JP2007187207A - スラストころ軸受 - Google Patents

スラストころ軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2007187207A
JP2007187207A JP2006004300A JP2006004300A JP2007187207A JP 2007187207 A JP2007187207 A JP 2007187207A JP 2006004300 A JP2006004300 A JP 2006004300A JP 2006004300 A JP2006004300 A JP 2006004300A JP 2007187207 A JP2007187207 A JP 2007187207A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cage
peripheral edge
outer peripheral
race
roller bearing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006004300A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007187207A5 (ja
Inventor
Masahito Yoshida
雅人 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2006004300A priority Critical patent/JP2007187207A/ja
Publication of JP2007187207A publication Critical patent/JP2007187207A/ja
Publication of JP2007187207A5 publication Critical patent/JP2007187207A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】保持器3bの外周縁部が折り立て壁9aの内周面にエッジ当たりする事を防止すると共に、これら外周縁部と内周面との間に潤滑油を供給し易い構造を実現する。
【解決手段】上記保持器3bを合成樹脂製とする。又、この保持器3bの外周縁部の断面形状を、全周に亙って凸曲面とする。この構成により、この保持器3bがレース4aに対して傾斜しても、この保持器3bの外周縁部が上記折り立て壁9aの内周面にエッジ当たりする事はない。又、この保持器3bの外周縁部両側面と、上記レース4a及び、このレース4aの反対側に配置される部材との隙間を、外周縁部に向かう程大きくでき、この外周縁部と上記折り立て壁9aの内周面との間に潤滑油を供給し易くなる。
【選択図】図1

Description

この発明に係るスラストころ軸受(スラストニードル軸受を含む)は、自動車のトランスミッションやコンプレッサ等、或は、産業機械等の回転部分に加わるスラスト荷重を支承する為、この回転部分に組み付けた状態で利用する。
トランスミッション等の回転部分にはスラストころ軸受を装着して、回転軸等に加わるスラスト荷重を支承する様にしている。図5、6は、この様なスラストころ軸受の1例として、特許文献1に記載されたものを示している。このスラストころ軸受1は、放射方向に配列された複数のころ2、2(ニードルを含む)と、これら各ころ2、2を保持する保持器3と、これら各ころ2、2を両側から挟持する1対のレース4、5とから成る。このうちの保持器3は、それぞれが、鋼板等の金属板にプレス加工等の塑性加工を施す事により、断面コ字形で全体を円輪状に造られた第一、第二両保持器素子6、7を最中状に組み合わせて成り、上記各ころ2、2と同数のポケット8、8を、放射状に配列して成る。
又、上記1対のレース4、5は、それぞれが十分な硬度を有する金属板により円輪状に造られている。一般的に内輪と呼ばれる一方(図5の左方)のレース4の内周縁、並びに一般的に外輪と呼ばれる他方(図5の右方)のレース5の外周縁には、それぞれ短円筒状の折り立て壁9、10を形成している。そして、このうちの折り立て壁9の先端部複数個所は径方向外方に、折り立て壁10の先端部複数個所は径方向内方に、それぞれ折り曲げる事で、係止部11、12としている。そして、これら各係止部11、12と上記保持器3の内周縁或は外周縁とを互いに係合させて、上記スラストころ軸受1の構成部品同士を互いに不離に結合している。
上述の様に構成されるスラストころ軸受1は、例えば図5に示す様に、上記外輪と呼ばれるレース5の外周縁に形成した折り立て壁10を、ケーシング17に形成した円形凹部である保持部18に内嵌した状態で、スラスト荷重が発生する回転部分に装着する。この状態で上記レース5の右面は上記保持部18の奥面19に当接し、他方のレース4の左面は相手部材20の端面21に当接する。この結果、この相手部材20が上記ケーシング17に対し回転自在に支持されると共に、これら各部材20、17同士の間に作用するスラスト荷重が支承される。尚、上記奥面19又は上記端面21を軌道面とし、上記各レース4、5のうちの一方又は双方を省略する場合もある。
ところで、図7に示す様に、スラストころ軸受1aを組み込む回転部分によって(例えば、トルクコンバータを構成するステータとインペラ或はタービンとの間)は、この回転部分を構成するケーシング17aと相手部材20aとが、使用時に、互いに偏心する場合がある。尚、図7の例の場合、上述の図5の構造と異なり、上記ケーシング17aを構成する保持部18aの一部が、上記スラストころ軸受1aの内径側に突出している。この為、上記ケーシング17a側に配置したレース5aの内周縁部に折り立て壁10aを、上記相手部材20a側に配置したレース4aの外周縁部に折り立て壁9aを、それぞれ形成している。そして、このうちの折り立て壁10aを上記保持部18aの一部に外嵌している。又、上記レース5aの肉厚を上記レース4aの肉厚よりも大きくして、このレース5aの剛性を高くしている。この様に、レース5aの剛性を高くする事によって、上記保持部18aの奥面19aに導油溝(図示省略)が形成されていても、上記レース5aの変形を防止できる。
上記ケーシング17aと相手部材20aとの偏心に伴い、これら両部材17a、20aの間に配置したスラストころ軸受1aの両レース4a、5a同士も互いに偏心する。この様に、両レース4a、5a同士が互いに偏心した場合、図7の上半部に示す様に、これら両レース4a、5aにそれぞれ設けた折り立て壁9a、10aが、円周方向の一部で互いに近づく。これに対して、直径方向反対位置では、図7の下半部に示す様に、上記両折り立て壁9a、10aが互いに離れる。そして、図7の上半部に示した様に、保持器3の一部がこれら両折り立て壁9a、10aに挟み込まれ、この保持器3の内周縁部及び外周縁部が、これら両折り立て壁9aの内周面及び折り立て壁10aの外周面と強く接触する可能性がある。
上記保持器3は、前述の図5、6の構造と同様に金属製であり、上記両レース4a、5aも金属製である為、上述の様に、保持器3の外周縁部及び内周縁部と両折り立て壁9a、10aとが接触した場合、この接触部で摩耗が生じ易い。そして、金属の摩耗粉が軸受内部に入り込み、レース面或はころ6の転動面に早期剥離等の損傷が生じて軸受寿命が低下する可能性がある。又、上記折り立て壁9aの内周面或は折り立て壁10aの外周面、或は、上記保持器3の外周縁部或は内周縁部で、摩耗進行により硬化層が摩滅し、破損、焼き付き等が生じる可能性もある。又、図7からも明らかな様に、上記保持器3が上記両レース4a、5aに対して偏心している為、これら両レース4a、5aの相対回転に伴い、上記保持器3が調心しようとして振れ回る場合もある。この場合には、この保持器3が、外周縁部或は内周縁部を、上記折り立て壁9aの内周面或は折り立て壁10aの外周面に衝突させながら回転する。この結果、上記保持器3が塑性変形したり、破損したりする可能性がある。
又、スラストころ軸受1aを構成する保持器3の両側面とレース4a、5aとの間には、隙間が存在する。即ち、これら保持器3と両レース4a、5aとは、運転時に相対回転する。又、各ころ2の転動面とこれら両レース4a、5aのレース面との間に潤滑油を供給する必要がある。この為、上記保持器3の両側面とこれら両レース4a、5aとの間には隙間を設ける必要がある。この様に、保持器3と両レース4a、5aとの間に隙間が存在すると、この保持器3がこれら両レース4a、5aの中心軸に対して傾斜する場合がある。そして、この場合には、例えば、図8に示す様に、保持器3の外周縁部が、レース4aを構成する折り立て壁9aの内周面に対してエッジ当たりする。
即ち、前述の図5、6及び上述の図7、8に示す保持器3の場合、金属製の第一、第二両保持器素子6、7を重ね合わせて成る。これら第一、第二両保持器素子6、7の外周縁部には、第一外径側円筒部13或は第二外径側円筒部14が、内周縁部には、第一内径側円筒部15或は第二内径側円筒部16が、それぞれ形成されている。そして、上記第一、第二保持器素子6、7を重ね合わせる際には、上記第一外径側円筒部13に上記第二外径側円筒部14を外嵌すると共に、上記第二内径側円筒部16に上記第一内径側円筒部15を外嵌する。図示の例の場合、このうちの第二内径側円筒部16の先端部を径方向外方にかしめる事により、上記第一、第二保持器素子6、7同士の分離を防止している。これに対して、上記第一外径側円筒部13に外嵌する上記第二外径側円筒部14の先端部は、特にかしめたりしてはいない。従って、保持器3が両レース4、5(図5の構造の場合)或は両レース4a、5a(図7、8の構造の場合)の中心軸に対して傾斜した場合には、上記第二外径側円筒部14の先端部が、折り立て壁10(図5の構造の場合)或は折り立て壁9a(図7、8の構造の場合)の内周面にエッジ当たりする。
上述の様に、保持器3の外周縁部(即ち、第二保持器素子14の先端部)が折り立て壁10或は9aの内周面にエッジ当たりすると、これら保持器3及び折り立て壁10或は9aは、それぞれ金属製である為、互いに摩耗が著しく進行し易い。そして、前述した様な、摩耗進行による硬化層の摩滅、破損、焼き付き等の問題がより生じ易くなる。尚、保持器3の内周縁部を構成する第二内径側円筒部16の先端部をかしめていない構造の場合(例えば、第二外径側円筒部14の先端部をかしめて、第一、第二保持器素子6、7同士の分離防止を図っている構造の場合)、上述の保持器3の外周縁部と折り立て壁10或は9aの内周面の場合と同様に、やはり、折り立て壁9(図5の構造の場合)或は折り立て壁10a(図7の構造の場合)の外周面との間でエッジ当たりすると言う問題が生じる。
更に、保持器3と両レース4、5或は4a、5aとを、上述した様に、非分離とする構造の場合、この保持器3の内周縁部或は外周縁部と、これら両レース4、5或は4a、5aの折り立て壁9、10或は9a、10aとの間に潤滑油が行きにくい。即ち、保持器3の内周縁部及び外周縁部は、それぞれ第一、第二保持器素子6、7の内周縁部或は外周縁部をそれぞれ直角に折り曲げて成る、第一、第二内径側円筒部15、16と、第一、第二外径側円筒部13、14とから構成される。従って、上記保持器3と上記レース4、5或は4a、5aとの隙間は、この保持器3の内周縁部及び外周縁部に至るまで狭くなる。この為、例えば、図9に矢印で示す様に、潤滑油がスラストころ軸受1aの中心側から供給された場合、この潤滑油が保持器3の外周縁部及び内周縁部と、折り立て壁9a、10aとの間まで行き渡りにくくなる。この結果、これら外周縁部或は内周縁部とこれら折り立て壁9a、10aとの接触部で生じる摩耗がより進行し易い。更に、上記保持器3の外周縁部及び内周縁部と、上記折り立て壁9a、10aの基部や各係止部11、12の基部に存在する曲面部とが干渉し易くなる。
尚、特許文献2には、保持器の内外両周縁部と両折り立て壁の外周面或は内周面との間に弾性材を配置して、両レース同士の偏心により、この保持器の内外両周縁部と上記両折り立て壁の外周面或は内周面とが強く接触する事を防止する構造が記載されている。この様な特許文献2に記載された構造の場合、上記弾性材を設ける分、部品点数が増える。この為、スラストころ軸受の製造コストが増大する。
これに対して、図10に示す様に、スラストころ軸受1bを構成する保持器3aを合成樹脂製とすれば、製造コストを増大させる事なく、この保持器3aの周縁部とレースの折り立て壁とが摺接する事によるこの折り立て壁の摩耗を防止し、軸受寿命の低下を抑える事ができる。即ち、上記保持器3aが合成樹脂製である為、この保持器3aの周縁部とエッジ当たりする上記折り立て壁に摩耗が生じる事はない。又、この保持器3a自体は摩耗するが、摩耗粉は合成樹脂である為、軸受内に侵入してもころ2、2の転動面やレース面を傷付ける事はない。この結果、製造コストを増大させる事なく、軸受寿命の低下を抑える事ができる。但し、上記図10の構造の場合、保持器3aの内周縁部及び外周縁部の断面形状を矩形としている為、保持器3aが、前述の図8に示した様に、レースに対して傾斜した場合には、この保持器3aの内周縁部或は外周縁部が、このレースを構成する折り立て壁とエッジ当たりする事は避けられない。又、図10に示す構造の様に、保持器3aの内周縁部及び外周縁部の隅部に面取りを施したり、この隅部のみを曲面としても、上記エッジ当たりによる摩耗増大を十分に防ぐ事はできない。
又、上記図10の構造の場合、前述の図9に示した構造の様に、各ころ2、2を1対のレースで挟持した場合、保持器3aとこれら両レースとの間の隙間が、この保持器3aの周縁部に至るまで狭くなる為、この保持器3aの周縁部と折り立て壁との間に潤滑油が行き渡りにくい。この結果、この保持器3aの周縁部とこの折り立て壁との摺接部の潤滑が不十分となり、この保持器3aの周縁部の摩耗が著しく増大して、この保持器3aが破損する可能性がある。又、この保持器3aの周縁部と上記折り立て壁との摩擦トルクが増大し易い。
尚、上述した各構造では、スラストころ軸受として、レースを備えた構造に就いて述べたが、レースの双方を省略した構造でも、やはり、上述した様な、エッジ当たりによる摩耗増大、潤滑油不足等の問題が生じ得る。具体的には、前述の図5にした構造で、ケーシング17の奥面19又は相手部材20の端面21を軌道面とし、各レース4、5の双方を省略した場合が相当する。この場合、保持器3の外周縁部(即ち、第二外径側円筒部14の先端部)が、上記ケーシング17の保持部18の壁面22とエッジ当たりする可能性がある。そして、この様にエッジ当たりが生じると、上記ケーシング17が金属製である場合には、この壁面22と上記保持器3の外周縁部との当接部で摩耗が著しく増大し易い。又、この保持器3の外周縁部両側面と上記奥面19及び端面21との隙間が、この保持器3の外周縁部に至るまで小さい為、やはり、潤滑油がこの保持器3の外周縁部と上記壁面22との摺接部に行き渡りにくくなり、この摺接部での摩耗が更に増大し易い。この様に、レースが存在しなくても、前述した様な問題が生じ得る。
特に、近年、自動車等の各種機械の回転部分の高速化が図られている事に伴い、この回転部分に組み込むスラストころ軸受の回転速度も上昇する傾向となっている為、上述した様な問題の発生を防止する事が、より重要となる。
特開平8−109925号公報 特開平9−137824号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、保持器の周縁部が、この周縁部と対向する、折り立て壁の周面やケーシングの壁面等の相手面に、エッジ当たりする事を防止すると共に、これら周縁部と相手面との間に潤滑油を供給し易い構造を実現すべく発明したものである。
本発明のスラストころ軸受は、前述の図5〜10に示した従来構造と同様に、保持器と、複数本のころとを備える。
このうちの保持器は、円輪状で、それぞれが放射方向に長い矩形のポケットを円周方向複数個所に設けている。
又、上記各ころは、これら各ポケット内に転動自在に設けられている。
特に、本発明のスラストころ軸受に於いては、上記保持器は合成樹脂製であり、この保持器の内周縁部と外周縁部とのうち、少なくとも一方の周縁部のこの保持器の中心軸を含む断面の形状を、全周に亙って凸曲面としている。
又、本発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様なレースを有するスラストころ軸受の場合、このレースと保持器とを不離に結合すべく、このレースを構成する各係止部と、断面形状を凸曲面とした、上記一方の周縁部とを係合させる。
上記レースは、全体が円輪状で、周縁部を軸方向に折り曲げて形成された折り立て壁と、この折り立て壁の先端部の円周方向複数個所を径方向に折り曲げて形成された係止部とを備えるものである。そして、上記レースと上記保持器とを不離に結合すべく、これら各係止部とこの保持器の一方の周縁部とを係合させている。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、保持器を構成する合成樹脂を、自己潤滑性を有するもの(例えば、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、PA:ポリアミド、PPS:ポリフェニレンサルファイド等)とする。
上述の様に構成する本発明のスラストころ軸受の場合には、保持器を金属と比べて硬度が低い合成樹脂製としている為、この保持器の周縁部と、折り立て壁の周面やケーシングの保持部を構成する壁面等の相手面とが強く接触しても、この相手面が摩耗する事はない。尚、これら保持器と相手面との接触により、この保持器の周縁部が摩耗する事は避けられない。但し、摩耗粉は硬度の低い合成樹脂である為、この摩耗粉が軸受内部に侵入しても、レース面或はころの転動面に損傷を与える事はない。
又、スラストころ軸受が、1対のレースを有し、これら両レースと保持器とが不離に結合されているものである場合、これら両レース同士の偏心により、保持器が、これら両レースの内周縁部或は外周縁部にそれぞれ形成した折り立て壁に挟み込まれて、この保持器に大きな圧縮力が作用する場合がある。この様な場合でも本発明によれば、この保持器が合成樹脂製である為、弾性変形してこの圧縮力により生じる応力を緩和する。又、金属製の保持器と比べて軽量に(慣性質量を小さく)できる為、振れ回りによる衝突力を軽減できる。この結果、この保持器が塑性変形する事を抑えられる。
又、本発明の場合、少なくとも保持器の一方の周縁部の断面形状を凸曲面としている為、この一方の周縁部が相手面に対してエッジ当たりする事はない。例えば、請求項2に記載した様に、レースを有するスラストころ軸受で、上記一方の周縁部が各係止部と係合する場合、上記相手面はこれら各係止部を形成した折り立て壁の周面となる。この場合、上記保持器が上記レースに対して傾斜しても、この折り立て壁の周面に対してこの保持器の一方の周縁部がエッジ当たりする事はない。又、この保持器とレース或はケーシング等の部材との間の隙間が、周縁部に向かう程大きくできる為、この周縁部と上記相手面との間に潤滑油が行き渡り易くなる。この結果、上記保持器の周縁部の摩耗を抑え、この保持器が破損する事を防止できる。又、これら周縁部と相手面とが摺接した場合でも、これら周縁部と相手面との接触面積が小さい為、この摺接による摩擦抵抗を小さくできる。この結果、スラストころ軸受の動トルクの低減を図れる。更に、上記保持器の周縁部と、上記折り立て壁或はケーシング等の部材の基部や上記各係止部の基部に存在する曲面部との干渉を防止できる。
又、請求項3に記載した様に、保持器を構成する合成樹脂を自己潤滑性を有するものとすれば、上記保持器の周縁部と、上記折り立て壁の周面や保持部の壁面等の相手面との接触部に於ける摩耗を、より低減できる。又、これと共に、これら各接触部の摩耗係数を小さくして、スラストころ軸受の動トルクの低減を、より図れる。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のスラストころ軸受1cは、保持器3bと、複数本のころ2、2と、レース4aとを備える。このうちの保持器3bは、円輪状で、それぞれが放射方向に長い矩形のポケット8、8を円周方向複数個所に設けている。又、上記各ころ2、2は、これら各ポケット8、8内に転動自在に設けられている。又、上記レース4aは、金属製で、片側面(図1の上面)を、上記各ころ2、2の転動面と転がり接触するレース面(スラスト軌道面)としている。
又、本例の場合、上記各ころ2、2及び上記保持器4aと反対側にはレースを設けずに、例えば、ケーシング17の保持部18或は相手部材20(図5参照)に、直接レース面を設けている。従って、前述の図5に示した回転部分に、上記スラストころ軸受1cを組み込んだ場合、上記各ころ2、2は、上記レース4aのレース面と、上記ケーシング17或は相手部材20に設けたレース面との間に挟持される。又、上記レース4aは、外周縁部に折り立て壁9aを形成し、この折り立て壁9aの先端部複数個所に係止部11、11を形成して、これら各係止部11、11と保持器3bの外周縁部とを係合させている。この結果、この保持器3bと上記レース4aとを不離に結合している。
特に、本例の場合、上記保持器3bの周縁部のうち、上記折り立て壁9aの内周面と対向する外周縁部の、この保持器3bの中心軸を含む断面の形状(以下、単に「断面形状」と言う。)を、全周に亙って凸曲面としている。図示の例の場合、この外周縁部の断面形状を円弧状としているが、凸曲面であれば他の形状、例えば、楕円形状や、複数の異なる曲率を有する円弧を滑らかに連続させた形状とする事もできる。一方、上記保持器3bの内周縁部の断面形状は、外周縁部の様に折り立て壁と対向しない為、凸曲面とはしていない。但し、両側面を内周縁に向かう程互いに近づく様に傾斜したテーパ面として、上記保持器3bの内周縁部の断面形状をくさび状としている。これにより、スラストころ軸受1cの中心部から潤滑油が供給される場合に、この潤滑油が外径側に流れ易くなる。
即ち、上記保持器3bの内周縁部両側面と、上記レース4aのレース面或は前記ケーシング17或は相手部材20に設けたレース面との間の隙間を、潤滑油の導入側(即ち、保持器3bの内径側)に向かう程大きくできる為、この潤滑油を取り込み易い。この結果、前記各ころ2、2と上記両レース面との転がり接触部に、更には、上記保持器3bの外周縁部と上記折り立て壁9aの内周面との摺接部に、それぞれ十分量の潤滑油を供給し易くなる。そして、これら接触部及び摺接部の潤滑を十分に図り易くなる。
又、本例の場合、上記保持器3bを構成する合成樹脂としては、自己潤滑性を有するものを使用している。自己潤滑性を有する合成樹脂として好ましくは、強度や耐熱性を考慮して、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用する。
上述の様に構成する本例のスラストころ軸受1cの場合には、保持器3bを金属と比べて硬度が低い合成樹脂製としている為、折り立て壁9aの内周面と、この保持器3bの外周縁部とが強く接触しても、この折り立て壁9aの内周面が摩耗する事はない。尚、これら保持器3bと折り立て壁9aとの接触により、この保持器3bの外周縁部が摩耗する事は避けられない。但し、摩耗粉は硬度の低い合成樹脂である為、この摩耗粉が軸受内部に侵入しても、レース面或は各ころ2、2の転動面に損傷を与える事はない。又、本例の保持器3bは、金属製の保持器と比べて軽量にできる為、振れ回りによる衝突力を軽減できる。この結果、この保持器3bが塑性変形する事を抑えられる。
又、本例の場合、上記折り立て壁9aと対向する、上記保持器3bの外周縁部の断面形状を凸曲面としている為、図2に示す様に、この保持器3bがレース4aの中心軸に対して傾斜しても、この保持器3bの外周縁部が上記折り立て壁9aの内周面とエッジ当たりする事はない。又、この保持器3bの外周縁部両側面と上記レース4a及び前記ケーシング17或は相手部材10との間の隙間を、外周縁部に向かう程大きくできる為、この外周縁部と上記折り立て壁9aとの間に潤滑油が行き渡り易くなる。又、上記保持器3bを構成する合成樹脂が自己潤滑性を有するものである為、この保持器3bの外周縁部と、上記折り立て壁9aの内周面との接触部に於ける摩耗を、より低減できる。この結果、上記保持器3bの外周縁部の摩耗を抑え、この保持器3bが破損する事を防止できる。又、本例の場合、この保持器3bの外周縁部を凸曲面としている為、上記折り立て壁9aの基部や前記各係止部11、11の基部に存在する曲面部との干渉を防止できる。
又、本例の場合、上記保持器3bの外周縁部と上記折り立て壁9aとが摺接した場合でも、これら外周縁部と折り立て壁9aとの接触面積が小さい為、この摺接による摩擦抵抗を小さくできる。更に、上記保持器3bを構成する合成樹脂が自己潤滑性を有している為、この保持器3bの外周縁部と上記折り立て壁10の内周面との接触部の摩擦係数を小さくできる。この結果、スラストころ軸受1cの動トルクの低減を図れる。
[実施の形態の第2例]
図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、保持器3cの内周縁部の断面形状も、全周に亙って凸曲面としている。即ち、本例のスラストころ軸受1dは、各ころ2、2を1対のレース4a、5aにより挟持する構造としている。これら両レース4a、5aの外周縁部或は内周縁部にそれぞれ折り立て壁9a、10aを形成し、これら各折り立て壁9a、10aの先端部複数個所に、係止部11、12をそれぞれ形成している。そして、これら各係止部11、12と上記保持器3cの内周縁部或は外周縁部とを係合させ、この保持器3cと上記両レース4a、5aとを不離に結合している。この様な構成を有する本例の場合、この保持器3cの内周縁部及び外周縁部が上記折り立て壁9a、10aにそれぞれ対向する。従って、本例の場合、この保持器3cの外周縁部だけではなく、内周縁部も断面形状を凸曲面としている。又、本例の場合も、上述の第1例と同様に、上記保持器3cを自己潤滑性を有する合成樹脂製としている。
本例の場合、上述の様に、保持器3cの内外両周縁部と上記折り立て壁9a、10aとが対向している為、上記両レース4a、5aの偏心により、上記保持器3cがこれら折り立て壁9a、10aに挟み込まれて、これら折り立て壁9a、10aと、この保持器3cの内外両周縁部とが強く接触する可能性がある。但し、本例の場合には、この保持器3cを合成樹脂製としている為、この様に保持器3cの内外両周縁部と折り立て壁9a、10aとが強く接触しても、この保持器3cが塑性変形したり、これら折り立て壁9a、10aの内周面或は外周面が摩耗したりする事を抑えられる。
即ち、上記折り立て壁9aの内周面、或は、折り立て壁10aの外周面と、上記保持器3cの内外両周縁部とが強く接触しても、この保持器3cが弾性変形して、この接触により生じる応力を緩和する。又、この保持器3cの内外両周縁部の断面形状を凸曲面としている為、これら両周縁部が上記折り立て壁9a、10aとエッジ当たりする事を防止できる。更に、これら両周縁部とこれら折り立て壁9a、10aとの摺接部に、それぞれ潤滑油が行き渡り易くなる為、これら各摺接部の摩擦抵抗を抑えられる。この結果、上記保持器3cが塑性変形する事を抑えられると共に、上記折り立て壁9aの内周面及び折り立て壁10aの外周面の摩耗を抑えられる。その他の構造及び作用は、上述の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
図4は、請求項1、3のみに対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、前述の第1例及び上述の第2例と異なり、レースを備えていない。即ち、本例のスラストころ軸受1eを、例えば、前述の図5に示した従来構造の回転部分に組み込んだ状態では、ケーシング17の奥面19と相手部材20の端面21とが、それぞれレース面を構成する。又、本例のスラストころ軸受1eを構成する保持器3dは、上述の第2例と同様に、内周縁部及び外周縁部の断面形状をそれぞれ凸曲面としている。従って、本例のスラストころ軸受1dは、回転部分に組み込んだ状態で、内周縁部と外周縁部とが、それぞれケーシング等の壁面に対向する構造に適用する。尚、何れかの周縁部のみがケーシング等の壁面に対向する場合には、この周縁部の断面形状のみを凸曲面とする事もできる事は言うまでもない。その他の構造及び作用は、前述の第1例及び上述の第2例と同様である。
本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。 保持器がレースに対して傾斜した状態を示す、図1のA部拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を示す断面図。 同第3例を示す断面図。 スラストころ軸受の従来構造の第1例を、回転部分に組み込んだ状態で示す部分断面図。 図5のスラストころ軸受からころ及び保持器を取り出して示す断面図。 スラストころ軸受を設置した回転支持部の両端部を、偏心が生じた状態で示す、拡大断面図。 保持器がレースに対して傾斜した状態を、図7の上半部から一方のレース、保持器及びころを取り出して示す図。 スラストころ軸受の潤滑油の経路を示す断面図。 スラストころ軸受の従来構造の第2例を示す断面図。
符号の説明
1、1a、1b、1c、1d、1e スラストころ軸受
2 ころ
3、3a、3b、3c、3d 保持器
4、4a レース
5、5a レース
6 第一保持器素子
7 第二保持器素子
8 ポケット
9、9a 折り立て壁
10、10a 折り立て壁
11 係止部
12 係止部
13 第一外径側円筒部
14 第二外径側円筒部
15 第一内径側円筒部
16 第二内径側円筒部
17、17a ケーシング
18、18a 保持部
19、19a 奥面
20、20a 相手部材
21 端面
22 壁面

Claims (3)

  1. それぞれが放射方向に長い矩形のポケットを円周方向複数個所に設けた円輪状の保持器と、これら各ポケット内に転動自在に設けられた複数本のころとを備えたスラストころ軸受に於いて、この保持器は合成樹脂製であり、この保持器の内周縁部と外周縁部とのうち、少なくとも一方の周縁部のこの保持器の中心軸を含む断面の形状を、全周に亙って凸曲面とした事を特徴とするスラストころ軸受。
  2. 全体が円輪状で、周縁部を軸方向に折り曲げて形成された折り立て壁と、この折り立て壁の先端部の円周方向複数個所を径方向に折り曲げて形成された係止部とを備えたレースを有するスラストころ軸受であって、このレースと保持器とを不離に結合すべく、これら各係止部とこの保持器の一方の周縁部とを係合させている、請求項1に記載したスラストころ軸受。
  3. 保持器を構成する合成樹脂が自己潤滑性を有するものである、請求項1又は請求項2に記載したスラストころ軸受。
JP2006004300A 2006-01-12 2006-01-12 スラストころ軸受 Pending JP2007187207A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006004300A JP2007187207A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 スラストころ軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006004300A JP2007187207A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 スラストころ軸受

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007187207A true JP2007187207A (ja) 2007-07-26
JP2007187207A5 JP2007187207A5 (ja) 2009-02-05

Family

ID=38342512

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006004300A Pending JP2007187207A (ja) 2006-01-12 2006-01-12 スラストころ軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007187207A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101813125A (zh) * 2010-04-23 2010-08-25 高黎明 保持架不从动且外圈开口的滚针轴承
JP2012077761A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Nsk Ltd スラスト玉軸受
WO2016017629A1 (ja) 2014-07-28 2016-02-04 日本精工株式会社 スラスト軸受及びその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01168016U (ja) * 1988-05-19 1989-11-27
JPH024026U (ja) * 1988-06-22 1990-01-11
JPH0349418U (ja) * 1989-09-20 1991-05-14
JP2004347025A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Nsk Ltd スラストニードル軸受用の保持器及びスラストニードル軸受

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01168016U (ja) * 1988-05-19 1989-11-27
JPH024026U (ja) * 1988-06-22 1990-01-11
JPH0349418U (ja) * 1989-09-20 1991-05-14
JP2004347025A (ja) * 2003-05-22 2004-12-09 Nsk Ltd スラストニードル軸受用の保持器及びスラストニードル軸受

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101813125A (zh) * 2010-04-23 2010-08-25 高黎明 保持架不从动且外圈开口的滚针轴承
JP2012077761A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Nsk Ltd スラスト玉軸受
WO2016017629A1 (ja) 2014-07-28 2016-02-04 日本精工株式会社 スラスト軸受及びその製造方法
KR20170021346A (ko) 2014-07-28 2017-02-27 닛본 세이고 가부시끼가이샤 트러스트 베어링 및 그 제조 방법
US10036420B2 (en) 2014-07-28 2018-07-31 Nsk Ltd. Thrust bearing and manufacturing method for same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5870563B2 (ja) 転がり軸受用保持器、及び転がり軸受
EP2787231B1 (en) Prong type cage for double row roller bearing and double row roller bearing
WO2007142001A1 (ja) ころおよびスラストころ軸受
JP2008057762A (ja) 玉軸受
JP4661424B2 (ja) 回転支持部
JP2007187207A (ja) スラストころ軸受
US20160025134A1 (en) Cage for angular ball bearing
JPH1151061A (ja) ころ軸受用合成樹脂製保持器
JP2006242199A (ja) スラストころ軸受
JP2009275719A (ja) 深溝玉軸受
JP2006112555A (ja) 調心輪付きころ軸受
WO2013018654A1 (ja) ラジアル玉軸受
JP2009275722A (ja) 転がり軸受
JP5050910B2 (ja) 玉軸受用保持器、及び玉軸受
JP2009180239A (ja) ラジアル転がり軸受
JP2006214533A (ja) スラスト円筒ころ軸受
JP2007100775A (ja) スラスト円筒ころ軸受
WO2024019012A1 (ja) 外輪案内保持器付き玉軸受および偏心回転装置
JP2002303326A (ja) 転がり軸受用保持器及び転がり軸受
JP2008111505A (ja) スラスト針状ころ軸受
JP2011112201A (ja) 玉軸受
JP2010060008A (ja) 遊星歯車機構のころ軸受
JP2005098415A (ja) 斜板式圧縮機用のスラストころ軸受
JP2008032069A (ja) 2分割ころ軸受
JPH11325080A (ja) ラジアル玉軸受用保持器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081212

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100311

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100316

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100810