JP5549331B2 - ボールねじの製造方法 - Google Patents

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本発明はボールねじの製造方法に関する。
ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路内に転動自在に装填された複数のボールと、からなる。そして、ボールを介してねじ軸に螺合されているナットとねじ軸とを相対回転運動させると、ボールの転動を介してねじ軸とナットとが軸方向に相対移動するようになっている。
このようなボールねじには、ボール転動路の始点と終点とを連通させて無端状のボール通路を形成するボール循環路が備えられている。すなわち、ボールは、ボール転動路内を移動しつつねじ軸の回りを複数回回ってボール転動路の終点に至ると、ボール循環路の一方の端部から掬い上げられてボール循環路内を通り、ボール循環路の他方の端部からボール転動路の始点に戻される。このように、ボール転動路内を転動するボールがボール循環路により無限に循環されるようになっているので、ねじ軸とナットとは継続的に相対移動することができる。
ボール循環路を用いたボールの循環形式には、チューブ式,コマ式等の種々の形式がある。例えば、チューブ式の場合は、ボール転動路の始点と終点とを連通させるリターンチューブがナットの外周面に固定されており、コマ式の場合は、ボール転動路の始点と終点とを連通させる溝が形成されたコマが、ナットの外周面と内周面を貫通するコマ穴に嵌め込まれている。また、ナットの内周面の一部を凹化させて凹溝を形成し、この凹溝をボール循環路とする循環形式も知られている。
このような凹溝をボール循環路とするボールねじを製造する際には、円柱状の鋼製素材を冷間鍛造により加工して、略円筒形状(ナットと略同一形状)のブランクを得て、金型を用いて鍛造することにより該ブランクの内周面の一部を凹化させて凹溝を形成し、さらに凹溝に連続してねじ溝を切削加工により形成して、ナットを製造していた。具体的には、凹溝の形成は、金型に設けられた凸部をブランクの内周面に押圧することにより行っていた(ブランクを軸方向に垂直な平面で切断した断面図である図9を参照)。
この金型は、金型成型用の放電型から製造される。放電型には、金型の凸部を形成するための凹部が設けられているが、この凹部は、放電型の製造時に基材をボールエンドミルで加工することにより形成されるので(図10を参照)、その両端部の形状は略球面形状をなしており、その曲率半径は凹部(凹溝)の幅の1/2であった。
特開2008−281063号公報
しかしながら、放電型の凹部が長いと、すなわち凹溝形成用の金型の凸部が長いと、該金型のサイズが大きくなってしまうため、ボールねじの諸元によっては(例えば、ナットの内径が小さい場合やボールの直径が大きい場合)、ブランクの内径に対して金型のサイズが大きすぎて、金型をブランクの内周面に向かって押圧するための成型ストロークが確保できないおそれがあった。その結果、金型を用いて凹溝を容易に形成できないおそれがあった。
また、放電型の凹部の両端部の形状が略球面形状(凹面)をなしており、その曲率半径が凹部の幅の1/2であると、この凹部に対応する形状である金型の凸部の両端部の形状も同様の略球面形状(凸面)となるが、このような形状の凸部をブランクの内周面に押圧して凹溝を形成しようとすると、押圧荷重を大きくする必要がある。そのため、凸部に摩耗や変形が生じやすく、金型の寿命が短くなる場合があった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、ボール循環路を構成する凹溝を金型を用いて容易に形成することが可能であり、且つ、該金型を長寿命とすることができるボールねじの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明のボールねじの製造方法は、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法であって、金型に設けられた凸部を前記ナットの円柱面状の内周面に押圧して塑性加工することにより、前記内周面の一部を凹化させて、前記ボール循環路を構成する部分である主溝部と、前記主溝部の両端部からそれぞれ延びる延長溝部とからなる凹溝を形成する凹溝形成工程と、前記延長溝部の近傍部分を含む前記内周面の別の一部を切削することにより、前記延長溝部を取り除くとともに、前記主溝部の端部に連続して前記ナットのねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、を備え、前記凹溝形成工程では、前記延長溝部が下記の3つの条件を満足するように前記凹溝を形成することを特徴とする。
条件A:前記延長溝部の先端は略球面形状をなし、その曲率半径は前記主溝部の幅の1/2よりも大きい。
条件B:前記内周面上に形成される前記延長溝部の先端の円弧状境界線が、前記主溝部と前記ナットのねじ溝との接続点となる部分を通る位置、又は、該位置よりも前記主溝部から離れる位置に形成される。
条件C:半径が前記主溝部の幅の1/2である半円を、該半円の弦と前記主溝部の端部とが接するように仮想的に配置した場合、前記内周面上に形成される前記延長溝部の先端の円弧状境界線が、前記仮想半円の頂点を通る位置よりも前記主溝部に近い位置に形成される。
本発明のボールねじの製造方法は、ボール循環路を構成する凹溝を金型を用いて容易に形成することが可能であり、且つ、該金型を長寿命とすることができる。
本実施形態のボールねじの製造方法により製造されたボールねじの断面図である。 本実施形態のボールねじの製造方法を説明する工程図である。 パンチの斜視図である。 パンチを用いてブランクに凹溝を形成する方法を説明する断面図である。 ボール循環路及びねじ溝が形成されたブランクの断面図である。 凹溝の形状を従来品と比較して説明する図である。 凹溝の形状を従来品と比較して説明するブランクの断面図である。 凹溝の延長溝部の端部の形状を説明する図である。 金型を用いてブランクに凹溝を形成する方法を説明する断面図である。 ボールエンドミルを用いて従来の放電型を製造する方法を説明する斜視図である。
本発明に係るボールねじの製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態のボールねじの製造方法により製造されたボールねじの断面図(軸方向に沿う平面で切断した断面図)である。
図1に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向する螺旋状のねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転動路7内に転動自在に装填された複数のボール9と、ボール9をボール転動路7の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路11と、を備えている。
すなわち、ボール9は、ボール転動路7内を移動しつつねじ軸3の回りを回ってボール転動路7の終点に至り、そこでボール循環路11の一方の端部から掬い上げられてボール循環路11内を通り、ボール循環路11の他方の端部からボール転動路7の始点に戻されるようになっている。
なお、ねじ軸3,ナット5,及びボール9の素材は特に限定されるものではなく、一般的な材料を使用可能であり、例えば鋼等の金属やセラミックがあげられる。また、ねじ溝3a,5aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
このようなボールねじ1は、ボール9を介してねじ軸3に螺合されているナット5とねじ軸3とを相対回転運動させると、ボール9の転動を介してねじ軸3とナット5とが軸方向に相対移動するようになっている。そして、ボール転動路7とボール循環路11により無端状のボール通路が形成されており、ボール転動路7内を転動するボール9が無端状のボール通路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸3とナット5とは継続的に相対移動することができる。
ここで、ボール循環路11について詳細に説明する。ボール循環路11は、ナット5の内周面に一体的に形成されている。詳述すると、ナット5の円柱面状の内周面の一部を、塑性加工により凹化させて形成した凹溝22の一部を、ボール循環路11としている。なお、ボール循環路11は長手方向全体にわたって等幅であり、その幅は、ボール9の直径の1.05倍以上1.10倍以下とすることが好ましい。また、ボール循環路11の断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
本実施形態のボールねじ1は、上記のようなボール循環路11を用いたボール循環形式を採用しているので、ボール循環路を構成する別部材(リターンチューブやコマ)をナット5に取り付ける必要がない。また、ボール循環路を構成する別部材(リターンチューブやコマ)を取り付けるための孔(前述の貫通孔やコマ穴)をナット5に形成する必要がない。
ボール循環形式がチューブ式やコマ式である場合は、ボール循環路を構成する部材とナットとが別体であり、チューブ式の場合はリターンチューブがナットの外周面に、コマ式の場合はコマがコマ穴に取り付けられる。そのため、ナットの外周面のうちリターンチューブやコマが設けられている部分には、フランジ等の外周形成物を形成することはできず、ナットの外周面の設計に制限があった。
これに対して、本実施形態のボールねじ1は、ボール循環路11がナット5の内周面に形成されており、ナット5の外周面にはいかなる部材も取り付ける必要がなく、前述の貫通孔,コマ穴等の孔を形成する必要もないので、ボール循環路11が設けられた位置や回路数に拘束されず、ナット5の外周面全体にわたって任意の形状に設計することができる。よって、ナット5の外周面のうち、ボール循環路11やねじ溝5aに相対する部分にも、外周形成物を一体的に形成することができる。本実施形態のボールねじ1は、外周形成物としてフランジ13が形成されている。また、リターンチューブ,コマ等の部材が取り付けられていないので、これらが脱落する心配が無く、ボールねじ1の信頼性が優れている。
外周形成物の種類は特に限定されるものではないが、フランジの他には、歯車用歯列,キー溝,軸受用軌道溝,異形外周面等があげられる。例えば、周方向に並ぶ複数の歯からなる歯車用歯列をナット5の外周面に形成すれば、ナット5を歯車として機能させることができる。また、ナット5の外周面にキー溝を形成すれば、他部材に設けられたキーを該キー溝に係合させることにより、その他部材とナット5を連結することができる。さらに、ナット5の外周面に軸受用軌道溝を形成すれば、ナット5を転がり軸受の内輪として機能させることができる。さらに、ナット5の外周面は通常は断面円形であるが、断面多角形,断面楕円形等の異形外周面とすることもできる。なお、これらの外周形成物の中の1つをナット5の外周面に形成してもよいし、2つ以上を形成してもよい。例えば、本実施形態のボールねじ1のように、ナット5の外周面にフランジ13を形成し、そのフランジ13の外周面に歯車用歯列15を形成してもよい。
このような本実施形態のボールねじ1の用途は特に限定されるものではないが、自動車,二輪車,位置決め装置等に組み込まれる電動アクチュエータに特に好適に使用することができる。
次に、本実施形態のボールねじ1の製造方法の一例を、図2を参照しながら説明する。まず、所定の長さ(又は質量)の円柱状の鋼製素材20を冷間鍛造等の塑性加工により加工し、ナット5と略同一形状(略円筒形状)のブランク21を得た(粗成形工程)。このとき、塑性加工により、ブランク21の外周面にはフランジ13も形成される。よって、この場合の粗成形工程は、同時に外周形成物形成工程を兼ねている。
次に、ブランク21の円柱面状の内周面の一部を冷間鍛造等の塑性加工により凹化させて、例えば略S字状の凹溝22を形成した(凹溝形成工程)。この凹溝22は、ボール転動路7の終点と始点を連通するボール循環路11を構成する部分である主溝部22aと、主溝部22aの両端部からそれぞれ延びる延長溝部22b,22bとからなる。この延長溝部22b,22bは、後述するねじ溝形成工程において切削加工で取り除かれ、残る主溝部22aがボール循環路11となる。
凹溝22を形成する方法としては、以下のような冷間鍛造法があげられる。すなわち、図3に示すような、凹溝22に対応する形状の凸部31を有するパンチ30(本発明の構成要件である金型に相当する)をブランク21内に挿入し、ブランク21の内周面にパンチ30の凸部31を接触させ、ブランク21の内周面に向かってパンチ30を強く押圧することにより、凹溝22を形成することができる。
例えば、ブランク21を軸方向に沿う面で切断した断面図である図4に示すように、凸部31を有する面とは反対側の面が傾斜面32であるパンチ30を、ブランク21の内周面に凸部31を向けつつ、ダイ34に設置したブランク21内に挿入するとともに、パンチ30の傾斜面32に対応する傾斜面36を有する治具35をブランク21内に挿入し、ブランク21の軸方向に沿う力を治具35に加える。すると、軸方向に沿う力が傾斜面32,36により径方向外方に向く力に変換されてパンチ30に加えられるため、凸部31がブランク21の内周面を押圧して凹溝22が形成される。
凹溝形成工程で使用するパンチ30は、例えば金型成型用の放電型(図示せず)を用いて製造される。放電型には、パンチ30の凸部31を形成するための凹部が設けられており、凹部の両端部の形状は略球面形状(凹面)をなしている。よって、この凹部に対応する形状であるパンチ30の凸部31の両端部の形状も同様の略球面形状(凸面)となり、凸部31により形成される凹溝22の両端部(延長溝部22bの端部)の形状も同様の略球面形状(凹面)となる。この凸部31や凹溝22の端部の形状については、後に詳述する。
なお、外周形成物と凹溝22の形成順序は特に限定されるものではなく、どちらを先に形成してもよいが、本実施形態においては外周形成物であるフランジ13を塑性加工にて形成した後に凹溝22を形成したので、ボール循環路11の形状精度をより高く確保できる。
次に、ブランク21の外周面に突出するフランジ13の外周面に、冷間鍛造等の塑性加工により、周方向に並ぶ複数の歯からなる歯車用歯列15を形成した(外周形成物形成工程)。なお、歯車用歯列15は塑性加工により形成することが好ましいが、切削加工により形成することもできる。
そして、ブランク21の内周面に切削加工によりねじ溝5aを形成した(ねじ溝形成工程)。詳述すると、延長溝部22bの近傍部分を含む前記内周面の別の一部を切削することにより、主溝部22aの端部に連続してナット5のねじ溝5aを形成した。すなわち、主溝部22aの端部に連続してねじ溝5aを形成する際に、延長溝部22bは切削加工により取り除かれる。その結果、主溝部22aがボール循環路11となる。
最後に、所望の条件で浸炭,浸炭窒化,焼入れ,焼戻し,高周波焼入れ等の熱処理を施すと、ナット5が得られた。
このようにして製造されたナット5と、慣用の方法により製造されたねじ軸3及びボール9とを組み合わせて、ボールねじ1を製造した。
前述の粗成形工程,凹溝形成工程,外周形成物形成工程の全てを塑性加工で行ったので、このボールねじ1の製造方法は、材料歩留まりが高いことに加えて、高精度のボールねじを安価に製造することができる。また、塑性加工により製造するため、鋼製素材20が有するメタルフロー(鍛流線)がほとんど切断されないので、高強度のナット5が得られる。
塑性加工の種類は特に限定されるものではないが、鍛造が好ましく、特に冷間鍛造が好ましい。熱間鍛造を採用することも可能であるが、冷間鍛造は熱間鍛造に比べて高精度な仕上げが可能であるので、後加工を施さなくても十分に高精度なナット5を得ることができる。よって、ボールねじ1を安価に製造することができる。
粗成形工程,凹溝形成工程,及び外周形成物形成工程のうち、全ての工程における塑性加工を冷間鍛造とすることが好ましいが、いずれか1つ又は2つの工程における塑性加工を冷間鍛造としてもよい。
ここで、前述した凸部31や凹溝22の端部の形状について、詳細に説明する。発明が解決しようとする課題の項で前述したように、パンチ30の凸部31が長いとパンチ30のサイズが大きくなってしまうため、ブランク21の内径に対してパンチ30のサイズが大きすぎて、パンチ30をブランク21の内周面に向かって押圧するための成型ストロークが確保できないおそれがあった。
また、パンチ30の凸部31の両端部の形状が略球面形状(凸面)をなし、その曲率半径が凸部31の幅の1/2であると、このような形状の凸部31をブランク21の内周面に押圧して凹溝22を形成しようとした際に、押圧荷重を大きくする必要があるため、凸部31に摩耗や変形が生じやすく、パンチ30の寿命が短くなる場合があった。
一方、ねじ溝形成工程においてねじ溝5aを形成する際に、凹溝22の延長溝部22bは切削加工により取り除かれるので、延長溝部22bの端部の形状は、完成後のボール循環路11には影響しない。よって、延長溝部22bの端部の形状は特に制限されないので、上記のような問題が生じないように、延長溝部22bの端部の形状、すなわち凸部31の端部の形状を設計すればよい。
そこで、本実施形態においては、延長溝部22bの端部の形状(パンチ30の凸部31の両端部の形状)を、下記の3つの条件A〜Cを満足するような形状とした(図5〜8を参照)。図5は、ボール循環路11及びねじ溝5aが形成されたブランク21の断面図である。図6,7は、凹溝の延長溝部の形状を従来品と比較して説明した図である。図6の左側の図は、ねじ溝を形成する前の凹溝をナットの径方向内方側から見た図であり、同じく右側の図は、ねじ溝を形成する前の凹溝をナットの軸方向に垂直な平面で切断した断面図である。
また、図7の(a)は、凹溝22が形成されねじ溝5aを形成する前の本実施形態のブランク21であり、(b)は、凹溝が形成されねじ溝を形成する前の従来のブランクである。さらに、図8は、凹溝22の延長溝部22bの端部の形状(特に条件B,C)を説明する図である。なお、図6,7においては、従来品の凹溝の長さをL1、延長溝部の端部の曲率半径をR1とし、本実施形態の凹溝22の長さをL2、延長溝部22bの端部の曲率半径をR2と示してある。
条件A:延長溝部22bの先端は略球面形状をなし、その曲率半径R2は主溝部22aの幅の1/2よりも大きい(図6〜8を参照)。
条件B:ブランク21の内周面上に形成される延長溝部22bの先端の円弧状境界線(図7,8を参照)が、主溝部22aとナット5のねじ溝5aとの接続点(図5,8を参照)となる部分を通る位置、又は、該位置よりも主溝部22aから離れる位置に形成される。
条件C:半径が主溝部22aの幅の1/2である半円を、該半円の弦と主溝部22aの端部とが接するように仮想的に配置した場合、ブランク21の内周面上に形成される延長溝部22bの先端の円弧状境界線が、前記仮想半円の頂点を通る位置よりも主溝部22aに近い位置に形成される(図8を参照)。
図8の符号Xは、主溝部22aとナット5のねじ溝5aとの接続点となる部分を通る位置に形成された円弧状境界線である。この場合は、延長溝部22bは弓形となる。また、図8の符号Yは、前記接続点となる部分を通る位置よりも主溝部22aから離れる位置で、且つ、前記仮想半円の頂点を通る位置よりも主溝部22aに近い位置に形成された円弧状境界線である。
前述したように、延長溝部22bの端部の形状は、曲率半径が主溝部22aの幅の1/2である略球面形状をなしている必要はない。よって、上記のような問題が生じないようにするために、延長溝部22b(パンチ30の凸部31)を短くすればよい。上記条件A〜Cを満足するような形状とすれば、延長溝部22b(パンチ30の凸部31)が従来品よりも短くなるので(前記仮想半円が、従来品の延長溝部の先端の円弧状境界線に相当する)、パンチ30のサイズが小さくなり、パンチ30をブランク21の内周面に向かって押圧するための成型ストロークが十分に確保できる。その結果、パンチ30を用いて凹溝22を容易に形成することができる。また、パンチ30のサイズが小さいので、小径のナットを備えるボールねじも容易に製造することができる。
また、凸部31の端部の形状が、従来品よりも曲率半径の大きい略球面形状であるため、凸部31をブランク21の内周面に押圧して凹溝22を形成する際の押圧荷重を、従来品の場合よりも軽減することができる。その結果、凸部31に摩耗や変形が生じにくくなり、パンチ30が長寿命となる。
さらに、形成される凹溝22の体積(塑性加工によるブランク21の凹み量)が従来品よりも小さいので、塑性加工により移動する素材の量が少ない。よって、塑性加工によるナット5の変形が生じにくい。また、塑性加工の際の押圧荷重も、従来品の場合よりも軽減することができる。
1 ボールねじ
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
7 ボール転動路
9 ボール
11 ボール循環路
13 フランジ
20 鋼製素材
21 ブランク
22 凹溝
22a 主溝部
22b 延長溝部
30 パンチ
31 凸部

Claims (1)

  1. 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された複数のボールと、前記ボールを前記ボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法であって、
    金型に設けられた凸部を前記ナットの円柱面状の内周面に押圧して塑性加工することにより、前記内周面の一部を凹化させて、前記ボール循環路を構成する部分である主溝部と、前記主溝部の両端部からそれぞれ延びる延長溝部とからなる凹溝を形成する凹溝形成工程と、前記延長溝部の近傍部分を含む前記内周面の別の一部を切削することにより、前記延長溝部を取り除くとともに、前記主溝部の端部に連続して前記ナットのねじ溝を形成するねじ溝形成工程と、を備え、
    前記凹溝形成工程では、前記延長溝部が下記の3つの条件を満足するように前記凹溝を形成することを特徴とするボールねじの製造方法。
    条件A:前記延長溝部の先端は略球面形状をなし、その曲率半径は前記主溝部の幅の1/2よりも大きい。
    条件B:前記内周面上に形成される前記延長溝部の先端の円弧状境界線が、前記主溝部と前記ナットのねじ溝との接続点となる部分を通る位置、又は、該位置よりも前記主溝部から離れる位置に形成される。
    条件C:半径が前記主溝部の幅の1/2である半円を、該半円の弦と前記主溝部の端部とが接するように仮想的に配置した場合、前記内周面上に形成される前記延長溝部の先端の円弧状境界線が、前記仮想半円の頂点を通る位置よりも前記主溝部に近い位置に形成される。
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