JP3314122B2 - 曲線状溝部品の成形装置 - Google Patents

曲線状溝部品の成形装置

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JP3314122B2 JP06053695A JP6053695A JP3314122B2 JP 3314122 B2 JP3314122 B2 JP 3314122B2 JP 06053695 A JP06053695 A JP 06053695A JP 6053695 A JP6053695 A JP 6053695A JP 3314122 B2 JP3314122 B2 JP 3314122B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、略S字状のリターン溝
を有するリターンピースを鍛造成形するための曲線状溝
部品の成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図3に示されるように、従来からナット
スクリュ1の螺旋溝2とシャフトスクリュ3の螺旋溝4
との間に複数のボールベアリング5が転動自在に介装さ
れたボールねじ6が知られている。前記ナットスクリュ
1には外周面から内周面に向かって貫通する略長円形状
の取付孔7(図4参照)が画成され、前記取付孔7にリ
ターンピース8(図3、図5および図6参照)が固着さ
れる。
【0003】このリターンピース8には、長手方向に沿
って延在する略S字状のリターン溝9が画成され、前記
リターン溝9によって転動するボールベアリング5の循
環路が形成される(図5参照)。すなわち、前記リター
ン溝9によって連通せしめられた2条の螺旋溝2、4が
循環路となり、前記循環路に沿って複数のボールベアリ
ング5が転動する。前記リターンピース8の短手方向に
沿ったリターン溝9の両側は、厚肉部10a、10bと
薄肉部12a、12bとが交互に連続して形成され、且
つ前記リターン溝9を間として対応する厚肉部10a
(10b)と薄肉部12b(12b)とが相互に対向し
て形成される。なお、前記厚肉部10a、10bおよび
薄肉部12a、12bは、リターン溝9の両側の部分に
おいて、リターンピース8の短手方向に沿った幅方向の
肉部が厚い部分を厚肉部10a、10bとし、肉部が薄
い部分を薄肉部12a、12bとして以下に説明する。
【0004】ここで、リターンピース8の成形工程を図
7A〜7Dに基づいて説明する。
【0005】従来技術に係るリターンピース8の成形装
置13は、成形材料14を位置決めするための孔部が画
成されたダイ15a、15bと、前記成形材料14の上
方側に変位自在に設けられた上パンチ16と、前記成形
材料14の下方側に固設された下パンチ17とから基本
的に構成される。なお、成形材料14に当接する前記下
パンチ17の当接面には、リターンピース8のリターン
溝9、厚肉部10a、10bおよび薄肉部12a、12
bの形状に対応する凹凸18が形成されている。
【0006】そこで、ダイ15a、15b内の孔部に成
形材料14を位置決めして挿入し(図7A参照)、上パ
ンチ16を矢印方向に変位させて成形材料14を加圧す
る(図7B参照)。前記加圧時の初期段階においては、
押し出し抵抗が少ないリターンピース8の厚肉部10a
に対応する空間19に向かって成形材料14が押し出さ
れ、加圧時の途中では、薄肉部12b側の押し出し抵抗
が大きいため、厚肉部10a側に対し薄肉部12b側へ
の押し出し速度が遅れ(図7C参照)、終局的には図7
Dに示されるように、厚肉部10a側および薄肉部12
b側の両方共に押し出されて成形品を得ることができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術に係るリターンピース8の成形方法では、上パンチ1
6によって加圧される成形材料14の薄肉部12b側と
厚肉部10a側との押し出し抵抗の相違に基づいて、薄
肉部12b側への押し出し速度と厚肉部10a側への押
し出し速度が異なる。従って、塑性変形した成形材料1
4によって厚肉部10a側が充填されてから、薄肉部1
2b側が充填されるというタイムラグがあり、前記タイ
ムラグによって、図6に示すように、下パンチに対して
矢印A方向に角度θだけ回転変位させる応力が作用す
る。このため、本来得られるべきリターン溝の軸線Xに
対して、従来技術に係る成形方法によって得られる成形
品のリターン溝9の軸線X1 が矢印A方向に角度θだけ
ずれてしまい、前記リターン溝9に沿ってボールベアリ
ング5を円滑に転動させることができないという不都合
がある。
【0008】本発明は、前記の不都合を克服するために
なされたものであり、成形精度の良好な曲線状の溝形状
を形成することが可能な曲線状溝部品の成形装置を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、略S字状に形成されたリターン溝の両
側に沿って肉厚部と肉薄部とが交互に連続し、且つ前記
リターン溝を間にして肉厚部と肉薄部とが相互に対向し
て設けられたリターンピース等の曲線状溝部品を鍛造成
形するための装置であって、所定距離離間して相互に対
向し、互いに接近するように相対的に変位自在に設けら
れた上パンチおよび下パンチと、成形材料を保持するた
めの保持部が設けられたダイと、を備え、リターンピー
スのリターン溝、肉厚部および肉薄部を形成するための
上パンチまたは下パンチのパンチ形状は、鍛造成形する
ときに応力が付与されて回転変位する方向と逆方向に、
且つ前記応力によって回転変位する角度と同一角度だ
け、前記リターン溝の軸線を中心として回転変位した形
状に形成されることを特徴とする。
【0010】
【作用】例えば、リターンピース等の曲線状溝部品を鍛
造成形する際、下パンチに対して応力が作用して該下パ
ンチが角度θだけ所定方向に回転変位するが、本発明に
係る曲線状溝部品の成形装置では、予め、パンチ形状が
軸線を中心として前記回転方向と反対方向に角度θだけ
回転変位した形状に形成されている。従って、応力が付
与されることによって、本来得られるべきリターン溝の
軸線と前記鍛造成形によって形成されるリターン溝の軸
線とが一致する。この結果、成形精度の良好な曲線状溝
部品を製造することができる。
【0011】
【実施例】次に、本発明に係る曲線状溝部品の成形装置
について好適な実施例を挙げ、添付の図面を参照しなが
ら以下詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の実施例に係る成形装置の
概略構成断面図である。
【0013】この成形装置20は、基台部22と、前記
基台部22の上面部にそれぞれ固定されるダイブロック
24および下部シュー26と、前記下部シュー26上に
ボルト28を介してそれぞれ固定されるダイ30とを含
む。前記ダイブロック24には孔部が画成され、前記孔
部にシリンダ32が配設される。前記シリンダ32のピ
ストンロッド(図示せず)には、後述する下パンチ34
の底面部を押圧して成形品を取り出すためのノックアウ
トピン36が連結され、前記ノックアウトピン36は下
パンチ34の軸線方向に沿って下部シュー26に画成さ
れたガイド孔38に沿って上下方向に変位自在に設けら
れる。
【0014】前記ダイ30は下部シュー26上に固定さ
れ、前記ダイ30の上面の中央部には成形材料(ビレッ
ト)を保持するための保持用段部(保持部)40が形成
される。前記保持用段部40の下方側には孔部42が画
成され、前記孔部42内には下部シュー26の上面部に
支持された下パンチ34が収容される。前記下パンチ3
4の頭部には、成形品であるリターンピース8のリター
ン溝9、厚肉部10a、10bおよび薄肉部12a、1
2b(図5参照)のそれぞれの形状に対応する凹凸部4
4が形成され、前記頭部の外壁面は保持用段部40に近
接するダイ30の内周面46によって気密に囲繞されて
いる。また、前記下パンチ34の底面部にはフランジ部
48が画成され、前記ダイ30の孔部42内に画成され
た段部50と前記フランジ部48とによってコイルスプ
リング52が係止される。
【0015】ここで、下パンチ34の頭部に形成された
凹凸部44の形状について説明する。図2は、前記凹凸
部44の要部平面図であり、この凹凸部44は、リター
ンピース8のリターン溝9に対応し、軸線X2 方向に沿
って逆S字状に折曲する凸部54と、前記凸部54の短
手方向に沿った両側にそれぞれ画成され、リターンピー
ス8の肉厚部10a、10bに対応する幅広な部分およ
び肉薄部12a、12bに対応する幅狭な部分からなる
凹部56a、56bとから構成される。
【0016】本来得られるべきリターン溝9の軸線をX
とした場合、前記凸部54の軸線X 2 は、前記リターン
溝9の軸線Xに対して矢印B方向に角度θだけ変位して
形成されている。加圧時に発生する応力によって下パン
チ34が矢印A方向に角度θだけ回転変位することか
ら、前記下パンチ34の凹凸部44の形状を予め前記回
転方向(矢印A方向)と反対方向(矢印B方向)に角度
θだけ回転変位させた形状に形成しておく(図2と図6
とを比較参照)。
【0017】前記下パンチ34の軸線方向に沿った上方
には、ホルダ58によって保持された上パンチ60が所
定距離離間して対向して設けられ、前記ホルダ58は、
ボルト62を介して上部シュー64および上部ブロック
66に固定される。前記上部シュー64と下部シュー2
6との間には複数のガイドロッド68a、68bが設け
られ、該上部シュー64は、図示しない変位手段の駆動
作用下に上下方向に変位自在に形成されている。従っ
て、前記上部シュー64に固定された上パンチ60も該
上部シュー64と一体的に変位し、上パンチ60の底面
部は保持用段部40に位置決めされたビレット70を下
方側に向かって加圧することができる。
【0018】本発明の実施例に係る成形装置20は基本
的には以上のように構成されるものであり、次にその動
作並びに作用効果について説明する。
【0019】まず、所定形状のビレット70をダイ30
の保持用段部40に挿入して位置決めする。この場合、
前記ビレット70の底面部から所定間隔離間する下方側
には凹凸部44が位置するように下パンチ34を設けて
おく。続いて、図示しない変位手段の駆動作用下に上部
シュー64と一体的に上パンチ60を下方向に向かって
変位させ、前記上パンチ60を介して上方から下方に向
かって該ビレット70を押圧する。なお、本実施例で
は、前記ビレット70を常温で押し出し加工する冷間鍛
造を用いる。
【0020】前記上パンチ60の加圧作用下に前記ビレ
ット70が下パンチ34に向かって押し出され、押し出
し抵抗の少ない厚肉部10a、10b側から塑性変形し
たビレット70の一部が充填され、続いて、薄肉部12
a、12b側へと充填される。この場合、従来技術と同
様に、厚肉部10a、10b側と薄肉部12a、12b
側との間にタイムラグがあることから、前記タイムラグ
によって下パンチ34に対して矢印A方向に角度θだけ
回転変位させる応力が作用する(図6参照)。
【0021】下パンチ34に作用する応力によって該下
パンチ34は矢印A方向に角度θだけ回転変位するが、
本実施例に係る成形装置20では、本来得られるべきリ
ターン溝9の軸線Xに対して、下パンチ34の凹凸部4
4の形状を予め前記回転方向Aと反対方向(矢印B方
向)に角度θだけ変位させた形状としているため、本実
施例によって実際に得られる成形品のリターン溝9の軸
線Xと本来得られるべきリターン溝9の軸線Xとを一致
させることができる。換言すれば、下パンチ34に対し
応力によって発生する角度θからなる矢印A方向の回転
変位は、予め、前記下パンチ34のパンチ形状を、矢印
B方向に同一角度θだけ回転変位させたパンチ形状とす
ることによって相殺される。
【0022】従って、本実施例に係る成形装置20で
は、成形精度が良好なリターン溝9を得ることができる
ことから、前記リターン溝9によって円滑にボールベア
リング5を転動循環させることが可能となる。
【0023】このようにして、加工作業が完了した後、
図示しない変位手段を付勢して上部シュー64および上
パンチ60を一体的に上方に変位させた後、シリンダ3
2の駆動作用下にノックアウトピン36を上方に変位さ
せて下パンチ34を押圧し、ダイ30から成形品を離間
させる。
【0024】以上のようにして得られた成形品に対して
研磨加工およびバリ取り加工等の仕上げ加工を行い、外
観検査等の工程を経て、成形精度の高いリターンピース
8の完成品を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】本発明に係る曲線状溝部品の成形装置に
よれば、以下の効果が得られる。
【0026】例えば、リターンピースに形成された略S
字状のリターン溝の形状誤差を抑制して成形精度を向上
させることができる。この結果、曲線状の溝部の成形精
度が高い曲線状溝部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る成形装置の概略構成断面
図である。
【図2】図1に示す成形装置を構成する下パンチのパン
チ形状を示す要部平面図である。
【図3】リターンピースが付設されるボールねじの断面
図である。
【図4】リターンピースが挿入される取付孔を示すナッ
トスクリュの正面図である。
【図5】リターンピースの斜視図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図7A〜7Dは、従来技術におけるリターンピ
ースの製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
8…リターンピース 9…リター
ン溝 10a、10b…厚肉部 12a、1
2b…薄肉部 20…成形装置 22…基台
部 24…ダイブロック 26…下部
シュー 30…ダイ 34…下パ
ンチ 36…ノックアウトピン 40…保持
用段部 44…凹凸部 54…凸部 56a、56b…凹部 60…上パ
ンチ 64…上部シュー 70…ビレ
ット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−108431(JP,A) 特開 平5−138458(JP,A) 実開 平5−22914(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21J 1/00 - 13/14 B21J 17/00 - 19/04 B21K 1/00 - 31/00 F16H 25/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】略S字状に形成されたリターン溝の両側に
    沿って肉厚部と肉薄部とが交互に連続し、且つ前記リタ
    ーン溝を間にして肉厚部と肉薄部とが相互に対向して設
    けられたリターンピース等の曲線状溝部品を鍛造成形す
    るための装置であって、 所定距離離間して相互に対向し、互いに接近するように
    相対的に変位自在に設けられた上パンチおよび下パンチ
    と、 成形材料を保持するための保持部が設けられたダイと、 を備え、リターンピースのリターン溝、肉厚部および肉
    薄部を形成するための上パンチまたは下パンチのパンチ
    形状は、鍛造成形するときに応力が付与されて回転変位
    する方向と逆方向に、且つ前記応力によって回転変位す
    る角度と同一角度だけ、前記リターン溝の軸線を中心と
    して回転変位した形状に形成されることを特徴とする曲
    線状溝部品の成形装置。
JP06053695A 1995-03-20 1995-03-20 曲線状溝部品の成形装置 Expired - Fee Related JP3314122B2 (ja)

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