相互接続されるデバイスの数及び速度が増加するにつれて、かかるデバイス間で信号を伝達する電気ケーブルは、より小さく、並びに許容不可能な干渉、すなわちクロストークを有することなく、より高速な信号を伝達することができる必要がある。隣接する導体により伝達される信号間の相互作用を低減するために、いくつかの電気ケーブルにおいて遮蔽が使用される。本明細書に記載されるケーブルの多くは、概ね平坦な構成を有し、ケーブルの長さに沿って延在する導体セット、並びにケーブルの対向する側に配置される電気遮蔽フィルムを含む。隣接する導体セット間の、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、導体セットを互いに電気的に分離するのに役立つ。ケーブルの多くはまた、遮蔽部に電気的に接続し、ケーブルの長さに沿って延在するドレインワイヤも含む。本明細書において記載されるケーブル構成は、導体セット及びドレインワイヤへの接続を簡略化し、ケーブル接続部位の寸法を低減し、及び/又はケーブルのマス終端の機会を提供するのに役立つことができる。
図1は、ケーブル2の幅、wの全て又は一部に沿って互いに間隔を置いて配置され、ケーブル2の長さ、Lに沿って延在する複数の導体セット4を含む、代表的な遮蔽電気ケーブル2を示す。ケーブル2は、図1に例示される概ね平坦な構成で構成されてもよく、又はその長さに沿った1つ以上の位置において折り曲げられた構成へと折り曲げられてもよい。いくつかの実施において、ケーブル2のいくつかの部分は、平坦な構成で配置されてもよく、ケーブルの他の部分が折り曲げられてもよい。いくつかの構成において、ケーブル2の導体セット4の少なくとも1つが、ケーブル2の長さ、Lに沿って延在する2つの絶縁導体6を含む。導体セット4の2つの絶縁導体6は、ケーブル2の長さ、Lの全て又は一部分に沿って実質的に平行に配置されてもよい。絶縁導体6は、絶縁信号線、絶縁電源線、又は絶縁接地線を含んでもよい。2つの遮蔽フィルム8は、ケーブル2の対向する側に配置される。
第1及び第2遮蔽フィルム8は、横断面においてケーブル2がカバー領域14及び挟まれた領域18を含むように配置される。ケーブル2のカバー領域14において、第1及び第2遮蔽フィルム8のカバー部分7は横断面において各導体セット4を実質的に包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所与の導体セットの外辺部の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を合計で包含し得る。第1及び第2遮蔽フィルムの挟まれた部分9は、各導体セット4の各側で、ケーブル2の挟まれた領域18を形成する。ケーブル2の挟まれた領域18において、遮蔽フィルム8の一方又は両方がたわみ、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を更に近接させる。図1に示されるように、いくつかの構成において、遮蔽フィルム8の両方が、挟まれた領域18においてたわみ、挟まれた部分9を更に近接させる。いくつかの構成において、ケーブルが平坦又は畳まれない構成にあるとき、遮蔽フィルムの一方が挟まれた領域18において比較的平坦なままであってもよく、ケーブルの対向する側の他方の遮蔽フィルムは偏倚されて、遮蔽フィルムの挟まれた部分を更に近接させる場合がある。
導体6は任意の好適な導電材料を含んでもよく、かつ様々な断面形状及び寸法を有してもよい。例えば、断面において、導体及び/又は接地ワイヤは環状、楕円、矩形、又は任意の他の形状であってもよい。ケーブル内の1つ以上の導体及び/又は接地ワイヤは、このケーブル内の他の1つ以上の導体及び/又は接地ワイヤとは異なる1つ形状及び/又は寸法を有してもよい。導体及び/又は接地ワイヤは単線又は撚り線であってもよい。ケーブル内の導体及び/又は接地ワイヤの全ては撚り線であってもよく、全てが単線であってもよく、あるいは一部が撚り線で、一部が単線であってもよい。撚り線の導体及び/又は接地ワイヤは異なる寸法及び/又は形状を呈してもよい。伝導体及び/又は接地ワイヤは、金、銀、錫、及び/又は他の材料などの様々な金属及び/又は金属材料でコーティングされても、又はメッキが施されてもよい。
導体セットの導体を絶縁するために使用される材料は、ケーブルの所望電気的特性を達成する任意の好適な材料であってもよい。一部の場合には、使用される絶縁体は、誘電率及びケーブルの全体的な厚さを低減するために空気を含む、発泡絶縁体であってもよい。
遮蔽フィルム8は、銅、銀、アルミニウム、金、及び/又はこれらの合金を含むがこれらに限定されない導電材料を含んでもよい。遮蔽フィルム8は、導電層及び/又は非導電層の複数の層を含んでもよい。一部の場合には、1つ以上の遮蔽フィルム8は、導電材料を含む導電性層と、非導電性高分子層を含み得る。遮蔽フィルム8は、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さと、2mm未満、又は1mm未満であり得るケーブルの全体厚さを有してもよい。
ケーブル2はまた、少なくとも挟まれた部分9の間の遮蔽フィルム8の間に配置される接着剤層10を含んでもよい。接着剤層10は、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を、ケーブル2の挟まれた領域18において互いに結合する。接着剤層10は、ケーブル2のカバー領域14に存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
一部の場合には、導体セット4は、横断面において実質的に曲線的形状のエンベロープ又は外辺部を有し、遮蔽フィルム8は、ケーブル6の長さLの少なくとも部分に沿って、及び好ましくはケーブル6の長さLの実質的に全てに沿って断面形状に一致し、かつこれを維持するように、導体セット4の周囲に配置される。断面形状を維持することは、導体セット4の設計において意図されるように、導体セット4の電気的特性を維持する。導体セットの周辺に導電性遮蔽体を配置することが、導体セットの断面形状を変化させる場合には、これはいくつかの従来の遮蔽電気ケーブルをしのぐ利点である。
図1に例示される実施形態において、各導体セット4が2つの絶縁導体6を有するが、他の実施形態において、導体セットの一部又は全てが1つの絶縁導体のみを含んでもよく、又は3つ以上の絶縁導体6を含んでもよい。例えば、図1のものと同様の設計の別の遮蔽電気ケーブルは、8つの絶縁導体6を有する1つの導体セット、又はそれぞれ1つの絶縁導体6のみを有する8つの導体セットを含み得る。導体セット及び絶縁導体の構成におけるこの柔軟性は、開示される遮蔽電気ケーブルが、広範な意図される用途において好適であるような方法で構成されることを可能にする。例えば、導体セット及び絶縁導体は、複数の二芯同軸ケーブル(すなわち、それぞれが絶縁導体を有する複数の導体セット)、複数の同軸ケーブル(すなわち、それぞれが1つの絶縁された導体のみを有する複数の導体セット)、又はこれらの組み合わせを形成するように構成され得る。いくつかの実施形態において、導体セットは、1つ以上の絶縁導体の周辺に配置される導電性遮蔽体(図示せず)、及び導電性遮蔽体の周辺に配置される絶縁ジャケット(図示せず)を更に含んでもよい。
図1に図示される実施形態では、遮蔽電気ケーブル2は、任意の接地導体12を更に含む。接地導体12は、接地ワイヤ又はドレインワイヤを含んでもよい。接地導体12は、絶縁導体6から間隔を置いて配置、実質的に絶縁導体6と同じ方向に延在し得る。遮蔽フィルム8は、接地導体12の周囲に配置され得る。接着剤層10は、接地導体12の両側の挟まれた部分9において、遮蔽フィルム8を互いに結合し得る。接地導体12は遮蔽フィルム8の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。
図2a〜2gの断面図は、様々な遮蔽電気ケーブル又はケーブルの部分を表し得る。図2aにおいて、遮蔽電気ケーブル102aは単一の導体セット104を含む。導体セット104は、ケーブルの長さに沿って延在し、単一の絶縁導体106のみを有する。必要に応じて、ケーブル102aは、ケーブル102aの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、ケーブルの長さに沿って延在する複数の導体セット104を含むように作製され得る。2つの遮蔽フィルム108は、ケーブルの対向する側に配置される。ケーブル102aは、カバー領域114及び挟まれた領域118を含む。ケーブル102aのカバー領域114において、遮蔽フィルム108は、導体セット104を被覆するカバー部分107を含む。横断面において、カバー部分107は組み合わせて、導体セット104を実質的に包囲する。ケーブル102aの挟まれた領域118において、遮蔽フィルム108は導体セット104の各側に挟まれた部分109を含む。
任意の接着剤層110は遮蔽フィルム108の間に配置されてもよい。遮蔽電気ケーブル102aは、任意の接地導体112を更に含む。接地導体112は、絶縁導体106から間隔を置いて配置され、かつ実質的に絶縁導体106と同じ方向に延在する。導体セット104及び接地導体112は、図2aに例示されるようにこれらが一般的に平面にあるようにして構成され得る。
遮蔽フィルム108の第2カバー部分113は、接地導体112の周囲に配置されて、これをカバーする。接着剤層110は、接地導体112の両側で遮蔽フィルム108を互いに結合し得る。接地導体112は遮蔽フィルム108の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。図2aにおいて、絶縁導体106及び遮蔽フィルム108は、同軸ケーブル構成において有効に配置される。図2aの同軸ケーブル構成は、シングエンド回路配列において使用され得る。
図2aの横断面図において例示されるように、遮蔽フィルム108のカバー部分107の間に最大離間距離、Dが存在し、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に最小離間距離、d1が存在する。
図2aは、ケーブル102aの挟まれた領域118における遮蔽フィルム108の挟まれた部分109間に配置され、ケーブル102aのカバー領域114における遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間に配置される、接着層110を示す。この構成において、接着層110は、ケーブルの挟まれた領域118において遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を一緒に結合し、遮蔽フィルム108のカバー部分107を、ケーブル102aのカバー区域114における絶縁導体106に結合する。
図2bの遮蔽付きケーブル102bは、図2aのケーブル102aと類似しており、同様の要素は、同様の参照番号によって特定されるが、ただし図2bでは、任意選択的な接着剤層110bが、ケーブル102bのカバー領域114内の、遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間には存在しない。この構成において、接着層110bは、ケーブルの挟まれた領域118において遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を一緒に結合するが、接着層110bは、ケーブル102bのカバー領域114においては、遮蔽フィルム108のカバー部分107を、絶縁導体106に結合しない。
図2cを参照すると、遮蔽付き電気ケーブル202cは、図2aの遮蔽付き電気ケーブル102aと類似しているが、ただしケーブル202cは、2つの絶縁導体206を有する単一の導体セット204を有する。必要に応じて、ケーブル202cは、ケーブル202aの幅にわたって間隔を置いて配置され、ケーブルの長さに沿って延在する複数の導体セット204を含むように作製され得る。絶縁導体206は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸構成に有効に配置される。図2cの二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路配列又はシングエンド回路構成で使用され得る。
2つの遮蔽フィルム208は、導体セット204の対向する面に配置される。ケーブル202cは、カバー領域214及び挟まれた領域218を含む。ケーブル202のカバー領域214において、遮蔽フィルム208は、導体セット204を被覆するカバー部分207を含む。横断面において、カバー部分207は組み合わせて、導体セット204を実質的に包囲する。ケーブル202の挟まれた領域218において、遮蔽フィルム208は導体セット204の各側に挟まれた部分209を含む。
任意の接着剤層210cは遮蔽フィルム208間に配置されてもよい。遮蔽電気ケーブル202cは、前述の接地導体112と同様の光学接地導体212cを更に含む。接地導体212cは、絶縁導体206cから間隔を置いて配置され、かつ実質的に絶縁導体206cと同じ方向に延在する。導体セット204c及び接地導体212cは、図2cに例示されるように、これらが概ね平面に位置するように配置され得る。
図2cに例示されるように、遮蔽フィルム208cのカバー部分207c間には最大離間距離、Dが存在し、遮蔽フィルム208cの挟まれた部分209cの間には最小離間距離、d1が存在し、絶縁導体206cの間の遮蔽フィルム208cの間には、最小離間距離、d2が存在する。
図2cは、ケーブル202の挟まれた領域218における遮蔽フィルム208の挟まれた部分209間に配置され、ケーブル202cのカバー領域214において遮蔽フィルム208のカバー部分207と絶縁導体206との間に配置される、接着層210cを示す。この構成において、接着層210cは、ケーブル202cの挟まれた領域218において遮蔽フィルム208の挟まれた部分209を一緒に結合し、遮蔽フィルム208のカバー部分207を、ケーブル202cのカバー領域214における絶縁導体206に結合する。
図2dの遮蔽付きケーブル202dは、図2cのケーブル202cと類似しており、同様の要素は、同様の参照番号によって特定されるが、ただしケーブル202d内では、任意選択的な接着剤層210dが、ケーブルのカバー領域214内の、遮蔽フィルム208のカバー部分207と絶縁導体206との間には存在しない。この構成において、接着層210dは、ケーブルの挟まれた領域218において遮蔽フィルム208の挟まれた部分209を一緒に結合するが、遮蔽フィルム208のカバー部分207を、ケーブル202dのカバー領域214における絶縁導体206に結合しない。
ここで図2eを参照すると、図2aの遮蔽付き電気ケーブル102aと多くの点で類似する、遮蔽付き電気ケーブル302の横断面図が示される。しかしながら、ケーブル102aが、単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含む一方で、ケーブル302は、ケーブル302の長さに沿って延在する2つの絶縁導体306を有する単一の導体セット304を含む。ケーブル302は、ケーブル302の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル302の長さに沿って延在する、複数の導体セット304を有するように作製され得る。絶縁導体306は、ツイストペアケーブル構成で有効に配置され、これにより絶縁導体306が互いに周囲で巻き付けられてケーブル302の長さに沿って延在する。
図2fは、図2aの遮蔽電気ケーブル102aに関しても多くにおいて類似する、別の遮蔽電気ケーブル402を表す。しかしながら、ケーブル102aが、単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含む一方で、ケーブル402は、ケーブル402の長さに沿って延在する4つの絶縁導体406を有する単一の導体セット404を含む。ケーブル402は、ケーブル302の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル302の長さに沿って延在する、複数の導体セット404を有するように作製され得る。
絶縁導体306は、カッドケーブル構成において有効に配置され、これにより絶縁導体306は、絶縁導体106fがケーブル302の長さに沿って延在するとき、互いに巻き付けられてもよく、そうでなくてもよい。
図2a〜2fに戻って参照すると、遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、概ね単一平面に配置された複数の間隔を置いて配置された導体セット104、204、304、若しくは404、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。任意に、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から間隔を置いて配置され、かつ概ねこれと同じ方向に延在する複数の接地導体112を含んでもよい。いくつかの構成において、導体セット及び接地導体は、概ね単一の平面において配置され得る。図2gは、このような遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態を図示する。
図2gを参照すると、遮蔽電気ケーブル502は、概ね平面に配置される複数の間隔を置いて配置された導体セット504a、504bを含む。遮蔽電気ケーブル504は、導体セット504aと504bとの間で、かつ遮蔽電気ケーブル504の両面又は縁部において配置された、任意の接地導体112を更に含む。
第1及び第2遮蔽フィルム508は、ケーブル504の対向する側に配置され、横断面においてケーブル504がカバー領域524及び挟まれた領域528を含むように配置される。ケーブルのカバー領域524において、第1及び第2遮蔽フィルム508のカバー部分517は横断面において各導体セット504a、506bを実質的に包囲する。例えば、組み合わされた第1及び第2遮蔽フィルムのカバー部分は、各導体セットの外辺部の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。第1及び第2遮蔽フィルム508の挟まれた部分519は、各導体セット504a、504bの2つの側の挟まれた領域518を形成する。
遮蔽フィルム508は接地導体112の周辺に配置される。任意の接着層510は、遮蔽フィルム208の間に配置され、各導体セット504a、504bの両側の挟まれた領域528において、遮蔽フィルム508の挟まれた部分519を互いに結合する。遮蔽電気ケーブル502は、同軸ケーブル構成(導体セット504a)及び二芯同軸ケーブル構成(導体セット504b)の組み合わせを含み、したがってハイブリッドケーブル構成と呼ばれることがある。
図3は、プリント基板14に終端された2つの遮蔽電気ケーブルを図示する。絶縁導体6及び接地導体12は概ね単一平面に配置される得るため、遮蔽電気ケーブル2はマスストリッピング(mass-stripping)(すなわち遮蔽フィルム8及び絶縁導体6の同時のストリッピング)、及びマス終端(すなわち絶縁導体6及び接地導体12のストリッピングされた端部の同時の終端)に好適であり、これはより自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。図3において、絶縁導体6及び接地導体12のストリッピングされた端部は、プリント基板14上の接点要素16に終端される。絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は、任意の好適な終端点の任意の好適な個別の接点要素、例えば電気コネクタの電気接点などに終端されてもよい。
図4a〜4dは、遮蔽電気ケーブル302の、プリント基板又は他の終端構成要素314への代表的な終端プロセスを例示する。この終端プロセスは、マス終端プロセスであってもよく、ストリッピング(図4a〜4d)、位置合わせ(図4cに図示される)、及び終端(図4dに図示されている)の工程を含む。本明細書において示される、及び/又は記載されるケーブルのいずれかの形態を一般的に取り得る、遮蔽電気ケーブル302を形成するとき、遮蔽電気ケーブル302の導体セット304、絶縁導体306、及び接地導体312の構成は、プリント基板314の接点要素316の構成に一致させることができ、これは、位置合わせ及び終端の間の、遮蔽電気ケーブル302の末端部分のいずれか著しい操作を排除する。
図4aに図示されている工程では、遮蔽フィルム308の末端部分308aは削除されている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306及び接地導体312の末端部分を露出させる。一態様において、遮蔽フィルム308の末端部分308aのマスストリッピングが可能であるのは、それらが、絶縁導体306の絶縁体から別個である、一体化的に接続された層を形成するためである。絶縁導体306から遮蔽フィルム308を取り除くことは、これらの位置における短絡に対する保護を可能にし、また、絶縁導体306及び接地導体312の露出した末端部分の独立した動きをもたらす。図4bに図示された工程では、絶縁導体306の絶縁体の末端部分306aが取り除かれている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体306の導体の末端部分を露出させる。図4cに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル302は、遮蔽電気ケーブル302の絶縁導体306の導体の末端部分と、接地導体312の末端部分が、プリント基板314の接点要素316と位置合わせされるように、プリント基板314と位置合わせされる。図3dに図示された工程では、遮蔽電気ケーブル302の絶縁導体306の導体の末端部分、及び接地導体312の末端部分は、プリント基板314の接点要素316に終端される。使用され得る好適な終端方法の例には、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、接着結合が挙げられる。
図5は、本発明の一態様による遮蔽電気ケーブルの他の代表的な実施形態を図示する。遮蔽電気ケーブル602は、図1に図示される遮蔽電気ケーブル2とある点で類似している。更に、遮蔽電気ケーブル602は、導体セット4間に配置される1つ以上の長手方向のスリット又は分割部18を含む。分割部18は、遮蔽電気ケーブル602の長さの少なくとも一部分に沿って、個々の導体セットを分離し、これによってケーブル602の少なくとも横方向の可撓性を増加させる。これは、例えば、遮蔽電気ケーブル602が、曲線状の外部ジャケット内に、より容易に配置されることを可能にし得る。他の実施形態では、分割部18は、例えば個々の又は複数の導体セット4及び接地導体12を分離するように配置されてもよい。導体セット4及び接地導体12の間隔を維持するために、分割部18は、遮蔽電気ケーブル602の長さに沿って不連続であってもよい。マス終端能力を維持するように、遮蔽電気ケーブル602の少なくとも1つの端部Aにおいて、導体セット4と接地導体12の間隔を維持するために、分割部18はケーブルの末端部分Aの一方又は両方内に延在しなくてもよい。分割部18は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブル602に形成されてもよい。長手方向の分割部の代わりに、又はこれと組み合わせて、開口部の他の好適な形状、例えば穴などが開示の電気ケーブル602に形成されて、電気ケーブル602の少なくとも横方向の可撓性を増加させてもよい。
図6は、本発明の一態様による遮蔽電気ケーブルの他の代表的な実施形態を図示する。遮蔽電気ケーブル702は、図5に図示される遮蔽電気ケーブル602と類似している。有効に、遮蔽電気ケーブル702では、導体セット4の1つは2つの接地導体12によって置き換えられる。遮蔽電気ケーブル702は、長手方向の分割部18及び18’を含む。分割部18は、遮蔽電気ケーブル702の長さの部分に沿って個々の導体セット4を分離し、遮蔽電気ケーブル702の末端部分A内には延在しない。分割部18’は、遮蔽電気ケーブル702の長さに沿って個々の導体セット4を分離し、遮蔽電気ケーブル702の末端部分A内に延在し、これは遮蔽電気ケーブル702を2つの個々の遮蔽電気ケーブル702’、702’’に有効に分割する。遮蔽フィルム8及び接地導体12は、遮蔽電気ケーブル702’、702’’のそれぞれにおいて連続した接地面を提供する。この代表的な実施形態は、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの平行処理能力の利点を示し、これによって複数の遮蔽電気ケーブルが同時に形成され得る。
開示される遮蔽ケーブルに使用される遮蔽フィルムは、様々な構成を有し、様々な方法で作製され得る。図7a〜7dは、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの4つの代表的な実施形態を図示する。図7a〜7dは、遮蔽電気ケーブルの遮蔽フィルムの構造体の様々な実施例を図示する。一態様では、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層及び非導電性高分子層を含む場合がある。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これに限定されない任意の好適な導電材料を含んでもよい。非導電性高分子層は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。非導電性高分子層は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含む場合がある。別の態様において、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される積層接着層を含んでもよい。非導電性層上に配置される導電性層を有する、ないしは別の方法で、導電性である1つの主要外側表面、及び実質的に非導電性である、対向する主要外側表面を有する遮蔽フィルム関して、遮蔽フィルムは、所望によりいくつかの異なる向きで遮蔽ケーブル内に組み込まれてもよい。いくつかの場合において、例えば、導電性表面が絶縁ワイヤ及び接地ワイヤの導体セットに面してもよく、いくつかの場合において、非導電性表面がこれらの構成要素と面してもよい。2つの遮蔽フィルムが、ケーブルの対向する側で使用される場合において、フィルムは、それらの導電性表面が互いに面し、かつそれぞれが、導電性セット及び接地ワイヤに面するように方向付けられてもよく、又はそれらは、それらの非導電性表面が互いに面し、かつそれぞれが導体セット及び接地ワイヤに面するように方向付けられてもよく、又はそれらは、1つの遮蔽フィルムの導電性表面が導体セット及び接地ワイヤに面し、その一方で、他の遮蔽フィルムの非導電性表面が、ケーブルの他方の面から導体セット及び接地ワイヤと面するように方向付けられてもよい。
いくつかの場合において、遮蔽フィルムの少なくとも1つが、適合する、すなわち可撓性金属箔などの単独型導電性フィルムを含んでもよい。遮蔽フィルムの構造体は、例えば、遮蔽電気ケーブルの可撓性、電気性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び位置など)など、対象用途に好適な設計パラメータの数を基準として選択されてもよい。いくつかの場合において、遮蔽フィルムは、一体形成された構成体を有する。いくつかの場合において、遮蔽フィルムは、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得る。遮蔽フィルムは、所望により導体セット間の離間距離、遮蔽、及び正確な間隔を提供し、かつより自動化され、より低コストのケーブル製造プロセスを可能にする。更に、遮蔽フィルムは、「信号サックアウト(signal suck-out)」として知られ、これにより高い信号の減衰が特定の周波数帯域で生じるケーブルの共振による挿入損失を防ぐ。この現象は一般的に、導電性遮蔽体が導体セットの周囲に巻き付けられている従来の遮蔽電気ケーブルに発生する。
図7aは、信号導体セット804を示す遮蔽電気ケーブル802の幅にわたる横断面図である。導体セット804は、ケーブル802の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体806を含む。ケーブル802は、ケーブル802の幅にわたって互いから間隔を置いて配置された複数の導体セット804を含み得る。2つの遮蔽フィルム808は、ケーブル802の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム808のカバー部分807は組み合わされて、ケーブル802のカバー領域814における導体セット804を実質的に包囲する。例えば、組み合わされた第1及び第2遮蔽フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットの外辺部の少なくとも70%を囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。遮蔽フィルム808の挟まれた部分809は、導体セット804の各側に、ケーブル802の挟まれた領域818を形成する。
遮蔽フィルム808は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809を、ケーブル802の挟まれた領域818において互いに結合する、任意の接着層810a、810bを含み得る。接着層810aは、非導電性高分子層808bのうちの1つ上に配置され、接着層810bは、非導電性高分子層808bのもう一方の上に配置される。接着層810a、810bは、ケーブル802のカバー領域814において存在してもよく、又は存在しなくてもよい。存在する場合には、接着剤層810a、810bは、遮蔽フィルム808のカバー部分807の幅にわたって完全に、又は部分的に延在して、遮蔽フィルム808のカバー部分807を、絶縁導体806に結合することができる。
この実施例では、絶縁導体806及び遮蔽フィルム808は、概ね単一平面に、かつ有効に二芯同軸構成に配置され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽フィルム808は、導電性層808a及び非導電性高分子層808bを含む。非導電性高分子層808bは、絶縁導体806に面する。導電性層808aは、任意の好適な方法を使用して、非導電性高分子層808b上に堆積されてもよい。
図7bは、単一の導体セット904を示す遮蔽電気ケーブル902の幅にわたる横断面図である。導体セット904は、ケーブル902の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体906を含む。ケーブル902は、ケーブル902の幅に沿って互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル902の長さに沿って延在する、複数の導体セット904を含み得る。2つの遮蔽フィルム908は、ケーブル902の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム908のカバー部分907は組み合わされて、ケーブル902のカバー領域914における導体セット904を実質的に包囲する。遮蔽フィルム908の挟まれた部分909は、導体セット904の各側に、ケーブル902の挟まれた領域918を形成する。
1つ以上の任意の接着層910a、910bは、遮蔽フィルム908の挟まれた部分909を、導体セット904の両側の挟まれた領域918において、型に結合する。接着層910a、910bは遮蔽フィルム908のカバー部分907の幅にわたって完全に又は部分的に延在する場合がある。絶縁導体906は概ね一平面に配置され、かつ有効に二芯同軸ケーブル構成を形成し、シングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽フィルム908は、導電性層908a及び非導電性高分子層908bを含む。導電性層908aは、絶縁導体906に面する。導電性層908aは、任意の好適な方法を使用して、非導電性高分子層908b上に堆積されてもよい。
図7cは、信号導体セット1004を示す遮蔽電気ケーブル1002の幅にわたる横断面図である。導体セット1004は、ケーブル1002の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体1006を含む。ケーブル1002は、ケーブル1002の幅に沿って互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1002の長さに沿って延在する、複数の導体セット1004を含み得る。2つの遮蔽フィルム1008は、ケーブル1002の対向する側に配置され、かつカバー部分1007を含む。横断面において、カバー部分1007は組み合わされて、ケーブル1002のカバー領域1014における導体セット1004を実質的に包囲する。遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009は、導体セット1004の各側に、ケーブル1002の挟まれた領域1018を形成する。
遮蔽フィルム1008は、挟まれた領域1018内の、導体セット1004の両側上で、遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009を互いに結合する、1つ以上の任意の接着剤層1010a、1010bを含む。接着層1010a、1010bは遮蔽フィルム1008のカバー部分1007の幅にわたって完全に又は部分的に延在する場合がある。絶縁導体1006は一般的に単一平面に、かつ有効に二芯同軸ケーブル構成に構成され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽フィルム1008は、単独型の導電性フィルムを含む。
図7dは、信号導体セット1104を示す遮蔽電気ケーブル1102の横断面図である。導体セット1104は、ケーブル1102の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体1106を含む。ケーブル1102は、ケーブル1102の幅に沿って互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1102の長さに沿って延在する、複数の導体セット1104を含み得る。2つの遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の対向する側に配置され、かつカバー部分1107を含む。横断面において、カバー部分1107は組み合わされて、ケーブル1102のカバー領域1114における導体セット1104を実質的に包囲する。遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109は、導体セット1104の各側に、ケーブル1102の挟まれた領域1118を形成する。
遮蔽フィルム1108は、1つ以上の任意の接着層1110を含み、これは遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109を、導体セット1104の両側で挟まれた領域1118において互いに結合する。接着層1010a、1010bは遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の幅にわたって完全に又は部分的に延在する場合がある。
絶縁導体1106は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸ケーブル構成に有効に配置される。二芯同軸ケーブル構成は、差動回路構成又はシングエンド回路構成で使用され得る。遮蔽フィルム1108は、導電性層1108aと、非導電性高分子層1108bと、導電性層1108aと非導電性高分子層1108bとの間に配置される積層接着層1108cとを含み、これによって導電性層1108aを非導電性高分子層1108bに積層する。導電性層1108aは絶縁導体1106に面する。
本明細書の他の部分で論じられるように、ケーブル構成体内で接着剤材料を使用して、ケーブルのカバー領域で、1つ又は2つの遮蔽フィルムを、1つ、一部、若しくは全ての導体セットに結合することができ、かつ/又は接着剤材料を使用して、ケーブルの挟まれた領域で、2つの遮蔽フィルムを一体に結合することができる。接着剤材料の層は、少なくとも1つの遮蔽フィルム上に配置されてもよく、2つの遮蔽フィルムがケーブルの両側で使用される場合においては、接着剤材料の層は、両方の遮蔽フィルム上に配置されてもよい。後者の場合において、一方の遮蔽フィルム上で使用される接着剤は、他方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤と同じであることが好ましいが、必要に応じてこれと異なっていてもよい。所与の接着層は電気的に分離性接着剤を含んでもよく、かつ2つの遮蔽フィルムの間に絶縁性結合部を提供してもよい。更には、所定の接着剤層は、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、若しくは全ての導体セットの、絶縁導体との間、及び少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、若しくは全ての接地導体(存在する場合)との間に、絶縁性結合を提供することができる。あるいは、所与の接着剤層は、導電性
接着剤を含んでもよく、かつ2つの遮蔽フィルムの間に導電性結合を提供してもよい。更に、所与の接着剤層は、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、接地導体(存在する場合)の1つ、いくつか又は全てとの間に導電性結合を提供してもよい。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するために導電性粒子を含む。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子、例えば、球体、フレーク、ロッド、立方体、非晶質、又は他の粒子形状であってあり得る。それらは、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルがコーティングされた銅球体、金属がコーティングされた酸化物、金属がコーティングされた高分子繊維、又は他の類似の導電性粒子など、固体又は実質的に固体粒子であってもよい。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でメッキされている若しくはコーティングされている電気絶縁材料から作製されてもよい。金属がコーティングされた絶縁材料は、実質的に中空の粒子、例えば中空のガラス球体であってもよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物など中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、カーボンナノチューブなど、約数十マイクロメートルから、ナノメーターサイズの大きさまでの材料であってもよい。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスを含んでもよい。
所与のケーブル構造体で使用されるとき、接着層は好ましくは、ケーブルの他の要素に対して、実質的に適合性のある形状を有し、ケーブルの曲げ動作に対して適合性がある。一部の場合には、所与の接着層は実質的に連続的であってもよく、例えば、所与の遮蔽フィルムの所与の主表面の実質的な全体長さ及び幅に沿って延在してもよい。一部の場合には、接着剤層は、実質的に非連続的であってよい。例えば、接着層は、所与の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿ったいくつかの部分にのみ存在してもよい。不連続接着剤層は、例えば、複数個の長手方向の接着ストライプを含み得、この接着ストライプは、例えば、各導体セットの両側の遮蔽フィルムのピンチ部分間、及び接地導体(存在する場合)の側方の遮蔽フィルム間に配置される。所与の接着剤材料は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着剤の少なくとも1つであるか、又はこれを含んでもよい。接着層は、1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合部よりも実質的に強い、遮蔽フィルム間の結合部を提供するように構成されてもよい。これは、例えば、接着剤の配合物の適切な選択によって達成することができる。この接着剤構成の利点は、遮蔽フィルムが、絶縁導体の絶縁体から容易に剥離可能にすることである。他の場合において、接着層は、実質的に同等の強度である、遮蔽フィルムの間の結合部、及び1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合部を提供するように構成されてもよい。この接着剤の構成の利点は、絶縁導体が遮蔽フィルム間に固定されるということである。この構造体を有する遮蔽電気ケーブルが曲げられたとき、これは相対運動を小さくすることができ、したがって遮蔽フィルム座屈の可能性を低減する。好適な結合強度は対象用途によって選択されてもよい。一部の場合には、約0.13mm未満の厚さを有する、適合性の接着層が使用され得る。代表的な実施形態において、接着層は約0.05mm未満の厚さを有する。
所与の接着層は、遮蔽電気ケーブルの所望の機械的及び電気的性能特性を達成するように適合してもよい。例えば、接着層は、導体セット間の面積における遮蔽フィルム間で、より薄く適合してもよく、これは遮蔽ケーブルの少なくとも横方向可撓性を増加させる。これは、遮蔽されたケーブルが、曲線状の外部ジャケット内に容易に配置されるのを可能にし得る。一部の場合には、接着層は、導体セットに直に隣接する領域においてより厚くなるように適合し、導体セットに実質的に適合してもよい。これは、この領域における機械的強度を増加させ、かつ遮蔽フィルムの曲線形状の形成を可能にすることができ、これは例えば、ケーブルの屈曲中に遮蔽されたケーブルの耐久性を増加させることができる。更に、これは遮蔽されたケーブルの長さに沿って、遮蔽フィルムに対して絶縁導体の位置及び間隔を維持するのに役立つことができ、これは遮蔽されたケーブルの、より均一なインピーダンス及び優れた信号の完全性となり得る。
所与の接着層は、例えば、ケーブルの挟まれた領域における導体セット間の領域において、遮蔽フィルム間で有効に、部分的又は完全に取り除かれるように適合することができる。結果として、遮蔽フィルムは、これらの領域において互いに電気的に接触することができ、これはケーブルの電気性能を増加させ得る。一部の場合には、接着層は、遮蔽フィルムの少なくとも1つと接地導体との間で有効に、部分的若しくは完全に取り除かれるように適合してもよい。結果として、接地導体は、これらの領域における遮蔽フィルムの少なくとも1つと電気的に接触してもよく、これはケーブルの電気的性能を向上させることができる。接着剤の薄い層が、遮蔽フィルムの少なくとも1つと所与の接地導体との間に残る場合でさえも、接地導体上の隆起が薄い接着層を破壊し、意図されるよう電気的な直接的接触を確立することができる。
図8a〜8cは、遮蔽電気ケーブルの3つの代表的な実施形態の断面図であり、これは、遮蔽電気ケーブルにおける接地導体の配置の例を示す。遮蔽電気ケーブルの態様は、遮蔽部の正しい接地であり、このような接地は多くの方法で達成することができる。一部の場合には、所定の接地導体が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと電気的に接触することにより、その所定の接地導体を接地させることはまた、その遮蔽フィルムも接地させることができる。かかる接地導体はまた、「ドレインワイヤ」と称される場合がある。遮蔽フィルムと接地導体との間の電気接点は、比較的低い直流抵抗、例えば10Ω未満、又は2Ω未満、又は実質的に0Ωの直流抵抗により、特徴付けることができる。一部の場合には、所与の接地導体は、遮蔽フィルムと電気的に接触しないが、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個別の終端要素(例えば、プリント基板、パドルボード又は他のデバイス上の導電性経路又は他の接点要素)に個別に終端される、ケーブル構造体における個別の要素であってもよい。かかる設置導体はまた「接地ワイヤ」と称される場合がある。図8aは、接地導体が遮蔽フィルムの外部に配置される、代表的な遮蔽電気ケーブルを例示する。図8b〜8cは、接地導体が、遮蔽フィルム間に配置され、かつ導体セットに含まれ得る実施形態を例示する。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置されてもよい。
図8aを参照し、遮蔽電気ケーブル1202は、ケーブル1202の長さに沿って延在する、単一の導体セット1204を含む。導体セット1204は、2の絶縁導体1206、すなわち、1対の絶縁導体を含む。ケーブル1202は、ケーブルの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1202の長さに沿って延在する、複数の導体セット1204を含んでもよい。ケーブル1202の対向する側に配置された2つの遮蔽フィルム1208は、カバー部分1207を含む。横断面において、カバー部分1207は組み合わせて、導体セット1204を実質的に包囲する。任意の接着層1210は、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209間に配置され、導体セット1204の両側で、遮蔽フィルム1208を互いに結合する。絶縁導体1206は一般的に単一平面に、かつ有効に二芯同軸ケーブル構成に配置され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽電気ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208の外側に配置された複数の接地導体1212を更に含む。接地導体1212は、導体セット1204の上に、これの下に、又は両側に配置される。任意に、遮蔽電気ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208及び接地導体1212を包囲する保護フィルム1220を含む。保護フィルム1220は、保護層1220aと、保護層1220aを遮蔽フィルム1208及び接地導体1212に結合する接着層1220bと、を含む。あるいは、遮蔽フィルム1208及び接地導体1212は、例えば導電性ブレイドなどの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。
図8bを参照し、遮蔽電気ケーブル1302は、ケーブル1302の長さに沿って延在する、単一の導体セット1304を含む。導体セット1304は、2つの絶縁導体1306を含む。ケーブル1302は、ケーブル1302の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1302の長さに沿って延在する、複数の導体セット1304を含んでもよい。2つの遮蔽フィルム1308は、ケーブル1302の対向する側に配置され、かつカバー部分1307を含む。横断面において、カバー部分は組み合わせて、導体セット1304を実質的に包囲する。任意の接着層1310は、遮蔽フィルム1308の挟まれた部分1309間に配置され、導体セット1304の両側で、遮蔽フィルム1308を互いに結合する。絶縁導体1306は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に有効に配置される。遮蔽電気ケーブル1302は、遮蔽フィルム1308間に配置される複数の接地導体1312を更に含む。接地導体1312の2つは、導体セット1304に含まれ、接地導体1312の2つは、導体セット1304から間隔を置いて配置される。
図8cを参照し、遮蔽電気ケーブル1402は、ケーブル1402の長さに沿って延在する、単一の導体セット1404を含む。導体セット1404は、2つの絶縁導体1406を含む。ケーブル1402は、ケーブル1402の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1402の長さに沿って延在する、複数の導体セット1304を含んでもよい。2つの遮蔽フィルム1408は、ケーブル1402の対向する側に配置され、かつカバー部分1407を含む。横断面において、カバー部分1407は組み合わせて、導体セット1404を実質的に包囲する。任意の接着層1410は、遮蔽フィルム1408の挟まれた部分1409間に配置され、導体セット1404の両側で、遮蔽フィルム1408を互いに結合する。絶縁導体1406は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に有効に配置される。遮蔽電気ケーブル1402は、遮蔽フィルム1408間に配置される複数の接地導体1412を更に含む。接地導体1412の全ては、導体セット1404に含まれる。接地導体1412の2つ、及び絶縁導体1406は、概ね単一平面に配置される。
図9a〜9bは、プリント基板1514に終端されたケーブル1502を含む電気アセンブリ1500を図示する。電気アセンブリ1500は、遮蔽電気ケーブル1502及び導電性ケーブルクリップ1522を含む。遮蔽電気ケーブル1502は、概ね単一平面に配置される複数の間隔を置いて配置された導体セット1504を含む。各導体セット1504は、ケーブル1502の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体1506を含む。2つの遮蔽フィルム1508は、ケーブル1502の対向する側に配置され、横断面において、導体セット1504を実質的に包囲する。1つ以上の任意の接着層1510は、遮蔽フィルム1508間に配置され、遮蔽フィルム1508を、各導体セット1504の両側に互いに結合する。
ケーブルクリップ1522は、遮蔽フィルム1508の少なくとも1つが、ケーブルクリップ1522に電気的に接触するようにクランプされるか、ないしは別の方法で、遮蔽電気ケーブル1502の末端部分に取り付けられる。ケーブルクリップ1522は、例えばプリント基板1514上の接点要素1516など、接地基準への終端用に構成され、遮蔽電気ケーブル1502と接地基準との間の接地接続を確立する。ケーブルクリップは、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、及び接着結合を含む任意の好適な方法を使用して接地基準に終端されてもよい。終端時に、ケーブルクリップ1522は、終端ポイントの接点要素(例えば、プリント基板1514上の接点要素1516など)への、遮蔽電気ケーブル1502の絶縁導体1506の導体の末端部分の終端を促進し得る。遮蔽電気ケーブル1502は、遮蔽フィルム1508の少なくとも1つに加えて、又はこれの代わりに、ケーブルクリップ1522に電気的に接触し得る、本明細書に記載されるような1つ以上の接地導体を含んでもよい。
図10a〜10gは、図1において示されるものと実質的に同じであり得る遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を例示する。
図10aに例示される工程において、絶縁導体6は、例えば、押出成形など任意の好適な方法を使用して形成される、ないしは別の方法で提供される。絶縁導体6は、任意の好適な長さで形成されてもよい。絶縁導体6は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さに切断されてもよい。接地導体12(図10c参照)は、同様の方法で形成され、提供され得る。
図10bに図示されている工程において、遮蔽フィルム8が形成される。任意の好適な方法、例えば連続ワイドウェブプロセスなどを使用して、単一層又は多層ウェブが形成されてもよい。各遮蔽フィルム8は、任意の好適な長さで形成されてもよい。遮蔽フィルム8は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さ及び/又は幅に切断されてもよい。遮蔽フィルム8は、横断方向の部分的な折り曲げを有するように事前形成して、長手方向の可撓性を増大させることができる。遮蔽フィルム8の一方又は両方は、適合性接着層10を含んでもよく、これは例えば、積層又はスパッタリングなどの任意の好適な方法を使用して遮蔽フィルム8上に形成され得る。
図10cに図示されている工程では、複数の絶縁導体6、接地導体12、及び遮蔽フィルム8が提供される。形成ツール24が提供される。形成ツール24は、遮蔽電気ケーブル2の所望の断面形状に対応する形状を有する一対の形成ロール26a、26bを含み、形成ツールはまたロール間隙28を含む。絶縁導体6、接地導体12、及び遮蔽フィルム8は所望の遮蔽されたケーブル2の構成(例えば本明細書に示され、及び/又は記載される任意のケーブルなど)に従って配置され、その後、それらは形成ロール26a、26bのロール間隙28内に同時に送達されて、形成ロール26a、26bの間に配置される。形成ツール24は、導体セット4及び接地導体12の周辺に遮蔽フィルム8を形成し、遮蔽フィルム8を互いに、各導体セット4及び接地導体12の両側で結合する。結合を促進するために熱が適用されてもよい。この実施形態では、導体セット4及び接地導体12の周辺に遮蔽フィルム8を形成すること、並びに遮蔽フィルム8を互いに、各導体セット4及び接地導体12の両側で結合することは単一操作で生じるが、他の実施形態では、これらの工程は別個の操作で生じる場合がある。
図10dは、形成ツール24によってそれが形成されるときの遮蔽電気ケーブル2を図示する。図10eに図示されている任意の工程では、長手方向の分割部18は導体セット4間に形成される。分割部18は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブル2に形成されてもよい。
図10fに示される他の任意の工程では、遮蔽電気ケーブル2の遮蔽フィルム8は、挟まれた領域に沿って長さ方向に、複数回にわたって折り曲げて束にされてもよく、並びに、外側導電性遮蔽部30は、任意の好適な方法を使用してこの折り曲げられた束の周囲に提供されてもよい。外部ジャケット32は、例えば、押出成形などの任意の好適な方法を使用して、外側導電性遮蔽部30の周囲に提供されてもよい。いくつかの実施形態において、外側導電性遮蔽部30は省略されてもよく、外部ジャケット32は、折り曲げられた、遮蔽されたケーブルの周囲に提供されてもよい。
図11a〜11cは、遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法の詳細を例示する。図11a〜11c、遮蔽フィルムの形成及び結合中に、1つ以上の接着層がどのように適合可能に形成され得る方法を例示する。
図11aに示される工程において、絶縁導体1606、絶縁導体1606から間隔を置いて配置された接地導体1612、及び2つの遮蔽フィルム1608が提供される。遮蔽フィルム1608はそれぞれ適合性接着層1610を含む。図11b〜11cに図示される工程において、遮蔽フィルム1608は、絶縁導体1606及び接地導体1612の周辺に形成され、互いに結合される。最初は、図11bに示されるように、接着層1610は、その元の厚さを依然として有する。遮蔽フィルム1608の形成及び結合が進むとき、激合成接着層1610は、遮蔽電気ケーブル1602(図11c)の所望の機械及び電気的性能特性を達成するように適合する。
図11cに図示されるように、接着層1610は、絶縁導体1606及び接地導体1612の両側上の遮蔽フィルム1608の間でより薄くなるように適合し、接着層1610の一部分は、これらの領域から離れて移動する。更に、適合性接着層1610は、絶縁導体1606及び接地導体1612に直接隣接する領域においてより厚く適合し、絶縁導体1606及び接地導体1612に実質的に適合し、接着層1610の一部分はこれらの領域内へ移動する。更に、適合性接着層1610は適合し、遮蔽フィルム1608と接地導体1612との間で有効に除去され、適合性接着層1610は、接地導体1612が遮蔽フィルム1608に電気的に接触するように、これらの領域から離れて移動する。
いくつかのアプローチでは、半剛性ケーブルは、遮蔽層としてより厚い金属又は金属材料を使用して形成されてもよい。例えば、アルミニウム又は他の金属は、裏打ちフィルムを用いなくてもこのアプローチで使用されてもよい。アルミニウム(又は他の材料)を成形ダイに通過させ、遮蔽部のカバー部分及び挟まれた部分を形成する、波形部又はチャネルをアルミニウム内に作製する。絶縁導体はカバー部分を形成する波形部に配置される。ドレインワイヤが使用される場合、波形部はドレインワイヤ用に形成されてもよい。絶縁導体、及び所望によりドレインワイヤは波形化アルミニウムの対向する層間に挟まれる。アルミニウム層は接着剤、又は例えば溶接を用いて一緒に結合され得る。上方及び下方の波形化されたアルミニウム遮蔽フィルム間の接続は、絶縁されていないドレインワイヤを介されてもよい。あるいは、アルミニウムの波形化部分はエンボス加工されて、更に挟まれて、及び/又は穿孔されて、波形化された遮蔽層間に確実な接着を提供することができる。
代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルのカバー領域は、同心領域、及び所与の導体セットの一方又は両側上に配置される移行領域を含む。同心領域の所与の遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの同心部分と称され、移行領域における遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの移行部分と称される。移行領域は、遮蔽電気ケーブルの高い製造性、並びに歪み及び応力緩和を提供するように構成され得る。繊維領域を、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って実質的に一定の構成(例えば、寸法、形状、内容物、及び曲率半径など)において維持することは、遮蔽電気ケーブルが実質的に均一な電気特性(例えば、高周波分離、インピーダンス、スキュー、挿入損失、反射、モード変換、アイ開口率、及びジッター)を有するのに役立つ場合がある。
更には、例えば、単一平面内に配置構成され、かつ差動ペア回路装置内に接続することができる二芯同軸ケーブルとして有効に配置構成される、ケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を、導体セットが含むような、特定の実施形態では、この移行部分を、遮蔽付き電気ケーブルの長さに沿って、実質的に一定の構成で維持することにより、有利には、理想的な同心性の場合からの、実質的に同じ電磁場の偏差を、導体セット内の双方の導体に提供することができる。したがって、遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、この移行部分の構成の慎重な制御が、ケーブルの有利な電気性能及び特性に寄与し得る。図12a〜14bは、導体セットの一方又は両側に配置される遮蔽フィルムの移行領域を含む、遮蔽電気ケーブルの様々な代表的な実施形態を例示する。
図12a及び図12bの断面図に示される遮蔽電気ケーブル1702は、ケーブル1702の長さに沿って延在する単一の導体セット1704を含む。遮蔽電気ケーブル1702は、ケーブル1702の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル1702の長さに沿って延在する、複数の導体セット1704を有するように作製されてもよい。1つの絶縁導体1706のみが図12aに示されるが、複数の絶縁導体が、所望により導体セット1704に含まれてもよい。
ケーブルの挟まれた領域に最も近く配置される導体セットの絶縁導体は、導体セットの端部導体と見なされる。導体セット1704は、示されるように、単一の絶縁導体1706を有し、それは遮蔽電気ケーブル1702の挟まれた領域1718に最も近く位置付けられるために、端部導体である。
第1及び第2遮蔽フィルム1708は、ケーブルの両側に配置され、カバー部分1707を含む。横断面において、カバー部分1707は実質的に導体セット1704を包囲する。任意の接着層1710は、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709間に配置され、導体セット1704の両側上でケーブル1702の挟まれた領域1718において、遮蔽フィルム1708を互いに結合する。任意の接着層1710は、遮蔽フィルム1708のカバー部分1707にわたり、部分的に又は完全に延在し得る(例えば、導体セット1704の一方の側の遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709から、導体セット1704の他方の側の遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709まで)。
絶縁導体1706は、シングエンド回路配置で使用され得る、同軸ケーブルとして、有効に配置される。遮蔽フィルム1708は、導電性層1708a及び非導電性高分子層1708bを含み得る。いくつかの実施形態では、図12a及び12bに例示されるように、導電性層1708aは絶縁導体と面する。あるいは、遮蔽フィルム1708の一方又は両方の導電性層の向きは、本明細書の他の所で説明されるように、逆にされてもよい。
遮蔽フィルム1708は、導体セット1704の端部導体1706と実質的に同心である、同心部分を含む。遮蔽電気ケーブル1702は、移行領域1736を含む。ケーブル1702の移行領域1736における遮蔽フィルム1708の部分は、遮蔽フィルム1708の移行部分1734である。いくつかの実施形態において、遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の両側に配置された移行領域1736を含み、いくつかの実施形態では、移行領域1736は、導体セット1704の一方の側にのみ配置されてもよい。
移行領域1736は、遮蔽フィルム1708及び導体セット1704によって画定される。移行領域1736の遮蔽フィルム1708の移行部分1734は、遮蔽フィルム1708の同心部分1711と挟まれた部分1709との間に緩やかな移行を提供する。急な移行に対向して、例えば直角の移行又は移行点(移行部分に対向して)など、緩やかな又は平滑な移行(例えば実質的にS字状の移行)は、移行領域1736において遮蔽フィルム1708に歪み及び応力緩和を提供し、遮蔽電気ケーブル1702が使用中であるときに(例えば遮蔽電気ケーブル1702を横方向若しくは軸方向に曲げるときに)、遮蔽フィルム1708への損傷を防ぐ。この損傷には、例えば導電性層1708aにおける破壊、及び/又は導電性層1708aと非導電性高分子層1708bとの間の剥離が含まれ得る。更に、緩やかな移行は、遮蔽電気ケーブル1702の製造における遮蔽フィルム1708への損傷(導電性層1708a及び/又は非導電性高分子層1708bの亀裂若しくは剪断が含まれ得る)を防ぐ。遮蔽電気リボンケーブル内の導体セットの1つ、いくつか、又は全ての一方又は両側に、開示の移行領域を使用することは、例えば、例えば典型的な同軸ケーブルなどの従来のケーブル構成(ここでは遮蔽部は単一の絶縁導体の周囲に概ね連続的に配置される)又は典型的な従来の二芯同軸ケーブル(ここでは遮蔽部は一対の絶縁導体の周囲に連続的に配置される)からの逸脱を表す。
開示の遮蔽電気ケーブルの少なくともいくつかの一態様によると、許容可能な電気特性は、移行領域の電気的衝撃を低減することにより、例えば移行領域の寸法を低減すること、及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行領域の構成を慎重に制御することによって達成され得る。移行領域の寸法を低減することは電気容量の偏差を低減し、かつ複数の導体セットの間に必要な空間を低減する。これによって導体セットのピッチを縮小し、及び/又は導体セット間の電気的分離を増加させる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行領域の構成を注意して制御することは、予測可能な電気的挙動及び一貫性を得ることに寄与し、これは、電気的データがより確実に伝送され得るような高速伝送線を提供する。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って伝送領域の構成を注意して制御することは、移行部分を寸法の下限に近づける際の要因である。
検討されることが多い電気的特性は、伝送線の特性インピーダンスである伝送線の長さに沿ったインピーダンスの変動により、電力が目標に伝送されずに、反射してソースに戻される場合がある。理想的には、伝送線は、その長さに沿ってインピーダンスの変動は有しないが、対象用途によって、5〜10%の変動は許容可能である場合がある。二芯同軸ケーブル(差動駆動)で検討されることが多い別の電気的特性は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って、1つのペアの2つの伝送ラインの、スキュー、すなわち同等でない転送速度である。スキューは、差動信号のコモンモード信号への変換を生じさせ、これはソースに反射して戻される場合があり、伝送された信号強度を減少させ、電磁放射線を生じさせ、特定のジッターにおいてビット誤り率を著しく増大させる場合がある。理想的には、一対の伝送線はスキューを有さないが、対象用途によって−25〜−30dB未満から、対象の周波数まで(例えば6GHz)の差動モードのSパラメータ(differential S-parameter)SCD21若しくはSCD12値(伝送ラインの一方の端部から他方へと、差動モードからコモンモードへの変換を表す)が許容可能であり得る。あるいは、スキューはタイムドメインで測定され、要求される仕様と比較することができる。本明細書に記載の遮蔽電気ケーブルは、例えば最高約10Gbpsまでのデータ転送速度において、約20ピコ秒/メートル(psec/m)未満、又は約10psec/m未満のスキューを達成し得る。
再び図12a〜12bを参照し、許容可能な電気的特性を達成するのにある程度役立つために、遮蔽電気ケーブル1702の移行面積1736はそれぞれ、断面移行領域1764aを含み得る。移行面積1764aは、伝導体1706の断面領域1706aよりも小さい。図12bに最もよく示されるように、移行領域1736の断面移行領域1736aは、移行点1734’及び1734’’によって画定される。
移行点1734’は、遮蔽フィルムが、導体セット1704の端部の絶縁導体1706との実質的に同心状態から外れる場所に生じる。移行点1734’は、遮蔽フィルム1708の曲率が符号を変える、遮蔽フィルム1708の変曲点である。例えば、図12bを参照し、上方の遮蔽フィルム1708の曲率は、上方の移行点1734’である屈曲点において下向きの凹部から上向きの凹部まで移行する。下方の遮蔽フィルム1708の曲率は、移行点1734’である下方の変曲点において上方の凹部から下方の凹部まで移行する。他の移行点1734’’は、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709間の間の離間距離が例えば所定の係数(例えば約1.2〜約1.5の範囲内)によって、挟まれた部分1709の最小離間距離d1を超える場合に生じる。
更に、それぞれの移行領域1736aは、ボイド領域1736bを含む場合がある。導体セット1704のいずれかの側のボイド領域1736bは、実質的に同じであってもよい。更に、接着層1710は、遮蔽フィルム1708の同心部分1711において、厚さTac、及び遮蔽フィルム1708の移行部分1734においてTacより大きな厚さを有してもよい。同様に、接着層1710は、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709の間で厚さTap、及び遮蔽フィルム1708の移行部分1734でTapよりも大きな厚さを有してもよい。接着層1710は、少なくとも25%の断面移行領域1736aを表すことができる。移行面積1736aにおける接着層1710の、特に厚さTac、又は厚さTapよりも大きな厚さにおける存在は、移行領域1736においてケーブル1702の強度に寄与する。
遮蔽電気ケーブル1702の様々な要素の製造プロセス及び材料特性を注意して制御することは、ボイド領域1736bにおける変動、及び移行領域1736における適合性のある接着層1710の厚さを低減することができ、これがひいては、断面移行領域1736aの静電容量における変動を低減することができる。遮蔽電気ケーブル1702は、導体1706の断面領域1706aと実質的に同等以下である、断面移行領域1736aを含む導体セット1704の一方又は両側に配置される断面移行領域1736を含み得る。遮蔽電気ケーブル1702は、導体1706の長さに沿って実質的に同じである断面移行領域1736aを含む、導体セット1704の一方又は両側に配置される移行領域1736を含み得る。例えば、断面移行領域1736aは、1メートルの長さにわたって50%未満変動し得る。遮蔽電気ケーブル1702は、それぞれ断面移行領域を含む導体セット1704の両側に配置される移行領域1736を含んでもよく、断面領域1734aの合計は導体1706の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面領域1734aの合計は、1メートルの長さにわたって50%未満変化する場合がある。遮蔽電気ケーブル1702は、それぞれ断面移行領域1736aを含む導体セット1704の両側に配置される移行領域1736を含んでもよく、ここでは断面移行領域1736aは実質的に同じである。遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1736の両側に配置された移行領域1704を含んでもよく、移行領域1736は実質的に同一である。絶縁導体1706は、絶縁厚さTiを有し、移行領域1736は絶縁厚さTi未満である横方向長さLiを有し得る。絶縁導体1706の中央導体は、直径Dcを有し、移行領域1736は、直径Dcよりも小さい横方向長さLtを有し得る。上記の様々な構成は、所望の範囲に留まる特性インピーダンス、例えば、目標インピーダンス値の5〜10%以内(例えば50オーム)を所望の長さ(例えば1メートル)にわたって提供することができる。
遮蔽電気ケーブル1702の長さに沿った移行領域1736の構成に影響し得る要因は、2〜3例を挙げると、製造プロセス、導電性層1708a及び非導電性ポリマー層1708bの厚さ、接着層1710、並びに絶縁導体1706と遮蔽フィルム1708との間の結合強度が挙げられる。
一態様において、導体セット1704、遮蔽フィルム1708、及び移行領域1736は協働してインピーダンス制御関係に構成される。インピーダンス制御関係とは、導体セット1704、遮蔽フィルム1708、及び移行領域1736が協働して、遮蔽電気ケーブルの特性インピーダンスを制御するように構成されるということを意味する。
図13a〜13bは、横断面において、導体セットにおける2つの絶縁導体を有する遮蔽電気ケーブルの、2つの他の代表的な実施形態を図示する。図13aを参照して、遮蔽電気ケーブル1802は、ケーブル1802の長さに沿って延在する、2つの個々に絶縁された導体1806を含む単一の導体セット1804を含む。2つの遮蔽フィルム1808はケーブル1802の対向する側に配置され、組み合わされて導体セット1804を実質的に包囲する。任意の接着層1810は、遮蔽フィルム1808の挟まれた部分1809間に配置され、かつケーブル1802の挟まれた領域1818における導体セット1804の両側で遮蔽フィルム1808を互いに結合する。絶縁導体1806は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸ケーブル構成に有効に配置され得る。二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成又はシングエンド回路構成で使用されてもよい。遮蔽フィルム1808は、導電性層1808a、及び非導電性ポリマー層1808bを含んでもよく、又は非導電性ポリマー層1808bを有さずに導電性層1808aを含んでもよい。図13は、絶縁導体1806に面する導電性層1808aを示しているが、別の実施形態では、遮蔽フィルムの一方又は両方が逆の向きを有してもよい。
遮蔽フィルム1808の少なくとも一方のカバー部分1807は、導体セット1804の対応する端部導体1806と実質的に同心である同心部分1811を含む。ケーブル1802の移行領域1836において、遮蔽フィルム1808の移行部分1834は、同心部分1811と遮蔽フィルム1808と挟まれた部分1809との間にある。移行部分1836は、導体セット1804の両側に配置され、それぞれ、そのような部分は断面移行領域1836aを含む。断面移行領域1836aの合計は、導体1806の長さに沿って実質的に同じであることが好ましい。例えば、断面領域1834aの合計は、1メートルの長さにわたって50%未満変化してもよい。
加えて、断面移行領域1834aは、実質的に同じ及び/又は実質的に同一であってもよい。移行領域のこの構成はそれぞれの導体1806(シングエンド)及び差動インピーダンスに関して、両方が所与の長さ(例えば1mなど)の所与の長さにわたって、例えば目標インピーダンス値の5〜10%以内の所望の範囲内に留まるように寄与する。更に、移行領域1836のこの構成は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って2つの導体1806のスキューを最小限にすることができる。
ケーブルが折り曲げられず、平坦な構成にあるとき、遮蔽フィルムのそれぞれは、ケーブル1802の幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることができる。遮蔽フィルム1808の最大曲率半径は、例えば図13aに示されるケーブル1802の挟まれた部分1809において、又はマルチ導体ケーブルセット1804のカバー部分1807の中心点付近で生じ得る。これらの位置において、フィルムは実質的に平坦であってもよく、曲率半径は実質的に無限であってもよい。遮蔽フィルム1808の最小曲率半径は、例えば遮蔽フィルム1808の移行部分1834において生じ得る。いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径は、ケーブルの縁部間で、ケーブルの幅に沿った任意の点において、50マイクロメートルよりも小さい規模を有さない。いくつかの実施形態において、移行部分を含む遮蔽フィルムに関して、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
折り曲げられていない平坦な構成において、同心部分及び移行部分を含む遮蔽フィルム1808は、同心部分の曲率半径、R1、及び/又は移行部分の曲率半径、r1によって特徴付けることができ、これらは図13aに図示される。いくつかの実施形態において、R1/r1は、2〜15の範囲である。
図13bを参照すると、遮蔽電気ケーブル1902は、遮蔽電気ケーブル1802といくつかの態様において類似である。遮蔽電気ケーブル1802が個々に絶縁導体1806を有するのに対して、遮蔽電気ケーブル1902は一緒に絶縁導体1906を有する。それにも関わらず、移行領域1936は移行領域1836と実質的に同一であり、遮蔽電気ケーブル1902に同じ利益をもたらす。
図14a〜14bは、移行部分の位置及び構成におけるバリエーションを図示する。これらの代表的な実施形態において、遮蔽フィルム2008、2108は非対象な構成を有し、これは図13aのものなど、より対称的な実施形態に対して移行部分の位置を変更する。遮蔽電気ケーブル2002(図14a)及び2102(図14b)は、絶縁導体2006、2106の対称面からオフセットされる面に位置する、遮蔽フィルム2008、2108の挟まれた部分2009を有する。結果として移行領域2036、2136は、他の示された実施形態に対して、若干オフセットされた位置及び構成を有する。しかしながら、確実に移行領域2036、2136が、対応する絶縁導体2006、2106に対して(例えば、導体2006、2106間の垂直面に対して)実質的に対称に配置され、及び移行領域2036、2136の構成が遮蔽電気ケーブル2002、2102の長さに沿って注意して制御されることにより、遮蔽電気ケーブル2002、2102は、依然として許容可能な電気特性を提供するように構成され得る。
図15a〜15c、18及び19は、遮蔽電気ケーブルの更なる代表的な実施形態を示す。図16a〜16g、17a〜17b、及び20a〜20fは、遮蔽電気ケーブルの挟まれた部分のいくつかの代表的な実施形態を図示する。図15a〜20fは、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に分離するように構成される挟まれた部分の実施例を図示する。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に分離されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするため、図15a〜15c、及び16a〜16g)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から電気的に分離されてもよい(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするため、図19及び20a〜20f)。両方の場合において、挟まれた部分は様々な機械的構造体を含んで、電気的分離を変更してもよい。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気的接触をする接地導体、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、及び導電性接着剤が挙げられる。一態様において、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、導体セットを被覆しない遮蔽フィルムの部分として画定される。
図15aは、断面図において、遮蔽電気ケーブル2202を示し、これは、ケーブル2202の幅にわたって間隔を置いて配置され、かつケーブル2202の長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット2204a、2204bを含む。各導体セット2204a、2204bは、2つの絶縁導体2206a、2206bを含む。2つの遮蔽フィルム2208は、ケーブル2202の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207は、ケーブル2202のカバー領域2214における導体セット2204a、2204bを実質的に包囲する。例えば、組み合わされた遮蔽フィルム2208のカバー部分2207が、それぞれの導体セット2204a、2204bの外辺部の少なくとも70%を包含することによって、各導体セット2204a、2204bを実質的に包囲する。ケーブル2202の挟まれた領域2218において、導体セット2204a、2204bの両側で、遮蔽フィルム2208は挟まれた部分2209を含む。遮蔽電気ケーブル2202において、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209及び絶縁導体2206は、ケーブル2202が平坦であり及び/又は折り曲げられていない構成にあるときに、概ね単一平面に配置される。導体セット2204aと2204bとの間に配置される、挟まれた部分2209は、導体セット2204a、2204bを互いに電気的に分離するように構成される。
概して平面に、折り曲げられていない構成に配置されているとき、図15aに例示されるように、導体セット2204における第2絶縁導体2206bに対する、導体セット2204における第1絶縁導体2206aの高周波の電気的分離は、第2導体セット2204bに対する第1導体セット2204aの高周波の電気的分離よりも実質的に小さい。例えば、第2導体セットに対する第1絶縁導体の高周波分離は、3〜15GHzの特定の周波数及び1mの長さにおいて、第1の遠端クロストークC1であり、隣接する導体セットに対する第1導体セットの高周波分離は、特定の周波数において第2の遠端クロストークC2であり、ここでC2はC1よりも少なくとも10dB低い。
図15aに例示されるように、ケーブル2202は、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207の間の最大間隔D、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207間の最小離間距離、d1、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209の最小離間距離、d1によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、d1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。いくつかの実施形態において、d2/Dは0.33より大きい。
任意の接着層2210は示されるように、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209間に含まれ得る。接着層2210は、連続的であっても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層は、ケーブル2202のカバー領域2214において、例えば遮蔽フィルム2208のカバー部分2207と、絶縁導体2206a、2206bとの間で完全に又は部分的に延在する。接着層2210は、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207上に配置されてもよく、導体セット2204a、2204bの一方の側の遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209から、導体セット2204a、2204bの他方の側の遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209まで完全に又は部分的に延在してもよい。
遮蔽フィルム2208は、ケーブル2202の幅にわたって曲率半径、R、及び/又は遮蔽フィルム移行部分2212の曲率半径、r1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分2211の曲率半径、r2により特徴付けることができる。
移行領域2236において、遮蔽フィルム2208の移行部分2212は、遮蔽フィルム2208の同心部分2211と、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209との間の緩やかな移行を提供するように配置され得る。遮蔽フィルム2208の移行部分2212は、遮蔽フィルム2208の屈曲点であり、同心部分2211の端部を示す第1移行点2221から第2移行点2222まで延在し、ここでは遮蔽フィルムの間の離間距離は、挟まれた部分2209の最小離間距離d1を、所定の係数だけ超える。
いくつかの実施形態において、ケーブル2202は、少なくとも約50マイクロメートルのケーブルの幅にわたって曲率半径、R、及び/又は少なくとも約50マイクロメートルの遮蔽フィルム2202の移行部分2212の最小曲率半径、r1を有する、少なくとも1つの遮蔽フィルムを含む。いくつかの実施形態において、移行部分の最小曲率半径、r2/r1に対する同心部分の最小曲率半径の比率は、2〜15の範囲である。
図15bは、ケーブル2302の幅にわたって互いから間隔を置いて配置し、ケーブル2302の長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット2204を含む、遮蔽電気ケーブル2302の断面図である。各導体セット2304は1つの絶縁導体2306、及びケーブル2302の両側に配置される2つの遮蔽フィルム2308を含む。横断面において、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307は、組み合わされて、ケーブル2302のカバー領域2314において導体セット2304の絶縁導体2306を実質的に包囲する。ケーブル2302の挟まれた領域2318において、導体セット2304の両側で、遮蔽フィルム2308は挟まれた部分2309を含む。遮蔽電気ケーブル2302において、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309、及び絶縁導体2306は、ケーブル2302が平坦及び/又は折り曲げられていない構成にあるときに、概ね単一平面に配置されてもよい。遮蔽フィルム2308のカバー部分2307、及び/又はケーブル2302の挟まれた部分2309は、導体セット2304を互いに電気的に分離するように構成される。
図15bに例示されるように、ケーブル2302は、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307間の最大離間距離、D、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309間の最小離間距離、d1によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、d1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。
任意の接着層2310は、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309間に含まれ得る。接着層2310は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層2310は、ケーブルのカバー領域2314において、例えば遮蔽フィルム2308のカバー部分2307と、絶縁導体2306との間で、完全に又は部分的に延在する。接着層2310は、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307上に配置されてもよく、かつ導体セット2304の一方の側の遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309から、導体セット2304の他方の側の遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309まで完全に又は部分的に延在してもよい。
遮蔽フィルム2308は、ケーブル2302の幅にわたる曲率半径、R、及び/又は遮蔽フィルム2308の移行部分2312の最小曲率半径、r1、及び/又は遮蔽フィルム2308の同心部分2311の最小曲率半径、r2により特徴付けることができる。ケーブル2302の移行領域2236において、遮蔽フィルム2302の移行部分2312は、遮蔽フィルム2308の同心部分2311と、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309との間に緩やかな移行を提供するように構成され得る。遮蔽フィルム2308の移行部分2312は、遮蔽フィルム2308の屈曲点であり、同心部分2311の端部を示す第1移行点2321から、遮蔽フィルムの間の離間距離が、挟まれた部分2309の最小離間距離、d1と等しい、又は所定の係数、例えば約1.2、又は約1.5だけd1を超える第2移行点2322まで延在する。
いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径、Rは、少なくとも約50マイクロメートルであり、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも50マイクロメートルである。
図15cは、断面図において、遮蔽電気ケーブル2402を示し、これは、ケーブル2402の幅にわたって互いから間隔を置いて配置し、かつケーブル2402の長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット2404a、2404bを含む。各導体セット2404a、2404bは、2つの絶縁導体2206a、2206bを含む。2つの遮蔽フィルム2408a、2408bは、ケーブル2402の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407は組み合わされて、ケーブル2402のカバー領域2414における導体セット2404a、2404bを実質的に包囲する。ケーブル2402の挟まれた領域2418において、導体セット2404a、2404bの両側で、遮蔽フィルム2408a、2408bは挟まれた部分2409を含む。
遮蔽電気ケーブル2402において、遮蔽フィルム2408の挟まれた部分2409及び絶縁導体2406a、2406bは、ケーブル2402が平坦であり及び/又は折り曲げられていない配置にあるときに、一般的に異なる平面に配置される。遮蔽フィルム2408bのうちの1つは実質的に平坦である。ケーブル2402の挟まれた領域2418内の、実質的に平坦な遮蔽フィルム2408bの部分は、挟まれた領域2418内の遮蔽フィルム2408bの面外の逸脱が、殆ど又は全く存在しないにもかかわらず、本明細書では、ピンチ部分2409と称される。ケーブル2402が平坦であるか、又は折り曲げられていない構成にあるとき、遮蔽フィルム2408の同心部分2411、移行部分2412、及び挟まれた部分2407は実質的に共面である。
導体セット2404a、2404b間のケーブル2402のカバー部分2407及び/又は挟まれた部分2409は、導体セット2404a、2404bを電気的に分離するように構成される。概ね平坦な、折り曲げられていない構成に配置されているとき、図15cに例示されるように、第1導体セット2404aにおける第2導体セット2406bに対する、第1導体セット2404aにおける第1絶縁導体2406aの、高周波の電気的分離は、前述のとおり第2導体セット2104bのいずれかの導体2406a、2406bに対する第1導体セット2404aのいずれかの導体2406a、2406bの高周波の電気的分離よりも実質的に小さい。
図15cに例示されるように、ケーブル2402は、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407の間の最大離間距離、D、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407間の最小離間距離、d2、遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409の最小離間距離、d1によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、d1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。いくつかの実施形態において、d2/Dは0.33より大きい。
任意の接着層2410は、遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409間に配置され得る。接着層2410は、連続的であっても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層2410は、ケーブル2402のカバー領域2414において、例えば遮蔽フィルム2408a、2408bの1つ以上のカバー部分2407と、絶縁導体2406a、2406bとの間で完全に又は部分的に延在する。接着層2410は、1つ以上の遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407上に配置されてもよく、かつ導体セット2404a、2404bの一方の側の遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409から、導体セット2404a、2404bの他方の側の遮蔽フィルム2408a、2408の挟まれた部分2409まで完全に又は部分的に延在してもよい。
湾曲した遮蔽フィルム2408aの移行部分2412は、遮蔽フィルム2408aの同心部分2411と遮蔽フィルム2408aの挟まれた部分2409との間に緩やかな移行を提供する。遮蔽フィルム2408aの移行部分2412は、遮蔽フィルム2408aの屈曲点である第1移行点2421aから、遮蔽フィルム間の離間距離が、挟まれた部分2409の最小離間距離、d1と等しいか、又はd1を所定の係数だけ超える第2移行点2422aまで延在する。実質的に平坦な遮蔽フィルム2808bの移行部分は、第1移行点2421bから、遮蔽フィルム間が、挟まれた部分2409の最小離間距離、d1と等しいか、又はd1を所定の係数だけ超える第2移行点2422aまで延在する。第1移行点2421bは、遮蔽フィルム2408aの第1移行点2421aと交差する、実質的に平坦な遮蔽フィルム2408bに垂直な線によって画定される。
湾曲した遮蔽フィルム2408aは、ケーブル2402の幅にわたる曲率半径、R、及び/又は遮蔽フィルム2408aの移行部分2412の最小曲率半径、r1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分2411の最小曲率半径、r2により特徴付けることができる。一部の実施形態では、ケーブル2402は、少なくとも約50マイクロメートルである、ケーブルの幅全体にわたる曲率半径を有する、少なくとも1つの遮蔽フィルム2408を含み、かつ/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径r1は、少なくとも約50マイクロメートルである。いくつかの実施形態では、遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径r1に対する、遮蔽フィルムの同心部分の最小曲率半径r2、の割合r2/r1は2〜15の範囲である。
図16aでは、遮蔽電気ケーブル2502は、挟まれた領域2518を含み、遮蔽フィルム2508は、一定の距離で間隔を置いて配置されている。遮蔽フィルム2508を間隔を置いて配置すること、すなわち遮蔽フィルム2508をそれらのシームに沿って連続的に直接的に電気的接触させることは、挟まれた領域2518の強度を増加させる。比較的薄く、脆弱な遮蔽フィルムを有する遮蔽電気ケーブルは、それらのシームに沿って、直接的な電気的接触をすることを強制される場合、製造中に破断するか、又は亀裂が入る場合がある。有効な手段を使用してクロストークの可能性を低減しない場合、遮蔽フィルム2508を間隔を置いて配置することは、隣接する導体セット間のクロストークを許容する場合がある。クロストークを低減することは、ある導体セットの電場及び磁場が、それらが隣接する導体セット上に作用しないように含むことを伴う。図16aに図示される実施形態では、クロストークに対する有効な遮蔽部は、遮蔽フィルム2508間に低い直流抵抗を提供することによって達成される。低い直流抵抗は遮蔽フィルム2508を近接させて方向付けることによって達成することができる。例えば、遮蔽フィルム2508の挟まれた部分2509は、挟まれた領域2518の少なくとも1つの位置において約0.13mm未満だけ間隔を置いて配置されてもよい。遮蔽フィルム2508間の得られる直流抵抗は、約15オーム未満であってもよく、隣接する導体セット間の得られるクロストークは約−25dB未満であってもよい。一部の場合には、ケーブル2502の挟まれた領域2518は、約0.13mm未満の最小厚さを有する。
遮蔽フィルム2508は、分離媒体によって間隔を置いて配置されてもよい。分離媒体は、適合性接着層2510を含んでもよい。例えば、分離媒体は少なくとも1.5の誘電率を有してもよい。高誘電率は、遮蔽フィルム2508間の特性インピーダンスを減少させ、これによって隣接する導体セット間の電気的分離を増加させ、かつクロストークを減少させる。遮蔽フィルム2508は、挟まれた領域2518’の少なくとも1つの位置で互いに、直接的に電気的接触をしてもよい。遮蔽フィルム2508は、適合性接着層2510の厚さが選択された位置において低減されるように選択された位置において、一緒にされてもよい。選択された位置において遮蔽フィルムを一緒にすることは、例えば、これらの位置で遮蔽フィルム2508間の断続的な挟んだ接触を生じるパターン化されたツールを用いて達成され得る。これらの位置は長手方向又は横方向にパターン化され得る。一部の場合には、分離媒体は導電性であり、遮蔽フィルム2508間で直接的な電気的接触を可能にする場合がある。
図16bにおいて、遮蔽電気ケーブル2602は、遮蔽フィルム2608間に配置され、かつケーブル2602の長さに沿って延在する接地導体2612を含む挟まれた領域2618を含む。接地導体2612は、両方の遮蔽フィルム2608と間接的な電気的接触をしてもよい(例えば、低いがゼロではない遮蔽フィルム2608間の直流抵抗)。一部の場合には、接地導体2612は、挟まれた領域2618の少なくとも1つの位置で、遮蔽フィルム2608の少なくとも1つと直接的又は間接的に電気的接触をする場合がある。遮蔽電気ケーブル2602は、遮蔽フィルム2608間に配置され、かつ遮蔽フィルム2608の少なくとも1つと接地導体2612の制御された離間距離を提供するように構成された適合性接着層2610を含んでもよい。適合性接着層2610は、接地導体2612が、遮蔽フィルム2608の少なくとも1つと直接的又は間接的に電気的接触をするのを可能にする非均一な厚さを選択的位置において有してもよい。一部の場合には、接地導体2612は、接地導体2612と、遮蔽フィルム2608の少なくとも1つとの間に、制御された電気的接触を提供するために、表面アスペリティ、又は変形可能なワイヤ(例えば撚り線)を含んでもよい。
図16cでは、遮蔽電気ケーブル2702は挟まれた領域2718を含む。遮蔽フィルム2708間に配置された接地導体2712は、両方の遮蔽フィルム2708と直接的に電気的接触をする。
図16dにおいて、遮蔽電気ケーブル2802は、遮蔽フィルム2808が任意の好適な手段(例えば導電性要素2844など)によって互いに直接的な電気接触をする、挟まれた領域2818を含む。導電性要素2844は、2〜3例を挙げると、導電性のメッキビア若しくはチャネル、導電充填ビア若しくはチャネル、又は導電性接着剤が挙げられる。
図16eにおいて、遮蔽電気ケーブル2902は、挟まれた領域2918の少なくとも1つの位置に開口部2936を有する、挟まれた領域2918を含む。換言すれば、挟まれた領域2918は非連続的である。開口部2936は、穴、穿孔、スリット、及び任意の好適な要素を含んでもよい。開口部2936は、物理的な離間距離の少なくともいくつかのレベルを提供し、これは挟まれた領域2918の電気的分離性能に寄与し、遮蔽電気ケーブル2902の少なくとも横方向の可撓性を増加させる。この分離は挟まれた領域2918の長さに沿って非連続的であってもよく、かつ挟まれた領域2918の幅にわたって非連続的であってもよい。
図16fにおいて、遮蔽電気ケーブル3002は、遮蔽フィルム3008の少なくとも1つが、挟まれた領域3018の少なくとも1つの位置において破断部3038を含む、挟まれた領域3018を含む。換言すれば、遮蔽フィルム3008の少なくとも1つが非連続的である。開口部3038は、穴、穿孔、スリット、及び任意の好適な要素を含んでもよい。破断部3038は、物理的な分離の少なくともいくつかのレベルを提供し、これは挟まれた領域3018の電気的分離性能に寄与し、遮蔽電気ケーブル3002の少なくとも横方向の可撓性を増加させる。この分離は挟まれた領域の長さに沿って非連続的又は連続的であってもよく、挟まれた部分3018の幅にわたって非連続的であってもよい。
図16gにおいて、遮蔽電気ケーブル3102は、折り曲げられた構成において区分的に平面である挟まれた領域3118を含む。全ての他の条件は同じとして、区分的に平面の挟まれた領域は、同じ突出した幅を有する平面状の挟まれた領域よりも、より大きな表面積を有する。挟まれた領域の表面積が、遮蔽フィルム3108間の間隔よりもはるかに大きい場合、直流抵抗は減少し、これは挟まれた領域3118の電気的分離性能を改善する。一実施形態において、5〜10オーム未満の直流抵抗は良好は電気的分離となる。一実施形態において、遮蔽電気ケーブル3102の平行部分3118は、少なくとも5の最小間隔比率に対する実際の幅を有する。一実施形態にいて、挟まれた領域3118は、事前に折られており、これによって遮蔽電気ケーブル3102の少なくとも横方向の可撓性を増加させる。挟まれた領域3118は、任意の他の好適な構成において区分的に平面であってもよい。
図17a〜17bは、代表的な遮蔽電気ケーブルの製造の間、挟まれた領域に関する詳細を例示する。遮蔽電気ケーブル3202は、2つの遮蔽フィルム3208を含み、かつ挟まれた領域3218(図17b内の)を含み、ここでは遮蔽フィルム3208は実質的に平行であってもよい。遮蔽フィルム3208は、非導電性高分子層3208b、非導電性高分子層3208b上に配置される導電性層3208a、及び導電性層3208a上に配置される停止層3208dを含む。適合性接着層3210は、停止層3208d上に配置される。挟まれた領域3218は、遮蔽フィルム3208の間に配置された長手方向接地導体3212を含む。
遮蔽フィルムが接地導体の周囲に一緒に押し付けられた後、接地導体3212が、遮蔽フィルム3208の導電性層3208aと間接的に電気接触する。この間接的な電気接触は、導電性層3208a及び接地導体3212の、停止層3208dによる制御された分離によって可能にされる。一部の場合には、停止層3208dは、非導電性ポリマー層であるか、又はこれを含み得る。図に示されるように、外部圧力(図17a)は、導電性層3208aを互いに圧迫し、接着層3210を、接地導体(図17b)の周囲に適合するように押し付ける。停止層3208dは、少なくとも一部のプロセス条件下においては適合しないため、これは接地導体3212と遮蔽フィルム3208の導電性層3208aとの直接的な電気接触を防ぐが、間接的な電気接触を達成する。停止層3208dの厚さ及び誘電特性は、低い目標直流抵抗、すなわち、間接的な種類の電気接触を達成するように選択され得る。一部の実施形態では、接地導体と遮蔽フィルムとの間の特性直流抵抗を、例えば、10Ω未満、又は5Ω未満ではあるが、0Ωよりも大きくして、所望の間接的な電気的接触を達成することができる。一部の場合には、所定の接地導体と、1つ又は2つ
の遮蔽フィルムとの間で、直接的に電気的に接触させることが望ましく、この場合、そのような接地導体と、そのような遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、実質的に0Ωにすることができる。
図18は、折り曲げられた遮蔽されたケーブル3302を示す。遮蔽されたケーブル3302は、間隔を置いて配置された導体セット3304の周辺に配置される2つの遮蔽フィルム3308を含む。遮蔽フィルム3308は、ケーブル3302の対抗する側に配置され、かつ導体セット3304の一方の側に挟まれた領域3318を含む。挟まれた領域3318は、少なくとも30°の角度αにおいて横方向に曲げられるように構成される。挟まれた領域3318の、この横方向の可撓性は、遮蔽電気ケーブル3302が任意の好適な構成で、例えば丸形ケーブルにおいて使用され得る構成(例えば、図10gを参照)で折り曲げられるのを可能にする。一実施形態では、比較的薄い個々の層を含む遮蔽フィルム3308は、挟まれた領域3318の横方向の可撓性を増加させる。特に曲げ条件下では、これらの個々の層の一体性を維持するために、それらの間の結合は無傷のままであることが好ましい。挟まれた領域3318は例えば、約0.13mm未満の最小厚さと、処理若しくは使用時の熱暴露後に少なくとも17.86g/mm(1lbs/インチ)の、個々の層の間の結合強度と、を有することができる。
一態様において、遮蔽電気ケーブルの電気性能にとって、挟まれた領域がほぼ同一寸法及び形状を導体セットの両側で有することは有益である。任意の寸法変化及び不均衡は、平行部分の長さに沿って、キャパシタンス及びインダクタンスにおける不均衡を作る場合がある。これはひいては、挟まれた部分の長さに沿ってインピーダンスの差、及び隣接する導体セット間のインピーダンス不均衡を生じさせる場合がある。これらの理由に関して少なくとも、遮蔽フィルム間の間隔の制御が望ましい場合がある。一部の場合には、導体セットの両側のケーブルの、挟まれた領域内の遮蔽フィルムの挟まれた部分は、約0.05mm未満で互いに間隔を置いて配置されている。
図19において、遮蔽電気ケーブル3402は2つの導体セット3404を含み、それぞれが2つの絶縁導体3406、及び導体セット3404の周辺で電気ケーブル3402の対向する側に配置される、2つの概ね平行な遮蔽フィルム3408を含む。遮蔽フィルム3408は挟まれた部分3418を含む。挟まれた部分3418は、遮蔽電気ケーブル3402の縁部において、又はこれの近くに配置され、外部環境から導体セット3404を電気的に分離するように構成される。遮蔽電気ケーブル3402では、遮蔽フィルム3408の挟まれた部分3418及び絶縁導体3406は概ね単一平面に配置される。
図20aでは、遮蔽電気ケーブル3502は、遮蔽フィルム3508が挟まれた部分3509が間隔を置いて配置される挟まれた領域3518を含む。挟まれた領域3518は、上記の、かつ図16aで図示される挟まれた領域2518と類似している。挟まれた領域2518が導体セット間に配置されるのに対して、挟まれた領域3518は、遮蔽電気ケーブル3502の縁部において、又はこの近くに配置される。
図20bにおいて、遮蔽電気ケーブル3602は、遮蔽フィルム3608間に配置される長手方向の接地導体3612を含む挟まれた領域3618を含む。挟まれた領域3618は、上記の、かつ図16bで図示される挟まれた領域2618と類似している。挟まれた領域2618が導体セット間に配置されるのに対して、挟まれた領域3618は、遮蔽電気ケーブル3602の縁部において、又はこの近くに配置される。
図20cにおいて、遮蔽電気ケーブル3702は、遮蔽フィルム3708間に配置される長手方向の接地導体3712を含む挟まれた領域3718を含む。挟まれた領域3718は、上記の、かつ図16cで図示される挟まれた領域2718と類似している。挟まれた領域2718が導体セット間に配置されるのに対して、挟まれた領域3718は、遮蔽電気ケーブル3702の縁部において、又はこの近くに配置される。
図20dにおいて、遮蔽電気ケーブル3802は、遮蔽フィルム3808の挟まれた部分3809が任意の好適な手段(例えば導電性要素3844など)によって互いに直接的な電気接触をする、挟まれた領域3818を含む。導電性要素3844は、いくつかの例を挙げると、導電性メッキビア若しくはチャネル、導電充填ビア若しくはチャネル、又は導電性接着剤を含んでもよい。挟まれた領域3818は、上記の、かつ図16d図示される挟まれた領域2818と類似している。挟まれた領域2818が導体セット間に配置されるのに対して、挟まれた領域3818は、遮蔽電気ケーブル3802の縁部において、又はこの近くに配置される。
図20eにおいて、遮蔽電気ケーブル3902は、折り曲げられた構成において区分的に平面である挟まれた領域3918を含む。挟まれた領域3918は、上記の、かつ図16gで図示される挟まれた領域3118と類似している。挟まれた領域3118が導体セット間に配置されるのに対して、挟まれた領域3918は、遮蔽電気ケーブル3902の縁部において、又はこの近くに配置される。
図20fにおいて、遮蔽電気ケーブル4002は、湾曲した構成において区分的な平面にあり、かつ遮蔽電気ケーブル4002の縁部において、又はこれの近くに配置される挟まれた領域4018を含む。
本発明の一態様による遮蔽電気ケーブルは、少なくとも1つの長手方向の接地導体と、接地導体と実質的に同じ方向に延在する電気物品と、遮蔽電気ケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルムと、を含み得る。横断面において、遮蔽フィルムは接地導体及び電気物品を実質的に包囲する。この構成において、遮蔽フィルム及び接地導体は電気物品を電気的に分離するように構成される。接地導体は、例えば任意の好適な終端ポイントの任意の好適な個々の接点要素(例えばプリント基板上の接点要素又は電気コネクタの電気接点)に対する遮蔽フィルムの終端のために、遮蔽フィルムの端部の少なくとも1つを越えて延在する場合がある。有益なことに、限定された数の接地導体のみがケーブル作製に必要とされ、遮蔽フィルムを伴って、電気物品の電磁エンクロージャを完成させることができる。電気物品は、ケーブルの長さに沿って延在する少なくとも1つの導体、1つ以上の実質的に絶縁導体を含むケーブルの長さに沿って延在する少なくとも1つの導体セット、フレキシブルプリント基板、又は電気的分離が望ましい、いずれか他の好適な電気物品を含んでもよい。図21a〜21bは、そのような遮蔽電気ケーブル構成の2つの代表的な実施形態を図示する。
図21aでは、遮蔽電気ケーブル4102は、ケーブル4102の長さに沿って延在する2つの間隔を置いて配置された接地導体4112、接地導体4112間に配置され、かつ、これと実質的に同じ方向に延在する電気物品4140、並びにケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム4108を含む。横断面において、遮蔽フィルム4108は組み合わせて、接地導体4112及び電気物品4140を実質的に包囲する。
電気物品4140は、ケーブル4102の幅にわたって間隔を置いて配置される3つの導体セット4104を含む。各導体セット4104は、ケーブルの長さに沿って延在する2つの実質的に絶縁導体4106を含む。接地導体4112は両方の遮蔽フィルム4108と間接的な電気接触(接地導体4112と遮蔽フィルム4108との間で、低いがゼロではないインピーダンスとなる)をしてもよい。一部の場合には、接地導体4112は、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つの位置で、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つと直接的又は間接的に電気的接触をしてもよい。一部の場合には、接着層4110は遮蔽フィルム4108間に配置され、かつ遮蔽フィルム4108を互いに接地導体4112及び電気物品4140の両側で結合する。接着層4110は、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つと接地導体4112の制御された分離を提供するように構成されてもよい。一態様では、これは、選択的位置において、接地導体4112が、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つと直接的又は間接的に電気的接触をするのを可能にする非均一な厚さを、適合性接着層4110が有するということを意味する。接地導体4112は、接地導体4112と、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つとの間に、この制御された電気的接触を提供するために、表面アスペリティ、又は変形可能なワイヤ(例えば、標準的なワイヤ)を含んでもよい。遮蔽フィルム4108は、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つの位置で最小間隔によって間隔を置いて配置されてもよく、ここでは接地導体4112は、最小間隔よりも大きい厚さを有する。例えば、遮蔽フィルム4108は約0.025mm未満の厚さを有してもよい。
図22では、遮蔽電気ケーブル4202は、ケーブル4202の長さに沿って延在する2つの間隔を置いて配置された接地導体4212、接地導体4212間に配置され、かつ、これと実質的に同じ方向に延在する電気物品4240、並びにケーブル4202の対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム4208を含む。横断面において、遮蔽フィルムは組み合わせて、接地導体4212及び電気物品4240を実質的に包囲する。遮蔽電気ケーブル4202は上記及び図21aに図示される遮蔽電気ケーブル4102と類似している。遮蔽電気ケーブル4102では、電気物品4140は、それぞれが2つの実質的に平行な長手方向の絶縁導体4106を含む3つの導体セット4104一方で、遮蔽電気ケーブル4202では、電気物品4240は3つの導体セット4242を含むフレキシブルプリント基板を含む。
上記の代表的な実施形態において、遮蔽電気ケーブルは、横断面において、遮蔽フィルムのカバー部分は組み合わされて、所与の導体セットを実質的に包囲し、間隔を置いて配置された導体セットのそれぞれを個々に包囲するように、ケーブルの両側に配置される2つの遮蔽フィルムを含む。いくつかの実施形態では、しかしながら、遮蔽電気ケーブルは、1つの遮蔽フィルムのみを含んでもよく、これはケーブルの一方の側にのみ配置される。2つの遮蔽フィルムを有する遮蔽されたケーブルと比較して、遮蔽ケーブルにおいて単一の遮蔽フィルムのみを含む利点としては、材料コストの低減、及び機械的可撓性、製造性、並びにストリッピング及び終端の容易性が挙げられる。単一の遮蔽フィルムは、所与の用途に関して許容可能なレベルの電磁干渉(EMI)分離をもたらすことができ、かつ近接効果を低減することによって信号減衰を低減させ得る。図13は、1つの遮蔽フィルムのみを含む、このような遮蔽電気ケーブルの一実施例を例示する。
図23に図示される遮蔽電気ケーブル4302は、2つの間隔を置いて配置された導体セット4304と、単一の遮蔽フィルム4308と、を含む。各導体セット4304は、ケーブル4302の長さに沿って延在する、単一の絶縁導体4306を含む。絶縁導体4306は一般的に単一平面に、かつ有効に同軸ケーブル構成に構成され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。ケーブル4302は挟まれた領域4318を含む。挟まれた領域4318において、遮蔽フィルム4308は、各導体セット4304の両面から延在する挟まれた部分4309を含む。挟まれた領域4318は概ね平坦な遮蔽フィルムを協働して画定する。遮蔽フィルム4308は、2つのカバー部分4307を含み、それぞれが導体セット4304を部分的にカバーする。各カバー部分4307は、対応する導体4306と実質的に同心である同心部分4311を含む。遮蔽フィルム4308は、導電性層4308a及び非導電性高分子層4308bを含む。導電性層4308aは、絶縁導体4306に面する。ケーブル4302は非導電性キャリアフィルム4346を含んでもよい。キャリアフィルム4346は、各導体セット4304の両面から延在する挟まれた部分4346’’と、遮蔽フィルム4308の対向する挟まれた部分4309と、を含む。キャリアフィルム4346は2つのカバー部分4346’’を含み、それぞれが遮蔽フィルム4308のカバー部分4307に対向する導体セット4304を部分的に被覆する。各カバー部分4346’’’は、対応する導体4306と実質的に同心である同心部分4346’を含む。キャリアフィルム4346は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに現地得されない任意の好適な高分子材料を含み得る。キャリアフィルム4346は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含む場合がある。キャリアフィルム4346は、導体セット4304の物理的被覆率を達成するために、かつ遮蔽電気ケーブル4302の機械的安定性に追加するために使用されてもよい。
図24を参照して、遮蔽電気ケーブル4402は、上記及び図23に図示される遮蔽電気ケーブル4302とある点で類似している。遮蔽電気ケーブル4302が、単一の絶縁導体4306をそれぞれが含む、導体セット4304を含む一方で、遮蔽電気ケーブル4402は、2つの絶縁導体4406を有する導体セット4404を含む。絶縁導体4406は一般的に単一平面に、かつ有効に二芯同軸ケーブル構成に構成され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。
図25を参照して、遮蔽電気ケーブル4502は、上記及び図24に図示される遮蔽電気ケーブル4402とある点で類似している。遮蔽電気ケーブル4402が個々に絶縁導体4406を有するのに対して、遮蔽電気ケーブル4502は一緒に絶縁導体4506を有する。
一態様において、図23〜25で分かるように、遮蔽フィルムは隣接する導体セット間で内側にへこんでいる。換言すれば、遮蔽フィルムは、隣接する導体セット間に配置される挟まれた部分を含む。この挟まれた部分は隣接する導体セットを互いから電気的に分離するように構成される。挟まれた部分は、隣接する導体セット間に配置されるべき接地導体の必要性を除外することができ、これは他の利点の中で特に、ケーブル構造体を簡略化させ、ケーブルの可撓性を増加させる。挟まれた部分は、絶縁導体の直径の約1/3よりも大きい深さd(図23)において配置され得る。一部の場合には、挟まれた部分は、絶縁導体の直径の約1/2よりも大きい深さdにおいて配置され得る。隣接する導体セット間の間隔、透過距離、及び信号スキーム(差動ペアシングエンド)によって、遮蔽フィルムの内側にへこんだ構成は、導体セットを互いから十分に電気的に分離する。
導体セット及び遮蔽フィルムは、協働してインピーダンス制御関係に構成されてもよい。一態様において、これは、遮蔽フィルムによる導体セットの部分的なカバーが、たとえば、対象用途に好適な、許容可能なインピーダンス変化を提供するため、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、形状における所望の一貫性を伴って達成される。一実施形態において、このインピーダンス変化は、代表的なケーブル長さ(例えば、1mなど)に沿って5オーム未満、好ましくは3オーム未満である。別の態様において、絶縁導体が、二芯同軸及び/又は差動ペアケーブル構成に有効に配置される場合、これは、遮蔽フィルムによる導体セットの部分的なカバーが、例えば、対象用途に好適な、許容可能なインピーダンス変化を提供するため、絶縁導体の対の間で、形状において所望の一貫性を伴って達成されるということを意味する。一部の場合には、このインピーダンス変化は、代表的なケーブル長さ(例えば、1mなど)に沿って2オーム未満、好ましくは0.5オーム未満である。
図26a〜26dは、遮蔽フィルムによる導体の部分的なカバーの様々な実施例を図示する。遮蔽フィルムによる被覆の量は、実施形態の間で変化する。図26aに図示される実施形態では、導体セットは最も大きい被覆率を有する。図26dに図示される実施形態では、導体セットは最も小さい被覆率を有する。図26a及び26bに図示される実施形態では、導体セットの周辺の半分以上は、遮蔽フィルムによって被覆される。図26c及び26dに図示される実施形態では、導体セットの周辺の半分未満が、遮蔽フィルムによって被覆される。より大きな量の被覆は、より良好な電磁干渉(EMI)分離、及び低減された信号減衰(近接効果における低減による)をもたらす。
図26aを参照すると、遮蔽電気ケーブル4602は、導体セット4604と、遮蔽フィルム4608と、を含む。導体セット4604は、ケーブル4602の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体4606を含む。遮蔽フィルム4608は、導体セット4604の両側から延在する、挟まれた部分4609を含む。挟まれた部分4609は、概ね平坦な遮蔽フィルムを協働して画定する。遮蔽フィルム4608は、導体セット4604を部分的に被覆するカバー部分4607を更に含む。カバー部分4607は、導体セット4604の対応する端部導体4306と実質的に同心の、同心部分4611を含む。遮蔽電気ケーブル4602は、任意の非導電性キャリアフィルム4646を含んでもよい。キャリアフィルム4646は、導体セット4604の両面から延在し、かつ遮蔽フィルム4608の挟まれた部分4609に対向して配置される挟まれた領域4646’’を含む。キャリアフィルム4646は、遮蔽フィルム4608のカバー部分4607と対向する、導体セット4604を部分的に被覆するカバー部分4646’’’を更に含む。遮蔽フィルム4608のカバー部分4607は、導体セット4604の上面、並びに全体の左側及び右側を被覆する。キャリアフィルム4646のカバー部分4646’’’は、導体セット4604の底部側を被覆し、導体セット4604の実質的なエンクロージャを完成させる。この実施形態では、キャリアフィルム4646の挟まれた部分4646’’及びカバー部分4646’’’は実質的に共面にある。
図26bを参照して、遮蔽電気ケーブル4702は、上記及び図26aに図示される遮蔽電気ケーブル4602とある点で類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル4702では、遮蔽フィルム4708のカバー部分4707は、導体セット4704の上面、並びに左側及び右側の半分超を被覆する。キャリアフィルム4746のカバー部分4746’’’は、導体セット4704の底部側、並びに左側及び右側の残り(半分未満)を被覆し、導体セット4704の実質的なエンクロージャを完成させる。キャリアフィルム4746のカバー部分4746’’’は、対応する導体4706と実質的に同心である同心部分4746’を含む。
図26cを参照して、遮蔽電気ケーブル4802は、上記及び図26aに図示される遮蔽電気ケーブル4602とある点で類似している。遮蔽電気ケーブル4802では、遮蔽フィルム4808のカバー部分4807は、導体セット4804の底部側、並びに左側及び右側の半分未満を被覆する。キャリアフィルム4846のカバー部分4846’’’は、導体セット4804の上面、並びに左側及び右側の残り(半分超)を被覆し、導体セット4804のエンクロージャを完成させる。
図26dを参照して、遮蔽電気ケーブル4902は上記及び図26aに図示される遮蔽電気ケーブル4602と類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル4902では、遮蔽フィルム4908のカバー部分4907は、導体セット4904の底部側を被覆する。キャリアフィルム4946のカバー部分4946’’’は、導体セット4904の上面、並びに全体の左側及び右側を被覆し、導体セット4904の実質的なエンクロージャを完成させる。いくつかの場合では、遮蔽フィルム4908の挟まれた部分4909及びカバー部分4907は実質的に共面ある。
導体セットの周辺に、及び/又は複数の間隔を置いて配置された導体セットの周辺でケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルムを含む遮蔽電気ケーブルの実施形態と同様に、単一の遮蔽フィルムを含む遮蔽電気ケーブルの実施形態は、少なくとも1つの長手方向の接地導体を含む場合がある。一態様において、この接地導体は、任意の好適な終端点任意の好適な個々の接点要素(例えばプリント基板上の接点要素又は電気コネクタの電気接点)に対する遮蔽フィルムの電気的接触を促進する。接地導体は、遮蔽フィルムの端部の少なくとも1つを越えて延在し、この電気的接触を促進することができる。接地導体は、その長さに沿った少なくとも1つの位置において、遮蔽フィルムと直接的又は間接的な電気的接触をしてもよく、遮蔽電気ケーブルの好適な位置に配置されてもよい。
図27は、1つの遮蔽フィルム5008のみを有する遮蔽電気ケーブル5002を図示する。絶縁導体5006は、2つの導体セット5004に配置され、それぞれが一対の絶縁導体のみを有するが、本明細書に記載されるように、他の数の絶縁導体を有する導体セットも検討される。遮蔽電気ケーブル5002は、様々な代表的な位置において接地導体5012を含むように示されているが、接地導体5012のいずれか又は全ては所望により省略されてもよく、又は追加的な接地導体が含まれ得る。接地導体5012は、導体セット5004の絶縁導体5006と実質的に同じ方向に延在し、遮蔽フィルム5008とキャリアフィルム5046との間に配置される。1つの接地導体5012は、遮蔽フィルム5008の挟まれた部分5009に含まれ、3つの接地導体5012は導体セット5004に含まれる。これらの3つの接地導体5012のうちの1つは、絶縁導体5006と遮蔽フィルム5008との間に配置され、これらの3つの接地導体5012のうちの2つ及び絶縁導体5006は、概ね単一平面に配置される。
図28a〜28dは、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの様々な代表的な実施形態を図示する。図28a〜28dは、キャリアフィルムの存在がなく、遮蔽フィルムによる、導体セットの部分的な被覆の様々な実施例を図示する。遮蔽フィルムによる被覆の量は、実施形態の間で変化する。図28aに図示される実施形態では、導体セットは最も大きい被覆率を有する。図28dに図示される実施形態では、導体セットは最も小さい被覆率を有する。図28a及び28bに図示される実施形態では、導体セットの周辺の半分以上は、遮蔽フィルムによって被覆される。図28cに図示される実施形態では、導体セットの周辺の約半分は、遮蔽フィルムによって被覆される。図28dに図示される実施形態では、導体セットの周辺の半分未満は、遮蔽フィルムによって被覆される。より大きな量の被覆は、より良好な電磁干渉(EMI)分離、及び低減された信号減衰(近接効果における低減による)をもたらす。これらの実施形態において、導体セットは2つの実質的に平行な長手方向の絶縁導体を含み、他の実施形態では、導体セットは、1つ又は3以上の実質的に平行な長手方向の絶縁導体を含む場合がある。
図28aを参照すると、遮蔽電気ケーブル5102は、導体セット5104と、遮蔽フィルム5108と、を含む。導体セット5104は、ケーブル5102の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体5106を含む。遮蔽フィルム5108は、導体セット5104の両面から延在する、挟まれた部分5109を含む。挟まれた部分5109は、概ね平坦な遮蔽フィルムを協働して画定する。遮蔽フィルム5108は、導体セット5104を部分的に被覆するカバー部分5107を更に含む。カバー部分5107は、導体5104の対応する導体5106と実質的に同心である同心部分5111を含む。遮蔽フィルム5108のカバー部分5107は、図28aにおける導体セット5104の底部側、並びに左側及び右側を被覆する。
図28bを参照して、遮蔽電気ケーブル5202は、上記及び図28aに図示される遮蔽電気ケーブル5102と一部の点で類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル5202では、遮蔽フィルム5208のカバー部分5207は、導体セット5204の底部側、並びに左側及び右側の半分超を被覆する。
図28cを参照して、遮蔽電気ケーブル5302は上記及び図28aに図示される遮蔽電気ケーブル5102と類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル5302では、遮蔽フィルム5308のカバー部分5307は、導体セット5304の底部側、並びに左側及び右側の約半分を被覆する。
図28dを参照して、遮蔽電気ケーブル5402は、上記及び図28aに図示される遮蔽電気ケーブル5102とある点で類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル5402では、遮蔽フィルム5408のカバー部分5411は、導体セット5404の底部側、並びに左側及び右側の半分未満を被覆する。
キャリアフィルムの代替として、例えば、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルは、任意の非導電性支持体を含んでもよい。この支持体は、導体セットの物理的被覆率を達成するために、かつ遮蔽電気ケーブルの機械的安定性を追加するために使用されてもよい。図29a〜29dは、非導電性支持体を含む、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの様々な代表的な実施形態を図示する断面図である。これらの実施形態において、非導電性支持体が、2つの絶縁導体を含む導体セットと共に使用されるが、他の実施形態において、非導電性支持体は、1つ若しくは3つ以上の実質的に平行な長手方向の絶縁導体と共に、又は接地導体と共に使用される場合がある。支持体は、任意の好適な高分子材料を含み得、それらの高分子材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤が挙げられるが、それらに限定されない。支持体は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含んでもよい。
図29aを参照して、遮蔽電気ケーブル5502は、上記及び図28aに図示される遮蔽電気ケーブル5102と類似しているが、遮蔽フィルム5508のカバー部分5507と対向する、導体セット5504を部分的に被覆する非導電性支持体5548を更に含む。支持体5548はのみが、導体セット5504の上面を被覆し、絶縁導体5506を取り囲む。支持体5548は、概ね平坦な上面5548aを含む。遮蔽フィルム5508の上面5548a及び挟まれた部分5509は実質的に共面ある。
図29bを参照して、遮蔽電気ケーブル5602は、上記及び図28bに図示される遮蔽電気ケーブル5202と類似しているが、遮蔽フィルム5608のカバー部分5607と対向する、導体セット5604を部分的に被覆する非導電性支持体5648を更に含む。支持体5648のみが、導体セット5604の上面を部分的に被覆し、絶縁導体5606を部分的に露出した状態に残す。
図29cを参照して、遮蔽電気ケーブル5702は、上記及び図28cに図示される遮蔽電気ケーブル5302と類似しているが、遮蔽フィルム5708のカバー部分5707対向する、導体セット5704を部分的に被覆する非導電性支持体5748を更に含む。支持体5748は、導体セット5704の上面の本質的に全体を被覆し、絶縁導体5706を本質的に全体的に包囲する。支持体5748の少なくとも一部分は、絶縁導体5706と実質的に同心性である。支持体5748の一部分は、絶縁導体5706と遮蔽フィルム5708との間に配置される。
図29dを参照して、遮蔽電気ケーブル5802は、上記及び図28dに図示される遮蔽電気ケーブル5402と類似しているが、遮蔽フィルム5808のカバー部分5807と対向する、導体セット5804を部分的に被覆する非導電性支持体5848を更に含む。支持体5848のみが、導体セット5804の上面を被覆し、絶縁導体5806を部分的に露出した状態に残す。支持体5848の一部分は、絶縁導体5806と遮蔽フィルム5808との間に配置される。
遮蔽されたケーブルの更なる考察は、この点においては、同日付で出願され、本明細書において参照として組み込まれる、「Connector Arrangements for Shielded Electrical Cable」(代理人整理番号第66887US002号)に提供される。
高いパッキング密度の相互遮蔽導体セットを利用し得る、遮蔽されたリボンケーブルに関する更なる詳細をここで提供する。開示されるケーブルの設計特性は、これらが、信号リボンケーブルにおいて非常に高い密度の信号線を可能にする形式で製造されることを可能にする。これは、高密度の係合インターフェース及び超薄型コネクタを可能にし、並びに/又は標準的なコネクタインターフェースを用いたクロストーク分離を可能にし得る。加えて、高密度ケーブルは、信号のペア当たりの製造コストを低減し、ペアのアセンブリの曲げ剛性を低減し(例えば、一般的に高密度の1つのリボンは、より密度の低い2つの積み重ねられたリボンよりも容易に曲がる)、かつ1つのリボンが2つの積み重ねられたリボンよりも一般的に薄いために、合計厚さを低減することができる。
開示される遮蔽ケーブルの少なくともいくつかの、1つの潜在的な用途は、コンピューターシステム又は他の電子システムの構成要素又は装置間の高速(I/O)データ転送である。情報技術規格国際委員会(INCITS)により維持される、SAS(Serial Attached SCSI)として既知のプロトコルは、ハードドライブ及びテープドライブなどコンピューター記憶装置への、又はこれからのデータの移動を含む、コンピューターバスプロトコルである。SASは、標準的なSCSIコマンドセットを使用し、ポイントツーポイントシリアルプロトコルを含む。ミニ−SASとして既知の従来法は、SAS仕様内の特定のタイプのコネクタのために開発された。
ミニ−SASケーブルアセンブリなどの、内部用途のための従来の二芯同軸(twinax)ケーブルアセンブリは、個別のtwinaxペアを使用し、各ペアは、それ自体の付随ドレインワイヤ、一部の場合には2つのドレインワイヤを有する。かかるケーブルを終端するとき、各twinaxペアの各絶縁導体が管理されなくてはならないだけではなく、各twinaxペアに関して各ドレインワイヤ(又は両方のドレインワイヤ)もまた管理されなくてはならない。これらの典型的なtwinaxペアは典型的に、このペアをそれらが一緒に経路指定されるように緩い外部編組内に配置される、緩い束に配列される。対照的に、本明細書に記載される遮蔽されたリボンケーブルは必要に応じて、例えば、最初の4ペアリボンケーブルがパドルカードの一方の主表面(例えば、上記の図3dを参照)に係合され、次の4ペアリボンケーブル(これらは、最初の4つのペアリボンケーブルと構成又は設計において同様又は実質的に同一であってもよい)がパドルカードの同じ端部において他方の主表面と係合し、4送信遮蔽ペア及び4受信遮蔽ペアを有する、4x、又は4iミニ−SASアセンブリを形成する構成において使用され得る。この構成は、従来のケーブルの2芯同軸ペアを利用する構成と比較して有利であるが、その理由の一部は、1つのtwinaxペア当り、1つより少ないドレインワイヤを使用することができ、それゆえ終端に関して管理する必要があるドレインワイヤが、より少ないためである。しかしながら、2つの4ペアリボンケーブルの積み重ね体を利用する構成は、4x/4iのアセンブリを提供するために、2つの別個のリボンが必要であるという制限を保有し、2つのリボンを管理するための付随的な要件が伴い、1つのみのリボンと比較した、2つのリボンの剛直性及び厚さの不利益な増大が伴う。
開示される遮蔽付きリボンケーブルは、十分高密度に、すなわち、十分小さいワイヤ間の間隔で、十分小さい導体セット間の間隔で、かつ十分小さいドレインワイヤの数及びドレインワイヤの間隔で、適切な損失特性及びクロストーク若しくは遮蔽特性を有して作製し得ることにより、単一のリボンケーブル、又は積み重ねられた構成ではなく並列に配置構成された複数のリボンケーブルが、単一平面に沿って延在して、コネクタと嵌合することが可能になる点を見出した。このリボンケーブルは、少なくとも3つのtwinaxペアを合計で含むことができ、かつ複数のケーブルが使用される場合、少なくとも1つのリボンは少なくとも2つのtwinaxペアを含み得る。代表的な実施形態において、単一のリボンケーブルが使用されてもよく、必要に応じて、リボンケーブルは1つの平面のみに沿って延在するが、単一のペアは、コネクタ又は他の終端構成要素の2つの平面又は主表面に経路指定されてもよい。経路指定は多くの方法で達成することができ、例えば個々の導体の先端部又は端部は、リボンケーブルの面から外れて曲げられて、終端構成要素の一方又は他方の主表面と接触することができ、あるいは終端構成要素は、例えば一方の主表側の導電性経路部分を他方の主表側の他の導電性経路部分に接続する導電性貫通孔又はビアを使用してもよい。高密度ケーブルにとって特に重要なことは、リボンケーブルもまた導体セットよりも少なくドレインワイヤを含むのが好ましく;導体セットの一部又は全てがtwinaxペアである場合、すなわち、導体セットの一部又は全てがそれぞれ1つのペアの絶縁導体のみを含む場合、ドレインワイヤの数はtwinaxペアの数よりも少ないのが好ましい。所与のケーブルにおけるドレインワイヤは典型的に、ケーブルの幅寸法に沿って互いから間隔を置いて配置されているため、ドレインワイヤの数を縮小することは、ケーブルの幅が縮小されるのを可能にする。ドレインワイヤの数の低減はまた、ケーブルと終端構成要素との間に必要とされる接続部の数を低減させることによって製造を単純化させ、したがって、製造工程の数を低減し、製造に必要とされる時間を低減する。
更には、より少ないドレインワイヤを使用することによって、残存するドレインワイヤは、通常の場合よりも、直近の信号ワイヤから遠く離れて位置決めされるため、若干のケーブル幅の増大のみで、終端プロセスを著しく容易にすることができる。例えば、所与のドレインワイヤは、ドレインワイヤの中心から、最も近い導体セットの最も近い導体ワイヤの中心までの間隔σ1によって特徴付けることができ、最も近い導体セットは、絶縁導体の中心間の間隔σ2によって特徴付けられてもよく、σ1/σ2は0.7超であり得る。対照的に、従来のtwinaxケーブルは、絶縁導体離間距離の0.5倍のドレインワイヤ間隔+ドレインワイヤの直径を有する。
開示される遮蔽電気リボンケーブルの代表的な高密度実施形態において、2つの隣接するtwinaxペアの中心間の間隔、すなわちピッチ(この距離は以下で図16と関連してΣと称される)は、1つのペア内の信号線の中心間の間隔(この距離は以下で図16と関連してσと称される)の少なくとも4倍未満、及び好ましくは3倍未満である。Σ/σ<4又はΣ/σ<3として表すことができるこの関係は、内部用途のために設計されるジャケットを付けないケーブル、及び外部用途のために設計されるジャケットの付いたケーブルの両方で満たすことができる。本明細書の他で説明されるように、複数のtwinaxペアを備える、許容可能な損失及び遮蔽(クロストーク)特性を有する、遮蔽電気リボンケーブルを説明してきた。ここでΣ/σは2.5〜3の範囲である。
所与の遮蔽されたリボンケーブルの密度を特徴付ける別の方法(ケーブルの導体セットのいずれかがtwinax構成の導体のペアを有するかどうかにかかわらず)は、2つの隣接する導体セットの最も近い絶縁導体を参照とする。したがって、遮蔽されたケーブルが平坦に配置されるとき、第1導体セットの第1絶縁導体は、第2(隣接する)導体セットに最も近く、第2導体セットの第2絶縁導体は、第1導体セットに最も近い。第1絶縁導体及び第2絶縁導体の中心間隔はSである。第1絶縁導体は外径D1(例えば、その絶縁体の直径)を有し、第2絶縁導体は外径D2(例えば、その絶縁体の直径)を有する。多くの場合において、導体セットは、同じ寸法の絶縁導体を使用し、この場合ではD1=D2である。しかしながら、一部の場合には、D1及びD2は異なっていてもよい。パラメータDminは、D1及びD2の小さい方として定義することができる。勿論、D1=D2である場合、Dmin=D1=D2である。本明細書において記載される遮蔽電気リボンに関する設計特性を使用し、S/Dminが1.7〜2の範囲であるこのようなケーブルを作製することができる。
密接したパッキング、すなわち高密度は、開示されるケーブルの以下の特徴:最小数のドレインワイヤ、すなわち換言すれば、コネクタセット当たり1つ未満のドレインワイヤ(及び一部の場合には、2つ、3つ又は4つ以上のコネクタセットごと1つ未満のドレインワイヤ、例えば、ケーブル全体に対して1つのみ又は2つのドレインワイヤ)を使用して、ケーブル内のコネクタセットの一部又は全てのための十分な遮蔽を提供する能力;隣接する導体セットの間の高周波信号分離構造体(例えば、好適な形状の遮蔽フィルム);ケーブル構造体に使用される、比較的少ない数及び厚さの層;絶縁導体、ドレインワイヤ及び遮蔽フィルムの適切な配置及び構成を保証する形成プロセス、の1つ以上によってある程度達成することができ、並びにケーブルの長さに沿って均一性を提供するような方法でそれを行う。高密度特性は、パドルカード又は他の線形配列にマスストリッピング及びマス終端されることができるケーブルにおいて、有利に提供され得る。マスストリッピング及び終端は、ケーブル内の1つ、一部又は全てのドレインワイヤを、これらの対応する最も近い信号線(最も近い導体セットの最も近い絶縁導体)から、導体セットの隣接する絶縁導体との間の半分の間隔よりも大きな距離で、及び好ましくはこのような間隔の0.7倍よりも大きな距離で間隔を置いて配置することによって促進される。
ドレインワイヤを遮蔽フィルムに電気的に接続し、遮蔽フィルムを適切に形成して各導体セットを実質的に包囲することにより、遮蔽構造体は単独で、隣接する導体セットの間に適切な高周波クロストーク分離を提供することができ、最小数のドレインワイヤを用いて遮蔽されたリボンケーブルを構築することができる。代表的な実施形態において、所与のケーブルはたった2つのドレインワイヤを有してもよく(そのうちの一方は、ケーブルの各縁部において、又はその付近に位置することができる)が、一本のドレインワイヤのみでも可能であり、3つ以上のドレインワイヤも可能である。ケーブル構造体において、より少ないドレインワイヤを使用することによって、パドルカード又は他の終端構成要素上には、より少ない終端パッドが必要とされ、その構成要素はしたがってより小さくすることができ、及び/又はより高い信号密度を支持することができる。より少ないドレインワイヤが存在してより小さいリボン幅を消費するため、ケーブルは同様に、より小さく(より狭く)することができ、かつより高い信号密度を有することができる。より少ない数のドレインワイヤは、開示の遮蔽されたケーブルが、従来の別個のtwinaxケーブルリボンケーブル、別個のtwinaxペアで構成されるリボンケーブル、及び一般的なリボンケーブルよりも高い密度を支持することを可能にする重要な要因である。
近端クロストーク及び/又は遠端クロストークは、開示のケーブル及びケーブルアセンブリなど任意の電気ケーブルにおける信号完全性又は遮蔽の重要な尺度となり得る。信号線(例えば、twinaxペア又は他の導体セット)をケーブル及び終端領域内でより近接してグループ化することは、望ましくないクロストークを増加させる傾向にあるが、本明細書において開示されるケーブル設計及び終端設計は、この傾向に妨げるために使用することができる。ケーブルにおけるクロストーク及びコネクタ内のクロストークの課題は別個に対処することができるが、クロストーク低減を向上させるために、クロストーク低減のこれらの方法のいくつかは一緒に使用されてもよい。高周波遮蔽を増加させ、開示されるケーブルにおけるクロストークを低減するため、ケーブルの両側に2つの遮蔽フィルムを使用して、導体セット(例えば、twinax)を包囲する遮蔽部をできるだけ完全に形成することが望ましい。したがって、カバー部分は組み合わされて、いずれかの所与の導体セットを実質的に囲む(例えば、導体セットの外辺部の少なくとも75%又は少なくとも80、85%又は90%)ように、遮蔽フィルムを形成することが望ましい。ケーブルのピンチ区画内の遮蔽フィルム間の、いずれのギャップも最小化すること(排除することを含む)、並びに/あるいは、遮蔽フィルム間の、直接的な接触若しくは触れ合い、又は1つ以上のドレインワイヤを通じた電気的接触、又は導電性接着剤の使用などによって、2つの遮蔽フィルム間に、低インピーダンス又は直接的な電気的接触を使用することもまた、望ましい場合が多い。所与のケーブル又はシステムに対して、別個の「送信」及び「受信」のtwinaxペア又は導体が定義される又は指定される場合、同じリボンケーブルにおいて、全てのこのような「送信」導体を物理的に互いに隣接するようにグループ化し、かつ全てのこのような「受信」導体を物理的に互いに隣接するが、可能な程度に送信ペアから分離させてグループ化することによって、高周波遮蔽はまた、ケーブルにおいて、及び/又は終端構成要素において向上させることができる。導体の送信グループはまた、本明細書の他で記載される1つ以上のドレインワイヤ又は他の分離構造体によって、導体の受信グループから分離されていてもよい。一部の場合には、2つの分離されたリボンケーブル、(1つは送信導体用、もう一方は受信導体用)が使用され得るが、2つ(又はそれ以上)のケーブルが、積み重ねられるよりも並んで配置されるのが好ましく、これによってリボンケーブルの単一の可撓性面の利点が維持され得る。
説明される遮蔽ケーブルは、3〜15GHzの範囲の指定周波数及び1メートルのケーブル長での、クロストークC1によって特徴付けられる、所定の導体セット内の隣接する絶縁導体間の、高周波分離を呈し得、またその指定周波数でのクロストークC2によって特徴付けられる、所定の導体セットと隣接する導体セット(ケーブルのピンチ部分によって、第1導体セットから離隔される)との間の、高周波分離を呈し得、C2は、C1よりも、少なくとも10dB低い。あるいは、又はそれに加えて、説明される遮蔽ケーブルは、ミニ−SAS用途で使用されるものと類似の、又は同じ遮蔽の仕様に適合し得る。所定の信号強度の信号が、ケーブルの一方の末端部で、送信導体セットのうちの1つ(又は受信導体セットのうちの1つ)に結合され、ケーブルの同じ末端部で測定される、全ての受信導体セット内(又は全ての送信導体セット内)の累積信号強度が算出される。元の信号強度に対する累積信号強度の比率として計算され、デシベルで表される近端クロストークは、好ましくは−26dB未満である。
ケーブル端部が適切に遮蔽されない場合、ケーブル端部におけるクロストークは、所与の用途にとって顕著となり得る。開示のケーブルを用いる潜在的な解決法は、導体セット内のいずれかの浮遊電磁界を含むように、遮蔽フィルムの構造体を絶縁導体の終端点にできるだけ近接して維持することである。ケーブル以外に、パドルカード又は他の終端構成要素の設計詳細もまた、システムに関する適切なクロストーク分離を維持するように調整することができる。方策としては、送信信号と受信信号とを、互いに、可能な程度まで電気的に分離すること、例えば、これらの2つの信号のタイプに関連するワイヤ及び導体を、可能な限り互いに物理的に間隔を置いて配置させて、終端及び経路指定することが挙げられる。1つの選択肢は、そのようなワイヤ及び導体を、パドルカードの別個の面(反対側の主要表面)上に終端することであり、このことを使用して、自動的に、パドルカードの異なる平面、すなわち両側に、信号を経路指定することができる。別のオプションは、このようなワイヤ及び導体を横方向に可能な限り遠くで終端して、送信ワイヤを受信ワイヤから横方向に分離することである。これらのオプションの組み合わせも、更なる分離のために使用することができる。(この点においては、先に引用され、本明細書において参照として先に組み込まれる「Connector Arrangements for Shielded Electrical Cable」(代理人整理番号第66887US002号)を参照する。)これらの方策は、従来の寸法又は縮小された寸法のパドルカードと組み合わせて、開示の高密度のリボンケーブルを用いて、並びに著しいシステムの利点をもたらし得るリボンケーブルの単一面又は両面を用いて使用することができる。
パドルカードの終端に関連する上記の説明、及びパドルカードを目的とする本明細書の別の部分の説明がまた、任意の他のタイプの終端を包含するものとしても理解されるべきであることに読者は留意する。例えば、鍛造された金属コネクタは、リボンケーブルと接続する、1列又は2列の接点の線形配列を含み得る。かかる列は、パドルカードのものと類似であってもよく、これはまた接触子の2つの線形配列も含んでもよい。開示されるケーブル及び終端構成要素に対して、同一のずらされた、交互の、及び分離された終端方法が利用されてもよい。
損失又は減衰は多くの電気ケーブル用途において、別の重要な考慮事項である。高速I/O用途の1つの典型的な損失仕様は、ケーブルが約−6dB未満、例えば、5GHzの周波数における損失を有するということである。(この点において、例えば−5dBの損失は、−6dBの損失よりも小さいということを読者は理解する。)このような仕様は、導体セットの絶縁導体に対して、及び/又はドレインワイヤ対して、単により薄いワイヤを使用することによってケーブルを小型化しようとする試みに対して制限を課す。概して、他の要因が等しい場合、ケーブルにおいて使用されるワイヤが薄くされる場合、ケーブル損失は増加する。ワイヤのメッキ(例えば、銀メッキ、錫メッキ、又は金メッキ)は多くの場合においてケーブル損失に影響を与えることがあるが、約32ゲージ(32AWG)未満、又はわずかに小さいワイヤ寸法は、これが中実芯線であろうと、又は撚り線設計であろうと、一部の高速I/O用途において信号線に対して実際に、より低い寸法限度を呈し得る。しかしながら、より小さいワイヤ寸法は、他の高速用途において実現可能であり得、技術における利点もまた、小さなワイヤ寸法を許容可能なものにするものと期待され得る。
ここで図30aを参照すると、ケーブルシステム11401が存在することが分かり、これはパドルカード等の終端構成要素11420と組み合わせた、遮蔽電気リボンケーブル11402を含む。本明細書の他で示され、記載される設計特徴及び特性のいずれかを有し得るケーブル11402は、8つの導体セット11404、及び2つのドレインワイヤ11412を有するように示され、そのうちのそれぞれが、ケーブルの対応する縁部において、又はその付近に配置される。各導体セットは実質的にtwinaxペアであり、すなわちそれぞれが2つの絶縁導体11406のみを含み、それぞれの導体セットは好ましくは、高速データ信号を送信及び/又は受信するように調整される。勿論、他の数の導体セット、所与の導体セット内の他の数の絶縁導体、及び他の数のドレインワイヤ(ある場合は)は一般的にケーブル11402に使用することができる。8つのtwinaxペアはしかしながら、4つの「レーン」すなわち「チャネル」(各レーン、すなわちチャネルは完全に1つの送信ペア、及び完全に1つの受信ペアを有する)と共に使用するために設計されたパドルカードの現在の普及率のために、ある程度重要である。ケーブルの全体的に平坦、すなわち平面的な設計及びその設計特徴は、示されるように、容易に曲げる、ないしは別の方法で操作することを可能にし、その一方で導体セットの良好な高周波遮蔽及び許容可能な損失を維持する。ドレインワイヤの数(2)は、導体セットの数(8)よりも実質的に少なく、ケーブル11402が実質的に、より小さい幅w1を有することを可能にする。そのような低減された幅は、ドレインワイヤ11412が、直近の信号ワイヤ(直近の絶縁導体11406)に対して、直近の導体セット内の信号ワイヤの間隔の少なくとも0.7倍で間隔を置いて配置される場合であっても、実現することができるが、これは、2つのドレインワイヤのみを(この実施形態では)伴うためである。
終端構成要素11420は、第1端部11420a及び対向する第2端部11420b、並びに第1主表面11420c及び対向する第2主表面1420dを有する。導電性経路11421は例えば、構成要素11420の少なくとも第1主表面11420c上に、印刷若しくは他の従来の堆積プロセス、及び/又はエッチングプロセスによって提供される。この点において、導電性経路は、典型的には硬質若しくは剛性であるが、一部の場合には可撓性である好適な電気的に分離した基材上に堆積される。各導電性経路は典型的には、構成要素の第1端部11420aから第2端部11420bまで延在する。示されている実施形態において、ケーブル11402の個々のワイヤ及び導体は、導電性経路11421の対応するものに電気的に接続される。
簡略化のために、それぞれの経路は構成要素11420若しくは基材の1つの端部から、構成要素の同じ主表側の他方まで延在しながら直線で示されている。一部の場合には、1つ以上の導電性経路は基材における孔、すなわち「ビア」を通じて延在してもよく、それによって例えば、経路の一部分及び1つ端部が主表側に位置し、経路の別の部分及び他方の端部が基材の反対側の対向する主表側に位置する。また、一部の場合には、ケーブルのワイヤ及び導体の一部は、基材の1つの主表側の導電性経路(例えば、導体パッド)に取り付けることができ、その一方で、ワイヤ及び導体の他方は、基材の対向する主表側だが、構成要素の同じ端部において、導電性経路(例えば導体パッド)に取り付けることができる。これは、例えば、ワイヤ及び導体の端部を1つの主表面に向けて上方に、又は他方の主表面に向けて下方に、わずかに曲げることによって達成され得る。一部の場合には、遮蔽されたケーブルの信号線及び/又はドレインワイヤに対応する導電性経路の全ては、基材の1つの主表面上に配置されてもよい。一部の場合には、導電性経路の少なくとも1つは、基材の1つの主表面上に配置されてもよく、導電性経路の少なくとも別のものが、基材の対向する主表面上に配置されてもよい。一部の場合には、導電性経路の少なくとも1つが、基材の第1主表面上で第1端部において第1部分を有してもよく、基材の対向する第2主表面上で第2端部において第2部分を有してもよい。一部の場合には、遮蔽されたケーブルの交互の導体セットは、基材の対向する主表面上で導電性経路に取り付けられてもよい。
終端構成要素11420又はその基材は幅w2を有する。代表的な実施形態において、ケーブルの幅w1は、構成要素の幅w2よりも著しく大きくはなく、よって、例えばケーブルのワイヤと、構成要素の導電性経路との間に必要な接続を形成するために、ケーブルがその端部において折り曲げられるか、又は一緒に束にされる必要はない。いくつかの場合では、付随する導体経路に接続し、その一方で接続点において、かつその付近でケーブルの概ね平坦な構成を維持するために、w1はw2よりも僅かに大きいが、導体セットの端部がケーブルの平面において、漏斗型の方式で曲げることができるように依然として十分に小さくてもよい。一部の場合には、w1はw2に等しいか、又はそれより小さくてもよい。従来の4つのチャネルパドルカードは、現在15.6ミリメートルの幅を有し、このように、少なくともいくつかの用途においては、遮蔽されたケーブルが約16mm以下、又は約15mm以下の幅を有することが望ましい。
図30b及び30cは、代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図であり、この図はまた導体セットの密度を特徴付けるのに有用なパラメータも示す。遮蔽されたケーブル11502は、少なくとも導体セット11504a、11504b、及び11504cを含み、これらは、ケーブルの対向する側の第1及び第2遮蔽フィルム1508によって互いに遮蔽され、それらの対応するカバー部分、挟まれた部分、及び移行部分が適切に形成されている。遮蔽されたケーブル11602は同様に、少なくとも3つの導体セット11604a、11604b、及び11604cを含み、これらは、第1及び第2遮蔽フィルム11608によって互いに遮蔽される。ケーブル11502の導体セットは、種々の数の絶縁導体11506を含み、導体セット11504aは1つを有し、導体セット11504bは3つを有し、導体セット11504cは2つ(twinax設計に関する)を有する。導体セット11604a、11604b、11604cは全てtwinax設計であり、正確に2つの絶縁導体1606を有する。図30b及び図30cに示されないが、各ケーブル11502、11602は好ましくは、図1又は図30aに示されるように、ケーブルの縁部において、又はその付近で遮蔽フィルムに挟持された、少なくとも1つの、及び任意により2つ(又はそれ以上)のドレインワイヤを含むことも好ましい。
図30bでは、2つの隣接する導体セットの最も近い絶縁導体に関連すると特定された、いくつかの寸法が見られる。導体セット11504aは、導体セット11504bに隣接する。セット11504aの絶縁導体11506は、セット11504bに最も近く、セット11504bの(図の視点から)最も左の絶縁導体11506はセット11504aに最も近い。セット11504aの絶縁導体は外径D1を有し、セット11504bの最も左側の絶縁導体は外径D2を有する。これらの絶縁導体の中心間の離間距離はS1である。パラメータDminを、D1及びD2のより小さいものとして定義した場合、密集してパッキングされた、遮蔽されたケーブルに対して、S1/Dminは1.7〜2の範囲にあるということを指定することができる。
また図30bにおいて、導体セット11504bは隣接する導体セット11504cである。セット11504bの最も右側の絶縁導体11506は、セット11504cに最も近く、セット11504cの最も左側の絶縁導体11506は、セット11504bに最も近い。セット11504bの最も右側の絶縁導体11506は、外径D3を有し、セット11504cの最も左側の絶縁導体11506は、外径D4を有する。これらの絶縁導体の中心間の離間距離はS3である。パラメータDminをD3及びD4の小さい方として定義した場合、密にパッキングされた遮蔽ケーブルについは、S3/Dminは1.7〜2の範囲であると特定することができる。
図30cにおいて、指定された、いくつかの寸法は、隣接するtwinaxペアの少なくとも1つのセットを有するケーブルに関連するということが分かる。導体セット11604a、11604bは、隣接するtwinaxペアの1つのそのようなセットを表す。これらの2つの導体セットの中心間の間隔、すなわちピッチはΣとして表される。twinax導体セット11604a内の信号線の中心間の間隔はσ1として表される。twinax導体セット11604b内の信号線の中心間の間隔はσ2として表される。密にパッキングされた遮蔽ケーブルについて、Σ/σ1及びΣ/σ2の一方又は両方は4未満、又は3未満、又は2.5〜3の範囲であると特定してもよい。
図30d及び図30eにおいて、パドルカード等など、終端構成要素11702と組み合わされた、遮蔽電気リボンケーブル11720を含むケーブルシステム11701の平面図及び側面図がそれぞれ見られる。本明細書で示され、他で記載される設計特性及び特徴のいずれかを有し得るケーブル11702は、8つの導体セット11704、及び2つのドレインワイヤ11712を有するように示され、そのうちのそれぞれが、ケーブルの対応する縁部において、又はその付近に配置される。各導体セットは実質的にtwinaxペアであり、すなわちそれぞれが2つの絶縁導体11706のみを含み、それぞれの導体セットは好ましくは、高速データ信号を送信及び/又は受信するように調整される。図30aのように、ドレインワイヤの数(2)は、導体セットの数(8)よりも実質的に少なく、例えば、ケーブル11702が、導体セットごとに1つ又は2つのドレインワイヤを有するケーブルに対して、実質的に小さい幅を有するのを可能にする。2つのドレインワイヤのみが(この実施形態において)含まれているため、このように低減された幅は、ドレインワイヤ11712が、最も近い信号ワイヤ(最も近い絶縁導体11706)に対して、最も近い導体セットにおける信号線の間隔の少なくとも0.7倍間隔を置いて配置されている場合でさえも実現することができる。
終端構成要素11720は、第1端部11720a及び対向する第2端部11720bを有し、第1主表面11720c及び対抗する第2主表面11720dを有する、好適な基材を含む。導電性経路11721は、基材の少なくとも第1主表面11720c上に提供される。各導電性経路は典型的に、構成要素の第1端部11720aから第2端部11720bまで延在する。導電性経路は、構成要素の両端において導体パッドを含むように示され、図においては、ケーブル11702の個別のワイヤ及び導体が、対応する導体パッドにおいて、導体性経路11721の対応するものと電気的に接続されているとして示されている。基材上の導電性経路の配置、構成、及び配列と、ケーブルの様々なワイヤ及び導体の配置、構成、及び配列と、終端構成要素の主表面の一方又は両方へのこれらの取り付けに関して、本明細書の他で記載される変更もまた、システム11701に適用されるように意図される。
ケーブル11402(図30aを参照)の一般設計図を有する、遮蔽電気リボンケーブルが作製された。ケーブルは、信号線に関しては8つのtwinaxペアに配列された16本の絶縁された32ゲージ(AWG)のワイヤと、ドレインワイヤに関しては、ケーブルの縁部に沿って配置された2つの非絶縁32(AWG)ワイヤを使用した。使用された16本の信号ワイヤのそれぞれは銀メッキを備える中実芯線の銅コアを有した。2つのドレインワイヤはそれぞれ、撚られた構造体(それぞれ7つの撚り)を有し、錫メッキされた。絶縁ワイヤの絶縁部は、0.025インチ(0.064cm)の公称外径を有した。16本の絶縁ワイヤ及び2本の非絶縁ワイヤは、図5cに示されるものと同様の装置に送達され、2つの遮蔽フィルムの間に挟まれた。遮蔽フィルムは実質的に同一であり、以下の構造体を有した:ポリエステルの基層(0.00048インチ(0.0012cm)厚さ)、その上にアルミニウムの連続層(0.00028インチ(0.00071cm)厚さ)が配置され、その上に非導電性接着剤の連続層(0.001インチ(0.0025cm)厚さ)が配置された。遮蔽フィルムは、フィルムの金属コーティングが互いに面し、導体セットに面するように方向付けられた。プロセス温度は約270°Fだった。このプロセスにより作製される、結果として得られるケーブルは撮影されて、図30fに平面図で示され、ケーブルの端部の斜位図が図30gに示される。図において、1804は、twinax導体セットを指し、1812はドレインワイヤを指す。
結果として得られるケーブルは、信号線に使用される絶縁導体において中実芯線の同心性がないために理想的ではなかった。それにもかかわらず、非同心性の問題を考慮しつつ(それを修正しながら)、ケーブルの特定のパラメータ及び特徴は測定することができる。例えば、寸法D、d1、d2(図2cを参照)は、それぞれ約0.028インチ、0.0015インチ、及び0.028インチ(0.071cm、0.0038cm、及び0.071cm)であった。横断面において、遮蔽フィルムいずれも、ケーブルの幅に沿ったいずれの点において、50マイクロメートル未満の曲率半径を有さなかった。所与のドレインワイヤから、最も近いtwinax導体セットの最も近い絶縁ワイヤまでの中心間の間隔は、約0.83mmであり、各導体セット内の絶縁ワイヤの中心間の間隔(例えば、図30cのパラメータσ1及びσ2を参照)は約0.025インチ(0.64mm)であった。隣接するtwinax導体セットの中心間の間隔(図30cのパラメータΣを参照)は約0.0715インチ(1.8mm)であった。間隔パラメータS(図30bのS1及びS3)は約0.0465インチ(0.118cm)であった。ケーブルの幅は、縁部から縁部まで測定され、約16〜17ミリメートルであり、ドレインワイヤ間の間隔は15ミリメートルであった。ケーブルは、ドレインワイヤを含め、容易にマス終端可能であった。
これらの値から以下のことが分かる:ドレインワイヤから最も近い信号線までの間隔は、各twinaxペア内のワイヤからワイヤまでの間隔の約1.3倍であり、したがって、ワイヤ間の間隔の0.7倍超であり;ケーブル密度パラメータΣ/σは約2.86(すなわち、2.5〜3の範囲内)であり;他のケーブル密度パラメータS/Dminは約1.7であり(すなわち、1.7〜2の範囲内);比率d1/D(遮蔽フィルムのカバー部分の間の最大離間距離によって割った、遮蔽フィルムの挟まれた部分の最小離間距離)は約0.05、すなわち、0.25未満、及び0.1未満であり;比率d2/D(遮蔽フィルムのカバー部分間の最大離間距離で割った、絶縁導体間の領域における遮蔽フィルムのカバー部分間の最小離間距離)は約1、すなわち0.33超だった。
ケーブルの幅(すなわち、縁部から縁部までの約16mm、及びドレインワイヤからドレインワイヤまでの15.0mm)は、従来的なミニ−SAS内部ケーブル外部成形終端の幅(典型的に17.1mm)より小さく、ミニ−SASパドルカードの典型的な幅(15.6mm)とほぼ同じである。パドルカードよりも小さい幅は、ワイヤ末端部の横方向の調整を必要としない、ケーブルからパドルカードへの単純な1対1の経路指定を可能にする。ケーブルが、終端の基板又はハウジングよりも若干幅広であった場合であっても、外側のワイヤを、横方向に経路指定するか、又は屈曲させて、基板の外側縁部上のパッドに適合させることが可能である。物理的にこのケーブルは、他のリボンケーブルに対して2倍の密度をもたらすことができ、アセンブリにおいては半分の厚さであってもよく(必要とされるリボンが1つ少ないため)、他の共通ケーブルよりも薄いコネクタを可能にし得る。ケーブル端部は、本明細書の他で説明されるように、終端構成要素と接続するための任意の好適な方式で終端及び操作することができる。
ここで、オンデマンドのドレインワイヤ機構を利用することができる、遮蔽されたリボンケーブルに関する更なる詳細を提供する。
開示される遮蔽電気ケーブルの多くにおいて、遮蔽フィルムの一方又は両方と直接又は間接的に電気接触するドレインワイヤは、ケーブルの実質的に全長にわたってこのような電気接触をする。ドレインワイヤは次いで、終端位置において外部の接地接続部に結合されて、クロストークをもたらし得るいずれかの浮遊信号を低減し(又は「ドレイン」)、電磁干渉(EMI)を低減するために、遮蔽部材に接地基準を提供してもよい。「発明を実施するための形態」のこの項において、ケーブル長さ全体に沿ってではなく、むしろケーブルの1つ以上の絶縁された領域において所与のドレインワイヤと所与の遮蔽フィルムとの間に電気接触を提供する、構造体及び方法をより十分に説明する。絶縁領域において電気接触によって特徴付けられる構造体及び方法は、オンデマンド技法と称すことがある。
このオンデマンド技法は、本明細書の別の部分で記載される遮蔽ケーブルを使用してもよく、ケーブルは、ドレインワイヤの長さの全て、又は少なくとも実質的な部分において、ドレインワイヤと少なくとも1つの遮蔽フィルムとの間に高いDC電気抵抗を有する少なくとも1つのドレインワイヤを含むように作製される。かかるケーブルは、オンデマンド技法を説明する目的のために、非処理ケーブルと称され得る。未処理ケーブルは次いで、局所的な領域におけるドレインワイヤと遮蔽フィルム間の直流抵抗を実質的に低減し、かつ電気接触(直接的であろうと間接的であろうと)を提供するために、少なくとも1つの特定された局所的な領域において処理され得る。局所的な領域における直流抵抗は例えば、10Ω以下、又は2Ω以下、又は実質的にゼロΩであってもよい。
未処理ケーブルは、少なくとも1つのドレインワイヤと、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、高速信号を送達するのに好適な少なくとも1つの絶縁導体を含む少なくとも1つの導体セットと、を含み得る。図31aは、未処理ケーブルとして機能し得る代表的な遮蔽電気ケーブル11902の正面断面図であるが、実質上、本明細書において示される又は記載される他の任意の遮蔽ケーブルもまた、使用されてもよい。ケーブル11902は、3つの導体セット11904a、11904b、11904cを含み、これらはそれぞれ、1つ以上の絶縁導体を含み、ケーブルはまた、6つのドレインワイヤ11912a〜fを有し、これらは実演目的で様々な位置に示される。ケーブル11902はまた、ケーブルの対向する側に配置され、好ましくは対応するカバー部分、挟まれた部分、及び移行部分を有する、2つの遮蔽フィルム11908も含む。最初に、非導電性接着剤材料、又は他の適合する非導電性材料は、各ドレインワイヤを遮蔽フィルムの一方の又は両方から分離させる。ドレインワイヤ、遮蔽フィルム、及び非導電材料は、局所領域、すなわち処置領域内で、遮蔽フィルムを、オンデマンドで、直接的又は間接的に、ドレインワイヤと電気的に接触させることができるように、構成される。その後、説明されたドレインワイヤ11912a〜fのいずれかと、遮蔽フィルム11908との間の、この選択的な電気接触を達成するために、好適な処理プロセスが使用される。
図31b、31c、及び31dは、かかる処理プロセスを少なくともいくらか実証する、遮蔽されたケーブル又はその部分の正面断面図である。図31baにおいて、遮蔽電気ケーブル12002は対向する遮蔽フィルム12008を含み、これらのそれぞれは導電性層12008a及び非導電性層12008bを含み得る。遮蔽フィルムは、各遮蔽フィルムの導電性層がドレインワイヤ12012及び他の遮蔽フィルムと面するように方向付けられる。別の実施形態において、遮蔽フィルムの一方又は両方の非導電性層が省略されてもよい。有意なことに、ケーブル12002は、遮蔽フィルム12008のそれぞれからドレインワイヤ12012を分離する非導電性材料(例えば誘電体材料)12010を遮蔽フィルム12008間に含む。一部の場合には、材料12010は、非導電性の適合する接着材料であっても、又はこれを含んでもよい。一部の場合には、材料12010は、0.02mm未満の厚さ、又はいくつか他の好適な厚さにおいてポリオレフィンなど熱可塑性誘電体材料であってもよく、又はこれを含んでもよい。一部の場合には、材料12010は、ケーブル製造の前に遮蔽フィルムの一方又は両方を被覆する薄層の形態であってもよい。一部の場合には、材料12010は、ケーブルの製造前に(及び未処理のケーブルにおいて)ドレインワイヤを被覆する薄型の絶縁層の形態であってもよく、この場合、材料は図31b及び31cに示される実施形態とは異なり、ケーブルの挟まれた領域内へ延在しなくてもよい。
局所化された接続を作るために、圧縮力及び/又は熱が限定された領域又は区域内に適用されて、有効に材料を12010を強制的に外れるようにすることによって、遮蔽フィルム12008をドレインワイヤ12012と恒久的に電気接触としてもよい。電気接触は直接的又は間接的であってもよく、局所的な処理された領域において、10Ω未満、又は2Ω未満、又は実質的にゼロΩの直流抵抗によって特徴付けられ得る。(勿論、ドレインワイヤの未処理部分は、ドレインワイヤの処理された部分を通じて遮蔽フィルムと電気的に接触するという事実を除いて、ドレインワイヤ12012の未処理部分は、遮蔽フィルムから物理的に分離され続け、高い直流抵抗(例えば>100オーム)によって特徴づけられる。)処理手順は、ケーブルの異なる別個の領域において以降の工程において繰り返されてもよく、及び/又は任意の所与の単一の工程において、ケーブルの複数の分離した領域において行われてもよい。遮蔽ケーブルはまた好ましくは、高速のデータ通信のために、1つ以上の絶縁された信号線の少なくとも1つのグループを含む。図31dにおいて、例えば、遮蔽されたケーブル12102は、遮蔽フィルム12108によってもたらされる遮蔽を備える、複数のtwinax導体セット12104を有する。ケーブル12102は、ドレインワイヤ12112を含み、それらのうちの2つ(12112a、12112b)は、処理構成要素12130を使用して、例えば圧力、熱、放射線、及び/又は任意の他の好適な作用物質を用いて単一工程で処理されているが示されている。処理構成要素は好ましくは長さ(図面の面に垂直な軸に沿った寸法)を有し、これは処理された領域が、ケーブルの長さと比較して同様に小さいように、ケーブル12102の長さと比較して小さい。オンデマンドドレインワイヤの接触のための処理プロセスは、(a)ケーブル製造中、(b)終端プロセスのための長さにケーブルが切断された後、(c)終端プロセスの間(ケーブルが終端されるときに同時でさえも)、(d)ケーブルがケーブルアセンブリに作製された後(例えば、ケーブルの両端への終端構成要素の取り付けの後)、又は(e)(a)〜(d)のいずれかの組み合わせにおいて行われ得る。
ドレインワイヤと、遮蔽フィルムの一方又は両方との間の局所化された電気接触を提供するための処理は、一部の場合には圧縮を使用し得る。処理は、材料を大幅に変形させて接触を生じさせる、高い局所的な力を用いて室温において、又は上記の熱可塑性材料がより容易に流れることができる高温において実行されてもよい。処理はまた、接触を形成するために、この領域に超音波エネルギーを送達することも含み得る。また、処理プロセスは、遮蔽フィルム及びドレインワイヤを分離する誘電体材料内における導電性粒子の使用、並びに/又はドレインワイヤ及び/若しくは遮蔽フィルムに提供されるアスペリティにより支援されてもよい。
図31e及び図31fは、ドレインワイヤと遮蔽フィルムとの間のオンデマンドの接触を提供するように選択することができる別の構成を示す、遮蔽電気ケーブルアセンブリ12201の平面図である。両方の図において、遮蔽電気リボンケーブル12202は、その両端において、終端構成要素12220、12222に接続される。終端構成要素はそれぞれ、ケーブル12202の対応するワイヤ及び導体への電気的接続のために、その上に提供される別個の導電性経路を備える基材を含む。ケーブル12202は、高速データ通信に適合されたtwinax導体セットなど、絶縁導体のいくつかの導体セットを含む。ケーブル12202はまた、2つのドレインワイヤ12212a、12212bを含む。ドレインワイヤは、それぞれの終端構成要素の対応する導電性経路と接続する端部を有する。ドレインワイヤはまた、ケーブルの少なくとも1つの遮蔽フィルムの付近に配置され(例えば、これによって被覆される)、及び好ましくは、例えば図31a及び31bの断面図に示される2つのこのようなフィルムの間に配置される。以下に記載される局所的に処理された領域又は区域を除いて、ドレインワイヤ12212a、12212bは、ケーブルの長さに沿ったいずれの点において遮蔽フィルムと電気的に接触せず、これは任意の好適な手段、例えば、本明細書の他で記載された電気的分離技法のいずれかを使用することによって達成され得る。未処理領域における、ドレインワイヤと遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、例えば100Ω超であり得る。しかしながら、ケーブルは、所与のドレインワイヤと所与の遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するために、上記の選択された区域又は領域において処理されるのが好ましい。図31eにおいて、ケーブル12202は、ドレインワイヤ12212aと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように局所的領域12213aにおいて処理され、並びにそれはまたドレインワイヤ12212bと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように局所的領域12213b、12213cにおいて処理されている。図31fにおいて、ケーブル12202は、同じ局所的な領域12213a及び12213bにおいて、また異なる局所的領域12213d、2213eにおいて処理されるとして示される。
一部の場合には、複数の処理領域が、余分に又は他の目的のために、単一のドレインワイヤのために使用され得る。他の場合において、単一の処理領域が所与のドレインワイヤのために使用され得る。一部の場合には、第1ドレインワイヤの第1処理領域は、第2ドレインワイヤの第2処理領域と同じ長さ方向の位置で配置されてもよい(図31e、31fの領域12213a、12213bを参照、及び図31dに示される手順も参照のこと)。一部の場合には、1つのドレインワイヤの処理された領域は別のドレインワイヤの処理された領域と、異なる長さ方向位置において配置されてもよい。図31eの領域12231a及び12213c、又は図31fの領域12213d及び12213eを参照のこと。一部の場合には、1つのドレインワイヤの処理された領域は、別のドレインワイヤが遮蔽フィルムといかなる局所的な電気接触を有さない、ケーブルの長さ方向の位置に配置されてもよい。図31eの領域12213c、又は図31fの領域12213d又は領域12213eを参照のこと。
図31gは、ドレインワイヤと遮蔽フィルムとの間にオンデマンドの接触を提供するように選択することができる別の構成を示す、別の遮蔽電気ケーブルアセンブリ12301の平面図である。アセンブリ12301において、遮蔽電気リボンケーブル12302は、その両端において、終端構成要素12320、12322と接続される。終端構成要素はそれぞれ、ケーブル12302の各ワイヤ及び導体との電気的接続のために、上部に提供される別個の導電経路を有する基材を含む。ケーブル12302は、高速データ通信に適合されたtwinax導体セットなど、絶縁導体のいくつかの導体セットを含む。ケーブル12302はまた、いくつかのドレインワイヤ12312a〜dを含む。ドレインワイヤは、それぞれの終端構成要素の対応する導電性経路と接続する端部を有する。ドレインワイヤはまた、ケーブルの少なくとも1つの遮蔽フィルムの付近に配置され(例えば、これによって被覆される)、及び好ましくは、例えば図31a及び31bの断面図に示される2つのこのようなフィルムの間に配置される。以下に記載されるであろう局所的に処理された領域又は区域を除いて、少なくともドレインワイヤ112312a、112312dは、ケーブルの長さに沿ったいずれの点においても遮蔽フィルムと電気的に接触せず、かつこれは任意の好適な手段によって、例えば本明細書の他に記載される電気的分離技術のいずれかを利用することによって達成され得る。未処理領域における、ドレインワイヤと遮蔽フィルムとの間の直流抵抗は、例えば100Ω超であり得る。しかしながら、ケーブルは、これらのドレインワイヤと所与の遮蔽フィルムとの間の電気的接触を提供するように、上記のように選択された区域又は領域において処理されるのが好ましい。この図において、ケーブル12302は、ドレインワイヤ12312aと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように局所的領域12313aにおいて処理されるように示され、並ぶにドレインワイヤ2312dと遮蔽フィルムとの間に電気的接触を提供するように、局所的領域12313b、12313cにおいて処理されるものとして示される。ドレインワイヤ12313b、12312cの一方若しくは両方は、局所的な処理に好適なタイプであってもよく、又は一方若しくは両方は、それらがケーブル製造中にこれらの実質的に全長に沿って遮蔽フィルムと電気接触を形成する、より標準的な方法で作製されてもよい。
(実施例)
2つの実施例がこの項において示される。第一に、2つの実質的に同一の未処理の遮蔽電気リボンケーブルは、図31dに示される遮蔽されたケーブルと同じ数及び構成の導体セット及びドレインワイヤを用いて作製された。各ケーブルは、以下の同じ構造体を有する2つの対向する遮蔽フィルムを使用して作製された:ポリエステルの基層(0.00048インチ(0.0012cm)厚さ)、その上にアルミニウムの連続層(0.00028インチ(0.00071cm)厚さ)が配置され、その上に非導電性接着剤の連続層(0.001インチ(0.0025cm)厚さ)が配置された。4つのtwinax導体セットを作製するために各ケーブルで使用される8つの絶縁導体は、30ゲージ(AWG)、中実芯線、銀メッキされた銅線であった。各ケーブルに使用された8つのドレインウィアやーは、32ゲージ(AWG)、錫メッキされた、7つの撚り線だった。製造プロセスに使用される設定は、各ドレインワイヤと各遮蔽フィルムとの間に接着剤材料(ポリオレフィン)の薄い層(10マイクロメートル未満)が残り、未処理のケーブルにおいてこれらの間の電気接触を防ぐように調節された。2つの未処理ケーブルはそれぞれ、約1メートルの長さに切断され、1つの端部においてマス終端された。
これらの未処理のケーブルの最初の1つは、最初に試験されて、ドレインワイヤのいずれかが遮蔽フィルムのいずれかと電気接触しているかどうかを判定した。これは、ケーブルのストリッピングされた端部においてマイクロオームメーターを、2つのドレインワイヤの全ての28の可能な組み合わせに接続することによって行われた。これらの測定は、組み合わせのいずれに対しても測定可能な直流抵抗を生じない。すなわち、全ての組み合わせが、100Ωを遥かに超える直流抵抗を生じた。次いで、図31dに示されるように、2つの隣接するドレインワイヤは、これらのドレインワイヤと2つの遮蔽フィルムとの間の接触の局所的な領域を提供するように、一工程において処理された。別の2つの隣接するドレインワイヤ、例えば、図31dの左側における、12112と表示された2つの隣接するワイヤもまた第2工程で同様に処理された。各処理は、ケーブルの一部分を、長さ約0.25インチ(0.64cm)、及び幅0.05インチ(0.13cm)であるツールで圧迫することによって達成され、このツールの幅はケーブルの1つの長さ方向位置において、2つの隣接するドレインワイヤを被覆する。それぞれ処理された部分は、ケーブルの1つの端部から約3cmであった。この第1実施例において、ツール温度は220℃であり、約75〜150パウンド(34.02〜68.04kg)の力が、各処理に関して10秒間適用された。ツールは次いで取り外され、ケーブルを冷却させた。マイクロオームメーターは次いで、処理された端部の対向するケーブル端部で接続され、2つのドレインワイヤの全ての28の可能な組み合わせが再び試験された。1つのペア(処理されたドレインワイヤの2つ)は直流抵抗は1.1Ωと測定され、2つのドレインワイヤの全ての他の組み合わせの直流抵抗(処理された端部に対向するケーブルの端部で測定された)は測定可能ではなく、すなわち、100Ωを遥かに超えた。
未処理のケーブルの第2のものもまた、ドレインワイヤのいずれかが、遮蔽フィルムのいずれかと電気接触しているかどうかを決定するために、まず試験された。これはまた、ケーブルのストリッピングされた端部においてマイクロオームメーターを、2つのドレインワイヤの28の全ての可能な組み合わせに接続することによって行われ、測定値は再び、いずれの組み合わせに関しても測定可能な直流抵抗を生じなかった。すなわち、全ての組合せは100Ωを遥かに超える直流抵抗を生じさせた。次いで、図21に示されるように、2つの隣接するドレインワイヤは、これらのドレインワイヤと2つの遮蔽フィルムとの間に局所的な領域を提供するように、第1工程において処理された。この処理は、実施例1と同じツールを用いて実施され、処理された部分はケーブルの第1端部から約3cmであった。第2処理工程において、同じ2つのドレインワイヤが、第1工程と同じ条件下ではあるが、第1端部と対向するケーブルの第2端部から3cmの位置において処理された。第3工程において、図31dの左側において12112と示された2つの隣接するワイヤは再び、ケーブルの第1端部から3cmで、第1工程と同様に処理された。第4処理工程において、工程3で処理された同じ2つのドレインワイヤが、条件下ではあるが、ケーブルの第2端部から3cmの処理位置において処理された。この第2実施例において、ツール温度は210℃であり、約75〜150パウンド(34.02〜68.04kg)の力が、各処理工程に関して10秒間適用された。ツールは次いで取り外され、ケーブルを冷却させた。マイクロオームメーター次いで、ケーブルの1つの端部において接続され、2つのドレインワイヤの全ての28の可能な組み合わせが再び試験された(attain tested)。5つの組み合わせにおいて、0.6Ωの平均直流抵抗が測定され(これらの組み合わせの5つ全ては処理された領域を有する4つのドレインワイヤを含む)、処理された領域を有する4つのドレインワイヤを含む残りの組み合わせに関して、21.5Ωの直流抵抗が測定された。2つのドレインワイヤの全ての他の組み合わせの直流抵抗は測定可能ではなく、すなわち100Ωを遥かに超えた。
図32aは、これらの実施例に関して作製及び処理された、遮蔽電気ケーブルの1つの写真である。4つの局所的に処理された領域を見ることができる。図32bは、図32aの一部分の拡大された詳細であり、局所的に処理された領域の2つを示している。図32cは、図32aの正面断面設計の正面図の概略図である。
ここで、複数のドレインワイヤを使用することができる、遮蔽されたリボンケーブル、及びこのケーブルの1つの端部又は2つの端部においてに1つ以上の終端構成要素を備える、このようなケーブルの固有の組み合わせに関して、更に詳細を提供する。
従来の同軸又はtwinaxケーブルは、複数の別個のグループのワイヤを使用し、それぞれは、これらの独自のドレインワイヤを有して、ケーブルと終端点との間の接地接続を形成する。本明細書において記載される、遮蔽されたケーブルの有利な態様は、それらが、図31aに示されたように、構造体全体を通じて複数の位置においてドレインワイヤを含み得ることである。任意の所与のドレインワイヤは遮蔽構造体に直接(DC)接続されてもよく、ACは遮蔽部に接続され(低インピーダンスAC接続)、又は遮蔽部に不十分に接続されるか、又は全く接続されなくてもよい(高いACインピーダンス)。ドレインワイヤは細長い導体であるため、これらは遮蔽されたケーブルを超えて延在し、係合コネクタの接地終端との接続を形成することができる。開示されるケーブルの有利点は、全般的に、より少ないドレインワイヤを、一部の用途で使用することができる点であり、これは、遮蔽フィルムによって提供される電気的遮蔽が、ケーブル構造全体に関して共通であるためである。
本発明者らは、開示される、遮蔽されたケーブルを使用して、遮蔽されたリボンケーブルの導電性遮蔽部を通じて電気的に相互接続することができる、様々な異なるドレインワイヤ構成を有利に提供することができるということを見出した。簡単に言うと、開示される遮蔽ケーブルのいずれかは、少なくとも第1及び第2ドレインワイヤを含み得る。第1及び第2ドレインワイヤは、ケーブルの長さに沿って延在してもよく、かつ少なくとも、それらの両方が第1遮蔽フィルムと電気接触している結果として、互いに電気的に接続されてもよい。このケーブルは、ケーブルの第1端部において1つ以上の第1終端構成要素、及びケーブルの第2端部において1つ以上の第2終端構成要素と組み合わされてもよい。一部の場合には、第1ドレインワイヤは、1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続し得るが、1つ以上の第2終端構成要素と電気的に接続しない場合がある。一部の場合には、第2ドレインワイヤは、1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続し得るが、1つ以上の第1終端構成要素と電気的に接続しない場合がある。
第1及び第2ドレインワイヤは、ケーブルの長さに沿って延在する複数のドレインワイヤの部材であってもよく、数n1のドレインワイヤは1つ以上の第1終端構成要素と接続してもよく、数、n2のドレインワイヤは1つ以上の第2終端構成要素に接続し得る。数n1は、n2と異なっていてもよい。更に、1つ以上の第1終端構成要素は、合わせて数m1の第1終端構成要素を有してもよく、1つ以上の第2終端構成要素は、合わせて数m2の第2終端構成要素を有してもよい。一部の場合には、n2>n1でありm2>m1である。一部の場合には、m1=1である。一部の場合には、m1=m2である。一部の場合には、m1<m2である。一部の場合には、m1>1及びm2>1である。
これらのような構成は、1つのドレインワイヤを外部接続部に接続し、1つ以上の他のドレインワイヤを共通の遮蔽部のみに接続させる能力をもたらし、それによってこれら全てを有効に外部接地に結合する。したがって、有利なことに、ケーブルにおける全てのワイヤが外部接地構造体に接続される必要はなく、これはコネクタにおいてより少ない係合接続部を必要とすることにより、接続を単純化するために使用することができる。別の潜在的な有利点は、2つ以上のドレインワイヤが、外部の接地及び遮蔽体に接続される場合には、冗長化接続を作り出すことができる点である。この場合、1つのドレインワイヤで遮蔽部材又は外部接地と接触を形成できない場合があるが、他のドレインワイヤを通じて、依然としてうまく外部接地と遮蔽部との間の電気接触を良好に形成する。更には、ケーブルアセンブリが、ファンアウト構成を有し、ケーブルの一方の末端部が、1つの外部コネクタ(m1=1)及び共通の接地に接続され、他方の末端部が、複数のコネクタ(m2>1)に結合される場合には、共通の末端部上では、複数のコネクタ末端部に関して使用される(n2)よりも、少ない接続(n1)を行なうことができる。かかる構成によって提供される、単純化された接地は、終端において必要とされる、低減された複雑性と、低減された数の導体パッドに関して利益を提供し得る。
これらの構成の多くでは、遮蔽フィルムを通じた、ドレインワイヤの固有の相互接続された性質は(勿論、問題のドレインワイヤの全てが遮蔽フィルムと接触しているという条件で)終端構造体を単純化するために使用され、より密接した(より狭い)接続ピッチを提供することができる。1つの簡単な実施形態では、高速導体セット及び複数のドレインワイヤを含む遮蔽されたケーブルは、両方の端部において1つのコネクタ尾に、それぞれの端部において終端され、全てよりは少ないドレインワイヤは各端部において終端するが、1つの端部において終端した各ドレインワイヤはまた、他方の端部においても終端されている。終端されていないドレインワイヤは、それらがまた接地部に直接又は間接的に結合されているので、依然として低い電位に維持される。関係する実施形態において、ドレインワイヤのうちの1つが1つの端部において接続されていてもよいが、他方の端部においては接続されない場合がある(意図的に、又は誤って)。この状況において再び、接地構造体は、1つのドレインワイヤが各端部において接続されている限り維持される。別の関連する実施形態において、1つの端部において取り付けられたドレインワイヤは、他方
の端部において取り付けられたドレインワイヤと同じではない。これらの単純化されたバージョンが図32dに示される。その図において、ケーブルアセンブリ12501は、一方の端部において終端構成要素12520に接続され、他方の端部において終端構成要素12522に接続される、遮蔽電気ケーブル12502を含む。ケーブル12502は、それが、両方とも、少なくとも1つの遮蔽フィルムに電気的に接続される第1ドレインワイヤ12512a及び第2ドレインワイヤ12512bを含む限り、実質的に、本明細書において示される、又は記載されるいずれかの遮蔽ケーブルであってもよい。図示のように、ドレインワイヤ12512bは、構成要素12522ではなく、構成要素12520に接続し、ドレインワイヤ12512aは、構成要素12520ではなく構成要素12522に接続する。接地電位(又は他の制御された電位)は、ドレインワイヤ12512a、12512b、及びケーブル12502の遮蔽フィルムの間において、それらの相互電気接続によって共有されるため、共通接地により構造体内において同じ電位が維持される。終端構成要素12520、12522の両方は、有利なことに、未使用の導電経路を排除することによって、有利に、より小さく(狭く)作製される。
これらの技術を示す、より複雑な実施形態は図32e〜32fに示される。これらの図において、遮蔽されたケーブルアセンブリ12601はファンアウト構成を有する。アセンブリ12601は、第1端部において終端構成要素12620に接続され、第2端部(これは3つの別個のファンアウト区分に分割される)において終端構成要素12622、12624、12626に接続され、遮蔽電気リボンケーブル12602を含む。図32eの断面図に最もよく見られるように、図32eの線32g−32gに沿って取られて、ケーブル12602は、絶縁導体の3つの導体セット(1つは同軸タイプ及び2つはtwinaxタイプ)、並びに8つのドレインワイヤ12612a〜hを含む。8つのドレインワイヤは全て、ケーブル12602における、少なくとも1つの、及び好ましくは2つの遮蔽フィルムに電気的に接続される。同軸導体セットは終端構成要素12626に接続し、1つのtwinax導体セットは終端構成要素12624接続し、他のtwinax導体セットは終端構成要素12622に接続し、全ての3つの導体セットは、ケーブルの第1端部において終端構成要素12620に接続する。8つ全てのドレインワイヤは、ケーブルの第2端部の終端構成要素に接続してもよく、すなわち、ドレインワイヤ12612a、12612b及び12612cが、終端構成要素12626の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤ12612d及び12612eは、終端構成要素12624の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤ12612f及び12612gは終端構成要素12622上の適切な導電経路に接続されてもよい。有利なことに、しかしながら、全8つ未満のドレインワイヤは、ケーブルの第1端部において終端構成要素12620に接続されてもよい。この図において、ドレインワイヤ12612a及び12612hのみが構成要素12620上の適切な導電経路に接続されているのが示される。ドレインワイヤ12612b〜gと終端構成要素12620との間の終端接続を省略することによって、アセンブリ12601の製造は簡易化及び効率化される。更に、例えば、ドレインワイヤ12612d及び12612eは、導電経路を接地電位(又は別の所望の電位)に結合するが、これらのいずれも、終端構成要素12620に物理的に接続されない。
上記のパラメータn1、n2、m1、及びm2に関して、ケーブルアセンブリ12601は、n1=2、n2=8、m1=1、及びm2=3である。
別のファンアウトケーブルアセンブリ12701は、図33a〜bに示される。アセンブリ12701は、第1端部において終端構成要素12720に接続され、第2端部(これは3つの別個のファンアウト区分に分割される)において終端構成要素12722、12724、12726に接続される、遮蔽電気リボンケーブル12702を含む。図33bの断面図に最もよく見られるように、図33aの線33b−33bに沿って取られ、ケーブル12702は、絶縁導体の3つの導体セット(1つは同軸タイプ及び2つはtwinaxタイプ)、並びに8つのドレインワイヤ12712a〜hを含む。8つのドレインワイヤは全て、ケーブル12702における、少なくとも1つの、及び好ましくは2つの遮蔽フィルムに電気的に接続される。同軸導体セットは終端構成要素12726に接続し、1つのtwinax導体セットは終端構成要素12724接続し、他のtwinax導体セットは終端構成要素12722に接続し、3つ全ての導体セットは、ケーブルの第1端部において終端構成要素12720に接続する。6つのドレインワイヤは、ケーブルの第2端部において終端構成要素に接続されてもよく、すなわち、ドレインワイヤ12712b及び12712cが、終端構成要素12726の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤ12712d及び12712eは、終端構成要素2724上の適切な導電経路に接続されてもよく、ドレインワイヤ12712f及び12712gは終端構成要素12722の適切な導電経路に接続され得る。これらの6つのドレインワイヤのいずれも、ケーブルの第1端部の終端構成要素12720に接続されない。ケーブルの第1端部において、他の2つのドレインワイヤ、すなわちドレインワイヤ12712a及び12712hは、構成要素2720の適切な導電経路に接続される。ドレインワイヤ12712b〜gと終端構成要素12720との間の、及びドレインワイヤ12712aと終端構成要素2726との間の、及びドレインワイヤ12712hと終端構成要素12722との間の終端接続を省略することにより、アセンブリ12701の製造が単純化及び効率化される。
上記のパラメータn1、n2、m1、及びm2に関して、ケーブルアセンブリ12701は、n1=2、n2=6、m1=1、及びm2=3である。
多くの他の実施形態が可能であるが、一般的には、ケーブルの遮蔽体を利用して、2つの別個の接地接続(導体)を一体に接続することにより、確実に接地を完成させ、かつ少なくとも1つの接地が、ケーブルの各末端部、及びファンアウトケーブルに関しては3つ以上の末端部で、各終端位置に接続されることが、有利であり得る。これは、各ドレインワイヤが、各終端点に接続される必要がないということを意味する。2つ以上のドレインワイヤがいずれかの端部に接続された場合、接続部が余剰になり、故障しにくくなる。
ここで、混合された導体セット(例えば、高速データ伝達のために適合されたある導体セット、及び別の導体セットは電力伝達又は低速データ伝達に適合される)を利用し得る遮蔽リボンケーブルに関する更なる詳細を提供する。電力伝達又は低速データ伝達に適合された導体セットは、サイドバンドと呼ばれることがある。
高速信号伝達に関して、いくらかの相互接続及び規定される基準は、高速信号伝達(例えば、twinax又は同軸ワイヤ構成により提供される)、並びに低速又は電力導体の両方を可能にし、その両方が導体上での絶縁を必要とする。この例はSAS基準であり、これはミニ−SAS 4i相互接続スキームに含まれる、高速対及び「サイドバンド」を規定する。SAS基準は、サイドバンドの使用がその範囲外であり、ベンダー固有であることを示すが、一般的なサイドバンドの使用は、業界の仕様SFF−8485に記載されるように、SGPIO(Serial General Purpose Input Output)バスである。SGPIOは100kHzのみのクロック速度を有し、高機能の遮蔽されたワイヤを必要としない。
本項はしたがって、ケーブル構成、線形の接点配列、及び終端構成要素(例えば、パドルカード)構成を含め、高速信号及び低速信号(又は電力伝達)の両方を伝達するように調整されるケーブルの態様に焦点を合わせる。概して、本明細書の他の部分で記載される、遮蔽された電気リボン状ケーブルは、わずかな修正を伴って使用することができる。具体的に、開示される遮蔽ケーブルは、高速データ伝達に適合された導体セットに加え、ドレイン/接地ワイヤもまた含まれ得る、高速信号伝達ではなく低速信号伝達に好適な構造体における絶縁ワイヤを含むように修正され得る。遮蔽されたケーブルはこのように、そのデータ速度が著しく異なる信号を伝達する、絶縁ワイヤの少なくとも2つのセットを含み得る。勿論、電力導体の場合においては、ラインはデータ速度を有さない。また、低速導体のための導電経路が、終端構成要素の対向する端部間、例えば、終端端部とコネクタ係合端部との間で再経路付けされる、高速/低速の遮蔽されたケーブルの組み合わせのための終端構成要素を開示する。
換言すると、遮蔽電気ケーブルは、複数の導体セット及び第1遮蔽フィルムを含んでもよい。複数の導体セットは、ケーブルの長さに沿って延在してもよく、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されていてもよく、各導体セットは1つ以上の絶縁導体を含む。第1遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含んでもよく、これらはカバー部分が導体セットを被覆し、挟まれた部分が各導体セットの各側部上のケーブルの挟み込まれた部分において配置されるように構成される。複数の導体セットは、高速データ伝達に適合された1つ以上の第1導体セットと、電力伝達又は低速データ伝達に適合された1つ以上の第2導体セットを含み得る。
電気ケーブルはまた、第1遮蔽フィルムから、ケーブルの反対側に配置される、第2遮蔽フィルムを含み得る。ケーブルは、第1遮蔽フィルムと電気的に接触し、またケーブルの長さに沿って延在する、第1ドレインワイヤを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、σ1の中心間の間隔を有する複数の第1絶縁導体を含んでもよく、1つ以上の第2導体セットは、σ2の中心間の間隔を有する複数の第2絶縁導体を含む第2導体セットを含んでもよく、σ1はσ2よりも大きくてもよい。1つ以上の第1導体セットの絶縁導体は全て、ケーブルが平坦に配置されるときに、単一平面に構成され得る。更に、1つ以上の第2導体セットは、ケーブルが平坦に配置されたときに、積み重ねた講師絵において複数の絶縁導体を有する、第2導体セットを含み得る。1つ以上の第1導体セットは、少なくとも1Gbps(すなわち、約0.5GHz)、最大で例えば25Gbps(約12.5GHz)以上の最大データ伝送速度に、又は例えば、少なくとも1GHzの最大信号周波数に適合させることができ、1つ以上の第2導体セットは、例えば、1Gbps(約0.5GHz)未満、若しくは0.5Gbps(約250MHz)未満の最大データ伝送速度に、又は例えば、1GHz若しくは0.5GHz未満の最大信号周波数に適合させることができる。1つ以上の第1導体セットは、少なくとも3Gbps(約1.5GHz)の最大データ伝達速度に適合され得る。
このような電気ケーブルは、ケーブルの第1端部において配置される第1終端構成要素と組み合わされてもよい。第1終端構成要素は、基板、及びその基板上の複数個の導電経路を含み得、複数個の導電経路は、第1終端構成要素の第1末端部上に配置構成される、対応する第1終端パッドを有する。第1及び第2の導体セットの遮蔽導体は、ケーブル内の遮蔽導体の配置構成と一致する規則的な配置構成にある、第1終端構成要素の第1末端部の第1終端パッドのうちの、対応する1つに接続することができる。複数個の導電経路は、第1末端部上の第1終端パッドの配置構成とは異なる配置構成にある、第1終端構成要素の第2末端部上に配置構成される、対応する第2終端パッドを有し得る。
電力伝送及び/又は低速データ伝送に適合する導体セットは、必ずしも互いに遮蔽する必要が無く、関連する接地ワイヤ又はドレインワイヤを必ずしも必要とすることなく、指定インピーダンスを有する必要がない場合がある、絶縁導体のグループ、若しくは個別の絶縁導体を含み得る。高速信号ペアを有するケーブルにおいて、それらを一緒に組み込むことの利益は、これらが1つの工程で位置合わせ及び終端され得ることである。これは、例えば、パドルカードに自動的に位置合わせすることなく、いくつかのワイヤグループを処理することを必要とする従来的なケーブルとは異なる。低速信号及び高速信号の双方に関する、同時のストリッピング及び終端プロセス(単一のパドルカード上の線形配列、又は接点の線形配列への)は、混成信号ワイヤケーブル自体と同様に、特に有利である。
図33c〜fは、混成信号ワイヤ機構を組み込むことができる、代表的な遮蔽電気ケーブル12802a、12802b、12802c、及び12802dの正面断面図である。実施形態それぞれは、本明細書の他で記載されるように、好適なカバー部分及び挟まれた部分を有する、2つの対向する遮蔽フィルムを含み、いくつかの遮蔽された導体は高速データ伝達に適合された導体セットにグループ化され(導体セット12804a参照)、いくつかの遮蔽された導体は低速伝達又は電力伝達に適合された導体セットにグループ化される(導体セット12804b、12804c)。各実施形態はまた、好ましくは1つ以上のドレインワイヤ12812を含む。高速導体セット12804aは、twinaxペアとして示されているが、本明細書の他の部分に記載されるように、他の構成もまた可能である。低速絶縁導体は高速絶縁導体よりも小さい(より小さい直径又は横方向寸法を有する)ものとして示されるが、前者の導体が、制御されたインピーダンスを有する必要がないためである。別の実施形態において、同じケーブル内の高速導体と比較して、低速導体の周囲で、より大きな絶縁厚さを有することが必要である、又は有利である場合がある。しかしながら、空間は多くの場合において重要であるため、可能な限り小さい絶縁厚さを形成することが望ましい。所与のケーブルの高速ラインと比較して、低速ラインのゲージ及びメッキは異なり得るということに留意する。図33c〜fにおいて、高速及び低速絶縁導体は全て単一平面に配置される。このような構成において、ケーブル幅を可能な限り小さく維持するために、導体セット12804bにおけるように、複数の低速絶縁導体を単一のセットに一緒にグループ化することが有利であり得る。
低速絶縁導体をセットにグループ化するとき、ケーブルが概ね平坦な構成を保持するために、導体は正確に同じ幾何的平面において配置される必要はない。図33gの遮蔽されたケーブル12902は例えば、導体セット12904bを形成するために小さな空間に一緒に重ねられた低速絶縁導体を使用し、ケーブル12902はまた、高速導体セット12904a及び12904cを含む。この方法で低速絶縁導体を積み重ねることは、小さく、狭いケーブル幅を提供するのに役立つことができるが、マス終端の後に、規則的なリニア様式で配列された導体(終端構成要素上の接点の線形配列と係合するため)を有するという利益を提供しないことがある。ケーブル12902はまた、示されるように、対向する遮蔽フィルム12908及びドレインワイヤ12912を含む。異なる数の低速絶縁導体を含む大体の実施形態において、図33hのセット12904d〜hに示されるような、低速絶縁導体のための積み重ね構成が使用され得る。
混成信号ワイヤの遮蔽されたケーブルの別の態様は、ケーブルと共に使用される終端構成要素に関連する。特に、終端構成要素の基材上の導体経路は、終端構成要素の1つの端部上の1つの構成(例えば、ケーブルの終端端部)から構成要素の反対の端部(例えば、コネクタの係合端部)の異なる構成に、低速信号をリルートするように構成され得る。異なる配置構成は、例えば、終端構成要素の1つの末端部上の、別の末端部と比較した、接点又は導電経路の異なる順序を含み得る。構成要素の終端端部上の構成は、ケーブルにおける導体の順序又は構成と適合するように調節され得る一方で、構成要素の対向する端部の構成は、ケーブルのものとは異なる構成の回路基板又はコネクタ構成と適合するように調整され得る。
この経路変更は、任意の好適な技術を利用することによって達成することができ、その技術は、例示的実施形態では、1つ以上のビアを、多層回路基板構成体と組み合わせて使用して、所定の導電経路を、そのプリント回路基板内の第1の層から、少なくとも第2の層に移行させ、所望により、第1の層に移行させて戻すことを含む。いくつかの例が、図34a及び34bの平面図に示される。
図34aにおいて、ケーブルアセンブリ13001aは、基材及びその上部に形成された導電経路(例えば、導体パッドを含む)を有する、パドルカード又は回路基板などの終端構成要素13002に接続される、遮蔽電気ケーブル13020を含む。ケーブル13002は、例えば高速データ通信に適合されたtwinaxペアの形態の導体セット13004aを含む。ケーブル13002はまた、低速データ及び/又は電力伝達に適合された導体セット13004bを含むサイドバンドを含み、導体セット13004bは、この実施形態において4つの絶縁導体を有する。ケーブル13002がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、構成要素の第1端部13020aにおいて、終端構成要素13020上の導電経路の対応する端部(例えば、導体パッド)に接続された(例えば溶接により)導体端部を有する。ケーブルのサイドバンドに対応する導電経路の導体パッド又は他の端部は、13019a、13019b、13019c、13019dと表示され、これらは、終端構成要素13020の上部から下部まで、この順で構成される(しかしながら、高速導体と関連する他の導体パッドは、第1端部13020aのサイドバンド導体パッドの上及び下に存在する)。サイドバンドの導体パッド13019a〜dの導電経路(これは図に概略的にのみ示される)は必要に応じて構成要素13020のビア及び/又は他のパターン化層を使用して、導体パッド13019aを構成要素の第2端部13020b上の導体パッド13021aに接続し、導体パッド13019bを構成要素の第2端部13020b上の導体パッド13021bに接続し、導体パッド13019cを構成要素の第2端部13020b上の導体パッド13021cに接続し、導体パッド13019dを構成要素の第2端部13020b上の導体パッド13021dに接続する。このようにして、終端構成要素の導電経路は、導体セット13004bからの低速信号を、終端構成要素の一方の端部13020aの1つの構成(a−b−c−d)から、構成要素の対向する端部13020b上の異なる構成(d−a−c−b)に経路変更するように構成される。
図34bは、別のケーブルアセンブリ13001bの平面図を示し、同様の参照番号は、同じ又は同様の部分を識別するために使用される。図34bにおいて、ケーブル13002は、図34aの終端構成要素13020と設計において同様である、終端構成要素13022にマス終端され、かつ接続される。構成要素13020のように、構成要素13022は、ケーブル13002のサイドバンドに対応する導電経路の導体パッド又は他の端部を含み、導体パッドは、13023a、13023b、13023c、13023dと表示され、それらは終端構成要素13022の上部から底部までの順で配列される(ケーブルの高速導体と関連する他の導体パッドが、構成要素13022の第1端部13022a上のサイドバンドの導体パッドの上及び下に存在するが)。サイドバンドの導体パッド13023a〜dの導電経路は再び、図において概略的にのみ示される。それらは必要に応じて構成要素13022のビア及び/又は他のパターン化層を使用して、導体パッド13023aを構成要素の第2端部13022b上の導体パッド13025aに接続し、導体パッド13025bを構成要素の第2端部13022b上の導体パッド13025bに接続し、導体パッド13023cを構成要素の第2端部13022b上の導体パッド13025cに接続し、導体パッド13023dを構成要素の第2端部13022b上の導体パッド13025dに接続する。このようにして、終端構成要素の導電経路は、導体セット3024b(3004b)からの低速信号を、終端構成要素の一方の端部13022aの1つの構成(a−b−c−d)から、構成要素の対向する端部13022b上の異なる構成(d−a−c−b)に経路変更するように構成される。
図34a及び図34bのケーブルアセンブリは、両方の場合において、他の低速信号の他の導電経路にわたって、低速信号の導電経路を物理的にリルートするが、高速信号の任意の導電経路にわたってリルートしないという点に限り、互いに類似している。この点に関して、高品質の高速信号を維持するためには、低速信号を高速信号経路に交差させて経路指定することは、通常、望ましくない。いくつかの状況において、しかしながら、適切な遮蔽を用いて(例えば、多層回路基板及び適切な遮蔽層)、図34cに示されるように、これは高速信号経路における限定的な信号劣化により達成され得る。ここで、マス終端された遮蔽されている電気ケーブル13102は、終端構成要素13120に接続する。ケーブル13102は、例えば高速データ通信に適合されたtwinaxペアの形態の導体セット13104aを含む。ケーブル13102はまた、低速データ及び/又は電力伝送に適合された導体セット13104bを含むサイドバンドを含み、導体セット13004bは、この実施形態において1つの絶縁導体を有する。ケーブル13102がマス終端された後、様々な導体セットの導体は、構成要素の第1端部13120aにおいて、終端構成要素13120上の導電経路の対応する端部(例えば、導体パッド)に接続される(例えば溶接により)導体端部を有する。ケーブルのサイドバンドに対応する導電経路の導体パッド又は他の端部は、13119aと表示され、それは導体セット13104aの中間の1つの導体パッドの真上(図34の視点から)に配置される。サイドバンドの導体パッド13119aの導電経路は、図において概略的にのみ示され、必要に応じて構成要素13120のビア及び/又は他のパターン化層を使用して、導体パッド13119aを、構成要素の第2端部13120b上の導体パッド13121aに接続する。このようにして、終端構成要素上の導体経路は、導体セット13104bからの低速信号を、終端構成要素の1つの端部13120a上の1つの構成(導体セット13104aの中間の1つの真上)から、構成要素の対向する端部13120bの異なる構成(導体セット13104aの中間の1つの導体パッドの真下)に経路変更するように構成される。
図33cのケーブル12802aの一般設計を有する、混成信号のワイヤの遮蔽された電気ケーブルが作製された。図33cに示されるように、ケーブルは、4つの高速twinax導体セット、及びケーブルの中間に配置される1つの低速導体セットを含む。ケーブルは、twinax導電セットの高速信号ワイヤのために30ゲージ(AWG)の銀メッキワイヤ、及び低速導体セットにおいて低速信号ワイヤのための30ゲージ(AWG)錫メッキワイヤを使用して作製された。高速信号ワイヤ0に使用される絶縁材料の外径(OD)、は約0.028インチ(0.071cm)であり、低速ワイヤに使用される絶縁材料のODは約0.022インチ(0.056cm)であった。図33cに示されるように、ドレインワイヤもまた、ケーブルの各縁部に沿って含まれた。ケーブルはマス終端され、個々のワイヤ端部は、ミニ−SAS適合性パドルカード上の対応する接点にはんだ付けされた。この実施形態では、パドルカード上の全ての導電経路を、互いに交差させることなく、パドルカードのケーブル末端部から、反対側の(コネクタ)末端部へ経路指定したことにより、導体パッドの構成は、パドルカードの両末端部上で同じものであった。結果として得られる、終端されたケーブルアセンブリの写真が図34dに示される。
ここで図35a及び35bを参照し、対応する斜視図及び断面図は、本発明の実施形態によるケーブル構造体を示す。概ね電気リボンケーブル20102は1つ以上の導体セット20104を含む。各導体セット20104は、ケーブル20102の長さに沿って端部から端部まで延在する2つ又はそれ以上の導体(例、ワイヤ)20106を含む。導体セット20106のそれぞれは、ケーブルの長さに沿って第1絶縁体20108により包囲される。導体20106は、ケーブル20102の端部から端部まで延在し、かつケーブル20102の対向する側部上に配置されている第1フィルム20110及び第2フィルム20112に取り付けられる。一定の間隔20114は、各導体セット20104の導体106の第1絶縁体20108の間で維持される。第2絶縁体20116は、間隔20114内に配置される。絶縁体20116は、空気ギャップ及び/又は空洞及び/又はいくつかの他の材料を含み得る。
導体セット20104の部材間の間隔20114は、ケーブル20102が、終端の容易性及び終端の信号保全性の改善と共に、標準的な巻き付けtwinaxケーブルと同等以上の電気的特性を有するように、十分に安定したものにすることができる。フィルム20110、20112は遮蔽材料を含んでもよく、これによって金属箔、及びフィルム20110、20112が適合可能に形成され、導体セット20104は実質的に包囲され得る。図示される実施例において、フィルム20110、20112は一緒に穿孔され、導体セット20104の外へ、及び/又は導体セット20104間に、ケーブル20102に沿って長さ方向に延在する平坦部分20118を形成する。その平坦な部分29118において、フィルム20110、20112は実質的に導体セット20104を包囲し、例えば、フィルム20110、20112が一緒に結合される(例えば、絶縁体及び/又は接着剤の)より小さい層を除いて、導体セット20104の外周部を包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所与の導体セットの外周部の少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を合計で包含し得る。フィルム20110、20112は、別個のフィルム片として本明細書(及び本明細書の他で)に示すことができるが、フィルム20110、20112は別の方法として、フィルムの単一シートから形成されてもよく、例えば導体セット20104を包囲する長手方向の経路/ラインの周囲に折り曲げられてもよいということを当業者は理解するであろう。
ケーブル20102はまた、1つ以上のドレインワイヤ20120など、追加の形状も含んでもよい。ドレインワイヤ20120は、遮蔽フィルム20110、20112に連続して、又はケーブル20102の長さに沿って別個の位置において電気的に結合されてもよい。概して、ドレインワイヤ20102は、遮蔽材料を電気的に終端するために(例えば接地)、ケーブルの一方の又は両方の端部において便利なアクセスを提供する。ドレインワイヤ20120は、フィルム20110、20112間を結合するいくつかのレベルのDC結合を提供するように構成され、例えばここでは両方のフィルム20110、20112は遮蔽材料を含む。
ここで図35a〜eを参照して、断面図は様々な代替ケーブル構造体の構成を図示し、ここでは同じ参照番号は、他の図において類似の構成要素を示すために使用されてもよい。図35cにおいて、ケーブル20202は、図35a〜bに示される同様な構造体のものであるが、たった1つのフィルム20110は導体セットの周囲に適合可能に成形され、挟まれた/平坦な部分20204を形成する。他のフィルム20112は、ケーブル20202の1つの側で実質的に平坦である。ケーブル20202(並びに、図35dのケーブル20212、及び図35eのケーブル20222)は、ギャップ20114内の空気を、第1誘電体20108の間の第2誘電体として使用し、それゆえ、近接する第1誘電体20108の最接近点間には、明示的な第2誘電材料20116は示されない。更に、ドレインワイヤはこれらの代替の構成には示されていないが、本明細書の他で記載されたように、ドレインワイヤを含むように適合されてもよい。
図35d及び35eにおいて、ケーブル構成20212及び20222は、前に記載されたものと同様な構造体のものであってもよいが、ここでは、両方のフィルムは、ケーブル20212、20222の外面に沿って実質的に平坦であるように構成される。ケーブル20212では、導体セット20104間に空洞及び/又は間隙20214が存在する。本明細書で示されるように、これらの間隙20214は、セット20104の部材間の間隙114よりも大きいが、このケーブル構成は限定される必要はない。この間隙20214に加えて、図35eのケーブル20222は、導体セット20104と、導体セット20104の外側との間(例えば導体セット20104と、ケーブルの長手方向縁部との間)の間隙20214に配置される支持部/スペーサ20224を含む。
支持体20224は、フィルム20110、20112に固定可能に取り付けれてもよく、かつケーブル20222の構造的な剛性の提供、及び/又はケーブル20222の電気的特性の調整を支援する。支持体20224は、所望により、ケーブル20222の機械的及び電気的特性の調整のための誘電材料、絶縁材料、及び/又は遮蔽材料の任意の組み合わせを含んでもよい。支持体20224は本明細書において断面で円形に示されているが、卵型又は矩形など、代替の断面形状を有するように構成される。支持体20224は、ケーブル製造中に、別個に形成され、導体セット104と共に敷設されてもよい。他の変形例において、支持体20224は、フィルム110、112の部分として形成されてもよく、及び/又は液体の形態(例えばホットメルト)において、ケーブル20222と共に組み立てられてもよい。
上記のケーブル構造体20102、20202、20212、20222は、図示されていない他の形状を含んでもよい。例えば、信号ワイヤ、ドレインワイヤ、及び接地ワイヤに加えて、ケーブルは、サイドバンドとも呼ばれることがある、1つ以上の追加の絶縁されたワイヤを含んでもよい。サイドバンドは、電力信号、又は対象とする任意の他の信号を伝送するために使用することができる。サイドバンドワイヤ(並びにドレインワイヤ)は、フィルム110、20112内に包囲されてもよく、及び/又は例えばフィルムと材料の追加層との間に挟まれて、フィルム20110、20112の外側に配置されてもよい。
上記の変形は、材料と、所望されるコスト、信号の完全性、及び結果として得られるケーブルの機械的特性を基準とした物理的構成との様々な組み合わせを使用してもよい。1つの考察は、導体セット20104間の隙間20114に配置された第2誘電体材料20116の選択である。この第2誘電体は、導体セットが微分ペアを含み、1つが接地であり1つが信号であり、及び/又は2つ干渉信号を伝送する場合に特に対象となり得る。例えば、第2誘電体としての空気ギャップ20114の使用は、低誘電率及び低損失となり得る。空気ギャップ20114の使用は、低コスト、低重量、及びケーブル可撓性の増加など、他の利点も有し得る。しかしながら、ケーブルの長さに沿って空気ギャップ20114を形成する導体の一定の間隔を確保するために、精密な加工が必要とされる場合がある。
ここで図35fを参照すると、導体セット104の断面図は、導体20106間の誘電率を維持する、対象のパラメータを特定する。概して、導体セット20104の誘電率は、寸法20300によって示されるように、セット20104の導体間近接する最も近い点の間で、誘電体材料に敏感であってもよい。したがって、一定の誘電率は、誘電体20108の一定の厚さ20302及びギャップ20114の安定した寸法(これは空気ギャップであってもよく、又は図35aに示される誘電体20116などのほかの誘電材料で充填されてもよい)を維持することによって維持されてもよい。
ケーブルの長さに沿って、安定した電気特性を確保するために、導体20106及び導電性フィルム20110、20112の両方のコーティングの形状を密接に制御することが望ましい場合がある。ワイヤのコーティングに関しては、このことは、導体20106(例えば、単線)を、均一な厚さの絶縁/誘電材料20108で正確にコーティングすること、及び導体20106を、確実に、コーティング20108内部で十分に中心に配置することを伴い得る。こコーティング20108の厚さは、ケーブルに望まれる特定の特定に基づいて増加されてもよく、又は減少されてもよい。いくつかの状況において、コーティングを有さない導体もまた、任意の特性(例えば誘電率、より容易な終端及び形状制御)を提供することができるが、一部の用途に関して、業界の規格は、最低限の厚さの一次絶縁が使用されるということを要求している。コーティング20108はまた、それが裸線よりも誘電体の基材材料20110、20112よりも良好に結合することができるため、有益であり得る。それにもかかわらず、上記の様々な実施形態は、絶縁厚さのない構造体も含み得る。
誘電体20108は、ケーブルを組み立てるのとは異なるプロセス/機械装置を使用して導体20106の上に形成/コーティングされてもよい。結果として、最終的なケーブル組み立て中に、ギャップ20114の寸法における変化(例えば、誘電体20108間の近接する最も近い点)にわたる密接な制御は、安定した誘電率を確実に維持するための主な懸案事項であり得る。使用される組み立てプロセス及び装置に基づいて、導体20106間の中心線の距離304(例えばピッチ)を制御することによって、同様な結果を有することができる。これの一貫性は、導体106の外形寸法20306をどれくらい密に維持することができるか、並びに周囲全体の誘電体厚さ20302の一貫性(例えば、誘電体20108内の導体20106の一貫性)により決定され得る。しかしながら、誘電効果は、導体20106が最近接する区域で最も強いため、厚さ20302を、少なくとも、隣接する誘電体20108が最近接する区域の付近で、制御することができる場合には、ギャップのサイズ20114の制御に重点を置くことによって、最終的な組み立ての間に、一貫した結果を得ることができる。
構造体の信号完全性(例えばインピーダンス及びスキュー)は、互いに対して信号導体20106を配置することの正確さ/整合性だけではなく、また接地面に対する導体106の配置の正確さにもよる場合がある。図35fに示されるように、フィルム20110及び20112は、対応する遮蔽及び誘電体層20308、20310を含む。遮蔽層20308は、この場合では設置面として機能することができ、これによってケーブルの長さに沿った寸法20312の密接な制御は有利であり得る。この例では、寸法20312は、上部及び底部フィルム20110、20112の両方に対して同じであるように示されるが、いくつかの構成においてこれらの距離は非対象であることが可能である(例えば、異なる誘電体20310の厚さ/誘電率のフィルム20110、20112、又は誘電体層20310を有さないフィルム20110、20112のうちの1つの使用)。
図35fに示されるように、ケーブルの製造における1つの課題は、絶縁導体20106、20108が導電性フィルム20110、20112に取り付けられるときに、距離20312(及び/又は接地面距離と同等の導体)を密接に制御することであり得る。ここで図35g〜hを参照すると、ブロック図は、本発明の実施形態に従って、製造中に、設置面距離に対してどれくらい一定に導体が維持され得るかという実施例を図示する。この実施例において、フィルム(これは実施例によって、フィルム20112と示されている)は、上記のとおり遮蔽層20308及び誘電体層20310を含む。
導体から接地平面までの一貫した距離(例えば、図35hに示す距離20312)を確保することに役立てるため、フィルム20112は、基底部(例えば、層20308及び層20310)として、多層コーティングフィルムを使用する。変形可能な材料20320の既知で、かつ制御された厚さは、変形可能性がより小さいフィルムベース20308、20310上に配置される。絶縁ワイヤ20106、20108を、表面内に押圧すると、変形可能材料20320が変形して、最終的に、ワイヤ20106、20108は、図35hに示すように、変形可能材料20320の厚さによって制御される深さまで、押し下げられる。材料20320、20310、20308はポリエステルの裏材20308又は20310上に配置されたホットメルト20320を含んでもよく、ここでは外の層20308、20310は遮蔽材料を含む。あるいは、又はこのことに加えて、器具の機構が、絶縁ワイヤ20106、20108を、制御された深さで、フィルム20112内に押圧することができる。
上記のいくつかの実施形態において、空気ギャップ20114は、導体の中間面において絶縁導体20106、20108の間に存在する。このことは、多くの最終用途で有用であり、差動ペア線路の間、接地線路と信号線路との間(GS)、及び/又は加害信号線路と被害信号線路との間を含み得る。接地導体と信号導体間の空気ギャップ20114は、微分ライン、例えばより薄い構造体及びより低い誘電率に関して記載されるように、同様な利点を呈し得る。差動ペアの2つのワイヤに関しては、空気ギャップ20114は、ワイヤを隔てることができ、このことにより、ギャップが存在しない場合よりも、より小さい結合が提供され、またそれゆえ、より薄い構成体が提供される(より大きい可撓性、より低いコスト、及びより少ないクロストークが提供される)。同様に、差動ペア導体間に、それらの間のこの最も近い到達線で存在する、高電場ために、この場所でのより低い静電容量は、構成体の実効誘電率に寄与する。
ここで図36aを参照して、グラフ20400は、本発明の実施形態による構造体の解析を示す。図36bにおいて、ブロック図は、図36aを説明する際に参照される、本発明の実施例による導体セットの幾何学的特徴を含む。概して、グラフ20400は異なるケーブルピッチ20304、絶縁体/誘電体厚さ20302、及びケーブル厚さ20402に関して得られる、異なる誘電率を示す(遮蔽層20308から外の厚さを除く場合がある後者)。この解析は、26AWG微分ペア導体セット20104、100Ωのインピーダンス、及び絶縁体/導電体20108、並びに導電体層20310に使用される固体ポリオレフィンを仮定する。点20404及び20406は、対応する56における8ミル(0.20mm)、及び40ミル(1.02mm)厚さ20302の結果である。点20408及び20410は、対応する48における1ミル(0.025mm)、及び38ミル(0.97mm)厚さの20302の結果である。点20412は、42ミル(1.07mm)厚さ20302における4.5ミル(0.11mm)厚さの絶縁体の結果である。
グラフ20400に見られるように、ワイヤの周囲の絶縁体が薄いほど、誘電率の効果はより低くなる傾向がある。絶縁体が非常に薄い場合、ワイヤ間の高電界のために、より密接なピッチは次いで、誘電率を低下する傾向を有する場合がある。絶縁体が厚い場合、しかしながら、ワイヤの周囲のエアのピッチが大きいほど、誘電率の効果は低くなる。互いに干渉し得る2つの信号線に関して、空気ギャップは、それらの間の容量性クロストークを限定するのに有効な特徴である。空気ギャップが十分である場合、接地ワイヤは、信号線間に必要とされてなくてもよく、これはコスト節約となり得る。
グラフ20400に見られる誘電損失及び誘電率は、絶縁導体間に空気ギャップを組み込むことによって低減され得る。グラフ400は、ワイヤの周囲で発泡絶縁体を使用する従来の構造体において得られるものと、これらのギャップによる低減は同程度である(例えば、ポリオレフィン材料に関して1.6〜1.8)。発泡一次絶縁体20108はまた、本明細書に記載の構造体と合わせて使用されて、更に誘電率及びより低い誘電損失をもたらすことができる。また、裏材の誘電体20310は部分的に、又は完全に発泡成形してもよい。
発泡成形の代わりに設計された空気ギャップ20114の潜在的な効果は、導体20106に沿って、又は異なる導体20106間で、発泡成形は一貫性ではない場合があり、誘電率における変化、及びスキュー及びインピーダンス変化を増加させる伝播遅延となるということである。固体絶縁体20108及び正確なギャップ20114と共に、有効な誘電率はより容易に制御されてもよく、ひいては、インピーダンス、スキュー、減衰損失、挿入損失等における一貫性につながる。
図36g〜37eの断面図は、様々な遮蔽電気ケーブル又はケーブルの部分を表し得る。図36gを参照して、遮蔽電気ケーブル21402cは、誘電ギャップ20114cによって分離された2つの絶縁導体21406cを有する、単一の導体セット21404cを有する。必要に応じて、ケーブル21402cは、ケーブル21402cの幅にわたって間隔を置いて配置され、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404cを含むように作製され得る。絶縁導体21406cは、概ね単一平面に、かつ二芯同軸構成に有効的に配置され得る。図36gの二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成又はシングエンド回路構成で使用され得る。
2つの遮蔽フィルム21408cは、導体セット21404cの両面に配置される。ケーブル21402cは、カバー領域21414c及び挟まれた領域21418cを含む。ケーブル20102cのカバー領域21414cでは、遮蔽フィルム21408cは、導体セット21404cを被覆するカバー部分21407cを含む。横断面において、カバー部分21407cは組み合わされて、導体セット21404cを実質的に包囲する。ケーブル21402cの挟まれた領域21418cでは、遮蔽フィルム21408cは導体セット21404cの各側の挟まれた部分21409cを含む。
任意の接着層21410cは、遮蔽フィルム21408cの間に配置され得る。遮蔽電気ケーブル21402cは、接地ワイヤ又はドレインワイヤを含み得る、接地導体21412に類似の接地導体21412cを更に含む。接地導体21412cは、絶縁導体21406cから間隔を置いて配置され、かつ実質的に絶縁導体21406cと同じ方向に延在する。導体セット21404c及び接地導体21412cは、それらが概ね平面に位置するように配置され得る。
図36gに例示されるように、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407c間には最大離間距離、Dが存在し、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cの間には最小離間距離、d1が存在し、絶縁導体21406cの間の遮蔽フィルム21408cの間には、最小離間距離、d2が存在する。
図36gでは、接着剤層21410cは、ケーブル21402cのピンチ領域21418c内の、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cの間に配置され、また、ケーブル21402cのカバー領域21414c内の、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cと絶縁導体21406cとの間に配置されて示される。この配置構成では、接着剤層21410cは、ケーブル21402cの挟まれた領域21418c内で、遮蔽フィルム21408cのピンチ部分21409cを一体に結合し、同様にケーブル21402cのカバー領域21414c内で、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cを絶縁導体21406cに結合する。
図36hの遮蔽付きケーブル21402dは、図36gのケーブル21402cと類似しており、同様の要素は、同様の参照番号によって特定されるが、ただしケーブル21402d内では、任意選択的な接着剤層21410dが、ケーブルのカバー領域21414内の、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cと絶縁導体21406cとの間には存在しない。この構成では、接着層21410dは、ケーブルの挟まれた領域21418cにおいて、遮蔽フィルム21408cの挟まれた部分21409cを一緒に結合するが、ケーブル21402dのカバー領域21414cにおいて、遮蔽フィルム21408cのカバー部分21407cを、絶縁導体1406cに結合しない。
ここで図37aを参照し、図36gの遮蔽電気ケーブル21402cに関して多くの点おいて、遮蔽電気ケーブル21402eの横断面図が類似であるということが分かる。ケーブル21402eは、ケーブル21402eの長さに沿って延在する、誘電ギャップ20114eによって分離される2つの絶縁導体21406eを有する単一の導体セット21404eを含む。ケーブル21402eは、ケーブル21402eの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブル21402eの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404eを有するように作製され得る。絶縁導体21406eは、ツイストペアケーブル構成で有効に構成され、これにより絶縁導体21406eは互いに巻き付けられて、ケーブル21402eの長さに沿って延在する。
図37bにおいて、また多くの点において図36gの遮蔽電気ケーブル21402aと同様である、別の遮蔽電気ケーブル21402fが示される。ケーブル21402fは、ケーブル21402fの長さに沿って延在する4つの絶縁導体21406fを有し、ギャップ20114fによって分離される、対向する導体を備える、単一の導体セット21404fを含む。ケーブル21402fは、ケーブル21402fの幅にわたって互いに間隔を置いて配置し、ケーブル21402fの長さに沿って延在する、複数の導体セット21404fを有するように作製され得る。絶縁導体1406fは、カッドケーブル配置に有効に配置され、これにより絶縁導体21406fは、絶縁導体1406fがケーブル21402ffの長さに沿って延在するとき、互いに巻き付けられてもよく、又は巻き付けられなくてもよい。
遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、概ね単一平面において配置された、複数の間隔を置いて配置した導体セット21404、21404e、又は21404f、又はこれらの組み合わせを含み得る。任意に、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から間隔を置いて配置され、かつ概ねこれと同じ方向に延在する複数の接地導体21412を含み得る。いくつかの構成において、導体セット及び接地導体は、概ね単一の平面において配置され得る。図37cは、このような遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態を図示する。
図37cを参照すると、遮蔽電気ケーブル20102gは、概ね平面に配置される複数の間隔を置いて配置した導体セット21404、21404gを含む。導体セット21404gは単一の絶縁導体を含むが、さもなければ導体セット21404と同様に形成されてもよい。遮蔽電気ケーブル21402gは、導体セット21404、21404g間、かつ遮蔽電気ケーブル21402gの両面又は縁部において配置される、任意の接地導体21412を更に含む。
第1及び第2遮蔽フィルム21408は、ケーブル21402gの対向する側に配置され、横断面においてケーブル21402gがカバー領域21424及び挟まれた領域21428を含むように配置される。ケーブルのカバー領域21424において、第1及び第2蔽フィルム21408のカバー部分21417は横断面において各導体セット21404、21404gを実質的に包囲する。第1及び第2遮蔽フィルム21408の挟まれた部分21419は、各導体セット21404gの2つの側の挟まれた領域21428を形成する。
遮蔽フィルム21408は接地導体21412の周辺に配置される。任意の接着層21410は、遮蔽フィルム21408の間に配置され、各導体セット21404、21404cの両側の挟まれた領域21428において、遮蔽フィルム21408の挟まれた部分21419を互いに結合する。遮蔽電気ケーブル21402gは、同軸ケーブル構成(導体セット21404)及び二芯同軸ケーブル構成(導体セット21404)の組み合わせを含み、したがってハイブリッドケーブル構成と呼ばれることがある。
1つ、2つ、又はそれ以上の遮蔽電気ケーブルは、プリント基板、パドルカード等の終端構成要素に終端され得る。絶縁導体及び接地導体は概ね単一平面に配置され得るため、開示の遮蔽電気ケーブルはマスストリッピング、すなわち遮蔽フィルムからの同時のストリッピング、及び絶縁導体からの絶縁、並びにマス終端、すなわち絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部の同時の終端に好適であり、これはより自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。これは、開示される遮蔽電気ケーブルの少なくとも一部の利益である。絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は、例えば、導電性経路又はプリント基板上の他の要素と接触するように終端されてもよい。他の場合において、絶縁導体及び接地導体のストリッピングされた端部は、任意の好適な終端デバイスの任意の好適な個々の接点、例えば電気コネクタの電気接点などに終端されてもよい。
図38a〜38dにおいて、プリント基板又は他の終端構成要素21514への遮蔽電気ケーブル21502の代表的な終端プロセスが示される。この終端プロセスは、マス終端プロセスであってもよく、ストリッピング(図38a〜38d)、位置合わせ(図38cに図示される)、及び終端(図38dに図示されている)の工程を含む。本明細書において示される、及び/又は記載されるケーブルのいずれかの形態を一般的に取り得る、遮蔽電気ケーブル21502を形成するとき、遮蔽電気ケーブル21502の導体セット21504、21504a(誘電ギャップ21520を備える)、絶縁導体21506、及び接地導体21512の構成は、プリント基板21514上の接点要素1516の構成に適合されてもよく、これは位置合わせ及び終端時の、遮蔽電気ケーブル21502の端部のいずれか著しい操作を削除する。
図38aに図示されている工程では、遮蔽フィルム21508の末端部分21508aは削除される。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体21506及び接地導体21512の端部を露出させる。一態様において、遮蔽フィルム21508の末端部分21508aのマスストリッピングは、それらが、絶縁導体21506の絶縁体から別個の一体化されて接続された層を形成するために、可能である。絶縁導体21506から遮蔽フィルム21508を取り除くことは、これらの位置における短絡に対する保護を可能にし、また、絶縁導体1506及び接地導体21512の露出した末端部分の独立した動きをもたらす。図38bに図示された工程では、絶縁導体21506の絶縁体の末端部分21506aが取り除かれている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体21506の導体の末端部分を露出させる。図38cに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル21502は、遮蔽電気ケーブル21502の絶縁導体21506の導体の末端部分と、接地導体21512の末端部分が、プリント基板21514の接点要素21516と位置合わせされるように、プリント基板21514と位置合わせされる。図38dに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル21506の絶縁導体21506の導体の末端部分、及び接地導体21512の末端部分は、プリント基板21514上の接点要素21516に終端される。使用され得る好適な終端方法の例には、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、接着結合が挙げられる。
図39a〜39cは、遮蔽電気ケーブルの3つの代表的な実施形態の断面図であり、これは、遮蔽電気ケーブルにおける接地導体の配置の例を示す。遮蔽電気ケーブルの態様は、遮蔽部の正しい接地であり、このような接地は多くの方法で達成することができる。一部の場合には、所与の接地導体は、所与の接地導体を接地することが遮蔽フィルムも接地するように、遮蔽フィルムの少なくとも一方と電気的に接触する。かかる接地導体はまた、「ドレインワイヤ」と称される場合がある。遮蔽フィルムと接地導体との間の電気接点は、比較的低い直流抵抗、例えば10Ω未満、又は2Ω未満、又は実質的に0Ωの直流抵抗により、特徴付けることができる。一部の場合には、所与の接地導体は、遮蔽フィルムと電気的に接触しない場合があるが、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個別の終端要素(例えば、プリント基板、パドルボード又は他のデバイス上の導電性経路又は他の接点要素)に個別に終端される、ケーブル構造体における個別の要素であってもよい。かかる設置導体はまた、「接地ワイヤ」と称される場合がある。図39aは、接地導体が遮蔽フィルムの外部に配置される、代表的な遮蔽電気ケーブルを例示する。図39b及び39cは、接地導体が、遮蔽フィルム間に配置され、かつ導体セットに含まれ得る実施形態を例示する。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置されてもよい。
図39aを参照し遮蔽電気ケーブル21602aは、ケーブル21602aの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604aを含む。導体セット21604aは、2つの絶縁導体21606、すなわち誘電体ギャップ21630によって分離された、一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602aは、ケーブルの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604aを有するように作製され得る。ケーブルの対向する側に配置された2つの遮蔽フィルム21608aは、カバー部分21607aを含む。横断面において、カバー部分21607aは組み合わせて、導体セット21604を実質的に包囲する。任意の接着層21610aは、遮蔽フィルム21608aの挟まれた部分21609a間に配置され、導体セット21604aの両側で、遮蔽フィルム21608aを互いに結合する。絶縁導体21606は概ね単一平面に、かつ有効に二芯同軸ケーブル構成に構成され、これはシングエンド回路構成又は差動ペア回路構成で使用され得る。遮蔽電気ケーブル21602aは、遮蔽フィルム21608aの外側に配置された複数の接地導体21612を更に含む。接地導体21612は、導体セット21604aの上に、これの下に、又は両側に配置される。任意に、ケーブル21602aは、遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612を包囲する保護フィルム21620を含む。保護フィルム21620は、保護層21621と、保護層21621を遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612に結合する接着層21622と、を含む。あるいは、遮蔽フィルム21608a及び接地導体21612は、例えば導電性ブレイドなどの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。
図39bを参照し、遮蔽電気ケーブル21602bは、ケーブル21602bの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604bを含む。導体セット21604bは、2つの絶縁導体21606、すなわち誘電体ギャップ21630によって分離された、一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602bは、ケーブルの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604bを有するように作製され得る。2つの遮蔽フィルム21608bは、ケーブル21602bの対向する側に配置され、かつカバー部分21607bを含む。横断面において、カバー部分21607bは組み合わせて、導体セット21604bを実質的に包囲する。任意の接着層21610bは、遮蔽フィルム21608bの挟まれた部分21609b間に配置され、導体セットの両側で、遮蔽フィルムを互いに結合する。絶縁導体21606は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に有効に配置される。遮蔽電気ケーブル21602bは、遮蔽フィルムv1608b間に配置される複数の接地導体21612を更に含む。接地導体21612の2つは、導体セット21604bに含まれ、接地導体21612の2つは、導体セット21604bから間隔を置いて配置される。
図39bを参照し、遮蔽電気ケーブル21602cは、ケーブル21602cの長さに沿って延在する、単一の導体セット21604bを含む。導体セット21604cは、2つの絶縁導体21606、すなわち誘電体ギャップ21630によって分離された、一対の絶縁導体を有する。ケーブル21602cは、ケーブルの幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、かつケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット21604cを有するように作製され得る。2つの遮蔽フィルム21608cは、ケーブル21602cの対向する側に配置され、かつカバー部分21607cを含む。横断面において、カバー部分21607cは組み合わせて、導体セット21604cを実質的に包囲する。任意の接着層21610cは、遮蔽フィルム21608の挟まれた部分21609c間に配置され、導体セット21604cの両側で、遮蔽フィルム21608cを互いに結合する。絶縁導体21606は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に有効に配置される。遮蔽電気ケーブル21602cは、遮蔽フィルム21608c間に配置される複数の接地導体21612を更に含む。接地導体21612の全ては、導体セット21604cに含まれる。接地導体21612の2つ、及び絶縁導体21606は、概ね単一平面に配置される。
図36cにおいて、例示の遮蔽電気ケーブル20902は横断面で示され、これは導体セット20904における2つの絶縁導体(個々に絶縁された導体20906はそれぞれ、ケーブル20902の長さに沿って延在し、誘電体/空気ギャップ20944によって分離される)を含む。2つの遮蔽フィルム20908はケーブル20902の対向する側に配置され、組み合わされて導体セット20904を実質的に包囲する。任意の接着層20910は、遮蔽フィルム20908の挟まれた部分20909間に配置され、かつケーブルの挟まれた領域918における導体セット20904の両側で遮蔽フィルム20908を互いに結合する。絶縁導体906は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸ケーブル構成に有効に配置され得る。二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成又はシングエンド回路構成で使用されてもよい。遮蔽フィルム20908は、導電性層908a、及び非導電性ポリマー層20908bを含んでもよく、又は非導電性ポリマー層20908bを有さずに導電性層908aを含んでもよい。図において、それぞれの遮蔽フィルムの導電性層20908aは、絶縁導体20906に面しているのが示されているが、別の実施形態では、遮蔽フィルムの一方又は両方が逆の向きを有してもよい。
遮蔽フィルム20908の少なくとも一方のカバー部分20907は、導体セット20904の対応する端部導体20906と実質的に同心である同心部分20911を含む。ケーブル20902の移行領域において、遮蔽フィルム20908の移行部分20934は、同心部分20911と遮蔽フィルム20908と挟まれた部分20909との間にある。移行部分20934は、導体セット20904の両側に配置され、それぞれ、そのような部分は断面移行領域20934aを含む。断面移行領域934aの合計は、導体20906の長さに沿って実質的に同じであることが好ましい。例えば、断面領域20934aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。
更に、断面移行領域20934aは、実質的に同じ及び/又は実質的に同一であってもよい。移行領域のこの構成はそれぞれの導体20906(シングエンド)及び差動インピーダンスに関して、両方が所与の長さ(例えば1mなど)の所与の長さにわたって、例えば目標インピーダンス値の5〜10%以内の所望の範囲内に留まるように寄与する。更に、移行領域のこの構成は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って2つの導体20906のスキューを最小限にすることができる。
ケーブルが折り曲げられず、平坦な構成にあるとき、遮蔽フィルムのそれぞれは、ケーブル20902の幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることができる。遮蔽フィルム20908の最大曲率半径は、例えば図36cに示されるケーブル20902の挟まれた部分20909において、又はマルチ導体ケーブルセット20904のカバー部分20907の中心点付近で生じ得る。これらの位置において、フィルムは実質的に平坦であってもよく、曲率半径は実質的に無限であってもよい。遮蔽フィルム20908の最小曲率半径は、例えば遮蔽フィルム20908の移行部分20934において生じ得る。いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径は、ケーブルの縁部間で、ケーブルの幅に沿った任意の点において、50マイクロメートルよりも小さい規模を有さない。いくつかの実施形態において、移行部分を含む遮蔽フィルムに関して、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
折り曲げられていない平坦な構成において、同心部分及び移行部分を含む遮蔽フィルムは、同心部分の曲率半径、R1、及び/又は移行部分の曲率半径、r1によって特徴付けることができる。これらのパラメータは、ケーブル20902に関して図36cに図示される。例示の実施形態において、R1/r1は2〜15の範囲である。
図36dでは、他の代表的な遮蔽電気ケーブル21002が示され、これは誘電体/空気ギャップ1014によって分離された2つの絶縁導体21006cを有する導体セットを含む。この実施形態では、遮蔽フィルム21008は非対象な構成を有し、これは、より対称的な実施形態に対して移行部分の位置を変更する。図36dでは、遮蔽電気ケーブル21002は、絶縁導体21006の対称面からわずかにオフセットされる面に位置する、遮蔽フィルム21008の挟まれた部分21009を有する。結果として移行領域21036は、他の示された実施形態に対して、若干オフセットされた位置及び構成を有する。しかしながら、確実に2つの移行領域21036が、対応する絶縁導体21006に対して(例えば、導体21006間の垂直面に対して)実質的に対称に配置され、及び移行領域1036の構成が遮蔽電気ケーブル21002の長さに沿って注意して制御されることにより、遮蔽電気ケーブル21002は、依然として許容可能な電気特性を提供するように構成され得る。
図36eでは、更なる代表的な遮蔽電気ケーブルが示される。これらの図は、どのようにケーブルの挟まれた部分が、遮蔽電気ケーブルを電気的に分離するように構成されるかを更に示す。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に分離されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするため)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から電気的に分離されてもよい(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするため)。両方の場合において、挟まれた部分は様々な機械的構造体を含んで、電気的分離を実施してもよい。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気的接触をする接地導体、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、及び導電性接着剤が挙げられる。
図36eは、断面図において、遮蔽電気ケーブル21102を示し、これは、ケーブル20102の幅にわたって間隔を置いて配置し、かつケーブルの長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット21104a、2104bを含む。各導体セット21104a、21104bは、ギャップ21144によって分離される2つの絶縁導体21106、21106bを有する。2つの遮蔽フィルム21108は、ケーブル21102の対向する側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107は、ケーブル21102のカバー領域21114における導体セット21104a、21104bを実質的に包囲する。ケーブルの挟まれた領域21118において、導体セット21104a、21104bの両側で、遮蔽フィルム21108は挟まれた部分21109を含む。遮蔽電気ケーブル21102において、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109及び絶縁導体21106は、ケーブル21102が平坦であり及び/又は折り曲げられていない構成にあるときに、概ね単一平面に配置される。導体セット21104a、21104b間に配置される、挟まれた部分21109は、導体セット21104a、21104bを互いに電気的に分離するように構成される。概ね平面に、折り曲げられていない構成に配置されているとき、図36eに例示されるように、導体セット21104aにおける第2絶縁導体21006bに対する、導体セット21104aにおける第1絶縁導体21106aの高周波の電気的分離は、第2導体セット21104bに対する導体セット21104aの高周波の電気的分離よりも実質的に小さい。
図36eに例示されるように、ケーブル21102は、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107の間の最大間隔、D、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107間の最小離間距離、d2、及び遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109間の最小離間距離、d1によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、d1/Dは0.25未満、又は0.1未満である。いくつかの実施形態では、d2/Dは0.33より大きい。
任意の接着層は示されるように、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109間に含まれ得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態において、接着層は、ケーブルv1102のカバー領域21114において、例えば遮蔽フィルム21108のカバー部分21107と、絶縁導体21106a、21106bとの間で完全に又は部分的に延在し得る。接着層は、遮蔽フィルム21108のカバー部分21107上に配置されてもよく、導体セット21104a、21104bの一方の側の遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109から、導体セット21104a、21104bの他方の側の遮蔽フィルム21108の挟まれた部分21109まで完全に又は部分的に延在してもよい。
遮蔽フィルム21108は、ケーブル21102の幅にわたって曲率半径、R、及び/又は遮蔽フィルム移行部分21112の曲率半径、r1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分21111の曲率半径、r2により特徴付けることができる。
移行領域21136において、遮蔽フィルム21108の移行部分21112は、遮蔽フィルム21108の同心部分21111と、遮蔽フィルム21108の挟まれた部分1109との間の緩やかな移行を提供するように配置され得る。遮蔽フィルム1108の移行部分21112は、遮蔽フィルム1108の屈曲点であり、同心部分21111の端部を示す第1移行点21121から第2移行点21122まで延在し、ここでは遮蔽フィルムの間の離間距離は、挟まれた部分21109の最小離間距離、d1を、所定の係数だけ超える。
いくつかの実施形態において、ケーブル21102は、少なくとも約50マイクロメートルのケーブルの幅にわたって曲率半径、R、及び/又は少なくとも約50マイクロメートルの遮蔽フィルム21102の移行部分21112の最小曲率半径、r1を有する、少なくとも1つの遮蔽フィルムを含む。いくつかの実施形態において、移行部分の最小曲率半径に対する同心部分の最小曲率半径の比率、r2/r1は、2〜15の範囲である。
いくつかの実施形態において、ケーブルの幅にわたる遮蔽フィルムの曲率半径、Rは、少なくとも約50マイクロメートルであり、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも50マイクロメートルである。
一部の場合には、記載された遮蔽されたケーブルのいずれかの挟まれた領域は、例えば少なくとも30°の角度において横方向に曲げられるように構成され得る。挟まれた領域の、この横方向の可撓性は、遮蔽されたが任意の好適な構成で、例えば丸形ケーブルにおいて使用され得る構成で折り曲げられるのを可能にする。一部の場合には、挟まれた領域の横方向の可撓性は、2つ又はそれ以上の薄い個々の層を含む遮蔽フィルムによって使用可能になる。特に曲げ条件下では、これらの個々の層の一体性を保証するために、それらの間の結合は無傷のままであることが好ましい。挟まれた領域は例えば、約0.13mm未満の最小厚さを有し、個々の層の間の結合強度は、処理若しくは使用時の熱暴露後に少なくとも17.86g/mm(1lbs/インチ)であり得る。
図36fにおいて、1つの遮蔽フィルム21308のみを有する遮蔽電気ケーブル21302が示される。絶縁導体21306は、2つの導体セット21304に配置され、それぞれが、誘電体/ギャップ21314によって分離された一対の絶縁導体のみを有するが、本明細書に記載されるように、他の数の絶縁導体を有する導体セットも検討される。遮蔽電気ケーブル21302は、様々な代表的な位置において接地導体21312を含むように示されているが、これらのいずれか又は全ては所望により省略されてもよく、又は追加的な接地導体が含まれ得る。接地導体21312は、導体セット1304の絶縁導体21306と実質的に同じ方向に延在し、遮蔽フィルム21308と、遮蔽フィルムのようには機能しないキャリアフィルム21346との間に配置される。1つの接地導体21312は、遮蔽フィルム21308の挟まれた部分21309に含まれ、3つの接地導体21312は導体セット21304のうちの1つに含まれる。これらの3つの接地導体21312のうちの1つは、絶縁導体v1306と遮蔽フィルム21308との間に配置され、これらの3つの接地導体21312のうちの2つは、導体セットの絶縁導体21306と概ね共面上に配置される。
信号ワイヤ、ドレインワイヤ、及び接地ワイヤに加えて、開示されたケーブルのいずれかは1つ以上の個々のワイヤを含んでもよく、これは典型的に、ユーザーによって定義される任意の目標のために絶縁される。これらの追加のワイヤ(これは例えば動力伝達又は低速通信(例えば1MHz未満)には適切ではあるが、高速通信(例えば1GHzより大きい)のためで)には適切ではない場合があるは、総じてサイドバンドと呼ばれることがある。サイドバンドワイヤは、電力信号、基準信号、又は対象とする任意の他の信号を伝送するために使用することができる。サイドバンドにおけるワイヤは典型的に、互いに直接又は間接的な電気接触をしないが、少なくとも一部の場合では、それらは互いから遮蔽されない場合がある。サイドバンドは、任意の数のワイヤ、例えば2若しくはそれ以上、又は3若しくはそれ以上、又は5若しくはそれ以上を含み得る。
本明細書において記載される遮蔽されたケーブル構成は導体セット及びドレインワイヤに対する簡略化された接続の機会をもたらし、これは信号完全性、支持する業界スタンダードプロトコルを促進し、及び/並びに導体セット及びドレインワイヤのマス終端を可能にする、カバー領域において、導体セットは実質的に遮蔽フィルムによって包囲され、導体セットは挟まれた領域によって互いから分離される。これらの回路構成は、ケーブル内の導体セット間にイントラ−ケーブル電気的分離をもたらし、ケーブルの導体セットと外部環境との間に追加のケーブル隔離をもたらし、より少ないドレインワイヤを必要とし、並びに/又はドレインワイヤが、例えば導体セットから間隔を置いて配置されるのを可能にすることができる。
これまで例示し、及び/又は記述したように、遮蔽フィルムは同心領域、挟まれた領域、並びに同心領域と挟まれた領域との間の緩やかな移行である移行領域を含んでもよい。同心領域、挟まれた領域、及び/又は移行領域の形状及び均一性は、ケーブルの電気特性に影響を与える。これらの領域の形状における非均一性によって生じる影響を低減する、及び/又は制御することが望ましい。ケーブルの長さに沿って実質的に均一な形状(例えば、寸法、形状、容量、曲率半径)を維持することは、ケーブルの電気的特性に良い影響を与えることができる。移行領域に関して、これらの領域の寸法を低減し、形状均一性を制御することが望ましい場合がある。例えば、移行領域の影響を低減することは、移行領域の寸法を低減し、及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、移行領域の構成を注意して制御することによって達成され得る。移行領域の寸法を低減することは電気容量の偏差を低減し、かつ複数の導体セットの間に必要な空間を低減する。これによって導体セットのピッチを縮小し、及び/又は導体セット間の電気的分離を増加させる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行領域の構成を注意して制御することは、予測可能な電気的挙動及び一貫性を得ることに寄与し、これは、電気的データがより確実に伝送され得る高速伝送線をもたらる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って伝送領域の構成を注意して制御することは、移行部分が寸法の下限に近づく際の要因である。
ケーブルの電気的特性は、高速信号伝送へのケーブルの適合性を決定する。ケーブルの電気的特性は、他の特性の中でも、特性インピーダンス、挿入損失、クロストーク、スキュー、アイ開口率、ジッターが挙げられる。電気的特性は、これまでに述べられたように、ケーブルの物理的形状による場合があり、またケーブル構成要素の材料特性による場合もある。したがって、実質的に均一な物理的形状及び/又は材料特性をケーブル長さに沿って維持することは一般的に望ましい。例えば、電気ケーブルの特性インピーダンスは、ケーブルの物理的形状及び材料特性による。ケーブルがその長さに沿って物理的に及び材料的に均一である場合、ケーブルの特性インピーダンスもまた均一であろう。しかしながら、ケーブルの形状及び/又は材料特性における非均一性は、非均一性の点におけるインピーダンスに不整合を生じさせる。インピーダンスの不整合は、信号を減衰させる反射を所持させ、かつケーブルの挿入損失を増加させる場合がある。したがって、ケーブルの長さに沿って、物理的形状及び材料特性においていくらかの均一性を維持することはケーブルの減衰特性を向上させることができる。本明細書に記載される例示の電気ケーブルに関するいくつかの典型的な特性は、例えば50Ω、75Ω、及び100Ωである。一部の場合には、本明細書に記載のケーブルの物理的形状及び材料特性は、制御されて、5%未満、又は10%未満のケーブルの特性インピーダンスにおける変化を生じさせ得る。
ケーブル(又は他の構成要素)の挿入損失は、その構成要素に起因する信号電力の全損を特徴づける。用語「挿入損失」は、用語「減衰」と交互に用いられる。減衰は、インピーダンス不整合損失を除いて、構成要素によって生じる全ての損失として定義されることもある。したがって、完全に整合した回路に関して、挿入損失は減衰と等しい。ケーブルの挿入損失には、反射損失(特性インピーダンスにおける不整合による損失)、結合損失(クロストークによる損失)、導体損失(信号導体における抵抗損失)、誘電体損失(誘電体材料における損失)、放射損失(放射されたエネルギーによる損失)、及び共振損失(ケーブルにおける共振による損失)が挙げられる。挿入損失は以下のとおりdBで表すことができる:
式中PTは、送信される信号電力であり、PRは、受信される信号電力である。挿入損失は、信号周波数により決定される。
ケーブル、又は可変長さの他の構成要素に関して、挿入損失は例えばdB/メートルとして、単位長さ当たりで表示され得る。図40a及び40bは、0〜20GHzの周波数範囲にわたる、本明細書に記載の遮蔽されたケーブルの挿入損失対周波数のグラフである。試験されたケーブルは30AWG導体の二芯同軸セット、及び100Ωの特性インピーダンスを備え、長さ1mであった。
図40は、ケーブル1の挿入損失(SDD12)のグラフであり、これは銀メッキされた30AWG導体を有する。図41は、ケーブル2の挿入損失(SDD12)のグラフであり、これは錫メッキされた30AWG導体を有する。図40及び41に示されるように、5GHzの周波数において、ケーブル2(30AWGの錫メッキされた導体)は、約−5dB/m未満の、又は更には約−4dB/m未満の挿入損失を有する。5GHzの周波数において、ケーブル1(30AWGの銀メッキされた導体)は、約−5dB/m未満の、又は約−4dB/m未満の、又は更には約−3dB/m未満の挿入損失を有する。0〜20GHzの全体の周波数範囲にわたって、ケーブル2(30AWGの錫メッキされた導体)は、約−30dB/m未満の、又は約−20dB/m未満の、又は更には約−15dB/m未満の挿入損失を有する。0〜20GHzの全体の周波数範囲にわたって、ケーブル1(30AWGの銀メッキされた導体)は、約−20dB/m未満の、又は約−15dB/m未満の、又は更には約−10dB/m未満の挿入損失を有する。
全ての他の要素が一定であって、減衰は導体寸法に反比例する。本開示に記載の遮蔽されたケーブルに関して、5GHzの周波数において、24AWG以上の錫メッキされた信号導体を備えるケーブルは、約−5dB/m未満の、又は更には約−4dB/m未満の挿入損失を有する。5GHzの周波数において、24AWG以上の銀メッキされた信号導体を備えるケーブルは、約−5dB/m未満の、又は更には約−4dB未満の、又は更には約−3dB/m未満の挿入損失を有する。0〜20GHzの全体の周波数範囲にわたって、24AWG以上の寸法の、錫メッキされた信号導体を備えるケーブルは、約−25dB/m未満の、又は約−20dB/m未満の、又は更には約−15dB/m未満の挿入損失を有する。0〜20GHzの全体の周波数範囲にわたって、24AWG以上の寸法の、銀メッキされた信号導体を備えるケーブルは、約−20dB/m未満の、又は約−15dB/m未満の、又は更には約−10dB/m未満の挿入損失を有する。
カバー部分及び挟まれた部分は、ケーブルにおける導体セットを互いから電気的に分離するのを、及び/又は外部環境から導体セットを電気的に分離するのに役立つ。本明細書に記載の遮蔽フィルムは、導体セットに対して最も近い遮蔽部を提供することができるが、しかしながら、これらの最も近い遮蔽フィルムにわたって配置される追加の補助的な遮蔽部は追加として使用されて、ケーブル内/追加のケーブルの絶縁を増やすために追加で使用されてもよい。
本明細書に記載のように、カバー部分及び挟まれた部分を備えるケーブルの1つ以上の側に配置された遮蔽フィルムを使用することとは対照的に、いくつかのタイプのケーブルは、最も近い遮蔽として、又は補助的な遮蔽として、個々の導体の周囲で導体フィルムを螺旋状に巻き付ける。差動信号を送達するのに使用される二芯同軸ケーブルの場合には、電流リターン経路は遮蔽部の対向する面に沿う。螺旋状の巻きつけは、遮蔽部にギャップを生じさせ、電流リータン経路における不連続性となる。周期的な不連続性は、導体セットの共振により、信号減衰を生じさせる。この現象は「信号サックアウト(signal suck-out)」として既知であり、共振周波数に対応する、特定の周波数範囲において生じる、有意な信号減衰を生じさせることができる。
図42は、最も近い遮蔽部として、導体セット7205の周囲に螺旋状に巻き付けられたフィルム7208を有する、二芯同軸ケーブル7200(本明細書ではケーブル3と呼ばれる)を図示する。図43は、30AWGの導体7304を有する導体セット7305、2つの32AWGのドレインワイヤ7306、及びケーブル7300の対向する側には2つの遮蔽フィルム7308を含む、本明細書でこれまで記載されたケーブル構成を有し、ケーブル7300(本明細書ではケーブル4を呼ばれる)の断面を示す。遮蔽フィルム7308は、導体セット7305、及び導体セット7305のいずれかの側で挟まれた部分7309を実質的に包囲するカバー部分7307を含む。ケーブル4は、銀メッキされた導体及びポリオレフィン絶縁部を有する。
図44のグラフは、ケーブル3の共振による挿入損失を、ケーブル4のものと比較する。共振による挿入損失は、約11GHzにおけるケーブル3の挿入損失グラフにおいて最大となる。対照的に、ケーブル4の挿入損失グラフに観察可能な、共振による挿入損失はない。これらのグラフにおいて、ケーブルの終端による減衰もまた存在する。
ケーブル3の共振による減衰は、公称の信号減衰NSAと、共振による信号減衰RSAとの比率により特徴付けることができ、この場合、NSAは、共振傾斜のピーク部をつなぐ線であり、RSAは、共振傾斜の谷部における減衰である。11GHzにおけるケーブル3のNSAとRSAの比率は、約−11dB/−35dB、すなわち約0.3である。対称的に、ケーブル4は約1(これは共振によるゼロ減衰に相当する)、又は少なくとも約0.5を超えるNSA/RSA値を有する。
ケーブル4の断面形状を有するケーブルの挿入損失は、3つの異なる長さ、1m(ケーブル5)、1.5メートル(ケーブル6)、及び2メートル(ケーブル7)において試験された。これらのケーブルの挿入損失グラフは図45に示される。周波数範囲0〜20GHzでは共振は確認されなかった。(20GHz付近のわずかな低下は、終端に関連し、挿入損失ではない。)
図46に示されるように、螺旋状に巻き付けられた遮蔽部を使用する代わりに、幾つかのタイプのケーブル7600は、導体セット7605の周囲に、長手方向に折り曲げられた導体材料7608のシート若しくはフィルムを含み、最も近い遮蔽部を形成する。長手方向に折り曲げられた遮蔽フィルム7606の端部7602は重なり合ってもよく、及び/又は遮蔽フィルムの端部はシームと共に密閉されてもよい。長手方向に折り曲げられた遮蔽部を有するケーブルは、1つ以上の補助的な遮蔽部7609と重ねられてもよく、これはケーブルが曲げられたとき、重ねられた縁部及び/又はシームが分離するのを防ぐ。長手方向に折り曲げることは、遮蔽部を螺旋状に巻き付けることによって生じる、遮蔽部のギャップの周期性を避けることによって、共振による信号減衰を軽減することができるが、しかしながら、遮蔽部の分離を防ぐために重ねることは、遮蔽部の剛性を増加させる。
本明細書で説明されるような、導体セットを実質的に包囲するカバー部分と、導体セットの両側上に位置するピンチ部分とを有するケーブルは、螺旋状に巻き付けられる至近の遮蔽体に依存することなく、導体セットを電気的に分離し、導体セットの周りに長手方向で折り曲げられる至近の遮蔽体に依存することなく、導体セットを電気的に分離する。螺旋状に巻き付けられた、及び/又は長手方向に折り曲げられた遮蔽部は記載のケーブルの外側の補助的な遮蔽部として使用されてもよく、使用されなくてもよい。
クロストークは、付近の電気信号によって生じる磁場の不必要な影響によって生じる。クロストーク(近端及び遠端)は、ケーブルアセンブルにおける信号完全性の考慮事項である。近端クロストークは、ケーブルの送信側において測定される。遠端クロストークは、ケーブルの受信側において測定される。クロストークは、アグレッサー信号からの不必要なカップリングからのビクティム信号に生じるノイズである。ケーブルにおける、及び/又は終端領域における信号線間の密接な間隔は、クロストークを受けやすい場合がある。本明細書に記載のケーブル及びコネクタはクロストークの低減に取り組む。例えば、遮蔽フィルムの同心状部分、移行部分、及び/又は挟まれた部分が組み合わせて、可能な限り導体セットを包囲するか遮蔽部を完成させる場合、ケーブルにおけるクロストークは低減することができる。ケーブルにおいて、遮蔽部間のいずれかの隙間があり、次いでこの隙間が可能な限り高いアスペクト比を有するようにして、及び/又は遮蔽部間の低インピーダンス又は直接的な電気接触部を使用することによって、クロストークは低減される。例えば、遮蔽部は直接接触であってもよく、ドレインワイヤを通じて接続されてもよく、及び/又は例えば導電性接着剤を介して接続されてもよい。ケーブルの導電体間の電気的接触部位、及びコネクタの終端において、接触点の間の離間距離を増加させることによって、したがって誘電性及び容量結合を低減することによって、クロストークは低減することができる。
図47は、従来の電気ケーブルの2つの隣接する導体セット間(導体セットが完全に分離される(すなわちコモン接地を有さない(サンプル1)))と、遮蔽フィルム2208が約0.025mm間隔を置いて配置される(サンプル2)、遮蔽電気ケーブル2202(図15aに図示)の2つの隣接する導体セット間の遠端クロストーク(FEXT)分離を示し、両方とも約3mのケーブル長さを有する。このデータを作成するテスト方法は当該技術において周知である。データはAgilent 8720ES 50MHz〜20GHz S−Parameter Network Analyzerを使用して生成された。遠端クロストークプロットを比較することによって、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル2202が同様な遠端遠端クロストーク性能を提供するということが分かる。とりわけ、約−35dB未満の遠端クロストークが大半の用途に好適であるということが一般に認められている。試験された構成に関して、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル2202の両方が満足のいく電気的分離性能を提供するということが図47から容易に分かる。遮蔽フィルムを間隔を置いて配置する能力による、平行部分の増加した強度と組み合わせて、この満足のいく電気的分離性能は、従来の電気ケーブルをしのぐ、本発明の態様による遮蔽電気ケーブルの利点である。
伝播遅延及びスキューは、電気ケーブルの更なる電気的特性である。伝播遅延は、ケーブルの速度係数により決定され、かつケーブルの一方の端部から、ケーブルの対向する端部まで信号が移動するのにかかる時間の量である。ケーブルの伝播遅延は、システムタイミング解析において重要な考慮事項であり得る。
隣接する導体セットに対して。
第2の導体に対する第1の絶縁導体の高周波数分離は、約5〜約15GHzの特定の周波数及び1メートルの長さにおける第1の遠端クロストークC1である。隣接する導体セットに対する第1導体セットの高周波分離は、特定の周波数において第2の遠端クロストークC2である。C2は、C1よりも少なくとも10dB低くてもよい。
ケーブルにおける2つ又はそれ以上の導体間の伝播遅延における差は、スキューと呼ばれる。シングエンド構成において使用されるケーブルの導体間、及び差動ペアとして使用される導体間では低スキューが一般的に望ましい。シングエンド回路構成において使用されるケーブルの複数の導体間のスキューは、全体のシステムタイミングに影響を及ぼす場合がある。差動ペア回路構成において使用される2つの導体間のスキューもまた考慮事項である。例えば、異なる長さ(異なる速度係数)を有する差動ペアの導体は、差動付いの信号間のスキューとなる場合がある。差動ペアのスキューは、挿入損失、インピーダンス不整合、及び/若しくはクロストークを増加させ、並びに/又は、より高いビット誤り率及びジッターとなり得る。スキューは、差動信号のコモンモード信号への変換を生じさせ、これはソースに反射して戻される場合があり、伝送された信号強度を減少させ、電磁放射線を生じさせ、特定のジッターにおいてビット誤り率を著しく増大させる場合がある。理想的には、一対の伝送線路は、スキューを有することはないが、対象用途に応じて、−25〜−30dB未満から、例えば6GHzなどの関心対象の周波数までの、差動SパラメータSCD21値又はSCD12値(伝送線路の一方の末端部から他方までの、差動モードからコモンモードへの変換を表す)を許容可能とすることができる。
ケーブルのスキューは、単位長さ当たりのケーブルにおける導体に関して、1m当たりの伝播遅延における差として表すことができる。ペア内のスキューは、二芯同軸ペア内のスキューであり、ペア間のスキューは、2つペア間のスキューである。2つの単一の同軸、又は他の更なる遮蔽されていないワイヤに関してもスキューがある。本明細書に記載の遮蔽電気ケーブルは、最高約10Gbpsまでのデータ転送速度において、約20ピコ秒/メートル(psec/m)未満、又は約20psec/m未満のスキューを達成し得る。
ジッターは、スキュー、反射、パターンに依存する干渉、伝播遅延、及び信号品質を低減する結合ノイズを含む、複雑な特性である。一部の規格はジッターを、制御されたエッジ信号間における、その公称値からの時間偏差として定義している。デジタル信号において、ジッターは、1つの倫理状態から、デジタル状態が中間である、もう一方のロジック状態まで切り替わるときの信号の部分として考えられる。アイパターンは、それが体系的及びランダムなひずみの効果を含むため、全体の信号品質を測定するための有用なツールである。アイパターンは、ロジック状態移行中に、差動電圧ゼロ交差におけるジッターを測定するために使用され得る。典型的に、ジッター測定は単位時間、又は単位間隔の百分率として与えられる。眼の「開放」は、信号に存在する減衰、ジッター、ノイズ、クロストークのレベルを反映する。
4つのケーブルタイプの電気的な仕様は表1に提供される。2つの試験されたケーブル、Sn1、Sn2は、サイドバンド、例えば周波数信号ケーブルを含む。2つの試験されたケーブルSn2、Ag2は再度バンドを含まない。
これまで記述したように、螺旋状に巻き付けられた遮蔽部、長手方向に折り曲げられた遮蔽部、及び重ねられた遮蔽部は望ましくなく、ケーブルの剛性を増加させる。本明細書に記載のケーブル構成のいくつか、例えば図43に示されるケーブル構成は、螺旋状に巻き付けられ、長手方向に折り曲げられ、及び/又は重ねられた遮蔽部を有するケイブルと同様の、又はより良好な挿入損失特性を提供するが、低減された剛性もまた提供する。
ケーブルの剛性は、距離によって表された、ケーブルを屈折させるのに必要とされる力の量として特徴付けることができる。ここで図48を参照すると、ブロック図は、本発明の例の実施形態に従った、ケーブル7801のたわみを測定するための試験設定7800を図示する。この設定において、ケーブル7801は、点線によって示されたように、ローラータイプの支持体7802にわたってまず平坦に配置される。支持体7802は、下方の運動を防ぐが、そうでなければ側側の方向におけるケーブルの自由な動きを可能にする。これは単純に支持梁、例えば一方の端部においてヒンジで連結された接続部を、他方の端部においてローラー接続部を有する梁の拘束に類似し得る。
この試験用設定における支持体7802は、直径2.0インチ(5.08cm)のシリンダーを含み、それらのシリンダーは、シリンダーの頂部側で(例えば図48で見られる透視図からみたとき、12時の位置)間、5.0インチ(12.7cm)の一定距離7804によって分離される。支持体7804間で等距離の点において、力作動装置7810を介して、力7806がケーブル7801適用され、たわみ7808が測定された。力作動装置7810は、直径0.375インチ(0.95cm)のシリンダーであり、1分当たり5.0インチ(0.002m/s)のクロスヘッド速度で駆動される。
本明細書に開示されるケーブルに関して、設定7800を使用する第1の試験の結果は、図49のグラフ7900に示され、曲線7902は、2つの中実30AWG導体、固体ポリオレフィン絶縁部、及び2つの32AWGのドレインワイヤを備えるリボンケーブル(例えば図43の構成と類似している)の力−たわみの結果を表す。最大力は約0.025lbs(0.11N)であり、約1.2インチ(3.05cm)のたわみが生じる。おおまかな比較によって、曲線7904は、2つのAWGワイヤ、及び2つの30AWGドレインワイヤを有する、巻き付けられたtwinaxケーブルに関して測定された。この曲線は、1.2インチ(3.05cm)のたわみにおいて、およそ0.048lbs(0.21N)の最大力を有する。全てを等しくして、twinaxケーブルは、より厚い(30AWG対32AWG)ドレインワイヤが使用されたため、わずかに、より硬いということが予期され得るが、これは曲線7902と7904との有意差を説明するものではない。概して、支持点間の曲線7902の中間点によって表される、ケーブル上の0.03lbf(0.13N)のちからの適用は、力の方向において少なくとも1インチ(2.54cm)のたわみを生じさせる。曲線7904によって表されるケーブルは、その約半分たわむということが明らかである。
図50において、グラフ8000は、図48の力反射設定を使用する、本発明の例示の実施形態によるケーブルお後の試験の結果を含む。4つのワイヤゲージのそれぞれ(24、26、30、及び32AWG)に関して、4つのケーブルが作製され、それぞれは、対応するゲージのちょうど2つの単線の導体を有する。ケーブルは、両側の遮蔽部を備え、ドレインワイヤを有さないポリオレフィン絶縁体を有した。力は0.2インチ(0.51cm)毎のたわみに対して測定された。以下の表2は、最大力点8002、8004、8006、8008における結果を要約し、これらはそれぞれ、対応する導体ゲージの寸法、24、26、30、及び32AWGを有するケーブルのセットに対する結果に対応する。表2の第5及び第6列は、各ゲージグループ内の試験された4つのケーブルの、対応する最大力及び最小力に一致する。
表2におけるデータに関して、導体の直径の対数対最大たわみ力の対数で、形式、y=mx+bの直線回帰を実施することは可能である。表2の第3列における力の自然対数(In)は、図51のグラフ8100の対応する直径の自然回帰に対してプロットされる。24、26、30、及び32AWGワイヤの直径は、それぞれ0.0201、0.0159、0.010、及び0.008である。グラフ8100における曲線の少なくとも二乗の直線回帰は、以下の適合となる:ln(Fmax)=2.96*ln(直径)+10.0。Fmaxについて解いて、2つの有効数字まで切り上げることで、以下の経験結果が得られる:
Fmax=M*dia3、式中M=22,000lbf/in3 [1]
等式[1]は、2つの28 AWG導体(直径=0.0126)を使用して作製された同様なケーブルは、最大力22,000*0.01263=0.044lbf、すなわち0.196Nで屈曲するということが予期される。かかる結果は、図49に示される他のゲージに関する結果という観点から合理的なものである。更に、等式[1]は、以下のとおり各単一の絶縁導体に関して、個々の最大力(Fmax−single)を表すように
修正され得る:
Fmax−single=M*dia3、式中M=11,000lbf/in3 [2]
それぞれの絶縁導体(及びドレインワイヤ又は他の非絶縁導体)に関して[2]から算出された個々の抵抗血からは、所望のケーブルに関する集団の最大屈曲力を得るために組み合わせることができる。例えば、2つの30AWG及び2つの32AWGワイヤの組み合わせは、0.0261+0.014=0.0301lbf、すなわち0.134Nの最大屈曲力を有すると予測される。これは、30AWGの絶縁ワイヤ及び32AWGのドレインワイヤの組み合わせを有した、試験されたケーブルに関して、図18の曲線1802に見られる0.025lbf(0.111N)値よりも高い。しかしながら、このような差は予期され得る。試験されたケーブルにおけるドレインワイヤは絶縁されず、したがって試験されたケーブルを理論的なケースよりも、より可撓性にする。概して、等式[1]及び[2]は、屈曲力の最大限度で戻ると期待され、これは依然として、従来の巻き付けられたケーブルよりも、より可撓性である。比較によって、4つの30AWGワイヤに関する等式[2]を使用して、最大力は4*11,000*0.01=0.044lbf、すなわち0.196Nであり、これは図48における従来の巻き付けられたケーブル試験曲線7804で示されるものより低い。巻き付けられたケーブルにおけるドレインワイヤが絶縁されている場合(実際はそうでなかった)、曲線7804は、更に高い力を呈すると予期される。
数多くの他の要因が、等式[1]及び等式[2]によって予測される結果を変更する可能性があり、それらの要因としては、ワイヤの絶縁体のタイプ(ポリエチレン及び発泡絶縁体は、剛直性を弱め、フルオロポリマー絶縁体は、剛直性を高める傾向にある)、ワイヤのタイプ(撚り線は、剛直性が弱まる)などが挙げられる。それにもかかわらず、等式[1]及び等式[2]は、所定のケーブルに関する最大屈曲力の妥当な推定値を提供することができ、そのような特性を呈する本発明のリボンケーブル構成体は、等価の巻き付け構成体よりも、測定可能な程度に可撓性となるはずである。
品目1は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている1つ以上の導体セットであって、各導体セットは、24AWG以下の寸法を有する1つ以上の導体を有し、各導体セットは、0〜20GHzの周波数範囲にわたって−20dB/メートル未満の挿入損失を有する、導体セットと、
ケーブルの対向する側に配置される第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2フィルムは、横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて、各導体セットを実質的に包囲するように配置され、第1及び第2フィルムの挟まれた部分は組み合わせて、各導体の各側のケーブルの挟まれた部分を形成し、第1及び第2遮蔽フィルムの第1カバー部分間の最大離間距離はDであり、第1及び第2遮蔽フィルムの第1の挟まれた部分間の最小離間距離は、d1であり、d1/Dは、約0.25未満である、第1及び第2遮蔽フィルムと、を含む。
品目2は、品目1のケーブルであって、導体セットは2つの導体を二芯同軸構成で含み、導体セットの共振による挿入損失は約ゼロである。
品目3は、品目1のケーブルであって、導体セットは2つの導体を二芯同軸構成で含み、共振による挿入損失を有さない、公称挿入損失は、導体セットの共振による挿入損失の約0.5倍である。
品目4は、品目1のケーブルであって、遮蔽フィルムの挟まれた部分間に配置された接着層を更に含む。
品目5は、品目1のケーブルであって、各導体セットの挿入損失は1メートル当たり約−5dB未満である。
品目6は、品目1のケーブルであって、各導体セットの挿入損失は1メートル当たり約−4dB未満である。
品目7は、品目1のケーブルであって、各導体セットの挿入損失は約−3dB/メートル未満である。
品目8は、品目1のケーブルであって、ケーブルは、約10Gbpsまでのデータ転送速度において、約20psec/メートル未満のスキューを有する。
品目9は、品目1のケーブルであって、ケーブルは、約10Gbpsまでのデータ転送速度において、約10psec/メートル未満のスキューを有する。
品目10は、品目1のケーブルであって、ケーブルの特性インピーダンスは、約1メートルのケーブル長さにわたる目標特性インピーダンスの5〜10%内に留まる。
品目11は、品目1のケーブルであって、1つ以上の導体セットは、第1導体セット及び第2導体セットを含み、各導体セットは、第1絶縁導体及び第2絶縁導体を有し、並びに各導体セットにおける第2絶縁導体に対する第1絶縁導体の高周波の電気的分離は、隣接する導体セットに対する第1導体セットの高い周波数の電気的分離よりも実質的に小さい。
品目12は、品目11のケーブルであって、第2導体セットに対する第1絶縁導体の高周波分離は、3〜15GHzの特定の周波数範囲及び1mの長さにおいて、第1の遠端クロストークC1であり、隣接する導体セットに対する第1導体セットの高周波分離は、特定の周波数において第2の遠端クロストークC2であり、ここでC2はC1よりも少なくとも10dB低い。
品目13は、品目1のケーブルであって、d1/Dは0.1未満である。
品目14は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットであって、各導体セットは、24AWG以下の寸法を有し、各導体セットは、0〜20GHzの周波数範囲にわたって−20dB/メートル未満の信号減衰を有する、導体セットと、
少なくとも1つのドレインワイヤと、
ケーブルの対向する側に配置された第1及び第2遮蔽フィルムであって、第1及び第2遮蔽フィルムは、横断面において、第1及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2フィルムの挟まれた分が組み合わせて各導体セットの各側でケーブルの挟まれた部分を形成し、少なくとも1つの導体セットに関して、ドレインワイヤと、導体セットの最も近い導体との間の離間距離は、導体セットの2つの導体の中心間の間隔よりも0.5倍超であるように配置される、第1及び第2遮蔽フィルムと、を含む。
品目15は、品目14のケーブルであって、各導体セットの挿入損失は、1メートル当たり約−5dB未満、又は1メートル当たり約−4dB未満、又は1メートル当たり約−3dB未満である。
品目16は、品目14のケーブルであって、ケーブルは、約10Gbpsまでのデータ転送速度において、約20psec/メートル未満、又は約10psec/メートル未満のスキューを有する。
品目17は、品目14のケーブルであって、ケーブルの特性インピーダンスは、約1メートルのケーブル長さにわたる目標特性インピーダンスの5〜10%内に留まる。
品目18は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体であって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を有し、導体のそれぞれは、24AWG以下の寸法を有する、導体と、
ケーブルの対向する側に配置される第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、ケーブルの両側の導体セットをカバーするように遮蔽フィルムを向ける、長手方向の折り曲げを含まず、導体セットはそれぞれ、0〜20GHzの周波数範囲にわたって−20dB/メートル未満の挿入損失を有し、導体セットの共振損失による挿入損失は約ゼロである、遮蔽フィルムと、を含む。
品目19は、品目18のケーブルであって、少なくとも1つのドレインワイヤを更に含み、第1及び第2遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは横断面において、第1フ及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2フィルムの挟まれた分が組み合わせて各導体セットの各側でケーブルの挟まれた部分を形成し、少なくとも1つの導体セットに関して、ドレインワイヤと、導体セットの最も近い導体との間の離間距離は、導体セットの2つの導体の中心間の間隔よりも0.5倍超であるように含む。
品目20は、品目18のケーブルであって、各導体セットの挿入損失は、1メートル当たり約−5dB未満、又は1メートル当たり約−4dB未満、又は1メートル当たり約−3dB未満である。
品目21は、品目18のケーブルであって、ケーブルは、約20psec/メートル未満、又は約10psec/メートル未満のスキューを有する。
品目22は、品目18のケーブルであって、ケーブルの特性インピーダンスは、約1メートルのケーブル長さにわたる目標特性インピーダンスの5〜10%内に留まる。
品目23は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体であって、各導体セットは二芯構成に配置された2つの導体を含み、導体のそれぞれは、24AWGと同じくらいの大きさの寸法を有する、導体と、
ケーブルの対向する側に配置される第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムであって、いずれの遮蔽フィルムも、遮蔽フィルムをそれ自体に結合させるシームを含まず、導体セットのそれぞれは、0〜20GHzの周波数範囲にわたって−20dB/メートル未満の挿入損失を有し、導体セットの共振損失による挿入損失は約ゼロである、遮蔽フィルムと、を含む。
品目24は、品目23のケーブルであって、少なくとも1つのドレインワイヤを更に含み、第1及び第2遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含み、これらは横断面において、第1フィルム及び第2フィルムのカバー部分が組み合わせて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2フィルムの挟まれた分が組み合わせて各導体セットの各側でケーブルの挟まれた部分を形成し、少なくとも1つの導体セットに関して、ドレインワイヤと、導体セットの最も近い導体との間の離間距離は、導体セットの2つの導体の中心間の間隔よりも0.5倍超であるように含む。
品目25は、品目24のケーブルであって、第2遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムの第1カバー部分間の最大離間距離はDであり、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムの第1の挟まれた部分間の最小離間距離はd1であり、d1/Dは約0.25未満である。
品目26は、品目24のケーブルであって、各遮蔽フィルムは個々に、各導体セットの周辺部の全て未満を包囲する。
本開示に記載された実施形態は、好ましい実施形態の説明の目的のために本明細書において例示され、記述されたが、同じ目的を達成すると予測される多種多様な代替及び/又は同等の実施が、本発明の範囲から逸脱することなく図示及び説明された特定の実施形態に置き換わり得ることを、当業者は理解するであろう。機械的、電気機械的、及び電気的分野における当業者であれば、本発明が広範な実施形態で実施しうる点は直ちに認識されるであろう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。したがって、本発明が特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される点を明示するものである。
遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの長さに沿って延在し、かつケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットを含み、各導体セットは、24AWG(直径0.511mm、以下同様)以下の寸法を有し、各導体セットは、0〜20GHzの周波数範囲にわたって−20dB/メートル未満の信号減衰を有する。ケーブルは、ドレインワイヤ、並びにケーブルの対向する側に配置された第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムも含み、第1遮蔽フィルム及び第2遮蔽フィルムはカバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1フィルム及び第2フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1フィルム及び第2フィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットの各側にケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される。少なくとも1つの導体セットに関して、ドレインワイヤと導体セットの最も近い導体との間の離間距離は、導体セットの2つの導体の中心間の間隔の0.5倍超であってもよい。