JPH1151061A - ころ軸受用合成樹脂製保持器 - Google Patents

ころ軸受用合成樹脂製保持器

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JPH1151061A
JPH1151061A JP16653798A JP16653798A JPH1151061A JP H1151061 A JPH1151061 A JP H1151061A JP 16653798 A JP16653798 A JP 16653798A JP 16653798 A JP16653798 A JP 16653798A JP H1151061 A JPH1151061 A JP H1151061A
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JP
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synthetic resin
portions
rollers
roller bearing
annular portion
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JP16653798A
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English (en)
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Susumu Takano
晋 高野
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NSK Ltd
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Publication date
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/22Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings
    • F16C19/24Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings for radial load mainly
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/46Cages for rollers or needles
    • F16C33/4617Massive or moulded cages having cage pockets surrounding the rollers, e.g. machined window cages
    • F16C33/4623Massive or moulded cages having cage pockets surrounding the rollers, e.g. machined window cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock cages
    • F16C33/4635Massive or moulded cages having cage pockets surrounding the rollers, e.g. machined window cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock cages made from plastic, e.g. injection moulded window cages
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/46Cages for rollers or needles
    • F16C33/467Details of individual pockets, e.g. shape or roller retaining means
    • F16C33/4682Details of individual pockets, e.g. shape or roller retaining means of the end walls, e.g. interaction with the end faces of the rollers

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ころ9から柱部4に円周方向の力が加わった
場合でも、この柱部4と第一、第二の円環部2、3との
連続部が破損しにくい構造を実現する。 【解決手段】 柱部4の両端部を連結する第一、第二の
円環部2、3は、それぞれ第一の端面側仕切部6、6又
は第二の端面側仕切部7、7を備える。このうち、第一
の端面側仕切部6、6の剛性を、第二の端面側仕切部
7、7の剛性よりも低くする。ころ9から柱部4に円周
方向の力が加わった場合には、この柱部4が円周方向に
変位して、この柱部4と第一、第二の円環部2、3との
連続部に過大な応力が加わる事を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のころ軸受用合成樹脂
製保持器は、例えば工作機械の主軸等、微量のグリース
又は潤滑油によって潤滑されつつ高速で運転される回転
体を支持するころ軸受に組み込む合成樹脂製保持器の改
良に関する。特に、本発明のころ軸受用合成樹脂製保持
器は、円筒ころ軸受の運転条件や組立状態のばらつきに
基づいて、静粛性、寿命等の機能が変動する事を抑制す
る為に有効である。
【0002】
【従来の技術】工作機械の主軸を回転自在に支持する為
の軸受には、工作精度の向上の為、高剛性、高回転精
度、低発熱等の特性が求められる。又、近年に於いて
は、加工効率向上の為、高回転速度で長時間安定して使
用できる様に、高速安定性が求められている。この様な
各特性のうち、ラジアル方向の剛性を向上させる為に、
上記軸受として円筒ころ軸受を使用する場合が多い。
又、ラジアル方向の剛性を更に向上させると共に回転精
度を向上させる為、円筒ころ軸受の内部隙間を負にす
る、所謂予圧を付与する事もある。但し、この様な予圧
付与を行なう事は、ころ軸受等の転がり軸受にとって
は、内部の部品摩耗や焼付き等の故障が発生し易い過酷
な条件である。この為に一般の産業機械用の転がり軸受
では、運転時に軸受内に正の隙間が残る様にして、剥離
寿命の延長を図ると共に、外乱により軸受機能が低下す
るのを抑える事も多い。又、運転時の発熱を最小にする
為、工作機械用の転がり軸受は、ごく微量のグリースや
潤滑油等による潤滑条件下で運転される事が多い。即
ち、グリースや潤滑油等の潤滑剤を必要最小限に抑える
事により、潤滑剤の撹拌抵抗と、この撹拌抵抗に基づく
発熱とを抑えている。
【0003】上述の様な厳しい使用条件下で、ころ軸受
により回転自在に支承した主軸等の回転体の回転速度を
更に高める為には、解決しなければならない種々の問題
がある。この様な問題の一つとして、従来より上記ころ
軸受に標準的に使用されてきた、銅合金製の保持器の摩
耗問題がある。即ち、ころ軸受を上述の様な過酷な条件
下で使用すると、保持器の内外両周面、或はポケットの
内面が、軌道輪の周面やころの表面と強く擦れ合う。こ
の為、軌道輪並びに保持器を構成する軸受鋼等の硬質金
属に比べて軟らかい、銅合金製の保持器が摩耗し、この
保持器から摩耗粉が発生し易くなる。特に、ころ軸受の
潤滑をグリースで行なっている場合、この摩耗粉がグリ
ース中に混入する(グリースを汚染する)事により、こ
のグリースの潤滑性が低下する。そして、潤滑性が著し
く低下した場合には、上記ころ軸受が、短時間で焼き付
きや著しい摩耗等の損傷を受ける可能性がある。
【0004】この様な事情に鑑みて、近年では、工作機
械の主軸等、大きな荷重を受ける回転体を回転自在に支
持する為のころ軸受に組み込む保持器として、合成樹脂
製の保持器を使用する場合が多くなりつつある。この様
な合成樹脂製の保持器として通常は、ポリアミド樹脂
等、優れた摩擦特性を有する(摩耗しにくい)合成樹脂
中に、ガラス繊維等の補強材を適量混入した、繊維強化
合成樹脂を射出成形する事により造ったものを使用して
いる。この様な合成樹脂製の保持器を組み込んだころ軸
受は、前述の様な過酷な使用条件下でも摩耗粉が発生し
にくく、焼き付きや著しい摩耗等の損傷を発生しにくく
できる。
【0005】ところが、単に工作機械の主軸等、大きな
荷重を受ける回転体を回転自在に支持する為のころ軸受
に組み込む保持器の材質を、銅合金から合成樹脂に変え
ただけでは、回転支持部の信頼性及び耐久性を十分に確
保できない可能性がある。この理由は、次の通りであ
る。即ち、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂等の合成樹脂
系材料は、銅合金よりも剛性や破断強度が小さい。この
為、従来の銅合金製の保持器と同様な形状では、十分な
剛性及び強度を確保する事が難しい。この様な理由で、
合成樹脂製保持器の形状及び寸法は、従来の銅合金製保
持器よりも、肉厚でしかも大きくなり易い。
【0006】一方、合成樹脂保持器を射出成形するには
成形金型を使用するが、金型の形態は、造るべき保持器
の形状によって、ラジアルドロー型又はアキシャルドロ
ー型を使用する。このうちのアキシャルドロー型は、合
成樹脂製保持器の軸方向に相対変位する、2つの金型素
子により成る。この為、造るべき保持器形状は、1対の
金型素子を軸方向に抜ける、即ち、射出成形後の合成樹
脂製保持器を傷める事なく、上記1対の金型素子同士を
離れさせる事が可能な形状にする必要がある。これに対
して、ラジアルドロー型は、合成樹脂製保持器の軸方向
に移動する1対の金型素子と、直径方向に移動自在な複
数の(一般的にはポケットと同数の)金型素子とより成
る。従って、造るべき合成樹脂製保持器の形状は、必ず
しも金型素子が軸方向に抜ける様にする必要はない。但
し、ラジアルドロー型の場合には、金型の構造が複雑に
なる為、アキシャルドロー型により造れる合成樹脂製保
持器に比べて、製造コストが嵩む事が避けられない。
【0007】ところで、ころ軸受に組み込む合成樹脂製
保持器は、互いに間隔をあけて同心且つ平行に配置され
た、第一、第二の円環部を備える。又、円周方向に亙っ
て互いに等間隔に配置された複数本の柱部の一端部を上
記第一の円環部の内側面に、同じく他端部を上記第二の
円環部の内側面に、それぞれ連続させている。そして、
それぞれが、これら各柱部の円周方向両側面と上記第
一、第二の円環部の内側面とにより周囲を囲まれた部分
に設けられた複数のポケットの内側に、それぞれころを
転動自在に保持自在としている。
【0008】この様なころ軸受用の合成樹脂製保持器を
アキシャルドロー型により造る場合、上述した成形加工
上の制約により、上記第一の円環部の内径を上記第二の
円環部の外径以上にする必要がある。これに対して、上
記合成樹脂製保持器をラジアルドロー型により造る場合
には、第一、第二の円環部の双方を、同じ寸法及び形状
にできる。この様に第一、第二の円環部の寸法及び形状
を同じにし、合成樹脂製保持器の形状を軸方向中央部に
対して対称にすれば、ころ軸受を高速で運転し、合成樹
脂製保持器を高速回転させた場合に、この合成樹脂製保
持器の動的バランスを保つ点からは有利であり、耐久性
を確保できると考えられていた。この為従来は、工作機
械の主軸等、大きな荷重を受ける回転体を回転自在に支
持する為のころ軸受に組み込む保持器として、ラジアル
ドロー型により造った、図11に示す様な、軸方向中央
部に関して対称な形状を有する合成樹脂製保持器1cを
使用していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述の様な、軸方向中
央部に関して対称な形状を有する合成樹脂製保持器1c
を円筒ころ軸受に組み込み、この円筒ころ軸受により工
作機械の主軸等、大きな荷重を受ける回転体の回転支持
部を構成した場合に、必ずしも合成樹脂製保持器1cの
信頼性及び耐久性を十分に確保できない事が、本発明者
の研究により分った。この理由は、次の通りである。
【0010】即ち、上記合成樹脂製保持器1cを備えた
ころ軸受を上記回転支持部に対し、正しく組み付ければ
良いが、必ずしも正しく組み付けられるとは限らない。
例えば、ハウジングと外輪との締め代、或は主軸と内輪
との締め代が過大である等、組み込み隙間の調整が不正
確な場合には、ころ軸受の内部隙間が負側に大きくずれ
る可能性がある。又、組立直後に内部隙間が適切であっ
た場合でも、組立後の試運転時にころ軸受が、潤滑用の
グリースの撹拌抵抗等で著しく発熱すると、運転時に於
けるころ軸受の内部隙間が、負側に大きくずれる可能性
がある。
【0011】この様にころ軸受の内部隙間が負側に大き
くずれた状態で、例えば組み付け誤差、或は主軸やハウ
ジングの加工精度が悪い事に基づき、内輪の中心軸と外
輪の中心軸とが傾斜していた場合には、上記合成樹脂製
保持器1cが損傷する可能性がある。即ち、この様な場
合には、ころ軸受を構成する複数のころの運動が不規則
になり、1列中のころの公転速度に相互差が生じる。こ
の結果、他のころとの間で公転速度に差が生じたころの
転動面が、当該ころが対向する柱部4に押し付けられ、
この柱部4に、円周方向に亙る異常な力が作用する。前
述した様に、ラジアルドロー型により造り、軸方向中央
部に関して対称形状を有する合成樹脂製保持器1cの場
合には、上記柱部4の両端が第一、第二の円環部2b、
3bにしっかり結合支持されている。しかも、前述した
様に、合成樹脂製保持器1cの肉厚は或る程度大きく、
弾性変形量が少ない為、上記柱部4に加えられた力を十
分に逃がす事ができない。この為、この柱部4の端部と
第一、第二の円環部2b、3bとの連結部等、上記合成
樹脂製保持器1cの内部に発生する応力が過大になり、
遂にはこの合成樹脂製保持器1cが損傷する可能性があ
る。本発明は上述の様な事情に鑑みて、工作機械の主軸
等、大きな荷重を受け、しかも精度良く支持する必要が
ある回転体を支持する為に使用する円筒ころ軸受に組み
込む、合成樹脂製保持器の信頼性及び耐久性を向上させ
るべく発明したものである。
【0012】
【課題を解決する為の手段】本発明のころ軸受用合成樹
脂製保持器は、従来から知られているころ軸受用合成樹
脂製保持器と同様に、互いに間隔をあけて同心且つ平行
に配置された第一、第二の円環部と、円周方向に亙って
互いに等間隔に配置され、一端部を上記第一の円環部の
内側面に、他端部を上記第二の円環部の内側面に、それ
ぞれ連続させた複数本の柱部と、これら各柱部の円周方
向両側面と上記第一、第二の円環部の内側面とにより周
囲を囲まれた部分に設けられ、それぞれの内側にころを
転動自在に保持する複数のポケットとを備える。
【0013】特に、本発明のころ軸受用合成樹脂製保持
器に於いては、上記第一の円環部の内径は、上記第二の
円環部の外径以上である。又、第一の円環部の一部で上
記各ポケットに対応する部分をそれぞれ第一の端面側仕
切部とし、第二の円環部の一部で上記各ポケットに対応
する部分をそれぞれ第二の端面側仕切部とした場合に、
上記各第一の端面側仕切部の円周方向に亙る剛性と上記
各第二の端面側仕切部の円周方向に亙る剛性とを互いに
異ならせている。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明の合成樹脂製保持器
を組み込んだころ軸受の運転時に、ころが柱部を強く押
圧しても、この柱部と第一、第二の円環部との連結部
等、合成樹脂製保持器の内部に発生する応力が過大にな
る事はない。即ち、何れかのころから当該ころが対向す
る柱部に、円周方向に亙る大きな力が作用しても、第
一、第二の円環部のうちで円周方向に亙る剛性が低い円
環部が円周方向に弾性変形してこの力を吸収する。この
為、合成樹脂製保持器の内部で応力が増大する事を抑制
し、この応力が合成樹脂製保持器を損傷する程大きくな
る事を防止できる。この結果、ころ軸受の使用条件がば
らつき、組み付け状態が多少不正規であった場合でも、
当該ころ軸受を組み込んだ回転支持部を有する機械装置
の高速運転を、長時間に亙り安定して行なえる。合成樹
脂製保持器全体としての強度は、円周方向に亙る剛性が
高い円環部により確保できる。従って、上記柱部を円周
方向に変位し易くする事に伴い、合成樹脂製保持器全体
としての強度が不足する事はない。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。本発明の合成樹脂製保持器1
は、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリフェニレン
サルファイド、ポリアセタール等の熱可塑性合成樹脂を
母材とし、強度向上の為にガラス繊維を10〜30重量
%程度添加したものを、射出成形する事により造る。但
し、用途により、合成樹脂製保持器1に特に十分な弾性
を要求する場合には、ガラス繊維等の添加材を添加しな
い場合も考えられる。又、上記母材となる熱可塑性合成
樹脂としては、一般的な工作機械用の主軸を支持する為
の円筒ころ軸受用の合成樹脂製保持器の場合には、価格
面、或は強度、化学的安定性等の機能面から考えて、ポ
リアミド66が好適である。これに対して、通常運転時
や慣らし運転時の温度条件が著しく厳しく(高く)なる
場合にはポリアミド46が、高温、耐薬品、湿度(吸
湿)に対する寸法安定性を特に要求する場合にはポリフ
ェニレンサルファイドが、耐摩耗性を特に要求する場合
にはポリアセタールが、それぞれ好適である。
【0016】上記合成樹脂製保持器1は、互いに間隔を
あけて同心且つ平行に配置された第一、第二の円環部
2、3と、円周方向に亙って互いに等間隔に配置された
複数本の柱部4、4とを備える。これら各柱部4、4の
軸方向両端部のうち、それぞれの一端部(図2の下端
部、図3の右端部)は、上記第一の円環部2の内側面
(合成樹脂製保持器1の軸方向中央側の側面で、図2の
上面、図3の左側面)に連続させている。又、上記各柱
部4、4の他端部は、それぞれ上記第二の円環部3の内
側面(図2の下面、図3の右側面)に連続させている。
そして、これら各柱部4、4の円周方向両側面(図1〜
2の左右両面)と上記第一、第二の円環部2、3の内側
面とにより周囲を囲まれる部分に、それぞれポケット
5、5を設けている。これら各ポケット5、5は、それ
ぞれの内側にころ9、9を転動自在に保持する。
【0017】上記第一の円環部2の内径R2 は、上記第
二の円環部3の外径D3 (図3参照)よりも大きく(R
2 >D3 )している。この為、本発明の合成樹脂製保持
器1は、軸方向に相対変位する2つの金型素子により成
る、アキシャルドロー型により射出成形できる。又、上
記第一の円環部2の一部で上記各ポケット5、5に対応
する部分を第一の端面側仕切部6、6とし、第二の円環
部3の一部で上記各ポケット5、5に対応する部分を第
二の端面側仕切部7、7としている。そして、これら各
第一の端面側仕切部6、6及び各第二の端面側仕切部
7、7の円周方向に亙る剛性を、互いに異ならせてい
る。
【0018】これら第一、第二の両端面側仕切部6、7
の円周方向に亙る剛性を異ならせる為に、本例の場合に
は、これら両端面側仕切部6、7の断面積及び形状を、
互いに異ならせている。即ち、第一の端面側仕切部6、
6の断面積を小さくすると共に、これら各第一の端面側
仕切部6、6の円周方向に亙る形状を屈曲させて、これ
ら各第一の端面側仕切部6、6の円周方向に亙る剛性を
低くしている。従って、これら各第一の端面側仕切部
6、6は、円周方向に亙る力が加わった場合には、伸長
方向或は圧縮方向に容易に弾性変形して、この力に基づ
く変位を吸収する。そして、これら各第一の端面側仕切
部6、6と前記各柱部4、4の一端部との連続部に大き
な応力が加わる事を防止する。
【0019】尚、上記各第一の端面側仕切部6、6の円
周方向に亙る剛性を低くする為には、これら各第一の端
面側仕切部6、6の断面積を小さくする事と、これら各
第一の端面側仕切部6、6の円周方向に亙る形状を屈曲
させる事との、少なくとも一方を採用すれば良い。但
し、図示の例の様に、両方を採用すれば、これら各第一
の端面側仕切部6、6の強度を保持しつつ、必要とする
弾性変形量を得る事が容易になる。
【0020】上記各第一の端面側仕切部6、6の円周方
向に亙る剛性を低くすべく、これら各第一の端面側仕切
部6、6の円周方向に亙る形状を屈曲させる場合には、
屈曲量δを大きくする程、弾性変形し易くできる。但
し、合成樹脂製保持器1全体としての強度を考慮しつつ
必要とする弾性変形量を確保する為には、上記屈曲量δ
を、第一の端面側仕切部6の厚さT6 の0.6〜1.5
倍程度{δ≒(0.6〜1.5)T6 }にするのが適当
である。又、上記各第一の端面側仕切部6、6の断面積
は、円周方向に亙ってほぼ均一にする事が、射出成形に
より造る合成樹脂製保持器1の品質保持(第一の端面仕
切部6、6の歪み防止)の面からは好ましい。但し、使
用条件を勘案して、保持器の損傷防止を考慮した場合に
は、例えば応力の増大し易い部分の断面積を大きくする
等、円周方向に亙る引っ張り力、或は圧縮力等に対する
強度向上を図って、保持器損傷発生を抑える事もでき
る。
【0021】更に、上記各第一の端面側仕切部6、6の
中間部に形成する屈曲部11、11の形状に就いては、
必要とする弾性変形量等に応じて設計的に定める。例え
ば、図示の例では、上記各屈曲部11、11の両端部と
上記各第一の端面側仕切部6、6との交差角度θを45
°程度として、上記各屈曲部11、11の形状を山形に
している。但し、上記各第一の端面側仕切部6、6をよ
り弾性変形し易くする為には、上記交差角度θを90°
前後とし、屈曲部の形状をクランク形とする事が好まし
い。これに対して、運転時に合成樹脂製保持器1に作用
する遠心力が大きく、この遠心力に基づいて上記各第一
の端面側仕切部6、6の中間部が直径方向外方に変位す
る事を防止する必要がある場合には、これら各第一の端
面側仕切部6、6の形状を、曲率半径が大きな円弧状、
更には直線状にする事が好ましい。
【0022】一方、前記各第二の端面側仕切部7、7
は、それぞれ断面積を大きくすると共に、これら各第二
の端面側仕切部7、7の円周方向に亙る形状を直線的に
して、これら各第二の端面側仕切部7、7の円周方向に
亙る剛性を高くしている。従って、これら各第二の端面
側仕切部7、7は、円周方向に亙る力が加わった場合に
も、伸長方向にも圧縮方向にも、殆ど弾性変形しない。
【0023】又、上記各第一の端面側仕切部6、6の円
周方向中央部は、上記各屈曲部11、11の存在に基づ
き、前記各ポケット5、5の内側(図1の上側、図3の
左側)に突出させ、その先端面8、8を、ころ9、9の
一端面(図2の下端面)に近接対向自在としている。こ
れに対して、上記各第二の端面側仕切部7、7の円周方
向中間部で内径側半部には、上記各ポケット5、5の内
側(図1の下側、図3の右側)に突出する突部10、1
0を形成し、これら各突部10、10の先端面を、上記
各ころ9、9の他端面(図2の上端面)に近接対向自在
としている。
【0024】一方、上記第一、第二の両円環部2、3を
連結する各柱部4、4の円周方向両側面は、上記各ころ
5、5の転動面を転動自在に保持できる形状としてい
る。この為に図示の例では、上記各柱部4、4の円周方
向両側面の一部で合成樹脂製保持器1の直径方向中間部
に、円弧状凹面12、12を形成している。同一のポケ
ット5、5の円周方向両側に存在する1対の円弧状凹面
12、12は、互いに一致する中心軸を有する。又、こ
れら各円弧状凹面12、12の曲率半径は、上記各ころ
9、9の転動面の曲率半径よりも僅かに大きい。更に、
上記各柱部4、4の円周方向両側面の外径側端部には外
径側平坦面13、13を、内径側端部には内径側平坦面
14、14を、それぞれ形成している。同一の柱部4、
4の円周方向両側面に形成した1対の外径側平坦面1
3、13同士、並びに内径側平坦面14、14同士は、
互いに平行である。又、同一のポケット5、5の円周方
向両側に存在する1対の外径側平坦面13、13同士の
間隔、並びに内径側平坦面14、14同士の間隔は、上
記各ころ9、9の直径よりも僅かに小さくしている。従
って、これら各ころ4、4は、上記各ポケット5、5の
内側で上記1対の円弧状凹面12、12同士の間に、柱
部4、4を円周方向に亙り弾性変形させつつ、挿入自在
である。そして、挿入を完了した状態で上記各ころ9、
9は、上記各ポケット5、5の内側で上記1対の円弧状
凹面12、12同士の間に、転動自在に保持される。
又、この状態では、上記各ころ9、9の転動面と上記各
円弧状凹面12、12とが微小隙間を介して対向する。
この為、合成樹脂製保持器1の直径方向の移動は、この
合成樹脂製保持器1に保持された複数のころ9、9のう
ちの何れかのころ9により規制(直径方向への移動を制
限)される。
【0025】尚、図1〜3に示した様な合成樹脂製保持
器1を組み込む、図4〜5に示す様な単列円筒ころ軸受
15、15a、又は図6、9に示す様な複列円筒ころ軸
受16、16aでは、ころ9の軸方向(図4〜6、9の
左右方向)位置を規制する為、内輪17、17a、17
bの外周面(図4〜6の例)又は外輪18bの内周面
(図9の例)の2個所以上に、鍔19、19a、19
b、19cが必要である。例えば、工作機械の主軸を回
転自在に支持する為の単列円筒ころ軸受15、15a又
は複列円筒ころ軸受16では、通常の場合には図4〜6
に示す様に、内輪17、17a、17bの外周面に鍔1
9、19aを2〜3箇所設け、外輪18、18aに鍔を
設けない場合が多い。
【0026】この様に、鍔19、19aを内輪17、1
7a、17bの側にのみ設ける構造の場合、複数のころ
9、9は、合成樹脂製保持器1を介して内輪17、17
a、17bに組み付け支持(容易に分離しない様に結
合)されて、これら合成樹脂製保持器1及び内輪17、
17a、17bと一体的に取り扱われる。この様な構造
の場合には、単列円筒ころ軸受15、15a又は複列円
筒ころ軸受16の組立時に上記複数のころ9、9は、上
記合成樹脂製保持器1の外径側から、円周方向に隣り合
う柱部4、4を弾性変形させ、前記外径側平坦面13、
13同士の間隔を押し広げつつ挿入する。挿入後は上記
円周方向に隣り合う柱部4、4が弾性的に復元し、上記
外径側平坦面13、13同士の間隔がころ9の直径より
も小さくなり、このころ9がポケット5から合成樹脂製
保持器1の外径側に抜け出る事を防止する。又、この状
態で上記各ころ9、9は、内輪17、17a、17bの
外周面に形成した内輪軌道に当接するので、これら各こ
ろ9、9がポケット5から合成樹脂製保持器1の内径側
に抜け出る事もなくなる。
【0027】この様に、ころ9がポケット5から合成樹
脂製保持器1の内径側に抜け出る事は、上記内輪17、
17a、17bが防止する為、同一のポケット5、5の
円周方向両側に存在する1対の内径側平坦面14、14
同士の間隔は、必ずしもころ9、9の直径よりも小さく
する必要はない。これに対して、図9に示す様に、外輪
18bの内周面に鍔19b、19cを設け、内輪17c
の外周面には鍔を設けない構造の場合には、合成樹脂製
保持器1a、1aの内径側からころ9、9を組み付け、
組み付け完了後の状態では、これら複数のころ9、9
は、保持器1a、1aを介して外輪18bに組み付け支
持される。従って、上記図9に示す様な構造の場合に
は、ころ9、9がポケット5から合成樹脂製保持器1
a、1aの外径側に抜け出る事は、上記外輪18bが防
止する。この為、同一のポケット5、5の円周方向両側
に存在する1対の内径側平坦面14、14同士の間隔を
ころ9、9の直径よりも小さくする必要が生じる代わり
に、1対の外径側平坦面13、13同士の間隔は、必ず
しもころ9、9の直径よりも小さくする必要はない。
【0028】前述の様に構成した合成樹脂製保持器1、
1aを、例えば上述の様な単列円筒ころ軸受15、15
a又は複列円筒ころ軸受16、16aに組み込み、これ
ら単列円筒ころ軸受15、15a又は複列円筒ころ軸受
16、16aを組み込んだ工作機械等を運転する事に伴
い、ころ9、9が柱部4、4を強く押圧しても、この柱
部4、4と第一、第二の円環部2、3との連結部等、合
成樹脂製保持器1、1aの内部に発生する応力が過大に
なる事はない。
【0029】即ち、前述の様な原因で、複数のころ9、
9のうちの何れか1乃至複数個のころ9の公転速度が他
のころ9、9の公転速度と異なる結果、この何れかのこ
ろ9から当該ころ9が対向する柱部4に、円周方向に亙
る大きな力が作用しても、第一の円環部2の第一の端面
側仕切部6が円周方向に弾性変形してこの力を吸収す
る。この際、上記何れかのころ9が存在するポケット5
に対応する第一の端面側仕切部6が伸長し、円周方向に
隣り合うポケット5に対応する第一の端面側仕切部6が
収縮する。そして、これら両第一の端面側仕切部6、6
の間部分で上記第一の円環部2に結合された、上記当該
ころ9が対向する柱部4の一端部が、円周方向に変位す
る。この変位に基づき、合成樹脂製保持器1、1aの内
部で応力が増大する事を抑制し、この応力が上記合成樹
脂製保持器1、1aを損傷する程大きくなる事を防止で
きる。この結果、単列円筒ころ軸受15、15a、或は
複列円筒ころ軸受16、16aの使用条件がばらつき、
組み付け状態が多少不正規であった場合でも、当該単列
円筒ころ軸受15、15a、或は複列円筒ころ軸受1
6、16aを組み込んだ、工作機械の主軸等の回転支持
部を有する機械装置の高速運転を、長時間に亙り安定し
て行なえる。尚、合成樹脂製保持器1全体としての強度
は、断面積が大きく直線的形状を有する第二の円環部3
により確保できる。従って、上記柱部4を円周方向に弾
性変形し易くする事に伴い、合成樹脂製保持器1全体と
しての強度が不足する事はない。
【0030】又、図示の例では、上述の様な、本発明を
実施する場合に常に奏する作用・効果に加えて、次の様
な新規構造に基づいて、次の様な独特の作用・効果を奏
する。先ず、図2に示す様に、前記各第一の端面側仕切
部6、6の円周方向中央部に前記各ポケット5、5の内
側に突出する屈曲部11、11を形成した事に伴い、前
記各柱部4、4の一端部で上記第一の円環部2寄り部分
の円周方向両側に、凹部20、20が存在する。そし
て、これら各凹部20、20は、上記各ポケット5、5
の内側にころ9、9を保持した状態でも、合成樹脂製保
持器1、1aの外径側と内径側とを連通させる通路とし
て機能する。
【0031】この様な通路として機能する上記各凹部2
0、20は、上記各ころ9、9の一端面(図2の下端
面)に付着してこれら各ころ9、9と共に回転し、上記
各柱部4、4の一端部近傍で掻き取られたグリースが、
上記第一の端面側仕切部6、6の内径面に溜まる事を防
止する役目を果たす。上述の様な凹部20、20を設け
ず、上記第一の端面側仕切部6、6の内径面にグリース
が溜まると、或る程度溜った状態で一度に多量のグリー
スが、遠心力の作用で前記外輪18、18a、18bの
内周面に形成した外輪軌道に飛び込む。そして、このグ
リースの撹拌抵抗に基づき、前記単列円筒ころ軸受1
5、15a、或は複列円筒ころ軸受16、16aの運転
に伴って異常発熱を起こし易くなる。図示の例の場合に
は、上述の様な、通路として機能する上記各凹部20、
20を設ける事により、この様な不都合の発生を防止し
ている。
【0032】又、上述の様に第一の端面側仕切部6、6
の一端部の円周方向両側部分に、通路として機能する上
記各凹部20、20を形成する事により、上記各柱部
4、4の一端部と前記第一の円環部2との交叉部分に空
間的余裕ができる。この為、当該交叉部分で、上記各柱
部4、4の円周方向両側面と上記第一の円環部2の内側
面とを連続させる曲面の曲率半径を大きくできる。この
結果、ころ9により円周方向に押された場合に変形量が
大きくなる為に強度的に不利な、上記各柱部4、4の一
端部と第一の円環部2との連続部への応力集中を緩和し
て、連続部の耐久性向上を図れる。
【0033】更に、図示の例では、上述の様な外輪軌道
へのグリース飛び込みによる異常発熱をより発生しにく
くする為、第一、第二の両円環部2、3の内径面(図3
の下面)を、何れも合成樹脂製保持器1の軸方向外側の
径が軸方向内側(中央側)の径よりも大きくなる(上記
各内径面が合成樹脂製保持器1、1aの軸方向外側に向
けて開く)、円錐凹面状のテーパ面としている。この
為、上記第一、第二の円環部2、3の内径面にグリース
が堆積しても、合成樹脂製保持器1、1aの回転に伴う
遠心力に基づき、このグリースをころ9、9の転動部よ
りも軸方向外側に飛ばす。この結果、上記各ころ9、9
の走行側に、上記第一、第二の円環部2、3の内径面に
堆積したグリースが飛び込む事を防止できる。
【0034】又、図示の例では、前述の様に、前記各第
二の端面側仕切部7、7の円周方向中間部で内径側半部
に、前記各ポケット5、5の内側に突出する突部10、
10を形成し、これら各突部10、10の先端面を、上
記各ころ9、9の他端面に近接対向自在としている。但
し、これら各突部10、10は、図1〜2から明らかな
通り、上記各ころ9、9の他端面の外径寄り部分には対
向しない。即ち、上記各突部10、10は、上記各ころ
9、9の他端面の中央寄り部分で、これら各ころ9、9
の他端面を案内する。従って、これら各突部10、10
が、ころ9、9の他端面の外径寄り部分に付着したグリ
ースを掻き取る事はない。この様な、各ころ9、9の他
端面の外径寄り部分は、前記内輪17、17a、17b
の外周面に形成した鍔19、19a(図4〜6)の側面
と摺接する為、潤滑状態を良好にする必要がある。図示
の例では、上述の様な突部10、10を形成する事によ
り、ころ9、9の案内、並びにころ9、9の他端面と鍔
19、19aの側面との摺接部の良好な潤滑状態維持を
両立できる。
【0035】尚、図1〜3に示した実施の形態の第1例
の場合には、直径が大きな第一の円環部2の断面積を、
直径が小さな第二の円環部3の断面積よりも小さくして
いる。この様にした理由は、工作機械の主軸の回転支持
部に組み込む円筒ころ軸受として一般的に使用されてい
る、図4〜6に示す様な、内輪17、17a、17bに
鍔19、19aを設け、外輪18、18aに鍔を設けな
い構造に組み込む合成樹脂製保持器1に好適な形状とし
た為である。図4〜6に示す様な単列或は複列円筒ころ
軸受15、15a、16の場合には、ころ9、9の両端
面の内輪17、17a、17b側部分(ころ9、9のピ
ッチ円よりも内径側部分)が、上記鍔19、19aに隠
れてしまう。これに対して、本発明の合成樹脂製保持器
1の場合には、第一、第二の円環部2、3のうちの何れ
か一方の円環部の断面積を小さくする為、この断面積の
小さい円環部ところ9、9の端面との接触面積を確保で
きない。そこで、図1〜3に示した実施の形態の第1例
の場合には、ころ9、9の端面付近の空間的余裕が大き
い外輪18、18a側に存在する第一の円環部2の断面
積を、内輪17、17a、17b側に存在する第二の円
環部3の断面積よりも小さくしている。この様に構成す
る為、ころ9、9として端面中央部に凹部を設けたもの
を使用した場合でも、これら各ころ9、9の端面と前記
先端面8、8及び突部10、10との接触状態を何れも
ほぼ均一にして、これら各ころ9、9の転動を円滑に行
わせる事ができる。
【0036】又、第1例の場合には、内輪17、17
a、17b側に存在する第二の円環部3の断面積を大き
くしている。第一、第二の円環部2、3等の円環状部材
は、断面積が同じ場合でも、直径が小さい方が曲げ方向
(例えば、円環部を楕円状に変形させる方向)の力に対
する剛性が大きい。断面積の大きな円環部には、運転時
の変形並びに破断を防止する機能が要求される為、直径
が小さな第二の円環部3の断面積を、直径が大きな第一
の円環部2の断面積よりも大きくした方が、本来断面積
が大きい円環部に要求される機能を考慮した場合に有利
である。但し、図9に示す様に、内輪17cに鍔を設け
ず、外輪18bに鍔19b、19cを設けた複列円筒こ
ろ軸受16a(図示はしないが、単列円筒ころ軸受の場
合も同様)に組み込む合成樹脂製保持器1aの場合に
は、同図に示す様に、直径が大きな第一の円環部2aの
断面積を大きくし、直径が小さな第二の円環部3aの断
面積を小さくする方が好ましい。
【0037】又、図1〜3に示した実施の形態の第1例
の場合には、柱部4、4の内径側側面の一部で、直径が
大きな第一の円環部2側部分を、この第一の円環部2に
向かう程外径側に位置する方向に傾斜した内径側傾斜部
21としている。この様な内径側傾斜部21を設け、上
記各柱部4、4の円周方向両側面で上記第一の円環部2
寄り部分と、各ポケット5、5内に保持されたころ9、
9の端縁部とが対向しない様にしている。この様に構成
する事により、上記各ころ9、9がスキューする等によ
り、これら各ころ9、9と合成樹脂製保持器1とが角度
を持って接触した場合にも、これら各ころ9、9の端縁
部と上記各柱部4、4の円周方向両側面で上記第一の円
環部2寄り部分とが狭い面積で擦れ合う事を防止し、当
該部分が摩耗するのを防止する。但し、この様な不都合
を発生する可能性がなければ、図7に示す様に、柱部4
の内径側側面を、合成樹脂製保持器1bの中心軸に平行
に形成しても良い。
【0038】又、図1〜3に示した実施の形態の第1例
の場合には、柱部4、4の外径側側面の一部で、直径が
小さな第二の円環部3側部分を、この第二の円環部3に
向う程内径側に位置する方向に傾斜した外径側傾斜部2
2としている。この様な外径側傾斜部22を形成する理
由は、上記第二の円環部3の内側面と上記各柱部4、4
の他端部との結合部の剛性を適度に小さくする為であ
る。即ち、これら各結合部の剛性を低くする事により、
上記各ころ9、9を合成樹脂製保持器1の外径側から上
記各ポケット5、5内に弾性嵌合させる(押し込む)際
に、上記各柱部4、4が円周方向に変形し易くし、上記
合成樹脂製保持器1にころ9、9を組み付ける際に、こ
の合成樹脂製保持器1が破損するのを防止する。但し、
この様な不都合が発生する可能性がなければ、図7に示
す様に、柱部4の外径側側面を、合成樹脂製保持器1b
の中心軸に平行に形成しても良い。
【0039】尚、図1〜3に示した実施の形態の第1例
の場合には、内径側傾斜部21、外径側傾斜部22と
も、始点は上記各柱部4、4の軸方向のほぼ中央部に位
置させている。この様にする理由は、次の通りである。
先ず、第一、第二の円環部2、3と上記各柱部4、4と
の結合強度を高くする為には、上記各傾斜部21、22
の始点を、第一の円環部2(内径側傾斜部21の場
合)、或は第二の円環部3(外径側傾斜部22の場合)
に近づける方が有利である。これに対して、金型製作時
に不可避的に生じるばらつきによる形状的な不具合を抑
える為には、上記各傾斜部21、22の始点を、第一の
円環部2(内径側傾斜部21の場合)、或は第二の円環
部3(外径側傾斜部22の場合)から遠ざける方が有利
である。そこで、両方の要求を実用上問題のないレベル
で満足させるべく、内径側傾斜部21、外径側傾斜部2
2とも、始点を上記各柱部4、4の軸方向のほぼ中央部
に位置させた。
【0040】尚、図3、7(並びに次述する図8)に示
す直線Xは、パーティングラインと呼ばれるもので、1
対の金型素子同士の合わせ面に相当する部分である。即
ち、合成樹脂製保持器1をアキシャルドロー型により射
出成形する際には、1対の金型素子同士の組み合わせ及
び分離を容易且つ円滑に行なえる様にすべく、これら金
型素子同士の接触部をテーパ面とする必要がある。上記
パーティングラインを表す直線Xは、このテーパ面に相
当するもので、通常、製品(合成樹脂製保持器1、1
b)の中心軸に対し0〜5°傾斜している。尚、本発明
の合成樹脂製保持器1を射出成形する場合、このパーテ
ィングラインを表す直線Xの傾斜角度が大きくなる程、
第一、第二の円環部2、3の断面積を確保する事が難し
くなる。この為、上記直線Xの傾斜角度は、1〜2°程
度が好適である。
【0041】又、合成樹脂を射出成形する事により造る
製品の場合、製品の肉厚が或る程度以上大きくなると、
真空ボイドと呼ばれる欠陥が発生し易くなる。そこで、
本発明を実施する場合も、大型のころ軸受に組み込む為
の大型の合成樹脂製保持器の場合には、図8に示す様
に、断面積の大きな第二の円環部3の一部に肉盗み23
を設ける。そして、この第二の円環部3を含む各部の断
面の最大幅を1〜8mm程度、更に好適には1〜4mm程度
とする。
【0042】又、前記各ポケット5、5の円周方向両内
側面のうち、直径方向中間部の形状は、前記各円弧状凹
面12、12を設ける事により、図1に示す様に、ころ
9、9のピッチ円を跨ぐ円筒面としている。従って、こ
れら各ころ9、9から合成樹脂製保持器1の柱部4、4
に円周方向の力が作用した際にも、これら各柱部4、4
に直径方向の分力が発生しにくく、これら各柱部4、4
に発生する応力を小さくできる。但し、上記各柱部4、
4の円周方向両側面と上記各ころ9、9の転動面との間
の隙間を適正に保ち、且つ、上記各ポケット5、5内に
ころ9、9を挿入する際の押し込み力を適正にする為に
は、上記各円弧状凹面12、12による円筒面の幅寸法
に制約がある。そこで、図示の例では、上記各柱部4、
4の円周方向両側面の一部で直径方向両端部に、外径側
平坦面13、13と内径側平坦面14、14とを形成
し、これら各平坦面13、14を形成した部分では、上
記各柱部4、4の断面の幅寸法を均一にしている。
【0043】尚、本発明の合成樹脂製保持器1、1aを
複列円筒ころ軸受16、16aに使用する際には、図6
又は図9に示す様に、断面積が大きな第二の円環部3、
3(図6の場合)又は第一の円環部2a、2a(図9の
場合)同士を対向させた状態に組み立てる。この際、各
合成樹脂製保持器1、1aのポケット5、5の軸方向端
部内側面ところ9、9の軸方向端面との間の隙間を、複
列のころ9、9を保持している1対の合成樹脂製保持器
1、1(又は1a、1a)同士の間の隙間よりも大きく
する事が好ましい。各部の隙間をこの様に規制する事に
より、上記各ころ9、9から合成樹脂製保持器1(又は
1a)に軸方向に亙る異常な力が作用し、この合成樹脂
製保持器1(又は1a)が軸方向に押されても、比較的
強度が低い第一の端面側仕切部6、6に、破断に到る程
大きな応力が発生しにくくなる。即ち、上記軸方向の力
は、断面積が大きく、十分な剛性を有する第二の円環部
3、3(又は3a、3a)に圧縮方向の力として作用
し、合成樹脂製保持器1(又は1a)の損傷に到る程の
応力が発生しにくくなる。
【0044】更に、上述の様な、合成樹脂製保持器1
(又は1a)の軸方向の力により、断面積の大きな第二
の円環部3が損傷するのをより確実に防止する必要があ
る場合には、図4に示す様に内輪17の外周面に形成す
る鍔19の外半部外周面に形成した第二の鍔24によ
り、或は図5に示す様に単列円筒ころ軸受15aに近接
配置した間座25により、上記第二の円環部3をバック
アップする。
【0045】
【発明の効果】本発明のころ軸受用合成樹脂製保持器
は、以上に述べた通り構成され作用するので、ころ軸受
の組み付け状態等の使用条件にばらつきがあっても、保
持器の内部に異常な応力が発生する事を抑制できる。そ
して、保持器を損傷する事なく、合成樹脂製保持器を組
み込んだころ軸受により構成する回転支持部を有する機
械装置の高速運転を、長時間に亙り安定して行なう事が
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例の合成樹脂製保持
器を、第一の円環部の側から軸方向に見た部分側面図。
【図2】図1の拡大A矢視図。
【図3】図1の拡大B−B断面図。
【図4】本発明の実施の形態の第1例の合成樹脂製保持
器を単列円筒ころ軸受に組み込んだ状態の第1例を示
す、半部断面図。
【図5】同第2例を示す、半部断面図。
【図6】本発明の実施の形態の第1例の合成樹脂製保持
器を複列円筒ころ軸受に組み込んだ状態の1例を示す、
半部断面図。
【図7】本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同
様の図。
【図8】同第3例を示す、図3と同様の図。
【図9】本発明の実施の形態の第4例の合成樹脂製保持
器を複列円筒ころ軸受に組み込んだ状態を示す、半部断
面図。
【図10】従来の円筒ころ軸受用合成樹脂製保持器の1
例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c 合成樹脂製保持器 2、2a、2b 第一の円環部 3、3a、3b 第二の円環部 4 柱部 5 ポケット 6 第一の端面側仕切部 7 第二の端面側仕切部 8 先端面 9 ころ 10 突部 11 屈曲部 12 円弧状凹面 13 外径側平坦面 14 内径側平坦面 15、15a 単列円筒ころ軸受 16、16a 複列円筒ころ軸受 17、17a、17b、17c 内輪 18、18a、18b 外輪 19、19a、19b、19c 鍔 20 凹部 21 内径側傾斜部 22 外径側傾斜部 23 肉盗み 24 第二の鍔 25 間座

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに間隔をあけて同心且つ平行に配置
    された第一、第二の円環部と、円周方向に亙って互いに
    等間隔に配置され、一端部を上記第一の円環部の内側面
    に、他端部を上記第二の円環部の内側面に、それぞれ連
    続させた複数本の柱部と、これら各柱部の円周方向両側
    面と上記第一、第二の円環部の内側面とにより周囲を囲
    まれた部分に設けられ、それぞれの内側にころを転動自
    在に保持する複数のポケットとを備えたころ軸受用合成
    樹脂製保持器に於いて、上記第一の円環部の内径は上記
    第二の円環部の外径以上であり、第一の円環部の一部で
    上記各ポケットに対応する部分をそれぞれ第一の端面側
    仕切部とし、第二の円環部の一部で上記各ポケットに対
    応する部分をそれぞれ第二の端面側仕切部とした場合
    に、上記各第一の端面側仕切部の円周方向に亙る剛性と
    上記各第二の端面側仕切部の円周方向に亙る剛性とを互
    いに異ならせた事を特徴とするころ軸受用合成樹脂製保
    持器。
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