこれに対
    応する前記貫通孔とを連通させる湾曲路と、前記ボール
    ねじ溝とこれに対応する前記貫通孔とを連通させる湾曲
    と、前記ボールねじ溝に嵌合する螺旋状突起部を設け
    たことを特徴とするボールねじ一体型直動案内ユニッ
    ト。
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