JPH0536092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は長尺円筒状軸部材と、これを摺動自在
に嵌挿する中空孔を有する中空円筒形の外筒部材
と、両部材間に嵌挿され無限循環する多数のボー
ル軸受とからなる直動転がり案内ユニツト、例え
ばボールブツシング、ボールスプライン軸受等の
構造に関する。

〔従来の技術〕

この種の直動転がり案内ユニツトとしては特願
昭62−231514号に開示されたボールスプライン軸
受があるが、この構成は、外周面の所定箇所の軸
方向に軌道溝を複数個形成したボールスプライン
軸と、前記ボールスプライン軸を摺動的に嵌挿す
る中空孔を有する中空円筒形の外筒を有し、その
中空内周面にボールスプライン軸の軌道溝に対向
する軌道溝を形成すると共に、これと連通するボ
ールリターン孔を内設した外筒部材と、スプライ
ン軸および外筒部材それぞれの軌道溝間に嵌挿さ
れる多数のボールとからなるボールスプライン軸
受において、外筒部材の両端部それぞれに取り付
けられた側板即ち第６図および第７図に示すよう
な内側板であるスペーサリング３′と外側板４′を
それぞれ図に示す面で組み合わせてボール方向転
換路を形成したが、その外側板４′（第７図）に
は方向転換路Ｕターン部の外周壁面４′ａが溝状
に形成され、一方この外側板４′に組み合わされ
る内側板であるスペーサリング３′（第６図）の
衝合面には方向転換路７′の軌道側部分４′ａと、
それに連通するリターン路側部分４′ｂのそれぞ
れの開口の隣接部を連結して、第６図に示すよう
にその連結面４′ｃによつて側板内のボール方向
転換路Ｕターン部の内周壁３′ａを形成する。

第５図ｂは前記先願軸受の外筒の半径方向断面
図で第５図ａは第５図ｂの方向転換路部分を真上
から見た図であるが、第５図ａに明示されるよう
に、先願軸受では外側板４′とスペーサリング
３′との衝合面境界部分で、方向転換路の外周壁
面部分４′ａに段差が生じた。

常法としてこれらの側板は合成樹脂材を射出成
形加工によつて製作する。その場合、スペーサリ
ング３′の方向転換路部分の内側の型は、外側板
４′方向に引抜くため、外側板４′の方向転換路の
外周壁面４′ａに合わせて、抜く方向に狭くなる
ような抜き型ができず、抜き方向とほぼ平行な外
周壁面に形成せざるを得ない。

従つて、第５図ａのように方向転換路外周壁面
４′ａの一部に段差が生じ、この部分で循環する
ボールが円滑に移動しないという欠点があつた。

〔考案の目的〕

本考案は、これら先願軸受の欠点を除去し、ボ
ールが側板の方向転換路内を円滑に移動でき、従
つて摺動抵抗の極めて少ない直動転がり案内ユニ
ツトを簡単な構成でかつ安価に提供することを目
的とする。

従つて本考案は先願である特願昭62−231514号
の外筒部材に取り付ける側板部材の改良に関す
る。

〔問題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を充分に達成するため次の構
成を有する。

(1) 外周面の所定箇所の軸方向に軌道溝を形成し
た長尺円筒状軸部材と、前記軸部材を摺動的に
嵌挿する中空孔を有する中空円筒形の外筒であ
つて、その中空孔内周面に前記軸部材の軌道溝
に対向する外筒側軌道溝を形成すると共にこれ
と連通するボールリターン路を内設した外筒部
材と、両軌道溝間に嵌挿される多数のボールお
よび上記外筒部材の両端部それぞれに取り付け
られ、外筒側軌道溝と、それと連通するボール
リターン路とを連結するボール方向転換路を内
設した側板部材からなる直動転がり案内ユニツ
トにおいて、上記側板部材は外筒の横断面に対
応した横断面をそれぞれ有する薄手の内側板及
び厚手の外側板の面衝合式組合せからなり、内
側板をそれぞれ貫通する方向転換路の軌道側部
分とそれに連通するリターン路側部分の、内側
板外側面上におけるそれぞれの開口間の離隔面
上に、断面円弧溝を有する山形ブリツジ部を設
けて両開口を連結し、該山形ブリツジ部に対応
する外側板の内側面において、上記内側板の上
記それぞれの開口を連結し外側板の半径方向断
面上で内方に湾曲した円弧を形成する方向転換
路Ｕターン部を切欠溝状に設けてそこに上記内
側板の山形ブリツジ部を嵌入させて上記Ｕター
ン部の内周壁面および外周壁面を形成しかくし
て上記内側板および外側板の面衝合組み合わせ
によりボール方向転換路の内外周壁面を円滑面
に形成した直動案内ユニツト。

(2) 前記直動転がり案内ユニツトの外筒側軌道溝
の開口巾がボール径より小さく形成され、その
ボール軌道溝が外筒の横断面上で対称位置それ
ぞれに設けてあることを特徴とする前記第１項
に記載のユニツト。

〔実施例〕

第１図は本考案の実施例の一つを示す投影図で
あり、説明のため外筒部材２の一部を破断して示
している。

第１図は、貫通孔１ｂを有し軸芯に関し対称外
周位置の長手方向に軌道溝１ａが形成されている
長尺円筒状軸部材１と、この円筒状軸部材１を摺
動自在に嵌挿する中空孔を有する中空円筒形の外
筒部材２を有し、その中空孔内周面に前記円筒状
軸部材１の軌道溝１ａに対向する外筒側軌道溝２
ａを形成する外筒部材２が、両部材の軌道間に多
数のボール６を介して示されている。この外筒部
材２にはその外筒側軌道溝２ａ（第２図）と連通
するボールリターン路Ｒを、外筒側軌道溝２ａと
平行に外筒部材内に延長内設し、更に、該外筒部
材２の両端部それぞれには、外筒側軌道溝２ａ
と、それと連通するボールリターン路Ｒとを連結
するボール方向転換路７を内設し、肉厚の薄い内
側板３と肉厚の厚い外側板４からなる側板部材が
取り付けてあり、円筒状軸部材１の軌道溝１ａと
外筒部材２の内周に設けた対応する外筒側軌道溝
２ａ間を転動する多数のボール６の無限循環路を
外筒部材内に形成している。上記側板部材それぞ
れの外端には通常シール５が施されるが必須構成
部材ではない。

第２図は第１図の外筒部材の部分拡大半径方向
断面で、外筒側軌道溝２ａと関連リターン路Ｒ、
および関連円筒軸部材側軌道溝１ａの位置関係を
示し、先願発明である特願昭62−231514号と同
様、外筒側軌道溝２ａの底部には軌道面２ｂが形
成され、これと対向する側の軌道開口部の幅はボ
ールの径よりも小さい幅に形成されて、そこを転
走するボール６の脱落を防止している。

第２図に明示するように外筒部材２内を軸方向
に延長する外筒側軌道溝２ａに対しこれと平行し
てリターン路Ｒが外筒部材２内を延長し、外筒部
材２の両端部それぞれに取り付けられる側板部材
により形成されるボール方向転換路７により前記
軌道溝２ａとリターン路Ｒが外筒部材の両端部で
連結してボールの無限循環路を形成する。第２図
の外筒側軌道溝２ａとリターン路Ｒを結ぶ破線に
示される側板部材内での方向転換路７のＵターン
部は、側板部材の半径方向断面で見て内方になだ
らかに弯曲した弧状をなし、ここを転走するボー
ルの円滑な方向転換を可能にする。

第３図ａおよび第３図ｂは外筒部材２の両端に
取り付ける側板部材を構成する薄手の内側板３と
これにより厚手の外側板４をそれぞれ投影図で示
し、これら両側板３，４は第４図ａに上面図で示
すように面衝合式に一体に組み合わされて側板部
材を構成する。

本考案の特徴とする側板部材の構成は、内側板
３および外側板４共に好ましくは外筒部材の半径
方向断面と同形状を有し、通常は中空円板形状と
し、内側板３には第４図に示すように外筒側軌道
溝２ａと連通する方向転換路７の軌道溝連通部分
と、それに関連するリターン路側部分を形成する
それぞれの開口３ｃ，３ｄを、軌道溝２ａとリタ
ーン路Ｒとにそれぞれ心合的に設けてある。これ
から開口３ｃ，３ｄは外側板４に面した外側面に
おいて離隔した両開口３ｃ，３ｄ間に山形ブリツ
ジ部３ｂを設け、この山形ブリツジ部３ｂの横断
面は上方円弧状の溝をなすと共に、内側板３の外
面上で円弧状に内方に弯曲延長する軌道を画定し
て（第２図、第３図ａ）の溝軌道の両端部で内側
板の両開口３ｃ，３ｄの内周壁面とそれぞれ円滑
に連結している。この山形ブリツジ部３ｂは変形
として、その横断面を半円形山形かまぼこ状とし
て、内側板の外面上で円弧状に内方に弯曲延長さ
せることもできる。

他方この内側板３の外面に面衝合的に組み合わ
される外側板４は第３図ｂに投影図で示すよう
に、内側板３と衝合する面において内側板の両開
口３ｃ，３ｄと心合する両端を有する切欠き溝４
ｂが設けられ、この切欠溝４ｂは外側板の半径方
向断面上で、上記山形ブリツジ部３ｂの湾曲軌道
と同一曲率で内方向に湾曲して伸び従つて内側板
３と外側板４を面衝合した際、上記山形ブリツジ
部３ｂを上記切欠溝４ｂに嵌入し、その円弧状溝
を内周壁面としそれに対向する切欠溝内壁を外周
壁面としてボールが円滑に方向転換できるＵター
ン路を側板組み合わせ体内に設定する。この方向
転換路のＵターン部形成切欠溝の内方湾曲度は第
２図破線で外側板４の半径方向断面において外側
板４の内部に弧状に弯曲して示されるが、この曲
率は外筒部材２の肉厚に依存して変化しうる。

かくして第３図ａの内側板３の図示側の面と、
第３図ｂの外側板の図示側の面とを相互に面衝合
式に一体に組み合わせることにより外筒部材２に
設けた軌道溝２ａとリターン路Ｒとを、外筒部材
２両端に設けた側板部材により形成する方向転換
路で円滑に連結して外筒部材２内にボール軸受の
無限循環路を完成する。

先願発明における側板部材により提供された外
筒部材端部のボール方向転換路は、内側板に相当
するスペーサリング３′に設けた外筒軌道と、関
連リターン路に開けた開口３′ｃ，３′ｄ同志第５
図ａ及び第６図に示すようにスペーサリング３′
外面で直接連続してこの部分４′ｃで方向転換路
Ｕターン部の内周壁面４′ｂを形成し、外側板
４′の内面には第７図４′ａに示すように方向変換
路Ｕターン部７′の外周壁面４′ａを形成する切欠
き溝が設けられるため、第５図ａに示すように、
外側板４′内の方向転換路のボール転回半円軌道
の中心はスペーサリング３′の内側面に留まり、
該軌道はスペーサリング３′の肉厚のため完全な
半円を画けず、従つてその軌道溝連通開口３′ｃ
とリターン路連通開口３′ｄのそれぞれの外周壁
面と、外側板４′内に設ける方向転換路７′のＵタ
ーン部両端の外周壁面間に段差が生じ方向転換路
７′におけるボール６の走行時に実質的な摺動抵
抗を生じ円滑な走行が期待できない。

これに対し本考案においては薄い肉厚の内側板
３に山形ブリツジ部３ｂを設けることにより第４
図ａに水平断面で示すように外側板４内の方向転
換路のボール転回半円軌道の中心を内側板３の肉
厚に関係なく外側板側に移動できるので、外側板
４肉厚内に完全な半円軌道を画定でき、従つて、
かかる完全半円軌道の直径長さと、内側板３に設
ける軌道溝連通開口３ｃとリターン路連通開口３
ｄのそれぞれの外周壁間の距離を一致させて両側
板３，４間のボール走行路外周壁間段差を完全に
除くことができ円滑な走行路を提供できる。

本考案は上記実施例においてボールスプライン
軸受に関して説明したが、外筒両端に設ける側板
内の方向転換路が、側板の半径方向断面で見て下
方に弯曲する円弧状であつて、側板の各々を内・
外２部材で構成する形式の直動転がり案内ユニツ
トである限りいかなる種類の機器にも効果的に適
用できる。

〔考案の効果〕

本考案の効果を以下に列記する。

従来のものに比べ直動転がり案内ユニツトの
摺動抵抗が減少する。

内側板の加工が容易になる。

外側板に内周壁面が形成されるので、従来の
ように内周壁面に対応する外周壁面との位置ズ
レがない。

安価に製作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至４図は本考案の一実施例を示し、第
５図乃至７図は本考案により改良される先願軸受
を示し、第１図は本考案の直動転がり案内ユニツ
トの一実施例の投影図を部分断面で示し第２図は
第１図の部分拡大正面図、第３図ａは内側板、第
３図ｂは外側板それぞれの投影図であり、共に面
衝合面側を示し、第４図ａは側板の上面図であ
り、方向転換路の中心線上を断面で示し、第４図
ｂは第４図ａの側面図であり、第５図ａは先願で
ある特願昭62−231514号のスプライン軸受の側板
の上面図で、方向転換路の中心線上を断面で示
し、第５図ｂは第５図ａの側面図であり、第６図
は上記先願軸受の外筒の端部に取り付けるスペー
サリング即ち内側板を投影図で示し、第７図は第
６図に示す内側板と面衝合式に組み合わせる外側
板をその衝合面で示す。 １……ボールスプライン軸、１ａ……円筒状軸
部材側軌道溝、２ａ……外筒部材側軌道溝、１ｂ
……軸部材の貫通孔、２……外筒、２ｂ……外筒
側軌道溝の軌道面、２ｃ……外筒側軌道溝ボール
保持部、３……内側板、３ａ……方向転換路の内
周壁面、３ｂ……内側板外面上の開口間に設けた
山形ブリツジ部、３ｃ……内側板の軌道溝連通開
口、３ｄ……内側板のリターン路連通開口、３′
……先願軸受のスペーサリング即ち内側板（特願
昭62−231514号）、３′ｃ……スペーサリングの軌
道溝連通開口（同上）、３′ｄ……スペーサリング
のリターン路連通開口（同上）、４……外側板、
４ａ……方向転換路の外周壁面、４ｂ……方向転
換路のＵターン部形成切欠溝、４′……先願軸受
の外側板（特願昭62−231514号）、４′ａ……先願
軸受の方向転換路外周壁面（同上）、４′ｂ……先
願軸受の方向転換路内周壁面（同上）、４′ｃ……
先願軸受の方向転換路内周壁面Ｕターン部（同
上）、５……シール、６……ボール、７……方向
転換路、７′……先願軸受の方向転換路（特願昭
62−231514号）、Ｒ……リターン路、Ｈ……取り
付け穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 外周面の所定箇所の軸方向に軌道溝を形成し
   た長尺円筒状軸部材と、前記軸部材を摺動自在
   に嵌挿する中空孔を有する中空円筒形の外筒で
   あつて、その中空孔内周面に前記軸部材の軌道
   溝に対向する外筒円周面に軸方向に形成した外
   筒軌道溝を形成すると共にこれと連通するボー
   ルリターン路を内設した外筒部材と、両軌道溝
   間に嵌挿される多数のボールおよび上記外筒部
   材の両端部それぞれに取り付けられ、外筒側軌
   道溝と、それと連通するボールリターン路とを
   連結するボール方向転換路を内設した側板部材
   からなる直動転がり案内ユニツトにおいて、上
   記側板部材は外筒の横断面に対応した横断面を
   それぞれ有する薄手の内側板及び厚手の外側板
   の面衝合式組合せからなり、内側板をそれぞれ
   貫通する方向転換路の軌道側部分とそれに連通
   するリターン路側部分の、内側板外側面上にお
   けるそれぞれの開口間の離隔面上に、断面円弧
   溝を有し内方湾曲軌道を画定する山形ブリツジ
   部を設けて両開口を連結し、該山形ブリツジ部
   に対応する外側板の内側面において、上記内側
   板の上記それぞれの開口を連結し外側板の半径
   方向断面上で内方に湾曲した円弧を形成する方
   向転換路Ｕターン部を切欠溝状に設けてそこに
   上記内側板の山形ブリツジ部を嵌入させて上記
   Ｕターン部の内周壁面および外周壁面を形成し
   かくして上記内側板および外側板の面衝合組み
   合わせによりボール方向転換路の内外周壁面を
   円滑面に形成した直動案内ユニツト。 (2) 前記直動転がり案内ユニツトの外筒軌道溝の
   開口幅がボール径より小さく形成され、そのボ
   ール軌道溝が外筒の横断面上で対称位置それぞ
   れに設けてあることを特徴とする請求項１に記
   載のユニツト。