JP2007092968A - ナットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの増大を招くことなく、循環溝を有するナットを製造できるナットの製造方法を提供する。
【解決手段】第1の塑性加工工程で、円筒状の素材Wに対して循環溝2b、2bを形成し、第2の加工工程で、循環溝2b、2bを形成した円筒状の素材Wに対して、雌ねじ溝2a、2aを形成するので、低コストで高精度な循環溝と雌ねじ溝とを形成することができる。又、切削工程を削減できるので、ナット2の大量生産が可能となる。
【選択図】図5
【解決手段】第1の塑性加工工程で、円筒状の素材Wに対して循環溝2b、2bを形成し、第2の加工工程で、循環溝2b、2bを形成した円筒状の素材Wに対して、雌ねじ溝2a、2aを形成するので、低コストで高精度な循環溝と雌ねじ溝とを形成することができる。又、切削工程を削減できるので、ナット2の大量生産が可能となる。
【選択図】図5
Description
本発明は、一般産業用機械に組付けられたり、或いは自動車に使用されたりするボールねじ機構のナットの製造方法に関するものである。
近年、車両等の省力化が進み、例えば自動車のトランスミッションやパーキングブレーキなどを手動でなく、電動モータの力により行うシステムが開発されている。そのような用途に用いる電動アクチュエータには、電動モータから伝達される回転運動を高効率で軸線方向運動に変換するために、ボールねじ機構が用いられる場合がある。
ところで、一般的なボールねじ機構においては、転走路の一端から他端へとボールを戻す循環部材が必要となっている。これに対し、特許文献1には、ナットの内周に雌ねじ溝と循環溝とを形成する技術が開示されている。かかる技術によれば、循環部材を別個に設ける必要がなく、組付けの手間やコストを減少させることができる。
特開2003−307263号公報
ところで、雌ねじ溝と循環溝とを有するナットは、切削加工や鍛造加工されることにより製造できるが、安定した精度でナットを大量生産するには更なる工夫が必要とされている。特に、鍛造加工等においては、循環溝の一体化に伴うボール溝との位相決めを注意深く行う必要があり、手間がかかっている。また、浸炭熱処理していたナットの雌ねじ溝の表面は、炭化物の抜けた組織で十分な表面炭素濃度が得られなくなる粒界酸化が生じやすい問題もあり、ナットのコストダウンのネックとなっていた。
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、コストの増大を招くことなく、循環溝を有するナットを製造できるナットの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のナットの製造方法は、
外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され且つ内周面に雌ねじ溝と該雌ねじ溝の両端を連結する半径方向に突出した循環溝とを形成したナットと、対向する雄ねじ溝と雌ねじ溝との間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、を有するボールねじ機構のナットの製造方法において、
円筒状の素材に対して循環溝を形成する第1の塑性加工工程と、
循環溝を形成した円筒状の素材に対して、雌ねじ溝を形成する第2の加工工程とを有することを特徴とする。
外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され且つ内周面に雌ねじ溝と該雌ねじ溝の両端を連結する半径方向に突出した循環溝とを形成したナットと、対向する雄ねじ溝と雌ねじ溝との間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、を有するボールねじ機構のナットの製造方法において、
円筒状の素材に対して循環溝を形成する第1の塑性加工工程と、
循環溝を形成した円筒状の素材に対して、雌ねじ溝を形成する第2の加工工程とを有することを特徴とする。
本発明のナットの製造方法は、第1の塑性加工工程で、円筒状の素材に対して循環溝を形成し、第2の加工工程で、循環溝を形成した円筒状の素材に対して、雌ねじ溝を形成するので、低コストで高精度な循環溝と雌ねじ溝とを形成することができる。又、切削工程を削減できるので、ナットの大量生産が可能となる。なお、第2の加工工程は、切削加工や塑性加工を含む。
前記第1の塑性加工工程において、前記第2の加工工程に用いるための位相基準マークを前記ナットに形成すると好ましい。上述したように加工工程を2段階とした場合、循環溝と雌ねじ溝の位相合わせが重要となる。ここで、前記第1の塑性加工工程で位相基準マークを形成すれば、それに基づいて前記第2の加工工程を高精度に行うことができ、精度良く循環溝と雌ねじ溝の位相合わせを行うことができる。
前記円筒状の部材に対して高周波焼入を行う工程を有すると好ましい。前記ナットは循環部材の取り付け孔を有していないので、高周波焼入を行うのに適しており、それにより雌ねじ溝の表面における粒界酸化を抑制できる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態であるボールねじ機構を軸線方向に見た図である。図2は、図1の構成をII-II線で切断して矢印方向に見た図である。図3は、本実施の形態であるボールねじ機構の分解図である。図4は、図3のナットを矢印IV方向に見た図である。
図1,2において、不図示のモータの回転軸に連結され且つ雄ねじ溝1aを有するねじ軸1を包囲するようにして、円筒状のナット2が配置されている。ナット2は、不図示のハウジングに対して回転のみ可能に支持されており、その円筒内周面2fに、2本の雌ねじ溝2a、2aと、各雌ねじ溝2aの両端を接続するように半径方向外方に突出した(ただし側壁を貫通していない)循環溝2b、2bを形成している。複数のボール3が、対向する両ねじ溝1a、2a間に形成された2本の螺旋状の転走路内を転動自在となっており、循環溝2bを介して循環するように配置されている。ねじ軸1と、ナット2と、ボール3とでボールねじ機構を構成する。
ボールねじ機構の動作を説明すると、不図示のモータによりねじ軸1が回転駆動されたとき、各転走路(1a、2a)を転動し且つ循環溝2bを介して転走路の一端から他端へと循環するボール3により、かかる回転運動がナット2の軸線方向運動に効率よく変換されるようになっている。
図5は、ナットの製造工程を示す図である。まず、中空円筒状の素材から、フランジ2cを有するワークWを形成する。次に、図5(a)に示すように不図示の第1型を用いて、塑性加工により、ワークWの内周に2つの循環溝2b、2bを形成すると同時に、ワークWの左端内周に位相基準マークである凹部2dを形成する(第1の塑性加工工程)。
続いて、図5(b)に示すように不図示の工具を用いて、切削加工により、ワークWに2つの雌ねじ溝2a、2aを形成する(第2の加工工程)。切削加工は、凹部2dを基準にしてワークWに対する位相を設定されるので、形成された雌ねじ溝2a、2aと、循環溝2b、2bとは確実に位置合わせできるようになっている。
その後、図5(c)に示すように、コイルCの内部にワークWを配置し、コイルCに高周波電流を流すことで、高周波焼き入れを行う。ワークWに循環部材の取り付け孔を形成していないので、高周波焼入を行うのに適しており、それにより雌ねじ溝2a、2aの表面における粒界酸化を抑制できる。更に、ワークWのフランジ部2cに、任意のボルト孔2e(図2参照)を形成することで、ナット2が完成する。本実施の形態の製造方法によれば、切削工程を削減できるので、ナット2の大量生産が可能となる。このようにして形成されたナット2の雌ねじ溝2a、2aにボール3を収容し、ナット2内にねじ軸1をねじ込みながら挿通することで、ボールねじ機構を組み立てることができる。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。上述した実施の形態では、凹部2dの形状は円弧溝状であるが、これに限らず種々の形状をとりうる。
1 ねじ溝
1a 雄ねじ溝
2 ナット
2a 雌ねじ溝
2b 循環溝
2c フランジ部
2d 凹部
3 ボール
1a 雄ねじ溝
2 ナット
2a 雌ねじ溝
2b 循環溝
2c フランジ部
2d 凹部
3 ボール
Claims (3)
- 外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され且つ内周面に雌ねじ溝と該雌ねじ溝の両端を連結する半径方向に突出した循環溝とを形成したナットと、対向する雄ねじ溝と雌ねじ溝との間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、を有するボールねじ機構のナットの製造方法において、
円筒状の素材に対して循環溝を形成する第1の塑性加工工程と、
循環溝を形成した円筒状の素材に対して、雌ねじ溝を形成する第2の加工工程とを有することを特徴とするナットの製造方法。 - 前記第1の塑性加工工程において、前記第2の加工工程に用いるための位相基準マークを前記ナットに形成することを特徴とする請求項1に記載のナットの製造方法。
- 前記円筒状の部材に対して高周波焼入を行う工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のナットの製造方法。
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