JP2694795B2 - カードの製造方法 - Google Patents

カードの製造方法

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JP2694795B2
JP2694795B2 JP5095056A JP9505693A JP2694795B2 JP 2694795 B2 JP2694795 B2 JP 2694795B2 JP 5095056 A JP5095056 A JP 5095056A JP 9505693 A JP9505693 A JP 9505693A JP 2694795 B2 JP2694795 B2 JP 2694795B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、カードの製造方法
に関し、更に詳しくは昇華性染料(以下単に染料とい
う)により任意の美麗且つ写真調の画像が形成され、且
つ耐摩擦性、耐候性等の各種耐久性に優れたカードの提
供を目的とする。 【0002】 【従来の技術】近年、精密なサーマルプリンター等の画
像技術の発展とあいまって、染料層を有する熱転写シー
トからカード基材等のプラスチックフイルムやシート上
に写真に劣らない程度の精密な画像を形成する方法が種
々提案されている。この方法によれば、例えば、ポリエ
ステル層を有する紙等の上に、カメラ画像、テレビ画像
等を容易にハードコピー化することが出来、従来の写真
技術や精密技術に十分に対抗し得るレベルに達してい
る。 【0003】 【発明が解決しようとしている問題点】上述の如き熱転
写技術は任意の画像を簡便に形成し得る利点を有する
が、その被転写シートがポリエステル等の如く染料によ
って染着可能な材料に限定されているという問題があ
る。又、一方では、被転写物品は、フイルム状やシート
状等のシート状物に形状が限定され、例えば、木材、金
属、ガラス、セラミック等には画像を形成することが出
来ず、更に、ポリエステル等のプラスチック成形物であ
っても、それらの画像形成面が曲面であったり、凹凸形
状を有したり、更に平面状であってもシート状物以外の
立体的成形物には画像を形成することが困難であるとい
う問題がある。 【0004】特に、近年のキャッシュカード等の各種カ
ード類の利用分野が拡大するに従って、これらカード類
に画像や記号を付与し、種々の機能や装飾を与えること
が必要であるが、これらのカードは平面状であるが柔軟
性が無かったり、或は文字や記号等の凹凸部が形成され
ている為に、これらのカード類に上記の熱転写方法で画
像を付与することも困難である。この様な欠点を解決す
る方法として、所望の画像を有する絵付きシールをカー
ド基材の所望場所に貼着する方法があるが、この方法で
はシール材が比較的厚い為、貼着部が突出し、シールと
カード基材との一体感がなく、又、剥れ易いという欠点
がある。 【0005】又、この様な欠点を生じない方法として
は、熱転写方法を用いる方法もあるが、この方法では画
像の転写時に常に加熱手段を必要とするという欠点があ
り、又、複雑な凹凸形状面には前記と同様に転写が困難
であるという問題がある。従って、本発明の目的は、染
料により任意の美麗且つ写真調の画像が形成され、且つ
耐摩擦性、耐候性等の各種耐久性に優れたカードを提供
することである。 【0006】 【課題を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明に
よって達成される。即ち、本発明は、シート状基材の面
に離型性透明保護層と染料受容層とが形成された被転写
シートの染料受容層に、昇華性熱転写シートとサーマル
ヘッドとを用いて画像を形成する工程と、該画像形成さ
れた染料受容層と上記透明保護層とを、上記染料受容層
がカード基材の面に積層され、且つ該積層された染料受
容層の上に上記透明保護層が積層されるように転写する
工程とを含むことを特徴とするカードの製造方法であ
る。 【0007】 【作用】カード基材の面に、染料で画像形成された染料
受容層と透明保護層とを、その画像形成面を基材シート
面側にして積層することにより、任意の美麗且つ写真調
の画像が形成され、且つ耐摩擦性、耐候性等の各種耐久
性に優れたカードが提供される。 【0008】 【発明の実施の形態】次に好ましい実施形態を図解的に
示す添付図面を参照して本発明を更に詳しく説明する。
図1は、本発明のカードの作成に使用する被転写シート
の基本的な実施形態を図解的に示す図であり、図2〜図
3は、被転写シートの他の好ましい実施形態を示す図で
ある。 【0009】図1の通り、本発明で使用する被転写シー
ト10の基本的な構成は、任意のシート状基材1の一方
の面に、離型性透明保護層3’と染料受容層(以下単に
受容層という)2が設けてある。離型性透明保護層3’
は、画像形成後の受容層2の剥離を容易にし、且つ剥離
した受容層2をカード基材に貼着した場合に画像形成さ
れた受容層2を保護するものである。 【0010】この離型性透明保護層3’は、画像を形成
し剥離した受容層2を、受容層2の表面(画像形成面)
をカード基材に対向させて貼着した時に、受容層2の画
像の劣化を防止するものであり、例えば、耐摩耗性、耐
光性、耐候性、耐薬品性等の如く種々の物性に優れた材
料から形成する。この様な離型性透明保護層3’を設け
ることによってカード基材に貼着後の画像の種々の堅牢
性を向上させることが出来る。 【0011】本発明で使用する被転写シートをこの様な
構成とすることによって、染料層を有する熱転写シート
により受容層2に所望の画像を形成し、次いで該画像を
有する受容層2を離型性透明保護層3’とともにシート
状基材1から剥離し、これを任意のカード基材に任意の
手段により貼着することによって本発明のカードが得ら
れる。即ち、上記における受容層2は染料によって染着
可能な材料に限定されるが、画像を形成し、シート状基
材1から剥離した受容層2と離型性透明保護層3’は、
それぞれカード基材の材質に応じた接着方法により自由
に貼着が可能である。 【0012】又、画像を有し、シート状基材1から剥離
された受容層2と離型性透明保護層3’とは、非常に薄
く、且つ十分な柔軟性を有する為、カード基材の表面形
状が曲面や凹凸形状面であっても、それらの表面形状に
十分に追従することが可能であり、カード基材の表面形
状によって貼着が制限されることがない。 【0013】又、同様に画像を有する受容層2と離型性
透明保護層3’は非常に薄い為、従来のシールとは異な
り、カード基材との一体化が容易であり、貼着による盛
り上りが無く、いわゆる貼着感を与えない。図2は、本
発明で使用する被転写シート10の別の好ましい1例を
示すものであり、受容層2の表面に離型層3が設けられ
ている。 【0014】離型層3は、図示していない熱転写シート
から染料を移行させて受容層2に画像を形成する際に、
熱転写シートが受容層2に熱により粘着するのを防止す
る為にある。この様な粘着が生じない場合や、熱転写シ
ートの表面にこの様な離型層が設けられている場合は離
型層3は不要である。 【0015】図3の例は、本発明で使用する被転写シー
ト10の別の好ましい例を示すもので、受容層2とシー
ト状基材1との間に中間層4及び離型性透明保護層3’
が設けられている。この中間層4と離型層3’との積層
順序はいずれでもよい。ここで云う中間層4とは、受容
層2に熱転写シートから染料を移行させて画像を形成す
る際に、画像の形成を十分にするもので、例えば、クッ
ション層や断熱層である。 【0016】例えば、クッション性のある層を中間層4
として設けることにより、熱転写シートと受容層2の密
着性が改良され、サーマルヘッドによる画像形成時の染
料の移行が均一化されて、画像信号に十分対応した画像
を形成することが出来る。又、中間層4を断熱性のある
材料から断熱層として形成することによって、熱転写シ
ートから染料を受容層2に移行させる際に、付与される
熱の放熱を防止することが出来、熱利用効率が向上して
十分な画像の形成が促進される。勿論、これらのクッシ
ョン層或は断熱層は別々に設けてもよいし、任意の順序
で同時に設けてよい。 【0017】尚、中間層4が離型性透明保護層3’より
上位に存在する場合には、受容層2の剥離に際して中間
層4も同時に剥離される。従って剥離した受容層2を、
その面をカード基材に対向させて貼着する場合には中間
層4は実質上透明であるのが望ましい。一方、中間層4
が離型性透明保護層3’の下位に存在する場合には、中
間層4は受容層2の剥離後シート状基材1上に残る。 【0018】次に本発明のカードの製造方法を説明する
と、本発明のカードの製造方法は、上記の如き本発明で
使用する被転写シートを利用する。基本的な態様として
図4〜図5に図解的に示す方法により説明する。図4の
例は、図1の被転写シートを利用するものであり、まず
最初に染料を記録剤とする従来公知の熱転写シート20
を被転写シート10に、熱転写シートの染料層21が被
転写シート10の受容層2に対向する様に重ね、熱転写
シート20又は被転写シート10のいずれかの側、好ま
しくは熱転写シート20側からサーマルヘッドによる画
像信号に従って熱エネルギー(矢印)を付与することに
よって、受容層2に所望の画像5が形成される。 【0019】次いでこの様に形成された画像を有する受
容層2をシート状基材1から剥離するか、又は剥離する
ことなくカード基材30に貼着する。予め剥離しない場
合には、貼着後にシート状基材1を剥離する。剥離した
受容層2と離型性透明保護層3’とのカード基材30へ
の接着は、カード基材30の面或は剥離した受容層2の
いずれかの面に接着剤5を塗布して受容層2を反転させ
てカード基材30に貼着する(図5)。 【0020】又、受容層2は一般に染料で熱着可能な熱
可塑性樹脂から形成されているので、何らの接着剤を必
要とせずにそのままカード基材に熱融着させることも可
能である。以上本発明のカードの製造方法を基本的な例
で説明したが、図2以下に例示した本発明で使用する被
転写シートを使用して本発明のカードの製造方法を実施
する場合も同様である。 【0021】次に以上の如き本発明で使用する被転写シ
ートを構成する材料及び構成方法の面から本発明を更に
詳細に説明する。シート状基材としては、(1)合成紙
(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、(2)上質
紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏
打用紙、合成樹脂、又はエマルジョン含浸紙、合成ゴム
ラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロー
ス繊維紙、(3)ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタク
リレート、ポリカーボネート等の各種のプラスチックの
フイルム若しくはシートを使用することが出来る。 【0022】このうち(1)の合成紙は、その表面に熱
伝導率の低い、換言すれば断熱性の高いミクロボイド層
を有しているので好ましい。又、上記(1)〜(3)の
任意の組み合わせによる積層体も使用することが出来
る。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合
成紙、或はセルロース繊維紙とプラスチックフイルム若
しくはシートからなる合成紙が挙げられる。このうちセ
ルロース繊維紙と合成紙との積層体は、合成紙が有する
熱的な不安定さ(伸縮等)をセルロース繊維紙が補い、
合成紙が有する低熱伝導率による印字熱感度の高さを発
揮することが出来る。又、この組み合わせにおいて積層
体表裏のバランスをとる為、合成紙/セルロース繊維紙
/合成紙の三層積層体を用いるのが良く、印字によるカ
ールが少なくなる。 【0023】上記の様な積層体に用いる合成紙として
は、通常被転写シートの合成紙基材として用い得る合成
紙であればいかなるものも使用することが出来るが、特
に微細空孔を含有する紙状層を設けた合成紙(例えば、
市販品の合成紙ユポ:王子油化合成紙製)が望ましい。
上記紙状層における微細空孔は、例えば、合成樹脂を微
細充填剤含有状態で延伸することにより形成することが
出来る。上記微細空孔を含有する紙状層を設けた合成紙
を用いて構成した被転写シートは、熱転写により画像を
形成した場合、画像濃度が高く、画像のバラツキも生じ
ないという効果がある。 【0024】これは、微細空孔により断熱効果があり、
熱エネルギー効率が良いことと、微細空孔によるクッシ
ョン性の良さが上記合成紙上に設けられ、画像が形成さ
れる受容層に寄与するものと思われる。又、上記微細空
孔を含有する紙状層を直接セルロース繊維紙等の芯材の
表面に設けることも可能である。上記積層体におけるセ
ルロース繊維紙以外にプラスチックフイルムを使用する
ことも出来、更に、上記セルロース繊維紙とプラスチッ
クフイルムとをラミネートしたものも使用することが出
来る。 【0025】合成紙とセルロース繊維紙との貼着方法と
しては、例えば、従来公知の接着剤を用いた貼着、押出
ラミネート法を用いた貼着、熱接着による貼着等が挙げ
られ、又、合成紙とプラスチックフイルムとの貼着方法
としてはプラスチックフイルムの形成を同時に兼ねたラ
ミネート法、カレンダー法等による貼着等が挙げられ
る。上記貼着手段は合成紙と貼着するものの材質等に応
じて適宜選択される。 【0026】上記接着剤の具体例としてはエチレン−酢
酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等のエマルジョン接
着剤、カルボキシル基を含むポリエステル等の水溶性接
着剤等が挙げられ、又、ラミネート用の接着剤として
は、ポリウレタン系、アクリル系等の有機溶剤溶液タイ
プ等の接着剤が挙げられる。受容層を構成する材質は、
熱転写シートから移行する染料、例えば、昇華性の分散
染料を受容し、受容により形成された画像を維持する為
のものである。例えば、下記(イ)〜(ホ)の合成樹脂
が単独若しくは2種以上の混合により使用することが出
来る。 【0027】(イ)エステル結合を有するもの。 ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアク
リレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等。 (ロ)ウレタン結合を有するもの。 ポリウレタン樹脂等。 (ハ)アミド結合を有するもの。 ポリアミド樹脂(ナイロン)。 (ニ)尿素結合を有するもの。 尿素樹脂等。 【0028】(ホ)その他極性の高い結合を有するも
の。 ポリカプロラクトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化
ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等。又、受容層
は飽和ポリエステルと塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
との混合樹脂により構成される。飽和ポリエステルとし
ては、例えば、バイロン200、バイロン290、バイ
ロン600等(以上、東洋紡製)、KA−1038C
(荒川化学製)、TP220、TP235(以上、日本
合成製)等が用いられる。塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体は、塩化ビニル成分含有率85〜97重量%で、重
合度200〜800程度のものが好ましい。 【0029】塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、必ず
しも塩化ビニル成分と酢酸ビニル成分のみの共重合体で
ある場合に限らず、本発明の目的を妨げない範囲のビニ
ルアルコール成分、マレイン酸成分等を含むものであっ
てもよい。又、受容層はポリスチレン系の樹脂により構
成されてもよく、例えば、スチレン系モノマー、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの
単独若しくは共重合体からなるポリスチレン系樹脂、或
は前記スチレン系モノマーと他のモノマー、例えば、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル等のアクリル若しくはメタ
クリル系モノマー若しくは無水マレイン酸との共重合体
であるスチレン系共重合体樹脂が挙げられる。以上の如
き合成樹脂のうちで特に好適なものはポリエステル系樹
脂である。 【0030】上記いずれの態様においても、受容層の白
色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高めると共に
被転写シート表面に筆記性を付与し、且つ転写された画
像の再転写を防止する目的で受容層中に白色顔料を添加
することが出来る。白色顔料としては、酸化チタン、酸
化亜鉛、カオリンクレー、炭酸カルシウム、微粉末シリ
カ等が用いられ、これらは2種以上混合して用いること
が出来ることは前述した通りである。又、転写画像の耐
光性を更に高める為に、受容層中に紫外線吸収剤及び/
又は光安定化剤を添加することが出来る。これら紫外線
吸収剤、光安定剤の添加量は、受容層を構成する樹脂1
00重量部に対しそれぞれ0.05〜10重量部で、
0.5〜3重量部が好ましい。 【0031】本発明で使用する被転写シートは、熱転写
シートとの離型性及び受容層とシート状基材との離型性
を向上させる為に、受容層の一方の面又は両方の面に離
型層を形成したり、或はこれに代えて受容層中に離型剤
を含有させることが出来る。離型剤としてはポリエチレ
ンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固
形ワックス類;弗素系、燐酸エステル系の界面活性剤;
シリコーンオイル等が挙げられるが、シリコーンオイル
が好ましい。 【0032】上記シリコーンオイルとしては油状のもの
も用いることが出来るが、硬化型のものが好ましい。硬
化型のシリコーンオイルとしては、反応硬化型、光硬化
型、触媒硬化型等が挙げられるが、反応硬化型のシリコ
ーンオイルが特に好ましい。反応硬化型シリコーンオイ
ルとしては、アミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変
性シリコーンオイルとを反応硬化させたものが好まし
く、アミノ変性シリコーンオイルとしては、KF−39
3、KF−857、KF−858、X−22−368
0、X−22−3801C(以上、信越化学工業製)等
が挙げられ、エポキシ変性シリコーンオイルとしては、
KF−100T、KF−101、KF−60−164、
KF−103(以上、信越化学工業製)等が挙げられ
る。 【0033】又、触媒硬化型或は光硬化型シリコーンオ
イルとしては、KS−705F、KS−770(以上、
触媒硬化型シリコーンオイル:信越化学工業製)、KS
−720、KS−774(以上、光硬化型シリコーンオ
イル:信越化学工業製)等が挙げられる。これら硬化型
シリコーンオイルの添加量は、受容層を構成する樹脂の
0.5〜30重量%が好ましい。又、受容層の表面の一
部に、上記離型剤を適当な溶媒に溶解或は分散させて塗
布した後、乾燥させる等によって離型層を設けることも
出来る。離型層を構成する離型剤としては、前記したア
ミノ変性シリコーンオイルとエポキシ変性シリコーンオ
イルとの反応硬化型が特に好ましい。離型層の厚さは
0.01〜5μmで、特に0.05〜2μmが好まし
い。 【0034】尚、受容層を形成する際にシリコーンオイ
ルを添加して形成すると、塗布後、シリコーンオイルが
表面にブリードアウトしてくるので、ブリードアウトさ
せた後に硬化させても離型層を形成することが出来る。
受容層の形成は、シート状基材上に、受容層を形成する
材料を溶解ないし分散して得られる受容層形成用組成物
を使用して、公知の塗布若しくは印刷方法により行う他
に、受容層をシート状基材とは別の一時的キャリアー上
に一旦形成した後に、改めてシート状基材上に転写する
方法により行ってもよい。 【0035】一時的キャリアーとしては、表面が離型性
のシートを用いる。例えば、(1)セルロース繊維紙や
合成紙等の表面にアンダーコート層を施した後に離型用
シリコーン層を施したもの、(2)セルロース繊維紙の
表面にポリオレフィン系樹脂若しくはポリエステル樹脂
をエクストルージョンコーティングしたもの、又は
(3)ポリエステルフイルム等のプラスチックフイルム
の表面に離型用シリコーン層を施したもの等である。 【0036】一時的キャリヤー上には、シート状基材上
に行うと同様にして受容層を形成した後、必要により接
着層を形成する。この接着層はシート状基材上に受容層
を転写させるときに、シート状基材と受容層との間の接
着力を確保する為のものである。この方法では、更に他
の層、例えば、クッション性等を賦与する中間層を一時
的キャリヤー上に形成しておき、シート状基材上に中間
層と受容層とを一度に転写する様にしてもよい。中間層
が接着層を兼ねているときは接着層を一時的キャリアー
上に形成しなくてもよい。尚、いずれの場合において
も、接着層はシート状基材と、一時的キャリアー上の最
上層との間に介在すればよいから、接着層をシート状基
材上に形成しておき、一時的キャリアー上には受容層の
み、或は受容層と中間層を順に形成しておいて転写して
もよい。 【0037】受容層を一時的キャリアー上に一旦形成
し、転写法によりシート状基材上に形成する方法を採用
すると、シート状基材上に形成された受容層の表面は、
一時的キャリアーの表面の状態が転写されている為に平
滑性が非常に優れており、シート状基材上に直接形成し
た受容層は、転写法によるものと比べると平滑性が劣っ
ており、より鮮明で精緻な画像を得たいときは、転写法
を採用するのがよい。 【0038】接着剤としては受容層とシート状基材とを
接着出来るものであればよく、ポリエステル系、ポリア
クリル酸エステル系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル
系、ポリオレフィン系、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、合成ゴム系等の有機溶剤溶液又はエマルジョンを使
用することが出来る。接着剤は熱接着タイプでも、常温
粘着タイプでもよい。熱接着タイプの場合には、ワック
ス、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィ
ン、石油系樹脂等のホットメルトタイプの接着剤による
熱接着或はポリオレフィンフイルム等エクストルージョ
ンフイルムによるサンドイッチラミネーションでもよ
い。 【0039】中間層を兼ねる接着層として両面テープを
用いてもよい。両面テープはレーヨンペーパーにアクリ
ル系粘着剤等を含浸乾燥したもので、乾燥後の両面テー
プには微細空孔が出来ており、発泡層と等価の役割を果
たすものと思われる。中間層は、構成する材質によりク
ッション性層又は多孔層のいずれかであり、或は場合に
よっては接着層の役目を兼ねている。クッション性層は
JIS−K−6301に規定される100%モジュラス
が100Kg/cm以下である樹脂を主とするもので
あり、ここで前記100%モジュラスが100Kg/c
を超えると、剛性が高過ぎる為にこの様な樹脂を用
いて中間層を形成しても、熱転写シートと受容層の印字
の際に充分な密着性は保たれない。又、前記100%モ
ジュラスの下限は実際上0.5Kg/cm程度であ
る。 【0040】上記の条件に合致する樹脂としては次の様
なものが挙げられる。ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノ
ール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体樹脂等。上記の樹脂は、1種若しくは2種
以上混合して使用することが出来るが、上記の樹脂は比
較的粘着性を有しているので、加工中に支障があるとき
は無機質の添加剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレ
ー、炭酸カルシウム等、或はステアリン酸アミド等のア
ミド系物質を添加してもよい。 【0041】クッション性層は上記した様な樹脂を必要
に応じて他の添加剤と共に溶剤・稀釈剤等と混練して塗
料若しくはインキとし、公知の塗布方法若しくは印刷方
法により塗膜として乾燥させることにより形成すること
が出来、その厚みは0.5〜50μm、より好ましくは
2〜20μm程度である。厚みが0.5μm未満では設
けたシート状基材の表面の粗さを吸収しきれず、従って
効果がなく、逆に50μmを超えると効果の向上が見ら
れないばかりか、受容層が厚くなりすぎて突出し、巻き
取ったり、重ねたりする際の支障となるし、又、経済的
でもない。この様な中間層を形成すると、熱転写シート
と被転写シートとの密着性が向上するのは、中間層自体
が剛性が低い為に印字の際の圧力により変形する為と考
えられるが、更に、前記した様な樹脂は通常ガラス転移
点や軟化点が低く、印字の際に与えられる熱エネルギー
により、常温におけるよりも更に剛性が低下して変形し
易くなることも寄与しているものと推定される。 【0042】多孔層は、1)ポリウレタン等の合成樹脂
エマルジョンやメチルメタクリレート−ブタジエン系等
の合成ゴムラテックスを機械的撹拌により起泡させた液
をシート状基材上に塗布し乾燥させた層、2)上記合成
樹脂エマルジョンや上記合成ゴムラテックスに発泡剤を
混合させた液をシート状基材上に塗布し乾燥させた層、
3)塩ビプラスチゾル、ポリウレタン等の合成樹脂又は
スチレン−ブタジエン系等の合成ゴムに発泡剤を混合し
た液をシート状基材上に塗布し加熱することにより発泡
させた層、4)熱可塑性樹脂又は合成ゴムを有機溶媒に
溶解した溶液と、該有機溶媒に比べ蒸発しにくく該有機
溶媒に対し相溶性を有し、且つ熱可塑性樹脂又は合成ゴ
ムに対して溶解性を有しない非溶媒(水を主成分とする
ものも含む)との混合液を、シート状基材上に塗布し乾
燥させることによりミクロ状に凝集した膜を形成してな
るミクロポーラス層等が用いられる。 【0043】上記1)〜3)の層は気泡の大きさが大き
い為、該層上に受容層形成用溶液を塗布し乾燥させた場
合、乾燥させて形成された受容層の表面に凹凸が生じる
虞がある。その為上記凹凸が小さく又均一性の高い画像
を転写せしめることが可能な受容層の表面を得る為に
は、多孔層として、上記4)のミクロポーラス層を設け
ることが好ましい。 【0044】上記ミクロポーラス層の形成に当たって用
いられる熱可塑性樹脂としては、飽和ポリエステル、ポ
リウレタン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロ
ースアセトプロピオネート等が挙げられ、又、同様に用
いられる上記合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン
系、イソプレン系、ウレタン系等が挙げられる。又、該
ミクロポーラス層の形成に当たって用いられる有機溶媒
及び非溶媒としては種々のものが可能であるが、通常、
有機溶媒としてメチルエチルケトン、アルコール等の親
水性溶媒が用いられ、又、非溶媒として水が用いられ
る。本発明における多孔層の厚みは、3μm以上のもの
が好ましく、特に、5〜20μm厚のものが好ましい。
多孔層の厚みが3μm未満のものは、クッション性や断
熱性の効果が発揮されない。 【0045】説明が前後したが、中間層が接着層を兼ね
る場合もあることは受容層の形成方法において述べた通
りである。上記の中間層は被転写シートの両面に設けて
もよいし、一方の面のみ設けてもよい。被転写シートの
加工工程中又はプリンター内での走行時に静電気の発生
を抑える為に、少なくとも一方の面の受容層中又は受容
層の表面に帯電防止剤を含有させることも出来る。帯電
防止剤としては、界面活性剤、例えば、陽イオン型界面
活性剤(例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘
導体等)、陰イオン型界面活性剤(例えば、アルキルス
ルホネート等)、両性イオン型界面活性剤若しくは非イ
オン型離型が挙げられる。 【0046】帯電防止剤は、グラビアコーティングやバ
ーコーティング等により受容層表面に塗布形成してもよ
く、受容層樹脂中に練り込んで受容層の塗工及び乾燥時
に受容層表面に移行させてもよい。受容層樹脂と混合す
る帯電防止剤としては、カチオン型のアクリルポリマー
を用いることも出来る。 【0047】本発明で使用する被転写シートは、いずれ
か一方の面若しくは両方の面に、少なくとも一部に他の
方法で記録出来る様にしてもよい。代表的なものは水性
ペンや鉛筆等により筆記性層を設けることである。筆記
性層は、受容層を部分的に設けないことにより、シート
状基材表面をそのまま利用してもよいが、体質顔料を含
有する樹脂層を受容層と並べるか、受容層の上に設ける
ことにより形成してもよい。 【0048】離型性透明保護層は画像を有する受容層と
共にシート状基材から剥離されるものであり、受容層を
反転してカード基材に貼着した際に最上層となり、画像
を有する受容層の耐摩耗性、耐光性、耐薬品等を向上さ
せる。例えば、保護層を形成する材料としては、エポキ
シ樹脂、アルキッド樹脂、フェノール変性アルキッド樹
脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、熱硬化型アクリル樹
脂、熱硬化型ポリウレタン樹脂等の熱硬化型樹脂或は常
温硬化型樹脂、その他、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化
型樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂等が有用であ
る。 【0049】これらの樹脂からなる離型性透明保護層
は、これらの樹脂を必要に応じて、適当な溶剤に溶解し
て塗工液又はインキを調製し、これを離型層と受容層と
の間に形成する。この様な離型性透明保護層の厚さは
0.5〜20μm程度が一般的である。この様に形成さ
れた離型性透明保護層は充分に三次元的に架橋した層で
ある為、転写時の温度が高くなっても軟化したり溶融す
ることがなく、従って、シート状基材又は離型層と一体
化することがなく、転写後のシート状基材の剥離が容易
である為、離型層や中間層も兼ねることが出来る。 【0050】以上が本発明で使用する被転写シートの構
成であるが、この様な被転写シートに所望の画像を形成
する好ましい方法は、染料層をシート状基材上に設けて
なる熱転写シートを使用する方法である。この方法で使
用する熱転写シートそれ自体及び転写方法自体はいずれ
も公知であり、これら公知の熱転写シート及び転写方法
はいずれも本発明において有用である。又、この様な転
写方法によって、モノカラーでもフルカラーの画像でも
いずれも容易に形成することが出来る。 【0051】例えば、従来公知の熱転写シートを前記の
本発明で使用する被転写シートに重ねて従来公知のいず
れかの転写装置、例えば、サーマルプリンター(例え
ば、東芝製、サーマルプリンターTN−5400)等の
装置によって5〜100mJ/mmの熱エネルギーを
付与することによって、所望の画像を本発明で使用する
被転写シートの受容層中に形成することが出来る。以上
の如き画像が形成された受容層の剥離は容易であり、所
望の画像を有する薄いフイルム状に剥離することが出来
る。この剥離した画像を有するフイルムが、記録面と反
対側に予め前述の如き接着剤からなる接着層を有する場
合にはそのまま各種のカード基材に貼着することが出来
る。 【0052】貼着はカード基材の全面でも部分的にでも
よいのは当然である。又、剥離した画像はフイルムが予
め接着層を有しない場合には、カード基材の物性或は材
質に従って、そのままでも熱融着することが出来る。
又、適当な接着剤を該フイルム又はカード基材に塗布し
てから貼着することも出来る。更にこの様な画像を有す
るフイルムは剥離後反転して、即ち、画像形成面をカー
ド基材に対向させ、上記と同様に任意のカード基材に貼
着することが出来る。この場合には、予め、受容層を剥
離する前に、画像を有する被転写シートをカード基材
に、画像面を対向させて、必要に応じて接着剤により貼
着し、しかる後にシート状基材を剥離してカード基材の
表面に画像を有する受容層を残す方式がより好ましい。 【0053】以上の如き、画像を反転させてカード基材
に貼着する場合においては、形成する画像は、予め鏡面
関係にある画像として形成するのが好ましい。本発明の
カードの製造方法は、以上の通り、前述の被転写シート
を使用する以外は、その画像形成方法やカード基材に対
する貼着方法はいずれも従来公知の方法でよく、又、本
発明のカードの製造方法の対象となるカード基材の材質
や形状等、特に限定されず、例えば、キャッシュカー
ド、クレジットカード、メンバーズカード、グリーティ
ングカード、ハガキ、名刺、ICカード等のカード基材
が挙げられる。 【0054】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない
限り重量基準である。実施例1 基材として合成紙(王子油化製、ユポFPG150、厚
み150μm)とポリエステルフイルム(厚み6μm)
とをラミネートしたものを準備し、そのポリエステルフ
イルム側に、剥離ニス(昭和インク製、ハクリニス4
5)に紫外線吸収剤である2,5−ビス(5´−ter
t−ブチルベンゾオキサゾリル(2))チオフェンをニ
スの樹脂分に対し、0.5%添加したものをワイヤーバ
ーで塗布及び乾燥して乾燥後重量1g/mの離型性透
明保護層を形成した。更に、上記離型性透明保護層の上
に下記組成の受容層形成用インキを用い、乾燥後重量が
7g/mとなる様に塗布及び乾燥した。 【0055】受容層形成用インキ組成 ポリエステル樹脂(東洋紡製、Vylon200) 100部 アミノ変性シリコーン(信越化学工業製、KF−393) 5部 エポキシ変性シリコーン(信越化学工業製、X−22−343) 5部 溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン 4/2/2) 900部 上記インキを塗布及び乾燥後、1日放置し、その後10
0℃の温度で30分間加熱して、シリコーンを表面にブ
リードアウトさせ、表面に硬化したシリコーン層を有す
る受容層とした。 【0056】得られた受容層の上に、シアンの昇華性染
料(分子量が250以上)をバインダー樹脂で担持させ
た昇華熱転写フイルムを重ね、顔写真を色分解して得た
シアン成分の電気信号に連結したサーマルヘッドで熱エ
ネルギーを付与し、シアン画像を得た。次いで、マゼン
タの昇華性染料(分子量は250以上)を用いた昇華熱
転写フイルム及びイエローの昇華性染料(分子量は25
0以上)を用いた昇華熱転写フイルムにより同様にして
昇華転写を行い、フルカラーの顔写真とその他の文字及
び図形からなる表示画像を形成した。表示画像が形成さ
れたシートの受容層側を、厚さ100μmの白色不透明
の硬質塩化ビニル樹脂シートからなるカード基材上に重
ねて200℃の熱ローラーで圧着し、圧着後、ポリエス
テルフイルムを離型性透明保護層の界面で剥離し、表示
画像を有する受容層が転写された本発明のカードを得
た。 【0057】このカードの表面は、全体的に平滑であ
り、画像部分に何らの盛り上がりもなかった。更にこの
カードの画像は40℃の雰囲気に3ケ月間保持した促進
試験においても、画像の乱れや層間剥離は全く生じなか
った。又、カーボンアーク灯によるJISの耐光試験を
したところ、結果はJIS4〜5級であり、良好な性能
を示した。又、表面の引っ掻き等についても良好な耐性
を示した。 【0058】 【効果】以上の如き本発明によれば、従来は、画像の形
成及び付与が不可能或は困難であったカード基材に、こ
れらのカード基材の材質に拘らず、染料により形成され
た画像を自由に付与することが出来る。しかも、本発明
によれば、従来のいわゆる絵付きシールとは異なり、本
発明による画像を有する受容層フイルムは非常に薄いも
のである為、カード基材に貼着しても、それらが充分に
一体化して、貼着感を与えず、優れた美感、機能及び耐
久性を有するものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明で使用する被転写シートの断面を図解
的に示す図 【図2】 本発明で使用する被転写シートの断面を図解
的に示す図 【図3】 本発明で使用する被転写シートの断面を図解
的に示す図 【図4】 熱転写シートによる画像の形成を図解的に示
す図 【図5】 カードの断面を図解的に示す図 【符号の説明】 1;シート状基材 2;受容層 3;離型層 3’;離型性透明保護層 4;中間層 5;画像 6;接着層 10;被転写シート 20;熱転写シート 21;染料層 30;カード基材

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.シート状基材の面に離型性透明保護層と染料受容層
    とが形成された被転写シートの染料受容層に、昇華性熱
    転写シートとサーマルヘッドとを用いて画像を形成する
    工程と、該画像形成された染料受容層と上記透明保護層
    とを、上記染料受容層がカード基材の面に積層され、且
    つ該積層された染料受容層の上に上記透明保護層が積層
    されるように転写する工程とを含むことを特徴とするカ
    ードの製造方法。 2.カード基材が白色不透明な硬質塩化ビニル樹脂シー
    トからなる請求項1に記載のカードの製造方法。 3.染料受容層がポリエステル樹脂からなる請求項1に
    記載のカードの製造方法。 4.昇華性染料が分子量250以上の染料である請求項
    1に記載のカードの製造方法。 5.画像を3原色の熱転写シートから形成する請求項1
    に記載のカードの製造方法。
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