JP6606971B2 - ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 - Google Patents
ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6606971B2 JP6606971B2 JP2015209969A JP2015209969A JP6606971B2 JP 6606971 B2 JP6606971 B2 JP 6606971B2 JP 2015209969 A JP2015209969 A JP 2015209969A JP 2015209969 A JP2015209969 A JP 2015209969A JP 6606971 B2 JP6606971 B2 JP 6606971B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nut
- peripheral surface
- track
- inner peripheral
- scooping
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
Description
このようなボールねじは、一般的な産業用機械の位置決め装置等だけでなく、自動車、二輪車、船舶等の乗り物に搭載される電動アクチュエータにも使用されている。
ボールねじの戻し路には循環チューブ方式やコマ方式などがあり、コマ方式の場合は、戻し路をなす凹部が形成されたコマをナットの貫通穴に嵌めている。
特許文献2および3には、戻し路をなす凹部(循環溝)を、ナット素材の内周面に塑性加工(鍛造)で直接形成する方法が記載されている。
円筒状のナット素材の内周面に循環溝が鍛造工程により形成されたボールねじ用ナットでは、ナットの内径が循環溝の周辺部とそれ以外の部分とで略同じである。そのため、コマ式ボールねじと比較して、循環溝内へボールが掬い上げにくくなる。
また、鍛造工程でパンチが押し込まれて成形された循環溝の周縁部には、塑性変形により輪郭形状が崩れて丸くなった部分(ダレ)が生じ易い。特許文献2に記載された方法では、仕上げ加工の際にバリを出にくくするために、ダレを残している。
なお、鍛造工程でダレの発生を抑制するためには工程数が多くなるため、製造コストが増大する。また、鍛造工程で生じたダレを除去する工程を行う場合も、工程数が増えるため、製造コストが増大する。
特許文献3には、さらに、循環溝にダレを有するナットのボール掬い上げを円滑にするために、戻し路の境界位置(軌道の終点および始点に対する接続部分である直線状の両端部と、曲線状の中間部との境界位置)でのボールの接触状態を規定する方法が記載されている。
この発明の課題は、戻し路を構成する凹部(循環溝)がナットの内周面に直接形成され、戻し路でのボールの掬い上げ性が良好で、コストの低い方法で製造可能なボールねじを提供することである。
(1)外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸が内挿され、内周面に螺旋溝が形成されたナットと、上記ナットの螺旋溝と上記ねじ軸の螺旋溝で形成される軌道と、上記軌道の終点と始点を接続して循環路を形成する戻し路と、上記軌道および上記戻し路に配置された複数のボールと、上記戻し路を構成する循環溝とを備える。上記軌道内を負荷状態で転動する前記ボールを介して上記ナットが前記ねじ軸に対して相対移動する。
(2)上記循環溝は、上記ナットの内周面に直接形成された凹部からなり、上記軌道の終点および始点に対する接続部分である一対の直線部と、上記一対の直線部の間に配置された中間部と、上記中間部と上記一対の直線部との間を接続する一対の湾曲部と、を有する。
(3)上記直線部の上記湾曲部との境界を含む部分である掬い上げ部に形成された掬い上げ壁であって、上記湾曲部の外周側に配置され、上記ナットの内周面から、上記ナットの径方向で上記軌道内の上記複数のボールの中心を結んだ円の位置より内側の位置まで突出する掬い上げ壁を備える。
(4)ナットの内周面の上記掬い上げ壁の外側に形成された凹部およびこの凹部の外側に形成された凸部を備える。
(5)円筒状のナット素材の内周面に対して、上記循環溝および掬い上げ壁を、パンチを有する金型を用いた冷間鍛造により形成する工程を有する。上記パンチは、循環溝形成部と掬い上げ壁形成部とからなり、上記掬い上げ壁形成部の先端に、上記循環溝形成部との間に上記掬い上げ壁の厚さ分の隙間を開けて、前記ナット素材の内周面を押圧する凸部が形成され、上記凸部の両側に凹部が存在するものである。
ボールねじ10は四つの循環路を有する。各循環路は、 ナット2の螺旋溝22とねじ軸1の螺旋溝12とが向かい合って形成された軌道と、軌道の終点と始点を接続する戻し路4とで構成されている。戻し路4は、ナット2の内周面21に直接形成された凹部からなる循環溝5と、ねじ軸1の外周面の循環溝5と対向する部分で構成される。
ナット2は、図4に示す方法で製造されたものである。
先ず、図4(a)に示すように、鋼製の円筒状素材20を用意する。次に、円筒状素材20を冷間鍛造により塑性加工し、ナット2と略同一形状のフランジ23が付いたブランク25を得る。図4(b)はこの状態を示す。
具体的には、カムドライバ(図示せず)と、パンチ7を有するカムスライダ(図示せず)と、を有するカム機構の金型を用いて、冷間鍛造工程を行う。詳述すると、ブランク25の外周面を保持した状態で、ブランク25内にカムドライバとカムスライダを挿入し、カムスライダをブランク25とカムドライバとの間に配置するとともに、パンチ7をブランク25の内周面に向けて配置する。カムスライダとカムドライバは、ブランク25の軸方向から若干傾斜した方向に延びる傾斜面を有し、両傾斜面が相互に接触する。
これにより、ブランク25の内周面に循環溝5が形成される。また、この塑性変形の際に、掬い上げ壁形成部72側の凹部72bに入った材料により、循環溝5の掬い上げ部54に掬い上げ壁55が形成される。また、凸部72aに対応する凹部56と、凹部72cに対応する凸部57も形成される。図4(c)は、パンチ7を用いた冷間鍛造工程後のブランク25の状態を示す。
このようにして得られたナット2では、図2および図3に示すように、冷間鍛造工程でパンチ7が押し込まれて成形された循環溝5の周縁部のうち、掬い上げ壁55が形成されていない部分にはダレ58が生じている。しかし、循環溝5に入ったボール3が当たる位置に掬い上げ壁55が形成されていることで、ボール3の掬いあげ接点がナットの径方向でBCD位置より内側になるため、 ボール3の掬い上げ性が良好になる。また、ダレ58を除去する必要がないため、製造コストが低く抑えられる。
1 ねじ軸
11 ねじ軸の外周面
12 ねじ軸の螺旋溝
2 ナット
20 円筒状素材
21 ナットの内周面
22 ナットの螺旋溝
23 フランジ
25 ブランク
3 ボール
4 戻し路
5 循環溝(ナットの内周面に直接形成された凹部)
51 直線部
52 中間部
53 湾曲部
54 掬い上げ部
55 掬い上げ壁
55a 掬い上げ壁の角部
56 凹部
57 凸部
58 ダレ
7 パンチ
71 循環溝形成部
72 掬い上げ壁形成部
72a 掬い上げ壁形成部の凸部
72b,72c 掬い上げ壁形成部の凹部
L ナットの径方向におけるBCDの位置(ボールの中心点を結んだ円の位置)
Claims (2)
- 外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸が内挿され、内周面に螺旋溝が形成されたナットと、
前記ナットの螺旋溝と前記ねじ軸の螺旋溝で形成される軌道と、
前記軌道の終点と始点を接続して循環路を形成する戻し路と、
前記軌道および前記戻し路に配置された複数のボールと、
前記戻し路を構成する循環溝であって、前記ナットの内周面に直接形成された凹部からなり、前記軌道の終点および始点に対する接続部分である一対の直線部と、前記一対の直線部の間に配置された中間部と、前記中間部と前記一対の直線部との間を接続する一対の湾曲部と、を有する循環溝と、
前記直線部の前記湾曲部との境界を含む部分である掬い上げ部に形成された掬い上げ壁であって、前記湾曲部の外周側に配置され、前記ナットの内周面から、前記ナットの径方向で前記軌道内の前記複数のボールの中心を結んだ円の位置より内側の位置まで突出する掬い上げ壁と、
前記ナットの内周面の前記掬い上げ壁の外側に形成された凹部およびこの凹部の外側に形成された凸部と、
を備え、
前記軌道内を負荷状態で転動する前記ボールを介して前記ナットが前記ねじ軸に対して相対移動するボールねじ。 - 内周面に螺旋溝が形成されたナットと、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、前記ナットの螺旋溝と前記ねじ軸の螺旋溝で形成される軌道と、前記軌道の終点と始点を接続して循環路を形成する戻し路と、前記軌道および前記戻し路に配置された複数のボールと、前記戻し路を構成する循環溝と、を備え、前記軌道内を負荷状態で転動する前記ボールを介して前記ナットが前記ねじ軸に対して相対移動するボールねじの前記ナットの製造方法であって、
前記循環溝は、前記ナットの内周面に直接形成された凹部からなり、前記軌道の終点および始点に対する接続部分である一対の直線部と、前記一対の直線部の間に配置された中間部と、前記中間部と前記一対の直線部との間を接続する一対の湾曲部と、を有し、
前記直線部の前記湾曲部との境界を含む部分である掬い上げ部の前記湾曲部の外周側に、前記ナットの内周面から、前記ナットの径方向で前記軌道内の前記複数のボールの中心を結んだ円の位置より内側の位置まで突出する掬い上げ壁を備え、
円筒状のナット素材の内周面に対して、前記循環溝および前記掬い上げ壁を、パンチを有する金型を用いた冷間鍛造により形成する工程を有し、
前記パンチは、循環溝形成部と掬い上げ壁形成部とからなり、前記掬い上げ壁形成部の先端に、前記循環溝形成部との間に前記掬い上げ壁の厚さ分の隙間を開けて、前記ナット素材の内周面を押圧する凸部が形成され、前記凸部の両側に凹部が存在するものであるボールねじ用ナットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015209969A JP6606971B2 (ja) | 2015-10-26 | 2015-10-26 | ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015209969A JP6606971B2 (ja) | 2015-10-26 | 2015-10-26 | ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017082852A JP2017082852A (ja) | 2017-05-18 |
JP6606971B2 true JP6606971B2 (ja) | 2019-11-20 |
Family
ID=58710507
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015209969A Active JP6606971B2 (ja) | 2015-10-26 | 2015-10-26 | ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6606971B2 (ja) |
-
2015
- 2015-10-26 JP JP2015209969A patent/JP6606971B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017082852A (ja) | 2017-05-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5394078B2 (ja) | 固定式等速自在継手の外側継手部材 | |
WO2018016488A1 (ja) | 円筒状リング部材、軸受、クラッチ、車両、及び機械の製造方法 | |
JP2019072769A (ja) | ラックおよびその製造方法、並びに、操舵装置、車両、および、ラックの予備成形用金型 | |
JP5966726B2 (ja) | 軌道輪部材の製造方法 | |
JP4840102B2 (ja) | 軌道輪部材の製造方法 | |
JP2014024091A5 (ja) | ||
JP6606971B2 (ja) | ボールねじ、ボールねじ用ナットの製造方法 | |
JP6641903B2 (ja) | リング状部材の製造方法 | |
JP5502228B2 (ja) | 固定式等速自在継手の外側継手部材 | |
JP5921918B2 (ja) | 等速自在継手用外側継手部材の製造方法 | |
JP7310585B2 (ja) | ボールねじのナット及びボールねじのナットの製造方法 | |
JP5863270B2 (ja) | リング状素形材の製造方法 | |
JP6442752B1 (ja) | ラックの製造方法、操舵装置の製造方法および車両の製造方法 | |
JP7020334B2 (ja) | ボールねじのナットの製造方法及びボールねじの製造方法 | |
JP2011094790A (ja) | ボールねじ及びその製造方法並びに金型 | |
JP5776185B2 (ja) | ボールねじの製造方法 | |
US10828693B2 (en) | Apparatus for manufacturing forged crankshaft | |
JP2019025548A (ja) | 円柱状転動体製造用の金型装置、並びに、円柱状転動体の製造方法、転がり軸受の製造方法、車両の製造方法、および、機械装置の製造方法 | |
JP5912694B2 (ja) | 等速自在継手用外側継手部材の製造方法 | |
JP2014109319A (ja) | ボールねじ機構 | |
JP5821990B2 (ja) | ボールねじ用ナットの製造方法 | |
JP2014226691A (ja) | 等速自在継手用外側継手部材の製造方法および外側継手部材に加工される中間鍛造品 | |
JP2019089078A (ja) | 歯車の鍛造方法 | |
JP5549331B2 (ja) | ボールねじの製造方法 | |
JP5834592B2 (ja) | 外向フランジ部付金属製部材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180705 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190516 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190528 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190725 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190924 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191007 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6606971 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |