JP3596315B2 - ステアリングロックホルダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のステアリングロック機構に用いられるステアリングロックホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のステアリングには、車両盗難防止のためにステアリングロック機構が備えられている。これは、イグニッションキーの抜き取りに連動してロックバーが飛び出し、ステアリングシャフトに結合されたステアリングロックホルダー(以下、適宜「ロックホルダー」と称する。)の溝に該ロックバーの先端部が嵌合することにより、ステアリングシャフトの回転を規制する構造のものである。
【0003】
上記ステアリングロック機構において、ステアリングシャフトに対するロックホルダーの結合は溶接によるものが一般的である。例えば、ステアリングシャフトの結合部に帯状の板金を巻き付け、その突き合わせ接合面同士を溶接して筒状のロックホルダーとするとともに、ステアリングシャフト及びロックホルダー間を溶接して結合したり、あるいは特開平7−1071号公報にみられるように、ステアリングシャフトの結合部の外面形状(円形状)に対応する円形状又は部分円形状の内面形状を有する略円筒状のロックホルダーを冷間鍛造により成形し、これを該結合部の外面に嵌合した後、両者間を溶接して結合することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ロックホルダーを溶接により結合する場合、溶接の設備や工程の追加によりコストや生産性の面で不利となったり、あるいは溶接における品質不良や欠陥により結合力不足等が生じたりする問題がある。
そこで、ステアリングシャフトの結合部に圧入によりロックホルダーを結合させる方式が考えられる。ところが、円形状の外面形状を有する結合部に、同じく円形状の内面形状を有するロックホルダーを圧入により結合させようとすると、両者間で周方向に係合する部位がないため、圧入容易性を確保しつつ結合力を向上させることが困難となる。
【0005】
このため、圧入によりロックホルダーを結合させる場合は、ステアリングシャフトの結合部の外面形状等を正多角形等の異形状として、ステアリングシャフト及びロックホルダー間で周方向に係合する部位を設けることにより、結合力を増大させることが望ましい。そして、ステアリングシャフトの結合部の外面形状を多角形状等とした場合は、結合部に対してロックホルダーを圧入する際の容易性を考慮して、ロックホルダーの内面形状を結合部の外面形状に対応させることが望ましい。しかもロックホルダーの内面形状が結合部の外面形状に正確に対応していないと、結合後において結合部から受けるロックホルダーの圧入荷重にバラツキが生じ、結合力の低下やロックホルダーの割れの発生を招くおそれがある。
【0006】
しかしながら、本発明者が、外面にロック溝を有し、かつ、内面形状が多角形状のロックホルダーを冷間鍛造により成形したところ、ステアリングシャフトの結合部の外面形状に正確に対応した内面形状に成形することがきわめて困難であり、また内面に割れが発生するという問題があった。内面形状を正確な多角形状に成形することが困難となるのは、外面にロック溝を成形する場合、ロック溝が成形される部分では冷間鍛造時にダイ及びインナーパンチ間で求心方向圧縮力を受けるのに対し、ロック溝が成形されない部分では該求心方向圧縮力を受けないことに因るものと考えられる。また、内面に割れが発生するのは、ロック溝が成形される部分と成形されない部分とで、材料の絞り量の違いにより軸方向の材料流動速度に差が生じ、材料流動速度の遅い部分(ロック溝が成形されない部分)で引張応力が発生することに因るものと考えられる。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、コストや生産性等の面で有利な圧入により結合されるとともに、結合力の向上に有利な多角形状のステアリングシャフトの結合部に結合されるロックホルダーであって、該結合部の外面形状に正確に対応した内面形状を有し、かつ、内面割れの発生しないロックホルダーを提供することを解決すべき技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明のステアリングロックホルダーは、外面形状が多角形状の結合部を有するステアリングシャフトの該結合部の外面に圧入により結合され、ロックバーとの係合により該ステアリングシャフトの回転を規制するロック溝が外面に凹設された、冷間鍛造品の筒状部材よりなるステアリングロックホルダーであって、
上記結合部の外面形状に対応した多角形状の内面形状を有するとともに、
該多角形状の各辺に対応する各側壁の外面には、冷間鍛造の際、各該側壁を外側から押圧して各該側壁に求心方向圧縮力を与えて各該側壁の内面を該結合部の外面形状に対応した外面形状を有する多角形状インナーパンチの外面に圧接せしめることによりそれぞれ成形された上記ロック溝と圧接用凹部とが凹設されていることを特徴とするものである。
【0009】
好適な態様において、前記圧接用凹部は、前記ロック溝と略同等の軸方向長さを有し、かつ、該ロック溝の軸直角断面積に対する比が0.8〜1.2の軸直角断面積を有している。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のステアリングロックホルダーは、外面形状が多角形状の結合部を有するステアリングシャフトの該結合部の外面に圧入により結合されるものであって、該結合部の外面形状に対応した多角形状の内面形状を有している。
結合部の外面形状たる多角形状、及びこれに対応するロックホルダーの内面形状たる多角形状としては、特に限定されるものではないが、正六角形や正八角形等の正多角形とすることができる。
【0011】
そして、このロックホルダーにおいては、内面の多角形状の各辺に対応する各側壁の外面に、ロック溝と圧接用凹部とが凹設されている。ロック溝の形状としては、ロックバーとの嵌合によりステアリングシャフト及びロックホルダーの回転を規制しうるものであれば特に限定されず、また圧接用凹部の形状も特に限定されない。ロック溝及び圧接用凹部のそれぞれの数も特に限定されず、内面の多角形状に応じて、ロック溝を2〜4個程度とし、残りを圧接用凹部とすればよい。
【0012】
このロック溝及び圧接用凹部は、冷間鍛造によりロックホルダーの内面形状を多角形状に成形する際に同時に成形される。具体的には、冷間鍛造の際、内面の多角形状の各辺に対応する各側壁を外側から押圧して各該側壁に求心方向圧縮力を与えて各該側壁の内面を該結合部の外面形状に対応した外面形状を有する多角形状インナーパンチの外面に圧接せしめることにより、内面に多角形状を成形すると同時に、外面にロック溝と圧接用凹部とを成形することができる。
【0013】
すなわち、本発明のロックホルダーは、外面形状が多角形状の結合部を有するステアリングシャフトの該結合部の外面に圧入により結合され、ロックバーとの係合により該ステアリングシャフトの回転を規制するロック溝が外面に凹設された、冷間鍛造品の筒状部材よりなるステアリングロックホルダーの製造方法であって、上記結合部の最大外径と略同等の内径を有する円筒状部材の内部に該結合部の外面形状と対応した外面形状を有する多角形状インナーパンチを挿入した状態で、該多角形状の各辺にそれぞれ対応する位置で該円筒状部材の側壁を外側から押圧して、該側壁の外面を凹ませながら該側壁の内面を該多角形状インナーパンチの外面に圧接せしめることにより、該円筒状部材の内面形状を該多角形状インナーパンチの外面形状と整合する多角形状に成形するとともに、該円筒状部材の該側壁の外面であって該多角形状の各辺にそれぞれ対応する位置に上記ロック溝と圧接用凹部とを成形することを特徴とするステアリングロックホルダーの製造方法により、製造することができる。
【0014】
このように内面の多角形状の各辺に対応する各側壁の外面にそれぞれロック溝と圧接用凹部とが成形される本発明のロックホルダーでは、ロック溝が成形される側壁及び圧接用凹部が成形される側壁ともに、冷間鍛造時に求心方向圧縮力を受けてインナーパンチの外面に圧接せしめられるため、内面形状を多角形状インナーパンチの外面形状と正確に整合する多角形状に成形することができる。したがって、本発明のロックホルダーは、ステアリングシャフトの結合部に圧入する際に容易に圧入することができるとともに、結合後において結合部から受けるロックホルダーの圧入荷重のバラツキに起因する結合力の低下やロックホルダーの割れの発生を抑えることができる。
【0015】
また、本発明のロックホルダーでは、ロック溝が成形されない側壁には圧接用凹部が成形されるため、該圧接用凹部が成形されない場合と比較して、ロック溝が成形される側壁と成形されない側壁との間で材料の絞り量の違いにより生じる軸方向の材料流動速度の差を小さく(又は無くす)ことができる。加えて、ロック溝が成形されない側壁に圧接用凹部を成形することにより、該側壁に求心方向圧縮力を付与することができる。したがって、ロック溝が成形されない側壁、すなわち圧接用凹部が成形される側壁の内面において、引張応力による割れの発生を抑えることが可能となる。
【0016】
ここに、圧接用凹部は、ロック溝と略同等の軸方向長さを有し、かつ、該ロック溝の軸直角断面積に対する比が0.8〜1.2の軸直角断面積を有していることが好ましい。かかる態様であれば、上記作用効果をさらに効果的に発揮させることができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明のステアリングロックホルダーの実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
図1及び図2に示すステアリングロックホルダー1は、全体形状が略円筒状の冷間鍛造品よりなり、図3に示すように、ステアリングシャフト2の外面形状が正六角形状の結合部21に圧入により結合されるものである。
【0018】
すなわち、ロックホルダー1は、ステアリングシャフト2の結合部21に容易に圧入可能となるように、該結合部21の外面形状に正確に対応した正六角形状の内面形状を有している。なお、ロックホルダー1の内径は結合部21の外径よりも若干小さく設定されており、結合部21に対するロックホルダー1の圧入による結合はロックホルダー1の塑性変形を伴って行われる。また、正六角形の各辺に対応するロックホルダー1の各側壁11〜16の内面には、結合部21に対するロックホルダー1の結合力を向上させるべく、軸方向に延びる突条17がそれぞれ2本ずつ設けられている。
【0019】
また、ロックホルダー1の各側壁11〜16の外面には、3個のロック溝18と3個の圧接用凹部19とが周方向に交互に配設されている。すなわち、側壁11、13及び15の外面にはロック溝18が凹設され、側壁12、14及び16の外面には圧接用凹部19が凹設されている。各ロック溝18及び各圧接用凹部19は、ロックホルダー1の軸方向一端から軸方向他端に向けて軸方向に沿って凹設されており、その軸方向長さはともにロックホルダー1の軸方向長さの2/3程度とされている。各ロック溝18は、図示しないロックバーと嵌合することによりロックホルダー1及びステアリングシャフト2の回転を確実に規制しうるように、軸直角断面形状が矩形状とされている。一方、各圧接用凹部19の軸直角断面形状は曲面形状(部分円形状)とされている。また、各圧接用凹部19は、各ロック溝18の軸直角断面積に対する比が1.0の軸直角断面積を有している。
【0020】
上記各ロック溝18及び各圧接用凹部19は、冷間鍛造の際、各側壁11〜16を外側から押圧して各側壁11〜16に求心方向圧縮力を与えて各側壁11〜16の内面を、結合部21の正六角形状に対応した同一大きさの外面形状を有する正六角形状インナーパンチの外面に圧接せしめることによりそれぞれ成形されたものである。すなわち、本実施例のロックホルダー1は、以下のようにして製造した。
【0021】
まず、切断、据え込み、後方押し出し、打ち抜き及び内面コイニングの各工程を経て、円筒状部材3(図4参照)を成形した。この円筒形部材3は、ステアリングシャフト2の結合部21の最大外径(正六角形状の対角線長さ)と略同等の内径を有している。
一方、図4に示す鍛造型40を準備した。この鍛造型40は、円筒状部材3を軸方向に押圧する円筒形のアウターパンチ41と、円筒状部材3の側壁の外面にロック溝18及び圧接用凹部19を成形するダイ42と、アウターパンチ41及びダイ42内に配設され、基端側にアウターパンチ41の内径と略等しい外径の軸部43a及び先端側に正六角形状外面43aを有する正六角形状インナーパンチ43とから構成されている。なお、インナーパンチ43の正六角形状外面43aには、上記突条17を成形するための微小溝(図示せず)が設けられている。ダイ42の内面は、上方部に円筒状内面42aが設けられ、下方部にロック溝18を成形するための3個の第1突条内面42bと圧接用凹部19を成形するための3個の第2突条内面42cとが周方向に等間隔を隔てて交互に設けられている。
【0022】
なお、各部材の寸法関係は以下のとおりである。すなわち、円筒状部材3の内径と、インナーパンチ43の正六角形状外面43aの最大外径(正六角形状の対角線長さ)とは略同等に設定されており、また円筒状部材3の外径と、ダイ42の円筒状内面42aの内径及びアウターパンチ41の外径とは略同等に設定されている。
【0023】
そして、円筒状部材3を図4に示すように、ダイ42の円筒状内面42a内にセットするとともに、円筒状部材3内にインナーパンチ43を、円筒状部材3の上にアウターパンチ41をそれぞれ配設した。なお、ダイ42の各第1及び第2突条内面42b及び42cがインナーパンチ43の正六角形状外面43aの各辺にそれぞれ対応して位置するように、ダイ42に対してインナーパンチ43を周方向に位置合わせしておく。そして、インナーパンチ43とともにアウターパンチ41を下降させて、図5に示すように円筒状部材3を下方に移動させた。これにより、円筒状部材3の側壁は、各第1及び第2突条内面42b及び42cによって求心方向に押圧されて凹み、凹んだ側壁の内面がインナーパンチ43の正六角形状外面43aに圧接された。こうして、内面がインナーパンチ43の正六角形状外面43aに正確に対応した正六角形状に成形されるとともに、該正六角形の各辺に対応する各側壁の外面に3個のロック溝18及び3個の圧接用凹部19が成形された本実施例のロックホルダー1を製造した。
【0024】
本実施例のロックホルダー1では、内面の正六角形状の各辺に対応する各側壁11〜16の外面にそれぞれロック溝18と圧接用凹部19とが成形される。このため、ロック溝18が成形される側壁11、13、15及び圧接用凹部19が成形される側壁12、14、16は、いずれも冷間鍛造時に求心方向圧縮力を受けてインナーパンチ43の正六角形状外面43aに圧接せしめられるため、内面形状をインナーパンチ43の外面形状と正確に整合する正六角形状に成形することができる。したがって、本実施例のロックホルダー1は、ステアリングシャフト2の結合部21に圧入する際に容易に圧入することができるとともに、結合後において結合部21から受けるロックホルダー1の圧入荷重のバラツキに起因する結合力の低下やロックホルダー1の割れの発生を抑えることができる。
【0025】
また、本実施例のロックホルダー1では、ロック溝18が成形されない側壁12、14、16には、ロック溝18と同等の軸直角断面積を有する圧接用凹部19が成形されるため、ロック溝18が成形される側壁11、13、15と成形されない側壁12、14、16との間で材料の絞り量の違いにより生じる軸方向の材料流動速度の差を無くすことができる。加えて、ロック溝18が成形されない側壁12、14、16に圧接用凹部19を成形することにより、該側壁12、14、16に求心方向圧縮力を付与することができる。したがって、ロック溝18が成形されない側壁、すなわち圧接用凹部19が成形される側壁12、14、16の内面において、引張応力による割れの発生を確実に抑えることが可能となる。
【0026】
(評価)
ロック溝18に対する圧接用凹部19の大きさと、ロックホルダー1の内面に成形される正六角形状の正確性との関係を調べた。
図6に示すように、円筒状部材3の断面において、周方向に6等分した部分の面積を基本面積A0 (図6に斜線で示す部分)、成形後のロックホルダー1のロック溝18の断面積をRA1 (図6の横線で示す部分、ロック溝18の成形による面積減少分)、成形後のロックホルダー1の圧接用凹部19の断面積をRA2 (図6の横線で示す部分、圧接用凹部19の成形による面積減少分)、ロック溝18の成形による面積増加分をPA1 (図6の縦線で示す部分)、圧接用凹部19の成形による面積増加分をPA2 (図6の縦線で示す部分)とする。また、ロック溝18の成形による面積減少率(DA1 )及び圧接用凹部19の成形による面積減少率(DA2 )を以下のように定義する。
【0027】
DA1 =(A0 −RA1 +PA1 )/A0
DA2 =(A0 −RA2 +PA2 )/A0
そして、ロック溝18の成形による面積減少率(DA1 )に対する圧縮用凹部19の成形による面積減少率(DA2 )の比、すなわち面積減少率比(DA2 /DA1 )の値を種々変化させ、ロックホルダー1の内面に成形することのできる正六角形状の正確性を調べた。これは、図6において、圧接用凹部19を成形した後の側壁の最小肉厚Lについて、以下に示すように設定寸法LA に対する実際の出来上がり寸法LB の比をフィルアップ率として計算することにより行った。なお、このフィルアップ率が100%に近づくほどロックホルダー1の内面に正確に正六角形状を成形できたことを示す。
【0028】
フィルアップ率={LB /LA }×100(%)
結果を図7に示すように、上記面積減少率比(DA2 /DA1 )の値が0.8以上であれば、上記フィルアップ率が100%となり、ロックホルダー1の内面を正確に正六角形状に成形可能であることがわかる。なお、上記面積減少率比(DA2 /DA1 )の値が1.2を越えると型寿命が低下するため好ましくない。したがって、上記面積減少率比(DA2 /DA1 )の値は、0.8〜1.2であることが好ましい。
【0029】
なお、以上の結果はロックホルダー18の軸方向長さと圧接用凹部19の軸方向長さとが同等であることを前提としている。
また、面積減少率比(DA2 /DA1 )の値は、ロックホルダー18の軸方向長さと圧接用凹部19の軸方向長さとが同等であり、かつ、ロック溝18の成形による面積増加分(PA1 )と圧接用凹部19の成形による面積増加分(PA2 )とが同等であれば、ロック溝18の断面積(RA1 )に対する圧接用凹部19の断面積(RA2 )の比(RA2 /RA1 )と同等となる。そして、ロック溝18の成形による面積増加分(PA1 )及び圧接用凹部19の成形による面積増加分(PA2 )は、ロック溝18の断面積(RA1 )及び圧接用凹部19の断面積(RA2 )と比べてきわめて小さく、無視することが可能である。したがって、上記面積減少率比(DA2 /DA1 )の値は、実質的にはロック溝18の断面積(RA1 )に対する圧接用凹部19の断面積(RA2 )の比(RA2 /RA1 )の値と同等となる。
【0030】
(実施例2)
図8に示す本実施例のロックホルダー1’は、上記実施例1において、圧接用凹部19をロック溝18と同一形状及び同一大きさとしたものである。すなわち、このロックホルダー1’は、側壁12、14、16の外面に、ロック溝18と同一形状及び同一大きさの圧接用凹部19’がそれぞれ凹設されている。したがって、この圧接用凹部19’は、ロック溝18の軸直角断面積に対する比が1.0の軸直角断面積を有している。
【0031】
その他の構成は上記実施例1と同様であり、本実施例のロックホルダー1’は上記実施例1のロックホルダー1と同様の作用効果を奏する。また、圧接用凹部19’はロック溝18と同様の機能を果たしうるため、ロックホルダー1’をステアリングシャフト2の結合部21に圧入する際に、ロック溝18が所定位置となるように周方向に位置合わせする必要がなくなる。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のステアリングロックホルダーでは、ロック溝の他に圧接用凹部が外面に凹設されているため、内面を正確な多角形状に成形することができ、したがってステアリングシャフトの結合部に容易に圧入することができるとともに、結合後における結合力の低下や割れの発生を抑えることができる。また、冷間鍛造による内面割れの発生も抑えることができる。
【0033】
さらに、このロックホルダーは圧入によりステアリングシャフトに結合されるため、溶接により結合される場合と比較してコスト面や生産性の面で有利となり、また圧入による結合であってもステアリングシャフトの外面及びロックホルダーの内面が互いに正確に係合する多角形状であるため、結合力の面でも信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例1に係るステアリングロックホルダーの正面図である。
【図2】本実施例1に係るステアリングロックホルダーの側面図である。
【図3】本実施例1に係り、ステアリングロックホルダーをステアリングシャフトの結合部に結合した状態を示す側面図である。
【図4】本実施例1に係り、円筒状部材を鍛造型にセットした状態を示す断面図である。
【図5】本実施例1に係り、ステアリングロックホルダーを成形した状態を示す断面図である。
【図6】本実施例1に係り、ステアリングロックホルダーの外面にロック溝及び圧接用凹部を成形することによる断面積変化を示す説明図である。
【図7】本実施例1に係り、面積減少率比とフィルアップ率との関係を示すグラフである。
【図8】本実施例2に係るステアリングロックホルダーの正面図である。
【符号の説明】
1、1’…ステアリングロックホルダー
2…ステアリングシャフト 21…結合部
11〜16…側壁 18…ロック溝
19、19’…圧接用凹部
Claims (2)
- 外面形状が多角形状の結合部を有するステアリングシャフトの該結合部の外面に圧入により結合され、ロックバーとの係合により該ステアリングシャフトの回転を規制するロック溝が外面に凹設された、冷間鍛造品の筒状部材よりなるステアリングロックホルダーであって、
上記結合部の外面形状に対応した多角形状の内面形状を有するとともに、
該多角形状の各辺に対応する各側壁の外面には、冷間鍛造の際、各該側壁を外側から押圧して各該側壁に求心方向圧縮力を与えて各該側壁の内面を該結合部の外面形状に対応した外面形状を有する多角形状インナーパンチの外面に圧接せしめることによりそれぞれ成形された上記ロック溝と圧接用凹部とが凹設されていることを特徴とするステアリングロックホルダー。 - 前記圧接用凹部は、前記ロック溝と略同等の軸方向長さを有し、かつ、該ロック溝の軸直角断面積に対する比が0.8〜1.2の軸直角断面積を有していることを特徴とする請求項1記載のステアリングロックホルダー。
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