JPH11353952A - 電線のシールド外装構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤハーネスの所要区間に簡単にシールド
を施せるようにする。 【解決手段】 金属箔１３を貼付した絶縁樹脂シート１
２からなるシールド外装材１１が、電線群の長さ方向の
所要区間において、上記金属箔が電線群に接する面とな
るようにすし巻き状に巻き付けられており、該巻き付け
状態において、内周側のシールド外装材の絶縁樹脂シー
トと外周側の金属箔の間にドレイン線２０が粘着挟持さ
れた状態で配線され、上記金属箔がドレイン線を介して
接地される構成としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電線のシールド外装
構造に関し、詳しくは、金属材を外装材として被覆した
シールド電線を用いずに、シールドを施したい箇所の電
線群にシールド外装材を取り付けられるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車等において配索されるワイ
ヤハーネスでは、外部からのノイズに対してシールドを
施す必要がある場合、図５に示すシールド電線１が用い
られている。該シールド電線１は、金属箔３を内面に接
着した絶縁樹脂材のシース４で電線ｗ１、ｗ２‥を被覆
した構造となっている。

【０００３】上記シールド電線１は所定の長さに調尺・
切断し、さらに、図６に示すように、シース４を金属箔
３と共に電線端末から所要寸法あけた位置まで切除し、
電線ｗ１、ｗ２‥をシース４より延在させ、これら電線
ｗ１、ｗ２の端末に端子金具Ｔを圧着接続して使用され
る。

【０００４】また、金属箔３の接地に関しては、電線ｗ
１、ｗ２‥と共に絶縁被覆を施していない銅線からなる
ドレイン線６を電線ｗ１、ｗ２‥と共にシース４で被覆
しておき、ドレイン線６をシース４の内面側の金属箔３
と接触させると共に、シース４の先端より延在したドレ
イン線６を撚り直して、その先端にアース端子７に圧着
接続し、該アース端子７を自動車のボデーに固着して接
地を図っている。

【０００５】また、上記シールド電線１に代えて、実開
平６−２８９４１号で図７（Ａ）（Ｂ）に示すシールド
外装材５を用いてシールドを図る方法が提案されてい
る。該シールド外装材５は、環状に巻かれた外側絶縁体
８ａと内側絶縁体８ｂの間に導電性ホットメルト９およ
び金属箔３’を介在させ、かつ、外側絶縁体８ａ側に金
属箔３’と接触させた状態でドレイン線６が予め埋設さ
れている。該シールド外装材５は電線群に巻き付け、対
向配置する導電性ホットメルト９を溶融させることによ
り、シールド外装材５を分割端を結合して環状としてい
る。

【０００６】上記シールド外装材５の内部に埋設された
ドレイン線６の接地に関しては記載されていないが、該
構成とした場合、電線群に巻き付ける前に、ドレイン線
６に、アース端子を端末に接続した電線をスプライス接
続し、このスプライスした電線端末のアース端子７を自
動車のボデーに固定されることとなる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】前記図５及び図６に示
すシールド電線１は、電線１の長さ方向の全体にわたっ
てシールドが施されているが、例えば、ノイズを受け易
い領域を通過する部分のみシールドを施したい場合に
は、電線の長さ方向の全体にシールドを施す必要はな
い。即ち、過剰に無駄なシールドが施されていることと
なり、このシールド電線は高価であるため、特に、コス
トの点から問題となる。

【０００８】後記図７に示すシールド外装材５を用いる
場合は、ノイズを受け易い領域の電線群にシールド外装
材５を巻き付けて、必要箇所のみシールドを図ることが
できる利点がある。しかしながら、金属箔３の接地に関
しては、該金属箔３と予め接触させて付設したドレイン
線に、アース端子を接続した電線をスプライス接続する
工程が必要となり、作業手数がかかると共にコスト高に
なる問題がある。

【０００９】さらに、シールド外装材５の径が略規定さ
れるため、電線群の外径と大きく相違する場合には使用
できず、汎用性がなく、かつ、シールド外装材５を電線
群に巻き付けた後に導電性ホットメルトを溶融するため
に加熱する必要があり、手数がかかると共に、該シール
ド外装材５を巻き付ける電線群に悪影響を及ぼす恐れも
ある。

【００１０】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
ので、ノイズ対策が必要な箇所のみにシールドを施すこ
とができるシールド外装材を用いると共に、該シールド
外装材を用いた場合に発生する金属箔の接地について、
容易かつ確実に金属箔の接地が出来るようにすることを
課題としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、金属箔を貼付した絶縁樹脂シートからなる
シールド外装材が、電線群の長さ方向の所要区間におい
て、上記金属箔が電線群に接する面となるようにすし巻
き状に巻き付けられており、該巻き付け状態において、
内周側のシールド外装材の絶縁樹脂シートと外周側の金
属箔の間に、ドレイン線が粘着挟持された状態で配線さ
れ、上記金属箔がドレイン線を介して接地される構成と
していることを特徴とする電線のシールド外装構造を提
供している。上記ドレイン線の先端にはアース端子が接
続され、該アース端子を車体に固定して接地している。

【００１２】上記シールド外装材は、電線群に巻き付け
状態で、電線の長さ方向に３０〜６０ｃｍ、好ましくは
約４０ｃｍの長さとしている。該シールド外装材は塩化
ビニル等からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート
の一面全体に金属箔を接着固定しており、その長手方向
の一端の両面に当たる上記金属箔の上面と他面側の絶縁
樹脂シートの下面とに所要幅で粘着層を設け、これら各
粘着層の表面に剥離紙を貼付しており、使用時に剥離紙
を剥がすようにしている。該シールド外装材を、電線群
をシールドしてノイズ対策を施した所要区間に巻き付け
て、上記した電線群のシールド外装構造を形成してい
る。

【００１３】具体的には、シールド外装材の粘着層を設
けた一端より電線群に巻き始め、金属箔を電線群に接す
る内面側として、該金属箔の表面の粘着層を電線群の外
周面に粘着固定する。この状態で、外面側に位置する絶
縁樹脂シートの粘着層に、予め先端にアース端子を接続
している裸線のドレイン線を配置して、該ドレイン線を
粘着固定する。ついで、シールド外装材を電線群にすし
巻き状に巻き付けていき、巻き始め部分の外周面にも巻
き付ける。この時、内面側に金属箔が位置しているた
め、絶縁樹脂シートの外面側に粘着固定されたドレイン
線を金属箔が接触して挟持した状態で絶縁樹脂シート外
面の粘着層に金属箔が粘着固定される。

【００１４】シールド外装材の電線群への取付は上記に
限定されず、電線群へ巻き付ける前に、絶縁樹脂シート
の粘着層に予めドレイン線を粘着固定しておき、この状
態で電線群に巻き付けて、金属箔と絶縁樹脂シートとの
間に挟持固定してもよい。

【００１５】上記のように、シールド外装材を電線群に
巻き付けて取り付けると、シールドを施したい区間のみ
シールドを施すことができる。また、シールド外装材の
金属箔の接地のためのドレイン線は、絶縁樹脂シートと
金属箔との間で粘着固定され、金属箔との接触信頼性を
確保した状態で容易に取り付けることができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。

【００１７】図１（Ａ）（Ｂ）に示すように、多数の電
線群ＷからなるワイヤハーネスＷ／Ｈの所要区間にシー
ルド外装材１１を巻き付けてシールドを施している。該
シールド外装材１１は図２に示すように、塩化ビニル等
からなる可撓性を有する薄肉の絶縁樹脂シート１２の一
面全体に銅箔等からなる金属箔１３を接着固定して金属
箔層を設けている。該シールド外装材１１の長さは、作
業員がしわ等の発生させずに巻き付けることできる長さ
の約４０ｃｍとしている。

【００１８】上記シールド外装材１１の長さ方向の一端
両面、即ち、図２中で、金属箔１３の上面と絶縁樹脂シ
ート１２の下面に所要幅で粘着層１４、１５を設け、使
用前には、各粘着層１４、１５の表面に剥離紙１６、１
７を貼付している。

【００１９】上記シールド外装材１１は、ワイヤハーネ
スＷ／Ｈに対してシールドしたい所要区間に図３に示す
ように巻き付けている。

【００２０】即ち、図３（Ａ）に示すように、ワイヤハ
ーネスＷ／Ｈの電線群Ｗはテープ２２で予め荒巻きされ
ており、かつ、ワイヤハーネスＷ／Ｈを構成する各電線
ｗの端末には予め端子（図示せず）が接続され、これら
端子はコネクタＣに挿入係止され、ワイヤハーネスＷ／
Ｈの端末はコネクタＣと接続されている。

【００２１】上記したワイヤハーネスの電線群Ｗに対し
て、図３（Ｂ）に示すように、シールド外装材１１の粘
着層１４、１５を設けた一端より電線群Ｗに巻き始め
る。この時、金属箔１３を電線群Ｗに接する内面側とし
て、金属箔１３側の粘着層１４を電線群Ｗの外周面に粘
着固定する。この時、シールドを施したい区間がシール
ド外装材１１の長さよりも長い場合には、複数枚のシー
ルド外装材１１を長さ方向に連続させて巻き付ける。

【００２２】この状態で、図３（Ｂ）に示すように、外
周側に位置する絶縁樹脂シート１２の粘着層１５（図
中、クロス斜線で示す）の幅方向の中央部に、予め先端
にアース端子２１を接続している裸線のドレイン線２０
を配置して、該ドレイン線２０を絶縁樹脂シート１２の
外周面に粘着固定する。この時、ドレイン線２０はシー
ルド外装材１１の全長にわたって固定すると共に、アー
ス端子２１を端末に接続した部分２０ａをシールド外装
材１１より所要寸法延在させ、アース端子２１が自動車
ボデーの所定の固定位置まで達するようにしている。

【００２３】ドレイン線２０を取り付けた後、シールド
外装材１１を電線群Ｗにすし巻き状に巻き付けていき、
ドレイン線２０を粘着固定した巻き始め部分の外周面に
も巻き付ける。この時、シールド外装材１１の内面側に
金属箔１３が位置しているため、絶縁樹脂シート１２の
外周側の粘着層１５に粘着固定されたドレイン線２０が
外周側に巻き付けられてくる金属箔１３と接触する。か
つ、金属箔１３は粘着層１５に粘着固定されることとな
る。よって、ドレイン線２０を挟んで巻き始め側の内周
の絶縁樹脂シート１２と巻き終わり側の外周の金属箔１
３とが粘着固定され、図３（Ｄ）に示すように、電線群
Ｗの外周にシールド外装材１１が巻き付けられられる。

【００２４】上記シールド外装材１１の金属箔１３と接
触させたドレイン線２０は、ワイヤハーネスＷ／Ｈを自
動車に搭載した時、端末のアース端子２１を自動車のボ
デーの所要箇所に固定して、金属箔１３の接地が図られ
る。

【００２５】なお、シールド外装材１１のワイヤハーネ
スＷ／Ｈへの取付は上記実施形態に限定されず、図４
（Ａ）に示すように、ワイヤハーネスへ巻き付ける前
に、絶縁樹脂シート１２の粘着層１５にドレイン線２０
を粘着固定しておき、この状態で電線群に巻き付けて、
金属箔と絶縁樹脂シートとの間に挟持固定してもよい。
また、図４（Ｂ）に示すように、シールド外装材１１を
形成する時に絶縁樹脂シート１２の粘着層１５の表面に
ドレイン線２０を粘着固定した状態で剥離紙１７を貼付
して形成しておいてもよい。この場合、シールド外装材
１１の使用時に剥離紙１７を剥がして、ワイヤハーネス
の所要区間に巻き付けれるだけでよくなる。

【００２６】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、ワイヤハーネスのシールドを施したい区間の
みシールド外装材を巻き付けるだけでよいため、シール
ド電線を使用する場合と比較してコストを大幅に低下さ
せることができ、かつ、巻き付けるワイヤハーネスの外
径が相違しても使用でき、汎用性を有する。

【００２７】また、シールド外装材の金属箔の接地用の
ドレイン線は、ワイヤハーネスに巻き付けるシールド外
装材の間に粘着挟持して固定し、外周側のシールド外装
材の金属箔と接触させるため、金属箔とドレイン線の接
触信頼性を確保できると共に、金属箔とドレイン線との
接続を極めて容易にできる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施形態を示し、（Ａ）は正面図、
（Ｂ）は（Ａ）のＢ−Ｂ線の拡大断面図である。

【図２】 実施形態で用いるシールド外装材の斜視図で
ある。

【図３】 （Ａ）乃至（Ｄ）はシールド外装材のワイヤ
ハーネスへの取付工程を示す正面図である。

【図４】 （Ａ）（Ｂ）は夫々変形例を示す斜視図であ
る。

【図５】 従来のシールド電線を示す断面図である。

【図６】 図５の正面図である。

【図７】 （Ａ）（Ｂ）は他の従来例を示す図面であ
る。

【符号の説明】

１１ シールド外装材 １２ 絶縁樹脂シート １３ 金属箔 １４、１５ 粘着層 ２０ ドレイン線 ２１ アース端子 Ｗ／Ｈ ワイヤハーネス Ｗ 電線群

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属箔を貼付した絶縁樹脂シートからな
   るシールド外装材が、電線群の長さ方向の所要区間にお
   いて、上記金属箔が電線群に接する面となるようにすし
   巻き状に巻き付けられており、該巻き付け状態におい
   て、内周側のシールド外装材の絶縁樹脂シートと外周側
   の金属箔の間に、ドレイン線が粘着挟持された状態で配
   線され、上記金属箔がドレイン線を介して接地される構
   成としていることを特徴とする電線のシールド外装構
   造。
2. 【請求項２】 上記シールド外装材は、可撓性を有する
   薄肉の絶縁樹脂シートの一面全体に金属箔を接着固定し
   ており、その長手方向の一端の両面に当たる上記金属箔
   の上面と他面側の絶縁樹脂シートの下面とに所要幅で粘
   着層を備え、該シールド外装材を電線群に巻き付けた状
   態で、絶縁樹脂シートの外周側の粘着層に上記ドレイン
   線が粘着固定され、その外周側に金属箔を内周側として
   ドレイン線を接触挟持した状態でシールド外装材が巻き
   付けられている請求項１に記載の電線のシールド外装構
   造。