JP4747335B2 - 円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法 - Google Patents

円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は一体型の円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法に関する。
円筒ころ軸受用もみ抜き保持器には一体型と分割型とがある。分割型のもみ抜き保持器は、二体型リベットタイプもみ抜き保持器とでも呼ぶべきもので、図11および図12に示すように、本体12と側板14とをリベット16で結合して構成されている(特開2001−12477号公報の段落番号0002および図14参照)。本体12は、円板状の側板部18と、側板部18から軸方向に突出した複数の柱部20とからなる。各柱部20は本体12の軸方向に貫通するリベット孔24を有する。側板14は本体12の側板部18と同様の円板状で、本体18のリベット孔24と同一間隔でリベット孔26が設けてある。そして、本体18の柱部20の先端に側板14を当て、本体18のリベット孔24と側板14のリベット孔26とにリベット16を挿入して端部をかしめることにより、本体12と側板14とを結合してある。柱部20は円周方向に等間隔に配置され、隣り合う柱部20間にポケット22が区画される。ポケット22を区画する壁面のうち軸方向に向かい合った一対の面のうちの一方を側板部18が形成し、他方を側板14が形成する。また、ポケット22を区画する壁面のうち周方向に向かい合った一対の面は柱20の側面によって形成される。
一体型もみ抜き保持器は、図13および図14に示すように、リング状素材に角穴を削成することにより、一対の側板32,34と複数の柱36とを形成し、隣り合った柱36間にポケット38が区画される(特開平11−218135号公報の図1、図2参照)。各ポケット38の四隅には盗み40が形成してある。図14から分かるように柱36の側面は断面が円弧形状である。なお、特開平11−218135号公報に示されているように、円筒ころを案内する面が円弧形状であっても盗みを形成しないものもある。これらの場合の加工方法は、前者の場合トリル加工+エンドミル加工が基本であり、後者の場合は特開2001−191214号公報に示される加工方法によるものである。また、一体型保持器には実開平5−12753号公報に示されているポケットの側面が互いに平行に形成されたものもある。この場合の加工方法は、ポケット四隅に盗みが形成されていないことを考えるとブローチ加工によるものと考えられる。
特開平11−218135号公報(図1、図2、図4) 特開2001−12477号公報(段落番号0002、0031、図6、図8、図14) 実開平5−12753号公報(段落番号0010)
分割型もみ抜き保持器の場合、保持器の軸線方向にドリルを移動させるドリル加工によってポケット22が形成される。したがって、ポケット22を区画する壁面のうち、円周方向で向かい合う一対の面を形成する柱20の側面は横断面(保持器の軸線に垂直な断面)が円弧状である(図12)。この柱20の側面と、ポケット22を区画する壁面のうち軸方向で向かい合う一対の面を形成する側板部18の内側面とのつなぎ部の曲率半径ρ(図11(B))は、使用される円筒ころと干渉しないように、円筒ころの面取りの曲率半径よりも必然的に小さくする必要がある。たとえばNU320の円筒ころ軸受に使用される円筒ころφ28×28の面取りの曲率半径は、JIS規格によればmin0.7mmであるため、柱20の側面と側板14の内側面とのつなぎ部の曲率半径ρは0.7mm未満にしなければならない。なお、NUタイプは内径側からころを挿入するタイプで、Nタイプは外径側から挿入するタイプである。
この場合、保持器の柱20の強度については、柱20の側面と側板14の内側面とのつなぎ部に発生する応力集中の指標としての応力集中係数(α)が一般的に採用される。周知のとおり、αは次式で求めることができる。
Figure 0004747335
上記NU320の転動体案内保持器は、ころ数を14と仮定すると、2B=35.05、2b=7.05となり、つなぎ部を最大の形状とした場合、R0.7mmを採用すると、α=2.20となる。(ころPCD上での計算値である。)
また、一体型もみ抜き保持器では、ポケット38の四隅に外径側からドリル加工を行なって盗み40を形成している。この盗み40は、ドリル加工によるものであることから、保持器中心に向かうポケット中心線に平行なストレート孔の形態をとる。盗み40は、円弧状の柱36の側面を越えて柱36側に切り込む必要がある。この場合、柱36の強度は幅が最も狭い部分すなわち、盗み40の底を通る断面(図14)で決定されるため、上述の分割型もみ抜き保持器における柱の幅寸法と比較して断面積が小さく、強度的に劣る。
このように、従来の一体型もみ抜き保持器(盗みがストレート孔の形態をとるもの)では、柱36の根元断面積が小さいため柱強度が低下する。従来の一体型保持器(柱側面が円弧形状で、かつ、盗みを形成しない特開2001−191214号公報に示される加工方法によるもの)では、柱36の側面の断面形状がストレート(実開平5−12753号方向に示されるもの)の場合に比べて柱36の断面積が大きいため柱強度は向上するが、柱36の側面の加工時間が長時間に及ぶ。しかも、ポケット38を区画する壁面のうち軸方向で向かい合う面(ポケットサイド面)の加工において、エンドミルによる盗み部40の仕上げ面とそれ以外の成形バイトによるスロッティング面とのつなぎ部は必ずしも一致せず、大なり小なり段差が生じる。ポケットサイド面はころの端面とすべり接触するため、この面に段差があると、ころ端面から潤滑油を掻き取り、潤滑不良による軸受寿命低下の原因となる。
この発明の主要な目的は、軸受寿命を低下させることなく円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の強度を向上させることにある。
この発明は、一対の側板42,44と、円周方向に配列され前記一対の側板42,44を連結する複数の柱46とからなり、隣り合う柱46間にポケット48を形成し、前記ポケット48の四隅に盗み部50を設けた、一体型もみ抜き保持器であって、保持器の軸線に垂直な断面において、前記柱46の側面が円弧状で、前記盗み部50が前記柱46の側面と平行で、保持器の軸線を含む断面における前記盗み部50が直線状であり、かつ、前記盗み部50の形状が、前記柱46の側面と鈍角θ1をなす斜面を介して接続した第一ストレート部52と、側板42,44の内壁面と鈍角θ2をなす斜面を介して接続した第二ストレート部54と、前記第一ストレート部52および前記第二ストレート部54と接し、前記第一ストレート部と前記第二ストレート部をつなぎ、円筒ころの面取り部と干渉しない曲率半径Rの円弧部56とからなる円筒ころ軸受用もみ抜き保持器を製造する方法であって、前記ポケット48を削成した後、各隅の盗み部50と同一の輪郭で、前記柱46の側面と鈍角θ 1 をなす斜面を介して接続した第一ストレート部52と、側板42,44の内壁面と鈍角θ 2 をなす斜面を介して接続した第二ストレート部54と、前記第一ストレート部および前記第二ストレート部と接し、前記第一ストレート部52と前記第二ストレート部54をつなぎ、円筒ころの面取り部と干渉しない曲率半径Rの円弧部とからなる輪郭の刃先をもった成形バイトを、前記保持器の厚さ方向の任意の位置においてスクイ角θが一定となるように、X軸方向およびY軸方向に移動させ、かつ、前記バイトの送りと同期させて前記保持器をその中心周りに回転させることを特徴とするものである。
柱46の強度を確保するためには、柱46の根元の断面積アップおよび応力集中の緩和が重要となる。保持器の軸線に垂直な断面(図1(B)、図14)において、盗み部50を柱46の側面と平行にすることにより(図1(B))、従来(図14)のように盗み40をポケット中心線と平行に形成するのに比べて、柱46の根元の断面積がアップする。すなわち、従来(図14)の盗み40は柱の厚さ方向で断面積が一定でなく、柱の内周面および外周面で最も大きくなっている。これに対して、本発明による保持器の場合、盗み部50は柱46の側面と平行であるため、柱の厚さ方向のどの断面においても同じ大きさである。したがって、柱の根元の断面積を減少させる度合いが最小限に抑えられる。
より詳しくは、上記円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法はたとえば次の工程からなる(請求項2)。
イ)リング状の素材を旋削して保持器ブランクを削成する。
ロ)前記ブランクのポケット位置に角穴を削成する。
ハ)前記角穴の四隅を小径エンドミルで突っつく。
ニ)前記角穴の壁面のうち軸方向に向かい合った面をエンドミルで仕上げる。
ホ)前記角穴の壁面のうち周方向に向かい合った面を成形エンドミルで仕上げる。
ヘ)所定の角度を持たせた前記成形バイトにより四隅の盗み部をスロッティングする。
度θ1,θ2は共に135°以上とする。盗み部50と柱の側面および側板の内壁面(サイド面)とを斜面を介して接続することにより、当該接続部に極端な段差ができて油膜を掻き取るなどの不具合を回避することができる。また、サイド面と盗み部とのつなぎにおいても、成形バイトにある角度を持たすことにより、確実に盗み形状をサイド面より外側に形成することが可能となり、外観品質においても優れたポケット48となる。
この発明によれば、軸受寿命を低下させることなく保持器強度を向上させた円筒ころ軸受用保持器を製造することができる。すなわち、図13および図14に示した従来の一体型もみ抜き保持器におけるポケットの四隅の盗み部を断面円弧状の柱の側面と平行な形状とすることにより、柱根元における断面積を極端に減少させることなく、応力集中を緩和することが可能になる。
以下、図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
図1および図2に示すように、円筒ころ軸受用一体型もみ抜き保持器は、一対の側板42,44と、円周方向に配列され前記一対の側板42,44を連結する複数の柱46とからなり、隣り合う柱46間にポケット48が形成してある。角ポケット48の四隅に盗み部50が設けてある。柱46の側面は、保持器の軸線に垂直な断面(図1(B))において円弧状で、盗み部50は柱46の側面と平行に延在している。
一般に、単に平行というときは、直線と直線、平面と平面、あるいは、直線と平面の関係を指すが、平行曲線(parallel curves)という数学用語があるように、曲線についても平行という用語が用いられることがある。平行曲線とは、どの点でも共通の法線をもっている2本の曲線をいうものと定義される。同心円(の一部)はこの平行曲線に属する。本明細書および特許請求の範囲における用語「平行」もこの意味で用いられている。すなわち、円弧状の柱側面に対して平行というのであるから、盗み部も円弧状である。言い換えるならば、保持器の軸線に垂直な断面において、柱46の側面と盗み部50は中心が共通で曲率半径が異なる円弧形状で、それぞれが同心円の一部を構成するような関係にある。
図3に盗み部50の詳細を示す。同図は図2の中央に現れているポケット48の左上隅の盗み部50を拡大したものである。なお、二点鎖線は円筒ころ60を表している。図示するように、盗み部50の輪郭は、柱46の側面と鈍角θ1をなす斜面で接続した第一ストレート部52と、側板42の内壁面(サイド面)と鈍角θ2をなす斜面で接続した第二ストレート部54と、第一および第二ストレート部52,54をつなぐ円弧部56とで構成されている。第一ストレート部52は、柱46の側面から円周方向にa1だけ反ポケット側にオフセットしている。第二ストレート部54は、側板42の内壁面から軸方向にa2だけ反ポケット側にオフセットしている。第二ストレート部54が斜面部を介して側板42の内壁面つまりサイド面とつながっているため、成形バイトにある角度を持たすことによって、確実にぬすみ部50をサイド面より外側(反ポケット側)に形成することが可能となる。第一および第二ストレート部52,54は円弧部56に対して接線をなす。寸法a1,a2およびRの許容範囲としては、応力集中係数が分割型もみ抜き保持器よりも低く、円筒ころ60の面取り部と干渉しない範囲とする。具体的には、円弧部56の曲率半径Rは、面取りの曲率半径rの最小値(たとえばφ28ころでmin0.7mm)よりも大きくする。a1,a2はそれぞれ0.1mm以上の段差をつけるものとし、ここに形成できる曲率半径Rは0.7mm〜1.54mmの範囲となる。この場合の応力集中係数αは上記の式より求めると2.17〜1.56となり、分割型保持器より有利となる。
保持器の製造工程は概略次のとおりである。リング旋削→窓荒加工(角穴を削成する)→四隅加工(角穴の四隅を小径エンドミルにて突っつく)→サイド加工(ポケットの壁面のうち軸方向に向かい合った面をエンドミルで仕上げる)→ポケット仕上げ加工(ポケットの壁面のうち周方向に向かい合った面すなわち柱の側面を成形エンドミルにて仕上げる)→右柱二隅盗み加工(成形バイトにて右柱側の上下をスロッティングする)→左柱二隅盗み加工(成形バイトにて左柱側の上下をスロッティングする)。
次に、盗み部50を含むポケットの具体的な削成方法を説明する。図4に示すように、ワーク101は筒状に形成されており、その周側部には、両側面がワーク101の径方向に沿う円弧状凹面102aを有する略真四角の角穴102が等角度置きに複数形成されている。具体的に述べると、角穴102は、図5に断面図にて示すように、一方の側面にワーク101の外側に位置する外側面取り102bと、それにワーク101の内径側に向かって連続してなる前記円弧状凹面102aと、その円弧状凹面102aの内側端部にさらに連続する内側面取り部102cとを有する形状であり、これが対向する面にも対称的に配置されることにより形成される。
角穴削成装置は、図6〜図8に示すように、X−Y軸テーブル112と、回転割り出し台113と、バイトホルダ114と、Y軸駆動系116と、X軸駆動系117と、NCテーブル機構と、制御盤121とを備えている。
X−Y軸テーブル112はベッド111上に取り付けられ、そのX−Y軸テーブル112の上に回転割り出し台113が回転可能に取り付けられ、その回転割り出し台113の上にバイトホルダ114を介して切削工具であるバイト115が装着してある。ここでは四本のバイト115が図示してある。すなわち、角穴102の左側面を切削加工するためのものと、右側面を切削加工するための左側面用のものと対称な位置形態で配置されたものと、面取り用のものと、予備のものとである。これらのバイト115は、図6に示すように、回転割り出し台113上に90度の間隔をもって配置され、しかも、X−Y軸テーブル112で半径方向に移動可能に構成されている。X−Y軸テーブル112はY軸駆動系116によりベッド111上でY軸方向に移動し、また、X軸駆動系117によりX軸方向に移動する。このようにして、回転割り出し台113を介してバイト115が同一平面上でX軸方向およびY軸方向に移動する。バイト115の移動方向の前方にはバイト刃先の移動量を検出する刃先検出器115aが設定してある。また、ベッド111の前部にはZ軸サドル118が取り付けられ、そのZ軸サドル118の上にZ軸駆動系119が設けてある。
NCテーブル機構は、バイト115がY軸方向に移動する前方位置に設けられ、ワーク101を搭載するNCテーブル124と、これをその軸周りにB方向に回転駆動するためのNC駆動系123とからなっている(図8参照)。さらに、ベッド111の側部にはNCプログラムに必要なデータなどを入力するための操作盤122を有する制御盤121が設置してある。操作盤122を通じて必要なデータ入力を行うことにより、Y軸駆動系116、X軸駆動系117、Z軸駆動系119、NC駆動系123、バイト115をそれぞれ制御動作するよう構成されている。X軸駆動系117は、図6および図7には詳細に図示していないが、図8に示すように、位置制御・駆動部117aと、これによって駆動されるX軸用サーボモータ117bと、X軸用サーボモータ117bの回転角を検出し、位置制御・駆動部117aにフィードバックするロータリエンコーダ117cとを具えて構成されている。なお、図8において、Y軸駆動系116、Z軸駆動系119、NCテーブル124の駆動系123についてもX軸駆動系117に準じた構成であるので、ここではその説明を省略する。また、NCテーブルの駆動系123は回転方向の駆動系としてB軸123bと表している。
制御盤121は、バイト115によるワーク101の角穴の削成時、バイト115の切れ刃と、角穴102において形成すべき両側の円弧状凹面102aとでなすすくい角を一定にした状態で、バイト115の移動量およびワーク101の回転角を制御することにより、円弧状凹面102aを削成し得るようにしている。すなわち、制御盤121は、バイト115による加工時、NCテーブル124にセットされたワーク101に対し、図9に位置(a)にて示すように、形成しようとする円弧状凹面102aの外側端部とバイト115の刃先とのなすすくい角がθとなるようにバイト115の角度を合わせ、その角度を一定に保った状態のままで同図に位置(b)および(c)に示すように、バイト115をさらに前進移動させるようにしている。そのとき、バイト115の前進移動に同期させてワーク101を、NCテーブル124の中心Oを中心として次第に回転させることにより、ワーク101の周側部に径方向に沿って、かつ、ワークの外周側から内周側に至る円弧状凹面102aを切削加工できるようにしている。この場合、角穴102の一側面の円弧状凹面102aが形成されると、その円弧状凹面102aと対向する面側の円弧状凹面102aも、対称位置に配置されたバイト115により同様にして削成することにより角穴102が形成され、したがって、バイト115はワーク101の角穴102の両側に対し、図10に矢印で示すような軌跡で移動する。なお、図10では、バイト115とワーク101との相対的な角度変位は省略してある。ここでは、ワーク101の角穴102において円弧状凹面102aの外側端部および内側端部にそれぞれ連続して外側面取り102b、内側102cが設けられる必要があるので、それら外側面取り102b、内側面取り102cも同様にして面取り用バイト(符示せず)によって削成されるようにもしている。
そのため、制御盤121は、ワーク101の加工時、面取り用バイトとワーク101の形成すべき角穴102の外側面取り102b、内側面取り102cとがなすすくい角θを一定とした状態で、面取り用バイトを移動制御するとともに、その移動量に同期させてワーク101の回転角度を制御する傾斜面削成部121aと、バイト115と形成すべき角穴102の円弧状凹面102aとがなすすくい角θを一定とした状態で、バイト115を移動制御するとともに、その移動量に同期させてワーク101の回転角度を制御する円弧削成部121bとを有し、それら傾斜面削成部121aおよび円弧部121bからの指令に従いX軸駆動系117、Y軸駆動系116、NCテーブル124の駆動系123をそれぞれ制御することにより、角穴の両側に外側面取り102b、円弧状凹面102a、内側面取り102cをそれぞれ切削加工し、形成できるようにしている。
したがって、この角穴削成装置は、円弧状凹面用および面取り用のバイトをバイトホルダ114を介してそれぞれ装着した回転割り出し台113によりバイトをX軸方向に移動させるX軸駆動系117と、ワーク101を搭載したNCテーブル124と、そのNCテーブル124によりワーク101を回転させる駆動系123と、これら回転割り出し台113、Y軸駆動系116、X軸駆動系117、NCテーブル124の駆動系123をそれぞれ制御する制御盤121とを備えて構成されている。なお、図8において、符号121cはシフト量決定部であり、これについてはZ軸駆動系119同様後述する。
次に、上述のように構成された角穴削成装置の動作について説明する。角穴削成装置には、NCテーブル124上にワーク101がセットされ、また、バイトホルダ114には加工に必要なバイト115がそれぞれ装着され、さらに、ワーク101の加工すべき部位に対しその部位を加工するためのバイト115が位置決めされているものとする。そして、角穴削成装置がワーク101において側面に面取り102bおよび102c、円弧状凹面102aを有する角穴102を切削加工するためにオンされ、Y軸駆動系116、X軸駆動系117がそれぞれ駆動されるとともに、NCテーブル124のNC駆動系123も駆動される。すると、まず、面取りバイト(符示せず)がスロッター加工動作をし、それに伴いワーク101も回転動作して面取り102bが削成される。その際、面取りバイトの刃先とワーク101の形成すべき角穴102の外側面取り102bとのなすすくい角を一定とした状態で面取り用バイト115が移動制御されるとともに、その移動量に同期してNCテーブル124の回転角度が制御されることにより、外側面取り102bが削成される。
次いで、外側面取り102bが形成された後、バイトホルダ114上で面取り用のバイトに代わり円弧状凹面102aを形成するためのバイト115が所定位置に位置決めされることにより、円弧状凹面102aの削成が始まる。この場合、バイト115の刃先と形成すべき角穴102の円弧状凹面102aとのなすすくい角θを一定とした状態でバイト115が移動制御されるとともに、その移動量に同期してNCテーブル124の回転角度が制御されることにより、角穴102の円弧状凹面102aがワーク101の外周側から次第に内周側に画成され、かくして内周側に円弧状凹面102aが連続して画成されることにより円弧状凹面102aが削成される。円弧状凹面102aの削成後、再びバイトホルダ114上の面取り用バイトが位置決めされ、かつ、上記と同様にしてそれぞれの駆動系が駆動されることにより、円弧状凹面102aの内周側に内側面取り102cが削成され、角穴102の一方の側面の加工が終了する。その後、上述と同様にして駆動されることにより両側面に外側面取り102b、円弧状凹面102a、内側面取り102cを有する角穴102の削成が終了する。
このように、バイト115の刃先と形成すべき角穴102の円弧状凹面102aとのなすすくい角θを一定とした状態でバイト115が移動制御されるとともに、その移動量に同期してNCテーブル124の回転角度が制御されることにより、円弧状凹面102aを削成できる。
図1および図2に示した保持器における盗み部も、図3に示す盗み部の輪郭を備えた成形バイトを、上述の円弧状凹面102aの切成の場合と同様に移動させることによって削成することができる。具体的には、制御盤121が、ワーク101の加工時、成形用バイトとワーク101の形成すべき盗み部とがなすすくい角を一定とした状態で、成形用バイトを移動制御するとともに、その移動量に同期させてワーク101の回転角度を制御する傾斜面削成部121aと、バイトと形成すべき盗み部とがなすすくい角θを一定とした状態で、バイトを移動制御するとともに、その移動量に同期させてワーク101の回転角度を制御する円弧削成部121bとを有し、それら傾斜面削成部121aおよび円弧削成部121bからの指令に従いX軸駆動系117、Y軸駆動系116、NCテーブル機構をそれぞれ制御することにより、角穴102の四隅に盗み部をそれぞれ削成することができる。
なお、本発明の円筒ころ軸受用一体型もみ抜き保持器は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
Aは保持器の縦断面図、Bは保持器の横断面図である。 図1(A)の平面図である。 図2の主要部拡大図である。 削成方法を説明するためのワークの斜視図である。 図4のワークの主要部断面図である。 削成装置の平面図である。 削成装置の側面図である。 制御盤と駆動系との関係を示すブロック線図である。 円弧状凹面を削成する原理を示す線図である。 円弧状凹面および面取りを削成する原理を説明する線図であって、Aは断面図、Bは下面図である。 Aは従来の分割型もみ抜き保持器の縦断面図、Bは図11(A)の保持器の平面図である。 図11(A)のXII矢視図である。 Aは従来の一体型もみ抜き保持器の縦断面図、Bは図13(A)の保持器の平面図である。 図13(A)のXIV矢視図である。
符号の説明
42,44 側板
46 柱
48 ポケット
50 盗み部
52 第一ストレート部
54 第二ストレート部
56 円弧部
58 円筒ころ

Claims (2)

  1. 一対の側板と、円周方向に配列され前記一対の側板を連結する複数の柱とからなり、隣り合う柱間にポケットを形成し、前記ポケットの四隅に盗み部を設けた、一体型もみ抜き保持器であって、保持器の軸線に垂直な断面において、前記柱の側面が円弧状で、前記盗み部が前記柱の側面と平行で、保持器の軸線を含む断面における前記盗み部が直線状であり、かつ、前記盗み部の形状が、前記柱の側面と鈍角をなす斜面を介して接続した第一ストレート部と、側板の内壁面と鈍角をなす斜面を介して接続した第二ストレート部と、前記第一ストレート部および前記第二ストレート部と接し、前記第一ストレート部と前記第二ストレート部をつなぎ、円筒ころの面取り部と干渉しない曲率半径の円弧部とからなる円筒ころ軸受用もみ抜き保持器を製造する方法であって、
    前記ポケットを削成した後、各隅の盗み部と同一の輪郭で、前記柱の側面と鈍角をなす斜面を介して接続した第一ストレート部と、側板の内壁面と鈍角をなす斜面を介して接続した第二ストレート部と、前記第一ストレート部および前記第二ストレート部と接し、前記第一ストレート部と前記第二ストレート部をつなぎ、円筒ころの面取り部と干渉しない曲率半径の円弧部とからなる輪郭の刃先をもった成形バイトを、前記保持器の厚さ方向の任意の位置においてスクイ角が一定となるように、X軸方向およびY軸方向に移動させ、かつ、前記バイトの送りと同期させて前記保持器をその中心周りに回転させることを特徴とする円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法。
  2. 次の工程からなる請求項1の円筒ころ軸受用もみ抜き保持器の製造方法。
    イ)リング状の素材を旋削して保持器ブランクを削成する。
    ロ)前記ブランクのポケット位置に角穴を削成する。
    ハ)前記角穴の四隅を小径エンドミルで突っつく。
    ニ)前記角穴の壁面のうち軸方向に向かい合った面をエンドミルで仕上げる。
    ホ)前記角穴の壁面のうち周方向に向かい合った面を成形エンドミルで仕上げる。
    ヘ)所定の角度を持たせた前記成形バイトにより四隅の盗み部をスロッティング する。
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