JP2013063765A - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤは、タイヤ断面幅SWと、タイヤ外径ODとの関係を適切化してなるものである。また、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法は、上記の乗用車用空気入りラジアルタイヤを、一定以上の内圧で使用するものである。
【選択図】図8
Description
その結果、まず、ラジアルタイヤの燃費性及び居住性を向上させるためには、タイヤの狭幅化及び大径化、すなわち、タイヤの断面幅SWと外径ODとの関係を適切に規制することが極めて有効であることを見出した。
(1)一対のビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、該ビードコアのタイヤ径方向外側に配設したビードフィラとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向断面積S1は、前記ビードコアのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上4倍以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向断面積S1は、前記ビードコアのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上4倍以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
0.1≦BFW/BDW≦0.5
を満たす、上記(1)又は(2)に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
0.1≦BFH/SH≦0.25
を満たす、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記ビードコアのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbは、15%以上40%以下である、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記ビードコアのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbは、15%以上40%以下である、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcが5以上10以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcが5以上10以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
図1(a)は、タイヤクラウン部がタイヤの荷重時において撓む様子を示している。このクラウン部の撓みにより、図1(a)に平行四辺形で模式的に示すように、トレッドゴムがタイヤ周方向にせん断変形し、この変形がタイヤ転動時において繰り返されてエネルギー損失の原因となって転がり抵抗が増大する。
そこで、まず、転がり抵抗値を低減するためには、タイヤ接地時の撓み量を低減することが重要となる。
(式1)δ1=(OD/2)×(1−cosθ)
(式2)θ≒tan−1{(L/2)/(OD/2)}≒L/OD
また、図2は、様々なタイヤサイズの従来タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷したときのタイヤ外径ODと撓み量δ1との関係を示す図である。
ここで、従来タイヤにおいて、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyreand Rim Technical Organisation)STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムをいうものとする。また、「規定内圧」とは、上記のJATMAYEAR BOOK(日本自動車タイヤ協会規格)等に定められたラジアルプライタイヤのサイズに対応する適用リム及び空気圧−負荷能力対応表に基づくものである。また、「最大負荷荷重」とは、上記所定の産業規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことである。
すなわち、タイヤの転がり抵抗を、トレッドゴムのタイヤ周方向せん断変形を抑制する観点から低減するには、タイヤの大径化が有効である。
(式3)T=(OD/2)×P
ベルト張力が増大すると、タイヤのリング剛性(タイヤのリング形状を維持するための剛性)が増大するため、図3(a)(b)に示すように、タイヤのリング形状を維持して、そのリング全体が偏心移動する変形(偏芯変形)が助長される。これにより、トレッドゴムの変形が抑制されて、タイヤの転がり抵抗値が低減する。
すなわち、タイヤの大径化は、タイヤのリング変形を抑制する観点からも、タイヤの転がり抵抗値の低減に有効である。
すなわち、タイヤ接地時において、クラウン部が撓むことにより、図4(a)に平行四辺形で模式的に示すように、トレッドゴムはタイヤ幅方向にせん断変形し、この変形がタイヤ転動時において繰り返されてエネルギー損失の原因となり、転がり抵抗が増大する。
また、無負荷状態において、幅方向断面にて3点E1、E2、Fを含む曲線を円弧と近似した場合の点E1、E2におけるクラウン半径をCR(mm)とし、そのときの円の中心をOとする。このとき、幅方向断面において、線分OE1がタイヤ赤道面に対してなす角度をγ(°)とする。
さらに、上記タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷の荷重による撓み量(幅方向接地端が径方向に撓む量)をδ2(mm)、とするとき、幾何学的にδ2を以下の2つの式で近似的に表すことができる。
(式4)δ2=CR×(1−cosγ)
(式5)γ≒tan−1{(W/2)/CR}≒W/2CR
また、図5は、様々なタイヤサイズの従来タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと撓み量δ2との関係を示す図である。
上記式4、式5、及び図5に示すように、接地幅Wを低減することにより、撓み量δ2を低減することができることがわかる。すなわち、タイヤの転がり抵抗を、トレッドゴムのタイヤ幅方向せん断変形を抑制する観点から低減するには、タイヤの狭幅化が有効である。
また、タイヤの狭幅化は、タイヤ重量の軽量化にも有効である。
以上により、まず、大径化と狭幅化とを適切に規制することによりタイヤ重量を低減しつつも、タイヤの転がり抵抗値を低減させ得ることがわかった。
(式6)Lo≒W×L×P
すると、上記の式1、式2に従うと、接地長Lの増大により撓み量δ1が増大することによって、トレッドゴムのタイヤ周方向のせん断変形が増大してしまうことが新たに判明した。
すなわち、上記式6の関係により、接地幅を低減させても、タイヤを高内圧のもとに使用することにより接地長を低減させずに、負荷荷重を支えることができる。
図7(a)は、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを適用リムに装着し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと撓み量δ1との関係を示す図である。また、図7(b)は、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを適用リムに装着し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと接地面積との関係を示す図である。
図7(a)に示すように、タイヤを規定内圧を充填して使用する場合には、接地幅が低減することにより、撓み量δ1が増大する。このため、トレッドゴムの周方向せん断変形の抑制効果が減少する。また、図7(b)に示すように、接地幅を減少させても接地面積は、ほぼ一定であり、接地長が増大していることがわかる。
これに対し、タイヤを高内圧化して使用することにより、図7(a)に示すように、接地幅を低減しても撓み量の増大を抑制し、図7(b)に示すように、接地幅を低減させることにより、接地面積を減少させることができる。
これにより、タイヤ接地時のトレッドゴムの周方向及び幅方向のせん断変形を抑制してタイヤの転がり抵抗値を低減することができる。
まず、評価基準となるタイヤとして、最も汎用的な車両で使用され、タイヤ性能の比較に適している、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを基準タイヤ1として用意した。
また、様々なタイヤサイズのタイヤを用意し、タイヤのビード幅に対応した幅のリムに組み込み、内圧を220kPaとした場合と高内圧化した場合とで、以下の試験を行った。
表1に各タイヤの諸元を示す。タイヤの内部構造等、表1に示さないタイヤの諸元については、一般的なタイヤと同様であり、各タイヤは、一対のビード部間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカスを備える。
なお、タイヤサイズに関しては、JATMA(日本のタイヤ規格)、TRA(アメリカのタイヤ規格)、ETRTO(欧州のタイヤ規格)等の従来の規格に捉われずに、これらの規格外のタイヤサイズも含めて、幅広く検討した。
特に、スポーティー仕様を想定したタイヤとして、タイヤの断面幅SWが175(mm)以上の供試タイヤ27〜33も試作した。
ここで、供試タイヤ27〜33の比較対象は、タイヤサイズ195/65R15のタイヤ(基準タイヤ1)のインチアップとなるタイヤサイズ225/45R17のタイヤ(基準タイヤ2)である。
上記各タイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、基準タイヤ1を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
<タイヤ重量>
タイヤ重量は、各タイヤの重量を計測し、基準タイヤ1の質量を100として指数で表示した(数値が低いほど軽い)。
以下、評価結果を表2、3に示し、それに基づき、さらに図10〜13に示している。
評価結果を表4及び図9に示す。
なお、内圧については、350kPa以下とすることが好ましい。
図14(a)(b)は、供試タイヤおよび従来タイヤについて、断面幅SW(mm)と外径OD(mm)との関係を示す図である。
図14(a)に示すように、断面幅SWが165(mm)未満である場合には、供試タイヤは、比SW/ODが0.26以下である。すなわち、内圧を250kPa以上とした際に、比SW/ODが0.26以下であるタイヤは、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができることがわかる。
また、図14(a)に示すように、断面幅SWが165(mm)以上である場合には、供試タイヤは、断面幅SWおよび外径ODが、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たしている。すなわち、断面幅SWが165(mm)以上である場合には、内圧を250kPa以上とした際に、上記関係式を満たすタイヤは、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができることがわかる。
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たすタイヤについて、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができることがわかった。
さらに、表2及び図12(a)に示すように、内圧が220kPaの場合は、接地幅を減少させることにより、接地長が増大し、撓み量δ1も増大するのに対し、表2、図12(b)に示すように、タイヤを高内圧化することにより、接地長の増大を抑制し、従って、撓み量δ1を低減することができることがわかる。
従って、表3、図13に示すように、タイヤの断面幅SWおよび外径ODについて、SW/OD≦0.26(SW<165(mm))を満たすサイズを有するタイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際、接地幅が150mm以下であるようにタイヤを使用することにより、タイヤの転がり抵抗値の低減とタイヤ重量の低減とを両立させることができることがわかる。また、OD≧2.135×SW+282.3(SW≧165(mm))を満たすサイズを有するタイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際、接地幅が175mm以下であるようにタイヤを使用することにより、タイヤの転がり抵抗値の低減とタイヤ重量の低減とを両立させることができることがわかる。
あるいは、OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380を満たすサイズを有するタイヤをタイヤのビード幅に対応した幅のリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷した際、接地幅が175mm以下であるようにタイヤを使用することにより、タイヤの転がり抵抗値の低減とタイヤ重量の低減とを両立させることができることがわかる。なお、図13においては、接地幅が150mmの場合をINDEXで100として示しており、数値が小さい方が接地幅が短いことを示している。
また、接地幅はタイヤ軸力を確保して車両の安定性や安全性を高める観点からは、90mm以上であることが好ましい。
このとき接地長は90〜140mmであることが好ましい。
なお、タイヤ軸力を確保して車両の安定性や安全性を高める観点からは、上記接地面積は、10000mm2以上とすることが好ましい。
各タイヤの諸元及び評価結果を表5、図15に示している。
SW/OD≦0.26(SW<165(mm))、かつ、
OD≧2.135×SW+282.3(SW≧165(mm))
(以下、関係式Aと称することもある)を満たし、
あるいは、境界線を二次式で見た場合には、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
(以下、関係式Bと称することもある)を満たすサイズを有するタイヤを使用することにより、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量を低減できることがわかる。
また、上記関係式A、あるいは、関係式Bを満たすサイズを有するタイヤを内圧270kPa以上で使用することにより、転がり抵抗値を大きく低減させることができ、内圧320kPa以上で使用することにより、さらに転がり抵抗値を大幅に低減させることができることがわかる。
まず、カーカスは、少なくとも一枚のカーカスプライの端部が、タイヤ最大幅部より径方向外側に位置するハイターンアップ構造とすることが好ましく、径方向においてカーカスとベルトとの間に位置するいわゆるエンベロープ構造のものとすることがより望ましい。
また、ベルトは、高剛性のものを用いるのが好ましく、具体的には、ベルトコードのヤング率が45000MPa以上のものであることが好ましい。
カーカス構造やベルト剛性を適切化して、高内圧でも使用可能なタイヤの強度を確保するためである。
さらに、タイヤのインナーライナーは、厚さが0.6mm以上であることが好ましい。高内圧状態での空気漏れを抑制することができるからである。
そこで、次に、上述した狭幅・大径・高内圧の乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいて、乗り心地性を向上させるためのタイヤの構造について説明する。
図16では、タイヤ赤道面CLを境界とする幅方向半部のみを示している。
なお、このタイヤは、上記関係式A又は関係式Bを満たすサイズのものとする。
図16に示すように、本実施形態のタイヤは、タイヤの一対のビード部1に埋設されたビードコア1aにトロイダル状に跨るラジアル配列のコードのプライからなるカーカス2の径方向外側に、図示例で2層のベルト層3a、3bからなるベルト3と、ビードコア1aの径方向外側に配設されたビードフィラ4とを備えている。
ここで、ビードフィラ4は、JIS K6251(2010年12月20日改正)に準拠した、室温下での100%モジュラスが、例えば、24〜31(MPa)の高剛性部材である。
なお、カーカスをタイヤ幅方向内側及び外側から挾持する、挟み込みビードコア構造である場合には、当該カーカスの幅方向内側及び外側のビードコアの合計体積をS2とする。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
特に、上記関係式A又は関係式Bを満たす、狭幅・大径タイヤにおいては、ベルトの張力剛性が高く、タイヤサイド部の張力剛性がベルト対比で低くなるため、上記のようにビードフィラの断面積S1を所定の範囲とすることによる縦バネ係数の低減効果が非常に高くなる。
ここで、ビードフィラ4のタイヤ幅方向断面積S1を、ビードコア1aのタイヤ幅方向断面積S2の4倍超とすると、高剛性部材であるビードフィラの体積が大きくなり、タイヤの縦バネ係数が十分に低減されず、乗り心地性が低下してしまう。
一方で、ビードフィラ4のタイヤ幅方向断面積S1を、ビードコア1aのタイヤ幅方向断面積S2の1倍未満とすると、ビード部の剛性が著しく低下し、横バネ係数が減少しすぎて、操縦安定性を確保することができなくなるからである。
0.1≦BFW/BDW≦0.5
を満たすことが好ましい。
なぜなら、比BFW/BDWを0.5以下とすることにより、ビードフィラ高さを維持しつつもビードフィラの体積を減少させることにより、タイヤ回転方向に対する剛性を確保しつつも、縦バネ係数を低減させて、乗り心地性を向上させ、また、タイヤを軽量化することができるからである。
一方で、比BFW/BDWを0.1以上とすることにより、ビード部の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができるからである。
0.1≦BFH/SH≦0.25
を満たすことが好ましい。
上記比BFH/SHを0.25以下とすることにより、高剛性部材であるビードフィラの径方向高さを小さくして、タイヤの縦バネ係数を効果的に低減し、乗り心地性を向上させることができるからである。
一方で、上記比BFH/SHを0.1以上とすることにより、ビード部の剛性を確保して、横バネ係数を維持し、操縦安定性をより確保することができるからである。
具体的には、ビードフィラのタイヤ径方向の高さBFHは、10mm以上45mm以下とすることが好ましい。
ここで、タイヤセクションハイトSHとは、タイヤをリムに組み込み、タイヤを装着する車両毎に規定される内圧を充填したときの無負荷状態でのタイヤの外径とリム径との差の1/2をいうものとする。
図17では、タイヤ赤道面CLを境界とする幅方向半部のみを示している。
なお、このタイヤは、上記関係式A又は関係式Bを満たすサイズのものとする。
図17に示すように、本実施形態のタイヤは、タイヤの一対のビード部1に埋設したビードコア1aにトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカス2の径方向外側に、図示例で2層のベルト層3a、3bからなるベルト3を備えている。
また、本実施形態のタイヤは、ビート部1に連なるサイドウォール部5を備えている。
図示例では、カーカス2は、カーカス本体部2aと、折り返し部2bとからなる。
さらに、図示例では、ビードコア1aのタイヤ径方向外側にはビードフィラ4が配設されている。
ここで、本実施形態にあっては、図17、図18(a)(b)に示すように、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部5のゲージTsと、ビードコア1aのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbは、15%以上40%以下である。
なお、「タイヤ最大幅部」とは、リムにタイヤを組み込み、無負荷状態としたときの、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置をいうものとする。
ゲージTsはゴム、補強部材、インナーライナーなどすべての部材の厚みの合計となる。
またビードコアがカーカスによって複数の小ビードコアに分割されている構造の場合には、全小ビードコアのうち幅方向最内側端部と最外側端部の距離をTbとすればよい。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
すなわち、上記比Ts/Tbが40%超であると、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部5のゲージが大きくなり、サイドウォール部5の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなってしまう。一方で、上記比Ts/Tbが15%未満であると、横バネ係数が低下し過ぎて、操縦安定性が確保できなくなるからである。
1.5mm以上とすることにより、タイヤ最大幅部における剛性を適度に保って、横バネ係数の低下を抑え、操縦安定性をより確保することができるからである。
一方で、縦バネ係数を有効に低減させて、乗り心地性をより向上させるためには、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部5のゲージTsは、4mm以下であることが好ましい。
4mm以上とすることにより、リムフランジ上での曲げ剛性及びねじれ剛性を確保しつつ、軽量化を実現することができ、一方で、12mm以下とすることにより、重量増大を抑えつつ、操縦安定性を確保することができるからである。
図19では、タイヤ赤道面CLを境界とする幅方向半部のみを示している。
なお、このタイヤは、上記関係式A又は関係式Bを満たすサイズのものとする。
図19に示すように、本発明のタイヤは、タイヤの一対のビード部1にトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカス2の径方向外側に、図示例で2層のベルト層3a、3bからなるベルト3を備えている。
また、本実施形態のタイヤは、ビート部1に連なるサイドウォール部5を備えている。
図示例では、ビード部1にはビードコア1aが埋設されており、ビードコア1aのタイヤ径方向外側にはビードフィラ4が配設されている。
さらに、図示例では、カーカス2は、カーカス本体部2aと、折り返し部2bとからなる。
ここで、本実施形態のタイヤにあっては、図19、図20に示すように、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部5のゲージTsと、カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcは、5以上10以下である。
なお、「タイヤ最大幅部」とは、リムにタイヤを組み込み、無負荷状態としたときの、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置をいうものとする。
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
すなわち、上記比Ts/Tcが10超であると、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部4のゲージが大きくなり、この部分の剛性が高くなって縦バネ係数が高くなってしまう。一方で、上記比Ts/Tcが5未満であると、横バネ係数が低下しすぎて、操縦安定性が確保できなくなるからである。
上記比Ta/Tcを6以下とすることにより、タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部4のゲージを小さくして、サイドウォール部5の剛性を低下させて、縦バネ係数を低減し、乗り心地性をより向上させることができるからである。一方で、上記比Ta/Tcを3以上とすることにより、横バネ係数を確保して、より操縦安定性が確保することができるからである。
なお、「Ta」は、タイヤ最大幅部において、幅方向最外側のカーカスコードの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をいう。
すなわち、カーカス折り返し部がタイヤ最大幅部より径方向外側まで延びている場合には、カーカス折り返し部をなす部分のカーカスコードの表面からタイヤ外面6までのタイヤ幅方向の距離をTaとする。
第1の実施形態にかかるタイヤについて、その効果を確かめるため、供試タイヤ34〜59にかかるタイヤと、比較例1〜10にかかるタイヤを試作した。これらのタイヤは、いずれも一対のビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、ビードコアのタイヤ径方向外側に配設したビードフィラとを備えている。
これらのタイヤの性能を評価する、以下の試験を行った。
各タイヤをリムに装着し、室内試験器を用いて、撓み量を測定し、荷重4kNでの接線勾配より縦バネ係数および横バネ係数を測定し、比較例1にかかるタイヤを100とした指数によって比較した。数値が大きいほどバネ定数が高い。なお、縦バネ係数は、乗り心地性の指標として用いており、数値が小さい方が乗り心地性に優れている。
<転がり抵抗値(RR値)>
上記各タイヤをリムに装着して、タイヤ・リム組立体とし、タイヤを装着する車両毎に規定される最大荷重を負荷し、ドラム回転速度100km/hの条件にて転がり抵抗を測定した。
評価結果は、比較例1にかかるタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。
<コーナリングパワー>
フラットベルト式コーナリング試験機において、荷重4kN、速度100km/hで測定を行った。
コーナリングパワー(CP)は、比較例1にかかるタイヤにおけるコーナリングパワーを100として指数で評価した。当該指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく好ましい。
<タイヤ重量>
タイヤの重量を計測した。比較例1にかかるタイヤの重量を100としたときの相対値で指数評価し、値が小さい方が重量が軽量であることを示している。
各タイヤの諸元を表6に示し、評価結果を表7及び図21(a)(b)に示す。
また、比BFW/BDWの範囲を好適化した供試タイヤは、コーナリングパワーを確保しつつも、縦バネ係数が低減されることがわかる。
さらに、比BFH/SHを好適化した供試タイヤは、コーナリングパワーを確保しつつも、縦バネ係数が低減されることがわかる。
各タイヤの諸元を表8に示し、評価結果を表9及び図22(a)(b)に示す。
次に、第2の実施形態にかかるタイヤについて、その効果を確かめるため、供試タイヤ72〜82と、比較例14〜23にかかるタイヤを試作した。これらのタイヤは、いずれも一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えている。
これらのタイヤの性能を評価するため、実施例1と同様に、バネ係数、転がり抵抗値(RR値)、コーナリングパワー、タイヤ重量を評価する試験を行った。
ただし、バネ係数は、比較例14にかかるタイヤを100とした指数によって比較した。数値が大きいほどバネ定数が高い。また、転がり抵抗値(RR値)は、比較例14にかかるタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。さらに、コーナリングパワーは、比較例14にかかるタイヤにおけるコーナリングパワーを100として指数で評価した。当該指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく好ましい。また、タイヤ重量は、比較例14にかかるタイヤの重量を100としたときの相対値で指数評価し、値が小さい方が重量が軽量であることを示している。
各タイヤの諸元を表10に示し、評価結果を表11及び図23(a)(b)に示す。
なお、表10において、「SH」とはセクションハイト(タイヤ断面高さ)を意味する。
また、ゲージTsを好適化した供試タイヤは、コーナリングパワーに優れていることがわかる。
さらに、ビードコア径Tbcの数値を好適化した供試タイヤは、コーナリングパワーに優れていることがわかる。
各タイヤの諸元を表12に示し、評価結果を表13及び図24(a)(b)に示す。
次に、第3の実施形態にかかるタイヤについて、その効果を確かめるため、供試タイヤ89〜103と、比較例26〜34にかかるタイヤを試作した。これらのタイヤは、いずれも一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えている。
これらのタイヤの性能を評価するため、実施例1と同様に、バネ係数、転がり抵抗値(RR値)、コーナリングパワー、タイヤ重量を評価する試験を行った。
ただし、バネ係数は、比較例26にかかるタイヤを100とした指数によって比較した。数値が大きいほどバネ定数が高い。また、転がり抵抗値(RR値)は、比較例26にかかるタイヤを100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを意味する。さらに、コーナリングパワーは、比較例26にかかるタイヤにおけるコーナリングパワーを100として指数で評価した。当該指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく好ましい。また、タイヤ重量は、比較例26にかかるタイヤの重量を100としたときの相対値で指数評価し、値が小さい方が重量が軽量であることを示している。
各タイヤの諸元を表14に示し、評価結果を表15及び図25(a)(b)に示す。
また、比Ta/Tcの範囲を好適化した供試タイヤは、コーナリングパワーをほぼ同等に確保しつつも、縦バネ係数が低減されることがわかる。
さらに、コード径Tcの値を好適化した供試タイヤは、縦バネ係数がさらに低減され、コーナリングパワーが向上することがわかる。
各タイヤの諸元を表16に示し、評価結果を表17及び図26(a)(b)に示す。
1a ビードコア
2 カーカス
2a カーカス本体部
2b カーカス折り返し部
3 ベルト
4 ビードフィラ
5 サイドウォール部
6 タイヤ外面
Claims (16)
- 一対のビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、該ビードコアのタイヤ径方向外側に配設したビードフィラとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向断面積S1は、前記ビードコアのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上4倍以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 一対のビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列コードのプライからなるカーカスと、該ビードコアのタイヤ径方向外側に配設したビードフィラとを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向断面積S1は、前記ビードコアのタイヤ幅方向断面積S2の1倍以上4倍以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ビードフィラのタイヤ径方向中央位置における、当該ビードフィラのタイヤ幅方向の幅をBFWとし、前記ビードコアのタイヤ幅方向の最大幅をBDWとするとき、
0.1≦BFW/BDW≦0.5
を満たす、請求項1又は2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ビードフィラのタイヤ径方向の高さをBFHとし、前記タイヤのセクションハイトをSHとするとき、
0.1≦BFH/SH≦0.25
を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ビードフィラのタイヤ径方向の高さBFHは、45mm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項1又は2に記載のタイヤを、内圧を250kPa以上として使用することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法。
- 一対のビード部に埋設したビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスと、当該ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記ビードコアのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbは、15%以上40%以下である、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 一対のビード部に埋設したビードコア間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスと、当該ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記ビードコアのタイヤ径方向中心位置におけるビード幅Tbとの比Ts/Tbは、15%以上40%以下である、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記タイヤ最大幅部におけるサイドウォール部のゲージTsは、1.5mm以上である、請求項7又は8に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ビードコアの径Tbcは、4mm以上12mm以下である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項7又は8に記載のタイヤを、内圧を250kPa以上として使用することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法。
- 一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスと、当該ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165(mm)以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧2.135×SW+282.3
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcが5以上10以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 一対のビード部間でトロイダル状に跨るラジアル配列のカーカスコードのプライからなるカーカスと、当該ビード部に連なる一対のサイドウォール部とを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧を250kPa以上とした際に、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD≧−0.0187×SW2+9.15×SW−380
を満たし、
タイヤ最大幅部における前記サイドウォール部のゲージTsと、前記カーカスコードの径Tcとの比Ts/Tcが5以上10以下であることを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - タイヤ最大幅部における、前記カーカスコードの表面からタイヤ外面までのタイヤ幅方向の距離をTaとするとき、比Ta/Tcが3以上6以下である、請求項12又は13に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記カーカスコードの径Tcは、0.4mm以上0.8mm以下である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 請求項12又は13に記載のタイヤを、内圧を250kPa以上として使用することを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤの使用方法。
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