JP2010105345A - ゲート切り部材及びこれを備えた射出成型用金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイレクトゲート型の成型金型における比較的太い径のダイレクトゲートであっても良好に切断してゲート仕上げを行うことができるゲート切り部材を提供する。
【解決手段】ダイレクトゲート30を切断する偏芯ロータ25であって、この偏芯ロータ25は、固定側型板4に回動自在に支持され、スプール10からキャビティ9に至る溶融樹脂の流路を形成すると共に、スプール10の中心軸11aに対して平行で、且つ所定間隔だけ偏芯した回転軸25aを有し、この回転軸25aを中心に回転することにより、ダイレクトゲート30を切断する。
【選択図】図1
【解決手段】ダイレクトゲート30を切断する偏芯ロータ25であって、この偏芯ロータ25は、固定側型板4に回動自在に支持され、スプール10からキャビティ9に至る溶融樹脂の流路を形成すると共に、スプール10の中心軸11aに対して平行で、且つ所定間隔だけ偏芯した回転軸25aを有し、この回転軸25aを中心に回転することにより、ダイレクトゲート30を切断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゲート切り部材及び射出成形用金型に係り、特に、スプールからキャビティにダイレクトに成型原料である溶融樹脂を供給する比較的太いダイレクトゲートを切断するゲート切り部材及びこれを備えた射出成形用金型に関する。
電化製品のハウジング、自動車の内装部品、外装部品だけでなく、家庭用のバケツ、台所用洗いタライ、各種製品又は食料品の搬送等に用いる通い函等の大型製品であっても、プラスチックを射出成形して製造されるものがある。射出成形品は、通常、固定側型板と、この固定側型板に嵌合する可動側型板とを有する射出成形用金型に溶融プラスチックを流し込むことによって成形される。
図14は、従来のサイドゲート型又はアンダーゲート型の射出成形用金型を示す説明図である。この金型は、固定側取付板61及び可動側取付板62と、この取付板相互間に配置された固定側型板63、可動側型板64及び受け板65と、固定側取付板61及び固定側型板63を貫通するスプール66と、受け板65及び可動側型板64を貫通し、スプール66の開口端近傍まで延びるZピン67と、固定側型板63と可動側型板64とで形成されるキャビィティ71と、該キャブティ71まで延びるエジェクタピン69と、エジェクタピン69を操作するエジェクタプレート70とから主として構成されている。72は、固定側型板に設けられたランナである。
このような射出成形用金型において、図示省略したシリンダーノズルから噴射された溶融プラスチック(以下、単に「溶融樹脂」という)は、固定側取付板61及び固定側型板63を貫通するスプール66のスプールランナを経て固定側型板63と可動側型板64との接合面であるパーティングライン68に到り、ランナ72によって圧力が加えられたのち、ランナ72及びランナ72とキャビィティ71を連結する、図示省略したゲートを経て成形用のキャビィティ71に送り込まれ、所定形状に成形される。
樹脂の射出、注入操作が終了したのち、図示省略した、例えば冷却用水孔に冷却水が通水されて金型が所定温度まで冷却され、その温度が維持される。冷却工程終了後、可動側型板64を図中左方向に移動させてパーティングライン68を開き、この状態でZピン67が図中左方向に所定間隔だけ引き抜かれ、スプール66のスプールランナに溜まったプラスチック成形物(以下、単に「スプールランナ」ともいう)が抜き出されるとともに、エジェクタプレート70が、例えば油圧で操作されてエジェクタピン69を図中右方向に突き出して製品が取り外される。
しかしながら、このようなサイドゲート又はアンダーゲート型の成形金型においては、成形品がゲート又はランナにおける樹脂固化物(以下、それぞれ単に「ランナ」および「ゲート」ともいう)と一体として得られるので、成形品取り出し後、ゲート仕上げと呼ばれるバリ取り作業が必要となり、作業効率が低下する要因の一つとなっていた。
このような問題に鑑み、キャビティを形成する固定側型板と可動側型板との当接面であるパーティングライン(P/L)を開いた際に、自動でゲート仕上げを行うことができるゲート切り技術が開発されるようになった。
このような問題に鑑み、キャビティを形成する固定側型板と可動側型板との当接面であるパーティングライン(P/L)を開いた際に、自動でゲート仕上げを行うことができるゲート切り技術が開発されるようになった。
このようなゲート切り技術が開示された公知文献として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、樹脂成形後にサイドゲート又はアンダーゲートを自動で切断してゲート仕上げを行う成型金型が開示されている。
特開2003−80569号公報
しかしながら、従来の自動ゲート仕上げ技術は、成形原料である溶融樹脂をサイドゲート又はアンダーゲートを介してキャビティに供給する、ゲート径が細い、いわゆる間接供給型のスプールに適用するものであり、溶融樹脂をスプールランナから直接的に、すなわちサイドゲート又はアンダーゲートを介することなくそのままキャビテイィに供給する、径が太いダイレクトゲート型の成型金型に適用することはできず、ダイレクトゲート型の成型金型においては、依然として作業者がニッパ等を用いて手作業でゲート仕上げを行っているのが現状である。
図15は、ダイレクトゲート型の成形金型の概略構成を示す断面図である。図15において、この成形金型は、固定側取付板81及び可動側取付板82と、この取付板相互間に配置された固定側型板83、可動側型板84及び受け板85と、固定側取付板81及び固定側型板83を貫通するスプール86と、受け板85及び可動側型板84を貫通し、固定側型板83と可動側型板84とで形成されるキャビィティ87まで延びるエジェクタピン89と、エジェクタピン89を操作するエジェクタプレート90とから主として構成されている。このようなダイレクトゲート型の成形金型における径が太いスプールランナ88(以下、「ダイレクトゲート」という。)を自動で切断することはできなかった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、スプールランナから直接的にキャビティに溶融樹脂を供給するダイレクトゲート型の成型金型における比較的太い径のダイレクトゲートであっても良好に切断してゲート仕上げを行うことができるゲート切り部材及びこれを備えた射出成形用金型を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願で特許請求する発明は以下のとおりである。
(1)固定側取付板及び可動側取付板と、これらの取付板相互間に配置された固定側型板及び可動側型板と、該固定側型板と可動側型板との当接部に設けられたキャビティとを有し、前記固定側取付板を貫通するスプールから前記キャビティに直接溶融樹脂を供給して成型品を成型するダイレクトゲート型の成型金型の前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂流路内で固化したダイレクトゲートを切断するゲート切り部材であって、前記固定側型板に回動自在に支持され、前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂の流路を形成すると共に、前記スプールの中心軸に対して平行で、且つ所定間隔だけ偏芯した回転軸を有し、該回転軸を中心に回転することにより、前記ダイレクトゲートを切断することを特徴とするゲート切り部材。
(2)前記ゲート切り部材は、外周面に、前記回転軸とは所定角度で傾斜する傾斜部分を含む溝部を有し、前記固定側取付板と前記固定側型板とを離隔させることにより、前記固定側取付板に支持された鋼球が前記溝部内を転動することによって前記回転軸を中心に回動し、前記ダイレクトゲートを切断することを特徴とする(1)記載のゲート切り部材。
(3)前記溝部は、前記回転軸に平行な直線部分と前記回転軸対して傾斜する傾斜部分とを有し、前記固定側取付板と前記固定側型板とを離間させる動作の開始直後は、前記鋼球が前記溝部の前記直線部分を転動することを特徴とする(2)記載のゲート切り部材。
(4)前記溝部は、前記回転軸に対して所定角度で傾斜する傾斜部分と、該傾斜部分とは、前記回転軸に対して逆方向に傾斜する傾斜部分を有することを特徴とする(2)記載のゲート切り部材。
(5)前記ゲート切り部材における前記溶融樹脂流路の前記スプールへの連結部分にアンダーカット部を有し、切断前の前記ダイレクトゲートの一部が前記アンダーカット部に係合していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のゲート切り部材。
(6)前記ゲート切り部材における前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂の流路の前記キャビティとの連結部分の断面形状は、前記ダイレクトゲート切断時における前記溶融樹脂流路の移動方向と長辺側がに交差するように形成されたスリット型であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のゲート切り部材。
(7)前記固定側取付板と前記固定側型板との間に跳ねだし板が配置されており、この跳ねだし板に、前記スプールに連結する端部が回動自在に支持されていることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のゲート切り部材。
上記目的を達成するため、本発明の射出成形用金型は、固定側取付板及び可動側取付板と、これらの取付板相互間に配置された固定側型板及び可動側型板と、該固定側型板と可動側型板との当接部に設けられたキャビティと、前記固定側取付板を貫通するスプールから前記キャビティに直接溶融樹脂を供給して成型品を成型するダイレクトゲート型の射出成形用金型において、前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂の流路内で固化したダイレクトゲートを切断するゲート切り部材を有し、前記ゲート切り部材は、(1)〜(7)のいずれかに記載のゲート切り部材であることを特徴とする。
本発明に係るゲート切り部材によれば、スプールからキャビティに至る溶融樹脂の流路と、スプールの中心軸とは所定幅だけ偏芯した回転軸を有するので、樹脂成形後に型を開く際、回転軸を中心に回動させることによって、スプールからキャビティに至る溶融樹脂の流路内で固化したダイレクトゲートを容易に切断してゲート仕上げを行うことができる。
また、本発明に係る射出成形用金型によれば、スプールからキャビティに至る溶融樹脂の流路と、スプールの中心軸とは所定幅だけ偏芯した回転軸を有するゲート切り部材を備えているので、樹脂成形後、ゲート切り部材を回転させることにより、スプールからキャビティに至る溶融樹脂の流路内で固化したダイレクトゲートを容易に切断してゲート仕上げを行うことができる。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る射出成形用金型を示す説明図であり、図1は、射出成形用金型の断面図。図2は、図1におけるゲート切り部材近傍の組立図である。
図1において、この成形金型100は、スプールランナがキャビティに直結されたダイレクトゲート型の金型である。成形金型100は、固定側取付板1及び可動側取付板2と、固定側取付板1の内側面に当接された跳ねだし板3と、跳ねだし板3と可動側取付板2との間に配置された、固定側型板4、可動側型板5及び該可動側型板5を支持する受け板6と、固定側型板4と可動側型板5との当接部に配置された成形型7及び8と、該成形型7及び8によって形成されるキャビィティ9と、前記固定側取付板1を貫通するように設けられたスプール10と、スプール10を、固定側取付板1に固定するロケットリング12と、受け板6及び可動側型板5を貫通してキャビィティ7まで延びるエジェクタピン13と、このエジェクタピン13を支持するエジェクタプレート14と、から主として構成されている。スプール10には、成形機の成形ノズル11が連結されている。
固定側取付板1及び可動側取付板2は、例えば正方形の平板状を呈しており、その4つの角には、それぞれ跳ねだし板3、固定側型板4、可動側型板5、受け板6等を貫通する吊りピン20が設けられている。跳ねだし板3、固定側型板4、可動側型板5及び受け板6の対応する部分には、それぞれブッシュ21及びガイドブッシュ22が設けられており、吊りピン20は、ブッシュ21及びガイドブッシュ22内を貫通する。
跳ねだし板3は、2〜4本の段付きボルト23によって固定側型板4に係合されており、段付きボルト23は、跳ねだし板3と固定側型板4との最大開口幅を、例えば10mm〜12mmに規定する。
受け板6の4つの角には、ガイドピン16の一端が支持されており、ガイドピン16は、固定側型板4及び可動側型板5の4つの角にそれぞれ設けられたガイドブッシュ17を貫通する。ガイドピン16は、固定側型板4に対する可動側型板5の移動を規定する。
以下、成形金型100の特徴的な構成であるゲート切り部材としての偏芯ロータ25について説明する。偏芯ロータ25は、スプール10から成形型7及び8で形成されるキャビティ9まで延びる溶融樹脂流路を形成すると共に、製品成形後には、スプールランナ15と平行な回転軸を中心に回転することによって、スプール10から成形型7及び8で形成されるキャビティ9まで延びる溶融樹脂流路内で固化した樹脂(ダイレクトゲート)30を成形品から切り離すゲート切りを行う。なお、ダイレクトゲート30が形成される溶融樹脂流路は、後述する偏芯ロータ25の偏芯ランナ部28側が最も太く、キャビティ9(製品50)との接続部側が最も細いテーパ状を呈している。これによって、ダイレクトゲート30は、偏芯ロータ25から図1中、上方に抜かれる。
図1及び図2において、跳ねだし板3の中央部分に、平面図上C字型のスプールフランジ34が、成形ノズル11に接続されたスプール10に対して中心が所定幅、例えば7mm偏芯した状態にボルトによって固定されている。
図3は、スプールフランジ34の説明図であり、図3(A)は、その平面図、図3(B)は、縦断面図である。図3において、スプールフランジ34は平面図上C字型を呈している。
スプールフランジ34の中央の開口部分には、つば付リング35が摺動可能に嵌合される。つば付リング35には、スプールフランジ34の中心とは、例えば7mm偏芯した貫通孔35aが設けられており、つば付リング35の偏芯した貫通孔35aの中心は、スプール10の中心に合致している。
図4は、つば付リングの説明図であり、図4(A)は、その平面図、図4(B)は、右縦断面図である。図4において、つば付リング35は偏芯した貫通孔35aを備えている。
つば付リング35の偏芯した貫通孔35aに、一部を係合させるように偏芯ロータ25が支持、配置されている。
図5は、偏芯ロータの説明図であり、図5(A)は、その側面図、図5(B)は、斜視図である。図5(A)及び図5(B)において、偏芯ロータ25は、ロータ本体26と、このロータ本体26の一端に突出するように設けられた軸芯部27と、軸芯部27とは対向する端部に突出するように設けられた偏芯ランナ部28とから主として構成されている。ロータ本体26の外周面には、その軸方向に対して所定角度、例えば40度で傾斜する断面が、例えば半円形のらせん状の溝部29が設けられている。なお、溝部29の軸芯部27側の端部は、所定長さ、例えば10〜15mmだけ回転軸に対する傾斜がゼロの直線部29aとなっている。これによって、ダイレクトゲート30の切断開始当初の所定時間だけ、偏芯ロータ25が回動しない時間を確保することができる。また、溝部29の偏芯ランナ部28側の端部は、先端部の幅が広くなったラッパ状を呈している。これによって、後述するピット部材37の鋼球40と係合させる際の組み立てが容易となる。
偏芯ロータ25のロータ本体26の外周部には、回転軸25aに対して図5(A)上、直行する帯状部26aが設けられており、この帯状部26aを支持フランジ36に係合することによって、ロータ本体26が固定側型板4に支持されており、これによって、偏芯ロータ25は、スプール10の中心軸10aに平行で且つ偏芯した回転軸25aを回転の中心として回転可能に支持される。なお、帯状部26aは、後述するピット部27との係合部分では邪魔になるので、溝部29の両側には一部設けられていない部分がある。なお、支持フランジ36の構造は、スプールフランジ34の構造と同様である。
図6は、スプール10の中心軸10aと、偏芯ロータ25の回転軸25aとの関係を示す図である。図6において、偏芯ロータ25の回転軸25aは、スプール10の中心軸10aと、例えば7mmずれている。なお、偏芯量は、7mmに限定されるものではなく、金型の大きさ等に従って最適量が決定される。
偏芯ロータ25における回転軸25aに対して偏芯した位置に設けられた偏芯ランナ部28は、つば付フランジ35の貫通孔35aに摺動可能に嵌合、支持されている(図1、2参照)。偏芯ロータ25に隣接するようにピット部材37が配置されており、ピット部材37は、ボルト38によって固定側取付板1に固定されている。
図7は、ピット部材の説明図であり、図7(A)は、その長さ方向に沿った断面図、図7(B)は、偏芯ロータ25のロータ本体26との位置関係を示す図である。ピット部材37は、偏芯ロータ25の回転軸25aに平行に延設されている。図7において、ピット部材37は、その先端部に鋼球用の凹部が設けられており、この凹部には、小径、例えば6φの鋼球39を介して大径、例えば10φの鋼球40が回転自在に支持されている。大径の鋼球40は小径の鋼球39によって点接触によって支持されており、転動時の摩擦抵抗が小さい。なお、大径の鋼球40は、小径の鋼球39を介することなく、直接鋼球用の凹部に支持させるようにしても、十分実用に耐えることができる。
ピット部材37の鋼球40は、偏芯ロータ25のロータ本体26の外周面に設けられた溝部29に係合し、溝部29の長さ方向に沿って転動する。
樹脂成型後、ピット部材37が支持された固定側取付板1と、偏芯ロータ25が回動自在に支持された固定側型板4とを離間することにより、ピット部材37の鋼球40が偏芯ロータ25のロータ本体26に設けられた溝部29内を転動し、これによって偏芯ロータ25が回転し、ダイレクトゲート30が切断される。
以下、図1と、図8〜10を用いて成形金型100の動作について詳細に説明する。図8〜図10は、成形金型における成形工程を示す説明図である。
成形金型100を用いた射出成形は、以下のように行われる。
すなわち、先ず、図1における固定側取付板1と跳ねだし板3との当接部である第1パーティングライン(P/L)31、跳ねだし板3と固定側型板4との当接部である第2パーティングライン(P/L)32、及び固定側型板4と可動側型板5との当接部である第3パーティングライン(P/L)33を閉じる。次いで、この状態で、シリンダーノズル11から噴射された、成形材料である、例えば溶融ポリプロピレンを、スプール10及びスプールランナ15を経て固定側型板4と可動側型板5との接合部に配置された成形型7及び8で形成されるキャビティ9に流入させ、所定形状に成形する(図1参照)。
すなわち、先ず、図1における固定側取付板1と跳ねだし板3との当接部である第1パーティングライン(P/L)31、跳ねだし板3と固定側型板4との当接部である第2パーティングライン(P/L)32、及び固定側型板4と可動側型板5との当接部である第3パーティングライン(P/L)33を閉じる。次いで、この状態で、シリンダーノズル11から噴射された、成形材料である、例えば溶融ポリプロピレンを、スプール10及びスプールランナ15を経て固定側型板4と可動側型板5との接合部に配置された成形型7及び8で形成されるキャビティ9に流入させ、所定形状に成形する(図1参照)。
樹脂の射出、注入、成形工程が終了したのち、図示省略した冷却手段、例えば冷却用水孔に冷却水が通水され、例えば樹脂としてポリプロピレンを用いた場合は、金型が例えば約40℃まで冷却され、この温度が所定時間維持される。
冷却工程が終了した後、図8に示したように、第1パーティングライン(P/L)31を、スプール10のスプールランナ15の長さよりも、例えば10〜15mm長い幅だけ開いて、スプールランナ15を抜く。このとき、固定側取付板1と跳ねだし板3との間隔は、成形金型100の側面(図1中、左右の側面)にそれぞれ設けられたかんざし部材42の第1規制幅によって規制される。また、ピット部材37の鋼球40は、偏芯ロータ25の溝部29と係合して転動するが、溝部29の軸方向に平行な部分(図5参照)を転動するので、偏芯ロータ25は回転しない。
次いで、図9に示したように、第1パーティングライン(P/L)31を、かんざし部材42の第1規制幅よりも広い、第2規制幅だけ開くと、これに従ってピット部材37の鋼球40が、偏芯ロータ25の溝部29の傾斜部分を転動し、これによって偏芯ロータ25がスプール10の中心軸10aとは、例えば7mm偏芯した回転軸25a(図6参照)を中心に例えば時計方向に回転し、ダイレクトランナ30と製品50とを切断する。
ダイレクトランナ30の切断時、跳ねだし板3と固定側型板4とは未だ相互に当接しており、偏芯ロータ25の回転によるダイレクトランナ30の切断は良好に行われる。この状態では、ダイレクトランナ30の一部は、偏芯ロータ25の偏芯ランナ部28の頂部のアンダーカット部分に嵌合しているが、跳ねだし板3と固定側型板4との当接部である第2パーティングライン(P/L)32を段付ボルト23で規制された所定幅、例えば10mm〜12mmだけ開くことにより、ダイレクトランナ30と、偏芯ロータ25の偏芯ランナ部28の頂部のアンダーカット部分とが切りはなされる。
次いで、図10に示したように、プラロック43で固定された固定側型板4と可動側型板5との当接部である第3パーティングライン(P/L)33を開き、エジェクタプレート14で支持されたエジェクタピン13で成形品50を突き出して回収する。このときダイレクトランナ30は図示省略したロボットで回収される。
なお、プラロック43が固定側型板4から外れる際に、固定側型板4が反動で、跳ねだし板3側に戻る、いわゆるバックフラッシュ現象が生じることがある。従って、本実施形態においては、バックフラッシュ現象の発生を防止するために、吊りピン20のガイドブッシュ22に、スリット加工を施している。
図11は、ガイドブッシュ22の説明図であり、図11(A)は、平面図、図11(B)は、長さ方向に沿った断面図である。図11において、ガイドブッシュ22には、その長さ方向に沿って、所定幅のスリット46が形成されている。これによって、押さえボルト44によってガイドブッシュ22の一部を押圧することにより、ガイドブッシュ22を弾性変形させてガイドブッシュ22と吊りピン20との摺接抵抗を若干大きくしてバックフラッシュ現象の発生を抑制する。
本実施形態によれば、スプール10の中心軸10aと、所定幅、例えば7mm偏芯した回転軸25aを有する偏芯ロータ25を設け、この偏芯ロータ25の表面に設けた溝部29と、ピット部材37の鋼球40とを係合させ、第1パーティングライン(P/L)31を開くことによって鋼球40を溝部29内で転動させ、これによって、偏芯ロータ25を回転させてスプールランナ15に続くダイレクトゲート30を切断するようにしたので、従来のランナゲートよりもかなり太いダイレクトゲート30を容易に切断することができる。
従って、本実施形態の成型金型100及び偏芯ロータ25は、バケツ、食パン搬送容器等をはじめとする大型成型品の成型及び成形後のダイレクトゲート切りに適している。
本実施形態において、偏芯ロータ25の軸芯部27端部におけるダイレクトランナ30の断面形状を、偏芯ローラ25を、回転軸25aを中心として回転させた際のダイレクトゲート30の断面の移動方向の幅を狭くし、ダイレクトゲート30の断面の移動方向に直交する幅を広くしたスリット型にすることが好ましい。これによって、ダイレクトゲート30が切断され易くなる。
本実施形態において、偏芯ロータ25のロータ本体26の外周部に形成された溝部29は、その軸芯部27側の端部が、所定長さ、例えば15mm〜18mmだけ、回転軸25aに平行な直線部分となっていることが好ましい。これによって、成形品50を取り出す動作の開始直後は、鋼球40が溝部29の直線部分を転動するようになり、偏芯ロータ25の回転開始時期を遅らせることができ、ゲート切り当初の負荷の増大を回避することができる。
本実施の形態においては、成形樹脂として、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の比較的軟質の樹脂を用いた場合のダイレクトゲート切断用の偏芯ロータ25(図5参照)について説明したが、成型樹脂として硬質の樹脂、例えばガラス入り樹脂を用いる場合は、硬質樹脂用の偏芯ロータを用いることが好ましい。
図12は、硬質樹脂用の偏芯ロータを示す側面図である。図12において、この偏芯ロータ55は、ロータ本体56の外周面に形成された溝部59が回転軸に沿った直線部分と、この直線部分に続く傾斜部分と、この傾斜部分に続く逆方向の傾斜部分とを有するものである。このような溝部59を有することにより、ダイレクトゲート30の切断時、偏芯ロータ55を一旦時計方向に所定角度、例えば30度回転させたのち、逆方向に40〜45度回転させることができるので、ゲート切り効果が増大し、これによって硬質樹脂のダイレクトゲート30から、粘りのある柔軟性の、例えば66ナイロン樹脂のダイレクトゲート30までを容易に切断することができる。なお、図12は、溝部59に正対する側面図であるため、図12中、偏芯ランナ部58は、ロータ本体56対して偏芯していないように見えるが、図5(A)と同様、偏芯ランナ部58の中心は、偏芯ロータ55(ロータ本体56)の回転軸55aに対して所定幅だけ偏芯している。
図13は、本実施形態の変形例を示す図である。
この成形金型200が、図1の成形金型100と異なるところは、スプールランナ15に続くダイレクトゲート30を、スプール10の中心から所定幅ずらした位置に移動させたものであり、例えば大型の成形品を成形する際、複数のポイントからキャビティ9に溶融樹脂を充填する場合に適用される。
この成形金型200が、図1の成形金型100と異なるところは、スプールランナ15に続くダイレクトゲート30を、スプール10の中心から所定幅ずらした位置に移動させたものであり、例えば大型の成形品を成形する際、複数のポイントからキャビティ9に溶融樹脂を充填する場合に適用される。
成形金型200に適用される偏芯ロータ25の外周面に設けられた溝部29は、回転軸に平行な直線部分がなく、回転軸に対して所定角度で傾斜した傾斜部だけで構成されている。本実施形態においては、第1パーティングライン(P/L)31を開くと同時に偏芯ロータ25を回転させてダイレクトゲート30を切断しても負荷が増大するおそれがすくないからである。
本実施形態においても、上記実施形態と同様、キャビティ9に直接的に溶融樹脂を供給する太いダイレクトゲート30を容易に切断することができる。
1:固定側取付板、2:可動側取付板、3:跳ねだし板、4:固定側型板、5:可動側型板、6:受け板、7、8…成形型、9:キャビィティ、10:スプール、15:スプールランナ、20:吊りピン、25:偏芯ロータ、25a:回転軸、26:ロータ本体、29:溝部、30:ダイレクトゲート、31,32,33:パーティングライン(P/L)、37:ピット部材、40:鋼球、42:かんざし部材、100:成形金型、200:成形金型。
Claims (8)
- 固定側取付板及び可動側取付板と、これらの取付板相互間に配置された固定側型板及び可動側型板と、該固定側型板と可動側型板との当接部に設けられたキャビティとを有し、前記固定側取付板を貫通するスプールから前記キャビティに直接溶融樹脂を供給して成型品を成型するダイレクトゲート型の成型金型の前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂流路内で固化したダイレクトゲートを切断するゲート切り部材であって、
前記固定側型板に回動自在に支持され、前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂の流路を形成すると共に、前記スプールの中心軸に対して平行で、且つ所定間隔だけ偏芯した回転軸を有し、該回転軸を中心に回転することにより、前記ダイレクトゲートを切断することを特徴とするゲート切り部材。 - 前記ゲート切り部材は、外周面に、前記回転軸とは所定角度で傾斜する傾斜部分を含む溝部を有し、前記固定側取付板と前記固定側型板とを離隔させることにより、前記固定側取付板に支持された鋼球が前記溝部内を転動することによって前記回転軸を中心に回動し、前記ダイレクトゲートを切断することを特徴とする請求項1記載のゲート切り部材。
- 前記溝部は、前記回転軸に平行な直線部分と前記回転軸対して傾斜する傾斜部分とを有し、前記固定側取付板と前記固定側型板とを離間させる動作の開始直後は、前記鋼球が前記溝部の前記直線部分を転動することを特徴とする請求項2記載のゲート切り部材。
- 前記溝部は、前記回転軸に対して所定角度で傾斜する傾斜部分と、該傾斜部分とは、前記回転軸に対して逆方向に傾斜する傾斜部分を有することを特徴とする請求項2記載のゲート切り部材。
- 前記ゲート切り部材における前記溶融樹脂流路の前記スプールへの連結部分にアンダーカット部を有し、切断前の前記ダイレクトゲートの一部が前記アンダーカット部に係合していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲート切り部材。
- 前記ゲート切り部材における前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂流路の前記キャビティとの連結部分の断面形状は、前記ダイレクトゲート切断時における前記溶融樹脂流路の移動方向と長辺側がに交差するように形成されたスリット型であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゲート切り部材。
- 前記固定側取付板と前記固定側型板との間に跳ねだし板が配置されており、この跳ねだし板に、前記スプールに連結する端部が回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゲート切り部材。
- 固定側取付板及び可動側取付板と、これらの取付板相互間に配置された固定側型板及び可動側型板と、該固定側型板と可動側型板との当接部に設けられたキャビティと、前記固定側取付板を貫通するスプールから前記キャビティに直接溶融樹脂を供給して成型品を成型するダイレクトゲート型の射出成形用金型において、
前記スプールから前記キャビティに至る溶融樹脂の流路内で固化したダイレクトゲートを切断するゲート切り部材を有し、前記ゲート切り部材は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のゲート切り部材であることを特徴とする射出成形用金型。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2008
- 2008-10-31 JP JP2008281799A patent/JP2010105345A/ja active Pending
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