JP2014024091A5 - - Google Patents

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軌道輪部材の製造方法及び軌道輪部材
この発明は、自動車の車輪及びブレーキディスク等の制動用回転部材を懸架装置に対して回転自在に支持する為に利用する、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する軌道輪部材の製造方法及びこの製造方法により製造する軌道輪部材の改良に関する。具体的には、内周面の軸方向中間部に、軸方向両側部分よりも内径が大きくなった、所謂アンダーカット部を有する軌道輪部材を造る際に必要とされる切削加工量を少なく抑えて、製造コストの低減を図るものである。
自動車の車輪及びブレーキディスク等の制動用回転部材を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、車輪支持用転がり軸受ユニットが広く使用されている。この様な車輪支持用転がり軸受ユニットとして、一般的には、図5〜6に示す様な内輪回転型のものが使用されているが、一部では、図7に示す様な外輪回転型のものも使用されている。
先ず、図5に示した内輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニット1は、従動輪(FR車及びMR車の前輪、FF車の後輪)用のもので、外輪2と、ハブ3と、複数個の転動体4、4とを備える。このうちの外輪2は、内周面の軸方向2箇所位置に複列の外輪軌道5a、5bを、外周面の軸方向内端寄り部分(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図5〜7の右側。反対に、車両の幅方向外側となる、図5〜7の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書全体で同じ。)に外向フランジ6を、それぞれ有する。又、前記ハブ3は、外周面の軸方向外端寄り部分に外向フランジ7を、同じく軸方向中間部乃至内端寄り部分の軸方向2箇所位置に複列の内輪軌道8a、8bを、それぞれ有する。そして、これら両内輪軌道8a、8bと前記両外輪軌道5a、5bとの間に前記転動体4、4を、両列毎に複数個ずつ配置して、前記外輪2の内径側での前記ハブ3の回転を可能としている。使用状態では、前記外輪2の外向フランジ6を、懸架装置を構成するナックルに結合固定すると共に、前記ハブ3の外向フランジ7に、車輪及び制動用回転部材を結合固定する。
又、図6に示した内輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニット1aは、駆動輪(FR車及びMR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全車輪)用のものである。この図6に示した車輪支持用転がり軸受ユニット1aの場合には、ハブ3aの径方向中心部に、使用時に駆動軸をスプライン係合させる為のスプライン孔9を、軸方向に形成している。
更に、図7に示した外輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニット1bは、従動輪用のもので、1対の内輪10、10と、ハブ11と、複数個の転動体4、4とを備える。このうちの1対の内輪10、10は、それぞれが外周面に単列の内輪軌道8a、8bを有するもので、軸方向に並べて配置されている。又、前記ハブ11は、内周面の軸方向2箇所位置に複列の外輪軌道5a、5bを、外周面の軸方向外端寄り部分に外向フランジ7を、それぞれ有する。そして、これら両外輪軌道5a、5bと前記両内輪軌道8a、8bとの間に前記各転動体4、4を、両列毎に複数個ずつ配置して、前記両内輪10、10の外径側での前記ハブ11の回転を可能としている。使用状態では、これら両内輪10、10を、懸架装置に設けた車軸に外嵌固定すると共に、前記ハブ11の外向フランジ7に、車輪及び制動用回転部材を結合固定する。
尚、上述した各車輪支持用転がり軸受ユニット1、1a、1bの場合には、前記各転動体4、4として玉を使用しているが、重量の嵩む車両用の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、転動体として円すいころを使用する場合もある。
上述した各車輪支持用転がり軸受ユニット1、1a、1bを構成する、外輪2やハブ11の如き軌道輪部材、即ち、内周面の軸方向2個所位置に複列の外輪軌道5a、5bを、外周面の軸方向片側に寄った位置に外向フランジ6、7を、それぞれ有する軌道輪部材は、金属素材に鍛造加工を施した後、切削加工及び研削加工等の仕上げ加工を施す事によって造られる。この様な鍛造加工により軌道輪部材を造る方法は、例えば特許文献1〜2に記載される等により従来から広く知られている。
次に、従来の軌道輪部材の製造方法の1例に就いて、図8〜9に示す様な、内周面の軸方向2箇所位置に複列の外輪軌道5a、5bを、外周面のうちで軸方向片側(図8〜9に於ける上側)の外輪軌道5aと径方向に重畳する位置に外向フランジ6を、それぞれ形成した外輪2の製造方法を例にして、前記図8〜9に図10を加えて説明する。
この様な外輪2を製造する為に、先ず、図10の(A)に示す様な、金属製で円柱状の原素材12を用意する。
そして、最初の据え込み工程で、この原素材12を軸方向に押し潰す事により図10の(B)に示す様な、第一中間素材13を得る。この第一中間素材13は、軸方向中間部の外径が軸方向両端部の外径よりも大きくなった、ビヤ樽若しくは厚肉円盤状の如き形状を有する。
この様な第一中間素材13を得たならば、続く荒成形工程で、この第一中間素材13の周囲を荒成形用ダイスにより囲んだ状態で、この第一中間素材13の軸方向両端面の中央部に1対の荒成形用押圧パンチを押し付け、この第一中間素材13を塑性変形させる。そして、図10の(C)に示す様な、第二中間素材14を得る。この第二中間素材14は、軸方向両端面に開口する1対の凹部15a、15bと、これら両凹部15a、15bの底部同士の間に存在する隔壁部16と、外周面の軸方向片側(図10の上側)に寄った位置に径方向外方に突出する状態で形成された外向フランジ6とを備える。
この様な第二中間素材14を得たならば、続く仕上げ成形工程で、この第二中間素材14の周囲を、仕上げ成形用ダイスにより囲んだ状態で、この第二中間素材14の軸方向両端面に1対の仕上げ成形用押圧パンチを押し付ける。これにより、前記隔壁部16を、その厚さ寸法を縮める方向に押し潰すと共に、この隔壁部16の周囲に存在する円筒状部分17の形状を、図8〜9に示した外輪2の形状に近付ける。そして、図10の(D)に示す様な、第三中間素材18を得る。
この様な第三中間素材18を得たならば、続く打ち抜き工程で、この第三中間素材18の隔壁部16を、その外周縁部分を除いて打ち抜き除去する事により、図10の(E)に示す様な、第四中間素材19を得る。
この様な第四中間素材19を得たならば、続くバリ取り工程で、この第四中間素材19の外向フランジ6の外周縁部に残っているバリ20を除去する事により、図10の(F)に示す様な、第五中間素材21を得る。
その後、この第五中間素材21の各部に、旋削等による切削加工や研削加工等の仕上げ加工を施す事により、図8〜9に示した外輪2を完成させる。
ところで、車輪支持用転がり軸受ユニットには、多くの仕様が存在し、しかも、近年に於ける要求の多様化により、従来とは異なる形状を実現する必要性が増大している。例えば、外輪の内周面に形成した複列の外輪軌道のうち、軸方向に関して中央寄り部分の外輪軌道部分の内径を、この外輪軌道の軸方向両側部分の内径よりも十分に大きくする形状、即ち、内周面の軸方向中間部にアンダーカット部を有する外輪の提供を要求される場合もある。より具体的には、前述の図7に示した外輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニット1bで、ハブ11の軸方向外端部に設けた、パイロット部と呼ばれる円筒部22の内径を、軸方向外側の外輪軌道5aの内径よりも小さくする仕様がある。この様な仕様の場合、これら円筒部22と外輪軌道5aとの間部分が、軸方向両側部分よりも内径が大きくなったアンダーカット部となる。この様なアンダーカット部を有する軌道輪を、上述の図10に示した従来の製造方法で造った場合には、コストが嵩む。この点に就いて、図11〜13を参照しつつ説明する。
造るべきハブ11aが、図11に鎖線で示す様な一般的な形状のものであれば、前述の図10に示した方法により、図11に実線で示す様な形状を有する第五中間素材21aを得た後、この第五中間素材21aに仕上げの為の切削加工を施せば良い。この仕上加工時の切削量は特に多くならないため、材料の歩留まりが特に悪化する事はない。
これに対して、図12に示す様な形状を有するハブ11bを造る場合に、仕上加工における切削量が多くなり、材料の歩留まりが悪化する。このハブ11bは、軸方向外端部に設けた円筒部22aの内径を、軸方向外側の外輪軌道5aの内径よりも小さくしたもので、これら円筒部22aと外輪軌道5aとの間部分が、軸方向両側部分よりも内径が大きくなったアンダーカット部23となっている。
即ち、図12に示したハブ11bは、前記アンダーカット部23となる前記外輪5a部分の内径R23よりも、第二小径部である前記円筒部22aの内径R22、及び、第一小径部である、複列の外輪軌道5a、5bの間部分に存在する肩部24の内径R24が小さい(R23>R22、R24)。この様なアンダーカット部23を有する形状の場合、金型を軸方向に抜き取る都合上、前記図10に示した従来方法では、鍛造加工のみで、前記ハブ11bに近い形状を造る事はできない。このハブ11bを造るには、鍛造加工により図13に実線で示した形状を有する中間素材25を造ってから、この中間素材25に切削加工を施し、前記図13の実線と鎖線との間部分を削り取って、前記ハブ11bとする。
これら図13の実線と破線とを比較すれば明らかな通り、前記アンダーカット部23が存在すると、このアンダーカット部23に対応する部分で、前記中間素材25の内周面中間部を大きく削り取る必要がある。この為、加工時間が長くなり、又、材料の歩留まりが悪化して製造コストが増大する。
上述の様な問題を生じる、図13に示す様な従前の製造方法に対して、図12及び図13に鎖線で示す様な、完成後のハブ11のアンダーカット部23に対応する部分の内径が大きくなった中間素材を、鍛造等の塑性加工により造る事ができれば、上述の様な問題を総て解決できる。但し、従来から知られている鍛造加工方法では、上述の様な中間素材を造れない事は、前述した通りである。
アンダーカット部を有する金属製部品を鍛造等の塑性加工により造る方法として従来から、特許文献3〜7に記載された方法が知られている。このうちの特許文献3に記載された製造方法では、円筒状部分の径方向中間部から軸方向に突出した円筒部を径方向内方に縮径加工する事により、この円筒状部分の軸方向中間寄りの位置にアンダーカット部を形成する。又、特許文献4に記載された製造方法では、軸方向一端部に大径部を有し、軸方向中間部乃至他端部を円柱部とした中間素材の軸方向中間部乃至他端部を軸方向に押し潰して別の大径部を形成し、この別の大径部と前記大径部との間をアンダーカット部とする。
特開2005−83513号公報 国際公開第2009/096434号パンフレット 特開2007−125614号公報 特開2008−194704号公報 ドイツ国特許公開DE19914969号公報 ドイツ国特許公開DE102007016071号公報 特願2011-155346号公報
前記特許文献3に記載された製造方法では、アンダーカット部を設ける部分の形状が限定される(円錐状部分の内径側に限定される)為、車輪支持用転がり軸受ユニットの軌道輪部材の製造には適さない。又、前記特許文献4〜6に記載された製造方法は、アンダーカット部が外周面に存在する金属製部品を造る事を考慮しており、図12に示したハブ11bの様な、内周面にアンダーカット部23を有する車輪支持用転がり軸受ユニットの軌道輪部材の製造には適さない。
前記特許文献7に記載された製造方法では、内周面にアンダーカット部を形成することはできるが、アンダーカット部の成形前に円筒部の外周を金型で拘束しておく必要がある。また、カウンターパンチと下型が独立して動く可動金型を用いる必要があるため、金型構造が複雑になり、段取り時間や金型コストが増加するという問題がある。加えて、特許文献7の図1(C)に示す形状を成形する工程において、薄肉で深い円筒部を前方押出しにより形成する必要があるが、このような前方押出し加工は断面積減少率が非常に高いため、金型への負荷が大きく、場合によっては前方押出しそのものが困難な場合がある。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、軸方向の中間部に、軸方向に関して当該部分の両側よりも内径が大きくなった、アンダーカット部を有する軌道輪部材を、低コストで製造可能な方法を提供することを目的としている。
本発明の目的は、以下の方法により達成される。
金属材により略円筒状に造られて、内周面の軸方向中間部に軸方向両側部分よりも内径が小さくなった第一小径部と、この第一小径部から軸方向に離隔した軸方向一端部に第二小径部とを、それぞれ設け、これら第一、第二両小径部の間の部分を、これら第一、第二両小径部よりも内径が大きいアンダーカット部とすると共に、このうちの第一小径部を軸方向両側から挟む部分に1対の外輪軌道を設けた軌道輪部材の製造方法であって、金属製の素材を塑性加工する事により、軸方向一端部に前記第二小径部を設け、前記第一小径部及び前記アンダカット部を持たず、これら第一小径部及びアンダカット部となるべき円筒部と、素材の軸方向中間部の外側に、最終形状に比べて軸方向に厚く、径方向に小径な外向フランジと、前記外向フランジを挟んで前記円筒部とは反対側の端部に小円筒部と、前記円筒部と前記小円筒部との内周面の境界となる隔壁部と、を有する中間素材を形成した後、前記小円筒部の形状及び前記円筒部の他端寄りの形状を変化させずに、前記外向フランジを金型で軸方向に押し潰して外径を拡大させ、前記円筒部の内周面であって前記外向フランジに対応する軸方向位置に前記アンダーカット部を形成する事を特徴とする軌道輪部材の製造方法。
本発明では図2に示すように、アンダーカット形状を成形する前段階の形状である第三中間素材において、外向フランジを最終形状よりも小径、厚肉とし、また、隔壁部を小円筒部の近傍に配置することで円筒状部分の凹部深さを従来よりも深くしている。この結果、円筒状部分の内径側を塑性加工する金型の押圧部が、外向フランジの圧縮成形過程の終端期を除いて、隔壁部と接触しない。そのため内径部に塑性変形が生じないことにより内径側から外向フランジに向かって材料が供給されず、外向フランジが圧縮され外径側へ移動する際に内径側の材料を外向フランジへと引き込んで行き、内径部にアンダーカット形状が成形される。
本発明では特許文献7に記載された製造方法と比べて、厚肉で浅い円筒部を成形すれば良いので、前方押出し成形が容易になっている。また、アンダーカット部の成形においては可動金型を必要としないことから、金型構造が単純で段取りに時間を必要とせず、低コストを実現できる。本発明により、図12に示すような内径が最小となる部位が小円筒部であったり、軌道面径より小円筒部の内径が大幅に小さいようなハブ軸受の外輪であってもアンダーカット形状を形成することにより図4のように内径部の切削取り代を大幅に削減することが可能になり、材料コスト及び切削加工に伴うコストを大きく削減することができる。
本発明の実施の形態を工程順に示す断面図である。 第三中間素材の外向フランジを、軸方向に押し潰しつつ外径を拡径する加工の、加工開始直前の状態で示す断面図である。 第三中間素材の外向フランジを、軸方向に押し潰しつつ外径を拡径する加工の、加工完了直後の状態で示す断面図である。 内径が最小となる部位が小円筒部であったり、軌道面径より小円筒部の内径が大幅に小さいようなハブ軸受の外輪の一例を示す断面図である。 本発明の製造方法の対象となり得るハブ軸受の外輪を組み込んだ車輪支持用転がり軸受ユニットの第一例を示す断面図である。 同第二例を示す断面図である。 同第三例を示す断面図である。 一般的な形状を有する外輪の1例を示す断面図。 同じく斜視図である。 図8に示す外輪を造る為の中間素材を鍛造加工により造る工程を順番に示す断面図である。 一般的な形状を有するハブ軸受の外輪に関して、鍛造加工により得られた中間素材と、この中間素材に仕上加工を施して造られる外輪との関係を示す断面図である。 本発明の製造方法の対象となるハブ(外輪)の形状の1例を示す断面図である。 図12に示すハブを造る場合に、従来から知られている鍛造加工方法により造った中間素材と完成後のハブとの関係を示す断面図である。
本発明の実施形態について、図面を用いつつ説明する。
本発明の実施形態に就いて、図1〜4により説明する。本例の製造方法では、図1の(F)及び図4に示す様な、完成後のハブ11bのアンダーカット部23(図4、図13の鎖線及び図12参照)に対応する部分の内径が大きくなった最終中間素材26を、塑性加工の一種である鍛造加工により造る。尚、以下に述べる、原素材12aを順次塑性変形させて前記最終中間素材26とする鍛造加工は、熱間により(被加工物である素材乃至は各段階の中間素材を900℃を超える温度に加熱した状態で)行う事が、加工力(プレス機の容量)を小さく抑えると共に、被加工物に亀裂等の損傷を発生しにくくする面からは好ましい。但し、被加工物の形状や寸法によっては、温間で(被加工物を600〜900℃に加熱した状態で)行う事もできる。更に、被加工物の形状変化が比較的少ない、初期段階の加工は、被加工物の寸法によっては、冷間で行う事もできる。
上述の様な最終中間素材26を造る為に本例の製造方法の場合には、先ず、長尺材を所定長さに切断する事により、図1の(A)に示す様な、円柱状の原素材12aを得る。次いで、この原素材12aを軸方向に押し潰して、軸方向寸法を縮めると共に外径を拡げる据え込み加工を施す事により、図1の(B)に示す様な、軸方向中央部の外径が最も大きくなった、ビヤ樽状の第一中間素材13aとする。
次に、この第一中間素材13aに荒成形加工を施す事により、図1の(C)に示す様な第二中間素材27とする。この荒成形加工は、前記第一中間素材13aを、軸方向に関して遠近動する押型と受型との間で押し潰す、鍛造加工により行う。そして、軸方向一端側(図1の上側)を充実部28とし、軸方向他端側(図1の下側)部分を円筒部29とした、前記第二中間素材27とする。この様な第二中間素材27の加工は、従来から金属加工
(鍛造加工)の分野で一般的に知られている様に、例えばダイスの内側で前記第一中間素材13aを、押型と受型とにより軸方向に強く押圧する、前方押出加工又は後方押出加工により、容易に行える。尚、前記円筒部29の内外両周面には抜き勾配を設けて、軸方向寸法が長い、この円筒部29を形成した後に於ける、金型との分離を容易にしている。
上述の様にして造った前記第二中間素材27に、続いて予備仕上成形を施し、前記充実部28を塑性変形させる事により、図1の(D)に示す様な第三中間素材30とする。この第三中間素材30は、前記充実部28の軸方向寸法及び外径を縮めると共に、一端面中央部に凹部31を形成する。この凹部31を囲む小円筒部32が、特許請求の範囲に記載した第二小径部である。そして、この凹部31の底面と、前記円筒部29の内側空間の奥端面との間に、隔壁部33を形成する。この隔壁部33はスクラップとなる部分であるから、できる限り薄くする。更に、前記充実部28を縮めると共に前記凹部31を形成する事に伴って生じた余肉を径方向外方に移動させて、外向フランジ6を形成する。この外向フランジ6の軸方向位置は、後から形成するアンダーカット部23[図1の(F)、図3〜4、12、13参照]の径方向外側位置とする。また、第三中間素材30においては、外向フランジを最終中間素材よりも小径、厚肉としている。
以上の加工により造られる第一〜第三中間素材13a、27、30には、何れも金型を軸方向に退避させる事に対する障害となるアンダーカット部分がない(軸方向一端部に形成した前記小円筒部32と軸方向他端開口部との間部分に、この他端開口部よりも内径が小さくなった部分が存在しない)。従って、例えば特許文献2等に記載されて従来から周知の鍛造加工方法により、容易に加工できる。この為、前記原素材12aから前記第三中間素材30までの加工方法に使用する金型等の、具体的な構造及び作用に就いては、図示並びに説明を省略する。
前記第三中間素材30は、前記外向フランジ6に本発明の特徴となる、鍛造による軸方向への圧縮加工を施す事により、図1の(E)に示した、内周面に小径の肩部24を有する第四中間素材34となる。この圧縮加工の際、前記小円筒部32及び前記円筒部29は、特に径方向寸法も軸方向寸法も変化させず、原則として元の形状・寸法のままとする。
本発明の特徴は、前記外向フランジ6に就いて、軸方向寸法を縮め、その結果生じた余分な金属材料を径方向外側に移動させることにある。その際、押圧部44の上端面45が隔壁部33に接触しないことから隔壁部33の近傍から前記外向フランジ6へ材料の供給がなされず、その結果、この外向フランジ6の内径部近傍の材料がこの外向フランジ6の外周側へ向かって引き込まれて行き、前記アンダーカット部23が成形される。以下、前記第三中間素材30を、このアンダーカット部23及び前記肩部24を備えた前記第四中間素材34とする工程に就いて、図2及び図3に基づいて説明する。
前記第三中間素材30を前記第四中間素材34に加工するには、この第三中間素材30を、図2に示すようにプレス加工機の基台に固定した受型35にセットする。前記受型35には、前記円筒部29を隙間なく内嵌できる環状凹部36を設け、この環状凹部36の周囲部分を、前記外向フランジ6の軸方向片面(図2の下面)を突き当てる為の支承面37としている。前記第三中間素材30は、前記円筒部29を前記環状凹部36に挿入すると共に、前記外向フランジ6の軸方向片面を前記支承面37に突き当て、更に、前記小円筒部32を押型38に内嵌する。この押型38の環状凹部39は、前記小円筒部32に隙間なく当接し、また環状凹部39の周囲の平坦部46は前記外向フランジ6の他方の軸方向片面(図2の上面)と接する形状としている。前記受型35は、前記環状凹部36の内側に、先端側の小径部41と、基端部47に近い大径部42とを曲面部43により連続させて成る、段付円柱状の押圧部44を備えている。前記押圧部44の軸方向寸法は、図3に示す前記第三中間素材30の外向フランジ6を軸方向に押し潰しつつ、外径を拡径する加工が完了した時点で前記隔壁部33に接触する寸法とする。
前記押型38の外周面48の外径と、前記受型35の内周面49の内径はともに軸方向に関して径が変化しない円筒面となっており、前記押型38と前記受型35はわずかに接触した状態で互いに摺動可能になっている。この様な押型38は図示しないプレス装置により、前記受型35に向けて、強く押圧される。
前記第三中間素材30を、前記受型35と前記押型38との間で強く押圧すると、前記外向フランジ6が軸方向に押し潰されつつ、金属材料の一部が径方向外側に移動する。この塑性加工の工程においては、その終端期を除いて前記押圧部44の上端面45が前記第三中間素材30の前記隔壁部33に接触しないため、前記隔壁部33の近傍では形状の変化は発生せず、また前記小円筒部32についても本工程においては形状の変化はない。この結果、前記隔壁部33及び前記小円筒部32からは前記外向フランジ6を形成するための材料が供給されないため、前記外向フランジ6の外径拡大に伴って、前記円筒部29の内周面の前記外向フランジ6に対応する軸方向位置に前記アンダーカット部23が形成される。また、前記円筒部29の先端と前記アンダーカット部23の間に特許請求の範囲に記載した第一小径部である肩部24が形成された、第四中間素材34となる(図3参照)。
続いて、前記第四中間素材34には、前記隔壁部33全体を打ち抜き除去するピアス(プレスによる打ち抜き)加工を施して、図1の(F)に示す様な、最終中間素材26とする。前記最終中間素材26は、次の仕上加工工程(切削工程及び研削工程)に送って、ハブ11b(図4の鎖線参照)として完成する。本例の製造方法により造られる前記最終中間素材26は、この図4に実線で示した様に、同じく鎖線で示したハブ11bの断面形状よりも少しだけ大きな断面形状を有する。この為、前記仕上加工工程での削り代は少なくて済み、この仕上加工の能率化と、材料の歩留まり向上とにより、前記図12に示す様な、アンダーカット部23を有する前記ハブ11bを、低コストで造ることが可能となる。
本工程では予備仕上げ成形[図1における(A)〜(C)]において必ずしも前記小円筒部32の成形が終わっている必要は無いが、本来この小円筒部32になるべき材料が前記外向フランジ6へ流動するのを防ぐ為、本工程までに小円筒部32の成形が終わっていることが望ましい。なお、本実施例ではピアス加工はアンダーカット部23の成形後に実施しているが、このアンダーカット部23の成形前に実施してもよい。
本願の手法においては、前記隔壁部33を軸方向に薄く、また、前記外向フランジ6の外径を小さく、もしくは軸方向に厚く設定することで、前記アンダーカット部23を大きく形成することができる。反対に前記隔壁部33を軸方向に厚く、また、前記外向フランジ6の外径を大きく、もしくは軸方向に薄く設定することで、前記アンダーカット部23を小さく形成することができる。
1、1a、1b 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 外輪
3、3a ハブ
4 転動体
5a、5b 外輪軌道
6 外向フランジ
7 外向フランジ
8a、8b 内輪軌道
9 スプライン孔
10 内輪
11、11a、11b ハブ
12、12a 原素材
13、13a 第一中間素材
14 第二中間素材
15a、15b 凹部
16 隔壁部
17 円筒状部分
18 第三中間素材
19 第四中間素材
20 バリ
21、21a 第五中間素材
22、22a 円筒部
23 アンダカット部
24 肩部
25 中間素材
26 最終中間素材
27 第二中間素材
28 充実部
29 円筒部
30 第三中間素材
31 凹部
32 小円筒部
33 隔壁部
34 第四中間素材
35 受型
36 環状凹部
37 支承部
38 押型
39 環状凹部
40 基板部
41 小径部
42 大径部
43 曲面部
44 押圧部
45 上端面
46 平坦部
47 基盤部
48 外周面
49 内周面
22 円筒部の内径
23 アンダーカット部の内径
24 肩部の内径

Claims (4)

  1. 金属材により略円筒状に造られて、内周面の軸方向中間部に軸方向両側部分よりも内径が小さくなった第一小径部と、この第一小径部から軸方向に離隔した軸方向一端部に第二小径部とを、それぞれ設け、これら第一、第二両小径部の間の部分を、これら第一、第二両小径部よりも内径が大きいアンダーカット部とすると共に、このうちの第一小径部を軸方向両側から挟む部分に1対の外輪軌道を設けた軌道輪部材の製造方法であって、金属製の素材を塑性加工する事により、軸方向一端部に前記第二小径部を設け、前記第一小径部及び前記アンダカット部を持たず、これら第一小径部及びアンダカット部となるべき円筒部と、素材の軸方向中間部の外側に、最終形状に比べて軸方向に厚く、径方向に小径な外向フランジと、前記外向フランジを挟んで前記円筒部とは反対側の端部に小円筒部と、前記円筒部と前記小円筒部との内周面の境界となる隔壁部と、を有する中間素材を形成した後、前記小円筒部の形状及び前記円筒部の他端寄りの形状を変化させずに、前記外向フランジを金型で軸方向に押し潰して外径を拡大させ、前記円筒部の内周面であって前記外向フランジに対応する軸方向位置に前記アンダーカット部を形成する事を特徴とする軌道輪部材の製造方法。
  2. 前記外向フランジの外径及び厚さを変更することで、前記アンダーカット部の大きさを調整する、請求項1に記載の軌道輪部材の製造方法
  3. 前記隔壁部の厚みを変更することで、または前記金型の押圧部の軸方向寸法を変更することで、前記外向フランジを軸方向に押し潰す工程において、前記隔壁部が金型の押圧部が前記隔壁部を塑性変形させる量を調節し、前記アンダーカット部の大きさを調整する、請求項1あるいは請求項2に記載の軌道輪部材の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3に記載したいずれかの軌道輪部材の製造方法により製造された自動車の車輪支持用軸受ユニットの軌道輪部材。
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