JP2006046443A - エンドキャップ式ボールねじ - Google Patents

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Abstract

【課題】エンドキャップにボールを掬い上げるためのタング部を設けることなく、ねじ軸のねじ溝からボールを離脱させるようにしたエンドキャップ式ボールねじを提供する。
【解決手段】ボールナット3の端面に刻設された連結溝32と、この連結溝32に対向して位置するようにエンドキャップ4の端面に刻設された湾曲溝41とからボール方向転換路7を構成する。このボール方向転換路7は、負荷ボール通路6の端部からねじ軸2のねじ溝2aのリード角θ方向へ転がり出たボール5を、湾曲溝41がねじ溝2aの表面に沿って外径部肩口2cまで迫り上げたのち外径部肩口2cを支点として迫り上げ、その後、外径部2bに乗り上げさせることなくねじ溝2aからボールを完全に離脱させるボール離脱領域と、離脱したボール5を収容してボール戻し通路31の端部へ案内するボール案内領域とからなる。
【選択図】図12

Description

本発明は、エンドキャップによってボールを循環させるようにした、いわゆる、「エンドキャップ式ボールねじ」に関し、特に、エンドキャップにボールを掬い上げるためのタング部を設けることなく、ねじ軸のねじ溝からボールを離脱させるようにしたボールねじに関する。
エンドキャップ式ボールねじは、一般に、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、内周面にねじ軸のねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が形成されるとともに、肉厚内に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有してねじ軸に遊嵌されるボールナットと、このボールナットの両端面にそれぞれ装着されるとともに、その端面との間にねじ軸のねじ溝及びボールナットのねじ溝(以下、「両ねじ溝」という。)間からなる負荷ボール通路の端部とボール戻し通路の端部とを連通させるボール方向転換路を形成する一対のエンドキャップと、負荷ボール通路、ボール戻し通路及びボール方向転換路内に循環可能に介挿された多数のボールとを具えている(例えば、非特許文献1参照)。
なお、両ねじ溝のリード角が同一であること、及び、ボール戻し通路の孔径をボールの直径よりも僅かに大きくしていることはいうまでもない。
伊澤實著,「ボールねじ応用技術」,初版1刷,株式会社工業調査会,1993年5月20日,p.19−20
そして、上記のボール方向転換路を、従来、以下のように構成している(例えば、特許文献1及び2参照)。
エンドキャップの内周面に、両ねじ溝と同一のリード角を有して螺旋状に延びるねじ山を突設するととともに、このねじ山のボールナット側先端にボールを掬い上げるためのタング部を形成している。また、エンドキャップのボールナット対向端面に、両ねじ溝と同一のリード角を有して内周面側に開口するボール案内溝と、このボール案内溝に連接するボール旋回溝とを一体的に刻設している。さらに、ボールナットの両端面に、それぞれ、その端面とボール戻し通路の端部とを連接するためのボール旋回溝を刻設している。
具体的には、ねじ軸のねじ溝内にエンドキャップのねじ山を遊嵌させた後、負荷ボール通路の端部からねじ軸のねじ溝のリード角方向へ転がり出てボール案内溝まで案内されたボールを、タング部に乗り上げさせるようにして掬い上げてねじ軸のねじ溝から離脱させる。そして、対向配置させたエンドキャップのボール旋回溝とボールナットのボール旋回溝とによって、離脱したボールを90°旋回させてボール戻し通路の端部へ案内するようにしている。
実公昭37−11721号公報 特許第2864021号公報
上述のようなボール離脱機構においては、ボールをねじ軸のねじ溝の接線方向へ掬い上げることが好適である。しかし、その場合には、タング部先端の肉厚を薄くせざるを得ず、高速で負荷ボール通路の端部から転がり出たボールがタング部に乗り上げる際の衝撃を考慮すると、タング部先端の強度及び耐久性が不足するという問題があった。特に、近時の高速送りに伴い、この問題が顕著になりつつある。
他方、強度及び耐久性を考慮してタング部先端の肉厚を厚くした場合、ねじ溝とタング部との間に段差が生じる。このため、ボールがタング部に乗り上げる際にタング部に大きな衝撃が加わってしまい、経時的な使用によってタング部が損傷するという問題がある。また、ボールがタング部に乗り上げる度に、衝突音が発生するという問題もある。
そこで、エンドキャップにタング部を設けることなく、ねじ軸のねじ溝からボールを離脱させるようにすることが考えられる。その手段の一が、特許文献3に提案されている。
特開2003−148584号公報
図13乃至図16は、同文献に記載のボールねじを示したものである。
このエンドキャップ式ボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝102が形成されたねじ軸101と、内周面にねじ溝102に対向する螺旋状のねじ溝105が形成されるとともに、肉厚内に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路106を有してねじ軸101に遊嵌されるボールナット104と、このボールナット104の両端面111,111にそれぞれ装着されるとともに、その端面111との間に両ねじ溝102,105間からなる負荷ボール通路112の端部とボール戻し通路106の端部とを連通させるボール方向転換路113を形成する一対のエンドキャップ114,114と、負荷ボール通路112、ボール戻し通路106及びボール方向転換路113,113内に循環可能に介挿された多数のボール100とを具えている。
以下、ボール方向転換路113の構成を具体的に説明する。
図14及び図15に示すように、ボールナット104の両端面111,111には、それぞれ、ねじ溝105とボール戻し通路106の端部とを連結する開口溝107が、ボール戻し通路106に関して左右対称に刻設されている(但し、他方の開口溝107を図示せず。)。この開口溝107のボール進行方向に垂直な断面は、ほぼ角溝状に形成されるとともに、ねじ軸101の軸方向に沿った溝深さは、ボール100の直径とほぼ同一又は僅かに大きい程度に均一に設定されている。
また、開口溝107は、負荷ボール通路112の端部から転がり出たボール100をねじ溝102から離脱させるためのボール離脱領域108と、離脱したボールをボール戻し通路106の端部へ案内するためのボール案内領域109とからなる。
この開口溝107を端面111に対向するエンドキャップ114の平坦面115で被覆することにより、ボール方向転換路113が構成される。
なお、エンドキャップ114の平坦面115には、開口溝107の終端、すなわち、ボール案内領域109の終点とボール戻し通路106の接続位置に対応して、開口溝107のボール戻し通路106側端部に嵌合する突出部116が突設されている。この突出部116に形成されたボール旋回曲面117と開口溝107のボール戻し通路106側端部に形成されたボール旋回曲面110とを対向配置することにより、ボール100が90°旋回される。
図15に示すように、前記のボール離脱領域108は、ねじ溝105に連続する位置を始点として、関係式:ψ=(ボール100の半径/ねじ溝102のリード長)×360°から求められる円周方向の角度ψの範囲に形成されている。
ボール100の進行方向から見たボール離脱領域108の横幅は、ねじ溝105から開口溝107内に進入したボール100が徐々にねじ溝102から離脱するように、ボール案内領域109へ近づくにつれ徐々に広がるように形成されている。
図16は、ボール100がねじ溝102から離脱する態様を示したものである。その各分図(I)〜(VII)は、図15中に細い実線で示したボール離脱領域108の各断面I〜VII に対応している。
同図からわかるように、ボール100は、ねじ軸101、開口溝107の側面及びエンドキャップ114の平坦面115と常に3点接触しており、これら3点で抱持されるようにしてねじ溝102から離脱する。
具体的に説明すると、ボール100は、ねじ溝102の表面に沿って迫り上げられた後(分図(II)〜(III))、ねじ溝102と外径部103との間、すなわち外径部肩口(符号を付さず。)を支点として迫り上げられる(分図(IV)〜(VI))。そして、ボール100は、ボール離脱領域108の終点付近でねじ溝102から完全に離脱して、外径部103に乗り上げた状態になる(分図(VII))。
他方、前記のボール案内領域109は、ボール離脱領域108の終点、すなわち、ボール100が外径部103に完全に乗り上げた位置とこの位置から接線方向にあるように設けられたボール戻し通路106とを結ぶ直線部(符号を付さず。)と、前記のボール旋回曲面110とからなる。
このボール案内領域109によって、ボール100は、ボール離脱領域108からボール戻し通路106へ、又はボール戻し通路106からボール離脱領域108へ案内される。
しかし、このようなボールねじにおいては、以下に示すような問題点があった。
(1)ボール離脱領域108及びボール案内領域109は上述のように形成されているので(例えば、ボール100が外径部103に完全に乗り上げるようにしている。)、開口溝107の全長、すなわち、ボール方向転換路113の全長が、従来の「エンドキャップにタング部を設けたときのボール方向転換路」より長くなる。このため、
I)ボールナット104のねじ溝105の巻数を、従来の「エンドキャップにタング部を設けたときのボールナット」(以下、「従来仕様品」という。)の巻数と略同一にしたい場合、ボールナット104の長さが従来仕様品より長くなる。その結果、ねじ軸101を回転する仕様の場合、ボールナット104の移動可能距離が短くなる。
II)ボールナット104の長さを従来仕様品と略同一にしたい場合、ねじ溝105の巻数が従来仕様品の巻数より少なくなる。このことは、負荷ボール通路112内に介挿できるボール100の個数が減少することを意味する。その結果、ボールねじの基本定格荷重、特に疲れ寿命に関与する動定格荷重の値が従来仕様品より低減する。
よって、ボールナット104を従来仕様品と互換できない場合がある。
(2)図17に示すように(図中の矢印(符号を付さず。)は、ねじ軸101の回転方向を示す。)、ねじ溝102(及びねじ溝105)のリード角をτとしたとき、高速で負荷ボール通路112(図示せず。)の端部からねじ溝102のリード角τ方向へ転がり出たボール100は、エンドキャップ114の平坦面115に衝突した後、平坦面115に沿って強制的にボール離脱領域108の延伸方向へ転動する。すなわち、ボール100の転動方向角度は、τから0°に急変する。このため、
I)ボール100の転動に対して大きな抵抗が作用して、ボール100の円滑な循環が阻害される。
II)エンドキャップの材質として、通常、POM(ポリアセタール)等のエンジニアリング・プラスチック(以下、「エンプラ」という。)が用いられる。このエンプラ製エンドキャップ114の平坦面115にボール100の衝撃力が繰り返し作用するから、経時的な使用によって平坦面115が破損する蓋然性がある。
III)ボール100が平坦面115に衝突する度に衝突音が発生する。特に、エンドキャップ114の材質を金属とした場合、衝突音が高くなる。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、エンドキャップにボールを掬い上げるためのタング部を設けることなく、ねじ軸のねじ溝からボールを離脱させるようにしたボールねじであって、ボールナットを従来仕様品(エンドキャップにタング部を設けたときのボールナット)と互換することができる他、ボールの循環をより円滑に行うことができ、かつ、ボールがエンドキャップに衝突する際の衝撃力及び衝突音を軽減することができるエンドキャップ式ボールねじを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明のエンドキャップ式ボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、内周面に前記ねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が形成されるとともに、肉厚内に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有して前記ねじ軸に遊嵌されるボールナットと、該ボールナットの両端面にそれぞれ装着されるとともに、該端面との間に前記両ねじ溝間からなる負荷ボール通路の端部と前記ボール戻し通路の端部とを連通させるボール方向転換路を形成する一対のエンドキャップと、前記負荷ボール通路、ボール戻し通路及びボール方向転換路内に循環可能に介挿された多数のボールとを具えたエンドキャップ式ボールねじにおいて、
前記ボール方向転換路が、前記ボールナットのねじ溝の切り通し端部と該ねじ溝に対応する前記ボール戻し通路の端部とを連結するように前記ボールナットの端面に刻設された連結溝と、該連結溝に対向して位置するように前記エンドキャップの端面に刻設された湾曲溝とから構成されとともに、
該ボール方向転換路が、前記負荷ボール通路の端部から前記ねじ軸のねじ溝のリード角方向へ転がり出た前記ボールを、前記湾曲溝が前記ねじ軸のねじ溝の表面に沿って外径部肩口まで迫り上げたのち該外径部肩口を支点として迫り上げ、その後、前記ねじ軸の外径部に乗り上げさせることなく前記ねじ溝から前記ボールを完全に離脱させるボール離脱領域と、離脱した前記ボールを収容して前記ボール戻し通路の端部へ案内するボール案内領域とからなることを特徴とする。
そして、前記ねじ軸のねじ溝のリード角をθとしたとき、前記ボール離脱領域における前記ボール転動方向角度を前記θから0°に緩やかに変化させることが好ましい。
また、前記連結溝及び湾曲溝を、前記ボール戻し通路の孔径と同一刃径のボールエンドミルを用いて創成することが好ましい。
また、前記エンドキャップの内径を、前記ボールのピッチ円径より小さく、かつ、前記ねじ軸の外径より大きくすることが好ましい。
さらに、前記両ねじ溝をゴシックアーク形状とすることがより好ましい。
本発明によれば、以下に記載されるような効果を奏する。
(1)ボールナットを従来仕様品(エンドキャップにタング部を設けたときのボールナット)と互換することができる。
(2)ボールの循環をより円滑に行うことができる。
(3)ボールがエンドキャップに衝突する際の衝撃力及び衝突音を軽減することができる。
以下、図面を参照して、本発明のエンドキャップ式ボールねじの実施の形態を説明する。
なお、図1、図3、図5及び図6は無限循環するボール列が2組のボールねじ、すなわち、二条のボールねじを示しているが、各ボール列の循環構造は同一であるので、一条のボールねじとして説明する。
図1に示すように、このボールねじ1は、外周面に螺旋状のねじ溝2aが形成されたねじ軸2と、内周面にねじ溝2aに対向する螺旋状のねじ溝3aが形成されるとともに、肉厚内に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路31を有してねじ軸2に遊嵌されるボールナット3と、このボールナット3の両端面にそれぞれ装着されるとともに、その端面との間に両ねじ溝2a,3a間からなる負荷ボール通路6の端部とボール戻し通路31の端部とを連通させるボール方向転換路7を形成する一対のエンドキャップ4,4と、負荷ボール通路6、ボール戻し通路31及びボール方向転換路7,7内に循環可能に介挿された多数のボール5とを具えている。
なお、符号2b,2c及び35は、それぞれ、ねじ軸2の外径部、外径部肩口(ねじ溝2aと外径部2bとの間)、及び、ボールナット3をナットハウジング(図示せず。)に取り付けるためのねじ挿通孔を示す。また、符号doは、ねじ軸2の外径を示す。
図2(ねじ溝直角方向断面図である。)を参照して、負荷ボール通路6内におけるボール5と両ねじ溝2a,3aとの関係を説明する。なお、図中、ボール5とねじ溝3aとの関係を示していないが、下記のボール5とねじ溝2aとの関係と同様である。
同図より明らかなように、ねじ溝2aの断面は、2つの円弧を合わせた、いわゆる、「ゴシックアーク」と称呼される形状を有している。具体的には、ボール5の直径及びねじ溝適合度をそれぞれDw及びf(通常、f=0.52〜0.55)とすると、ねじ溝2aの断面は、曲率中心をOsとする曲率半径f・Dwの 円弧を左右対称に配置した形状に構成されている。そして、ボールねじ1の軸方向すきまを0、すなわちボール5と両ねじ溝2a,3a間のすきまを0としたとき(但し、無予圧とする。)、ボール5がねじ溝2aと接触角αで点接触するようにしている。
なお、符号Dpwは、ボール5のピッチ円径を示す。ここで、ピッチ円径とは、JIS B1192−1997(ボールねじ)の「用語の定義」に準じて、両ねじ溝2a,3aと接触角αで点接触しているボール5の中心OBを包含する仮想円筒の直径をいう。
また、両ねじ溝2a,3aの中心軸(以下、「ねじ溝中心軸」という。)Vと外径部肩口2c(及びボールナット3の内径部肩口3c)との距離Sは、幾何学的関係(具体的に図示せず。)により次式(1)のようになる。なお、負荷ボール通路6内では、ボール5の中心OBはねじ溝中心軸V上に位置する。
Figure 2006046443
次に、図3及び図4を参照して、ボールナット3のエンドキャップ対向端面について説明する。なお、図4は、図3のIV−IV線矢視切断面の展開図である。
ボールナット3の両端面には、それぞれ、ねじ溝3aの切り通し端部とこのねじ溝3aに対応するボール戻し通路31との端部とを連結する連結溝32が、ボール戻し通路31に関して左右対称に刻設されている。
この連結溝32は、ボール戻し通路31の孔径と同一の刃径Dt(Dt>Dw)のボールエンドミル(以下、「BEM」という。)を用いて形成される。具体的には、連結溝32をNC(数値制御)加工するためのUN−ZN座標平面が設定されたのち、後述するBEMの中心軌跡T上の各点T8,T7,・・・,T2,T1の順に連結溝32が創成される。
なお、
(1)UN−ZN座標平面は、後記の図7のU−Z座標平面と正負の方向を逆にしている。また、UN座標と後記の図8のX座標との関係は、UN≒−X とみなしている。
(2)図3中の符号33及び34は、それぞれ、後述するエンドキャップ4の突出部42が嵌合される嵌合凹部、及び、エンドキャップ4をボールナット3の端面に装着するためのねじ孔を示す。また、図4中の符号θは、ねじ溝3a(及びねじ溝2a)のリード角を示す。
図5乃至図7を参照して、エンドキャップ4について説明する。なお、図7は、上記の図4と同様に、図5のVII−VII線矢視切断面の展開図である。
エンドキャップ4のボールナット対向端面には、上述の連結溝32に対向して位置するように、突出部42が突設されるとともに湾曲溝41が突出部42に跨って刻設されている。
この湾曲溝41は、連結溝32と同様に、刃径DtのBEMを用いて形成される。具体的には、湾曲溝41をNC加工するためのU−Z座標平面が設定されたのち、BEMの中心軌跡T上の各点T1,T2,・・・,T7,T8の順に湾曲溝41が創成される。
また、エンドキャップ4の内径deは、ボール5のピッチ円径Dpwより小さく、かつ、ねじ軸2の外径doより大きくなるように設定されている(do<de<Dpw)。
なお、
(1)U−Z座標の原点を、BEMの加工の始点であるT1点としている。また、U座標と後記の図8のX座標との関係は、前記のUN座標と同様に、U≒Xとみなしている。
(2)図5及び図6中の符号43は、ボールナット3のねじ孔34に対応するねじ挿通孔を示す。
(3)エンドキャップ4の材質として、前述したPOM等のエンプラを用いることが好ましい。
そして、前述の連結溝32と湾曲溝41とを対向配置することにより、両ねじ溝2a,3a間からなる負荷ボール通路6の端部とボール戻し通路31の端部とを連通させるボール方向転換路7が構成される(後記の図9参照)。
また、このボール方向転換路7は、負荷ボール通路6の端部からねじ溝2aのリード角θ方向へ転がり出たボール5を、湾曲溝41がねじ溝2aの表面に沿って外径部肩口2cまで迫り上げたのち外径部肩口2cを支点として迫り上げ、その後、外径部2bに乗り上げさせることなくねじ溝2aからボール5を完全に離脱させるボール離脱領域と、離脱したボール5を収容してボール戻し通路31の端部へ案内するボール案内領域とからなる。
次に、図8乃至図12を参照して、前述の連結溝32及び湾曲溝41の創成態様、すなわち、BEMの中心軌跡Tの態様、並びに、ボール方向転換路7を構成するボール離脱領域及びボール案内領域について説明する。
なお、BEMの中心軌跡Tの態様は、負荷ボール通路6の端部からねじ溝2aのリード角θ方向へ転がり出たボール5が、湾曲溝41に接しながらボール戻し通路31の端部まで移動することを前提として与えられる。
図8乃至図12について説明する。
(1)図8は、図5の部分拡大詳細図である(但し、図面手前にボールナット3の端面が対向するとともにねじ軸2が遊嵌しているものとする。)。図9は、図7の拡大詳細図、すなわち、図8のIX−IX線矢視切断面の展開図である(但し、座標軸U及びZを図示せず。)。図10は、図9の部分拡大詳細図である(但し、連結溝32を図示せず。)。図11は、湾曲溝41(図示せず。)がねじ溝2aからボール5を迫り上げる際のボール5の中心軌跡の態様(後記のT(X,Y)上のB1点〜B4点の範囲)を示す説明図である。図12は、ボール離脱領域の態様とボール案内領域の一部の態様を示す説明図である。
(2)図8乃至図10に示すように、BEMの中心軌跡Tによって創成される湾曲溝41に接するボール5の中心の軌跡をBと表記する(但し、図10に示すように、後記のB1点を中心とするボール5は、T1点に位置するBEMによって創成される仮想の溝に接する。)。また、中心軌跡T上の各点T1,T2,・・・,T7,T8に対応する中心軌跡B上の各点を、それぞれ、B1,B2,・・・,B7,B8と表記する。なお、BEMの中心軌跡Tとボール5の中心軌跡Bは、図8のX−Y座標平面では一致する。このため、同図では、T1(B1),T2(B2),・・・,T7(B7),T8(B8)とすべきところを、B1,B2,・・・,B7,B8と表記する。
(3)図9及び図10(U(≒X)−Z座標平面)に示すように、中心軌跡B上の任意の点とねじ軸2の外径部肩口2cとの距離をWと表記する(但し、B1点〜B6点の範囲)。例えば、図10、図11及び図12の分図(3)に示すように、B3点と外径部肩口2cとの距離をWB3と表記する。また、図8(X−Y座標平面)に示すように、ねじ軸2の外径部2bから中心軌跡T(B)上の任意の点(後述のBEM移動角度ξにおける点)までの高さをHと表記する。例えば、図8、図11及び図12の分図(3)に示すように、外径部2bからB3点までの高さをHB3と表記する。なお、B2点〜B4点の範囲では、距離Wと高さHとの間に後述するような関数関係がある。
図9(U(≒X)−Z座標平面)に示す中心軌跡T(以下、便宜上「T(U,Z)」という。)の態様について説明する。なお、U−Z座標の原点は、前述したように、BEMの加工の始点であるT1点である(図7参照)。
このT(U,Z)は、ねじ溝中心軸V(前記の図2参照)に平行、すなわち、リード角θと同一角度で傾斜する直線部(T1点〜T2点の範囲)と、この直線部の終点であるT2点及びエンドキャップ4の端面(リード角0°)上に位置するT6点をそれぞれ接点とする半径R1の単一円弧部(T2点〜T6点の範囲)と、エンドキャップ4の端面上に位置する直線部(T6点〜T7点の範囲)と、この直線部の終点であるT7点及びボール戻し通路31の中心軸C上に位置するT8点をそれぞれ接点とする半径R2の単一円弧部(T7点〜T8点の範囲)とから構成されている。
なお、
(1)上述のリード角θと同一角度で傾斜する直線部(T1点〜T2点の範囲)及び半径R1の単一円弧部(T2点〜T6点の範囲)が創成する湾曲溝41によって、前述のボール離脱領域におけるボール5の転動方向角度がθから0°に緩やかに変化するともに、湾曲溝41と外径部肩口2cとの間隔、すなわち、前記の距離Wが狭まることによりボール5がねじ溝2aから離脱していく(図12の分図(1)〜(4)参照)。
(2)外径部肩口2cを示す細い二点鎖線が中心軌跡B上のB6点と交差するようにしている。すなわち、図12の分図(6)に示すように、外径部肩口2cの鉛直上にB6点が位置するようにしている。
図8(X−Y座標平面)に示す中心軌跡T(B)(以下、便宜上「T(X,Y)」という。)の態様について説明する。
このT(X,Y)は前述のT(U,Z)に対応しており、前記のピッチ円径Dpwを直径とする円弧部(B1点〜B2点の範囲)と、前記の高さH(前記の距離Wの関数)によって与えられる曲線部(B2点〜B4点の範囲)と、直線部(B4点〜B8点の範囲)とから構成されている。
なお、ボール5は、負荷ボール通路6の端部から転がり出た当初、ねじ溝2aのリード角θ方向へ進行するとともに、その中心がピッチ円径Dpw上を移動する。すなわち、図9及び図10に示すように、中心軌跡B上のB1点〜B2点の範囲は、ねじ溝中心軸V上に位置する。そうすると、B1点〜B2点の範囲を直線部とするためのT(U,Z)上のT1点〜T2点の範囲は、幾何学的関係により、ねじ溝中心軸Vに平行な直線になる。このため、上述したように、T(U,Z)上のT1点〜T2点をリード角θと同一角度で傾斜する直線部とするとともに、T(X,Y)上のB1点〜B2点をピッチ円径Dpwの円弧部としている。
そして、前述のボール離脱領域は、T(X,Y)上のB1点〜B5点の範囲(対応するT(U,Z)上のT1点〜T5点の範囲)を移動するBEMによって創成される。具体的には、図11及び図12の分図(1)〜(4)に示すように、ねじ溝2aの表面に沿ってボール5を外径部肩口2cまで迫り上げるためのB1点〜B3点の範囲(T(U,Z)上のT1点〜T3点の範囲)、及び、外径部肩口2cを支点としてボール5を迫り上げるためのB3点〜B4点の範囲(T(U,Z)上のT3点〜T4点の範囲)、並びに、図12の分図(5)に示すように、外径部2bに乗り上げさせることなくねじ溝2aからボール5を完全に離脱させるためのB4点〜B5点の範囲(T(U,Z)上のT4点〜T5点の範囲)を移動するBEMによって、ボール離脱領域が創成される。また、ボール案内領域は、T(X,Y)上のB5点〜B8点の範囲(T(U,Z)上のT5点〜T8点の範囲)を移動するBEMによって創成される。
なお、ボール離脱領域を創成するためのBEMの中心軌跡を、T(X,Y)上のB1点〜B5点の範囲(T(U,Z)上のT1点〜T5点の範囲)とした理由は後述する。
以下、前記のT(U,Z)及びこれに対応するT(X,Y)について具体的に説明する。
最初に、BEMの加工の始点であるT(U,Z)上のT1点(T(X,Y)上のB1点)と、ねじ溝3aの切り通し終端との位置関係について説明する。なお、前記の図2に示したように、ねじ溝3aの下方にねじ溝2aが対向していることはいうまでもない。
図9及び図10に示すように、ねじ溝3a(及び2a)のねじ溝中心軸Vがボールナット3の端面(エンドキャップ4の端面でもある。)と交差する点、すなわち、ねじ溝3aの切り通し終端点をFとしたとき、T1点とF点との距離Lは、幾何学的関係(具体的に図示せず。)により次式(2)のようになる。なお、図8において、F点に対応する点をF対応点(図示せず。)とする。
そうすると、図8のX−Y座標において、原点OX−YとB1点及びF対応点をそれぞれ結ぶ直線がなす角度をηとしたとき(図示せず。)、距離Lと角度ηとの間には、次式(3)の関係が成立する。すなわち、図8のY軸は、F対応点からの角度ηの位置に設定されている。そして、このY軸とピッチ円径Dpwの円との交差点をB1点としている。なお、式(3)中、πは円周率を示す。
Figure 2006046443
また、図9において、T(U,Z)上のT1点(BEM加工の始点)とT6点との距離M、及び、半径R1は、幾何学的関係(図示せず。)により、それぞれ、次式(4)及び(5)のようになる。なお、式(4)及び(5)中、Sは前記の式(1)から与えられる。
Figure 2006046443
次に、図8に示すように、BEMの加工の始点であるT(X,Y)上のB1点からのBEM移動角度をξとする。また、図9に示すように、T(U,Z)上のT1点とBEM移動角度ξに対応する点(以下、「ξ対応点」という。)との距離をPとする(但し、T(U,Z)上のξ対応点に符号を付さず。)。さらに、T(U,Z)上のT1点と、ξ対応点に位置するBEMが創成する湾曲溝41に接するボール5の中心軌跡B上の点(符号を付さず。)との距離をQとする。なお、T(U,Z)上のT1点〜T6点の範囲は、前述したように、直線部であるT1点〜T2点と、半径R1の単一円弧部であるT2点〜T6点とからなる。
そうすると、距離Pは次式(6)のようになる。また、距離Qは、幾何学関係(図示せず。)により、適用範囲をT1点〜T2点とする次式(7−1)、及び、適用範囲をT2点〜T6点とする次式(7−2)のように場合分けされる。
なお、便宜上、式(7−1)及び(7−2)が成立するときのQを、それぞれ、Qi及びQjと表記する。また、式(7−2)中、M及びR1は、それぞれ、前記の式(4)及び(5)から与えられる。
Figure 2006046443
図9及び図10において、前記の距離Wは、幾何学的関係(但し、B2点〜B6点に関しては図示せず。)により、上記の距離Qと同様に、適用範囲をB1点〜B2点とする次式(8−1)、及び、適用範囲をB2点〜B6点とする次式(8−2)のように場合分けされる。但し、B3点では、図11に示す幾何学的関係(具体的に図示せず。)により、次式(8−3)のようになる。
なお、便宜上、式(8−1)、(8−2)及び(8−3)が成立するときのWを、それぞれ、Wi,Wj及びWB3と表記する。また、式(8−2)中、M,R1及びQjは、それぞれ、前記の式(4)、(5)及び(7−2)から与えられる。
Figure 2006046443
また、図8における前記の高さHは、図11に示す幾何学的関係(具体的に図示せず。)により、適用範囲をピッチ円径Dpw上のB1点〜B2点とする次式(9−1)、適用範囲をB2点〜B3点とする次式(9−2)、及び、適用範囲をB3点〜B4点(この範囲に限定した理由は後述する。)とする次式(9−3)のように場合分けされる。
なお、便宜上、式(9−1)、(9−2)及び(9−3)が成立するときのHを、それぞれ、Hi(=HB1=HB2),Hj1及びHj2と表記する。また、式(9−2)及び(9−3)中、Wjは上記の式(8−2)から与えられる。但し、変曲点であるB3点のときの高さHB3は、WjをWB3(上記の式(8−3)参照)として与えられる。
Figure 2006046443
ここで、ボール離脱領域を創成するためのBEMの中心軌跡をT(X,Y)上のB1点〜B5点の範囲(T(U,Z)上のT1点〜T5点の範囲)とした理由、すなわち、ボール案内領域を創成するためのBEMの中心軌跡をT(X,Y)の直線部(T(X,Y)上のB5点〜B8点の範囲)とした理由を説明する。
前述したように、図8の中心軌跡T(B)、すなわち、T(X,Y)上のB1点〜B4点の範囲(ボール5をねじ溝2aから迫り上げるための範囲)は、上記の高さHによって与えられる。具体的に説明すると、ねじ軸2の外径部2b上から上記の式(9−1)、(9−2)及び(9−3)によってそれぞれ与えられる高さHi,Hj1及びHj2をプロットして(このとき、Hj2の最大値であるDw/2までプロットする。)、高さHのプロット曲線を作成する。そして、予め位置が設定されているB8点(ボール戻し通路31の中心軸C上に位置する。)からプロット曲線に接線を引き、その接点をB4点としている。
なお、このようにした理由は、ボール5が外径部2bに完全に乗り上げた位置、すなわち、高さHj2が最大値Dw/2になる位置をボール離脱領域の終点(ボール案内領域の始点でもある。)とした場合、それだけボール方向転換路7の全長が長くなるとともに、ボール5に無駄な動作をさせることになるからである。また、このボール5の無駄な動作が、ボール方向転換路7内でボール5同士がかみ合ってボール詰まりの要因になると考えられるからである。
そして、上記の接線、すなわち、直線部(但し、B4点〜B6点の範囲)上の任意の点における高さHの値、及び、図9から対応する距離Wの値を求めて図11又は図12のように作図し、ボール5がねじ溝2aから完全に離脱する最初の位置をB5点としている(その分図(5)参照)。
なお、図8をCAD図面にすれば、B4点〜B8点までの任意の点における高さHの具体的な値を求めることができる。また、図9も同様にCAD図面にすれば、B4点〜B6点までの任意の点における距離Wの具体的な値を求めることができる(前記の式(8−2)から求めることもできる。)。
次に、図9に示す中心軌跡T、すなわち、T(U,Z)上のT6点〜T8点の態様について説明する。
このT(U,Z)上のT6点〜T8点の態様は、前述したように、エンドキャップ4の端面上に位置する直線部(T6点〜T7点の範囲)と、この直線部の終点であるT7点及びボール戻し通路31の中心軸C上に位置するT8点をそれぞれ接点とする半径R2の単一円弧部(T7点〜T8点の範囲)とから構成されている。
この半径R2は、エンドキャップにボールを掬い上げるためのタング部を設けた従来のボールねじにおいて、実験及び経験則から得られている値を転用したものであって、本発明においては、
R2=κ・Dt (κは、2>κ>1の常数) ・・・・・・ (10)
としている。
なお、ボール5が、T(U,Z)上のT6点〜T8点の態様によって創成される湾曲溝41に摺接しながら90°旋回することはいうまでもない。
そして、以上の設計思想に基づくとともに図8及び図9における幾何学的関係(具体的に図示せず。)により、次の表1に記載されるような計算式が導かれる。これらの計算式から、BEMの3次元の中心軌跡T(X,Y,Z)の各座標、すなわち、X座標(但し、前述したように、T(U,Z)のU座標を、U≒Xとみなしている。)、Y座標及びZ座標の具体的な値を算出してNC加工機に入力することにより、連結溝32及び湾曲溝41がそれぞれ創成される。
なお、表1において、
I)X−Y−Z座標の原点を、前述したように、図8中のOX−Y、並びに、対応する図7、図9及び図10中のT1点としている。
II)M,R1,P,Hj1,Hj2及びR2は、それぞれ、前記の式(4)、(5)、(6)、(9−2)、(9−3)及び(10)から与えられる。
III)X|B4及びY|B4という表記は、それぞれ、B4点におけるX座標及びY座標を示している(X|B7及びY|B7という表記も同様である。)。
IV)Gという表記は、図8におけるT(X,Y)の直線部(B4点〜B8点の範囲)上の任意の点に位置するBEM中心とB4点との直線部における距離を示している。また、βという表記は、T(X,Y)の直線部(B4点〜B8点の範囲)の座標軸Xに対する角度を示している。
Figure 2006046443
次に、図12の各分図について説明する。
これらの各分図は、前述したように、負荷ボール通路6の端部からねじ軸2のねじ溝2aのリード角θ方向へ転がり出たボール5を、BEMの中心軌跡T(X,Y,Z)によって創成された湾曲溝41がねじ溝2aの表面に沿って外径部肩口2cまで迫り上げたのち外径部肩口2cを支点として迫り上げ、その後、外径部2bに乗り上げさせることなくねじ溝2aからボール5を完全に離脱させていく態様、すなわち前述のボール離脱領域の態様(分図(1)〜(5))と、離脱したボール5がボール案内領域に収容されていく態様(分図(5)〜(7))を示している。
具体的に説明すると、分図(1)は、ボール5の中心がB1点の時、ボール5がねじ溝2a内に位置している態様を示している(この段階では、エンドキャップ4の端面に未だ湾曲溝41が創成されていない。)。分図(2)は、ボール5の中心がB2点の時、ボール5がねじ溝2a内に位置している態様を示すとともに、ボール5と接し始めた湾曲溝41がねじ溝2aの表面に沿ってボール5を迫り上げ始める態様を示している(図11参照)。分図(3)は、ボール5の中心がB3点の時、湾曲溝41が、ねじ溝2aの表面に沿ってボール5を外径部肩口2cまで迫り上げ終えた態様を示すとともに、外径部肩口2cを支点としてボール5を迫り上げ始める態様を示している。分図(4)は、ボール5の中心がB4点の時、湾曲溝41が外径部肩口2cを支点としてボール5を迫り上げ終えた態様を示すとともに、ねじ溝2aからボール5を完全に離脱させていく態様を示している。分図5は、ボール5の中心がB5点の時、ボール5がねじ溝2aから完全に離脱した態様を示すとともに、ボール案内領域に収容され始める態様を示している。
分図(6)は、ボールの中心がB6点の時、すなわち、B6点が外径部2bからの高さHB6に位置し、かつ、外径部肩口2cの鉛直上に在る時、ボール5がボール案内領域に収容され終えた態様、すなわち、湾曲溝41と連結溝32とによって抱持されている態様を示している。分図(7)は、ボール5の中心がB7点の時、すなわち、B7点が外径部2bからの高さHB7に位置し、かつ、外径部2bの鉛直上に在る時、ボール5がボール案内領域に完全に収容されている態様、すなわち、湾曲溝41と連結溝32とによって完全に抱持されている態様を示すとともに、ボール5が90°旋回し始める態様を示している。
以上の実施の形態ではボールエンドミルによってエンドキャップの湾曲溝を創成するようにしたが、エンドキャップの材質をPOM等のエンプラとした場合、金型によって射出成形することもできる。
従って、請求項3に係る発明の「湾曲溝を、ボール戻し通路の孔径と同一の刃径のボールエンドミルを用いて創成した」という文言は、金型によって射出成形された湾曲溝を含むものである。
本発明のエンドキャップ式ボールねじの軸方向断面図。 図1のボールねじの負荷ボール通路内におけるボールと両ねじ溝との関係を示す説明図。 図1のボールナットの正面図。 図3のIV−IV線矢視切断面の展開図。 図1のエンドキャップの正面図。 図5の左側面図。 図5のVII−VII線矢視切断面の展開図。 図5の部分拡大詳細図。 図7の拡大詳細図、すなわち、図8のIX−IX線矢視切断面の展開図。 図9の部分拡大詳細図。 湾曲溝がねじ軸のねじ溝からボールを迫り上げる際のボール中心軌跡の態様を示す説明図。 ボール離脱領域の態様とボール案内領域の一部の態様を示す説明図。 従来のエンドキャップ式ボールねじの軸方向断面図。 図13のボールねじの分解斜視図。 図13のボールナットの正面図。 図13のボールねじにおけるボールがねじ軸のねじ溝から離脱する態様を示す説明図。 図13のボールねじが有する問題点の説明図。
符号の説明
1 ボールねじ
2 ねじ軸
2a ねじ溝
2b 外径部
2c 外径部肩口
3 ボールナット
3a ねじ溝
4 エンドキャップ
5 ボール
6 負荷ボール通路
7 ボール方向転換路
31 ボール戻し通路
32 連結溝
41 湾曲溝
BEM ボールエンドミル
θ リード角
Dt ボールエンドミルの刃径
Dpw ピッチ円径
de エンドキャップの内径
do ねじ軸の外径

Claims (5)

  1. 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、内周面に前記ねじ溝に対向する螺旋状のねじ溝が形成されるとともに、肉厚内に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有して前記ねじ軸に遊嵌されるボールナットと、該ボールナットの両端面にそれぞれ装着されるとともに、該端面との間に前記両ねじ溝間からなる負荷ボール通路の端部と前記ボール戻し通路の端部とを連通させるボール方向転換路を形成する一対のエンドキャップと、前記負荷ボール通路、ボール戻し通路及びボール方向転換路内に循環可能に介挿された多数のボールとを具えたエンドキャップ式ボールねじにおいて、
    前記ボール方向転換路が、前記ボールナットのねじ溝の切り通し端部と該ねじ溝に対応する前記ボール戻し通路の端部とを連結するように前記ボールナットの端面に刻設された連結溝と、該連結溝に対向して位置するように前記エンドキャップの端面に刻設された湾曲溝とから構成されるとともに、
    該ボール方向転換路が、前記負荷ボール通路の端部から前記ねじ軸のねじ溝のリード角方向へ転がり出た前記ボールを、前記湾曲溝が前記ねじ軸のねじ溝の表面に沿って外径部肩口まで迫り上げたのち該外径部肩口を支点として迫り上げ、その後、前記ねじ軸の外径部に乗り上げさせることなく前記ねじ溝から前記ボールを完全に離脱させるボール離脱領域と、離脱した前記ボールを収容して前記ボール戻し通路の端部へ案内するボール案内領域とからなることを特徴とする、 エンドキャップ式ボールねじ。
  2. 前記ねじ軸のねじ溝のリード角をθとしたとき、前記ボール離脱領域における前記ボールの転動方向角度を前記θから0°に緩やかに変化させた、請求項1のエンドキャップ式ボールねじ。
  3. 前記連結溝及び湾曲溝を、前記ボール戻し通路の孔径と同一刃径のボールエンドミルを用いて創成した、請求項1又は2のエンドキャップ式ボールねじ。
  4. 前記エンドキャップの内径を、前記ボールのピッチ円径より小さく、かつ、前記ねじ軸の外径より大きくした、請求項1から3のいずれかのエンドキャップ式ボールねじ。
  5. 前記両ねじ溝をゴシックアーク形状とした、請求項1から4のいずれかのエンドキャップ式ボールねじ。
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