JP3736912B2 - ボールねじ用デフレクタおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールを循環させるためにナットスクリューに装着されるボールねじ用デフレクタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、移送機構として使用されるボールねじは、シャフトスクリューとナットスクリューとの間に複数のボールが配設されるとともに、前記ナットスクリューに前記ボールを循環させるためのデフレクタが装着されている。
【0003】
図7には、一般的なボールねじ1の概略構成が示されている。このボールねじ1は、シャフトスクリュー2と、ナットスクリュー3と、これらの間に形成されるボール溝4に配設されるボール5と、前記ナットスクリュー3に装着されるデフレクタ6とを備えている。デフレクタ6は、図8に示すように、ボール5の軌道面であるボール通路7を形成する一組の壁部8を有するとともに、長手方向両端にフランジ部9が形成されている。
【0004】
この種のデフレクタ6を製造する際には、図9中、(a)に示すように、先ず、所定の形状のビレット10が用意され、このビレット10が鍛造型11内に配設される。この鍛造型11は、デフレクタ6の外形形状を有するダイ12と、ボール溝形成用下パンチ13と、上パンチ14とを備えている。
【0005】
次いで、図9中、(b)〜(e)に示すように、鍛造型11を構成するダイ12、下パンチ13および上パンチ14によりビレット10に鍛造成形が施される。これにより、デフレクタ6が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術では、ビレット10の外形形状が鍛造後のデフレクタ6の外形形状と異なっているため、図9中、(b)に示すように、鍛造型11による鍛造成形が開始される際、デフレクタ6のフランジ部9に対応するダイ12のフランジ段差12aに前記ビレット10が充填されない。このようなビレット10に鍛造成形が行われていくと、このビレット10の短手方向に続いて長手方向に応力集中が生じた時、デフレクタ6のフランジ部9に対応する部分にクラックが発生するという問題が指摘されている。
【0007】
さらに、ビレット10では、デフレクタ6のフランジ部9を成形するために大きな体積が必要とされている。これにより、図9中、(e)に示すように、成形後のデフレクタ6は、フランジ部9に連なる壁部15の高さを十分に確保することができず、特にボールねじ1に組み込んで使用する際、ボール5がこのデフレクタ6に引っ掛かるという問題が生じている。
【0008】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、鍛造成形時にクラックや形状不良が発生することを確実に阻止し、高品質なデフレクタを簡単かつ効率的に得ることが可能なボールねじ用デフレクタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明は、平面視外形がデフレクタと略同形状のビレットを鍛造型で鍛造成形するとともに、該鍛造型のボール通路形成用壁面部と同一面上に連続する面部で、前記デフレクタのフランジ部をその長手方向の端部側で終端させる。これにより、ビレットは、鍛造型内に隙間なく配置され、デフレクタの壁部の高さを十分に確保することができる。しかも、ビレットは、鍛造形成時に長手方向に応力集中が発生することがなく、クラックが生ずることを有効に回避することが可能になる。
【0010】
また、ビレットが、長手方向の端部に断面円弧状の面取り部位を設けることにより、デフレクタの外形形状により近似する。このため、成形性が一層向上し、所望の形状を有する高品質なデフレクタを得ることができる。
【0011】
さらにまた、鍛造型の面部により、フランジ部をデフレクタの短手方向両端側に同一の幅寸法を有しかつ前記デフレクタの長手方向両端で終端させている。このため、デフレクタをナットスクリューに対して安定した状態で確実に取り付けることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係るデフレクタ20の斜視図であり、図2は、前記デフレクタ20の平面図である。
【0013】
デフレクタ20は、平面視外形が略長方形状の本体部22と、この本体部22の長手方向(矢印A方向)に蛇行するボール通路24を形成するために、前記本体部22の長手方向に延在する一組の壁部26a、26bと、前記本体部22の短手方向(矢印B方向)両端に前記壁部26a、26bより外方に突出して設けられる一組のフランジ部28a、28bとを備える。
【0014】
一方のフランジ部28aは、本体部22の長手方向一端で一方の壁部26aと同一の第1面30a上に終端し、他方のフランジ部28bは、前記本体部22の長手方向他端で他方の壁部26bと同一の第2面30b上に終端する。第1および第2面30a、30bは、平面状を有しており、それぞれの端部に断面円弧状のR面取り部位32a、32bを設けている。
【0015】
図3は、本実施形態に係るデフレクタ20を組み込むボールねじ40の一部縦断面図である。ボールねじ40は、シャフトスクリュー42とナットスクリュー44とを備え、このシャフトスクリュー42のシャフトボール溝46とこのナットスクリュー44のナットボール溝48とに、複数のボール50が配設されている。デフレクタ20は、ナットスクリュー44に装着されており、このデフレクタ20の外周面20aが前記ナットスクリュー44の外周面44aと連続する。
【0016】
デフレクタ20を製造するための鍛造型60が、図4に示されている。鍛造型60は、デフレクタ20の外形形状を有するダイ62と、この鍛造型60のボール通路24を形成する下パンチ64と、この下パンチ64に対向する上パンチ66とを備える。ダイ62は、下パンチ64と共働してボール通路24を形成する壁面部68と、この壁面部68と同一面上に連続しデフレクタ20のフランジ部28a、28bをその長手方向の端部側で終端させる面部70とを一体的に有している。
【0017】
そこで、先ず、図5および図6に示すように、略円柱形状のビレット80が用意される。このビレット80は、平面視外形がデフレクタ20と略同形状を有するとともに、その両端縁部にR面取り部位82a、82bが設けられている。
【0018】
次いで、ビレット80は、図4中、(a)に示すように、鍛造型60内に配設され、図4中、(b)〜(e)に示すように、この鍛造型60を構成するダイ62、下パンチ64および上パンチ66により前記ビレット80に鍛造成形が施される。これにより、デフレクタ20が得られる。
【0019】
この場合、本実施形態では、ビレット80が平面視外形で鍛造成形後のデフレクタ20と略同形状を有するため(図6参照)、このビレット80が鍛造型60内に隙間なく配置される。しかも、ダイ62には、ビレット20の長手方向両端に対応する面部70がボール通路形成用壁面部68と同一面上に連続して形成されている。
【0020】
従って、鍛造成形時に、ビレット80の長手方向両端が、下方に円滑かつ十分に流動し、壁部26a、26bの長手方向両端の高さを十分に確保することができるという効果が得られる。特に、図3に示すように、壁部26a、26bの長手方向両端の高さが十分な高さHを有するため、従来のように低い高さH1しか得られない場合に比べ、ボール50がデフレクタ20に引っ掛かる等の不具合を有効に回避することが可能になる。
【0021】
さらに、ダイ62には、ビレット80の長手方向両端に対応する部分に段差がないため、鍛造形成時にこのビレット80の長手方向両端に応力集中が発生することがない。これにより、鍛造形成後のデフレクタ20にクラック等が生ずることを有効に阻止することができる。
【0022】
また、ビレット80が、両端縁部にR面取り部位82a、82bを設けている。このため、ビレット80は、デフレクタ20の外形形状により近似し、成形性が一層向上して所望の形状を有する高品質な前記デフレクタ20を得ることが可能になる。
【0023】
さらにまた、鍛造型60の面部70により、デフレクタ20のフランジ部28a、28bをこのデフレクタ20の短手方向両端側に同一の幅寸法を有しかつ前記デフレクタ20の長手方向両端で終端させている。従って、デフレクタ20をナットスクリュー44に対して安定した状態で確実に取り付けることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るボールねじ用デフレクタおよびその製造方法では、平面視外形がデフレクタと略同形状のビレットを鍛造型で鍛造成形するとともに、該鍛造型のボール通路形成用壁面部と同一面上に連続する面部で、前記デフレクタのフランジ部をその長手方向の端部側で終端させる。これにより、デフレクタの壁部の高さを十分に確保することができ、しかも応力集中を回避してデフレクタにクラック等が生ずることを有効に阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るデフレクタの斜視図である。
【図2】前記デフレクタの平面図である。
【図3】前記デフレクタを組み込むボールねじの一部縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るデフレクタの製造方法の工程説明図である。
【図5】前記製造方法に使用されるビレットの斜視説明図である。
【図6】前記ビレットの平面図である。
【図7】従来のボールねじの概略構成斜視図である。
【図8】図7に示すボールねじを構成するデフレクタの斜視図である。
【図9】図8に示すデフレクタの製造方法の工程説明図である。
【符号の説明】
20…デフレクタ 22…本体部
24…ボール通路 26a、26b…壁部
28a、28b…フランジ部 30a、30b…面
32a、32b…R面取り部位 40…ボールねじ
42…ナットスクリュー 44…シャフトスクリュー
50…ボール 60…鍛造型
62…ダイ 64…下パンチ
66…上パンチ 68…壁面部
70…面部
Claims (4)
- シャフトスクリューとナットスクリューとの間に複数のボールが配設されたボールねじに用いられ、前記ナットスクリューに装着されて前記ボールを循環させるためのボール通路を有したデフレクタであって、
平面視外形が略長方形状の本体部と、
前記本体部の長手方向に蛇行する前記ボール通路を形成するために、該本体部の長手方向に延在する一組の壁部と、
前記本体部の短手方向両端に前記壁部より外方に突出して設けられる一組のフランジ部と、
を備えるとともに、
一方の前記フランジ部は、前記本体部の長手方向一端で一方の前記壁部と同一面上に終端する平面部を有し、
他方の前記フランジ部は、前記本体部の長手方向他端で他方の前記壁部と同一面上に終端する平面部を有することを特徴とするボールねじ用デフレクタ。 - シャフトスクリューとナットスクリューとの間に複数のボールが配設されたボールねじに用いられ、前記ナットスクリューに装着されて前記ボールを循環させるためのボール通路を有したデフレクタの製造方法であって、
平面視外形が前記デフレクタと略同形状のビレットを形成する工程と、
前記ビレットを鍛造型内に配置する工程と、
前記鍛造型で前記ビレットに鍛造成形を施すとともに、該鍛造型のボール通路形成用壁面部と同一面上に連続する面部で、前記デフレクタのフランジ部をその長手方向の端部側で終端させる工程と、
を有することを特徴とするボールねじ用デフレクタの製造方法。 - 請求項2記載の製造方法において、前記ビレットは、その長手方向の端部に断面円弧状の面取り部位を設けることを特徴とするボールねじ用デフレクタの製造方法。
- 請求項2記載の製造方法において、前記鍛造型の面部により、前記フランジ部を前記デフレクタの短手方向両端側に同一の幅寸法を有しかつ該デフレクタの長手方向両端で終端させることを特徴とするボールねじ用デフレクタの製造方法。
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JP23820196A JP3736912B2 (ja) | 1996-09-09 | 1996-09-09 | ボールねじ用デフレクタおよびその製造方法 |
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