JP3629381B2 - シールドテープ及びこれを用いたシールド線 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コピー、ファクシミリ等の電子機器やステレオ、テープレコーダ等のオーディオセット、さらには自動車用のシールド線及びそのシールド線に用いられるシールドテープ線に関するもので、特にフラットケーブルタイプのシールド線の端末加工時の不良率がほとんど皆無となるようにして生産性の向上に寄与でき、しかも電磁ノイズのシールド効果に優れたシールドテープ及びこれを用いたシールド線に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
コピー、ファクシミリ等の電子機器用、オーディオ用のシールド線として、図1に示すようなフラットケーブルタイプのシールド線が使用されている。
【0003】
このフラットケーブルタイプのシールド線は、導線1を絶縁被覆材2(一般にポリ塩化ビニルを使用)で被包一体化してなるコア線3,3と、ドレインワイヤ4が所定間隔をおいて並列に配置され、コア線3,3及びドレインワイヤ4の外周全体に密着するようにシールドテープ5が貼り付けられるとともに、シールドテープ5同士を貼り付けて前記所定間隔を固定するブリッジ部7,7′が形成される。そして、シールドテープ5の表面を、更にシース6(一般にポリ塩化ビニル)が被覆している。
【0004】
ここでシールドテープは、図2(a)に示すように、シールド層11、該シールド層11のシース6側に積層された補強用シート層12、補強用シート層12とシース6を接着するためのシース用接着剤層13、及びシールド層11とコア線3とを接着するためのコア用接着剤層14からなる。シールド層11は、通常、銅やアルミニウム等の導電性の高い金属箔11aと、鉄、スズ等の透磁率の高い金属箔11bとの組み合わせで構成され、補強用シート層12は金属箔で構成されるシールド層11単独では強度面で不十分なために積層されており、通常コスト面及び強度面からポリエステルシートが使用される。但し、補強用シート層12が積層されていないものも本発明の範囲に含まれる。また、現在一般に、シース用接着剤層13には、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記)を主体とするPET系接着剤が用いられ、コア用接着剤層14には、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体(以下「塩ビ−酢ビ共重合体」と略記)を主体とする塩ビ−酢ビ共重合体系の接着剤が用いられている。
【0005】
コア用接着剤層14は、図2(b)に示すように、シールド層11の片面に斜め縞状にコア用接着剤を塗布することにより形成されている。すなわち、テープの長手方向にコア用接着剤の塗布部14aと非塗布部14bとが交互に配列し、非塗布部14bはシールド層11を構成する金属箔が露出した状態になっている。よって、非塗布部14bを介して、ドレインワイヤ4とシールド層11を構成する金属箔とが直接接触して電気的に導通することになる。これにより、シールドテープ5がアースされて、信号の歪みやノイズの原因となるケーブル内外からの電磁波を遮蔽している。一方、コア用接着剤層14の塗布部14aの接着作用により、シールドテープ5がコア線3に密着してコア線3の抜けを防止するとともに、コア線3,3間、及びコア線3とドレインワイヤ4間をシールドテープ5同士が接着してなるブリッジ部7,7′を形成して、コア線3の位置ずれを防止している。
【0006】
以上のような構成を有するフラットケーブルタイプのシールド線の端末加工は、近年、ドレインワイヤ4部分の最外径(シールドテープ5及びシース6で被覆された状態での外径)をコア線3の外径と等しくし、圧接接続方式により行っている。圧接接続とは、図3に示すように、コア線3を被覆しているシース6及びシールドテープ5を剥離してコア線3を露出させ、ドレインワイヤ4部分はシールドテープ5及びシース6でカバーされた状態で、コンタクトピン20を一括して挿入する接続方式である。
【0007】
ここでコンタクトピンの挿入は、図4(a)に示すような接続用コンタクトピン20をコア線3の総数とドレインワイヤ4に相当する数だけ有している接続用端子(図示せず)に、露出させたコア線3を挿入し(図4(b))、さらにコンタクトピン20が導体1に接触するようにコア線3を押込み(図4(c))、さらに強く押込む(図4(d))ことにより絶縁被覆材2を突き破って導体1がコンタクトピン20と接するようにしている。ドレインワイヤ4部分の場合には、コンタクトピン20は、シールドテープ5及びシース6を突き破って、ドレインワイヤ4と接するようになっている。
【0008】
このような接続方式では、コンタクトピン20,20間のピッチと、コア線3,3間及びコア線3とドレインワイヤ4との間のピッチを一定にしておくことにより、シールド線を自動的に切断し、シールドテープ5及びシース6を剥離し、接続用端子を圧接により自動的に取り付けることが可能となる。
【0009】
従って、シールド線における複数のコア線3の導体1とコンタクトピン20とを一括して正確に接続させるためには、コア線3,3間のピッチ及びコア線3とドレインワイヤ4間のピッチを、コンタクトピン20,20間のピッチに合わせて固定しておく必要がある。そのためには、シールドテープ5がコア線3及びドレインワイヤ4に密着して、シールドテープ5及びシース6の剥離作業を行なった後でもコア線の位置ずれがないようにしておく必要がある。
【0010】
一方、シールドテープ5とコア線3との密着性が高すぎると、切断面端末部からシース6及びシールドテープ5を剥離しようとしても、シース6だけが剥離されて、シールドテープ5がコア線3に密着したまま残ってしまうことになる。コア線3にシールドテープ5が付着していると、圧接接続により、コンタクトピン20とシールドテープ5のシールド層11とが接触する場合が生じる。この場合、シールド層11を介して、ドレインワイヤ4にまでショートしてしまうため、不良となる。
【0011】
このような問題を解決するために、シールドテープの剥離作業を容易にして、端末加工に伴う不良の発生を防止したシールド線として、例えば、実開平4−133319号公報に、離型剤を塗布してなるテープ巻層でコア線の外周全体を被覆し、このテープ巻層を介してシールドテープで被覆したシールド線が提案されている。このような構成によれば、コア線からのシールドテープの剥離が容易となり、コア線間及びコア線とドレインワイヤ間では、シールドテープの接着層同士の密着によりコア線の位置ずれを防止することができる。しかし、テープ巻層を形成するための工程が1つ増えることになり、コストアップにもつながる。
【0012】
一方、剥離作業の容易性のために、コア用接着剤層14の塗布部14aの面積を小さくすることが考えられる。しかしながら、塗布部14aの面積を小さくすることは、コア線3とシールドテープ5との接着力の低下、ブリッジ部7,7′におけるシールドテープ同士の接着力の低下につながり、コア線の位置ずれ、コア線の抜けなどの問題を惹起することになり、有効な手段とは言い難い。
【0013】
現在一般に使用されているシールドテープは、ブリッジ部7,7′にてシールドテープ5のコア用接着剤の塗布部14aと非塗布部14bが接合しあう部分の面積よりも、塗布部14a同士が接合される部分の面積が大きくなることにより、コア線3の位置固定を強固なものにすべく、塗布部14aの面積を非塗布部14bの面積よりも大きくなるようにしている。つまり、塗布部14aの幅(W)が非塗布部14bの幅(W)よりも大きく設定されている。具体的には塗布部14aの長さ(W)を1mm程度、非塗布部14bの長さ(W)を2mm程度としている。
【0014】
ところで、自動車用シールド線としては、コア線、ドレインワイヤを集合撚りし、これをシールドテープで円筒状に被覆したものが用いられている。しかし、フラットケーブルタイプの方が製造工程において束線を省略することができ、さらに端末処理工数を低減できる等の長所があることから、自動車用シールド線についても、オーディオ用や電子機器用頭の民生用シールド線と同様にフラットケーブルタイプに変更することが検討されている。自動車用シールド線をフラットケーブルタイプとすれば、民生用として製造されるフラットケーブルタイプのシールド線を援用することができるので、製造ラインを一本化することができ、製造コストの低減にもなる。
【0015】
しかし、自動車における近年のエレクトロニクス化の発達から自動車用シールド線に対するシールド特性の要求は高く、現在民生用として市販されているフラットケーブルタイプのシールド線では、その要求を満足することができず、援用することができない。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コア線とシールドテープとの密着性を確保しつつ、端末加工における不良の発生原因を少なくして、歩留りを向上できるようなシールドテープ、さらに自動車用にも援用できるような優れたシールド特性を有するフラットケーブルタイプのシールド線用シールドテープ及びフラットケーブルタイプシールド線を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のシールドテープは、シールド層の一側の面にコア線の絶縁被覆材と接着するためのコア用接着剤層が積層され、他側の面に補強用シート層が積層され、該補強用シート層にシースと接着するためのシース用接着剤層が積層されているシールドテープにおいて、前記コア用接着剤層の前記絶縁被覆材に対する接着力が、前記各層間の接着力よりも小さいことを特徴とする。
【0018】
前記コア用接着剤層は、コア用接着剤の塗布部と非塗布部とからなり、前記塗布部に用いられるコア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度が、前記シース用接着剤層に塗布されるシース用接着剤のシースに対する接着強度よりも小さいことが好ましい。さらに、前記シース用接着剤の前記補強用シート層に対する接着強度が、前記コア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度よりも大きいことが好ましい。特に、前記コア用接着剤がポリエチレンテレフタレート系接着剤であり、前記シース用接着剤が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤であることが好ましい。
【0019】
また、前記塗布部及び非塗布部は、該テープの長手方向に交互になるように配列されていて、且つ前記塗布部の幅と前記非塗布部の幅とが等しいことが好ましく、前記塗布部の幅は、1〜2mmであることが好ましい。
【0020】
本発明のシールドテープは、複数のコア線を所定間隔をおいて並列配置したフラットケーブルタイプのシールド線におけるコア線と、前記コア線を一括して被包するシースとの間に介在して用いられるものであることが好ましい。
【0021】
本発明のシールド線は、複数のコア線が所定間隔をおいて並列配置され、これらのコア線を一括して被覆するように貼り付けることによって前記所定間隔を固定するシールドテープが設けられ、該シールドテープの外表面をシースで被覆してなるフラットケーブルタイプのシールド線において、前記シールドテープとして、上記本発明のシールドテープを用いたことを特徴とする。
【0022】
コア用接着剤のSP値(SP)と絶縁被覆材のSP値(SP)との差(|SP−SP|)が、シース用接着剤のSP値(SP)とシースのSP値(SP)との差(|SP−SP|)よりも大きいことが好ましく、特に前記絶縁被覆材及びシースは、ポリ塩化ビニルで構成されていることが好ましい。
【0023】
尚、本明細書において、接着力とは接着剤の塗布面積を考慮した耐剥離強度をいい、接着剤の種類、相手材の種類だけでなく、塗布面積にも依存するものである。接着強度とは、全面に接着剤を塗布した場合の耐剥離強度をいい、接着剤の種類、相手材の種類に依存するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明のシールドテープの一実施形態について、図1に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態のシールドテープは、図1に示すようなフラットケーブルタイプのシールド線に好適に用いられるもので、図2に示す構成において、コア用接着剤層14の絶縁被覆材に対する接着力が、各層間の接着力、すなわちコア用接着剤層14とシールド層11間、シールド層11と補強用シート層12間、補強用シート層12とシース用接着剤層13間の接着力よりも小さいことを特徴とする。
【0026】
すなわち、本発明のシールドテープの基本的構成は、図2(a)に示すように、シールド層11、該シールド層11のシース6側に積層された補強用シート層12、補強用シート層12とシース6を接着するためのシース用接着剤層13、及びシールド層11とコア線3とを接着するためのコア用接着剤層14からなり、コア用接着剤層14は、コア用接着剤を塗布した部分である塗布部14aと塗布していない部分、すなわちシールド層11が露出している部分である非塗布部14bとからなり、塗布部14aと非塗布部14bとが斜め縞状にテープの長手方向に交互に配列されている。
【0027】
シールド層11は、通常、銅やアルミニウム等の導電性の高い金属箔11aと、鉄、スズ等の透磁率の高い金属箔11bとの組み合わせで構成され、補強用シート層12は金属箔で構成されるシールド層11単独では強度面で不十分なために積層されており、通常コスト面及び強度面からポリエステルシートが使用される。
【0028】
コア用接着剤層14の絶縁被覆材に対する接着力が、シールドテープにおける各層間の接着力よりも小さいという条件を満足する限りにおいては、コア用接着剤及びシース用接着剤の種類は特に限定せず、補強用シートの種類、シース材料、コア線の絶縁被覆材の種類に応じて適宜選択できるが、シース用接着剤の補強用シート層12に対する接着強度がコア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度よりも大きい接着剤を選択することが好ましい。
【0029】
ここで、本発明にいう接着力又は接着強度とは、2枚の絶縁被覆材試験片を測定しようとする接着剤で接着し、引張試験機で2枚の試験片を反対方向に引張って剥離したときの引張力である剥離試験を行なった場合に求められる実際の接着力又は接着強度であり、接着力は塗布面積を考慮し、接着強度は全面に接着剤を塗布して測定した値である。
【0030】
具体的な接着剤の選定に際しては、溶解度パラメータ(SP)値を目安にすることができる。つまり、コア用接着剤のSP値(SP)と絶縁被覆材のSP値(SP)との差(|SP−SP|)が、シース用接着剤のSP値(SP)とシースのSP値(SP)との差(|SP−SP|)よりも大きくなるように選択すればよい。例えば、コア線の絶縁被覆材及びシース材をポリ塩化ビニル(SP値は9.55)で構成する場合、シース用接着剤のSP値の方が、コア用接着剤のSP値よりもポリ塩化ビニルのSP値に近くなるように選択すればよい。
【0031】
従って、絶縁被覆材及びシースの材料としてポリ塩化ビニルを用いた場合には、シース用接着剤として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(SP値9.4〜9.55)、ポリ塩化ビニル系接着剤(SP値9.55)、ポリ酢酸ビニル系接着剤(SP値9.4)、ポリメチルメタクリレート(SP値9.4)、ポリエチルアクリレート(SP値9.7)等を使用することができ、これらのうちコスト面等から塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好ましく用いられる。また、コア用接着剤としてポリエチレンテレフタレート系接着剤の他、ポリメタアクリロニトリル系接着剤(SP値10.6)、ポリプロピルアクリレート系接着剤(SP値9.0)、ポリブチルメタクリレート系接着剤(SP値9.0)などを使用することができ、これらのうち、コスト面等からPET系接着剤が好ましく用いられる。
【0032】
さらに、シース用接着剤の補強用シート層12に対する接着強度が、コア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度よりも大きいことが好ましい。従って、補強用シート層12としてPETのシートを用いる場合には、シース用接着剤としては、シース用接着剤のSP値とPETのSP値との差が、コア用接着剤のSP値(SP)と絶縁被覆材のSP値(SP)との差(|SP−SP|)よりも小さくなるように選択することが好ましい。
【0033】
また、コア用接着剤層14における塗布部14aと非塗布部14bとの面積比率は、コア線の位置ずれ、抜けを起こさないようにコア線とシールドテープの密着性を確保できるように、面積比率(塗布部:非塗布部)を、1:2〜2:1の範囲で選択することが好ましい。さらに、自動車用シールド線のように、シールド特性に対する要求が厳しい場合には、図5に示すように、塗布部14aの幅Wと非塗布部14bの幅Wとを等しくすることが好ましい。非塗布部14bの面積が大きい程、非塗布部14bすなわちシールド層11が露出している部分がドレインワイヤと接触する面積が大きくできるので、コア線抜け、コア線の位置ずれを防止する接着力を確保しつつ、電磁ノイズのシールド効果が大きくできるからである。
【0034】
さらに、塗布部14aの幅W(非塗布部14bの幅W)は、1〜2mm、好ましくは1.3〜1.7mm、最も好ましくは約1.5mm程度とする。2mm以上では、テープの長さあたりの塗布部14aの数が少なくなり、接着力の低下をもたらすからである。一方、1mm未満にまで狭くして、塗布部14aの数を増やすことは好ましくない。高温環境や圧着作業時に塗布部14aは溶融して非塗布部14bにまで流れる場合があり、非塗布部の長さWが1mm未満と狭い場合には、隣の非塗布部14bから更に隣接の塗布部14aにまで流れてしまう場合もある。このような場合、非塗布部14bとドレインワイヤとの接触部分の面積が低下することになり、結果として電磁ノイズのシールド特性の低下をもたらすことになるからである。
【0035】
ここで、従来のシールドテープでは、コア用接着剤層14における塗布部14aの長さWと非塗布部14bの幅Wとを等しくすることは、塗布部14aの面積が減少することになり、結果としてコア用接着剤層14の接着力が低下し、コア線の位置ずれ、コア線の抜けなどの問題を引き起こすことになったが、本発明のシールドテープでは、以下のような理由から、このような問題は起こらない。すなわち、コア用接着剤層14の絶縁被覆材に対する接着力がコア用接着剤層14とシールド層11間の接着力よりも小さいということは、シールド線のブリッジ部におけるコア用接着剤の塗布部14a同士の接着力、及び塗布部14aとシールド層11が露出している非塗布部14bとの接着力の方が、コア用接着剤層14とコア線との接着力よりも大きいことを意味し、端末加工時のコア線の位置固定が安定しているからである。また、塗布部14aの幅Wを上記範囲とすることにより、従来のシールドテープと比べて、テープの単位長さあたりの塗布部14aの数が増加することになり、コア線との密着性を確保することができる。
【0036】
尚、本発明のシールドテープにおいて、上記要件を満足する限り、補強用シートの材料、シールド層を構成する金属の種類、及びこれらの積層方法は限定しない。また、補強用シート層12が積層されていないものも本発明のシールドテープの範囲に含まれる。
【0037】
次に、本発明のシールド線について説明する。本発明のシールド線は、上記本発明のシールドテープを用いたフラットケーブルタイプのシールド線で、例えば、図1に示すような構成を有している。
【0038】
本発明のシールド線を用いれば、端末加工時のシース6及びシールドテープ5の剥離工程で、シールドテープ5がシース6とともにコア線3から剥がされることになる。コア用接着剤層14のコア線3に対する接着力が最も弱いからである。一方、ブリッジ部7においては従来通りコア用接着剤層同士が接着一体化されているので、コア線3のぬけや位置ずれを起こさずに済む。つまり、コア線3間のピッチ、コア線3とドレインワイヤ4とのピッチを一定に保持したまま、剥離作業を行なうことができる。
【0039】
従って、本発明のシールドテープを用いた本発明のフラットケーブルタイプのシールド線は、コア線3,3間、コア線3とドレインワイヤ4間のピッチを保持したまま、しかもコア線3の絶縁被覆材2にシールドテープ5を残さない様にシース6及びシールドテープ5を剥離でき、圧接接続方式による自動端末加工における不良品の発生を極めて低くすることができる。
【0040】
尚、本発明のシールド線の構成は図1に示すような構成に限定されない。本発明は、フラットケーブルタイプのシールド線、すなわち複数のコア線が所定間隔をおいて並列配置され、これらのコア線を一括して被覆するように貼り付けることによって前記所定間隔を固定するシールドテープが設けられ、該シールドテープの外表面をシースで被覆してなるシールド線全般に適用できる。例えば、ドレインワイヤとコア線の位置関係は特に限定されず、図6に示すように、コア線3,3の間にドレインワイヤ4を配置させたものでもよい。図6の説明は、図1と同符号を付すことにより省略する。
【0041】
また、シールドテープをアースできる機構を備えていれば、ドレインワイヤをコア線と並列配置していないフラットケーブルタイプのシールド線であってもよい。さらに、シールド線におけるコア線の数は2条に限らず、コア線が3条以上ある複数条のフラットケーブルタイプのシールド線であってもよい。
【0042】
さらにまた、本発明のシールドテープは、フラットケーブルタイプのシールド線においてその機能が有効に発揮されるが、他のタイプのシールド線に適用することを排除するものではない。
【0043】
【実施例】
〔シールドテープ及びフラットケーブルタイプのシールド線の作製〕
図5に示す構成を有するシールドテープにおいて、コア用接着剤としてポリエチレンテレフタレート系接着剤、シース用接着剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤を使用した。コア用接着剤層における塗布部と非塗布部の幅は1.5mmで等しくした(W=W=1.5mm)。さらにPETシートを補強用シート層12として、これにPET系接着剤で銅箔を貼り付け、さらに銅箔にスズを蒸着して銅層及びスズ層の組み合せからなるシールド層11とした。
【0044】
以上のような構成を有するシールドテープを用いて、図1に示すようなフラットケーブルタイプのシールド線を作製した。絶縁被覆材2及びシースは、ポリ塩化ビニルで構成した。
【0045】
〔接着力、接着強度に関する測定、考察〕
シース用接着剤及びコア用接着剤夫々について、ポリ塩化ビニルに対する接着強度を測定した。測定は、2枚のポリ塩化ビニル試験片を各接着剤で接着し、引張試験機で逆方向に引張って、剥離したときの引張力を測定することにより行なった。シース用接着剤(塩ビ−酢ビ共重合体系接着剤)のポリ塩化ビニルに対する接着強度は約170gであり、コア用接着剤(PET系接着剤)のポリ塩化ビニルに対する接着強度は約120gであった。
【0046】
また、ポリエチレンテレフタレート系接着剤のSP値は10.6、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のSP値は、共重合体における各モノマーの含有量比率により異なるが、9.4〜9.55の範囲、ポリ塩化ビニルのSP値は9.55である。従って、各SP値の関係は以下のようになり、本発明の要件を満足している。
【0047】
・コア用接着剤のSP値(SP)と絶縁被覆材のSP値(SP)との差
|SP−SP|=1.05〜1.2
・シース用接着剤のSP値(SP)とシースのSP値(SP)との差
|SP−SP|=0〜0.15
・補強用シートのSP値(SP)とシース用接着剤のSP値(SP)の差
|SP−SP|=1.05〜1.2
【0048】
ここで、補強用シート及びコア用接着剤は、いすれもPET系で構成されているため、コア用接着剤のSP値と絶縁被覆材のSP値との差(|SP−SP|)は、補強用シートのSP値とシース用接着剤のSP値の差と(|SP−SP|)と等しくなる。しかし、コア用接着剤の塗布面積が40〜50%であるのに対し、シース用接着剤は補強用シート層の全面に塗布されているので、シース用接着剤と補強用シート間の接着力の方が、コア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着力よりも大きくなる。従って、コア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着力がシールドテープ内の各層間の接着力よりも小さいという本発明の要件を満足している。
【0049】
〔端末加工〕
作製したシールド線を自動的にで圧接方式で端末加工すると、シールドテープはシースとともに剥離され、シールドテープが残るというような不良品は発生しなかった。
【0050】
〔シールド特性について〕
上記で作成したシールドフラットケーブルの電磁ノイズに対するシールド特性を図7に示すような吸収クランプ法により測定した。
【0051】
図7に示すような測定装置において、上記で作成したシールドフラットケーブルの両端をBNGコネクタに接続した。かかる状態でシールドフラットケーブルのコア電線に電流を流し、コア電線から輻射される電磁ノイズを吸収クランプで検知し、スペクトラムアナライザで分析して、コア線単独のときの電磁ノイズに対するゲインを測定したところ、−45dBで、自動車用シールド線として、実用化できるものであった。
【0052】
参考のために、塗布部の幅を1mm、非塗布部の幅を2mmとしたシールドテープを用いて同様に作成したシールドフラットケーブルについても、図7の装置を用いて、シールド特性を測定した。−35dBであった。自動車用電線としては、−40dB以上のシールド特性が必要であるから、これを自動車用電線としては使用できない。
【0053】
【発明の効果】
本発明のシールドテープは、コア線の抜け、位置ずれが起こらないようにコア線に対する密着性を確保しつつ、コア線の外周にシールドテープが残らないように、シールドテープを剥がして端末加工できる。
【0054】
従って、本発明のシールドテープを用いたフラットケーブルタイプのシールド線であれば、圧接接続方式を用いた自動端末加工における不良品の発生を従来よりも少なくできる。
【0055】
さらに、コア用接着剤層における接着剤の塗布部の幅と非塗布部の幅を等しくしたシールドテープを用いることにより、優れた電磁ノイズのシールド特性を有し、自動車用電線にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシールドテープが適用されるフラットケーブルタイプのシールド線の一実施態様の構成を示す断面図である。
【図2】シールドテープの構成を説明するための図で、(a)は断面図、(b)は下面図である。
【図3】端末加工を説明するための図である。
【図4】端末加工を説明するための図である。
【図5】シールドテープの他の実施形態の構成を示す図で、(a)は断面図、(b)は下面図である。
【図6】本発明のシールドテープが適用されるフラットケーブルタイプのシールド線の他の実施形態の構成を示す断面図である。
【図7】シールド線のシールド特性の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 導線
2 絶縁被覆材
3 コア線
4 ドレインワイヤ
5 シールドテープ
6 シース
11 シールド層
12 補強用シート層
13 シース用接着剤層
14 コア用接着剤層
14a 塗布部
14b 非塗布部

Claims (10)

  1. シールド層の一側の面にコア線の絶縁被覆材と接着するためのコア用接着剤層が積層され、他側の面に補強用シート層が積層され、
    該補強用シート層にシースと接着するためのシース用接着剤層が積層されているシールドテープにおいて、
    前記コア用接着剤層の前記絶縁被覆材に対する接着力が、前記各層間の接着力よりも小さいことを特徴とするシールドテープ。
  2. 前記コア用接着剤層は、コア用接着剤の塗布部と非塗布部とからなり、
    前記塗布部に用いられるコア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度が、前記シース用接着剤層に塗布されるシース用接着剤のシースに対する接着強度よりも小さい請求項1に記載のシールドテープ。
  3. 前記シース用接着剤の前記補強用シート層に対する接着強度が、前記コア用接着剤の絶縁被覆材に対する接着強度よりも大きい請求項1又は2に記載のシールドテープ。
  4. 前記コア用接着剤がポリエチレンテレフタレート系接着剤であり、前記シース用接着剤が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤である請求項2または3に記載のシールドテープ。
  5. 前記塗布部及び非塗布部は、該テープの長手方向に交互になるように配列されていて、
    且つ前記塗布部の幅と前記非塗布部の幅とが等しい請求項2〜4のいずれか1項に記載のシールドテープ。
  6. 前記塗布部の幅は、1〜2mmである請求項5に記載のシールドテープ。
  7. 複数のコア線を所定間隔をおいて並列配置したフラットケーブルタイプのシールド線におけるコア線と、前記コア線を一括して被包するシースとの間に介在して用いられるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載のシールドテープ。
  8. 複数のコア線が所定間隔をおいて並列配置され、
    これらのコア線を一括して被覆するように貼り付けることによって前記所定間隔を固定するシールドテープが設けられ、
    該シールドテープの外表面をシースで被覆してなるフラットケーブルタイプのシールド線において、
    前記シールドテープとして、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシールドテープを用いたことを特徴とするシールド線。
  9. コア用接着剤のSP値(SP)と絶縁被覆材のSP値(SP)との差(|SP−SP|)が、
    シース用接着剤のSP値(SP)とシースのSP値(SP)との差(|SP−SP|)よりも大きい請求項8に記載のシールド線。
  10. 前記絶縁被覆材及びシースは、ポリ塩化ビニルで構成されている請求項9に記載のシールド線。
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