JP2009092088A - 保持器付きラジアルころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラジアルころ軸受に組み込んだ保持器3cに形成しているポケット10b、10bの内面のうちの、円周方向で対向して、各円筒ころ2、2の転動面を案内する各柱部9、9の案内面の一部に、上記保持器3cの内周面と外周面とを連通させる状態で通油用凹部13、13を形成する。これにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
Description
この保持器3bの場合には、各ポケット10aの内面のうちの円周方向両側面で、この保持器3bの直径方向に関する内端部に内径側係止突部11、11を、同じく外端部に外径側係止突部12、12を、それぞれ各柱部9、9の全長に亙って形成している。
上記各ポケット10、10aの内径側、外径側両開口周縁部とこれら各ポケット10、10a内に保持したころ2、2の転動面との間の隙間が小さい場合、内径側の隙間を通じて上記各ポケット10、10a内に流入する潤滑油の量が少なくなり、外径側の隙間を通じて上記各ポケット10、10aから流出する潤滑油の量が少なくなる。この結果、上記各ポケット10、10a内を内径側から外径側に流通する潤滑油の量が少なくなり、潤滑油の量が不足したり、或はポケット10、10a内に存在する潤滑油の温度が上昇し易くなる。潤滑油の温度上昇は、粘度低下に基づく潤滑性能の悪化の原因となり、上記損傷を発生し易くする為、好ましくない。
このうちの保持器は、円筒状である。又、軸方向両端部に互いに平行に且つ互いに同心に設けられた、それぞれが円環状である1対のリム部を備える。又、これら両リム部同士の間に掛け渡される状態で互いに平行に且つ円周方向に関して(一般的には互いに均一な)間隔をあけた状態で設けられた複数本の柱部を備える。そして、円周方向に隣り合うこれら各柱部と上記両リム部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ上記各ころを転動自在に保持する為のポケットとしている。
特に、本発明の保持器付きラジアルころ軸受に於いては、上記各ポケットのうちの少なくとも一部のポケットの内面に、少なくとも1個所の通油用凹部を、上記保持器の内周面と外周面とを連通させる状態で形成している。
或いは、請求項3に記載した様に、上記通油用凹部を、上記各ポケットの円周方向で対向して、上記各ころの転動面を案内する上記各柱部の案内面の軸方向両端部に、これら各案内面同士の円周方向に関する距離を、これら各案内面の軸方向残部よりも大きくした状態で、それぞれ形成する。
或いは、請求項4に記載した様に、上記通油用凹部を、上記各ポケットの軸方向で対向して、上記各ころの軸方向端面と対向する各面の円周方向一部に、これら各面同士の軸方向に関する距離を、これら各面の円周方向残部よりも大きくした状態で、それぞれ形成する。
或いは、請求項5に記載した様に、上記各ポケットの内径側、外径側両開口縁部のうちの少なくとも一方の開口縁部に、少なくとも軸方向一部の円周方向に関する距離を、上記各円筒ころの外径よりも小さくした係止部を形成し、これら各円筒ころを上記各ポケットに、これら各係止部の自由状態で、これら各係止部を形成した開口縁側を通過不能に保持自在とする。更に、上記通油用凹部を上記各係止部の軸方向中央部に形成する。
尚、上記保持器として、請求項6に記載した様な、分割できない単一の部材により円筒状に構成される一体型保持器や、請求項7に記載した様な、それぞれが部分円筒状に形成された保持器素子を組み合わせる事により、円周方向に亙って複数に分割自在とした分割型保持器を使用する事ができる。
図1〜2は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の特徴は、ラジアルころ軸受を構成する保持器3cに形成した各ポケット10b、10bの内面形状に工夫した点にある。この特徴部分以外の構造及び作用は、前述の図7に示したラジアルころ軸受を含め、従来から知られているラジアルころ軸受の場合と同様である。この為、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。
又、本例では、上記保持器3cに形成した総てのポケット10b、10bに、上記各通油用凹部13、13を形成している。この様な構成にする事が、上記軸受内部の通油性を向上する面では最も好ましい。但し、ラジアルころ軸受の使用環境で必要となる負荷容量等に応じてポケット10b、10bの数を多くし、しかも各柱部9、9の強度を確保する事を考慮した場合に、上述した様に、総てのポケット10b、10bに、上記各通油用凹部13、13を形成できない場合が考えられる。この様な場合には、上記保持器3cに形成したポケット10b、10bのうちの一部のポケット10b、10bにのみ上記各通油用凹部13、13を形成しても良い。この様な構造によれば、総ての上記ポケット10b、10bに上記各通油用凹部13、13を形成した場合に比べて効果は小さくなるが、軸受内部の通油性を向上する事はできる。この際、これら各通油用凹部13、13を形成したポケット10b、10bを、円周方向に関して等間隔に配置する事が好ましい。但し、等間隔に配置する事ができない様な場合には、上記各ポケット10b、10bのうちの任意のポケット10b、10bにのみ、上記各通油用凹部13、13を形成しても良い。
図3は、請求項1、3、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例のラジアルころ軸受に組み込む保持器3dの場合、この保持器3dに形成しているポケット10c、10cの内面のうち、円周方向で対向して、各円筒ころ2、2の転動面を案内する各柱部9、9の案内面(円周方向側面)の軸方向両端部に、上記保持器3dの内周面と外周面とを連通させる状態で通油用凹部13a、13aを形成している。そして、これら通油用凹部13a、13aを形成した部分での、上記案内面同士の円周方向に関する距離L13a を、これら案内面の軸方向残部同士の円周方向に関する距離L10c よりも大きく(L13a >L10c )している。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図4は、請求項1、4、6、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例のラジアルころ軸受に組み込む保持器3eの場合、この保持器3eに形成しているポケット10d、10dの内面のうち、軸方向で対向して、各円筒ころ2、2の軸方向端面と対向する各面の円周方向中間部に通油用凹部13b、13bを、上記保持器3eの内周面と外周面とを連通させる状態で形成している。そして、これら通油用凹部13b、13bを形成した上記各面同士の軸方向に関する距離H13b を、これら各面の周方向残部同士の軸方向に関する距離H10d よりも大きく(H13b >H10d )している。又、上記各通油用凹部13b、13bの円周方向の幅L13b を、上記各円筒ころの直径D2 よりも小さく(L13b <D2 )している。この様な本例の場合、上記各通油用凹部13b、13bを通じて、上記保持器3eの内径側から外径側に、多量の潤滑油を流通させる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
図5〜6は、請求項1、5〜7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例は、前述の図9に示した保持器3bと同様の構造の保持器に関して、各ポケット10a、10aの内面の形状を工夫している。本例の保持器3fは、これら各ポケット10a、10aの内面のうちの、円周方向両側面で、この保持器の直径方向に関する内端部に内径側係止突部11、11(図6参照)を、同じく外端部に外径側係止突部12、12を、それぞれ形成している。そして、これら内径側、外径側両係止突部11、12の軸方向中央部に、それぞれ通油用凹部13c、13cを形成している。
そして、これら通油用凹部13c、13cのうちで、円周方向に向き合った通油用凹部13c、13cの奥面同士の距離L13c を、これら通油用凹部13c、13cをそれぞれ形成した上記内径側、外径側両係止突部11、12同士のうちで、円周方向に向き合った内径側、外径側両係止突部11、12の先端縁同士の円周方向に関する距離L11及びL12よりも大きく(L>L11、L12)している。この様な本例の場合、上記各ポケット10a、10aから各円筒ころ2、2が不用意に抜け出るのを防止する構造で、上記各通油用凹部13、13を通じて、上記保持器3fの内径側から外径側に、多量の潤滑油を流通させる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
又、本例の場合には、内径側、外径側共に係止突部を形成しているが、このうちのどちらか一方のみに係止突部を形成している様な構造の場合にも、この係止突部に本例の様な通油用凹部を形成する事で、軸受内部の潤滑性を向上する事ができる。
又、本発明を実施する場合に、保持器を合成樹脂製とする事が、材料費の低減、軽量化による性能向上等の面から有利である。但し、本発明は、金属製の保持器を備えたラジアルニードル軸受に関して適用しても、性能向上効果を得られる。更に、本発明を、分割型の保持器に対して適用する場合は、分割の数は2に限らず、3以上であっても良い。
2 円筒ころ
3、3a、3b、3c、3d、3e、3f 保持器
4 支持軸
5 内輪軌道
6 遊星歯車
7 外輪軌道
8 リム部
9 柱部
10、10a、10b、10c、10d、10e ポケット
11 内径側係止凹部
12 外径側係止凹部
13、13a、13b、13c 通油用凹部
Claims (7)
- 互いに同心に配置された、それぞれが円筒状である内輪軌道及び外輪軌道と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動自在に設けられた複数本のころと、これら各ころを転動自在に保持する保持器とを備え、
このうちの保持器は、円筒状であり、軸方向両端部に互いに平行に且つ互いに同心に設けられた、それぞれが円環状である1対のリム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された状態で互いに平行に且つ円周方向に関して間隔をあけた状態で設けられた複数本の柱部とを備え、円周方向に隣り合うこれら各柱部と上記両リム部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ上記各ころを転動自在に保持する為のポケットとしている、保持器付きラジアルころ軸受に於いて、
これら各ポケットのうちの少なくとも一部のポケットの内面に、少なくとも1個所の通油用凹部が、上記保持器の内周面と外周面とを連通させる状態で形成されている事を特徴とする保持器付きラジアルころ軸受。 - 通油用凹部が、ポケットの円周方向で対向して各ころの転動面を案内する、各柱部の案内面の軸方向中央部に、これら各案内面同士の円周方向に関する距離を、これら各案内面の軸方向残部よりも大きくした状態で、それぞれ形成されている、請求項1に記載した保持器付きラジアルころ軸受。
- 通油用凹部が、ポケットの円周方向で対向して、各ころの転動面を案内する各柱部の案内面の軸方向両端部に、これら各案内面同士の円周方向に関する距離を、これら各案内面の軸方向残部よりも大きくした状態で、それぞれ形成されている、請求項1に記載した保持器付きラジアルころ軸受。
- 通油用凹部が、ポケットの軸方向で対向して、各ころの軸方向端面と対向する各面の円周方向一部に、これら各面同士の軸方向に関する距離を、これら各面の円周方向残部よりも大きくした状態で、それぞれ形成されている、請求項1に記載した保持器付きラジアルころ軸受。
- 各ポケットの内径側、外径側両開口縁部のうちの少なくとも一方の開口縁部に、少なくとも軸方向一部の円周方向に関する距離を、各円筒ころの外径よりも小さくした係止部を形成し、これら各円筒ころを上記各ポケットに、これら各係止部の自由状態で上記開口縁側を通過不能に保持自在としており、通油用凹部が上記各係止部の軸方向中央部に形成されている、請求項1に記載した保持器付きラジアルころ軸受。
- 保持器が、分割できない単一の部材により円筒状に構成された一体型保持器である、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した、保持器付きラジアルころ軸受。
- 保持器が、それぞれが部分円筒状に形成された保持器素子を組み合わせる事により、円周方向に亙って複数に分割自在とした分割型保持器である、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した、保持器付きラジアルころ軸受。
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