JP2003148584A - ボールねじ装置 - Google Patents

ボールねじ装置

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JP2003148584A
JP2003148584A JP2001348340A JP2001348340A JP2003148584A JP 2003148584 A JP2003148584 A JP 2003148584A JP 2001348340 A JP2001348340 A JP 2001348340A JP 2001348340 A JP2001348340 A JP 2001348340A JP 2003148584 A JP2003148584 A JP 2003148584A
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groove
rolling groove
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Yuji Tachikake
雄二 太刀掛
Fujio Takano
藤雄 高野
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THK Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ボールを無限循環させるための構造が簡易であ
ると共に構成部品の点数も少なく、製作する際の加工を
容易化することが可能であり、もって小型化に最適なエ
ンドキャップ式のボールねじ装置を提供する。 【解決手段】外周面に所定のリードで螺旋状のボール転
動溝10が形成されたねじ軸1と、このねじ軸1が貫通
する貫通孔を有して略円筒状に形成されると共に、内周
面には上記ねじ軸1のボール転動溝10と相対向して螺
旋状の負荷ボール通路を構成する螺旋状の負荷転動溝4
2が形成され、多数のボール2を介して上記ねじ軸1に
螺合するナット部材4とから構成されたボールねじ装置
において、上記ねじ軸1の軸方向に垂直なナット部材4
の端面に開放溝47を切り欠く一方、この開放溝47を
覆うドーナッツ状の平板部材5をナット部材4の端面に
固定し、それによってボール2の無限循環路を形成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数のボールを介
してねじ軸とナット部材とが螺合したボールねじ装置に
係り、特に、上記ナット部材が所謂エントキャップ式と
称されるボールの循環構造を備えたボールねじ装置の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、多数のボールを介してねじ軸
とナット部材とが螺合したボールねじ装置は公知であ
る。この種のボールねじ装置は、ねじ軸の外周面に形成
された螺旋状のボール転動溝とナット部材の内周面に形
成された螺旋状の負荷転動溝とが互いに対向して負荷通
路を構成しており、ボールはこの負荷通路を転動しなが
らねじ軸とナット部材との間で荷重を負荷する。また、
ナット部材には負荷通路を転動し終えたボールを再度負
荷通路へ循環させるための無負荷通路が備わっており、
ねじ軸とナット部材との相対的な回転に伴い、ボールが
負荷通路から無負荷通路へ、無負荷通路から負荷通路へ
と無限循環するように構成されている。
【0003】ボールねじ装置は無負荷通路の構造によっ
て幾つかのタイプに分類することができ、その中に所謂
エンドキャップ式と称されるタイプのボールねじ装置が
存在する。このエンドキャップ式のボールねじ装置は、
特開平6−201013号公報や米国特許第4,14
8,226号公報に開示されており、図8乃至図10は
後者のボールねじ装置を示している。このボールねじ装
置は、螺旋状のボール転動溝102が外周面に形成され
たねじ軸101と、上記ボール転動溝102と相対向す
る螺旋状の負荷転動溝107が内周面に形成されると共
に、ねじ軸101の軸方向に沿ってボール戻し孔106
が形成されたナット部材104と、このナット部材10
4の軸方向の両端に固定されると共に、上記負荷転動溝
107とボール戻し孔106とを連通連結するトンネル
状の方向転換路113を有する一対のエンドキャップ1
09,109と、上記負荷転動溝107とボール転動溝
102との間で荷重を負荷しながら転動すると共に、上
記ボール戻し孔路106及び方向転換路113を介して
循環する多数のボール100とから構成されている。
【0004】図9に示すように、上記ナット部材104
の両端部には負荷転動溝107から連続するガイド溝1
08が形成されている。このガイド溝はねじ軸101の
軸方向と直交する面内に形成されると共に、負荷転動溝
107から方向転換路113に近づくにつれ、その深さ
が徐々に深くなるように形成されており、ナット部材1
04に装着されたエンドキャップ109によって覆われ
ている。このため、上記負荷転動溝107を転動してき
たボール100はガイド溝108に到達すると、かかる
ガイド溝108を覆うエンドキャップ109の端面によ
ってねじ軸101のボール転動溝102に沿った進行が
妨げられ、強制的にガイド溝108の延伸方向へ導かれ
るようになる。この際、ガイド溝108は徐々に深くな
るように形成されていることから、ボールは荷重から開
放されると共にボール転動溝102の側壁に寄せられ、
ボール転動溝102の内周形状に沿ってねじ軸101の
外径円筒面103まで自然と這い上がり、上記エンドキ
ャップ109の方向転換路113に転がり込むようにな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ねじ軸101
のボール転動溝102からボール100を掬い上げるガ
イド溝108はナット部材104に設けられる一方、掬
い上げたボール100をナット部材104のボール戻し
孔106に送り込むための方向転換路113はエンドキ
ャップ109に設けられており、これら方向転換路11
3とガイド溝108とをボール100が円滑に通過する
ように接続することは困難であった。このため、図10
に示すように、ナット部材104の端面に略扇形の切り
欠き部105を形成して、かかる切り欠き部105に上
記ガイド溝108の一端が開口するように構成する一
方、エンドキャップ109にはこの切り欠き部105に
嵌合する突出部110を形成し、この突出部110に上
記方向転換路113を形成することで、かかるガイド溝
108と方向転換路113との接続を可能としていた。
【0006】しかし、かかる構造ではナット部材104
の端面およびエンドキャップ109の端面の形状が複雑
なものとなり、その加工に手間が掛かり、生産コストが
嵩むといった問題点があった。特に、近年では、従来よ
り存在する工作機械等を対象とした重荷重用途向けでは
なく、一般産業機械等における軽荷重用途向けのボール
ねじ装置の需要が高まっており、小型のボールねじ装
置、所謂ミニチュアボールねじ装置へのニーズが高まっ
ているが、前述した構造のボールねじ装置では各部品の
形状が複雑になることから、小型化に対して柔軟に対応
することができないといった問題点があった。
【0007】また、エンドキャップに対してトンネル状
の方向転換路を具備させるためには、かかるエンドキャ
ップを幾つかの部品に分割して製作しなければならず、
この点においても加工に手間が掛かり、生産コストが嵩
むといった問題点があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みなされた
ものであり、その目的とするところは、ボールを無限循
環させるための構造が簡易であると共に構成部品の点数
も少なく、製作する際の加工を容易化することが可能で
あり、もって小型化に最適なエンドキャップ式のボール
ねじ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のボールねじ装置は、外周面に所定のリード
で螺旋状のボール転動溝が形成されたねじ軸と、このね
じ軸が貫通する貫通孔を有して略円筒状に形成されると
共に、内周面には上記ねじ軸のボール転動溝と相対向し
て螺旋状の負荷ボール通路を構成する螺旋状の負荷転動
溝が形成され、多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合
するナット部材とから構成され、上記ナット部材にはね
じ軸と略平行なボール戻し孔が貫通形成されると共に、
このボール戻し孔の端部と上記負荷転動溝の端部とを連
結してボールの無限循環路を構成する一対の方向転換路
が形成されたボールねじ装置を前提とし、上記方向転換
路は、上記ねじ軸の軸方向に垂直なナット部材の端面に
切り欠かれた開放溝と、上記ねじ軸が遊嵌するドーナッ
ツ状に形成され、ナット部材の端面に固定されて上記開
放溝を覆う平板部材とから構成されることを特徴とする
ものである。
【0010】このような技術的手段によれば、ボールの
無限循環路をナット部材に具備させるに当たり、かかる
無限循環路の一部をなす方向転換路はナット部材に両端
面に切り欠かれた開放溝を平板部材で覆うのみで形成さ
れており、前者の開放溝についてはナット部材の端面を
エンドミル等の工具で切削することで形成することがで
き、また、後者の平板部材はねじ軸が遊嵌する貫通孔を
備えた単なる板材であれば差し支え無いので、ボールを
負荷転動溝とボール戻し孔との間で循環させる方向転換
路を極めて簡単な構成で実現することができるものであ
る。
【0011】このような本発明において、上記平板部材
はねじ軸を転動しているボールを該ボール転動溝の片側
に寄せ、ナット部材側の開放溝と相まってボールをねじ
軸のランド部に掬い上げる働きをしているので、かかる
平板部材はボール転動溝中のボールと干渉するよう、そ
の内周縁がねじ軸のボール転動溝から突出したボールの
頂部よりも該ねじ軸のランド部に近接してることが必要
である。
【0012】また、ナット部材の端面に切り欠かれた開
放溝は、ボールをねじ軸のボール転動溝から掬い上げて
ランド部に乗せるためのピックアップ領域と、ランド部
に乗ったボールをボール戻し孔の入口に導く連絡領域と
に分けて構成するのが好ましく、上記ピックアップ領域
はボールのランド部への乗り上げを可能とするため、ナ
ット部の半径方向における深さが徐々に深くなるように
形成されているのが好ましい
【0013】更に、上記ピックアップ領域においてねじ
軸のランド部に乗り上げたボールをボール戻し孔の入口
に円滑に送り出すという観点からすれば、上記連絡領域
は、ボールがねじ軸のランド部に乗り上げた位置から該
ねじ軸の接線方向へ直線状に形成されていることが好ま
しい。このことは、ボール戻し孔がそのように延びた連
絡領域の先に存在することを意味している。
【0014】また更に、この連絡領域とボール戻し孔と
の接続部分では、ボールの転動方向が90°変化するこ
とになるので、かかる接続部分におけるボールの転動を
円滑化するという観点からすれば、ナット部材の端面に
固定される平板部材に対してボールの転動方向を略90
°変化させる突片を立設し、平板部材を固定した際にこ
の突片がボール戻し孔の入口に対応した開放溝内に差し
込まれるように構成するのが好ましい。
【0015】また、ピックアップ領域を通過するボール
が該領域内を安定して円滑に転動するよう、かかる領域
内を通過するボールが開放溝の内周壁、ねじ軸及び平板
部材に接してその動きを拘束され、ナット部材とねじ軸
との相対的な回転に伴ってピックアツプ領域内を転動す
るように構成するのが好ましい。このため、ボールの掬
い上げ方向(ナット部材の半径方向)における開放溝の
深さはボールの掬い上げ量に対応して変化していること
が重要である。
【0016】このようにボールがナット部材とねじ軸と
の相対的な回転に伴ってピックアップ領域内を転動する
ように構成すると、かかるピックアップ領域においては
前後するボールが互いに接していたとしても、これらの
ボールが負荷領域、すなわちナット部材の負荷転動溝と
ねじ軸のボール転動溝との間に進入することにより、ボ
ールとボールとの間隔が自ずと拡がる結果となる。これ
は、ピックアップ領域がねじ軸の軸方向と垂直な面内に
設けられているのに対し、負荷領域を構成する負荷転動
溝及びボール転動溝は所定のリード長を有して螺旋状に
設けられており、ねじ軸の所定角度の回転によってボー
ルが進行する距離はピックアップ領域内よりも負荷領域
内の方が大きくなるからである。このため、負荷領域に
進入したボールとボールとの間には自ずと間隔が設けら
れることになるので、ボール間にスペーサ等の間隔保持
部材を挿入することなく、ボール同士の接触を防止する
ことができ、回転トルクの軽減を図ることができる他、
ボールの摩耗をも防止することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明のボールねじ装置を詳細に説明する。図1は本発明
を適用したボールねじ装置の実施例を示す断面図であ
る。このボールねじ装置は、外周面に所定のリード長で
螺旋状のボール転動溝10が形成されたねじ軸1と、多
数のボール2を介して上記ねじ軸1に螺合すると共に該
ボール2の無限循環路を備えたナット部材3とから構成
されており、これらねじ軸1とナット部材3との相対的
な回転により該ナット部材3がねじ軸1の軸方向へ運動
するように構成されている。
【0018】上記ナット部材3は、図2に示すように、
鋼製のナット本体4と、このナット本体4の前後両端面
に固定される合成樹脂製の一対のエンドプレート(平板
部材)5,5とから構成されており、かかるエンドプレ
ート5,5をナット本体4に固定することでボール2の
無限循環路が完成するようになっている。
【0019】上記ナット本体4は中央に上記ねじ軸1の
貫通孔40を有する円筒状に形成されており、その外周
面には該ナット本体4をテーブル等の可動体に固定する
ためのフランジ部41が突設されている。また、上記貫
通孔40の内周面には上記ねじ軸1のボール転動溝10
と相対向する螺旋状の負荷転動溝42が形成されてお
り、ボール2はこれらボール転動溝10と負荷転動走溝
42との間で荷重を負荷しながら転動する。尚、上記フ
ランジ部41に開設された貫通孔43はナット本体4を
可動体に固定するためのボルト通し孔である。
【0020】また、このナット本体4の軸方向の両端面
には、ねじ軸の軸方向に対して略垂直なエンドキャップ
取付け面44,44が設けられている。これら取付け面
44,44の間には、ナット本体4を軸方向へ貫通する
ようにしてボール直径よりも僅かに大きい内径のボール
戻し孔46が形成されており、ボール2はこのボール戻
し孔46の内部を無負荷状態でナット本体4の軸方向へ
転動するようになっている。
【0021】更に、図3に示すように、各取付け面44
にはナット本体4の負荷転動溝42から上記ボール戻し
孔46に連続する開放溝47が形成されており、この開
放溝47を上記エンドプレート5で覆うことにより、ボ
ール2を負荷転動溝42とボール戻し孔46との間で往
来させる方向転換路が完成するようになっている。エン
ドプレート5はねじ軸1が遊嵌する貫通孔50を有して
略ドーナッツ状に形成されており、その内周縁はねじ軸
1のボール転動溝10内を転動するボール2の頂部より
も該ねじ軸1の外周面に近接している。また、このエン
ドプレート5は単なる平板であるが、上記開放溝47と
ボール戻し孔46の接続位置に対応して突片51が立設
されており、エンドプレート5をナット本体4に固定す
ると、この突片51が開放溝47のボール戻し孔46側
の端部に入り込み、開放溝47を転動してきたボール2
をボール戻し孔46に向けて90°方向転換させる案内
曲面を形成するようになっている。
【0022】上記開放溝47はナット本体4の取付け面
44をこれに垂直な方向からエンドミルで削ることによ
って、ボール進行方向に垂直な断面が略角溝状に形成さ
れており、ねじ軸1の軸方向に沿った深さはボール2の
直径と略同等か僅かに大きい程度に均一に設定されてい
る。また、上記開放溝47は、ナット本体4の負荷転動
溝42とねじ軸1のボール転動溝10との間で荷重を負
荷しながら転動していたボール2を該荷重から開放する
と共に、かかるボール転動溝10から離脱させるための
ピックアップ領域48と、このピックアップ領域48に
よってボール転動溝10から離脱したボール2を上記ボ
ール戻し孔46に送り込むための連絡領域49とから構
成されている。
【0023】上記ピックアップ領域48はナット本体4
の負荷転動溝42に連続する位置から開始され、円周方
向の角度θの範囲で形成されている。ピックアップ領域
48における開放溝47の深さ(ナット本体の半径方向
に関する深さ)は連絡領域49に接近するにつれて徐々
に深くなるように設定されており、これによって負荷転
動溝42から開放溝47に進入したボール2が徐々にね
じ軸1のボール転動溝10から離脱するようになってい
る。図4は、ピックアップ領域48においてボール2が
ねじ軸1のボール転動溝10から離脱する様子を示した
ものであり、各分図は図3に一点鎖線で示したピックア
ップ領域の各断面に対応している。ナット本体4の負荷
転動溝42とねじ軸1のボール転動溝10の間を転動し
てきたボール2は、ねじ軸1の回転に伴ってナット本体
4が矢線方向へ移動すると、かかる負荷転動溝10を転
動し終え、上記開放溝47のピックアップ領域48に進
入する。このとき、ボール2はねじ軸1のボール転動溝
10に沿って該ねじ軸1の周囲を螺旋状に転動しようと
するが、開放溝47はエンドプレート5によって覆われ
ており、ボール転動溝10から突出したボール2の頂部
はエンドプレート5の内周縁に引っ掛かることから、ボ
ール2はそのまま螺旋状に転動することはできず、エン
ドプレート5に沿って強制的に開放溝47の延伸方向、
すなわちねじ軸1の軸方向と垂直な方向へ転動すること
になる(分図c参照)。このため、ボール2は開放溝4
7内を進むにつれて、ボール転動溝10の一方の側縁に
寄せられていき、ボール転動溝10の円弧状の内周面を
伝わって該ボール転動溝10を徐々に這い上がっていく
(分図d、e及びf参照)。そして、連絡領域49へと
移行するピックアップ領域48の終端付近で、ボール2
は完全にボール転動溝10から離脱し、互いに隣接する
ボール転動溝10とボール転動溝10との間のランド部
(ねじ軸の最大外径面)11に乗り上げた状態となる。
【0024】この図4から明らかなように、負荷転動溝
42から開放溝47に進入したボールは、ねじ軸1のボ
ール転動溝10が軸方向へボール半径rだけ進行した位
置において該ボール転動溝10から完全に離脱し、ラン
ド部11に乗り上げた状態となる。従って、図3中に角
度θで表示されているピックアップ領域48の形成範囲
は、ボール転動溝10が軸方向へ距離rだけ進行するた
めに必要なねじ軸1の周方向の角度に相当する。ボール
転動溝10のリード長をLとすると、かかるボール転動
溝10がねじ軸1の周囲を1巻(360°)した際に、
このボール転動溝10が軸方向へリード長Lだけ進行し
たことになるから、ボール転動溝10がボール半径rだ
け進行する周方向の角度θは以下の式で表すことができ
る。 θ=(ボール半径r/リード長L)×360 従って、この角度範囲でピックアップ領域48が設けら
れていれば、ボール2はピックアップ領域48内で略確
実にねじ軸1のボール転動溝10から離脱してランド部
11に乗り上げることができるのである。
【0025】また、ピックアップ領域48を転動するボ
ール2は、図5に示すように、エンドプレート5、ねじ
軸1及び開放溝47の側面の3点に対して常に接触して
おり、これら3点で抱えられるようにしてねじ軸1のボ
ール転動溝10から離脱する。このようにボール2を3
点で抱えながらボール転動溝10から離脱させるように
構成すると、ピックアップ領域48内のボール2は常に
ねじ軸1の回転に応じた転動を与えられるので、ピック
アップ領域48におけるボール2の整列間隔をコントロ
ールすることができ、かかる領域においてボール詰まり
が発生するのを未然に防止することが可能となる。
【0026】このようにボール2を3点で抱え込むため
には、ピックアップ領域48における開放溝47の半径
方向の深さが問題となるが、この深さをどの程度に設定
したら良いかは、やはりボール2の直径及びボール転動
溝10のリード長を用いて、ねじ軸1上の周方向の位置
毎に算出することができる。ボール転動溝10はねじ軸
1の周囲にリード長Lで螺旋状に設けられていることか
ら、ねじ軸の静止状態を考えると、ボール転動溝10が
ねじ軸1上を軸方向へ進行した分だけ、ピックアップ領
域48内におけるボール2はエンドプレート5によって
軸方向へ寄せられることになる。図6は、このときのボ
ール2と該ボール2がボール転動溝10内から上昇した
量との寸法関係を示すものである。ボール2の半径をr
とすると、このボール中心とボール転動溝10の側縁部
との軸方向距離dは、d=r−Sと表すことができる。
一方、ボール転動溝の軸方向への進行量Sはねじ軸上に
おける周方向の角度をαとすると、以下のように示すこ
とができる。 S=L×α/360 従って、ボール中心とボール転動溝10の側縁部との軸
方向距離dは、 d=r−L×α/360 と表すことができる。
【0027】また、ボール2がその略半分をボール転動
溝10に没した状態で該ボール転動溝10を転動してい
ると仮定し、ピックアップ領域48内におけるボール2
の上昇量hとすると、図6から明らかなように、r2
2 +h2 の関係式が成立する。従って、ピックアップ
領域内でナット部材の周方向の位置を変化させた場合に
おけるボール2の上昇量hは、前述のd及びrを用いて
計算することができる。そして、d=0になれば、ボー
ル2は完全にねじ軸1のランド部11に乗り上げてボー
ル転動溝10から離脱したことになり、このときのボー
ル2の上昇量hはボール半径rと合致している。このた
め、ピックアップ領域48における開放溝47の半径方
向の深さは、負荷転動溝42との接続部分(図4の分図
b)ではh=0となり、負荷転動溝42と同じ深さであ
るが、連絡領域49との接続部分(図4の分図g)では
h=rとなり、負荷転動溝42よりもボール2の半径分
だけ深くなる。ナット部材の周方向の角度αが0(h=
0)〜θ(h=r)の範囲において、ボール2の上昇量
はこの周方向角度αから計算することができ、開放溝4
7の深さもそれに応じて決定することができる。これに
より、ボール2はピックアップ領域48内で常に開放溝
47の内壁、ねじ軸1及びエンドプレート5の三者に接
して転動することが可能となり、ピックアップ領域48
内のボール2はナット部材3とねじ軸1との相対的な回
転に基づいて該領域48内を円滑に進行することにな
る。
【0028】そして、このようにボール2がピックアッ
プ領域48内をはナット部材3とねじ軸1との相対的な
回転に基づいて進行する場合、かかるボール2はねじ軸
1のランド部11における周方向速度に対し、概ねその
1/2の速度でピックアップ領域48を進行する。一
方、負荷領域に進入したボール2もねじ軸1の回転に伴
って該負荷領域を進行するが、負荷領域を構成している
ねじ軸1のボール転動溝10及びナット部材4の負荷転
動溝42は螺旋状に形成されていることから、ボール2
はピックアップ領域48内よりも速い速度で負荷領域を
進行することになる。図7に示すように、螺旋状に形成
されたボール転動溝10のリード角をωとした場合、負
荷領域におけるボール2の速度はピックアップ領域48
におけるそれよりも、1/(cosω)だけ速いものと
なる。
【0029】このため、ボール戻し孔46やピックアッ
プ領域48においてボール2が間隔を開けることなく互
いに接した状態で転動していたとしても、ピックアップ
領域48から負荷領域へ進入する際に、前後するボール
2の間に自動的に僅かな間隔が形成されることになる。
このことは、スペーサ等の間隔保持部材をボール2の間
に配列することなく、負荷領域においてはボール同士の
接触を防止し得ることを意味している。従って、前述の
構成を有する本実施例のボールねじ装置によれば、ねじ
軸1の回転トルクの増加を回避すると共に、ボール2の
摩耗を可及的に防止することができるものである。
【0030】一方、上記開放溝47の連絡領域49はピ
ックアップ領域48の終点、すなわちボール2がねじ軸
1のランド部11に完全に乗り上げた位置から該ねじ軸
1の接線方向へ直線状に延びており、ねじ軸1のボール
転動溝10から離脱したボール2を一直線にボール戻し
孔46の入口に導くように形成されている。そのため、
連絡領域49内のボール2に対してはその進行方向を変
化させようとする力が作用せず、ボール2は連絡領域4
9を円滑に転動してピックアップ領域48からボール戻
し孔46へ、あるいはボール戻し孔46からピックアッ
プ領域48へ到達することができ、無限循環路の全体に
おけるボール2の循環を円滑化することができるもので
ある。
【0031】そして、以上のように構成された本実施例
のボールねじ装置では、上記開放溝が切り欠かれたナッ
ト本体の取付け面に対してエンドプレートを固定しさえ
すれば、ボールの無限循環路を備えたナット部材が完成
し、しかもねじ軸のボール転動溝からボールを離脱させ
るための掬い上げ部も構成されることになるので、極め
て簡易な構成でエンドキャップ式のボールねじ装置を実
現することができ、小型で且つ低コストのボールねじ装
置に最適である。
【0032】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のボー
ルねじ装置によれば、ナット部材に両端面に切り欠かれ
た開放溝を平板部材で覆うのみでボールの無限循環路を
構成することができるので、ボールを無限循環させるた
めの構造が簡易であると共に構成部品の点数も少なく、
製作する際の加工を極めて容易に行うことが可能であ
る。従って、エンドキャップ式のボールねじ装置の小型
化に最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用したボールねじ装置の実施例を
示す側面断面図である。
【図2】 実施例に係るナット部材の分解斜視図であ
る。
【図3】 実施例に係るナット本体の正面図である。
【図4】 ボールがねじ軸のボール転動溝から離脱する
様子を示した図である。
【図5】 ボールがねじ軸のボール転動溝から離脱する
際のボール、エンドプレート、ねじ軸及び開放溝の接触
状態を示す断面図である。
【図6】 ボールがねじ軸のボール転動溝から離脱する
際の位置関係を示す図である。
【図7】 ピックアップ領域から負荷領域へボールが進
行する様子を示す部分拡大図である。
【図8】 従来のエンドキャップ式ボールねじ装置の一
例を示す側面図(一部切欠き断面図)である。
【図9】 図8に示したボールねじ装置の正面図(一部
切欠き断面図)である。
【図10】 図8に示したボールねじ装置のエンドキャ
ップの構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1…ねじ軸、2…ボール、3…ナット部材、4…ナット
本体、5…エンドキャップ、10…ボール転動溝、20
…スペーサ、42…負荷転動溝、46…ボール戻し孔、
47…開放溝、48…ピックアップ領域、49…連絡領

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面に所定のリード長で螺旋状のボー
    ル転動溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸が貫通する
    貫通孔を有して略円筒状に形成されると共に、内周面に
    は上記ねじ軸のボール転動溝と相対向して螺旋状の負荷
    ボール通路を構成する螺旋状の負荷転動溝が形成され、
    多数のボールを介して上記ねじ軸に螺合するナット部材
    とから構成され、 上記ナット部材にはねじ軸と略平行なボール戻し孔が貫
    通形成されると共に、このボール戻し孔の端部と上記負
    荷転動溝の端部とを連結してボールの無限循環路を構成
    する一対の方向転換路が形成されたボールねじ装置にお
    いて、 上記方向転換路は、上記ねじ軸の軸方向に垂直なナット
    部材の端面に切り欠かれた開放溝と、上記ねじ軸が遊嵌
    するドーナッツ状に形成され、ナット部材の端面に固定
    されて上記開放溝を覆う平板部材とから構成されること
    を特徴とするボールねじ装置。
  2. 【請求項2】 ドーナッツ状に形成された平板部材の内
    周縁はねじ軸のボール転動溝から突出したボールの頂部
    よりも該ねじ軸のランド部に近接していることを特徴と
    する請求項1に記載のボールねじ装置。
  3. 【請求項3】 上記開放溝は、ねじ軸のボール転動溝内
    を転動してきたボールを該ねじ軸のランド部に乗り上げ
    させるためのピックアップ領域と、かかるランド部に乗
    り上げたボールを上記ボール戻し孔の入口まて導く連絡
    領域とから構成されることを特徴とする請求項1記載の
    ボールねじ装置。
  4. 【請求項4】 上記連絡領域は、ボールがねじ軸のラン
    ド部に乗り上げた位置から該ねじ軸の接線方向へ直線状
    に形成されていることを特徴とする請求項3記載のボー
    ルねじ装置。
  5. 【請求項5】 上記開放溝はボール進行方向に対して垂
    直な断面が略角溝状に形成されていることを特徴とする
    請求項1記載のボールねじ装置。
  6. 【請求項6】 上記平板部材には、上記開放溝内に差し
    込まれて、かかる開放溝とボール戻し孔との間における
    ボールの往来を円滑化する突片が立設されていることを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のボールね
    じ装置。
  7. 【請求項7】 上記ピックアップ領域を通過するボール
    は、ナット部材側の開放溝の内周壁、上記ねじ軸及び平
    板部材に接してその動きを拘束され、これらナット部材
    とねじ軸との相対的な回転に伴ってピックアップ領域内
    を転動することを特徴とする請求項3記載のボールねじ
    装置。
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