以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態に係るプリンタPは、印刷媒体の印刷面に本実施形態に係るインクリボンRのインク(転写層)を転写して印刷可能なものである。
本実施形態では、印刷媒体として、図4に示すように、プリンタPによって印刷処理が施される印刷面C2が設定された本体部C3と、本体部C3に一体に形成された掴み代部C4とを有するカード形成媒体C1を適用している。カード形成媒体C1は、略矩形状の本体部C3のオモテ面C3a及びウラ面C3bにそれぞれ印刷面C2を設定したものである。つまり、本実施形態における印刷媒体は、プリンタPによって両面に印刷が施されるものである。そして、このカード形成媒体C1は、本体部C3から掴み代部C4を切り取った形態のカード(図示省略)として図1乃至図3に示す本実施形態のプリンタP及びゲームカード発行装置Xから排出して発行される。
ここで、図5に、本実施形態に係るプリンタPによってオモテ面C3aに対する印刷処理を施した直後のカード形成媒体C1を示し、図6に、本実施形態に係るプリンタPによってウラ面C3bに対する印刷処理を施した直後のカード形成媒体C1を示している。なお、安全性等の観点から、本体部C3の角(四隅)を部分円弧状にカットしている。また、本実施形態のカード形成媒体C1は、掴み代部C4を、本体部C3の短辺に沿った方向の中心線C31を対象軸として非線対称の形状に設定している。本実施形態では、掴み代部C4の幅方向両端部のうち一方の端部に側方突出部C5を有する形状に設定している。そして、このように掴み代部C4の両側端部の形状が異なることを利用してカード形成媒体C1のオモテ面C3a、ウラ面C3bを特定することが可能である。すなわち、本実施形態であれば、側方突出部C5の向きが揃うように印刷媒体C1を重ねることによって、カード形成媒体C1のオモテ面C3a、ウラ面C3bを揃えることができる。図4乃至図6では、本体部C3と掴み代部C4の境界部分を点線で示している。印刷媒体C1の素材は、紙に限定されず、適宜の素材を適用することができる。
このような形状を有する印刷媒体C1は、掴み代部C4を、本体部C3に印刷される内容(プリントパターン)を指定する情報である識別情報を有する識別情報記録部として機能させることも可能である。例えば、掴み代部C4に、複数の識別情報記録領域(図示例では第1識別情報記録領域Cw,第2識別情報記録領域Cx,第3識別情報記録領域Cy,第4識別情報記録領域Czの合計4つの識別情報記録領域)を形成し、これら各識別情報記録領域Cw,Cx,Cy,Czに適宜の印刷が施されているか否か等の記録パターンに基づいて、各印刷媒体C1が有する識別情報を特定できるように設定することが可能である。なお、識別情報は、供給部1に供給される前の時点において掴み代部C4に印刷されたものであればよい。
以下の説明では、掴み代部C4が本体部C3に一体になっている形態をカード形成媒体C1と称し、掴み代部C4を切り離した本体部C3のみの形態をカードと称す。
本実施形態のゲームカード発行装置Xでは、ディスプレイG2を見ながら操作部G3を操作してプレイヤが行うゲームの内容や結果等に応じて本体部C3のオモテ面C3a、ウラ面C3bに対する印刷内容(プリントパターン)を決定して、内蔵しているプリンタPによって、その決定したプリントパターンに応じた印刷内容を、カード形成媒体C1のうち印刷面C2に設定した本体部C3のオモテ面C3a及びウラ面C3bにオンデマンドで印刷し、印刷処理を完了した後に掴み代部C4を切り離したカードを払い出すように構成している。また、本実施形態では、本体部C3のうちウラ面C3bの少なくとも一部に特殊印刷が施された特殊印刷部分C6を有するカードを排出して発行するように設定している。図6等に例示したように、本実施形態において参照する図面では、本体部C3のウラ面C3bのうち特殊印刷が施されている部分である特殊印刷部分C6を破線で模式的に付している。
ここで、本実施形態における特殊印刷とは、赤外線カメラや赤外線センサで読取可能な不可視インク(赤外線を吸収するタイプ)、蛍光色インク(UVランプ(ブラックライト)等に反応して発色するタイプ)、黒色溶融熱転写インク(マットブラック)、或いはホログラム、金、銀、銅の各インク等の特殊インクを包含する特殊転写層を転写して印刷することを意味する。本実施形態では、特殊印刷部分C6がカードにデザインとして現れることを敢えて回避するために、後述する特殊転写層(SP層r5)として不可視インクが塗布された層を適用し、特殊印刷部分C6には不可視インク層を使用した特殊印刷が施されている。
カードプリンタとして機能する本実施形態のプリンタPは、カード発行装置Xの内部に配置され、図3に示すように、印刷媒体であるカード形成媒体C1を供給可能な供給部1と、供給部1から送り出されたカード形成媒体C1を所定の搬送路30に沿って搬送する搬送部3と、搬送路30に沿って搬送されるカード形成媒体C1に印刷を施す印刷部4と、印刷処理を施してカード形成媒体C1を排出する排出部5とを備えたものである。なお、上述したように、本実施形態では、カード形成媒体C1のうち印刷処理を施した本体部C3から掴み代部C4を切り取った形態のカードを排出部5から排出するように構成している。また、本実施形態のプリンタPは、本体部C3のオモテ面C3a及びウラ面C3bの両面に印刷を施す両面プリンタであり、カード形成媒体C1の表裏面を反転させる反転部6も備えている。本実施形態のプリンタPは、筐体2の内部空間に、供給部1、搬送部3、印刷部4及び反転部6を配置し、排出部5をプリンタ筐体2の前面21Aに開口させている。
プリンタPの筐体2は、図3に示すように、前面21Aに排出部5を形成した筐体本体21と、筐体本体21の上方開口部を蓋封可能な蓋体22とを備えている。蓋体22は、筐体本体21の後方(奥方)側に設定した枢支点を支点にして筐体本体21の内部空間を蓋封可能な被覆位置と、筐体本体21の内部空間を外部空間に連通させる開放位置(同図中に1点鎖線で示す)との間で傾動可能なものである。なお、本実施形態における「前方」は、図3に示す矢印D1方向を意味し、「後方(奥方)」は、同図に示す矢印D1方向の反対方向を意味する。
供給部1は、図3に示すように、プリンタ筐体2の前後方向に沿って印刷媒体であるカット紙状のカード形成媒体C1を厚み方向に多数枚積層して収納(セットrs)可能なカセット11と、カセット11の一端側からカード形成媒体C1を1枚ずつ直立姿勢のまま送り出す送り出し部12とを備えている。本実施形態では、カセット11を、プリンタ筐体2の前面21A側(同図における矢印D1方向)へ引き出し可能に設定し、人手による印刷媒体(カード形成媒体C1)の補給作業を、プリンタ筐体2の前面21A側から行うことができるように構成している。印刷媒体であるカード形成媒体C1は、オモテ面C3a及びウラ面C3bの向きを揃えた状態でカセット11に収容(セットrs)されている。なお、カセット11内に収容されているカード形成媒体C1は、例えばカセット11内に設けたバネよってカセット11の奥方側へ移動するように設定されている。
送り出し部12は、カセット11に収容されているカード形成媒体C1のうち最も奥方側にあるカード形成媒体C1を上方(同図における矢印D2方向)へ繰り出す繰出し爪13と、繰出し爪13によって上方へ繰り出したカード形成媒体C1を挟持して搬送路30(具体的には後述するカード姿勢変更部8)に向かって搬送する給紙ローラ14とを備えている。
本実施形態のプリンタPは、供給部1を、プリンタ筐体2の前後方向に延伸する略水平な搬送路30よりも下側の領域に配置し、給紙ローラ14から送り出した直立姿勢のカード形成媒体C1を搬送路30に供給するに際して水平姿勢に姿勢変更するカード姿勢変更部8を、供給部1と搬送路30との間に配置している。なお、カード形成媒体C1の「直立姿勢」は、カード形成媒体C1の長手方向を高さ方向に一致させた縦長の直立姿勢であってもよいし、横長の直立姿勢であってもよい。
カード姿勢変更部8は、カード形成媒体C1を厚み方向に挟持する挟持用搬送ローラ81と、挟持用搬送ローラ81に連続する位置に設けたガイド板82,83とをユニット化し、このユニット化された姿勢変更ユニット84を、図3に示す矢印D3方向に90度旋回させることで、供給部1から送り出されて直立姿勢にあるカード形成媒体C1を水平姿勢に姿勢変更するものである。同図には、姿勢変更ユニット84を矢印D3方向に90度旋回させた状態を点線で示している。このような姿勢変更部で直立姿勢から水平姿勢に変更したカード形成媒体C1は、次に説明する搬送部3によって印刷部4に向かって搬送される。なお、カード形成媒体C1の「水平姿勢」は、カード形成媒体C1の長手方向をプリンタ筐体2の前後方向に一致させた縦長の水平姿勢であってもよいし、横長の水平姿勢であってもよい。
搬送部3は、カード姿勢変更部8と印刷部4の間に配置した第1搬送ローラ31、第2搬送ローラ32と、印刷部4と排出部5の間において、排出部5に向かって順に配置した第3搬送ローラ33(フィードローラ)、第4搬送ローラ34、第5搬送ローラ35とを用いて構成されるものである。また、本実施形態のプリンタPは、第4搬送ローラ34と第5搬送ローラ35の間に、ゲームカードの掴み代部C4を切断するカット部9を配置している。なお、給紙ローラ14及びカード姿勢変更部8の挟持用搬送ローラ81もカード形成媒体C1を搬送する機能を有するため、搬送部3の一部を担うものとして捉えることができる。本実施形態では、これら各ローラ(給紙ローラ14、挟持用搬送ローラ81、第1搬送ローラ31、第2搬送ローラ32、第3搬送ローラ33、第4搬送ローラ34、第5搬送ローラ35及び後述する第6搬送ローラ64)を、ステッピングモータで駆動される駆動ローラと、駆動ローラに従動して回転するピンチローラとによって構成している。
プリンタ筐体2内において前後方向に延伸する搬送路30には、カード姿勢変更部8から排出部5に向かって、第1搬送ローラ31、クリーニングローラ36、位置決め部37、第2搬送ローラ32、印刷部4のサーマルヘッド42及びプラテンローラ43、第3搬送ローラ33、第4搬送ローラ34、カット部9、第5搬送ローラ35をこの順で配置している。
位置決め部37は、位置決め部37の一部が搬送路30上に露出する露出位置と、位置決め部37全体が搬送路30よりも下方へ退避する退避位置との間で移動するものであり、図3には露出位置にある位置決め部37を示し、露出位置から退避位置に切り替わる際の後述する位置決め爪37aの移動方向を矢印D4として示している。本実施形態の位置決め部37は、位置決め爪37aと、位置決め爪37aの下端部に接触するカム37bと、位置決め爪37aの下端部がカム37bに接触する方向に付勢して位置決め爪37aを図3に示す起立姿勢に保持する図示しないスプリングとを備えたものである。このような位置決め部37は、搬送路30よりも低い位置に設けた水平軸回りに位置決め爪37aを回転可能に設定し、スプリングの付勢力によって位置決め爪37aが起立姿勢をとることで、位置決め爪37aの上端部が搬送路30上に露出する「露出位置」となり、スプリングの付勢力に抗して位置決め爪37aが搬送路30よりも下方の空間で倒伏姿勢をとることで、「退避位置」となるものである。本実施形態では、カード姿勢変更部8から印刷部4に向かって搬送されるカード形成媒体C1が、起立姿勢にある位置決め爪37aをスプリングの付勢力に抗して図3の矢印D4方向に押し倒すことで、位置決め部37が露出位置から退避位置に切り替わり、カード形成媒体C1の通過後にスプリングの付勢力(復帰力)によって、位置決め爪37aが倒伏姿勢から起立姿勢に自動復帰することで、位置決め部は退避位置から露出位置に切り替わるように構成している。
そして、本実施形態では、カード姿勢変更部8から印刷部4に向かって搬送されるカード形成媒体C1が位置決め部37を通過した後に、倒伏姿勢から起立姿勢に自動復帰した位置決め爪37aに対して、カード形成媒体C1を印刷部4からカード姿勢変更部8に向かって送り戻し、カード形成媒体C1の後端を露出位置にある位置決め部37(具体的には起立姿勢の位置決め爪37a)に当接させることで、カード形成媒体C1の後端を位置決めするように構成している。また、本実施形態のカードプリンタPは、後述するように、カード形成媒体C1を反転部6で反転させて両面印刷を行うものであり、オモテ面C3aに対する印刷処理が終了した後に、カム37bを作動させて起立姿勢にある位置決め爪37aをスプリングの付勢力に抗して図3の矢印D4方向に回転させて倒伏姿勢に変更し、位置決め部37を露出位置から退避位置に切り替えるように構成している。この状態(位置決め部37が露出位置から退避位置に切り替えた状態)でカード形成媒体C1を反転部6に向かって搬送し、カード形成媒体C1の通過後にカム37bを作動させて位置決め爪37aを起立姿勢にすることで、位置決め部37が退避位置から露出位置に切り替わるように設定している。
印刷部4は、インクリボンRのベース材であるフィルム基材に塗布した転写層(インク)をサーマルヘッド42で加熱してカード形成媒体C1に転写する熱転写式のものである。本実施形態では、サーマルヘッド42とプラテンローラ43の間を通過するカード形成媒体C1のうちサーマルヘッド42に対面する印刷面C2に印刷を開始し、第3搬送ローラ33によってカード形成媒体C1を排出部5側に向かって送り出すように構成している。
インクリボンRは、図7に示すように、長尺のフィルム基材の長手方向に沿って、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3色の基本色インクが塗布されている基本色インク層(以下では、Y層r1、M層r2、C層r3と略す)と、印刷面C2を保護するオーバーコート用インク(オーバーコート材)が塗布されているオーバーコート層(以下では、OC層r4と略す)と、特殊印刷に用いられる特殊インク(本実施形態では不可視インク)が塗布されている特殊インク層(以下では、SP層r5と略す)とを所定の順番で繰り返し配置したものである。OC層r4の具体例としては、透明又は半透明のオーバーコート用インク(オーバーコート材)を挙げることができるが、プリンタによって印刷して発行する印刷媒体の種類や用途によっては、白インクやメタリックインクのような不透明のオーバーコート用インク(オーバーコート材)を適用することも可能である。
図7では、説明の便宜上、SP層r5にのみパターンを付して示している。なお、図7ではフィルム基材を符号で指し示すことはできないが、フィルム基材の長手方向は、インクリボンRの長手方向と同義である。
本実施形態では、図7に示すように、インクリボンRの巻き取り方向D6に沿ってSP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4をこの順番で並べた合計5種類の転写層を1セットrsとして、この転写層セットrsをフィルム基材の長手方向に沿って繰り返し塗布したインクリボンRを適用している。このようなインクリボンRを用いて、転写層1セットrs分で複数の印刷面C2に対する印刷処理を行えるように、各転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、SP層r5)の平面サイズを以下のように設定している。
本実施形態では、転写層1セットrs分でn枚(n=2以上の正の整数)の印刷面に対する印刷処理を行えるように、転写層1セットrsにおける各層(SP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)のうち特殊転写層(SP層r5)ではない非特殊転写層であるY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4それぞれの平面サイズを、印刷面n枚分(n=2以上の正数)の平面サイズと同じ又は一回り大きいサイズに設定している。本実施形態では、転写層1セットrs分で2枚の印刷面に印刷できるように、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4それぞれの平面サイズを印刷面2枚分の平面サイズと同じ又は一回り大きいサイズに設定している。なお、本実施形態において印刷面に設定されている本体部C3のオモテ面C3a及びウラ面C3bは相互に同じ平面サイズである。このようなオモテ面C3a及びウラ面C3bの2枚の印刷面の平面サイズに応じて、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4それぞれの平面サイズを設定している。以下の説明では、インクリボンR自体やインクリボンRを用いて行うプリント処理に関して、「印刷面」に相当する「本体部C3のオモテ面C3a」、「本体部C3のウラ面C3b」を、それぞれ単に「オモテ面C3a」、「ウラ面C3b」と称する場合がある。
本実施形態では、図7に示すように、転写層1セットrsにおける各層(SP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)のうち非特殊転写層であるY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4それぞれの平面サイズを全て同じ大きさに設定し、これらY層r1、M層r2、C層r3、及びOC層r4それぞれのフィルム基材の長手方向に沿った塗布長さ(以下では、「非特殊転写層単位塗布長さL1」と称す)も全て同じ長さに設定している。以上より、本実施形態におけるインクリボンRの非特殊転写層単位塗布長さL1が、2枚の印刷面C2に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定されていることが把握できる。
一方、本実施形態では、転写層1セットrsにおけるSP層r5の平面サイズを、印刷面1枚あたりの平面サイズと同じ又は一回り大きいサイズに設定している。したがって、転写層1セットrsにおけるフィルム基材の長手方向に沿ったSP層r5の種類毎の塗布長さ(以下では、「特殊転写層単位塗布長さL2」と称す。転写層1セットrsにおけるSP層の種類が1種類である本実施形態では、その1種類のSP層r5のフィルム基材の長手方向に沿った塗布長さが「特殊転写層単位塗布長さL2」である)は、非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短い寸法に設定されている。つまり、フィルム基材の長手方向に沿った転写層1セットrs分の全長L3を、そのセットrsにおける非特殊転写層及び特殊転写層の種類数で等分(本実施形態であれば5等分)した長さを「基準塗布長さLS」とした場合(図7参照)、本実施形態では、非特殊転写層単位塗布長さL1を基準塗布長さLSよりも長く設定し、特殊転写層単位塗布長さL2を基準塗布長さLSよりも短く設定している。
本実施形態のインクリボンRは、特殊転写層単位塗布長さL2を非特殊転写層単位塗布長さL1の半分以下(図示例では半分)に設定している。また、インクリボンRの長手方向に沿って隣り合う転写層同士の間には、境界識別ラインr6(図7では直線状の境界識別ラインr6)が形成されている。
ここで、本実施形態のプリンタPは、インクリボンRの転写層1セットrs分を使用して、印刷面C2に設定されたカード形成媒体C1のオモテ面C3a及びウラ面C3bに対する印刷処理を行うものである。具体的には、図8に示すように、転写層1セットrs分における各層のうち非特殊転写層であるY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4をそれぞれフィルム基材の長手方向に第1転写エリアra及び第2転写エリアrbに2等分して、各層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)をそれぞれ2等分した領域のうち、相対的に巻き取り側(矢印D6方向側、前半側)の領域全体または巻き取り側の領域略全体である第1転写エリアraを使用してカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対する印刷処理を行い、相対的に巻き戻し側(矢印D7方向側、後半側)の領域全体または巻き戻し側の領域略全体である第2転写エリアrbを使用してカード形成媒体C1のウラ面C3bに対する印刷処理を行うように設定している。なお、カード形成媒体C1のオモテ面C3aに対する印刷処理を、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4の各第2転写エリアrbを使用して行い、カード形成媒体C1のウラ面C3bに対する印刷処理を、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4の各第1転写エリアraを使用して行うように設定することも可能である。
そして、本実施形態のプリンタPは、カード形成媒体C1のウラ面C3bにのみ、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4に加えて、SP層r5を転写して印刷するように設定している。つまり、カード形成媒体C1のオモテ面C3aには、SP層r5を印刷しないように設定している。なお、本実施形態では、図8に示すように、上述の非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)の第1転写エリアraや第2転写エリアrbと同じサイズの転写エリアrcをSP層r5に確保している。図8では、本実施形態において設定している各転写エリアra、rb、rcによる転写対象の印刷面(C3a、C3b)が把握できるように、各転写エリアra、rb、rcの転写対象印刷面(C3a、C3b)を各転写エリアra、rb、rcの側方(インクリボンRの短辺に沿った方向(幅方向))に模式的に示している。
このようにSP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4をこの順番で周期的に塗布したインクリボンRは、図3に示すように、巻き出しコア44に巻回された未使用分のインクリボンRを巻き出すインクリボンロール45から巻き出され、巻き出し側ガイドロール46にガイドされてカード形成媒体C1と重ね合わせられ、サーマルヘッド42とプラテンロール43との間を搬送された後、剥離ローラ47を経由して巻き取り側ガイドロール48にガイドされて、使用済みインクリボンRを巻き取るインクリボンコア49(巻き取りコア)に巻き取られる。そして、本実施形態の印刷部4は、カード形成媒体C1のうちサーマルヘッド42に対面する印刷面C2(オモテ面C3a又はウラ面C3bのうち上向きの面)に、加熱状態にあるサーマルヘッド42でインクリボンRを圧接して、インクリボンRの転写層(SP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)の全部または一部を転写して印刷することができる。
反転部6は、図3に示すように、プリンタ筐体2の内部空間のうちカード姿勢変更部8よりも後方側に配置され、搬送路30の延伸方向と平行な水平軸回り(同図における矢印D5方向)に回転可能な回転部(回転ドラム61)と、回転ドラム61の前面側に設けた受板62とを備え、搬送路30から受板62を通過して回転ドラム61に送り込まれたカード形成媒体C1を、回転ドラム61の内部に設けた保持部63によって保持した状態で、回転ドラム61を180度回転させることで、カード形成媒体C1の表裏面を反転するものである。回転ドラム61の内部には、回転ドラム61の奥方に送り込む第6搬送ローラ64を設けている。
本実施形態に係るプリンタPは、上述の各部の作動を制御部PCによって制御している。
次に、本実施形態のプリンタPによって、カード形成媒体C1の本体部C3の両面に印刷を施したカードを排出部5から排出する手順を説明する。
先ず、本実施形態のプリンタPは、直立姿勢で厚み方向に積層された状態でカセット11に複数枚収容されているカード形成媒体C1のうち、最後方のカード形成媒体C1を、送り出し部12の繰出し爪13によって上方へ繰り出し、給紙ローラ14で挟持しながらカード姿勢変更部8に向かって送り出す。引き続いて、本実施形態のプリンタPは、供給部1の給紙ローラ14とカード姿勢変更部8との間に配置した第1センサS1によってカード形成媒体C1の通過を検出し、その検出信号に基づいて、カード姿勢変更部8の姿勢変更ユニット84を図3における反時計回り方向(矢印D3方向)へ90度旋回して、挟持用搬送ローラ81で挟持しているカード形成媒体C1を水平姿勢に変更し、挟持用搬送ローラ81によって水平姿勢のカード形成媒体C1を印刷部4に向かって搬送する。この際、位置決め部37は露出位置にある。
そして、本実施形態のプリンタPは、位置決め部37と印刷部4との間に第2センサS2を配置し、第2センサS2によってカード形成媒体C1の通過を検出した場合、その検出信号に基づいて、位置決め部37を退避位置から露出位置へ移動させた後に、カード形成媒体C1を少し後退させて(送り戻して)、その後端を位置決め部37に当接させることでカード形成媒体C1を位置決めし、この位置決めしたカード形成媒体C1を搬送部3の第2搬送ローラ32で印刷部4に送り込む。なお、スプリングの付勢力によって位置決め爪37aが起立姿勢をとることで、位置決め爪37aの上端部が搬送路30上に露出する露出位置にある位置決め部37は、カード形成媒体C1が通過する際に、位置決め爪37aがカード形成媒体C1に押されて図3の矢印D4方向に回転することよって、位置決め部37は露出位置から退避位置に切り替わる。また、本実施形態のカードプリンタPは、カード形成媒体C1を印刷部4に向かって搬送する過程で、クリーニングローラ36によって、印刷部4に到達する前のゲームカード形成媒体C1のうちクリーニングローラ36に対面する面(上向き面)に対してクリーニング処理を施す。
そして、本実施形態のプリンタPは、カード形成媒体C1の搬送方向(図3の矢印D8方向)においてサーマルヘッド42を挟む位置に第3センサS3、第4センサS4を配置し、第3センサS3によってカード形成媒体C1の通過を検出した場合、その検出信号に基づいて、印刷部4をスタンバイ状態とし、適宜のタイミングで印刷部4による印刷処理を開始する。その結果、カード形成媒体C1のうちサーマルヘッド42に対面する上向き面に印刷処理を施すことができる。この時点でカード形成媒体C1のうちサーマルヘッド42に対面する上向き面はオモテ面C3aである。オモテ面C3aに対する印刷処理の詳細は後述する。
オモテ面C3aに対する印刷処理に次いで、本実施形態のプリンタPは、搬送部3によってカード形成媒体C1を反転部6に向かって搬送する(送り戻す)。この際、印刷部4とカード姿勢変更部8の間に配置した第5センサS5によって、カード形成媒体C1の通過を検出し、その検出信号に基づいて、図3に点線で示す方向を向く姿勢変更ユニット84における挟持用搬送ローラ81を、反転部6に向かってカード形成媒体C1を搬送可能な方向に回転させる。これにより、本実施形態のカードプリンタPは、カード姿勢変更部8を経由してカード形成媒体C1を反転部6に送り込むことができる。なお、本実施形態では、カード形成媒体C1を反転部6に送り込む際、位置決め部37を、カード形成媒体C1の通過前に露出位置から退避位置に切り替えるように設定している。具体的には、カム37bを作動させて起立姿勢にある位置決め爪37aをスプリングの付勢力に抗して図3の矢印D4方向に回転させることで、位置決め部37を露出位置から退避位置に切り替えることができる。そして、本実施形態のプリンタPは、反転部6に送り込んだカード形成媒体C1を反転部6によって、そのウラ面C3bが上方を向く姿勢に反転させ、その向きを維持したまま搬送部3によって印刷部4に向かって搬送する。この際、上向き面をウラ面C3bとしたカード形成媒体C1は、カード姿勢変更部8の挟持用搬送ローラ81を経由して搬送路30に送り込まれ、印刷部4によってカード形成媒体C1のウラ面C3bに印刷処理を施す。ウラ面C3bに対する印刷処理の詳細は後述する。
なお、カード形成媒体C1が搬送路30に沿って横長の水平姿勢で搬送される場合は、オモテ面C3aを上向きにして搬送する際の本体部C3の長手方向中心線C32と、ウラ面C3bを上向きにして搬送する際の本体部C3の長手方向中心線C32とを一致させるように設定している。これは、図5及び図6に示すように、反転部6によってカード形成媒体C1を反転させることで、平面視における掴み代部C4の本体部C3に対する位置が変化し、この変化に起因する印刷面であるオモテ面C3a及びウラ面C3bに対するインクリボンRの位置ズレ、ひいては印刷品質の低下を防止するためである。ただし、カード形成媒体C1が搬送路30に沿って縦長の水平姿勢で搬送されるように設定した場合には、オモテ面C3aに対する印刷処理時のカード形成媒体C1の姿勢(向き)と、ウラ面C3bに対する印刷処理時のカード形成媒体C1の姿勢(向き)を比較すると、掴み代C4が本体部C3に対して相対的に搬送方向下流側となる縦長の水平姿勢か、掴み代C4が本体部C3に対して相対的に搬送方向上流側となる縦長の水平姿勢か、という点で変化があるものの、反転部6によってカード形成媒体C1を反転させること自体で本体部C3の搬送方向に沿った中心線、つまり本体部C3の幅方向(本体部C3を横断する方向)中心線C31は変化しないため、反転処理後に本体部C3の搬送方向に沿った中心位置を一致させるための特別な処理(上述のカード形成媒体C1が搬送路30に沿って横長の水平姿勢で搬送される場合に、オモテ面C3aを上向きにして搬送する際の本体部C3の長手方向中心線C32と、ウラ面C3bを上向きにして搬送する際の本体部C3の長手方向中心線C32とを相互に一致させる処理)は不要になる。
本実施形態のプリンタPは、オモテ面C3a及びウラ面C3bの両面に印刷処理を施したカード形成媒体C1を、第4搬送ローラ34でカット部9に搬送し、第4搬送ローラ34とカット部9の間に配置した第6センサS6によって、カード形成媒体C1の通過を検出し、その検出信号に基づいて、カード形成媒体C1の掴み代部C4と本体部C3との境界部分をカット部9で切断して、所定のカードサイズであって且つオモテ面C3a及びウラ面C3bに印刷処理を施したカードを、排出部5(カード発行部)を通じてプリンタ筐体2の前面21A側に排出して発行する。
また、本実施形態のプリンタPは、カット部9による切断処理によって本体部C3から切り離された掴み代部C4を回収する回収部11aを備えている。本実施形態では、図3に示すように、カセット11のうち、カット部9の下方領域に相当する部分に設けられ、カット部9を向く方向に開口する回収ボックス11aによって回収部を構成している。この回収ボックス11a内の空間は、カセット11内におけるカード形成媒体C1をセットする内部空間に連通せず、仕切られている。
なお、本実施形態における各センサS1,S2,S3,S4,S5,S6は、いずれも投光部と受光部からなる非接触の光学式センサを適用し、図3では、各センサの投受光ラインを点線で模式的に示している。なお、光学センサ以外のセンサによってゲームカード形成媒体C1の通過を検出可能に構成することもできる。
次に、本実施形態のプリンタPによって、印刷媒体であるカード形成媒体C1のオモテ面C3a及びウラ面C3bに印刷処理を施す処理について説明する。なお、本実施形態のプリンタPでは、印刷処理に関する各部の作動を制御すべく、図3に示すように、制御部PCが、プリント用画像データ生成部PC1と、サーマルヘッド駆動制御部PC2と、インクリボン駆動制御部PC3と、搬送ローラ駆動制御部PC4とを少なくとも有している。
プリント用画像データ生成部PC1は、例えば図1に示すゲーム機制御部GCやホストコンピュータ(図示せず)等から、プリント対象となる画像をY,M,C等の入力画像データにより受信し、この入力画像データを、インクリボンRに対応したプリント用画像データに変換して生成するものである。このプリント用画像データに基づいて、印刷部4のサーマルヘッド42とインクリボンRにより、カード形成媒体C1の印刷面であるオモテ面C3a、ウラ面C3bに印刷処理を施すことになる。
サーマルヘッド駆動制御部PC2は、インクリボンRの巻き出し処理や巻き戻し処理、またはカード形成媒体C1の搬送処理に応じて、サーマルヘッド42をプラテンローラ43に圧接させる圧接位置と、プランローラに対する圧接状態を解除する圧接解除位置との間で移動させたり、サーマルヘッド42の通電時間等を制御するものである。本実施形態では、プラテンローラ43の上方にサーマルヘッド42を配置しているため、圧接位置と圧接解除位置との間におけるサーマルヘッド42の移動は、サーマルヘッド42の昇降動作として捉えることができる。そして、圧接解除位置にあるサーマルヘッド42を下降させれば圧接位置に位置付けることができ、圧接位置にあるサーマルヘッド42を上昇させれば圧接解除位置に位置付けることができる、
インクリボン駆動制御部PC3は、例えば、パルスモータ等(図示せず)を駆動し、インクリボンロール45(巻き出しコア44)及びインクリボンコア49(巻き取りコア)を回転させ、インクリボンRの巻き出し処理(巻き取り処理)や巻き戻し処理の制御を行うものである。本実施形態では、平面視におけるインクリボンRの巻き出し方向D6(巻き取り方向)を、カード形成媒体C1を印刷部4から排出部5に向かって搬送する搬送方向D8と一致させ、インクリボンRの巻き戻し方向D7を、巻き出し方向D6(巻き取り方向)の逆方向に設定している。なお、インクリボンロール45又はインクリボンコア49(巻き取りコア)の少なくとも何れか一方の近傍にエンコーダ(図示省略)を配置し、インクリボンロール45又はインクリボンコア49の回転量に基づいてインクリボンR(フィルム基材)の長手方向の位置を特定することができるように設定している。インクリボンロール45又はインクリボンコア49の回転量は、直接検出するように設定してもよいし、インクリボンロール45又はインクリボンコア49を回転駆動させるモータ(図示省略)の駆動軸の回転量から検出するように設定してもよい。このような構成により、インクリボンRの長手方向に沿った各転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、SP層r5)のプリント開始位置及びプリント終了位置を特定し、後述するように、各転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、SP層r5)のプリント開始位置とカード形成媒体C1の印刷面C2であるオモテ面C3a、ウラ面C3bの位置合わせを適切に行うことができる。なお、本実施形態において、各転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、SP層r5)のプリント開始位置及びプリント終了位置は、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4であれば、区分けした各転写エリアra、rbの始端位置及び終端位置であり、SP層r5であれば、転写エリアrcの始端位置及び終端位置である。
搬送ローラ駆動制御部PC4は、印刷処理中及び印刷処理の直前・直後にカード形成媒体C1が接触する搬送ローラ(プラテンローラ43、第3搬送ローラ33、第2搬送ローラ32等)の駆動を制御して、カード形成媒体C1を搬送方向(図3の矢印D8方向)に搬送する処理や搬送方向D8の逆方向に送り戻す処理の制御を行うものである。
次に、本実施形態に係る昇華型プリンタPによる印刷処理手順を説明にする。
図7及び図8に示すインクリボンRは、転写層1セットrsで、2枚の印刷面C2をプリントする場合の例であり、転写層1セットrsにおける各基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4のうち巻き出し方向D6下流側の第1転写エリアraを1枚目の印刷面C2に転写してプリント処理を実施し、転写層1セットrs分における各基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4のうち巻き出し方向D6上流側の第2転写エリアrbを2枚目の印刷面C2に転写してプリント処理を実施し、2枚目の印刷面C2にのみSP層r5を転写してプリント処理を実施する例を示している。そして、本実施形態では、カード形成媒体C1のオモテ面C3aを1枚目の印刷面C2に設定し、カード形成媒体C1のウラ面C3bを2枚目の印刷面C2に設定している。
本実施形態のプリンタPでは、プリント用画像データ生成部PC1によって、発信先(図1に示すゲーム機制御部GC或いは図示しない外部のホストコンピュータ等)より受信した入力画像データからプリント用画像データを変換して生成した後に、インクリボンR上の転写層1セットrs分を用いて、サーマルヘッド駆動制御部PC2、インクリボン駆動制御部PC3、及び搬送ローラ駆動制御部PC4により、1枚目の印刷面であるカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対するプリント処理と、2枚目の印刷面であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに対するプリント処理とを実施する。
カード形成媒体C1のオモテ面C3aに対するプリント処理は、転写層1セットrsにおける各基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4のうち巻き出し方向D6下流側の第1転写エリアraを使用して行う。1枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対するプリント処理時のフローチャートを図9に示す。1枚目の印刷面C2に対するプリント処理は、以下の手順を経る。
先ず、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt2)、その状態でインクリボン駆動制御部PC3により、転写層1セットrsにおける基本色インク層(最初の基本色インク層プリント処理時であればY層r1)の第1転写エリアraのプリント開始位置(最初の基本色インク層プリント処理時であれば、Y層r1の第1転写エリアraのうち巻き出し方向D6下流端)をカード形成媒体C1のオモテ面C3aに位置合わせする(ステップSt3)。続いて、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を下降させて圧接位置に位置付け(ステップSt4)、加熱状態にあるサーマルヘッド42をインクリボンRに押し当てた状態で、インクリボン駆動制御部PC3によってインクリボンRを巻き取りながら(巻き出しながら)、搬送ローラ駆動制御部PC4によってカード形成媒体C1もインクリボンRの巻き取り速度と同じ搬送速度で搬送方向D8へ搬送し、カード形成媒体C1のオモテ面C3aに圧接する基本色インク層(最初の基本色インク層プリント処理時であればY層r1)の第1転写エリアraをオモテ面C3aに熱転写してプリントを行う(ステップSt5)。当該第1転写エリアraの熱転写プリント処理が終了すると、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt6)、1枚目の印刷面C2カード形成媒体C1のオモテ面C3aに対する基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)全てについてプリントを行ったかどうかを判定する(ステップSt7)。
1枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対する全ての基本色インク層についてプリント処理が完了していないと判定された場合(ステップSt7;No)、本実施形態に係るプリンタPは、ステップSt3に移行し、次の基本色インク層について、該基本色インク層の第1転写エリアraのプリント開始位置とカード形成媒体C1のオモテ面C3aの位置合わせを行い、上述のステップSt3からステップSt7を繰り返す。
そして、ステップSt7において、本実施形態に係るプリンタPは、1枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対する各基本色インク層についてのプリント処理が完了したと判定された場合(ステップSt7;Yes)、サーマルヘッド駆動制御部PC2により、OC層r4の第1転写エリアraのプリント開始位置(OC層r4の第1転写エリアraのうち巻き出し方向D6下流端)をカード形成媒体C1のオモテ面C3aに位置合わせする(ステップSt8)。続いて、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によって、サーマルヘッド42を下降させて圧接位置に位置付け(ステップSt9)、加熱状態にあるサーマルヘッド42をインクリボンRに押し当てた状態で、インクリボン駆動制御部PC3によってインクリボンRを巻き取りながら、搬送ローラ駆動制御部PC4によってカード形成媒体C1もインクリボンRの巻き取り速度と同じ搬送速度で搬送方向D8へ搬送し、カード形成媒体C1のオモテ面C3aに圧接するOC層r4の第1転写エリアraをオモテ面C3aに熱転写してプリントを行う(ステップSt10)。そして、オモテ面C3aに対するOC層r4の第1転写エリアraの熱転写プリント処理が終了すると、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt11)、オモテ面C3aに対する全ての印刷処理を完了する。この時点で、カード形成媒体C1は、オモテ面C3aに、インクリボンRから転写されたY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4によって全面印刷が施されたものになっている(図5参照)。すなわち、本実施形態のプリンタPは、第1印刷面に設定しているカード形成媒体C1のオモテ面C3aに対して、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4を順に重ねて転写することができる。
なお、本実施形態に係るプリンタPでは、1枚目の印刷面C2であるオモテ面C3aに対する各基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)のプリント処理が終了する毎に、サーマルヘッド42を上昇させる処理(ステップSt6)に続いて、搬送ローラ駆動制御部PC4によって、カード形成媒体C1を、プリント処理時の搬送方向D8とは逆方向(インクリボンRの巻き戻し方向D7と同じ方向)へ、プリント処理時に搬送方向D8に沿って移動した距離分だけ送り戻す処理を行い、その直後の「転写層(M層r2、C層r3、OC層r4)のプリント開始位置をカード形成媒体C1のオモテ面C3aに位置合わせする処理(ステップSt3またはステップSt8)」を適切に行えるように設定している。
オモテ面C3aに対する印刷処理を完了した後に、本実施形態のカードプリンタPは、上述したように、カード形成媒体C1を反転部6に向かって搬送し、反転部6によって、カード形成媒体C1のウラ面C3bが上方を向く姿勢に反転させ、その向きを維持したまま搬送部3によって印刷部4に向かって搬送し、印刷部4によって2枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに印刷処理を施す。
カード形成媒体C1のウラ面C3bに対するプリント処理は、転写層1セットrsにおける各基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4のうち第2転写エリアrbを使用して行う。2枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに対するプリント処理時のフローチャートを図10に示す。2枚目の印刷面C2に対するプリント処理は、以下の手順を経る。
先ず、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付けている状態でインクリボン駆動制御部PC3により、直前のオモテ面C3aに対するプリント処理に使用した転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)と同じセットrsに含まれているSP層r5をウラ面C3bにプリントする。具体的には、SP層r5のプリント開始位置(SP層r5のうち転写エリアrcの巻き出し方向D6下流端)とカード形成媒体C1のウラ面C3bとの位置合わせを行い(ステップSt12)、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を下降させて圧接位置に位置付け(ステップSt13)、加熱状態にあるサーマルヘッド42をインクリボンRに押し当てた状態で、インクリボン駆動制御部PC3によってインクリボンRを巻き取りながら(巻き出しながら)、搬送ローラ駆動制御部PC4によってカード形成媒体C1もインクリボンRの巻き取り速度と同じ搬送速度で搬送方向D8へ搬送し、カード形成媒体C1のウラ面C3bに圧接するSP層r5をウラ面C3bに熱転写してプリントを行う(ステップSt14)。ここで、転写層1セットrsにおけるSP層r5の種類毎の長手方向に沿った塗布長さ(特殊転写層単位塗布長さL2)は、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、これら各非特殊転写層の長手方向に沿った塗布長さ(非特殊転写層単位塗布長さL1)の半分の大きさに設定し、1枚の印刷面C2に対して印刷可能な長さに設定しているため、ウラ面C3bに対してSP層r5を不足することなく転写してプリントすることができる。本実施形態では、SP層r5として不可視インク層を適用し、この不可視インク層をウラ面C3bの一部に転写して、不可視の識別コード等をプリントするように設定している。
このようなSP層プリント処理に引き続いて、本実施形態のプリンタPは、基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4をウラ面C3bにプリントする処理を実行する。これら基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)プリント処理及びOC層プリント処理は、上述のオモテ面C3aに対するプリント処理と略同様の処理であるが、転送層1セットrsにおける基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)及びOC層r4のうち第2転写エリアrbを使用する点のみが異なる。
すなわち、本実施形態のプリンタPは、SP層プリント処理完了後に、基本色インク層プリント処理及びOC層プリント処理を実行すべく、以下の手順を経る。
先ず、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt15)、プリント転写層1セットrsにおける基本色インク層(最初の基本色インク層プリント処理時であればY層r1)の第2転写エリアrbのプリント開始位置(最初の基本色インク層プリント処理時であればY層r1のうち第2転写エリアrbの巻き出し方向D6下流端)をカード形成媒体C1のウラ面C3bに位置合わせする(ステップSt16)。続いて、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を下降させて圧接位置に位置付け(ステップSt17)、加熱状態にあるサーマルヘッド42をインクリボンRに押し当てた状態で、インクリボン駆動制御部PC3によってインクリボンRを巻き取りながら、搬送ローラ駆動制御部PC4によってカード形成媒体C1もインクリボンRの巻き取り速度と同じ搬送速度で搬送方向へ搬送し、カード形成媒体C1のウラ面C3bに圧接する基本色インク層(最初の基本色インク層プリント処理時であればY層r1)の第2転写エリアrbをウラ面C3bに熱転写してプリントを行う(ステップSt18)。当該第2転写エリアrbの熱転写プリント処理が終了すると、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt19)、2枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに対する基本色インク層(Y層r1、M層r2、C層r3)全てについてプリントを行ったかどうかを判定する(ステップSt20)。
本実施形態に係るプリンタPは、2枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに対する各基本色インク層についてプリント処理が完了していないと判定された場合(ステップSt20;No)、ステップS16に移行し、次の基本色インク層について、該基本色インク層の第2転写エリアrbのプリント開始位置とカード形成媒体C1のウラ面C3bの位置合わせを行い、上述のステップSt16からステップSt20を繰り返す。
そして、ステップSt20において、2枚目の印刷面C2であるカード形成媒体C1のウラ面C3bに対する各基本色インク層についてのプリント処理が完了したと判定された場合(ステップSt20;Yes)、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2により、OC層r4の第2転写エリアrbのプリント開始位置(OC層r4の巻き出し方向D6下流端)をカード形成媒体C1のウラ面C3bに位置合わせする(ステップSt21)。続いて、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によって、サーマルヘッド42を下降させて圧接位置に位置付け(ステップSt22)、加熱状態にあるサーマルヘッド42をインクリボンRに押し当てた状態で、インクリボン駆動制御部PC3によってインクリボンRを巻き取りながら、搬送ローラ駆動制御部PC4によってカード形成媒体C1もインクリボンRの巻き取り速度と同じ搬送速度で搬送方向D8へ搬送し、カード形成媒体C1のウラ面C3bに圧接するOC層r4の第2転写エリアrbをウラ面C3bに熱転写してプリントを行う(ステップSt23)。そして、ウラ面C3bに対するOC層r4の第2転写エリアrbの熱転写プリント処理が終了すると、本実施形態に係るプリンタPは、サーマルヘッド駆動制御部PC2によってサーマルヘッド42を上昇させて圧接解除位置に位置付け(ステップSt24)、ウラ面C3bに対する全ての印刷処理を完了する。
この時点で、カード形成媒体C1は、図5及び図6に示すように、オモテ面C3a及びウラ面C3bに、インクリボンRから転写されたY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4によって全面印刷が施され、且つウラ面C3bにのみ、インクリボンRから転写されたSP層r5による特殊印刷が部分的に施された特殊印刷部分C6を有するものになっている。すなわち、本実施形態のプリンタPは、第2印刷面に設定しているカード形成媒体C1のウラ面C3bに対して、SP層r5、Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4を順に重ねて転写することができる。
なお、本実施形態に係るプリンタPでは、2枚目の印刷面C2であるウラ面C3bに対するSP層r5のプリント処理(ステップSt5)及び各基本色インク層のプリント処理(ステップSt18)が終了する毎に、サーマルヘッド42を上昇させる処理(ステップSt15またはステップSt19)に続いて、搬送ローラ駆動制御部PC4によって、カード形成媒体C1を、プリント処理時の搬送方向D8とは逆方向(インクリボンRの巻き戻し方向D7と同じ方向)へ、プリント処理時に搬送方向D8に沿って移動した距離分だけ送り戻す処理を行い、その直後の「転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)のプリント開始位置をカード形成媒体C1のウラ面C3bに位置合わせする処理(ステップSt16またはステップSt20)」を適切に行えるように設定している。
本実施形態のプリンタPは、2枚目の印刷面C2であるウラ面C3bのプリントを完了すると、カード形成媒体C1を排出部5に向かって搬送し、最終的に排出部5から排出する(ステップSt25)。このようにして、本実施形態のプリンタPでは、カード形成媒体C1のオモテ面C3a及びウラ面C3bにオンデマンドで印刷した後に、カット部9で本体部C3と掴み代部C4との境界部分を切断して掴み代部C4を除去し、本体部C3のみからなる所定サイズのカードを排出部5から排出して発行するように構成している。そして、次のプリント命令の受信まで待機状態となり、次のプリント命令を受信すると、インクリボンRのうち直近の印刷処理で使用した転写層セットrsの次に並んでいる未使用の転写層セットrsを使用して、カード形成媒体C1の両面に対して上述の手順を経て印刷処理を行うことができる。
このような本実施形態に係るプリンタPが内蔵された図1及び図2に示すゲームカード発行装置Xは、以下の手順を経てゲームカードを発行することができる。なお、プリンタPの制御部PCは、ゲームカード発行装置XのうちプリンタP以外のパーツの作動を制御するゲーム機制御部GCと通信可能に接続され、カードプリンタPの制御部PC及びゲーム機制御部GCが協働して、ゲームカード発行装置Xの作動を制御する。したがって、本実施形態では、ゲームカード発行装置Xの作動を制御する制御部を、プリンタPの制御部PC及びゲーム機制御部GCによって構成していると捉えることができる。
先ず、プレイヤがコイン投入口G4にコインを投入すると、本実施形態のゲームカード発行装置Xは、ゲーム機筐体G1の前面に設けたコイン投入口G4に投入されてコインスタッカG5に収容したコインが、正規のコインか否か、及び所定の枚数であるか否かを判別し、正規のコインであって且つ所定の枚数であると判別した場合に、供給部1のカセット11から1枚のカード形成媒体C1を印刷部4に向かって繰り出し、ディスプレイG2を見ながら行うプレイヤの操作部G3を利用した操作等に応じて、カード形成媒体C1に対するプリントパターンを決定し、その決定したプリントパターンを入力画像データとして、ゲーム機制御部GCからプリンタPの制御部PCに出力する。プレイヤの操作によるゲーム結果(勝敗等)に応じて、予め用意されている多数のプリントパターンからゲームカード発行装置X側で選択した任意のプリントパターンを決定するように設定してもよい。ここで、プリントパターンは、カード形成媒体C1の印刷面C2(オモテ面C3a、ウラ面C3b)に印刷する印刷内容を規定するものである。プリントパターンが、複数のプリントパターンを組み合わせたプリントパターン(例えばキャラクタに関するプリントパターンと背景に関するプリントパターンを組み合わせたプリントパターン等)であってもよい。
そして、プリンタPの制御部PCが、プリント用画像データ生成部PC1により、受信した入力画像データをプリント用画像データに変換して生成し、印刷部4により、カード形成媒体C1のうち本体部C3のオモテ面C3a及びウラ面C3bにオンデマンドで印刷する。本実施形態のゲームカード発行装置Xは、上述したオモテ面C3a及びウラ面C3bに対するオンデマンド印刷処理及びその後の処理を経て、最終的に、本体部C3のみからなる所定サイズのカード(ゲームカード)を、カード発行部として機能する排出部5から排出して発行する。
以上の手順を経てプレイヤに発行されるカードは、カード形成媒体C1のうち本体部C3のみからなるものであり、例えばオモテ面C3aに、キャラクタや背景が非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)により目視可能な状態に印刷され、ウラ面C3bに、そのキャラクタに関する情報が非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)により目視可能な状態に印刷されている。さらに、ウラ面C3bには、そのキャラクタ或いはカードに関する情報が特殊転写層(SP層r5)により目視不能な状態に印刷されている。なお、掴み代部C4はプリンタP内に設けた回収部11aに回収される。
このように本実施形態に係るプリンタPは、インクリボンRに塗布した転写層1セットrs分におけるY層r1、M層r2、C層r3、OC層r4、これら各非特殊転写層の平面サイズ(塗布面積)を、2枚の印刷面C2(オモテ面C3a及びウラ面C3b)に対してそれぞれ全面印刷可能な平面サイズに設定しているため、転写層1セットrsでカード形成媒体C1の両面に対する全面印刷処理を行うことができる。また、本実施形態に係るプリンタPは、転写層1セットrs分におけるSP層r5の平面サイズを、1枚の印刷面C2に対して印刷可能な平面サイズに設定しているため、カード形成媒体C1の片面(本実施形態ではウラ面C3b)に対する特殊印刷処理を行うことができる。すなわち、本実施形態のプリンタPは、転写層1セットrs分に含まれる各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)によってカード形成媒体C1の両面に印刷を行うことができるとともに、同じ転写層1セットrs分に含まれるSP層r5によってカード形成媒体C1の片面にのみ特殊印刷を印刷することができる。
本実施形態で適用するカード形成媒体C1のように、両面のうち片面(ウラ面C3b)にのみ特殊印刷が施されれば十分であり、他方の面(オモテ面C3a)に対する特殊印刷が不要な印刷媒体に対する印刷処理に、各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)と同様にSP層r5の平面サイズを印刷面2枚分に相当するサイズに設定した場合、実際には転写されることのない余分なSP層r5がそのままフィルム基材に残った状態でインクリボンコア49に巻き取られることになる。すなわち、印刷処理に用いられないSP層r5が余分に塗布されたインクリボンを適用していることになり、SP層r5が余分に塗布された分だけ、長さに限りがあるインクリボンR上において実際に印刷処理に用いられる各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)の塗布領域が減少することになり、インクリボンロール45(巻き出しコア44)にセットされる1巻き分のインクリボンRで印刷可能な印刷面数も減ることになる。
そこで、本実施形態に係るプリンタPでは、図7に示すように、インクリボンRの長手方向に沿って繰り返し塗布した転写層1セットrsにおいて、各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)のインクリボンRの長手方向に沿った塗布長さ(非特殊転写層単位塗布長さL1)を、2枚の印刷面(オモテ面C3a及びウラ面C3b)に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定するとともに、SP層r5のインクリボンRの長手方向に沿った種類毎の塗布長さ(特殊転写層単位塗布長さL2)を非特殊転写層単位塗布長さL1の半分の大きさに設定し、1枚の印刷面C2に対して印刷可能な長さに設定したことによって、長さに限りがあるインクリボンR上において印刷処理に用いられないSP層r5の塗布量を削減し、SP層r5がフィルム基材の長手方向に沿って必要以上に塗布される事態を回避して、実際に印刷処理に用いられる各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)の塗布領域をフィルム基材の長手方向に沿って最大限に確保することができる。そして、本実施形態のように、非特殊転写層単位塗布長さL1を、2枚の印刷面C2(オモテ面C3a及びウラ面C3b)に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定し、特殊転写層単位塗布長さL2を非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短く設定することで、特殊転写層単位塗布長さL2を非特殊転写層単位塗布長さL1と同じ長さに設定した場合と比較して、転写層1セットrs分のインクリボンRの長手方向に沿った長さL3(図7参照)を短くすることができ、長さに限りがあるインクリボンR上における転写層セットrsの数を増大させることができる。その結果、インクリボンロール45(巻き出しコア44)にセットされる1巻き分のインクリボンRで印刷可能な印刷面数を増やすことができる。さらに、SP層r5は、各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)よりも高価である場合が多いため、フィルム基材の長手方向に沿ったSP層r5の塗布長さL2を最小限にとどめることで、インクリボンR自体のコストダウンも図ることができる。
加えて、本実施形態のプリンタPは、転写層1セットrs分における非特殊転写層単位塗布長さL1を、2枚の印刷面(オモテ面C3a、ウラ面C3b)に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定しているため、転写層1セットrs分における非特殊転写層単位塗布長さL1を、1枚の印刷面C2に対してのみ全面印刷可能な長さに設定している場合と比較して、インクリボンRの全長において、種類の異なる非特殊転写層同士の境界部分や、非特殊転写層と特殊転写層の境界部分に塗布等によって記録される境界識別ラインr6(図7参照)の数を減らすことができる。このこともまた、インクリボンロール45(巻き出しコア44)にセットされる1巻き分のインクリボンRで印刷可能な印刷面数の増加に貢献する。
また、本実施形態に係るインクリボンRは、各非特殊転写層(Y層r1、M層r2、C層r3、OC層r4)のインクリボンRの長手方向に沿った塗布長さ(非特殊転写層単位塗布長さL1)を、2枚の印刷面(オモテ面C3a及びウラ面C3b)に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定するとともに、特殊転写層単位塗布長さL2を非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短く設定していることで、上述した種々の作用効果を奏する。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、本体部と掴み代部を有する印刷媒体に対して印刷を行う態様を例示したが、掴み代部のない印刷媒体に対して印刷を行う態様であってもよい。この場合、カット部で切断された掴み代部を回収する回収部は不要になる。また、供給部から供給される時点では印刷媒体が本体部と掴み代部を有するものであっても、印刷部による印刷処理時点までに掴み代部を本体部から切り離すように構成することも可能である。
また、上述の実施形態では、ゲームカードを形成する媒体であるカード形成媒体を印刷媒体として利用するケースについて説明したが、ゲームカード以外のカード、例えばクジ、証明書、金券等の各種カードを形成する媒体を印刷媒体として利用することができる。また、カード以外の印刷対象物を印刷媒体として利用することもできる。
上述の実施形態では、SP層による特殊印刷を、SP層を特殊印刷する印刷面(上記実施形態であればウラ面)に対する非特殊転写層(各基本色インク層、OC層)の印刷処理の前に行う態様を例示したが、SP層を特殊印刷する印刷面に対する非特殊転写層の印刷処理の後に、SP層による特殊印刷を行うように設定することも可能である。或いは、各基本色インク層の印刷処理の後に、SP層の印刷処理を行い、その後にOC層の印刷処理を行うように設定することも可能である。
また、上述の実施形態では、2枚目の印刷面に対してのみSP層による特殊印刷を行う態様を例示したが、1枚目の印刷面に対してのみSP層による特殊印刷を行うように設定することも可能である。すなわち、SP層による印刷処理を行う特殊印刷対象印刷面は、1枚目の印刷面または2枚目の印刷面の何れであってもよい。
また、転写層1セット分における基本色インク層として、Y層、M層、C層に加えて、ブラックのインク層(BK層)も有するインクリボンを適用したり、転写層1セット分における基本色インク層として、BK層のみを有するインクリボンや、BK層以外の所定の1色のインク層のみを有するインクリボンを適用することも可能である。つまり、転写層1セット分における基本色インク層は1種類または複数種類の何れであっても構わない。
さらにまた、転写層1セット分における非特殊転写層が、1種類または複数種類の基本色インク層のみであって、OC層を有しないインクリボンを適用することもできる。また、転写層1セット分における非特殊転写層が、OC層のみであって、基本色インク層を有しないインクリボンを適用することもできる。
以上のような各変形例を適用することが可能である本発明によれば、転写層1セット分における非特殊転写層の種類や種類数の如何を問わず、各非特殊転写層のインクリボンの長手方向に沿った塗布長さである「非特殊転写層単位塗布長さ」を、複数枚の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定するとともに、SP層のインクリボンの長手方向に沿った種類毎の塗布長さである「特殊転写層単位塗布長さ」を、少なくとも1枚の印刷面の全面または一部に対して印刷可能な長さであって、且つ非特殊転写層単位塗布長さよりも短く設定することで、上述した作用効果、つまり、インクリボンロールにセットされる1巻き分のインクリボンで印刷可能な印刷面数の増加という作用効果を得ることができる。
また、転写層1セット分における複数種類の非特殊転写層として基本色インク層(例えばY層、M層、C層)とOC層を有するインクリボンである場合、基本色インク層とOC層との間にSP層を配置するレイアウトを採用してもよい。この場合、SP層の印刷処理を行う印刷面(SP層印刷対象印刷面)に対する印刷処理の手順は、基本色インク層の印刷処理、SP層の印刷処理、OC層の印刷処理、の手順となる。
本発明では、特殊転写層として、不可視インクの他に、蛍光色インク(UVランプ(ブラックライト)等に反応して発色するタイプ)、黒色溶融熱転写インク(マットブラック)、或いはホログラム、金、銀、銅の各インク、さらには、例えばインクを吸収し、染料や顔料などの色材を定着させるための受容層(受像層)、すなわちインクを転写する部分の下地となる受容層(受像層)等、これら特殊インクを適用した転写層を適用することができる。特に、印刷面に目視可能な特殊印刷を施した場合、その印刷面に現れる特殊印刷部分によってプレミアム性、意匠性を向上させたり、真贋や偽造防止に役立つ。
また、図11及び図12に示すように、転写層1セット分におけるSP層の種類を複数に設定することも可能である。この場合、複数種類のSP層r51、r52の種類毎の塗布長さである特殊転写層単位塗布長さL2が、複数枚の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定された非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短く設定されていればよい。なお、図11に示すインクリボンRは、複数種類のSP層r51、r52の種類毎の塗布長さである特殊転写層単位塗布長さL2を、複数枚の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定された非特殊転写層単位塗布長さL1の例えば4分の1の長さに設定したものであり、図12に示すインクリボンRは、複数種類のSP層r51、r52の種類毎の塗布長さである特殊転写層単位塗布長さL2を、複数枚の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定された非特殊転写層単位塗布長さL1の例えば2分の1の長さに設定したものである。ここで、図11及び図12に示す何れのインクリボンRにおいても、フィルム基材の長手方向に沿った転写層1セットrs分の全長L3を、そのセットrsにおける非特殊転写層及び特殊転写層の種類数で等分(図11及び図12の示す構成であれば6等分)した長さを「基準塗布長さLS」とした場合に、非特殊転写層単位塗布長さL1は基準塗布長さLSよりも長く設定され、特殊転写層単位塗布長さL2は基準塗布長さLSよりも短く設定されている。
また、図11に示す構成では、転写層1セットrs分における特殊転写層単位塗布長さL2の合計値L4、つまり、SP層r51の特殊転写層単位塗布長さL2と、SP層r52の特殊転写層単位塗布長さL2とを足した長さL4が、非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短いことが同図から把握できる。一方、図12に示す構成では、転写層1セットrs分における特殊転写層単位塗布長さL2の合計値L4、つまり、SP層r51の特殊転写層単位塗布長さL2と、SP層r52の特殊転写層単位塗布長さL2とを足した長さL4が、非特殊転写層単位塗布長さL1と同じであることが同図から把握できる。これら何れの構成も本発明に包含されるものである。さらに、図示しないが、転写層1セット分における特殊転写層単位塗布長さの合計値、つまり、転写層1セット分における各SP層の特殊転写層単位塗布長さを全て足した長さが、非特殊転写層単位塗布長さよりも長い場合であっても、「非特殊転写層単位塗布長さを、複数枚の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定するとともに、特殊転写層単位塗布長さを非特殊転写層単位塗布長さよりも短く設定している」という要件を満たした構成であれば、本発明に含まれる。換言すれば、本発明では、当該要件を満たす構成であれば種々のバリーションを採用することができ、転写層1セット分における各SP層の特殊転写層単位塗布長さを全て足した長さが、非特殊転写層単位塗布長さと同じであっても、差があっても構わない。
転写層1セットにおける非特殊転写層の種類が複数種類である場合、種類が異なる各非特殊転写層の「非特殊転写層単位塗布長さ」は同一であることが望ましいが、各非特殊転写層の「非特殊転写層単位塗布長さ」が転写層1セット分で印刷可能な複数の印刷面に全面印刷可能な長さである、という条件を満たしさえすればよく、各非特殊転写層の「非特殊転写層単位塗布長さ」を若干異なる長さに設定した構成を採用しても構わない。また、転写層1セットにおける特殊転写層の種類が複数種類である場合、種類が異なる各特殊転写層の「特殊転写層単位塗布長さ」は同一であることが望ましいが、各特殊転写層の「特殊転写層単位塗布長さ」が「非特殊転写層単位塗布長さ」よりも短い、という条件を満たしさえすればよく、各特殊転写層の「特殊転写層単位塗布長さ」を若干異なる長さに設定した構成を採用しても構わない。例えば、転写層1セットにおける特殊転写層及び非特殊転写層の種類が何れも複数種類であり、各非特殊転写層の「非特殊転写層単位塗布長さ」を相互に異なる長さに設定し、且つ各特殊転写層の「特殊転写層単位塗布長さ」も異なる長さに設定した構成を採用したインクリボンであれば、転写層1セット分における各「特殊転写層単位塗布長さ」が、何れの「非特殊転写層単位塗布長さ」よりも短く設定されている、という条件を満たせばよい。換言すれば、転写層1セット分において、長さが異なる複数の「特殊転写層単位塗布長さ」のうち最も長い「特殊転写層単位塗布長さ」が、長さが異なる複数の「非特殊転写層単位塗布長さ」のうち最も短い「非特殊転写層単位塗布長さ」よりも短く設定されている、という条件を満たせばよい。なお、転写層1セットrs分の全長L3を短くするという観点では、特殊転写層単位塗布長さL2自体、及び転写層1セット分における各SP層の特殊転写層単位塗布長さL2を全て足した長さL4(図11及び図12参照)は、短い方が有利である。
本発明において、転写層1セット分におけるSP層の種類を複数に設定することで、例えば、印刷面に、不可視インクの印刷処理が施された特殊印刷部分に加えて、蛍光色や金、銀、銅等の特色印刷処理が施された特殊印刷部分、ホログラム加工処理が施された特殊印刷部分の何れか一方または両方を形成することも可能である。もちろん、SP層の複数種類の組み合わせを適宜変更・選択することで、不可視インクの印刷処理が施された特殊印刷部分は形成されないものの、蛍光色や金、銀、銅等の特色印刷処理が施された特殊印刷部分、ホログラム加工処理が施された特殊印刷部分の何れか一方または両方を印刷面に形成することができる。
さらにいえば、特色印刷処理は、蛍光色、金、銀、銅のうち何れか1色のみ、又はこれらの色全て、或いは任意の組み合わせである2色を印刷する処理であってもよい。また、印刷面に施される特殊印刷部分自体が、例えば星などの任意の形状(マーク)をなすものや、グラデーションのかかったものとなるように設定することも可能である。
転写層1セット分におけるSP層の種類を複数に設定することが要求されるケースとしては、例えばSP層の1種類又は複数種類が溶融インク層であり、非特殊転写層のうち基本色インク層(例えばY層,M層,C層)が昇華インク層である場合を挙げることができる。この場合、印刷面に転写して印刷した溶融インクの上に昇華インクを塗り重ねて印刷することができない事態を回避すべく、溶融インクを転写する部分の下地となる受容層(受像層)を、昇華インクの印刷処理前に印刷して形成する必要がある。そこで、転写層1セットにおけるSP層の種類を複数に設定し、複数種類のSP層のうち1種類のSP層を受容層(受像層)に設定し、他のSP層を溶融インク層に設定することによって、上記不具合を解消することができる。
また、SP層の種類によっては、視認できないことが望ましい情報を特殊印刷処理によって印刷面に印刷した場合であっても、印刷面における特殊印刷部分が、他の部分と比較して相対的に変色している等の事象に起因して視認可能な状態になったり、特殊印刷処理後に重ね塗りする基本色インク層(例えばY,M,C)の印刷品質(色)にも影響が出るおそれがある。この場合、転写層1セットにおけるSP層の種類を複数に設定し、相対的に先に特殊印刷処理に用いられるSP層と同じ色のSP層を転写層1セット内に形成することで、視認可能な状態になることを防止したり、重ね塗りする基本色インク層の印刷品質(色)への影響を抑えることが可能である。
また、印刷面のうち所定部分にだけ特殊印刷を行うことが要求されるケースであれば、図12及び図13に示すように、転写層1セットrs分における特殊転写層単位塗布長さL2を、複数枚の印刷面に全面印刷可能な長さに設定している非特殊転写層単位塗布長さL1の半分よりもさらに短い長さ(図示例では非特殊転写層単位塗布長さL1の4分の1の長さ)に設定することも可能である。このような構成を採用することで、転写層1セットrs分の全長L3をより一層短くすることができ、インクリボンロールにセットされる1巻き分のインクリボンで印刷可能な印刷面数の増加に貢献する。
また、図14に示すように、転写層1セットrs分における特殊転写層単位塗布長さL2を、非特殊転写層単位塗布長さL1よりも短く(図示のようなL1がL2の4分の1であることに限定されず)設定しつつ、SP層r5を、インクリボンRの幅方向(インクリボンRを横断する方向)における一部分にのみ有するインクリボンRを適用することも可能である。SP層r5の平面サイズ(塗布面積)を、印刷面のうち特殊印刷を行うことが要求される所定部分の平面サイズと同じか一回り大きいサイズに限定することで、非特殊転写層よりも高価であるSP層r5の塗布量を最小限にとどめることができ、インクリボンR自体のコストダウンも図ることができる。
また、転写層1セット分における非特殊転写層単位塗布長さを、3枚以上の印刷面に対して非特殊転写層をそれぞれ全面印刷可能な長さに設定したインクリボンを適用することもできる。この場合、転写層1セット分における特殊転写層単位塗布長さは、非特殊転写層単位塗布長さよりも短ければよく、1枚の印刷面に対して特殊印刷可能な長さに設定してもよいし、2枚の印刷面に対して特殊印刷可能な長さに設定してもよい。そして、各非特殊転写層を、それぞれフィルム基材の長手方向に、印刷処理可能な印刷面の数(例えば3)で等分した転写エリアに区分けすることで、非特殊転写層毎に各転写エリアを使用して各印刷面に対する印刷処理を行うことができる。
また、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な複数の印刷面に、それぞれ特殊印刷を行うように設定することも可能である。一例として、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な2枚の印刷面における特殊印刷を施す部分が何れも異なっていることが要求されるケースであれば、転写層1セット分における特殊転写層を、1枚目の印刷面に対する特殊印刷に使用する転写エリア、2枚目の印刷面に対する特殊印刷に使用する転写エリアに区分けすることで、1枚目の印刷面及び2枚目の印刷面の何れにも転写層1セット分の特殊転写層により特殊印刷を部分的に施すことができる。転写層1セット分における特殊転写層を複数の転写エリアに区分けする方向は、インクリボンの長手方向であってもよいし、インクリボンの幅方向であってもよい。
なお、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面が3以上である場合であっても、転写層1セット分における特殊転写層を、印刷可能な印刷面の数と同数の転写エリアに区分けすることで、各印刷面に特殊印刷を行うことが可能である。また、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面が3以上である場合に、転写層1セット分における特殊転写層を、印刷可能な印刷面の数よりも少ない数の転写エリアに区分けし、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面のうち全枚数ではない限られた枚数の印刷面(1枚の印刷面であってもよいし、複数枚の印刷面であってもよい)に特殊印刷を行うように設定することも可能である。
ここで、転写層1セット分における非特殊転写層単位塗布長さを、複数の印刷面に対してそれぞれ全面印刷可能な長さに設定し、且つ特殊転写層単位塗布長さを、非特殊転写層単位塗布長さよりも短く設定する構成において、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面の数を多く設定するほど、上述のインクリボンの長手方向に隣り合う転写層同士の境界部分に付帯される識別ラインの数を削減することができ、インクリボンロールにセットされる1巻き分のインクリボンで印刷可能な印刷面数を増加させることができる。しかしながら、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面の数を多く設定するほど、転写層1セット分における各非特殊転写層を区分けした転写エリア数(転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面と同数)の増加に応じて、インクリボンの巻き取り処理及び巻き戻し処理の回数も多くなり、熱によってインクリボンが熱によって変形したり、インクリボンに皺が生じたり、あるいはインクリボンのスキュー現象(斜行)が発生する確率が高まるというデメリットもある。したがって、実際の使用に好適に耐え得る構成としては、上述の実施形態で述べたように、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面の数を「2」に設定した構成を挙げることができる。もちろん、転写層1セット分の非特殊転写層で印刷可能な印刷面の数が「2」に限定されないことは上述の通りである。
また、印刷媒体が、印刷面を片面にだけ設定したものであってもよい。この場合、転写層1セット分における非特殊転写層を使用して、複数枚の印刷媒体に対して印刷面である各片面に全面印刷を施すことができ、それら全面印刷した複数の印刷面のうち、1又は複数の印刷面にだけ転写層1セット分における特殊転写層を使用して特殊印刷を施すように設定することができる。
また、転写層1セット分において非特殊転写層をインクリボンの長手方向に沿って区分けした複数の転写エリアのうち、インクリボンの巻き取り方向下流側の転写エリアから使用し始めるか、インクリボンの巻き取り方向上流側の転写エリアから使用し始めるかは適宜選択して設定すればよい。転写層1セット分において特殊転写層をインクリボンの長手方向に沿って複数の転写エリアに区分けした場合も同様である。なお、図7、図8、図11乃至図14(特に図8参照)では、各転写層における転写エリアの長手方向を、インクリボンの幅方向(長手方向と直交する方向)に一致させた場合を例示しているが、印刷処理時の印刷面の向きが搬送方向に沿って縦長の向きであれば、それに応じて、各転写層における転写エリアの長手方向をインクリボンの長手方向に一致させればよい。また、印刷面の平面サイズに応じて、各転写層における転写エリアを、長方形状ではなく、正方形状或いは四角形を除く多角形等の適宜の形状をなす平面サイズに設定することも可能である。
転写層1セットにおける特殊転写層の平面サイズを、印刷面1枚あたりの平面サイズと同じか同じ以上のサイズに設定している場合には、特殊転写層を転写する印刷面に対して、その印刷面の全体または略全体に特殊転写層を転写して印刷することも可能である。
印刷媒体として、ロール紙タイプのものを適用することもできる。この場合、供給給において巻回されているロール紙状の印刷媒体を、適宜のタイミング(印刷部による印刷処理後でもよいし、印刷部による印刷処理前であってもよい)で所定サイズに切断することで、カット紙状の印刷媒体を排出部から排出することができる。
また、排出時における印刷媒体の向き(姿勢)と、供給部に収容している時点における印刷媒体の向き(姿勢)が相互に同一となるように設定したプリンタを適用することも可能である。この場合、上述の実施形態におけるカード姿勢変更部は不要となる。
また、上述の位置決め部を省略したり、搬送部を構成する搬送ローラや、カード形成媒体の通過を検知するセンサの数や配置箇所を適宜変更することも可能である。
上述した実施形態では、印刷部でインクリボンの各転写層を印刷媒体に直接熱転写するようにしたが、インクリボンから中間転写フィルムに転写したのち、カード形成媒体に再転写するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、印刷媒体の表裏面を反転する反転部を、印刷部による印刷処理時における印刷媒体の搬送経路と同一直線上に配置した構成を例示したが、供給部から供給される際の印刷媒体の搬送経路(上述の実施形態であれば供給部から上方へ繰り出される際の印刷媒体の搬送経路)と同一直線上に反転部を配置した構成を採用することもできる。また、上述の実施形態では、印刷媒体が送り込まれる回転体(回転ドラム)を180度回転させることで印刷媒体の表裏面を反転する反転部を例示したが、他の構成によって印刷媒体の表裏面を反転する反転部を採用してもよい。
本発明のプリンタが、印刷媒体の片面にのみ印刷処理可能なものである場合、上述の反転部は不要になる。
本発明に係るプリンタの作動を制御する制御部は、プリンタ内部に設けたCPU等の演算処理装置(コントローラ部)単独で構成されたり、或いはプリンタに無線又は有線で接続された情報処理端末装置が有する演算処理装置(コントローラ部)を用いて構成されるようにしてもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。