JP5919746B2 - 軸受軌道輪の製造方法 - Google Patents
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Description
図6は、円すいころ軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材の製造方法の従来例を示す工程図である。
この製造方法においては、まず、図6a〜図6cに示すように、軸受鋼等からなる柱状素材Aを、例えば熱間鍛造によって軸方向に押し潰して、外周面が円弧状の中間素材100を形成し、この中間素材100を熱間鍛造によってさらに軸方向に押し潰して、外周面が軸方向に平行な円盤状素材101を成形する。
また、前記内筒部104の打ち抜いた底部104bが、抜きカスとして廃棄されるので、その材料歩留まりが悪いという問題があった。
この発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、生産効率をさらに高めることができると共に、良好な材料歩留まりを確保することができる軸受軌道輪の製造方法を提供することを目的とする。
また、軌道輪の軸方向の一方側が他方側よりも厚肉である転がり軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材を製造する方法であって、鋼材からなる円盤状素材を鍛造して、内周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次拡径された外筒部と、外周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次縮径され、当該中央部が前記外筒部の中央部に一体化されている有底筒状の内筒部とを有するブランクを得る成形工程と、前記成形工程で得られたブランクの内筒部の底部を、鍛造によって打ち抜く打ち抜き工程と、前記内輪の底部を打ち抜いたブランクの外筒部の中央部と内筒部の中央部との境界を、鍛造によって軸方向にせん断させて、前記外筒部と内筒部とを分離させる分離工程と、前記分離工程で分離された内筒部及び外筒部に機械加工を施して、所定寸法に仕上げる機械仕上げ工程と、前記外筒部及び内筒部を軸方向中央で二分割して、一組の外輪用素形材及び内輪用素形材を二組形成する二分割工程と、をこの順に含み、前記分離工程と機械仕上げ工程との間、又は前記機械仕上げ工程と二分割工程との間に、外筒部及び内筒部を拡径する拡径工程をさらに含むことを特徴とする。
この場合、外筒部及び内筒部の外内径を、完成品である外輪用素形材及び内輪用素形材の内外径よりも小さくした状態で鍛造することができるので、その分、内筒部の底部の抜きカスの外径を小さくすることができる。このため、材料歩留まりをさらに高めることができる。
この場合、後工程の成形工程において、外筒部と内筒部を高精度に成形することができると共に、成形型に過度の負荷がかかるのを抑制することができる。
この発明に係る軸受軌道輪の製造方法は、軌道輪の軸方向の一方側が他方側よりも厚肉である転がり軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材を製造する方法である。
図1〜図5に示す本発明の実施の形態においては、円すいころ軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材を製造する方法を例示している。
図1は、この発明の軸受軌道輪の製造方法における鍛造工程を示す断面図である。
この発明の軸受軌道輪の製造方法においては、まず、鋼材からなる円柱状素材1に据え込み鍛造を施して第1の円盤状素材B1を形成する(図1a〜図1c参照)。前記円柱状素材1としては、軸受用鋼としての軸受鋼が用いられる。また、前記据え込み鍛造は、前記円柱状素材1を熱間鍛造によって軸方向へ押し潰すことにより行う。この据え込み工程は、2段階に分けて行う。すなわち、第1段階として、前記円柱状素材1をフリー鍛造にてその全長の1/2程度まで押し潰して、外周面が円弧状の中間素材B0を形成し、第2段階として、前記中間素材B0を型成形にてさらに押し潰して、外周面が軸方向に平行な第1の円盤状素材B1を得る。
次に、前記第1の円盤状素材B1を型鍛造して、当該第1の円盤状素材B1の一方の面(図1において下面)に、凸部2aを形成する(予備成形工程:図1d参照)。この予備成形工程においては、前記円盤状素材B1の他方の面(図1において上面)に、浅い凹部2bを圧縮成形すると同時に、前記凸部2aを突出成形する。この予備成形品(以下「第2の円盤状素材B2」という)の前記凸部2aを除いた部分の外径D2及び厚みW2は、それぞれ第1の円盤状素材B1の外径D1及び厚みW1とほぼ同じである。
また、前記予備成形工程においては、凸部2aの成形と同時に、当該凸部2aの基端部に環状溝2cを凹入形成する。
前記予備成形工程が完了すると、前記第2の円盤状素材B2を型鍛造して、外筒部3と内筒部4とを一体成形した成形ブランクB3を形成する(成形工程:図1e参照)。
前記外筒部3の外周は軸方向と平行に延びており、その内周は、所定幅を有する軸方向の中央部31から、両端部に向かって漸次拡径されている。また、前記外筒部3の外径D3は前記第2の円盤状素材B2の前記外径D2とほぼ同一であり、外筒部3の幅W3は、第2の円盤状素材B2の前記幅W2よりも大きくなっている。
なお、前記内筒部4の両端部の外径D4は、前記第2の円盤状素材B2の凸部2aの先端の外径D5とほぼ同じであり、内筒部4の幅W4は、第2の円盤状素材B2の全幅W5よりも大きくなっている。
前記成形工程が完了すると、前記成形ブランクB3の内筒部4の底部43を、鍛造によって打ち抜く(打ち抜き工程:図1f参照)。
この打ち抜き工程は、外筒部3及び内筒部4を保持した状態で、前記内筒部4の内周にパンチを挿入して底部43に突き当てることにより行う。
なお、以上の各工程は、多段フォーマを用いて熱間鍛造することにより、連続的且つ効率的に行うことができる。
次に、互いに分離された外筒部3及び内筒部4に機械加工としての旋削加工を施して、これらを所定寸法に仕上げる(図2a及び図3a参照)。この旋削加工は、外筒部3及び内筒部4の全面に施す。ただし、前記外筒部3及び内筒部4の幅寸法については、前記旋削加工に代えて、両頭研削盤等を用いた研削加工によって所定の寸法に仕上げる場合もある。
外筒部3及び内筒部4の機械加工が完了すると、これらを塑性加工によって拡径させる。この拡径は冷間ローリング加工を施すことによって行う。
図4は外筒部3の冷間ローリング加工を示す概略図である。この冷間ローリング加工は、成形ロール51とマンドレル52との間で外筒部3を挟み込んで圧延することにより、その肉厚を減少させて、内外径を所定寸法に拡径すると同時に、内周面を所定形状に成形するものである。この冷間ローリング加工においては、外筒部3の外径をセンサにより検知して、その外径が所定範囲になるように圧延量を制御する。この冷間ローリング加工が完了した後、必要により外筒部3にサイジングを施して、その内外径寸法を整える。これにより、外筒部3については、二つの外輪用素形材B4(図2c参照)の厚肉側の端面どうしを、切断しろ33を介して対向させた形状に成形することができる(図2b参照)。
拡径工程が完了すると、外筒部3及び内筒部4の軸方向中央の切断しろ33,44部分に、機械加工を施すことにより、当該外筒部3及び内筒部4を二分割する(図2c及び図3c参照)。この機械加工としては、ステッキバイトを用いた旋削加工又は厚みの薄い円盤状の砥石を用いた研削加工を採用することができる。
以上により、円すいころ軸受用の一組の外輪用素形材B4及び内輪用素形材B5を、二組製造することができる(図2c及び図3c参照)。これら外輪用素形材B4及び内輪用素形材B5は、熱処理を施した後、所定部に研磨仕上げを施して、円すいころ軸受の外輪及び内輪として用いられる。
しかも、外筒部3及び内筒部4を、完成寸法よりも縮径した状態で鍛造した後、冷間ローリング加工によって所定の寸法に拡径するので、内筒部4の底部43を打ち抜いた抜きカスの外径を小さくすることができる。このため、材料歩留まりをさらに効果的に高めることができる。
また、互いに分離された外筒部3及び内筒部4を拡径する方法としては、前記冷間ローリング加工に代えて、それぞれの内周にパンチを挿入する鍛造加工によって拡径する方法も採用することができる。
この発明の軸受軌道輪の製造方法は、前記した円すいころ軸受の軌道輪用ブランクの他、アンギュラ玉軸受の軌道輪等、軸方向の一方側が他方側よりも厚肉である転がり軸受の軌道輪の製造方法として適用して実施することができる。
B1:第1の円盤状素材 B2:第2の円盤状素材 B3:成形ブランク
B4:外輪用素形材 B5:内輪用素形材
Claims (4)
- 軌道輪の軸方向の一方側が他方側よりも厚肉である転がり軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材を製造する方法であって、
鋼材からなる円盤状素材を鍛造して、内周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次拡径された外筒部と、外周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次縮径され、当該中央部が前記外筒部の中央部に一体化されている有底筒状の内筒部とを有するブランクを得る成形工程と、
前記成形工程で得られたブランクの内筒部の底部を、後工程である二分割工程の前に、鍛造によって打ち抜く打ち抜き工程と、
前記内輪の底部を打ち抜いたブランクの外筒部の中央部と内筒部の中央部との境界を、鍛造によって軸方向にせん断させて、前記外筒部と内筒部とを分離させる分離工程と、
前記分離工程で分離された内筒部及び外筒部に機械加工を施して、所定寸法に仕上げる機械仕上げ工程と、
前記外筒部及び内筒部を軸方向中央で二分割して、一組の外輪用素形材及び内輪用素形材を二組形成する二分割工程と、
をこの順に含むことを特徴とする軸受軌道輪の製造方法。 - 軌道輪の軸方向の一方側が他方側よりも厚肉である転がり軸受の外輪用素形材及び内輪用素形材を製造する方法であって、
鋼材からなる円盤状素材を鍛造して、内周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次拡径された外筒部と、外周が軸方向の中央部から両端部に向かって漸次縮径され、当該中央部が前記外筒部の中央部に一体化されている有底筒状の内筒部とを有するブランクを得る成形工程と、
前記成形工程で得られたブランクの内筒部の底部を、鍛造によって打ち抜く打ち抜き工程と、
前記内輪の底部を打ち抜いたブランクの外筒部の中央部と内筒部の中央部との境界を、鍛造によって軸方向にせん断させて、前記外筒部と内筒部とを分離させる分離工程と、
前記分離工程で分離された内筒部及び外筒部に機械加工を施して、所定寸法に仕上げる機械仕上げ工程と、
前記外筒部及び内筒部を軸方向中央で二分割して、一組の外輪用素形材及び内輪用素形材を二組形成する二分割工程と、
をこの順に含み、
前記分離工程と機械仕上げ工程との間、又は前記機械仕上げ工程と二分割工程との間に、外筒部及び内筒部を拡径する拡径工程をさらに含む軸受軌道輪の製造方法。 - 前記拡径工程を冷間ローリング加工で行う請求項1又は2に記載の軸受軌道輪の製造方法。
- 成形工程の前工程として、前記有底筒状の内筒部の底部側となる凸部を有する円盤状素材を鍛造によって成形する予備成形工程をさらに含む請求項1から3のいずれかに記載の軸受軌道輪の製造方法。
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