(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、印刷装置の構成について説明する。図1に示すように、印刷装置10は、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、後処理装置300とを備えている。また、各装置100,200,300には、各装置100,200,300における各機構の駆動を制御する制御部11,12,13を備えている。各制御部11〜13は、互いに通信可能に構成されている。例えば、制御部11が印刷装置10の全体を統括制御し、制御部12,13は、制御部11からの指示に従って各装置200,300の制御を行う。
画像形成装置100は、媒体の一例としての用紙Mに対して画像を形成する装置である。後処理装置300は、例えば、画像が形成された複数の用紙Mをステープル(針)で綴じるステープラー処理等の後処理を行う装置である。本実施形態では、後処理装置300が、媒体排出装置の一例に相当する。そして、中間搬送装置200は、画像形成装置100で画像が形成された用紙Mを、後処理装置300に搬送する装置である。中間搬送装置200は、画像形成装置100と後処理装置300との間に配置されている。なお、制御部は、印刷装置10を構成する各装置100,200,300のうち2つ又は3つの装置間で共有されてもよい。
本実施形態の印刷装置10では、画像形成装置100の上流側搬送経路としての第3排出経路153が中間搬送装置200の中間搬送経路218に接続され、中間搬送経路218が後処理装置300の下流側搬送経路319に接続されている。そして、上流側搬送経路(第3排出経路153)と、中間搬送経路218と、下流側搬送経路319とにより、用紙Mの搬送方向の上流側となる画像形成装置100から中間搬送装置200を経由して後処理装置300まで続く搬送経路(図1中の二点鎖線)を構成している。
図1に示すように、画像形成装置100は、用紙Mに液体の一例としてのインクを付着させることで文字や図形、写真等の画像を記録するインクジェットプリンターであり、略直方体状の筐体101を有している。筐体101の上部には、画像形成装置100の各種の操作を行うための操作部102が取り付けられている。
画像形成装置100には、鉛直方向Zにおいて、画像形成装置100の中央部から下部に亘って用紙カセット103が設けられている。本実施形態において、用紙カセット103は、鉛直方向Zに4つ並んで配置されている。各用紙カセット103には画像形成装置100によって記録を行う用紙Mが積層状態で収容されている。また、各用紙カセット103には、ユーザーが把持可能な把持部103aが形成されている。そして、用紙カセット103は、筐体101に対して着脱可能に構成されている。なお、各用紙カセット103に収容される用紙Mは、それぞれ異なる種別のものでもよいし、同じ種別のものであってもよい。
鉛直方向Zにおける最上段の用紙カセット103の上方には、矩形状の前板カバー104が設けられている。前板カバー104は、用紙カセット103と隣り合う長辺を基端として回動可能に設けられ、基端とは反対側となる先端側が画像形成装置100から離間する開位置と、筐体101の一部を構成する閉位置との2つの位置間で回動自在に構成されている。
また、筐体101の中間搬送装置200側の一部には、筐体101から中間搬送装置200側に延びる排紙トレイ109が必要に応じて取り付け可能に設けられている。排紙トレイ109には、排出口108(図2参照)を介して排出された用紙Mが載置される。
ここで、図2を参照して、画像形成装置100の構成について説明する。図2に示すように、画像形成装置100が有する筐体101内には、用紙Mに対して鉛直方向Zの上側から記録を行う記録部110と、用紙Mを搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。搬送経路120は、前後方向Yに沿う方向を用紙Mの幅方向としたときに、この幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Mが搬送されるように形成されている。
記録部110は、用紙Mの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Mにおいて記録ヘッド111と対向する記録面(画像を印刷される面)に付着されることで、用紙Mに画像を形成する。
搬送部130は、搬送経路120に沿って配置され、搬送駆動モーター(図示せず)で駆動する複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。すなわち、ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Mに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向上流側に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向下流側に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラー133、134に掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Mが下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Mを支持する支持面として機能する。
搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Mが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録済みとされた用紙Mが搬送される排出経路150と、分岐機構147で分岐する分岐経路160とを有している。
供給経路140は、第1供給経路141と、第2供給経路142と、第3供給経路143とを有している。第1供給経路141では、筐体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Mが記録部110へ搬送される。すなわち、挿入口141bから挿入された用紙Mは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
第2供給経路142では、鉛直方向Zにおいて、筐体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Mが、記録部110へ搬送される。すなわち、用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Mは、最上位の用紙Mがピックアップローラー142aにより送り出され、分離ローラー対145で一枚ずつに分離された後、第2駆動ローラー対146の回転駆動によって鉛直方向Zに搬送されつつ反転し、記録部110へ向かって搬送される。
第3供給経路143では、用紙Mに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録済みとされた用紙Mが、再び記録部110へ搬送される。すなわち、記録部110よりも搬送方向下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。すなわち、両面印刷を行う際、用紙Mは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられている。
両面印刷に際して、一面が印刷された用紙Mは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Mは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。すなわち、分岐経路160を搬送される用紙Mは搬送の向きが反転される。
分岐経路160から逆搬送される用紙Mは第3供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3供給経路143を搬送されることによって、用紙Mは印刷されていない他面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3供給経路143は、用紙Mを反転させて供給する反転搬送経路して機能する。
各供給経路141,142,143のうち、第2供給経路142及び第3供給経路143は、用紙Mが湾曲されながら記録部110へ向けて搬送される。その一方で、第1供給経路141は、第2供給経路142及び第3供給経路143と比較して、用紙Mが大きく湾曲されることなく記録部110へ向けて搬送される。
各供給経路141,142,143を搬送される用紙Mは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Mは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Mは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、整列状態となって記録部110へ搬送される。
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Mは、搬送ローラー対131により搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。排出経路150は、分岐経路160と分岐する位置よりも下流となる位置で、第1排出経路151、第2排出経路152、第3排出経路153に分岐している。すなわち、記録が完了された用紙Mは、排出経路150の上流部を構成する共通排出経路154(上流排出経路)を搬送された後、共通排出経路154の下流端となる分岐位置190に設けられた案内機構180(切替案内部)により、排出経路150の下流部を構成する各排出経路151,152,153のうち何れかの経路へ案内される。案内機構180は、共通排出経路154の下流端から各排出経路151、152、153に分岐する分岐位置190に設けられている。
第1排出経路(上方排出経路)151は、筐体101の上方へ向かうように湾曲して延びており、記録部110により記録された用紙Mが、第1排出経路151の終端となる箇所で筐体101の一部に開口する排出口155まで搬送される間において、その用紙Mの表裏を反転させる湾曲反転経路である。
第1排出経路151は、記録部110により記録された用紙Mの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Mの記録面が上側に向く状態から下側に向く状態に用紙Mを反転させる。第1排出経路151を搬送される用紙Mは、第1排出経路151に沿って複数箇所に設けられた複数の搬送ローラー対131のうち終端に位置する排出ローラー対131Aを通って排出口155から排出される。そして、排出口155から排出された用紙Mは、鉛直方向Z下側へ落下し、図2において二点鎖線で示すように、載置面156a上に積層された状態で載置台156に排紙される。なお、排出経路150の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Mは、排出口155から片面印刷時における記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。また、両面印刷時の用紙Mは、先に一面に記録された後に反転され、後から他面に記録された記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。
載置台156は、左右方向Xにおける右方向に向かうにつれて、鉛直方向Z上側に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Mが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Mは、載置台156の傾斜に沿って左方向に移動し、筐体101の排出口155の下側に設けられたほぼ鉛直な面を有する規制壁157に接近して載置される。
第2排出経路152は、第1排出経路151よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録部110から中間搬送装置200に向けて直線的(水平的)に延びている。そのため、第2排出経路152を搬送される用紙Mは、その姿勢が記録部110を通過したときと同様に一定に保たれたまま直線的に搬送され、排出口108から排紙トレイ109に向けて排出される。すなわち、第2排出経路152は、用紙Mの姿勢を反転させることなく排紙トレイ109へ向けて用紙Mを搬送する非反転排出経路として機能する。
第3排出経路153は、第2排出経路152よりも鉛直方向Z下側に分岐し、筐体101の下方へ向かうように、鉛直方向Zにおいて斜め下側に向かって延びている。そして、第3排出経路153の下流端は、中間搬送装置200が有する中間搬送経路218の上流端に位置する導入経路211と接続されている。よって、第3排出経路153を搬送される用紙Mは、中間搬送装置200へ排出される。なお、第3排出経路153には、用紙Mの有無を検出可能な搬送検出部199が設けられている。搬送検出部199は、例えば、光透過型または光反射型のフォトインターラプターであり、光を発する発光部と発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。発光部の発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等が適用される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成されている。発光部と受光部とにより用紙Mの有無(受光部における受光のON/OFF)を検出することができる。
搬送検出部199は、制御部11に接続され、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。制御部11は、搬送検出部199を駆動し、受光部における光の受光量と予め定められた閾値とを比較して、用紙Mの有無を検出する。そして、搬送ローラー対131の駆動に同期して、用紙Mの有と無とが繰り返し検出された場合は、用紙Mが正常に搬送されている状態であると判断される。一方、所定のタイミングあるいは所定の時間内に、受光部における受光量に変化がない状態が継続する場合は、異常状態(ジャム)にあると判断される。例えば、用紙Mの搬送不具合の発生により、記録ヘッド111側から用紙Mが正常に搬送されていない場合に、異常状態(ジャム)であると判断される。
排出経路150の一部及び分岐経路160の一部は、筐体101に設けられた引出ユニット170に取り付けられている。なお、引出ユニット170は、筐体101に対して着脱可能に構成されている。
ここで、印刷装置10に適用され得る用紙Mは、吸湿性及び可撓性を有するものが好ましく、例えば、電子写真複写用紙などの普通紙、シリカ、アルミナ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等を含む水溶性インク吸収層を備えたインクジェット用紙等が挙げられる。また、水溶性インクの浸透速度が比較的小さなタイプの吸収性被記録媒体として一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。また、用紙Mとして、例えば、上質紙、PPCコピー紙、非塗工印刷紙等を挙げることができる。
次に、図1を参照して、中間搬送装置200について説明する。図1に示すように、中間搬送装置200は、用紙Mを搬送可能な中間搬送部252を備えている。中間搬送部252は、搬送された用紙Mを反転する少なくとも1つの反転部(本実施形態では2つの第1反転部241と第2反転部242)を備えている。第1反転部241及び第2反転部242は、搬送経路において記録部110よりも搬送方向の下流側に位置し、画像が形成(印刷)された用紙Mを反転する。また、中間搬送装置200は、用紙Mが搬送される中間搬送経路218を備えている。従って、中間搬送装置200は、画像形成装置100において画像が形成された用紙Mを搬送させながら乾燥させる乾燥機能と、画像形成装置100から搬送された用紙Mを反転させる反転機能とを備えている。
中間搬送装置200の中間搬送経路218は、画像形成装置100の第3排出経路153に接続されている。また、中間搬送経路218は、上流端が第3排出経路153と接続された導入経路243と、導入経路243の下流端である分岐点Aで分岐した第1分岐経路244及び第2分岐経路245とを有している。すなわち、分岐点Aには、導入経路243の下流端、第1分岐経路244の上流端、及び第2分岐経路245の上流端がそれぞれ接続されている。そして、第1分岐経路244と第2分岐経路245との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
さらに、中間搬送経路218は、第1分岐経路244の下流端である第1接続点Bに接続された第1合流経路246と、第2分岐経路245の下流端である第2接続点Cに接続された第2合流経路247とを有している。第1合流経路246と第2合流経路247との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
また、第1接続点Bには、第1反転部241が有する第1反転経路248が接続されている。また、第2接続点Cには、第2反転部242が有する第2反転経路249が接続されている。すなわち、第1接続点Bには、第1分岐経路244の下流端、第1合流経路246の上流端、及び第1反転経路248の一端が接続されている。また、第2接続点Cには、第2分岐経路245の下流端、第2合流経路247の上流端、及び第2反転経路249の一端が接続されている。なお、第1反転経路248及び第2反転経路249の経路長は、搬送方向において画像形成装置100で画像形成(印刷)可能な用紙Mの長さ以上となるように構成されている。
さらに、中間搬送経路218は、第1合流経路246及び第2合流経路247が合流する合流点Dが設けられ、当該合流点Dに接続された導出経路250を有している。すなわち、合流点Dには、第1合流経路246の下流端、第2合流経路247の下流端、及び導出経路250の上流端が接続されている。当該導出経路250は、後処理装置300へ向けて第1反転経路248と第2反転経路249の間を下向きに延びた後、第1反転経路248を回り込むように回して、上向きに延びている。なお、導出経路250は、上流側に配置された第1導出経路250aと当該第1導出経路250aの下流側に配置された第2導出経路250bとで構成されている。そして、第2導出経路250bの下流端は、後処理装置300の下流側搬送経路319に接続されている。
そして、本実施形態では、導入経路243と、第1分岐経路244と、第2分岐経路245とにより反転前経路218aが構成され、第1合流経路246と、第2合流経路247と、導出経路250とにより反転後経路218bが構成されている。そして、反転前経路218aは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する。さらに、反転後経路218bは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の下流側に位置する。すなわち、中間搬送経路218は、第1反転部241及び第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する反転前経路218aと、搬送方向の下流側に位置する反転後経路218bとを有している。
また、図1に示す中間搬送装置200は、中間搬送経路218に倣って用紙Mを搬送可能な中間搬送部(図示せず)を備えている。中間搬送部は、中間搬送経路218に沿って用紙Mを搬送可能な複数の搬送ローラー対を備えている。第1反転部241及び第2反転部242は、搬送される用紙Mを反転可能に構成されている。
導入経路243、第1分岐経路244及び第2分岐経路245上には、第1駆動モーターを共通の動力源として用紙Mを搬送する複数の搬送ローラー対(いずれも図示せず)が設けられている。また、第1合流経路246と第2合流経路247及び第1導出経路250a上には、第2駆動モーターを共通の動力源として用紙Mを搬送する複数の搬送ローラー対(いずれも図示せず)が設けられている。また、第2導出経路250b上には、第3駆動モーターを動力源として用紙Mを搬送可能な複数の搬送ローラー対(いずれも図示せず)が設けられている。そして、中間搬送部の各ローラー対が用紙Mを表裏両側から挟み込んで支持した状態で、ローラー対のうち一方のローラーを回転駆動することにより、搬送経路に沿って用紙Mを搬送する。
また、導入経路243には、用紙Mを検出する導入検出部258が設けられている。導入検出部258は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。そして、導入検出部258よりも搬送方向下流側の分岐点Aには、案内フラップ259が設けられている。案内フラップ259は、ソレノイド等により駆動され、導入経路243を搬送される用紙Mを第1分岐経路244及び第2分岐経路245のうち何れの経路に案内するかを切り替える。
さらに、第1分岐経路244の下流端には、第1分岐経路244から第1反転経路248への用紙Mの移動を許容する一方、第1反転経路248から第1分岐経路244への用紙Mの移動を規制する第1規制フラップ261が設けられている。さらに、第2分岐経路245の下流端には、第2分岐経路245から第2反転経路249への用紙Mの移動を許容する一方、第2反転経路249から第2分岐経路245への用紙Mの移動を規制する第2規制フラップ262が設けられている。これらの第1規制フラップ261及び第2規制フラップ262は、付勢部材(図示せず)による付勢力によって第1分岐経路244もしくは第2分岐経路245の下流端を塞ぐように付勢されている。
また、第1分岐経路244、第2分岐経路245、第1合流経路246、第1導出経路250a、及び第2導出経路250bには、用紙Mを検出する検出部がそれぞれ配置されている。例えば、第2導出経路250bには、中間搬送装置200から用紙Mが排出される排出位置よりも搬送方向の上流側の位置で用紙Mを検出する検出部285が配置されている。これらの検出部および検出部285は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。なお、各搬送路における各検出部の数は、各搬送経路の形態等により任意に設定することができる。
第1反転部241には、第1反転経路248に送り込まれた用紙Mを検出する検出部と、第1反転経路248上に設けられた第1反転ローラー対(図示せず)とが配置されている。第1反転ローラー対は、検出部が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第1反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。
また、第2反転部242には、第2反転経路249に送り込まれた用紙Mを検出する検出部と、第2反転経路249上に設けられた第2反転ローラー対(図示せず)とが配置されている。第2反転ローラー対は、検出部が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第2反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。なお、検出部は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。
次に、後処理装置300の構成について説明する。図1に示すように、後処理装置300は、略箱型状の枠体320を備えている。枠体320は、後処理給紙口322と後処理排紙口323とを備えている。後処理給紙口322及び後処理排紙口323は、それぞれ開口が形成されており、後処理給紙口322は、中間搬送装置200の中間搬送経路218の下流端に対応して配置され、中間搬送経路218と下流側搬送経路319とが接続されている。そして、下流側搬送経路319は後処理給紙口322から後処理排紙口323に亘って配置され、中間搬送装置200から搬送された用紙Mが後処理給紙口322から供給され、用紙Mに対して後処理等を施した後、後処理排紙口323から排紙される。
枠体320の内部には、スタッカー328と後処理部325等が配置されている。スタッカー328は、用紙Mを一時的に載置するものであり、用紙Mを載置可能なほぼ平坦面を有する載置面328aと、載置面328aの端部に対して略直角方向に形成された壁面328bとを有している。
後処理部325は、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を適宜の機構で行うものである。なお、後処理部325に、用紙Mの折り処理を行う用紙折り部や用紙Mを裁断する裁断処理、用紙Mを折り畳む折丁処理、用紙Mを製本する製本処理や丁合処理等が可能な機構を備えていてもよい。
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って下流側搬送部326が配置されている。下流側搬送部326は、駆動ローラー(図示せず)により駆動する搬送ローラー対327を有している。そして、下流側搬送経路319における後処理排紙口323の近傍には排出部の一例としての排出ローラー対329が配置されている。搬送ローラー対327は、下流側搬送経路319においてスタッカー328及び後処理部325よりも上流側に配置され、後処理給紙口322から給紙される用紙Mをスタッカー328に搬送する。また、下流側搬送経路319における後処理給紙口322近傍には、用紙Mを検出する第1検出部の一例としての搬入検出部351が配置されている。搬入検出部351は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って搬送される用紙Mを案内するガイド部330が設けられている。ガイド部330は、突部形状を有している。そして、ガイド部330には、ほぼ平坦面を有するガイド面330aを備え、ガイド面330aは下流側搬送経路319(スタッカー328)に対向して配置されている。本実施形態のガイド面330aの用紙Mの搬送方向に対して略直交する寸法幅は、搬送方向に対して略直交する用紙Mの寸法幅とほぼ同等の寸法を有している。これにより、用紙Mを容易に搬送することができる。ガイド部330は、下流側搬送経路319における搬送ローラー対327の下流側であって、排出ローラー対329の上流側に配置されている。従って、搬送ローラー対327から搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送される。
本実施形態のスタッカー328は、下流側搬送経路319において搬送ローラー対327よりも下流側に配置され、後処理部325で処理される用紙Mを一時的に載置する。そして、スタッカー328に載置された複数の用紙Mの少なくとも一端辺側が揃うように、スタッカー328の載置面328aが斜め方向に配置されている。本実施形態では、スタッカー328の一端は後処理排紙口323側に配置され、スタッカー328の他端(壁面328b)は後処理部325側に配置されている。後処理排紙口323は後処理部325よりも上方に配置されており、スタッカー328は下方となる後処理部325に向かって斜めに配置されている。これにより、スタッカー328に載置された用紙Mの端一端辺がスタッカー328の壁面328bに接触することにより、用紙Mの一端辺が揃えられる。
図1に示すように、後処理装置300の排出ローラー対329は、スタッカー328の一端側に配置され、スタッカー328に載置された用紙Mを1枚毎又は所定枚数からなる1束毎に排出するように構成されている。排出ローラー対329は、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとを備えている。第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとは鉛直方向Zに配列され、第1排出ローラー329aは第2排出ローラー329bよりも上方となる位置に配置されている。そして、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとが離間及び圧接可能に構成されている。本実施形態では、第1排出ローラー329aが駆動モーターにより第2排出ローラー329bに対して移動可能に構成されている。
そして、搬送ローラー対327から搬送された用紙Mをスタッカー328に載置する際には、排出ローラー対329を離間する。このとき、第1排出ローラー329aは、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとの間隔が最大となる第1ポジションに配置される。なお、間隔とは、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとで用紙Mを挟み込む方向における間隔であり、第1排出ローラー329aの最外周面と第2排出ローラー329bの最外周面との最短寸法である。そして、この状態で第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとの間を用紙Mの一部が通過した後、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとで用紙Mを挟み込むように圧接(ニップ)し、排出ローラー対329をスタッカー328側に引き戻す方向に回転させる。これにより用紙Mがスタッカー328に載置される。このとき、第1排出ローラー329aは、第1ポジションよりも下方であって、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとで用紙Mを圧接するニップポジションに移動する。そして、スタッカー328に所定枚数の用紙Mが載置されるまで、第1排出ローラー329aと第2排出ローラー329bとによる離間及び圧接状態での引き戻し動作を繰り返す。
枠体320の外側には後処理排紙口323よりも下方に載置部の一例としての排出トレイ331が設けられている。排出トレイ331は、後処理排紙口323から排出された用紙Mを積載する。排出トレイ331は、排出ローラー対329の鉛直方向Zにおける下方に配置され、排出された用紙Mが積載(載置)される載置面331aを有する。排出トレイ331は、排出方向X1の下流端が上流端よりも鉛直方向Zの上方に位置し、枠体320の外側に斜め上方に向かって突出している。
後処理部325で後処理が施された用紙束M1を排出トレイ331側に排出する場合は、所定枚数の用紙束M1を圧接した排出ローラー対329を、スタッカー328側とは反対側に用紙Mを搬送させる方向に回転させる。これにより、用紙束M1を排出トレイ331側へ排出することができる。本実施形態では、排出ローラー対329(第1排出ローラー329a、第2排出ローラー329b)が、排出ローラーの一例に相当する。
また、排出ローラー対329の下流側の後処理排紙口323近傍には、後処理排紙口323から排出される用紙M又は用紙束M1を検出する第2検出部の一例としての排出検出部352が配置されている。排出検出部352は、例えばフォトインターラプターであり、具体的な構成は搬送検出部199と同様である。排出検出部352による検出信号は、制御部13に送られる。
図3に示すように、後処理装置300は、鉛直方向Zに長い四角箱状の枠体320と、後処理排紙口323から排出された用紙束M1を積載する排出トレイ331とを備えている。排出トレイ331は、枠体320における後処理排紙口323が開口する側面に沿って鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。
図3に示すように、後処理装置300は、排出ローラー対329から排出された用紙束M1を排出トレイ331の載置面331a又は先に排出されて載置面331aに載置された用紙M(先行用紙)の上面に落下する前にガイドし、用紙束M1の下折れを防止する折れ防止装置20を備えている。ここで、下折れとは、後処理排紙口323から排出された後続の用紙Mの排出方向X1における下流端(先端)が、先に排出されて排出トレイ331に載置された用紙M(先行用紙)の上面に当接し、下側の1枚または複数枚が下方に折れ曲がる現象である。
折れ防止装置20は、最上昇位置にあるときの排出トレイ331の載置面331aよりも上方に配置され、後処理排紙口323の排出ローラー対329から排出される用紙束M1の排出領域を幅方向Yに挟む両側に一対のガイドユニット30を備えている。一対のガイドユニット30は、枠体320の上端部において幅方向Yの両側から排出方向X1の下流側へ延出する一対の支持アーム340に支持されている。図3に示すように、一対のガイドユニット30は、排出ローラー対329よりも排出方向X1の下流側に位置し、排出ローラー対329から排出された用紙束M1をガイド可能な一対のガイド部材31を有している。
図3に示すように、排出ローラー対329からの用紙束M1の排出位置(ニップ位置)と排出トレイ331の載置面331aとの間には、枠体320の一部でありほぼ鉛直な面を有する規制壁320aが設けられている。排出トレイ331へ排出された用紙束M1は、その排出方向X1の上流端(後端)が規制壁320aに当接することで整列される。
図4に示すように、排出トレイ331は、昇降機構332により鉛直方向Zの上方及び下方に移動(すなわち昇降)可能に構成されている。昇降機構332は、鉛直方向Zに所定の距離を離れた一対のプーリー333に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト334と、昇降機構332の動力源となる昇降モーター335(図19参照)とを備えている。昇降モーター335の出力軸は歯車機構(図示せず)を介して一方の駆動用のプーリー333に動力伝達可能に連結されている。排出トレイ331は、枠体320における後処理排紙口323側の一側面に形成されたガイドレール336に案内されて昇降可能に構成されている。排出トレイ331の基端部はタイミングベルト334と連結部材337を介して連結されている。よって、排出トレイ331は、昇降モーター335が正転駆動または逆転駆動されることにより上昇または下降する。
また、後処理排紙口323の近傍には、排出トレイ331に載置された用紙M(先行用紙)の上面位置を検出する紙面検出部353が設けられている。紙面検出部353による検出信号は、制御部13(図1参照)に送られ、排出トレイ331の昇降制御に用いられる。制御部13は、進出位置にあるときの一対のガイド部材31の排出方向X1における上流端である他端31b(先端、図5参照)が、載置面331a及び載置面331aに載置された用紙Mの上面よりも上方に位置するように、排出トレイ331を昇降制御する。具体的には、制御部13は、紙面検出部353が検出した上面位置に基づいて昇降機構332を制御し、載置面331aに積載された用紙Mの上面が、排出ローラー対329のニップ位置よりも鉛直方向Zの下方に所定距離の範囲内に位置するように排出トレイ331を昇降させる。例えば載置面331aに積載された用紙Mの積載高さが高くなって、紙面検出部353が検出する用紙Mの上面高さが閾値を超える度に、制御部13は昇降モーター335を駆動し、載置面331aに積載された用紙Mと動作中のガイド部材31とが干渉しない位置に排出トレイ331を位置制御する。また、制御部13は、搬入検出部351からの検出信号と、排出検出部352からの検出信号とに基づいて、折れ防止装置20が有する一対のガイド部材31の動作を制御する。
次に、図5〜図17を参照して、折れ防止装置20の詳細な構成について説明する。図5、図6に示すように、折れ防止装置20は、左右一対のガイドユニット30を有している。一対のガイドユニット30は、ロッド状のガイド部材31を1つずつ有している。折れ防止装置20は、一対のガイドユニット30が同期して駆動されることにより、一対のガイド部材31が同期して作動される。ガイドユニット30は、排出方向X1に長く延びた板状のガイドフレーム35と、ガイドフレーム35に組み付けられた動力源である電動モーター33と、ガイド部材31を有するガイド可動体32と、ガイド可動体32を電動モーター33の動力により駆動させる駆動機構34とを有している。
図5、図6に示すように、駆動機構34は、本例ではラック・アンド・ピニオン機構である。駆動機構34は、電動モーター33の出力軸に嵌着されたピニオン36と、ピニオン36と噛み合うラック部材37とを備えている。ラック部材37における排出方向X1の下流側端部には、ガイド部材31を保持する保持部の一例としての保持部材38を有するガイド可動体32が回動軸41を中心に回動可能に連結されている。ガイド可動体32が有する回動軸41、第1ガイド軸42および第2ガイド軸43は、ガイドフレーム35に排出方向X1に長く延びるように形成された第1ガイド溝35a、第2ガイド溝35b、第3ガイド溝35cに沿ってそれぞれ案内される。
図5、図6に示すように、折れ防止装置20において、一対のガイド部材31は退避位置に配置された場合、一端31a側、他端31b側のいずれもが、排出方向X1と交差する幅方向Yにおいて、用紙Mの排出領域EA(排出経路)の外側に配置される。折れ防止装置20は、電動モーター33の動力により駆動機構34を介して一対のガイド可動体32を駆動する。一対のガイド部材31は、用紙Mの排出方向X1と交差する幅方向Yの両側から幅方向Yの内側(中央側)に進出した進出位置(図6を参照)と、幅方向Yの端部位置側に退避した退避位置(図5を参照)との間を進退可能に設けられている。
図5に示すように、ガイド部材31が退避位置にある状態で、電動モーター33が正転駆動されると、ピニオン36と噛み合うラック部材37が排出方向X1の上流側(同図における上側)へ移動する。ラック部材37が排出方向X1の上流側へ移動すると、ガイド部材31を保持する保持部材38を含むガイド可動体32が、ガイド部材31の一端31a(図11、図12を参照)側を回動軸41として回動する。一対のガイド部材31は、それぞれの他端31b(先端)を用紙Mの排出領域EAの内側へ互いに接近させるように回動し、図6に示す進出位置に配置される。
このように折れ防止装置20は、一対のガイド部材31を図5に示す退避位置と、図6に示す進出位置との間で回動させる。図5に示すように、一対のガイド部材31は、用紙束M1が排出されないときは、用紙束M1の排出領域EAに対して幅方向Yの両側へ退避した図5に示す退避位置に配置される。一方、一対のガイド部材31は、用紙束M1が排出されるときは、用紙束M1の排出領域EAに対して幅方向Yの内側へ他端31bを移動させ、他端31bが互いに接近する方向へ回動した図6に示す進出位置に配置される。なお、進出位置では、ガイド部材31の他端31bは退避位置に比べ鉛直方向Zの下側へ変位している。
図6に示すように、ガイド部材31を保持して回動する保持部材38は、ガイド部材31が進出位置にある状態において、同図に二点鎖線で示す最大幅の用紙Mをガイド部材31と共にガイドする。また、ガイド部材31を保持して回動する保持部材38を含むガイド可動体32は、ガイド部材31が進出位置に移動する際、図5に示す退避位置から排出方向X1の上流側(同図では上側)に移動して図6に示す進出位置に配置される。また、保持部材38を含むガイド可動体32は、ガイド部材31が退避位置に移動する際、図6に示す進出位置から排出方向X1の下流側に移動して、図5に示す退避位置に配置される。
図7〜図10に示すように、電動モーター33はガイドフレーム35に対して下側に組み付けられ、電動モーター33の出力軸に固定されたピニオン36はガイドフレーム35の上側に突出している。ラック部材37は、排出方向X1に長い長尺な板状を有し、ガイドフレーム35の上側に排出方向X1と平行な方向に移動可能に組み付けられている。ラック部材37は、ピニオン36と対向する側部にピニオン36の歯部36aと噛み合う歯部37a(いずれも図8を参照)を有している。
図7〜図9に示すように、ガイド部材31を有するガイド可動体32は、ガイドフレーム35の下側に配置されている。ガイド可動体32は、その上面から互いに平行に上方へ突出する回動軸41、第1ガイド軸42および第2ガイド軸43を有している。図7に示すように、ガイドフレーム35には排出方向X1と平行な方向に延びるガイド溝35aが形成されている。回動軸41は、ガイド溝35aに挿通されるとともにラック部材37に対して回動可能に連結されている。
また、図7に示すように、ガイドフレーム35には、排出方向X1に対して所定の角度で交差する方向へ斜めに延びる溝経路を有する第2ガイド溝35bおよび第3ガイド溝35cが形成されている。第1ガイド軸42は、第2ガイド溝35bに挿通されている。第2ガイド軸43は、第3ガイド溝35cに挿通されている。第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cは、ほぼ平行に延びており、それぞれの溝経路は排出方向X1の下流端側から上流端側へ向かうに連れて用紙Mの排出領域EA(図5を参照)側(図7では上側)に近づく。
電動モーター33が正転駆動されると、ラック部材37が図5、図7、図8に示すガイド可動体32を退避させる位置から図6に示す進出させる位置に移動する。この過程で、回動軸41がガイド溝35aに沿って排出方向X1の上流側へ移動し、第1ガイド軸42と第2ガイド軸43とが、第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cに沿って排出方向X1に対して斜めに交差する方向にそれぞれ移動する。このため、ガイド可動体32は、図5、図7、図8に示す退避位置から排出方向X1の上流側へ移動しつつ図6、図9に示す進出位置に回動する。
図8に示すように、ガイド可動体32は、ガイド部材31を保持する保持部材38と、支軸46を中心に保持部材38を傾動可能に支持するベース部材45と、ベース部材45に対して回動軸41を中心に所定角度の範囲で相対回動が可能なロック部材47とを備えている。保持部材38は、ベース部材45に対して支軸46を中心に傾動可能に構成されている。保持部材38は、支軸46を中心に傾動することで、図8に示すようにガイド部材31がガイドフレーム35と平行に延びその他端31b(先端)を高位に配置する高位姿勢と、図9に示すようにガイド部材31がガイドフレーム35に対して下方へ所定の角度で傾動しその他端31b(先端)を下降させた低位姿勢とに配置可能となっている。ガイド部材31の他端31b側は、進出位置に配置された場合(図9)、退避位置に配置された場合(図8)よりも、鉛直方向Zにおける下方に配置される。つまり、ガイド部材31の他端31bは、低位ポジションに配置される。
また、図8に示すように、ガイドユニットには、ガイド可動体32の位置を検出する位置センサー39が設けられている。図8に示す例では、位置センサー39は例えばラック部材37の位置を検出することにより、ガイド可動体32の位置を検出する。位置センサー39は、ガイドフレーム35の上面に組み付けられ、ラック部材37に設けられた退避位置検出用の第1被検出部と、進出位置検出用の第2被検出部(いずれも図示略)とを検出する。ガイド可動体32が退避位置から進出位置へ移動する過程で、位置センサー39により進出位置に達したことが検知されると、電動モーター33の正転駆動が停止される。また、ガイド可動体32が進出位置から退避位置へ移動する過程で、位置センサー39により退避位置に達したことが検知されると、電動モーター33の逆転駆動が停止される。
図10、図13に示すように、ガイド可動体32において、保持部材38は、付勢ばね52により鉛直方向Zの下方に付勢されている。このため、保持部材38は、付勢ばね52の付勢力により、支軸46を中心として図8に示す高位姿勢から図9に示す低位姿勢へ傾動する方向に付勢されている。
図8、図10に示すように、ガイドフレーム35の下面における排出方向X1の下流側端部には、図8に示す側面視で略L字状のプレートよりなるリセット部材48が固定されている。ガイド可動体32が退避位置にある状態では、保持部材38の排出方向X1の下流側端部(基端部)が、リセット部材48に挿入し挟持されることで、保持部材38は、ガイド部材31が他端31b(先端)を持ち上げた図8に示す高位姿勢に保持される。
また、図8に示すように、ガイド可動体32は、退避位置から進出位置へ向かう途中でリセット部材48から離れても、進出位置までの移動を終了する少し手前の位置までは、保持部材38を高位姿勢に保持するロック機構50を備えている。ロック機構50は、ガイド可動体32が退避位置から進出位置へ移動する途中で保持部材38の基端部がリセット部材48から外れても、保持部材38が高位姿勢から低位姿勢へ傾動することを付勢ばね52の付勢力に抗して阻止する。ロック機構50は、保持部材38の側面から突出するロックピン51と、ロックピン51と当接する規制部47dとを有している。図8、図13に示すように、ロックピン51と規制部47dとが当接する間は、保持部材38が高位姿勢に保持され、図9、図14に示すように、ロックピン51と規制部47dとの当接が外れると、付勢ばね52の付勢力により保持部材38は、高位姿勢から低位姿勢へ傾動する。
また、図8、図9に示すように、リセット部材48の先端部は、ガイドフレーム35から離間するように拡開しており、この拡開した部分により保持部材38の基端部のリセット部材48への挿入を案内可能となっている。ガイド可動体32が、図9に示す進出位置から図8に示す退避位置へ戻る過程で、保持部材38の基端部がリセット部材48とガイドフレーム35との間に挿入されることにより、保持部材38はリセット部材48に案内されて低位姿勢から高位姿勢へ復帰する。なお、ロック機構50の詳細については後述する。
次に、図11〜図14を参照して、ガイド可動体32の構成について説明する。図11、図12に示すように、ガイド可動体32は、保持部材38と、保持部材38に保持されたロッド状のガイド部材31と、曲げ加工された板金よりなるベース部材45と、曲げ加工された板金よりなるロック部材47等の部品が組み立てられて構成されている。保持部材38は、ベース部材45の一端部に挿通された支軸46を中心にベース部材45に対して傾動可能となっている。また、図12に示すように、ロック部材47は、ベース部材45の上面及び一側面の一部を覆うように組み付けられている。ロック部材47はベース部材45に対して回動軸41を中心に所定範囲内での相対回動が可能となっている。ロック部材47の上面に開口するガイド孔47aには、ベース部材45の上面から垂直に突出する第1ガイド軸42が挿通されている。このため、ロック部材47は、回動軸41を中心に第1ガイド軸42がガイド孔47a内を移動できる範囲内でベース部材45に対して相対回動が可能となっている。また、ロック部材47の一方側への回動は、保持部材38の上面に突出する凸部38bに当たることで規制される。また、ロック部材47の上面における回動軸41から第1ガイド軸42よりも離れた端部には、第2ガイド軸43が垂直に突出している。
保持部材38が支軸46を中心に下方へ傾動することを規制するロック機構50は、保持部材の側部に突出するロックピン51と、ベース部材45に対して回動軸41を中心に所定角度の範囲内で回動可能なロック部材47と、ロックピン51と当接可能な規制部47dなどにより構成される。保持部材38のロックピン51は、ベース部材45が保持部材38の側部を覆う側板部45cに開口するガイド孔45dと、ロック部材47が保持部材38の側部を覆う側板部47bに開口する窓部47cから露出し、窓部47cの下側に突出する規制部47dに当接することにより保持部材38の下方への傾動が不能にロックする。
また、図12〜図14に示すように、付勢ばね52は、ロック部材47の側板部47bの下端部に形成された突部47eと、保持部材38の裏面の所定箇所に形成された突部38eとにその両端部が掛止された状態で張設されている。ガイド部材31を保持する保持部材38は、付勢ばね52の付勢力により、支軸46を中心として高位姿勢から低位姿勢へ傾動する方向である下方へ付勢されている。また、保持部材38は、付勢ばね52の付勢力により、回動軸41を中心として進出位置から退避位置へ回動する方向(退避方向)へ付勢されている。なお、保持部材38を幅方向Yの外側へ回動させる付勢と、保持部材38を下方へ傾動させる付勢とを、別々のばねを用いて行ってもよい。
また、図8、図11に示すように、保持部材38における排出方向X1の上流側の端部には、斜面からなるガイド面38aが形成されている。ガイド面38aは、最大幅の用紙Mなど幅の広い用紙Mの側端部をガイド部材31と共に支持する。ガイド部材31のみで最大幅の用紙Mを支持する構成とした場合、保持部材38を幅方向Yにおいて最大幅の用紙Mの排出領域の外側に配置する必要がある。この場合、ガイドユニット30の幅方向の間隔を長くとる必要があり、折れ防止装置20の大型化に繋がる。そのため、幅方向Yにおいて最大幅の用紙Mの排出領域内に保持部材38の一部を配置し、最大幅の用紙Mの幅方向Yの両側端部を、保持部材38の斜面からなるガイド面38aでガイドすることにより、一対のガイドユニット30の幅方向Yの間隔を相対的に狭くし、折れ防止装置20の大型化を防いでいる。また、ベース部材45の上面に設けられた凸部45aは、ガイドフレーム35の下面と摺動することでガイド可動体32のがたつきを抑えている。
図11、図12に示すように、回動軸41は軸41aを有している。回動軸41は、ロック部材47に形成された軸孔47fに挿通され、ラック部材37に対して軸41aを介して回動可能に連結されている。支軸46は、ベース部材45の軸孔45bおよび保持部材38の軸孔38cに挿通され、その両端部は一対の止め輪53により抜け止めされている。
また、図12、図13に示すように、ベース部材45の側板部45cには、保持部材38のロックピン51と対応する位置に長孔状のガイド孔45dが形成されている。ロックピン51は、ガイド孔45dおよび窓部47cに挿通され、規制部47dに当接する。また、図12に示すように、保持部材38の上面側縁部には、ガイド部材31を保持する凹部38dが形成されている。ガイド部材31はその一端31a側の基端部を凹部38dに嵌め込んでその上側からカバー54が係止されることで、保持部材38に保持されている。
図18は、一対のガイド部材31が進出位置に配置された状態を示す。同図に示すように、ガイド部材31の他端31b側は、進出位置に配置された場合、鉛直方向Zにおいて、排出ローラー対329による排出位置であるニップ位置NPと、先に排出されて排出トレイ331に載置された先行用紙Ms(先行媒体)の上面(先行用紙上面)の位置との間の位置に配置される。また、先行用紙Msがない状態、すなわち排出トレイ331が最上昇位置にあるときは、ガイド部材31の他端31b側は、進出位置に配置された場合、鉛直方向Zにおいて、排出ローラー対329による排出位置と、排出トレイ331の載置面331aの位置との間の位置に配置される。なお、図4に示すように、ガイド部材31の他端31bは退避位置にあるとき鉛直方向Zにおいて排出ローラー対329による排出位置よりも上方に位置する。
排出ローラー対329から排出された図18に示す後続用紙Mkは、進出位置に配置された一対のガイド部材31の上面を滑って排出方向X1の下流側へ移動する。折れ防止装置20は、一対のガイド部材31で、排出ローラー対329から排出された後続用紙Mkを、排出トレイ331上の先行用紙Msの上面に当接する前に支持する。そして、排出ローラー対329から後続用紙Mkの排出方向X1の上流端(後端)が排出された後、一対のガイド部材31を後続用紙Mkの下側から抜き取り、排出トレイ331上に先行して載置された先行用紙Msの上面に落下させることで下折れを抑制する。
ガイド部材31は、用紙Mに対する表面の摩擦係数が低く耐摩擦性を有する材料(例えばポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料)で構成された可撓性を有する部材である。本実施形態においては、ガイド部材31の用紙Mに対する摩擦係数が、排出トレイ331における載置面331aの用紙Mに対する摩擦係数以下に設定されている。
また、ガイド部材31が進出位置にあるとき、ガイド部材31の他端31bは、ガイド部材31が無い状態において、排出される用紙束M1の排出方向X1の下流側となる先端が、先行用紙Msの上面と最初に接触する位置よりも排出方向X1の上流側に位置する。なお、印刷に使用される用紙Mのうち排出時に自重で下方へ湾曲しやすい比較的厚みの薄い用紙種(例えば「普通紙」)を想定し、ガイド部材31の上記位置条件を設定している。本実施形態では、進出位置にあるときの一対のガイド部材31の他端31b(先端)は、規制壁320aよりも排出方向X1に若干下流側に位置する。
また、図18に示すように、ガイド部材31は、進出位置に配置された場合、排出トレイ331の載置面331aよりも傾斜が大きい。排出トレイ331の載置面331aと水平面とのなす角度θ1、すなわち載置面331aの傾斜角度は、載置面331a上に排出された用紙Mが自重で載置面331a上を滑って用紙の排出方向X1の上流端(後端)が規制壁320aに当たって位置決めしうる角度に設定されている。進出位置にあるガイド部材31が用紙Mを受ける面(上面)と水平面とのなす角度θ2は、載置面331aと水平面とのなす角度θ1よりも大きくなるように設定されている。このため、角度θ2は、載置面331a上に載置されている先行用紙Msの上面とのなす角度よりも大きくなる。このように角度θ2にすることで、ガイド部材31が受けた後続用紙Mkは自重によりガイド部材31の上面を排出方向X1の上流側へ滑って後続用紙Mkの後端が規制壁320aに当たって後続用紙Mkを排出方向X1に位置決めすることが可能になる。また、本実施形態では、ガイド部材31の排出方向X1の上流側に向かう延在方向が、載置面331aと規制壁320aとの交差する位置を指向している。なお、進出位置にあるガイド部材31の上面と水平面とのなす角度θ2は、載置面331aと水平面とのなす角度θ1以上であればよい。
次に、図15〜図17を参照して、ガイド可動体32の動作について説明する。図15〜図17に示すように、回動軸41が挿通された第1ガイド溝35aは、排出方向X1と平行に直線状に延びている。回動軸41から離れた2つのガイド軸42,43がそれぞれ挿通された第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cは、排出方向X1に対して所定の角度で交差する方向に互いに平行に延びている。第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cは、排出方向X1の上流側の部分で屈曲して排出方向X1と平行に延びた終端溝部35d,35eを有している。第1ガイド溝35aと第2ガイド溝35bは、それぞれ溝幅が回動軸41と第1ガイド軸42の軸径よりも若干大きい。また、第3ガイド溝35cは、排出方向X1と交差して斜めに延びる部分の溝幅が、第2ガイド軸43の軸径よりも十分長く(例えば2〜3倍)、その溝幅の両側にガイド辺35fとガイド辺35gとを有している。
図15に示すように、ガイド部材31が退避位置に配置された状態では、ガイド可動体32は、排出方向X1の下流側端部に配置されている。この退避位置では、回動軸41が第1ガイド溝35aの排出方向X1の下流側端部に位置し、第1ガイド軸42と第2ガイド軸43とがそれぞれ第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cの排出方向X1の下流側端部に位置している。なお、ガイド部材31が退避位置にあるときは、位置センサー39がラック部材37の第1被検出部を検知している。
電動モーター33が正転駆動されると、ガイド可動体32は、図15に示す退避位置から図17に示す進出位置へ排出方向X1の上流側へ向かって移動する。この移動過程において、図16に示すように、回動軸41が第1ガイド溝35aに沿って排出方向X1の上流側へ移動するとともに、第1ガイド軸42と第2ガイド軸43とがそれぞれ第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cに沿って排出方向X1と所定角度で交差する斜めの方向に沿って上流側へ移動する。よって、この移動過程で、ガイド可動体32は、幅方向Yにおいて排出領域EA(図5を参照)の内側へ向かって回動する。この移動過程では、図13に示すようにロック機構50によるロックが維持されているため、保持部材38は高位姿勢を維持する。このため、ガイド部材31は、その他端31bが高位ポジションに維持されたまま進出の終了位置まで移動する。なお、この移動過程では、第2ガイド軸43は、第3ガイド溝35cの内側のガイド辺35fに沿って移動する。
図17に示すように、第1ガイド軸42が終端溝部35dに至るタイミングよりも、第2ガイド軸43が終端溝部35eに至るタイミングの方が少し遅れ、この遅れの過程で第1ガイド軸42と第2ガイド軸43との距離が広がる。これにより、ロック部材47がベース部材45に対して回動軸41を中心に幅方向Yの外側へ相対回動する。この相対回動により、図14に示すように、ベース部材45の側板部45cに対して、ロック部材47の側板部47bが離間し、ロックピン51が規制部47dから外れる。こうしてロック機構50のロックが解除されると、保持部材38は付勢ばねの付勢力により支軸46を中心に下側へ傾動し、高位姿勢から低位姿勢に姿勢を変化させる。このため、ガイド部材31は進出の終了位置で下降し、その他端31bは低位ポジションに配置される。ガイド部材31の他端31bが進出の終了位置で下降し終わると、位置センサー39(図8を参照)がラック部材37の第2被検出部を検知し、ガイド部材31の進出位置への移動の終了が検知される。これにより電動モーター33の正転駆動が停止される。
一方、ガイド部材31が進出位置にある図17に示す状態で、電動モーター33が逆転駆動されると、ガイド可動体32が進出位置から排出方向X1の下流側端部に向かって移動する。このとき、回動軸41が第1ガイド溝35aに沿って排出方向X1の下流側へ向かって移動し、第1ガイド軸42および第2ガイド軸43がそれぞれ第2ガイド溝35bと第3ガイド溝35cに沿って排出方向X1の下流側へ向かって移動する。このため、ガイド可動体32は、幅方向Yにおいて排出領域EAの外側に向かって回動する。この移動過程では、保持部材38が付勢ばね52の付勢力により低位姿勢にあることからその側面から突出するロックピン51がロック部材47の側板部47bの下部に当たり、ロックが解除された状態に維持される。このため、保持部材38は低位姿勢に維持される。なお、この移動過程では、第2ガイド軸43は、第3ガイド溝35cの外側のガイド辺35gに沿って移動する。
そして、ガイド可動体32が排出方向X1の下流端位置に到達する直前で、保持部材38の基端部がリセット部材48に案内されつつ挿入し、この挿入過程で保持部材38は支軸46を中心に上側へ傾動し、図14に示す低位姿勢から図13に示す高位姿勢に姿勢を変化させる。この結果、ガイド部材31の退避の終了位置で他端31bが低位ポジションから高位ポジションへ上昇する。この保持部材38の上側への傾動により、図13に示すように保持部材38の側面から突出するロックピン51がロック部材47の側板部47bに開口する窓部47cに挿入され、規制部47dに当接することでロックされる。
次に、図19を参照して、後処理装置300における折れ防止装置20の制御に関する構成部分の電気的構成について説明する。図19に示すように、制御部13には、入力系として、搬入検出部351、排出検出部352、紙面検出部353及び位置センサー39が電気的に接続されている。また、制御部13には、出力系として、モーター駆動回路61を介して電動モーター33が電気的に接続されるとともに、モーター駆動回路62を介して昇降モーター335が電気的に接続されている。制御部13は、コンピューター13Cを備えている。コンピューター13Cの記憶部13Mには、図20にフローチャートで示される折れ防止制御用のプログラムが記憶されている。コンピューター13Cは、記憶部13Mに記憶されたプログラムを実行することにより、折れ防止装置20を駆動制御する。
制御部13は、搬入検出部351が搬入された用紙Mを検知すると、電動モーター33を正転駆動させてガイド部材31を退避位置から進出位置へ回動させる。このため、用紙束M1が排出ローラー対329から排出される前にガイド部材31が退避位置から進出位置へ回動する。また、制御部13は、排出検出部352が用紙束M1を検知すると、その検知時点から計数を開始し、その計数が設定値に達すると、電動モーター33を逆転駆動させてガイド部材31を進出位置から退避位置へ回動させる。このため、用紙束M1が排出ローラー対329から排出されてその後端部が先行用紙Msの上面に接触した状態でガイド部材31が進出位置から退避位置へ回動する。
なお、用紙束M1が排出ローラー対329から排出される前にガイド部材31を退避位置から進出位置へ移動させることができれば、他の検出部(センサー)の検知信号を進出動作開始のトリガーとしてもよい。また、用紙束M1が排出ローラー対329から排出された後にガイド部材31を進出位置から退避位置へ移動させることができれば、他の検出部の検出信号を退避動作開始のトリガーとしてもよい。この場合、進出動作開始のトリガーと退避動作開始のトリガーとで、使用されるセンサーが異なってもよいし同じでもよい。
次に、印刷装置10及び下折れ防止装置20の作用について説明する。印刷装置10の電源が投入されると、制御部13は、図20にフローチャートで示される折れ防止制御を実行する。詳しくは、画像形成装置100で印刷が開始される。用紙Mが搬送されてその搬送経路の途中の印刷位置で記録ヘッドにより印刷が施され、その印刷後の用紙Mは排出ローラーにより排出経路に沿って搬送され、中間搬送装置200に繋がる排出口を通って画像形成装置100から中間搬送装置200へ排出される。このとき用紙Mは印刷面を上面とする状態で排出される。中間搬送装置200では、用紙Mは表裏反転され、その反転された用紙Mが後処理装置300へ排出される。後処理装置300へは用紙Mが印刷面を下面とする状態で搬入される。後処理装置300に搬入された用紙Mは搬入検出部351により検知される。後処理装置300において後処理された用紙束M1は排出ローラー対329から排出される。排出ローラー対329から排出される際、用紙束M1の先端が排出検出部352により検出される。
以下、制御部13のコンピューター13Cが行う折れ防止制御について図20に示すフローチャートおよび図21〜図26等を参照して説明する。また、図21〜図26では、先に排出されて排出トレイ331の載置面331aに積載された用紙束M1を先行用紙Ms(先行媒体の一例)とし、先行用紙Msに続いて後から排出される用紙束M1を後続用紙Mk(後続媒体の一例)としている。なお、制御部11が印刷装置10を統括制御する構成である場合は、制御部11のコンピューターが以下の折れ防止制御を行ってもよい。
まずステップS11では、コンピューター13Cは、用紙有り信号を受信したか否かを判断する。用紙有り信号を受信すればステップS12に進み、用紙有り信号を受信していなければ、用紙有り信号を受信するまで待機する。ここで、用紙有り信号とは、折れ防止装置20の動作を開始するトリガーとなる信号であり、第1検出部が用紙Mを検出した信号である。用紙有り信号は、本例では搬入検出部351(第1検出部)が用紙Mを検出して出力する検出信号である。
ステップS12では、コンピューター13Cは、一対のガイド部材を退避位置から進出位置へ移動させる。詳しくは、コンピューター13Cは、電動モーター33を正転駆動させ、一対のガイド部材31を退避位置から進出位置へ移動させる。電動モーター33が正転駆動されると、ラック部材37が排出方向X1の上流側へ移動する。この移動に伴い、回動軸41、第1ガイド軸42および第2ガイド軸43が、ガイド溝35a,35b,35cに沿って排出方向X1の上流側へ移動する、これにより、ガイド可動体32は排出方向X1の上流側へ向かって移動しつつ回動軸41を中心に他端31bが排出領域EAの内側へ向かう方向に回動する。
この一対のガイド可動体32の回動によって、一対のガイド部材31は、排出方向X1の下流側の一端31a側を回動軸41として、退避位置から進出位置へ回動する。このとき、図21、図22に示すように、ガイド部材31が退避位置から進出位置に移動する際、ガイド部材31の他端31b側は、退避位置に位置するときの高さ位置を維持して用紙Mの排出領域EA(排出経路)の内側に進出する。このとき、一対の電動モーター33が同期して駆動されるため、一対のガイド部材31は退避位置から他端31bを幅方向Yに排出領域EAの中央側へ向かって互いに接近させるように進出方向の終了位置まで回動する。
そして、ガイド部材31の他端31bは、図22に矢印で示すように進出の終点位置で下降し、図23に示すようにガイド部材31は進出位置に配置される。詳しくは、他端31bの進出の終点位置でロック機構50のロックが解除され、保持部材38が付勢ばね52の付勢力により下方へ傾動することで、ガイド部材31の他端31bが下降する。よって、ガイド部材31の他端31bは、進出位置に配置された場合、退避位置に配置された場合よりも、鉛直方向Zにおける下方に配置される。また、ガイド部材31の他端31bは、進出位置に配置された場合、鉛直方向Zにおいて、排出ローラー対329による排出位置と、先に排出されて排出トレイ331に載置された用紙束M1(先行用紙Ms)の上面の位置との間の中間位置に配置される。さらに、ガイド部材31が、進出位置に配置された場合、排出トレイ331の載置面331aよりも傾斜が大きい(図18)。但し、進出位置に配置されたガイド部材31は、排出トレイ331の載置面331aと同じ傾斜でもよい。こうして用紙束M1が排出ローラー対329から排出される前に、予め一対のガイド部材31が進出位置に配置される(図6、図18、図23)。
また、この進出過程では、ラック部材37が排出方向X1の上流側へ移動することにより、一対のガイド部材31の一端31a側の回動軸41がラック部材37と共に排出方向X1の上流側へ移動しつつ回動軸41を中心に回動するので、一対のガイド部材31の他端31bは、規制壁320aにほぼ沿うように幅方向Yに移動する。この結果、ガイド部材31が進出位置にあるとき、ガイド部材31の他端31bは、ガイド部材31が無い状態において、排出される用紙Mの排出方向X1の下流側となる先端が、載置面331a又は先行用紙Msの上面と最初に接触する位置よりも排出方向X1の上流側に位置する。こうしてガイド部材31は、用紙束M1の先端が排出ローラー対329から排出される前に進出位置に進出する(図23)。
そして、図24に示すように、一対のガイド部材31が進出位置に配置された後、後続用紙Mkが排出ローラー対329から排出される。排出された後続用紙Mkは、進出位置に配置された一対のガイド部材31の上面に支持されながらその上面を摺動して排出方向X1へ斜め上方に向かって移動する。このとき、一対のガイド部材31の用紙Mに対する摩擦係数は、載置面331aの用紙Mに対する摩擦係数と同じかそれよりも小さいので、排出された後続用紙Mkは一対のガイド部材31の上面に沿ってスムーズに移動する。こうして後続用紙Mkは、排出過程において一対のガイド部材31により先行用紙Msよりも上方位置で支持され、載置面331a上の先行用紙Msの上面に接触しない。そして、後続用紙Mkの上流端(後端)が排出ローラー対329から排出されると、後続用紙Mkの排出方向X1の上流端部(後端部)が、載置面331a上の先行用紙Msの上面に接触する。また、後続用紙Mkの後端が排出ローラー対329から排出された後、後続用紙Mkは一対のガイド部材31の傾斜により自重でガイド部材31の上面に沿って排出方向X1の上流側へ滑り落ちる。その結果、後続用紙Mkの後端が規制壁320aに当たり、後続用紙Mkはその後端を基準に排出方向X1に位置決めされる。また、一対のガイド部材31は、幅方向Yにおいて後続用紙Mkの幅中心に対して対称な例えば「ハの字」状に配置されているので、後続用紙Mkは一対のガイド部材31から幅中心の両側でほぼ均等な摺動抵抗を受ける。この点から、後続用紙Mkがガイド部材31から受ける摺動抵抗は相対的に小さいながらも、幅方向Yの位置ずれが抑制される。
図20において次のステップS13では、コンピューター13Cは、排出完了信号を受信したか否かを判断する。排出完了信号を受信すればステップS14に進み、排出完了信号を受信していなければ、排出完了信号を受信するまで待機する。ここで、排出完了信号とは、ガイド部材31を進出位置から退避位置へ移動させる退避動作を開始するトリガーとなる信号であり、第2検出部が用紙Mの排出方向X1の上流端(後端)を検出した信号である。本例では、排出完了信号は、排出検出部352(第2検出部)が用紙Mの後端を検出して出力する検出信号である。
ステップS14では、コンピューター13Cは、一対のガイド部材31を進出位置から退避位置へ戻す。詳しくは、コンピューター13Cは、電動モーター33を逆転駆動させ、一対のガイド部材31を進出位置から退避位置へ移動させる。コンピューター13Cは、排出検出部352が用紙束M1を検知してから計数を開始し、その計数値が設定値に達すると、電動モーター33を逆転駆動させる。このため、図25に示すように、後続用紙Mkの後端が排出ローラー対329から排出された後に一対のガイド部材31は退避位置に退避する(図25、図26)。
ガイド部材31は、進出位置から退避位置へ退避を開始する際、排出ローラー対329から排出された後続用紙Mkの排出方向X1における上流側端部(後端部)は、先行用紙Msの上面に接触している。よって、用紙束M1の排出方向X1における上流側端部が、先行用紙Msの上面に接触した箇所で接触抵抗を受けた状態で、一対のガイド部材31は、排出方向X1の下流側の一端31a側を回動軸41として進出位置から退避位置へ移動する。この一対のガイド部材31が退避する際、ラック部材37が排出方向X1の下流側へ移動し、この移動に伴い、回動軸41、第1ガイド軸42および第2ガイド軸43が、ガイド溝35a,35b,35cに沿って排出方向X1の下流側へ移動する。この結果、ガイド可動体32は排出方向X1の下流側へ移動しつつ回動軸41を中心にガイド部材31の他端31bが排出領域EAの幅方向外側へ向かう向きに回動する。また、図25に示すように、ガイド可動体32は低位姿勢を維持したまま進出位置から退避位置まで回動する。つまり、ガイド部材31が進出位置から退避位置に移動する際、ガイド部材31の他端31bは、進出位置に位置するときの高さ位置を維持して排出領域EAの幅方向外側へ退避する。この結果、一対のガイド部材31を後続用紙Mkの下側から、後続用紙Mkを浮き上がらせることなく、排出領域EAの幅方向外側へ抜き取ることができる。このため、例えば浮き上がった後続用紙Mkが落下する際の空気抵抗で幅方向Yに不特定な位置に落下し、これが原因で載置面331aに積載された用紙束M1の整列性が損なわれることが回避される。
一対のガイド部材31が退避の終了位置まで回動し終わると、保持部材38の基端部がリセット部材48に挿入され、保持部材38が低位姿勢から高位姿勢へ傾動する。この結果、図26に示すように、ガイド部材31の他端31bが退避の終点位置で同図に矢印に示すように上昇する。これにより一対のガイド部材31は元の退避位置に配置される(図21、図5、図8を参照)。
そして、ガイド部材31は退避位置に配置された場合、一端31a側と他端31b側のいずれもが、幅方向Yにおいて用紙Mの排出経路の外側に配置される。ガイド部材31が退避の終点位置でその他端31bを上昇させるときは、一端31a側と他端31b側のいずれもが、幅方向Yにおいて排出領域EAの外側に位置する。このため、退避の終了位置で上昇するガイド部材31は、後続用紙Mkと干渉しないので、載置面331a上の用紙束M1の整列性を損なわせることがない。その結果、排出トレイ331の載置面331a上に積載される用紙束M1の整列性がよくなる。
また、一対のガイド部材31が進出位置の高さを維持したまま退避位置へ移動した後、後続用紙Mkは排出トレイ331上の先行用紙Msの上面に落下するが、排出方向X1の上流端(後端)が規制壁320aに当たることで、後続用紙Mkの後端が揃えられる。
また、最大幅の用紙Mの用紙束M1が排出されるときは、ガイド部材31が進出位置にあるときの保持部材38もそのガイド面38aでガイド部材31と共に後続用紙Mkをガイドする。このため、折れ防止装置20を幅方向Yの全長を比較的短く抑える小型化できる。例えば、最大幅の用紙束M1の幅方向Yの両端部も一対のガイド部材31によりガイドさせようとすると、一対のガイドユニット30を、排出領域EAを挟む両側に配置する場合、両者の幅方向Yの間隔を相対的に広く確保する必要がある。これに対して、最大幅の用紙束M1は、保持部材38のガイド面38aがガイドするので、一対のガイドユニット30の幅方向Yの間隔を比較的狭して折れ防止装置20の幅方向Yに小型化できる。
また、図20におけるステップS15では、コンピューター13Cは、積載用紙の上面高さは適切であるか否かを判断する。つまり、コンピューター13Cは、排出トレイ331の載置面331aに積載された先行用紙Msの上面高さが、進出位置に配置されたガイド部材31よりも下方に位置し、かつ先行用紙Msの上面がガイド部材から離れ過ぎない程度に排出ローラー対329の排出位置から所定距離の範囲内内で下方に位置する適切な位置にあるか否かを判断する。積載用紙の上面高さが適切でなければステップS16に進み、積載用紙の上面高さが適切であればステップS17に進む。
ステップS16では、コンピューター13Cは、排出トレイを移動させる。詳しくは、コンピューター13Cは、昇降モーター335を駆動し、排出トレイを鉛直方向Zに所定量だけ移動させ、排出ローラー対329の排出位置からの積載用紙の上面までの距離が所定距離の範囲内の例えば下限位置となるまで、排出トレイを鉛直方向Zの所定高さに移動させる。通常、印刷中においては、排出トレイ331上の積載高さは用紙束M1の排出が進むに連れて徐々に高くなり、その積載高さが適切でなくなると、コンピューター13Cは昇降モーター335を正転駆動させ、排出トレイ331を適切な高さ位置まで下降させる。また、例えば印刷中にユーザーが排出トレイ331から用紙束M1を一部または全部取り除いた場合は、積載用紙の上面高さが適切な高さとなるように、昇降モーター335を逆転駆動させ、排出トレイ331を積載用紙の上面高さが適切であると判断される高さ位置まで上昇させる。
そして、ステップS17において、コンピューター13Cは、印刷終了したか否かを判断する。つまり、コンピューター13Cは、搬入検出部351が後続の用紙Mを検出しているか否かを判断することにより、印刷終了であるか否かを判断する。印刷終了でなければ、つまりまだ排出を完了していない用紙Mがあれば、ステップS11に戻り、ステップS11〜S17の処理をステップS17において印刷終了と判断するまで繰り返す。
こうして搬入検出部351(第1検出部)が検知した後続の用紙Mの排出が終わっていなければ、制御部13は電動モーター33を正転駆動し、一対のガイド部材31を退避位置から進出位置へ回動させる。ガイド部材31の他端31bが、進出の終点位置で下降する。よって、一対のガイド部材31を進出位置に配置した状態で、次の後続用紙Mkが排出ローラー対から排出されるのを待つ。以下、同様に、図21〜図26に示される動作を繰り返し、排出ローラー対329から排出される過程で後続用紙Mkを、一対のガイド部材31により支持し、その排出過程で先行用紙Msの上面に摺動することが回避される。この結果、用紙束M1が先行の用紙束M1の上面に載置される過程で、後続の用紙束M1の下折れが抑制される。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)媒体排出装置の一例である後処理装置300は、用紙束M1を排出する排出ローラー対329と、排出ローラー対329の鉛直方向Zにおける下方に配置され、排出された用紙束M1が載置される載置面331aを有する排出トレイ331とを備える。後処理装置300は、用紙束M1の排出方向X1と交差する幅方向Yの両側から幅方向Yの内側に進出した進出位置と、幅方向Yの端部位置側に退避した退避位置との間を進退可能に設けられたガイド部材31を備える。ガイド部材31の幅方向Yの内側に進出する部分である排出方向X1の上流側端部は、進出位置に配置された場合、鉛直方向Zにおいて、排出ローラー対329による排出位置と、排出トレイ331の載置面331aの位置との間の位置に配置される。よって、排出ローラー対329から排出される過程で用紙束M1は、幅方向Yの両側の退避位置から幅方向Yの内側の進出位置へ進出したガイド部材31によって一時的に支持されながら排出される。その後、用紙束M1はガイド部材31が退避位置に退避することで、載置面331aまたは載置面331aに先に載置された先行用紙Msの上面に載置される。このため、排出された用紙束M1の折れを低減できる。
(2)ガイド部材31は、排出方向X1の下流側の一端側を回動軸41として、他端31b側が、幅方向Yの中央側に進出した進出位置と、幅方向Yの端部位置側に退避した退避位置との間を進退可能である。ガイド部材31は、一端31a側を回動軸41として他端31b側が進出位置と退避位置との間を進退可能な回動式であるので、ガイド部材31として例えば長尺状の部材を用いることができる。よって、折れ防止装置20を幅方向Yに小型化でき、ひいては後処理装置300を幅方向に小型化できる。
(3)ガイド部材31の他端31b側は、進出位置に配置された場合、退避位置に配置された場合よりも、鉛直方向Zにおける下方に配置される。よって、進出位置に配置されたガイド部材31は他端側を低くする傾斜した姿勢をとるので、ガイド部材31によって用紙束M1は下流端(先端)が上流端(後端)よりも高くなる姿勢にガイドされる。また、ガイド部材の傾斜によって、排出された後の媒体の勢いが抑えられる。このため、ガイド部材31が退避位置に退避し、用紙束M1が先行用紙Msの上面に載置されるときに排出方向X1の下流側への位置ずれが起きにくい。よって、排出トレイ331の載置面331aに用紙束M1を整列よく積載することができる。
(4)ガイド部材31が退避位置から進出位置に移動する際、ガイド部材31の他端31b側は、退避位置に位置するときの高さ位置を維持して用紙束M1の排出領域EAの内側に進出し、進出の終点位置で下降する。よって、ガイド部材31が退避位置から進出位置に移動するときに誤って先行用紙Msと接触することを回避し易い。特に本実施形態では、ガイド部材31の他端31bは退避位置にあるとき、鉛直方向Zにおいて排出ローラー対329による排出位置よりも上方に位置するので、ガイド部材31が退避位置から進出位置へ移動するときに先行用紙Msと接触することを一層回避し易い。この結果、ガイド部材31が誤って先行用紙Msと接触し、先行用紙Msの整列性を損なったり、あるいは先行用紙Msを傷付けたりする頻度を低減できる。
(5)ガイド部材31が進出位置から退避位置に移動する際、ガイド部材31の他端31b側は、進出位置に位置するときの高さ位置を維持して用紙束M1の排出領域EAの外側に退避し、退避の終点位置で上昇する。よって、ガイド部材31が進出位置から退避位置へ移動する過程で、それまで支持していた用紙束M1を浮き上がらせることを抑えることができる。よって、用紙束M1を載置面331a上に整列よく積載できる。
(6)載置面331aと進出位置に配置されたガイド部材31とは、排出方向X1の下流側よりも上流側を低くする状態に傾斜している。ガイド部材31は、進出位置に配置された場合、載置面331aよりも傾斜が大きい。よって、用紙束M1を排出方向X1の上流側に寄せて先行用紙Msの上面に載置し易くなる。この結果、用紙束M1を排出トレイ331の載置面331a上に整列よく積載することができる。
(7)ガイド部材31の摩擦係数が排出トレイ331の載置面331aの摩擦係数以下に設定されている。よって、排出される過程で用紙束M1はガイド部材31の上面を、載置面331aと同様又はそれ以上に滑り易い。このため、排出される用紙束M1はガイド部材31の上面を引っ掛かりなく滑る。よって、引っ掛かり等に起因する用紙束M1の位置ずれを回避し易い。この点から、用紙束M1を排出トレイ331の載置面331a上に整列よく積載することができる。
(8)ガイド部材31は、排出ローラー対329から排出される用紙束M1の排出方向X1における下流側端部(先端)が、先に排出されて排出トレイ331に載置された先行用紙Msの上面に接触するまでの間に進出位置に進出する。よって、用紙束M1の先端が先行用紙Msの上面と当接しつつ排出方向X1の下流側へ押し出されることで発生する折れをより効果的に抑制できる。また、ガイド部材31は、用紙束M1の排出方向X1における上流側端部(後端)が排出ローラー対329から排出された後に退避位置に退避する。このため、ガイド部材31は、少なくとも排出ローラー対329から用紙束M1が排出される力を受けている間は進出位置で用紙束M1を支持し、排出ローラー対329から用紙束M1が排出される力を受けなくなった後に進出位置から退避する。よって、用紙束M1の先端が先行用紙Msの上面と当接しつつ用紙束M1が排出方向X1の下流側へ押し出されることで発生する折れをより効果的に抑制できる。
(9)特に、本実施形態では、ガイド部材31は、用紙束M1の排出方向X1における下流側端部(先端)が排出ローラー対329から排出される前に進出位置に進出する。よって、進出位置に進出する途中のガイド部材31が、排出される用紙束M1と接触することを抑制できる。このため、移動中のガイド部材31が、排出される用紙束M1と接触することに起因する用紙束M1の位置ずれも抑制できる。
(10)ガイド部材31は、進出位置から退避位置へ退避を開始する際、排出ローラー対329から排出された用紙束M1の排出方向X1における上流側端部(後端)は、先に排出されて排出トレイ331に載置された用紙束M1、つまり先行用紙Msの上面に接触している。このため、用紙束M1の上流側端部が先行用紙Msの上面に接触して接触抵抗を受けた状態の下で、ガイド部材31が進出位置から退避を開始する。この結果、ガイド部材31が退避するときにその上面に支持された用紙束M1の位置ずれが発生しにくい。よって、排出トレイ331の載置面331aに用紙束M1を整列よく積載することができる。
(11)ガイド部材31は退避位置に配置された場合、一端31a側、他端31b側のいずれもが、幅方向Yにおいて、用紙束M1の排出領域EAの外側に配置される。例えば、ガイド部材31を退避位置に退避させたときにその一部が排出領域EAの内側に位置すると、用紙束M1がガイド部材31の一部に引っ掛かり先行用紙Msの上面に落ちたときに位置ずれし易い。これに対して、ガイド部材31は、一端31a側、他端31b側のいずれもが、用紙束M1の排出領域EAの外側まで退避するので、ガイド部材31による支持が外れて用紙束M1が先行用紙Msの上面に落ちたときに位置ずれしにくい。
(12)ガイド部材31が進出位置にあるとき、ガイド部材31の他端31b側は、ガイド部材31が無い状態において、排出される用紙束M1の排出方向X1の下流側となる先端が、先に排出されて排出トレイ331に載置された用紙束M1(先行用紙Ms)の上面と最初に接触する位置よりも排出方向X1の上流側に位置する。よって、排出される用紙束M1の先端を、先行用紙Msの上面と接触させることなく、ガイド部材31によって用紙束M1を支持できる。よって、用紙束M1が先行用紙Msの上面と接触するときに発生し易い折れを一層効果的に抑制することができる。
(13)ガイド部材31が進出位置にあるとき、最大幅などの幅広の用紙束M1については、ガイド部材31と共に保持部材38のガイド面38aがガイドする。よって、ガイド部材31を保持して回動する保持部材38が、ガイド部材31と共に用紙束M1をガイドする構成であるので、保持部材38を用紙束M1の排出領域EAに近い内側寄りに配置できる。よって、ガイド部材31及び保持部材38を含む折れ防止装置20を設けた割に、後処理装置300を幅方向Yに小型化できる。
(14)ガイド部材31を保持して回動する保持部材38は、ガイド部材31が進出位置に移動する際、排出方向X1の上流側に移動し、ガイド部材31が退避位置に移動する際、排出方向X1の下流側に移動する。つまり、保持部材38の回動と、保持部材38の排出方向X1に平行な直線運動との組み合わせにより、ガイド部材31は進出および退避する。ガイド部材31の他端31bが下流側へ向かう円弧を描くときは保持部材38が上流側へ移動し、ガイド部材31の他端31bが上流側へ変位する円弧を描くときは保持部材38が下流側へ移動する。よって、ガイド部材31が進出位置から退避位置へ移動する過程でガイド部材31の他端31bが排出方向X1に位置変化する量を相対的に小さくすることができる。よって、ガイド部材31が進出位置から退避する過程で用紙束M1に付与される排出方向X1と逆向きの力を相対的に小さく抑えることができる。また、回動式である場合、ガイド部材31の他端31bが円弧軌跡を描くため、ガイド部材31を進出位置に配置したときに他端31bを排出方向X1の上流寄りの位置に配置しにくい。これに対して、本実施形態では、保持部材38の回動運動と排出方向X1に平行な直線運動との組み合わせなので、ガイド部材31を進出位置に配置したときに他端31bを上流寄りの位置に配置できる。よって、排出される際に先端側が下方へ湾曲し易い薄手の用紙種であっても、ガイド部材31によって用紙束M1の先端を先行用紙Msの上面に接触させることなくより確実にガイドできるので、下折れを抑制できる。
(第2実施形態)
次に、図27を参照して、第2実施形態における媒体排出装置を説明する。この第2実施形態では、第1実施形態と同様の折れ防止装置20を画像形成装置に適用している。折れ防止装置20は、印刷後の単票の用紙Mを載置部の一例としての載置台156に排出される過程でガイドして用紙Mの下折れを防止する。なお、図27に示す画像形成装置400は、第1実施形態における画像形成装置100と同様の構成であり、折れ防止装置20が備えられた点のみ異なる。
図27に示すように、媒体排出装置の一例としての画像形成装置400には、印刷後の用紙Mが排出される載置台156に対して鉛直方向Zの上方位置に、第1実施形態と同様の折れ防止装置20が配設されている。折れ防止装置20が有する一対のガイド部材31は、図27に示す退避位置(図5も参照)と進出位置(図6を参照)との間を移動する。折れ防止装置20は、排出口155に設けられた排出部の一例としての排出ローラー対131A(図2を参照)から排出された用紙Mを、載置台156の載置面156a又は先に排出されて載置台156に載置された用紙M(先行用紙)の上面に落下する前に、予め退避位置から進出位置へ配置した一対のガイド部材31によりガイドする。
また、折れ防止装置20を構成するガイド部材31、排出ローラー対131Aおよび載置面156aの間の位置条件は、第1実施形態におけるガイド部材31、排出ローラー対329および載置面331aの間の位置条件と同様である。例えば、ガイド部材31の排出方向X1の上流側端部である他端31bは、ガイド部材31が進出位置に配置された場合、鉛直方向Zにおいて、排出ローラー対131Aによる排出位置(ニップ位置)と、先に排出されて載置台156に載置された用紙Mの上面である先行用紙上面の位置との間の位置に配置される。また、第1実施形態と同様に、ガイド部材31の摩擦係数は載置面156aの摩擦係数以下であり、進出位置に配置された際のガイド部材31の角度θ2が載置面156aの角度θ1よりも大きい。
また、画像形成装置400における折れ防止制御に係る電気的構成は、図19における制御部13が制御部11に替わり、搬入検出部351と排出検出部352が、画像形成装置400において搬送経路上で用紙Mを検出する第1検出部と第2検出部とに替わる。また、載置台156を鉛直方向Zに昇降可能な排出トレイに替えてもよい。この場合、制御部11が第1実施形態と同様の紙面検出部の検出信号に基づいて昇降モーター(図示せず)を駆動制御し、排出トレイの昇降制御を行う。制御部11のコンピューター(図示略)は、図20に示される折れ防止制御ルーチンを実行する。制御部11のコンピューターは、第1検出部が用紙Mを検出した検出信号をトリガーにして電動モーター33を正転駆動させ、第2検出部が用紙Mを検出した検出信号に基づいて印刷後の用紙Mの後端が排出ローラー対131Aから排出された後に電動モーター33を逆転駆動させる。
一対のガイド部材31は、用紙Mの先端が排出ローラー対131Aから排出される前に進出位置に配置され、排出ローラー対131Aから用紙Mの後端が排出された後に進出位置から退避位置への退避を開始する。この実施形態によれば、画像形成装置400において、第1実施形態の効果(1)〜(14)と同種の効果を得ることができる。よって、画像形成装置400が印刷した単票の用紙Mが排出される際の下折れを抑制できる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・図28に示すように、ガイド部材31にローラー70を設けてもよい。同図に示す例では、複数のローラーを設けているが、ローラー70は1つでもよい。このように、ガイド部材に回動部材が配置されてもよいし、ガイド部材そのものが回動してもよい。例えば、円柱状のガイド部材31を保持部材38に対して軸回転可能に設けてもよい。このようにガイド部材31の他端側には、ガイド部材31の延在方向を回転軸として回転可能な部分がある構成とする。この構成によれば、ガイド部材31の回転可能な部分(例えばローラー70)の少なくとも一部で用紙束M1又は用紙M等の媒体が支持されることで、ガイド部材31と媒体との摩擦を低減できる。例えばガイド部材31が退避する過程でガイド部材31と媒体との摩擦による引っ掛かりに起因して媒体の整列性が損なわれることを抑制できる。よって、排出トレイ331及び載置部156における媒体の整列性を高めることができる。なお、ガイド部材31の他端31b側の部分に複数の球体を外周面から一部露出した状態かつ回転可能に埋め込んで、ガイド部材31と媒体との摩擦抵抗を小さくしてもよい。
・後処理装置300に装備された折れ防止装置20は、画像形成装置100内で印刷済みの用紙Mを検知するセンサー(検出部)からの検出信号に基づいて駆動制御されてもよい。例えば、制御部11は、画像形成装置100内のセンサーからの用紙検出の旨の検出信号に基づき、後処理装置300の制御部13へ進出指示信号および退避指示信号を送信する。制御部13は、受信した進出指示信号に基づいて電動モーター33を正転駆動させ、受信した退避指示信号に基づいて電動モーター33を逆転駆動させる。なお、折れ防止装置20の駆動開始タイミングや、駆動終了タイミングを決める信号の送信元は、画像形成装置100内の他の検出部(センサー)、中間搬送装置200の検出部(例えば検出部285)(センサー)、後処理装置300の他の検出部(センサー)のうち少なくとも1つを使用することができる。また、駆動開始タイミングを決める第1検出部と駆動終了タイミングを決める第2検出部とは、別々のセンサーでも同一のセンサーでもよい。
・ガイド部材を保持して回動する保持部が、ガイド部材が進出位置にあるとき媒体をガイドしない構成でもよい。つまり、ガイド部材のみで媒体をガイドする構成としてもよい。
・ガイド部材は退避位置に配置された場合、一端部と他端部のいずれもが、常に、最大幅の媒体の排出経路の外側に配置される必要はなく、一端部と他端部のいずれもが、そのときの媒体の幅に応じた媒体の排出経路の外側に配置されればよい。例えば、ガイド部材が退避位置に配置された場合、一端部と他端部のいずれもが配置される位置が、媒体の幅に応じて変化する構成でもよい。
・ガイド部材が退避位置から進出位置への移動を開始する際、媒体の排出方向X1における上流側端部は、先行媒体の上面に接触しておらず離間していてもよい。この構成でも、媒体の整列性が多少損なわれるものの、媒体の下折れは低減できる。
・ガイド部材は、媒体の排出方向における下流側端部が排出ローラーから排出される前に進出位置への進出を終え、媒体の排出方向における上流側端部が排出ローラーから排出される前に退避位置からの退避を開始してもよい。また、ガイド部材は、媒体の排出方向における下流側端部をガイドできる限りにおいて、媒体の排出方向における下流側端部が排出ローラーから排出された後に進出位置への進出を完了してもよい。例えば、媒体の排出方向における下流側端部が排出ローラーから排出されて、この下流側先端部が先行媒体の上面に接触するまでの間に、ガイド部材の進出位置への進出を終えればよい。
・ガイド部材31の摩擦係数は、載置面331a,156aの摩擦係数よりも大きな値に設定されてもよい。ガイド部材と媒体との接触面積が、媒体と載置面との接触面積よりも十分小さければ、媒体とガイド部材31との摺動抵抗を、媒体と載置面との摺動抵抗よりも小さくすることはできる。
・ガイド部材31は進出位置に配置されたとき載置面と傾斜が同じでもよいし、載置面よりも傾斜が小さくてもよい。但し、ガイド部材を載置面と同じ傾斜か載置面よりも大きい傾斜とすることが好ましい。
・ガイド部材31は、退避位置では他端31bが低位ポジションへ下降し、その低位ポジションを維持したまま退避位置から進出位置へ移動し、低位ポジションのまま、進出位置から退避位置まで移動して退避の終点位置で高位ポジションへ上昇する構成でもよい。要するに、ガイド部材31の他端が進出位置で鉛直方向Zに排出ローラー対と載置面との間の位置に配置され、退避の過程で低位ポジションに維持される構成であればよい。また、退避の過程では先行媒体と干渉しない範囲において徐々に下降させ、後続媒体が先行媒体の上面に落下する際の落差を小さく抑えてもよい。
・ガイド部材31の退避位置と進出位置との間の移動は回動に限定されない。例えばガイド部材が幅方向と平行にスライド移動することにより退避位置と進出位置との間を移動するスライド方式でもよい。この場合、ガイド部材は、前記実施形態と同様に「ハ」字状に傾いた姿勢をとる構成でもよいし、排出方向X1に平行な姿勢をとる構成でもよい。
・進出位置に配置されたガイド部材31の他端31a間の幅方向Yにおける距離(間隔)を、媒体の幅に応じて変化させてもよい。制御部13は、例えば媒体の幅が広いほど、ガイド部材31の他端31b間の間隔を広くさせるように制御する。この場合、例えばガイド部材の回動用のモーターと上下動用のモーターを設け、制御部がこれら2つのモーターのうち回動用のモーターについては駆動量を媒体の幅に応じて変化させる制御をすればよい。
・ガイド部材31の回動運動を、ガイド軸をガイド溝に沿って案内するカム機構を介して行ったが、ガイド部材31の上下運動についても、ロック機構に替え、カム機構を介して行ってもよい。
・ガイド部材を一対(2つ)設けることに限定されず、1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。
・ガイド部材の下流端側を回動軸としたが、上流端側を回動軸としてもよい。
・紙面検出部353の検出の結果、載置部に媒体が載置されていない場合には、折れ防止制御を実施しなくてもよい。
・一対のガイド部材を幅方向の端部側位置に配置された退避位置から排出経路の内側の進出位置へ進出させる構成に限定されない。例えばガイド部材が載置部に没入する退避位置に配置され、載置面の下方から上昇して進出位置に配置されてもよい。また、ガイド部材が載置台の上方の退避位置に配置され、退避位置から下降して進出位置に配置されてもよい。さらにガイド部材が枠体320内の退避位置に配置され、排出ローラー側から排出方向X1の下流側へ移動して進出位置に配置される構成でもよい。また、ガイド部材が排出トレイに対して排出方向X1の下流側へ斜め上方に位置する退避位置から上流側へ移動して進出位置に配置される構成でもよい。なお、これらの場合、ガイド部材は進出位置に配置された際、媒体の幅中心線を挟む両側で線対称となるように配置され、媒体をその幅中心線を挟む両側で均等にガイドできる構成とすることが好ましい。この場合、1つの部材で構成してもよいが、個別に駆動される一対の部材で構成することが好ましい。
・ガイドユニット30の動力源である電動モーター33をステッピングモーターとし、ステップ数によりガイド部材31の位置を検出してもよい。また、電動モーター33はDCモーター(直流モーター)としてもよい。DCモーターとした場合、ラック部材37の移動距離に比例する数のパルス信号を出力可能な例えばエンコーダーを設け、エンコーダーの出力パルスのエッジを計数してガイド部材31の位置を検出してもよい。
・制御部内に構築される各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されることに限定されず、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・媒体は、用紙に限定されず、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属シート、セラミックシートなどであってもよい。また、画像形成装置は、ライン印刷方式の画像形成装置(ラインプリンター)に限らず、シリアル印刷方式の画像形成装置(シリアルプリンター)でもよい。更に画像形成装置はインクジェット式プリンターに限定されず、ドットインパクト式プリンターや熱転写式プリンター、レーザープリンター等の電子写真式プリンターでもよい。また、画像形成装置は、スキャナー部を備えた複合機でもよい。