JP2010060008A - 遊星歯車機構のころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】保持器の外周面や内周面が、遊星歯車や中心軸に接触することを抑制して保持器の摺動抵抗を低減することができる遊星歯車機構のころ軸受を提供する。
【解決手段】遊星歯車機構の遊星歯車4の中心孔5と中心軸6との間に組み込まれる複数のころ11と保持器20とを備える。保持器20は、第1、第2の円環部21、22と、複数のポケット23を区画形成する複数の柱部30とを備える。複数の柱部30の対向面には、内径側が狭く外径側に向かってしだいに拡開される傾斜状のころ接触面41を有するころ止め突起40がそれぞれ突設される。保持器20の外周面と遊星歯車4の中心孔5の内周面との間の隙間寸法をAとし、保持器20の内周面と中心軸6の外周面との間の隙間寸法をBとし、ころ止め突起40のころ接触面41ところ11の外周面との間の隙間寸法をCとしたときに、「A>C<B」の関係となるように設定されている。
【選択図】図4

Description

この発明は遊星歯車機構のころ軸受に関する。
遊星歯車機構において、遊星歯車(プラネタリギヤ)は、キャリアに組み付けられる中心軸の外周にころ軸受を介して回転可能に支持される。そして、遊星歯車は、太陽歯車(サンギヤ)とリングギヤとの相互に噛み合った状態で、中心軸回りに自転しながら太陽歯車回りに公転するようになっている。
また、ころ軸受(針状ころ軸受も含む)は、遊星歯車の中心孔と中心軸との間に組み込まれる複数のころと、これら複数のころを転動可能に保持する保持器とを備えている。
なお、遊星歯車機構のころ軸受としては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開平8−312650号公報
ところで、前記した従来の遊星歯車機構のころ軸受において、保持器の外径寸法は、遊星歯車の中心孔の内径寸法よりも僅かに小さく設定され、同保持器の内径寸法は、中心軸の外径寸法よりも大きく設定される。そして、保持器の内周面と中心軸の外周面との間の隙間寸法が、保持器の外周面と遊星歯車の中心孔の内周面との間の隙間寸法よりも大きくなっている。
このため、遊星歯車が中心軸回りに自転しながら太陽歯車回りに公転する際の遠心力を保持器が受けると、その遠心力が作用する方向へ保持器が移動し、保持器の外周面の片側(保持器の外周面の移動方向の前側)が遊星歯車の中心孔の内周面に接触する。これによって、保持器の摺動抵抗が大きくなってトルク損失をまねく恐れがある。
また、ころ軸受の保持器が、遠心力を受けて自身の質量で楕円形に変形した場合には、保持器の外周面の片側が遊星歯車の中心孔の内周面に面接触するため、保持器の摺動抵抗が一層大きくなる。
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、保持器の外周面や内周面が遊星歯車や中心軸に接触することを抑制して保持器の摺動抵抗を低減することができる遊星歯車機構のころ軸受を提供することである。
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る遊星歯車機構のころ軸受は、遊星歯車機構の遊星歯車の中心孔と中心軸との間に組み込まれる複数のころと保持器とを備えたころ軸受であって、
前記保持器は、軸方向に所定間隔で配置された第1、第2の円環部と、これら第1、第2の円環部を連結すると共に、前記複数のころをそれぞれ個別に収納する複数のポケットを区画形成する複数の柱部とを備え、
前記複数の柱部の対向面には、内径側が狭く外径側に向かってしだいに拡開された傾斜状のころ接触面を有するころ止め突起がそれぞれ突設され、
前記保持器の外周面と前記遊星歯車の中心孔の内周面との間の隙間寸法をAとし、前記保持器の内周面と前記中心軸の外周面との間の隙間寸法をBとし、前記ころ止め突起のころ接触面と前記ころの外周面との間の隙間寸法をCとしたときに、「A>C<B」の関係となるように設定されていることを特徴とする。
前記構成によると、遊星歯車が中心軸回りに自転しながら太陽歯車回りに公転する際の遠心力を保持器が受けると、その遠心力が作用する方向へ保持器が移動する。この際、保持器が移動する方向の前側に位置するころ止め突起のころ接触面がころの外周面に接触することで、保持器の移動が止められる。
これによって、保持器の外周面の前側(移動方向の前側)が遊星歯車の中心孔の内周面に接触したり、あるいは、保持器の内周面の反対側(後側)が中心軸の外周面に接触することが抑制される。
また、ころ止め突起のころ接触面ところの外周面とは線接触状態であるため、当該部分の保持器の摺動抵抗は、従来の保持器の外周面と遊星歯車の中心孔の内周面との接触及び、保持器の内周面と中心軸の外周面との接触による摺動抵抗と比べ小さくすることができ、トルク損失の軽減に効果が大きい。
また、ころ止め突起が柱部の対向面の軸方向全長にわたることなく軸方向に短尺に形成される場合には、ころの外周面との摺動抵抗をより一層軽減することができる。
請求項2に係る遊星歯車機構のころ軸受は、請求項1に記載の遊星歯車機構のころ軸受であって、
保持器の外径寸法は、複数のころのピッチ円寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする。
前記構成によると、遠心力が作用する方向へ保持器が移動する際に、保持器の外周面の前側(移動方向の前側)が遊星歯車の中心孔の内周面に接触することを良好に防止することができる。
請求項3に係る遊星歯車機構のころ軸受は、請求項1又は2に記載の遊星歯車機構のころ軸受であって、
ころ止め突起のころ接触面には油溝が凹設されていることを特徴とする。
前記構成によると、ころ止め突起のころ接触面に凹設された油溝によって潤滑性を保つことが可能となり、ころの外周面との摺動抵抗の軽減を図ることができると共に、耐摩耗性、耐焼付き性の向上を図ることができる。
この発明を実施するための最良の形態について実施例にしたがって説明する。
〔実施例1〕
この発明の実施例1を図面にしたがって説明する。
図1はこの発明の実施例1に係る遊星歯車機構を簡略化して示す説明図である。図2は遊星歯車と中心軸との間にころ軸受が組み付けられた状態を示す縦断面図である。図3は保持器の一部を拡大して示す斜視図である。図4は保持器の柱部の対向面に形成されたころ止め突起ところとの関係を示す横断面図である。図5は保持器のポケットを外径側から示す展開図である。
図1に示すように、自動車のオートマチックトランスミッションに採用される遊星歯車機構1は、周知のように、太陽歯車(サンギヤ)2、リングギヤ3及び複数の遊星歯車(プラネタリギヤ)4を備えて構成される。
図2に示すように、遊星歯車4は、キャリア8に組み付けられる中心軸6の外周にころ軸受(針状ころ軸受も含む)10を介して回転可能に支持される。
そして、遊星歯車4は、太陽歯車2とリングギヤ3との相互に噛み合った状態で、中心軸6回りに自転しながら太陽歯車2回りに公転するようになっている。
ころ軸受10は、遊星歯車4の中心孔5の内周面を外輪軌道面とし、中心軸6の外周面を内輪軌道として、これら両者間の環状の隙間に組み込まれた複数のころ11と、これら複数のころ11を転動可能に保持する保持器20とを備えている。
図3〜図5に示すように、保持器20は、軸方向に所定間隔で配置された第1、第2の円環部21、22と、これら第1、第2の円環部2122を連結すると共に、複数のころ11をそれぞれ個別に収納する複数のポケット23を区画形成する複数の柱部30とを一体に備えている。
図4に示すように、複数の柱部30の対向面には、内径側が狭く外径側に向かってしだいに拡開された傾斜状のころ接触面41を有するころ止め突起40がそれぞれ突設されている。
この実施例1において、ころ止め突起40は、軸方向に所定間隔を隔てる各2箇所に短尺状をなして形成されている。
さらに、ころ止め突起40のころ接触面41の幅方向(軸方向)の中央部には、ころ接触面41の傾斜面に沿って油溝42が凹設されている。
図4に示すように、保持器20の外周面や内周面が、遊星歯車4の中心孔5の内周面や中心軸6のが外周面に接触することを抑制するために、保持器20の外周面と遊星歯車4の中心孔5の内周面との間の隙間寸法をAとし、保持器20の内周面と中心軸6の外周面との間の隙間寸法をBとし、ころ止め突起40のころ接触面41ところ11の外周面との間の隙間寸法をCとしたときに、「A>C<B」の関係となるように設定されている。
また、この実施例1において、保持器20の外径寸法は、複数のころ11のピッチ円(PCD)寸法よりも小さく設定されている。
なお、保持器20は金属材料又は耐摩耗性及び耐熱性を有する合成樹脂材料によって形成される。
上述したように構成されるこの実施例1に係る遊星歯車機構のころ軸受において、遊星歯車4が、その中心軸6の軸回りに自転しながら太陽歯車2の歯車回りに公転する際の遠心力を保持器20が受けると、その遠心力が作用する方向(図4において矢印P方向)へ保持器20が移動する。
この際、保持器20が移動する方向の前側に位置するころ止め突起40のころ接触面41がころ11の外周面に接触することで、これ以上の保持器20の移動が止められる。
これによって、保持器20の外周面の移動方向の前側20aが遊星歯車4の中心孔5の内周面5aに接触したり、あるいは、保持器20の内周面の移動方向後側が中心軸6の外周面に接触することが抑制される。
また、ころ止め突起40のころ接触面41と、ころ11の外周面とは線接触状態であるため、当該部分の保持器20の摺動抵抗は、従来の保持器の外周面と遊星歯車の中心孔の内周面との接触による摺動抵抗と比べ小さくすることができ、トルク損失の軽減に効果が大きい。
また、この実施例1において、ころ止め突起40が柱部30の対向面の軸方向全長にわたることなく軸方向に短尺に形成されるため、ころ11の外周面との摺動抵抗をより一層軽減することができる。
また、この実施例1において、保持器20の外径寸法は、複数のころ11のピッチ円(PCD)寸法よりも小さく設定されているため、遠心力が作用する方向へ保持器20が移動する際に、保持器20の外周面の移動方向の前側20aが遊星歯車4の中心孔5の5a内周面に接触することを良好に防止することができる。
また、この実施例1において、ころ止め突起40のころ接触面41に油溝42が凹設されている。
このため、中心軸6の油孔7に供給される潤滑油が同中心軸6の外周面の油孔開口部7aから放出された後、ころ止め突起40の油溝42を通して遊星歯車4の中心孔5に向けて流れる(図2参照)。
これによって、潤滑性を良好に保つことができると共に、保持器20のころ11の外周面との摺動抵抗の軽減を図ることができると共に、耐摩耗性、耐焼付き性の向上を図ることができる。
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。
例えば、前記実施例1においては、ころ止め突起40のころ接触面41に油溝42が凹設される場合を例示したが、油溝42は必ずしも設けなくてもよい。
この発明の実施例1に係る遊星歯車機構を簡略化して示す説明図である。 同じく図2は遊星歯車と中心軸との間にころ軸受が組み付けられた状態を示す縦断面図である。 同じく保持器の一部を拡大して示す斜視図である。 同じく保持器の柱部の対向面に形成されたころ止め突起ところとの関係を示す横断面図である。 同じく保持器のポケットを外径側から示す展開図である。
符号の説明
1 遊星歯車機構
2 太陽歯車
3 リングギヤ
4 遊星歯車
10 ころ軸受
11 ころ
20 保持器
21 第1の円環部
22 第2の円環部
23 ポケット
30 柱部
40 ころ止め突起
41 ころ接触面
42 油溝

Claims (3)

  1. 遊星歯車機構の遊星歯車の中心孔と中心軸との間に組み込まれる複数のころと保持器とを備えたころ軸受であって、
    前記保持器は、軸方向に所定間隔で配置された第1、第2の円環部と、これら第1、第2の円環部を連結すると共に、前記複数のころをそれぞれ個別に収納する複数のポケットを区画形成する複数の柱部とを備え、
    前記複数の柱部の対向面には、内径側が狭く外径側に向かってしだいに拡開された傾斜状のころ接触面を有するころ止め突起がそれぞれ突設され、
    前記保持器の外周面と前記遊星歯車の中心孔の内周面との隙間寸法をAとし、前記保持器の内周面と前記中心軸の外周面との隙間寸法をBとし、前記ころ止め突起のころ接触面と前記ころの外周面との隙間寸法をCとしたときに、「A>C<B」の関係となるように設定されていることを特徴とする遊星歯車機構のころ軸受。
  2. 請求項1に記載の遊星歯車機構のころ軸受であって、
    保持器の外径寸法は、複数のころのピッチ円寸法よりも小さく設定されていることを特徴とする遊星歯車機構のころ軸受。
  3. 請求項1又は2に記載の遊星歯車機構のころ軸受であって、
    ころ止め突起のころ接触面には油溝が凹設されていることを特徴とする遊星歯車機構のころ軸受。
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CN111566367A (zh) * 2018-01-09 2020-08-21 Ntn株式会社 带有保持架的滚子及行星齿轮支承结构

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