JP4029740B2 - ボールねじ用循環こまの製造方法及び循環こま並びにボールねじ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじ用循環こまの製造方法及び循環こま並びにボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ねじ軸とナットとの間に介在された複数のボールを循環するようにした、内部循環方式のボールねじが知られている。
図9に、従来の内部循環方式のボールねじを示す。
この方式のボールねじでは、ねじ軸1の外周面に、ボール転動溝4が所定のリードを有して形成されている。また、ナット200の内周面には、このボール転動溝4に対応して、ボール転動溝5が形成されている。これらボール転動溝によってボール3が転がる際の軌道6が形成され、軌道6には複数のボール3が配置されている。
【0003】
そして、ナット200には、ボール3が循環できるように、軌道6の一端と他端とを連結し、軌道6を転がるボール3を一端から他端に戻す、戻し通路が設けられている。この戻し通路として、循環こま108(デフレクタともいう)が用いられる。
従来の循環こま108は、削り加工や、焼結、射出成形、鍛造等によって製造されていた(例えば、特許文献1〜3参照。)。
また、ナット200のボール転動溝5と循環こま108のボール戻し溝108aとが連続するように循環こま108を位置決め後、接着剤や、かしめ、ボルト等を用いてナットに固定していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−54710号公報
【特許文献2】
特開2002−106672号公報
【特許文献3】
特開平10−82458号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内部循環方式のボールねじでは、循環こまが、削り加工や、焼結、射出成形、鍛造等によって製造されていたため、加工工程が多く、コストが掛かっていた。また、組立て時には循環こまの位置決め作業が必要であり、さらに、接着剤等で循環こまをナットに固定する必要があるので、組立て時間及び組立てコストも掛かっていた。
【0006】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、循環こまを安価に製作し、組み付けに要する時間及びコストを低減できる内部循環方式のボールねじ用循環こまを製造し、併せて、その循環こま及びそれを用いたボールねじを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えた内部循環方式のボールねじに用いられ、前記ナットに装着され、前記ボールを手前の軌道に戻すためのボール戻し溝を備えた循環こまの製造方法において、プレス成形することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のボールねじ用循環こまの製造方法であって、前記プレス成形は、素材板に対して前記循環こま本体のおよその形状を成形する粗仕上げ工程と、前記およその形状に深絞りを加えて前記循環こま本体の概略溝形状を成形する中仕上げ工程と、前記概略溝形状に仕上げ押しを加えるとともに、前記循環こまを前記ナットに整合させて装着する際に前記循環こまに必要な曲げ形状を成形する仕上げ工程と、前記素材板から前記循環こまに必要な成形部を残して余材部分を取り去る外形仕上げ工程と、前記循環こま本体の側面から突出する係止部を成形する曲げ工程と、を有することを特徴としている。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えた内部循環方式のボールねじに用いられ、前記ナットに装着され、前記ボールを手前の軌道に戻すためのボール戻し溝を備えた循環こまにおいて、プレス成形により製造されていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載のボールねじ用循環こまであって、前記循環こまの一対の係止部は、その係止端部の先端が鋭角であることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、前記記載の内部循環方式のボールねじにおいて、前記ナットは、請求項3または4に記載の循環こまが装着される循環こま挿入口を備え、前記循環こま挿入口は、前記循環こまの前記係止部が差し込まれる被係止部を有し、前記係止部が該被係止部に対して支持されていることを特徴としている。
本発明によれば、ナットに対して簡単に循環こまを位置決めすることができる。したがって、組み付けに要する時間及びコストを低減可能な、ボールねじを提供することができる。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、請求項5に記載の内部循環方式のボールねじであって、前記循環こま本体の外形形状は、前記循環こま挿入口の内形形状に対して、前記循環こま本体が揺動可能な隙間を有するとともに、前記循環こま本体が前記被係止部に対して弾性的に支持されていることを特徴としている。
本発明によれば、ナットに対して循環こまを弾性的に支持するとともに、循環こま本体を揺動することができる。そのため、循環こまにボールが衝突した衝撃力を吸収することができる。したがって、循環こまの破損を低減させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の循環こまの製造方法及び循環こま並びに循環こまを装着したボールねじの一実施形態を説明する。なお、以下の説明において、図9に示した従来の内部循環方式のボールねじと同一の部分については、同一の符号を用いている。
【0015】
図1は、本発明の循環こま8を装着した内部循環方式のボールねじを説明する平断面図である。同図では、ナット2をナット2の軸線を含む面で切断した状態で示している。
このボールねじは、ねじ軸1とナット2とボール3とで主に構成されている。
ねじ軸1は、その外周面に所定のリードを有する螺旋状のボール転動溝4が形成されている。このボール転動溝4は断面略半円状で、ボール3とボール転動溝4が2点接触するように2つの円弧(ゴシックアーチ溝)からなっている。
【0016】
ナット2は、ねじ軸1に所定の隙間をもって嵌められ、ナット2の内径はねじ軸1の外径よりも大きい。ナット2は略円筒状をなし、その端部に案内対象と結合するためのフランジ22を有する。ナット2の内周面には、ねじ軸1のリードと等しいリードを有する螺旋状のボール転動溝5が形成される。このボール転動溝5も断面略半円状で、その曲率半径はボール3の半径よりも若干大きく、ゴシックアーチ溝からなっている。
【0017】
そして、対向するボール転動溝4とボール転動溝5との間に断面略円状の軌道6が形成されている。そして、複数のボール3が、この軌道6内に充填配置されている。
さらに、図2にも拡大図示するように、ナット2には、循環こま8が装着されている。この循環こま8には、軌道6の一端と一巻き手前の軌道6の他端を連結するボール戻し溝13が形成されている。そのため、循環こま8に向かって軌道6を転がってくるボール3をねじ軸1の半径方向に掬い上げ、ねじ軸1のねじ山を乗り越えさせ、一巻き手前(一リード手前)の軌道6に戻し、ボール3を循環させることができる。このように、軌道6及びこの戻し溝13によって形成される戻し通路によってねじ軸1の外側に略円環状の無限循環路が形成される。
【0018】
こうして、ねじ軸1のナット2に対する相対的な回転に伴なって、ボール3がボール転動溝4とボール転動溝5との間を転がり運動することによって、ナット2がねじ軸1に対してねじ軸の軸線方向に直線運動を可能にしている。
次に、上述のナット2及び循環こま8について詳細に説明する。
図3及び図4にナット2を示す。
【0019】
ナット2には循環こま8を取り付けるための循環こま挿入口9が形成される。この循環こま挿入口9は、ナット2の外周から内周に向かって貫通した長孔からなっている。この長孔は、例えば、図3に示すように、エンドミルをナット2の中心線2bに対して横切らせることで加工される。具体的には、エンドミルをナット2の中心線2bに直交する線2cに対して角度θ1傾けた方向に移動させることで形成される。この角度θ1は、ボール転動溝4を転がるボール3が循環こま8に形成されたボール戻し溝13によって、急激に方向転換をしないように通常、20°〜40°に設定される。また、その断面形状は、図4に示すように、循環コマ8を係合させるための段部を備えている。具体的には、外周側の段部を形成する挿入パイロット面17は、循環コマ8を循環こま挿入口9に挿入容易とするための角度θ3をもって加工される。また、位置決め面18と被係止面19によって内側の段部である被係止部16が形成される。なお、位置決め面18と被係止面19のなす角θ2は循環コマ8が容易に抜けないようにするために鋭角をもって加工されている。
【0020】
循環こま挿入口9は、ナット2の周方向に均等間隔を空けて、循環コマ8の個数に合わせて複数個(例えば4個等)加工される。このとき、隣接する循環こま挿入口9は、ナット2の軸線方向に1リード以上の間隔を空けるように形成される。
次に、循環こま8の詳細な構成について図5〜図7を参照して説明する。
【0021】
図5は、循環こま8の斜視図、図6(a)は循環こま8の平面図、(b)は同左側面図、(c)は同C方向矢視図、(d)は同D方向矢視図、また、図7は、図6(a)における循環こま8のX-X断面図である。
図5に示すように、循環こま8は、プレス加工によって成形されている。この循環こま8は、循環こま本体15と、係止部11と、を有する。
【0022】
図6に示すように、循環こま本体15は、上述したナット2の循環こま挿入口9に整合して半円形に形成された端部15aを、その長手方向の両端に有する(平面形状(図6(a)参照))。そして、循環こま本体15の長手方向に連続する形状は、略S字形状をなしている。この略S字形状は、ボール3を戻すために循環こま本体15の内側に形成されるボール戻し溝13の機能から決定される形状である。すなわち、ボール戻し溝13は、軌道6を転動するボール3を、1巻き分手前の軌道6に戻すようにボール3の進路を変え、且つ、軌道6に整合することが必要である。そのため、その平面形状をカム曲線としたときに、その揚程に対して加速度の急激な変動を抑えるように、例えば、変形正弦曲線に相当するカム曲線を組み合わせた結果として、略S字形状が形成されている。また、このボール戻し溝13は、ボール戻し溝13に進入してきたボール3が、ねじ軸1の外径を乗り越えられ、且つ、ナット2の円環状の断面形状と整合する必要がある。そのため、循環こま本体15は、循環こま本体15の開口側の中央位置において、最も窪んだ円弧形状15bをなすように形成されている(側面形状(図6(b)参照)。また、この円弧形状15bは、循環こま8長手方向両端のボール掬い上げ部14から循環こま本体15の長手方向の中央部に向かって絞り加工されている。この絞り加工は、図6(a)のX-X断面図である図7(a)に示すように、循環こま本体15の短手方向の断面が、ボール3の外径と整合した内径を備えた連続したU字形状をなしている。そして、前述の略S字形状と一体となって溝形状を形成(S溝形状)し、ボール戻し溝13を構成している。
【0023】
そして、循環こま本体15の外形は、循環こま挿入口9の孔との間にわずかな隙間が生じる程度に、循環こま挿入口9の内形よりも若干小さく形成されている。すなわち、ボールねじ作動中に循環こま本体15部分が揺動可能なように、循環こま挿入口9の内形との間にわずかな隙間を開けて循環こま本体15が形成されている。
【0024】
係止部11は、ボール戻し溝13のS溝形状にならうように斜めにずらして形成されている。また、一対の係止部11のそれぞれは、断面U字状をした循環こま本体15の開口側周囲に形成された鍔部15c長手方向の略中央部から両側面へ突出している。詳しくは、図7(a)に示すように、鍔部15cから延長している係止部11の基部側折り曲げ部11dの位置から外側面15dの側に、一度折り返し、次いで、先端側折り曲げ部11cの位置から循環こま本体15に対し外側に曲げて係止端部11bを形成している。この係止端部11bの平面形状は、ナット2の循環こま挿入口9に嵌合するため、循環こま挿入口9の被係止部16と整合した矩形状をしている(図6(a)参照)。
【0025】
また、それぞれの係止部11は、図7(a)に示すように、循環こま挿入口9の被係止部16同士の幅よりも、先端部11a同士の間の幅Wが若干広くなるように角度θ4、θ5をもって曲げられている。そのため、循環こま8をナット2に保持させる際に、弾性部材である金属板20のばね性を効果的に利用することができる。なお、同図中、直線L1は、循環こま本体15の長手方向中央におけるU字状断面(X-X断面)での凹部頂点から垂直におろした直線である。そして、直線L2及び直線L3は、係止部11の基部側折り曲げ部11dから、直線L1に対してそれぞれ並行な直線である。
【0026】
また、係止部11の係止端部11bには、その先端部11aに角度θ6が形成されている(図7(b)参照)。そのため、ナット2の被係止部16に嵌め込まれる先端部11aがなす鋭角形状によって、くさびの作用がはたらく。したがって、ナット2に対して、循環こま8をよりしっかりと固定できる。
この循環こま8はボールねじに充填配置されるボール3の一巻きに対して一つ設けられる。すなわち、ボール3の巻き数はボールねじに加わる荷重等から決定されるので、循環こま8の個数はボールねじに加わる荷重等に応じて適宜(例えば4個等)決定される。
【0027】
次に、循環こま8の製造方法について説明する。
図8は、循環こま8のプレス成形工程の説明図である。
循環こま8のプレス成形に使用するプレス装置は、通常のものを用いているので詳細な説明は省略するが、プレス装置としては、例えば、複数工程ごとにそれぞれ独立した型を並列に配列し、その独立した工程間をプレス機械と同期した搬送機構によってワークを移動させ、自動加工をするロボット型プレス装置や、複数工程ごとにそれぞれ独立した型を一台のプレス機械内に配列し、プレス部と同期した搬送機構によってワークを移動させ、ワークを連続的に自動加工するトランスファー型プレス装置等が使用しうる。
【0028】
図8(a)に、プレス成形前の状態を示す。図中の符号20は、素材板としての金属板である。この金属板20には、弾性力を有する薄板材のステンレス帯板を使用している。金属板20は、プレス装置の所定の供給位置に配置される。
符号20aは、循環こま8の製造時の打ち抜き部である成形部を示している。この成形部20aの金属板20上の位置及び形状は,循環こま8製造用のプレス装置の送りピッチや、ナット2の係止部16の形状等によって適宜決定される。また、特定形状部20bは、プレス成形後の循環こま8の係止部11をなすものである。
【0029】
循環こま8は、以下の工程を経て製造される。
最初に、同図(b)に示すように、金属板20から、循環こま本体15となる(ボール戻し溝13ともなる)略S字状の溝形状(以下、S溝形状と呼ぶ)のおよその形状を粗成形する(工程1=粗仕上げ工程)。
次に、同図(c)に示すように、およその形状からさらにS溝形状を深絞り用金型ダイスにて絞り成形し、循環こま本体15の概略溝形状に成形する中仕上げを行う(工程2=中仕上げ工程)。
【0030】
次に、同図(d)に示すように、S溝形状の概略溝形状に仕上げ押しを行うと同時に、内曲げ成形、すなわち、循環こま8をナット2に整合させて装着する際に循環こま8に必要な曲げ形状であるナット2の内接円に添った近似的な多角の二段曲げを成形する(工程3=仕上げ工程)。
次に、同図(e)に示すように、ナット2の挿入部形状に合わせて、循環こま本体15の開口部側外周の鍔部15cとなる平坦部を残して、余材部分を取り去る(すなわち、同図(a)に示す必要な成形部20aのみ残る。)(工程4=外形仕上げ工程)。
【0031】
最後に、同図(f)に示すように、ナット2への挿入位置決め用の形状としての係止部11を曲げ成形する。詳しくは、循環こま本体15外周の鍔部15cを含めた外形形状の長手方向軸線に対して平行且つ二段に曲げ、二箇所同時に、特定形状部20bから成形する(工程5=曲げ工程)。
以上の五工程を経て循環こま8が完成する。なお、プレス加工後の工程、例えば、ショットピーニングや、仕上げバレル等については、通常の方法によるので説明を省略する。
【0032】
次に、この循環こま8をナット2へ組み付ける方法及びその装着状態について、図2を参照して説明する。なお、図2は、図1の要部拡大図である。
循環こま8は、ナット2の外側から循環こま挿入口9に挿入する。循環こま8が循環こま挿入口9に挿入されると、一対の係止部11が被係止部16に嵌合する。これにより、ナット2に対する循環こま8の位置が決まり、且つ、係止部11は、くさび状の先端部11aが被係止部16に弾性力をもって食い付く。そのため、ナット2の半径方向に循環こま8が抜け防止される。なお、循環こま本体15とねじ軸1との間には複数のボール3が介在されているので、循環こま8はこれらのボール3によって、ねじ軸1から適度に浮き上がるように、一定の間隔を開けて支持される。
【0033】
以上説明したように、本発明の循環こまの製造方法によれば、枚葉あるいはロール状の一枚の金属板20から所定の抜き形となし、これを移動させながら、金型による連続したプレス成形で循環こま8を一体形成することができる。そのため、循環こま8の部品点数は一点であり、二次的に行われる加工工程を省略して製造することができる。したがって、安定した品質で量産することが可能であり、且つ、材料費及び加工コストの低減を図ることができる。
【0034】
そして、本発明のボールねじでは、本発明の循環こまの製造方法によって製造した循環こま8を備えている。そのため、循環こま8をナット2に対して簡単に位置決めすることができる。したがって、ボールねじの組み付けに要する時間及びコストを低減することができる。
また、本発明のボールねじでは、循環こま8をナット2に対して揺動可能且つ弾性的に支持することができる。そのため、ボール3が循環中に循環こま8に当たっても、循環こま8の循環こま本体15部分が揺動し、循環こま8にボール3が衝突した衝撃力を緩和することが可能である。したがって、循環こま8の破損を低減させ、長寿命なボールねじを提供することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態では、図1ないし図8に示す形状を備えた循環こま8および循環こま挿入口9について説明したが、本発明に係る循環こま8および循環こま挿入口9の形状はこれに限定されるものではない。つまり、循環こま8を、素材板からプレス加工によって成形し、ナット2に対して位置決めすると同時に弾性的に支持することが可能であればよい。例えば、本実施形態では、係止部11を循環こま本体15の両側に形成しているが、一方に弾性的な係止部を設け、他方には、剛体としての係合部材がナット2の被係合部材に係合するようにして両者を係合させ固定する等、任意に決定することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ボールねじの軌道6は、ゴシックアーチ溝から構成されているが、サーキュラーアーク溝から構成してもよい。
また、素材板としての金属板には、ステンレス帯板を使用しているが、その他の金属板も適用できる。また、弾性があり塑性加工可能な材料であれば、樹脂等を使用してもよい。しかし、コスト、耐衝撃性、製造の容易さ等の点からは、金属板を使用するのが好適である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、循環こまを、安定した品質で安価に製造することができる。また、循環こまをナットに対して簡単に位置決めすることができる。したがって、組み付けに要する時間及びコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるボールねじの一部破断平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるボールねじのナットの平面図である。
【図4】図3のナットにおける循環こま挿入口形状の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態における循環こまの斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態における循環こまの説明図(a)〜(d)である。
【図7】図5のX-X断面の拡大図及び部分を拡大した説明図である。
【図8】本発明の一実施形態における循環こまの成形工程の説明図である。
【図9】従来の内部循環方式のボールねじの説明図である。
【符号の説明】
1・・・ねじ軸
2・・・ナット
3・・・ボール
4・・・(ねじ軸の)ボール転動溝
5・・・(ナットの)ボール転動溝
6・・・軌道
8・・・循環こま
9・・・循環こま挿入口
11・・・係止部
13・・・ボール戻し溝
14・・・ボール掬い上げ部
15・・・循環こま本体
16・・・被係止部
17・・・挿入パイロット面
18・・・位置決め面
108・・・循環こま
200・・・ナット
Claims (6)
- 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えた内部循環方式のボールねじに用いられ、前記ナットに装着され、前記ボールを手前の軌道に戻すためのボール戻し溝を備えた循環こまの製造方法において、
断面U字状をしたボール戻し溝が形成された循環こま本体と、その循環こま本体の開口側周囲に形成される鍔部と、その鍔部の先端部を前記循環こま本体の外側面の側に一度折り返した基部側折り曲げ部、その基部側折り曲げ部の先端部を前記循環こま本体に対し外側に向けて折り返した先端側折り曲げ部、およびその先端側折り曲げ部の位置から前記循環こま本体に対し外側に張り出す係止端部を、前記鍔部の長手方向の略中央部から循環こま本体の両側面へ突出してそれぞれ設けてなる一対の係止部と、を素材板をプレス成形して一体形成することを特徴とするボールねじ用循環こまの製造方法。 - 前記プレス成形は、
素材板に対して前記循環こま本体のおよその形状を成形する粗仕上げ工程と、前記およその形状に深絞りを加えて前記循環こま本体の概略溝形状を成形する中仕上げ工程と、前記概略溝形状に仕上げ押しを加えるとともに、前記循環こまを前記ナットに整合させて装着する際に前記循環こまに必要な曲げ形状を成形する仕上げ工程と、前記素材板から前記循環こまに必要な成形部を残して余材部分を取り去る外形仕上げ工程と、前記循環こま本体の側面から突出する係止部を成形する曲げ工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載のボールねじ用循環こまの製造方法。 - 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えた内部循環方式のボールねじに用いられ、前記ナットに装着され、前記ボールを手前の軌道に戻すためのボール戻し溝を備えた循環こまにおいて、
断面U字状をしたボール戻し溝が形成された循環こま本体と、その循環こま本体の開口側周囲に形成される鍔部と、その鍔部の先端部を前記循環こま本体の外側面の側に一度折り返した基部側折り曲げ部、その基部側折り曲げ部の先端部を前記循環こま本体に対し外側に向けて折り返した先端側折り曲げ部、およびその先端側折り曲げ部の位置から前記循環こま本体に対し外側に張り出す係止端部を、前記鍔部の長手方向の略中央部から循環こま本体の両側面へ突出してそれぞれ設けてなる一対の係止部と、を素材板をプレス成形して一体形成することにより製造されていることを特徴とするボールねじ用循環こま。 - 前記循環こまの一対の係止部は、その係止端部の先端が鋭角であることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ用循環こま。
- 外周面に螺旋状のボール転動溝を有するねじ軸と、内周面に螺旋状のボール転動溝を有するナットと、これらのボール転動溝で形成される軌道内に配置された複数のボールと、を備えた内部循環方式のボールねじにおいて、
前記ナットは、請求項3または4に記載の循環こまが装着される循環こま挿入口を備え、
前記循環こま挿入口は、前記循環こまの前記係止部が差し込まれて前記係止端部の先端を係合させるための複数の段部を有し、当該複数の段部は、前記ナット外径側に向かって広がる方向の傾斜面を有してなる挿入パイロット面によって前記ナット径方向での外周側の位置に凸の段部が形成され、この挿入パイロット面よりも内周側に形成された位置決め面と被係止面とによって前記ナット径方向での内周側に凹の段部である被係止部が形成されており、前記係止部の係止端部先端が該被係止部に対して支持されていることを特徴とするボールねじ。 - 前記循環こま本体の外形形状は、その幅が、ナットに形成されて当該循環こまが装着される循環こま挿入口の幅よりも狭く、循環こま本体の側面から突出する前記一対の係止部は、その係止端部先端同士の幅方向での距離が、前記循環こま挿入口の幅よりも広くなっており、前記循環こま挿入口の内形形状に対して、前記循環こま本体が揺動可能な隙間を有するとともに、前記循環こま本体が前記被係止部に対して弾性的に支持されていることを特徴とする請求項5に記載のボールねじ。
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