JP2013032088A - 車両用バックドア構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】バックドアの建付け性能を向上させることができる車両用バックドア構造を得る。
【解決手段】バックドアインナパネル34には、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する部位とロック機構配置部38とを連結する一対の連結ビード46が形成されている。連結ビード46の上端部46Aは、横ビード44に対して離間した位置に配置されると共に環状ビード42に連結されており、上端部46Aの側部にはバックドア30のドア厚さ方向へ起立した外側側壁部48A及び内側側壁部48Bを備えている。外側側壁部48A及び内側側壁部48Bは、いずれもドア正面視で横ビード44の延長線と直交する方向に延びている。また、外側側壁部48Aは、環状ビード42の内周壁部42Aと一体化されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両後部のバックドアに適用される車両用バックドア構造に関する。
車両用のバックドアは、アウタパネルとインナパネルとを含んで構成されており(例えば、特許文献1参照)、バックドアを閉止した状態では、上下方向中間部がダンパによって略車両後方側への付勢力を受けながら、ドア下端部が車両前方側に引き込まれてロックされている。
特開平10−100684号公報
しかしながら、このような構造では、インナパネルに形成される作業孔等によってインナパネルの剛性が低下してしまうと、バックドアの建付け性能に影響を与えることになる。
本発明は、上記事実を考慮して、バックドアの建付け性能を向上させることができる車両用バックドア構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明の車両用バックドア構造は、車両後部のバックドア開口部を開閉し、互いに対向配置されて接合されたアウタパネル及びインナパネルを含んで構成され、上端部がドアヒンジによって車体上部に取り付けられると共に、下端部の車両幅方向中間部がドアロック機構によって車体下部に係止され、閉止状態では上下方向中間部の車両幅方向両端部がダンパによって略車両後方側へ付勢されるバックドアと、前記インナパネルの外周部を一周するように形成された環状ビードと、前記インナパネルの上下方向中間部に形成されて車両幅方向に延び、車両幅方向外側端部が前記環状ビードに対して離間した位置に配置された横ビードと、前記インナパネルに形成されて前記横ビードに対して車両幅方向外側に位置する部位と前記ドアロック機構が配置される部位とを連結すると共に、前記横ビードに対して車両幅方向外側に位置する上端部が前記横ビード及び前記環状ビードの少なくも一方に対して離間した位置に配置され、かつ上端部の側部に前記バックドアのドア厚さ方向へ起立した側壁部を備える連結ビードと、を有する。
請求項1に記載する本発明の車両用バックドア構造によれば、バックドアを構成するインナパネルには、その外周部を一周するように環状ビードが形成されると共に上下方向中間部に車両幅方向に延びる横ビードが形成されている。このため、これらによってバックドア全体のねじり剛性が向上し、ドア開閉時のドア操作性が良好となる。
また、バックドアは、上端部がドアヒンジによって車体上部に取り付けられ、下端部の車両幅方向中間部がドアロック機構によって車体下部に係止されると共に、閉止状態では上下方向中間部の車両幅方向両端部がダンパによって略車両後方側へ付勢される。このため、バックドアの閉止状態では、バックドアを構成するインナパネルには、車両側面視で横V字状に曲げ変形(所謂「くの字折れ」)させようとする力が作用する。
これに対して、インナパネルは、横ビードにおける車両幅方向外側端部が環状ビードに対して離間した位置に配置されており、かつ、横ビードに対して車両幅方向外側に位置する連結ビードの上端部が横ビード及び環状ビードの少なくも一方に対して離間した位置に配置されているので、横ビードが形成されていても、横ビードを曲げ起点とした曲げ変形は助長されない。すなわち、バックドアの閉止状態では、横ビードの延長位置でビード同士の間の非ビード部位がバックドアの建付け剛性に寄与する。
また、インナパネルに形成された連結ビードは、横ビードに対して車両幅方向外側に位置する部位とドアロック機構が配置される部位とを連結すると共に、連結ビードの上端部の側部としての側壁部がバックドアのドア厚さ方向へ起立している。このため、バックドア全体のねじり剛性が向上すると共に、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用しても、連結ビードの上端部の断面崩れが抑えられてインナパネルの横ビードに沿った曲げ変形が効果的に抑制される。これにより、バックドアの下端部の車両前方側への引き込み量を抑えた位置でバックドアの下端部を車体下部にロックしても、バックドア下端部の車両前後方向への位置ずれが抑えられてバックドアの建付けが良好に成立する。
請求項2に記載する本発明の車両用バックドア構造は、請求項1記載の構成において、前記連結ビードの上端部は、前記横ビードに対して離間した位置に配置されると共に、前記環状ビードに連結され、かつ前記側壁部として前記連結ビードの上端部の車両幅方向外側の側部に前記バックドアのドア厚さ方向へ起立した外側側壁部を備えており、前記外側側壁部は、前記環状ビードの内周側の壁部と一体化されている。
請求項2に記載する本発明の車両用バックドア構造によれば、連結ビードの上端部は、横ビードに対して離間した位置に配置されると共に、環状ビードに連結されているので、連結ビードに作用する荷重の一部が環状ビードによって分担される。また、連結ビードの上端部の車両幅方向外側の側部にてバックドアのドア厚さ方向へ起立した外側側壁部は、環状ビードの内周側の壁部と一体化されている。このため、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、例えば、前記外側側壁部に相当する壁部がない構造に比べて、インナパネルの曲げ変形が効果的に抑えられる。
請求項3に記載する本発明の車両用バックドア構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記側壁部は、ドア正面視で前記横ビードの延長線と直交する方向に延びている。
請求項3に記載する本発明の車両用バックドア構造によれば、連結ビードの上端部における側壁部は、ドア正面視で横ビードの延長線と直交する方向に延びているので、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、側壁部は、その延在方向で入力荷重を受けることができる。これにより、側壁部の倒れ込み(換言すれば、連結ビードの上端部の断面崩れ)は一層効果的に抑えられる。従って、インナパネルの曲げ変形が側壁部によって一層効果的に抑えられる。
請求項4に記載する本発明の車両用バックドア構造は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記側壁部は、前記連結ビードの上端部の車両幅方向両側の側部に形成されている。
請求項4に記載する本発明の車両用バックドア構造によれば、側壁部は、連結ビードの上端部の車両幅方向両側の側部に形成されているので、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、対の側壁部で荷重を受ける。このため、車両幅方向の一方側の側部にのみ側壁部が形成されている場合に比べてインナパネルが曲げ変形しにくい。
請求項5に記載する本発明の車両用バックドア構造は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記連結ビードには、ドア正面視で当該連結ビードが延びる方向に対して直交する方向に延びるリブが形成されている。
請求項5に記載する本発明の車両用バックドア構造によれば、連結ビードには、ドア正面視で当該連結ビードが延びる方向に対して直交する方向に延びるリブが形成されているので、連結ビードに荷重が作用した場合に連結ビードの断面崩れが一層発生しにくい。このため、連結ビードによる補強効果が適正に発揮される。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両用バックドア構造によれば、バックドアの建付け性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の車両用バックドア構造によれば、連結ビードに作用する荷重の一部を環状ビードに分担させることができることで、インナパネルの曲げ変形を効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の車両用バックドア構造によれば、連結ビードの上端部における側壁部をドア正面視で横ビードの延長線と直交させることで、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合には、インナパネルの曲げ変形を一層効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の車両用バックドア構造によれば、連結ビードの上端部における車両幅方向両側の側部に側壁部を形成することで、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合には、インナパネルの曲げ変形を一層効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
請求項5に記載の車両用バックドア構造によれば、連結ビードにリブを形成することで、インナパネルに対して横ビードに沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合には、インナパネルの曲げ変形を一層効果的に抑えることができるという優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係る車両用バックドア構造が適用された自動車の車両後部を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る車両用バックドア構造を車両後方側から見た状態で示す正面図である。バックドアアウタパネルは二点鎖線でかつその外形のみを示す。 本発明の第1の実施形態に係る車両用バックドア構造を示す水平断面図である。図3(A)は図2の3A−3A線に沿った断面図である。図3(B)は図2の3B−3B線に沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る車両用バックドア構造と対比構造との建付け状態を比較したグラフである。図4(A)は車両前後方向の変位量を示す。図4(B)は車両上下方向の変位量を示す。 本発明の他の実施形態に係る車両用バックドア構造を示す正面図である。図5(A)は第2の実施形態に係る車両用バックドア構造を示し、図5(B)は第3の実施形態に係る車両用バックドア構造を示す。
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両用バックドア構造について図1〜図4を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印Wは車両幅方向を示している。また、バックドア30のドア幅方向(ドア左右方向)は車両幅方向と同じ方向になっている。
図1には、本発明に係る車両用バックドア構造が適用された自動車の車両後部10が斜視図にて示されている。図1に示されるように、車両後部10には、車両前後方向の後向きに開口するバックドア開口部12(「リヤゲート」ともいう。)が形成されており、このバックドア開口部12を開閉するためのバックドア30が設けられている。バックドア開口部12の両サイドにはリヤピラー14が立設され、バックドア開口部12の上縁側にはリヤルーフヘッダ部16が略車両幅方向に沿って配置され、バックドア開口部12の下縁側にはロアバック部18が略車両幅方向に沿って配置されている。
バックドア30は、ドアの下部がバックドア本体部30Aとされ、ドアの上部がバックドア枠部30Bとされている。バックドア枠部30Bにはリヤガラス20(「バックドアガラス」ともいう。)が装着されている。バックドア30の上端部は、ドアヒンジ22によって車体上部のリヤルーフヘッダ部16に取り付けられている。ドアヒンジ22は、車両幅方向を軸方向とするヒンジ軸(図示省略)を備えており、バックドア30は、ドアヒンジ22のヒンジ軸回りに回転移動されることで、バックドア開口部12を開閉するようになっている。すなわち、バックドア30は、バックドア開口部12を閉止する閉止位置(図1の状態)と、バックドア開口部12を開放する開放位置(図示省略)との間で移動可能とされている。
バックドア30の下端部の車両幅方向中間部は、ドアロック機構24によって車体下部に係止されるようになっている。ドアロック機構24は、バックドア30側に取り付けられるロック機構部24Aと、ロアバック部18側に取り付けられるストライカ24Bと、を備えている。ロック機構部24Aは、ストライカ24Bに係止可能とされ、ロック機構部24Aがストライカ24Bに係止されることで、バックドア30が閉止状態で保持されるようになっている。
また、バックドア30の上下方向中間部の車両幅方向両端部には、ダンパ26が取り付けられている。一対のダンパ26は、バックドア本体部30Aの上端両サイド部側に取り付けられたシリンダと、このシリンダへ抜き差し自在とされてバックドア開口部12の両サイド部における上下方向中間部側に取り付けられたピストンと、により構成されている。ダンパ26は、バックドア30の閉止状態ではバックドア30の上下方向中間部の車両幅方向両端部を略車両後方側へ付勢すると共に、バックドア30の開度に応じて回転移動しながら伸長する。そして、ダンパ26が伸長することによって、バックドア30の開放操作力が低減されると共に、開放状態が維持される。
図2には、車両用バックドア構造が車両後方側から見た状態の正面図にて示され、図3(A)には、図2の3A−3A線に沿った断面図が示され、図3(B)には、図2の3B−3B線に沿った断面図が示されている。これらの図に示されるように、バックドア30は、ドア外側に配置されるアウタパネルとしてのバックドアアウタパネル32と、ドア内側に配置されるインナパネルとしてのバックドアインナパネル34と、を含んで構成されている。なお、図2では、バックドアアウタパネル32を二点鎖線でかつその外形のみを図示すると共に、バックドアアウタパネル32を透視した状態でバックドアインナパネル34を図示している。
バックドアアウタパネル32及びバックドアインナパネル34は、本実施形態では、いずれも樹脂製とされ、互いに対向配置されて接合されている。図2に示されるように、バックドアアウタパネル32は、バックドア本体部30Aの外板を構成するバックドアアウタパネル本体部32Aと、バックドアアウタパネル本体部32Aから延出されてバックドア枠部30Bの下端部に配置される延出片32Bと、を備えている。これに対して、バックドアインナパネル34は、バックドア本体部30Aの内板を構成するバックドアインナパネル本体部34Aと、バックドア枠部30Bを構成するバックドアインナパネル枠部34Bと、を備えている。バックドアインナパネル本体部34Aとバックドアアウタパネル本体部32Aとは外周縁部がマスチックなどの接着剤によって互いに接合されて閉断面構造のバックドア本体部30Aを構成している。
バックドアインナパネル34(バックドアインナパネル枠部34B)の上端部は、車両幅方向両端部寄りの部位がドアヒンジ取付部36とされている。ドアヒンジ取付部36には、ボルト挿通孔36Aが形成されており、ボルト挿通孔36Aに挿通されたボルト(図示省略)等によってドアヒンジ22がバックドアインナパネル34に締結される。
これに対して、バックドアインナパネル34(バックドアインナパネル本体部34A)の下端部の車両幅方向中間部には、ロック機構部24Aが配置されるロック機構配置部38が形成されている。このロック機構配置部38には、配線用の孔38Aが形成されている。
また、バックドアインナパネル34の上下方向中間部の車両幅方向両端部には、車室内側へ向けられる面(図2に示される面とは反対側の面)にダンパ取付部40が設けられている。ダンパ取付部40には、ダンパ26(図1参照)が取り付けられている。
一方、バックドアインナパネル34には、その外周部を一周するように環状ビード42が形成されている。環状ビード42は、ドア外側へ凹形状(車室内側へ凸形状)となるように形成され(図3参照)、内周側の壁部として内周壁部42Aを備えると共に外周側の壁部として外周壁部42Bを備えている。なお、環状ビード42において内周壁部42Aと外周壁部42Bとを繋ぐ底壁部42Cには、ドア厚さ方向(図2の紙面に垂直な方向)に段状の高低差(段差部)がいくつか設けられており(図3参照)、図2ではこれらの段差部の稜線も図示している。
また、バックドアインナパネル34の上下方向中間部でリヤガラス20の下方側には車両幅方向に延びる横ビード44が形成されている。横ビード44は、ドア外側へ凹形状(車室内側へ凸形状)となるように形成され(図3(A)参照)、上側の部位を構成する上壁部44Aと、下側の部位を構成する下壁部44Bと、車両幅方向外側端部を構成する横壁部44Cと、を備えている。また、横ビード44の横壁部44Cは、環状ビード42の内周壁部42Aに対して離間した位置に配置されている。
横ビード44には、ドア正面視で当該横ビード44が延びる方向に対して直交する方向(図2の上下方向)に延びる複数のリブ44Dが形成されている。リブ44Dは、横ビード44の凹内に設けられて上壁部44Aと下壁部44Bとを連結している。
また、バックドアインナパネル34には、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する部位と、ロック機構配置部38(ドアロック機構24のロック機構部24Aが配置される部位)とを連結する一対の連結ビード46が形成されている。連結ビード46は、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する上端部46Aが横ビード44に対して離間した位置に配置されると共に環状ビード42に連結されている。バックドアインナパネル34において横ビード44の延長位置で横ビード44と連結ビード46との間の非ビード部位は、バックドア30の建付け剛性へ寄与させるための部位となっている。
一対の連結ビード46は、ドア外側へ凹形状(車室内側へ凸形状)となるように形成され(図3参照)、車両幅方向外側の側部として第一壁部46Bを備えると共に、車両幅方向内側の側部として第二壁部46Cを備えている。第一壁部46B及び第二壁部46Cは、ドア正面視で上部が上下方向に延びると共に、上下方向の中間部及び下部は概ね車両幅方向内側へ向けて下方側に傾斜している。
また、連結ビード46は、第一壁部46Bの一部を構成して上端部46Aの車両幅方向外側の側部とされた側壁部としての外側側壁部48Aと、第二壁部46Cの一部を構成して上端部46Aの車両幅方向内側の側部とされた側壁部としての内側側壁部48Bと、を備えている。外側側壁部48A及び内側側壁部48Bは、いずれもバックドア30のドア厚さ方向へ起立すると共に、いずれもドア正面視で横ビード44の延長線(横ビード44の車両幅方向の延長位置方向に延びる仮想直線)と直交する方向、すなわち、ドア正面視で上下方向に延びている。また、外側側壁部48Aは、環状ビード42の内周壁部42A(内周側の壁部)と一体化されている(図3(A)参照)。
連結ビード46には、ドア正面視で当該連結ビード46が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数のリブ46Dが形成されている。リブ46Dは、連結ビード46の凹内に設けられて第一壁部46Bと第二壁部46Cとを連結している。
なお、図3(A)及び図3(B)の水平断面図にも一部示されるように、バックドアインナパネル34は、断面凹状に形成された環状ビード42、横ビード44、及び連結ビード46を除く部位は、概ねバックドアアウタパネル32に対して近接配置されている。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
図2に示されるように、本実施形態に係る車両用バックドア構造では、バックドア30を構成するバックドアインナパネル34には、その外周部を一周するように環状ビード42が形成されると共に上下方向中間部に車両幅方向に延びる横ビード44が形成されている。このため、これらによってバックドア30の全体のねじり剛性が向上し、バックドア30のドア開閉時のドア操作性が良好となる。
また、バックドア30は、上端部がドアヒンジ22によって車体上部に取り付けられ、下端部の車両幅方向中間部がドアロック機構24によって車体下部に係止されると共に、閉止状態では上下方向中間部の車両幅方向両端部がダンパ26によって略車両後方側へ付勢される。このため、バックドア30の閉止状態では、バックドア30を構成するバックドアインナパネル34には、車両側面視で横V字状に曲げ変形(所謂「くの字折れ」)をさせようとする力が作用する。
これに対して、バックドアインナパネル34は、横ビード44の車両幅方向外側端部である横壁部44Cが環状ビード42に対して離間した位置に配置されており、かつ、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する連結ビード46の上端部46Aが横ビード44に対して離間した位置に配置されているので、横ビード44が形成されていても、横ビード44を曲げ起点とした曲げ変形は助長されない。すなわち、バックドア30の閉止状態では、横ビード44の延長位置で横ビード44と連結ビード46の間の非ビード部位がバックドア30の建付け剛性に寄与する。
また、連結ビード46は、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する部位とロック機構配置部38とを連結すると共に、連結ビード46の上端部46Aの側部としての外側側壁部48A及び内側側壁部48Bがバックドア30のドア厚さ方向へ起立している。このため、バックドア30の全体のねじり剛性が向上すると共に、バックドアインナパネル34に対して横ビード44に沿って曲げ変形させようとする力が作用しても、連結ビード46の上端部46Aの断面崩れが抑えられてバックドアインナパネル34の横ビード44に沿った曲げ変形が効果的に抑制される。
ここで、連結ビード46の上端部46Aへの作用に着目してより具体的に説明すると、連結ビード46の上端部46Aに形成された外側側壁部48A及び内側側壁部48Bは、ドア正面視で横ビード44の延長線と直交する方向に延びているので、バックドアインナパネル34に対して横ビード44に沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、外側側壁部48A及び内側側壁部48Bは、その延在方向で入力荷重を受けることができる。これにより、外側側壁部48A及び内側側壁部48Bの倒れ込み(換言すれば、連結ビード46の上端部46Aの断面崩れ)は一層効果的に抑えられる。従って、バックドアインナパネル34の曲げ変形は、連結ビード46の上端部46Aの外側側壁部48A及び内側側壁部48Bによって効果的に抑えられる。
また、外側側壁部48A及び内側側壁部48Bは、連結ビード46の上端部46Aの車両幅方向両側の側部に対で形成されているため、連結ビード46の上端部46Aは、車両幅方向一方側の側部の側壁部(外側側壁部48A及び内側側壁部48Bの一方)だけでなく、対とされた外側側壁部48A及び内側側壁部48Bで入力荷重を受けることができる。
また、連結ビード46の上端部46Aは、横ビード44に対して離間した位置に配置されると共に、環状ビード42に連結されているので、連結ビード46に作用する荷重の一部が環状ビード42によって分担される。また、上端部46Aの車両幅方向外側の側部においてバックドア30のドア厚さ方向へ起立した外側側壁部48Aは、環状ビード42の内周壁部42Aと一体化されている。このため、バックドアインナパネル34に対して横ビード44に沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、例えば、外側側壁部48Aに相当する壁部がない構造に比べて、バックドアインナパネル34の曲げ変形が効果的に抑えられる。
さらに、連結ビード46には、ドア正面視で当該連結ビード46が延びる方向に対して直交する方向に延びるリブ46Dが形成されているので、連結ビード46に荷重が作用した場合に連結ビード46の断面崩れが一層発生しにくい。このため、連結ビード46による補強効果が適正に発揮される。
これらにより、バックドア30の下端部の車両前方側への引き込み量を抑えた位置でバックドア30の下端部を車体下部にロックしても、バックドア30の下端部の車両前後方向への位置ずれが抑えられてバックドア30の建付けが良好に成立する。
ここで、図4のグラフを参照しながらさらに補足説明する。図4(A)及び図4(B)に示されるグラフは、バックドアアウタパネル、バックドアインナパネル、及びリヤガラスで構成されるASSYがドアヒンジ及びドアロック機構によって車体後部に取り付けられた場合の基準位置に対して、前記ASSYに内装品及びダンパ等をフル装備してバックドアを閉止した場合の位置がどの程度変位しているのかを示している。
図4(A)及び図4(B)の縦軸は車両上下方向の高さ位置を示している。これに対して、図4(A)の横軸は車両前後方向への変位量(ずれ量)を示し、図4(B)の横軸は車両上下方向への変位量(ずれ量)を示している。
また、グラフ中の実線は、本実施形態に係る車両用バックドア構造が適用された樹脂製のバックドア30の結果を示し、グラフ中の二点鎖線は、対比構造が適用された樹脂製のバックドアの結果を示している。前記対比構造は、本実施形態に係る車両用バックドア構造の連結ビード46が設けられておらずかつ横ビード44に相当するビードの両端部が環状ビード42に相当するビードに連結された構造となっている。なお、前記対比構造は、他の点は本実施形態に係る車両用バックドア構造と同様の構造となっている。
図4(A)に示されるように、対比構造(二点鎖線参照)のバックドアでは、上側部位G1と上下方向の中間部位G2とが折れ曲がり部位となって、バックドアが車両後方向側に凸状に変形している。言い換えると、上側部位G1と上下方向の中間部位G2とで折れ曲がる所謂「二段折れ」が顕著に発生している。これに対して、本実施形態に係る車両用バックドア構造が適用されたバックドア30では、グラフ中の実線で示されるように、車両後方側への変位量及び所謂「二段折れ」が抑制されている。なお、対比構造(二点鎖線参照)のバックドアにおいて、上側部位G1(上側の折れ曲がり部位)は、ドアヒンジ取付部(36)に対応する部位であり、上下方向の中間部位G2(上下方向の中間部位での折れ曲がり部位)は、ダンパ取付部(40)に対応する部位である。
また、対比構造(二点鎖線参照)のバックドアでは、剛性不足に起因した建付け不良を抑えるために、ドア下端部G3の車両前方側への引き込み量が大きく設定される。換言すれば、対比構造(二点鎖線参照)のバックドアの場合には、ドア下端部G3の車両前方側への引き込み量を抑えると、剛性不足に起因した建付け不良が発生するので、ドア下端部G3を車両前方側へ大きく引き込んだ状態でロックせざるを得ない。そして、このようにドア下端部G3の引き込み量が大きいと、ダンパ取付部(40)に対応する上下方向の中間部位G2へ作用する力も大きくなるので、バックドアは所謂「二段折れ」で変形しやすくなる。これに対して、本実施形態に係る車両用バックドア構造が適用されたバックドア30では、対比構造に比べて剛性が高いため、バックドア30の下端部の車両前方側への引き込み量を抑えてバックドア30の下端部を車体下部にロックしても、バックドア30の建付けが良好に成立する。従って、バックドア30の所謂「二段折れ」の抑制に有利となっている。
なお、図4(B)に示されるように、車両上下方向への変位量についても、対比構造(二点鎖線参照)の場合よりも、本実施形態(実線参照)の場合のほうが変位量を抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る車両用バックドア構造によれば、図1に示されるバックドア30の建付け性能を向上させることができる。すなわち、バックドア30を閉止した場合にバックドア30が精度良く所定の建付け位置で保持される。
また、本実施形態に係る車両用バックドア構造では、図2に示されるバックドアインナパネル34の剛性が高められているため、バックドアインナパネル34をロックリインフォース等で別途補強しなくても、バックドアインナパネル34に部材を取付け加工することや、バックドアインナパネル34に孔部(作業孔や質量低減孔)を追加形成することが可能となる。換言すれば、バックドア30の商品性の向上が容易になる。また、本実施形態に係る車両用バックドア構造では、バックドアインナパネルをロックリインフォース等で別途補強する構造に比べて質量及びコストが抑えられる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両用バックドア構造について、図5(A)を用いて説明する。図5(A)には、本発明の第2の実施形態に係る車両用バックドア構造が適用されたバックドア50が模式的な正面図にて示されている。この図に示されるように、バックドア50において、バックドアインナパネル52に形成される連結ビード54は、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する上端部54Aが環状ビード42に対して離間した位置に配置されると共に横ビード44に連結されている点で、第1の実施形態に係る連結ビード46(図2参照)とは異なる。他の構成(連結ビード54の他の構成部を含む)は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図5(A)に示されるように、連結ビード54は、第一壁部46Bの一部を構成して上端部54Aの車両幅方向外側の側部とされた側壁部としての外側側壁部56Aと、第二壁部46Cの一部を構成して上端部54Aの車両幅方向内側の側部とされた側壁部としての内側側壁部56Bと、を備えている。外側側壁部56A及び内側側壁部56Bは、いずれもバックドア50のドア厚さ方向へ起立すると共に、いずれもドア正面視で横ビード44の延長線と直交する方向、すなわち、ドア正面視で上下方向に延びている。また、内側側壁部56Bは、横ビード44の横壁部44Cと一体化されている。
以上説明した本実施形態の構成によっても、バックドア50の建付け性能を向上させることができる。また、本実施形態では、バックドアインナパネル52に対して横ビード44に沿って曲げ変形させようとする力が作用した場合、例えば、内側側壁部56Bに相当する壁部がない構造に比べて、バックドアインナパネル52の曲げ変形が抑えられる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る車両用バックドア構造について、図5(B)を用いて説明する。図5(B)には、本発明の第3の実施形態に係る車両用バックドア構造が適用されたバックドア60が模式的な正面図にて示されている。この図に示されるように、バックドア60において、バックドアインナパネル62に形成される連結ビード64は、横ビード44に対して車両幅方向外側に位置する上端部64Aが横ビード44及び環状ビード42の両方に対して離間した位置に配置される点で、第1の実施形態に係る連結ビード46(図2参照)とは異なる。他の構成(連結ビード64の他の構成部を含む)は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図5(B)に示されるように、連結ビード64は、第一壁部46Bの一部を構成して上端部64Aの車両幅方向外側の側部とされた側壁部としての外側側壁部66Aと、第二壁部46Cの一部を構成して上端部64Aの車両幅方向内側の側部とされた側壁部としての内側側壁部66Bと、を備えている。外側側壁部66A及び内側側壁部66Bは、いずれもバックドア60のドア厚さ方向へ起立すると共に、いずれもドア正面視で横ビード44の延長線と直交する方向、すなわち、ドア正面視で上下方向に延びている。
以上説明した本実施形態の構成によっても、バックドア60の建付け性能を向上させることができる。
[実施形態の補足説明]
なお、上記第1〜第3の実施形態の変形例として、例えば、連結ビード46、54、64の上端部46A、54A、64Aに内側側壁部48B、56B、66Bが形成されずに外側側壁部48A、56A、66Aのみが形成される構成や、連結ビード46、54、64の上端部46A、54A、64Aに外側側壁部48A、56A、66Aが形成されずに内側側壁部48B、56B、66Bのみが形成される構成とすることも可能である。
また、上記第1〜第3の実施形態の変形例として、例えば、連結ビード46、54、64の上端部46A、54A、64Aにおける外側側壁部48A、56A、66A及び内側側壁部48B、56B、66Bの少なくとも一方が、ドア正面視で横ビード44の延長線に対して斜めに交差する方向(ドア正面視で車両幅方向内側へ向けて下方側に傾斜する方向)に延びている構成とすることも可能である。
また、上記第1〜第3の実施形態では、連結ビード46、54、64にはリブ46Dが形成されているが、このようなリブ46Dが形成されていない構成とすることも可能である。同様に、横ビード44のリブ44Dが形成されていない構成とすることも可能である。また、ドア正面視で環状ビード42が延びる方向に対して直交する方向に延びるリブが環状ビード42の凹内に形成されてもよい。
また、上記実施形態では、バックドアインナパネル34、52、62が樹脂製とされているが、金属製のインナパネルに適用されてもよい。
また、請求項1及び請求項2に記載の「バックドアのドア厚さ方向へ起立した」の概念には、バックドアのドア厚さ方向と完全に一致した方向へ起立している場合の他、上記実施形態のように、厳密には、バックドアのドア厚さ方向と完全に一致した方向へ起立しているわけではないが、バックドアのドア厚さ方向にほぼ沿った方向へ起立しており、かつ、バックドアのドア厚さ方向と完全に一致した方向へ起立した場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的にバックドアのドア厚さ方向へ起立しているものと把握される場合も含まれる。
また、請求項3に記載の「横ビードの延長線と直交する方向」の概念には、上記実施形態のような、横ビード44の延長線と完全に直交する方向の他、横ビードの延長線と完全に直交する方向とはいえないが、横ビードの延長線と完全に直交する方向とした場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的に横ビードの延長線と直交する方向と把握されるような方向も含まれる。
また、請求項5に記載の「連結ビードが延びる方向に対して直交する方向」の概念には、上記実施形態のような、連結ビード46、54、64が延びる方向に対して完全に直交する方向の他、連結ビードが延びる方向に対して完全に直交する方向とはいえないが、連結ビードが延びる方向に対して完全に直交する方向とした場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的に連結ビードが延びる方向に対して直交する方向と把握されるような方向も含まれる。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
10 車両後部
12 バックドア開口部
22 ドアヒンジ
24 ドアロック機構
26 ダンパ
30 バックドア
32 バックドアアウタパネル(アウタパネル)
34 バックドアインナパネル(インナパネル)
38 ロック機構配置部(ドアロック機構が配置される部位)
42 環状ビード
42A 内周壁部(内周側の壁部)
44 横ビード
46 連結ビード
46D リブ
48A 外側側壁部(側壁部)
48B 内側側壁部(側壁部)
50 バックドア
52 バックドアインナパネル(インナパネル)
54 連結ビード
56A 外側側壁部(側壁部)
56B 内側側壁部(側壁部)
60 バックドア
62 バックドアインナパネル(インナパネル)
64 連結ビード
66A 外側側壁部(側壁部)
66B 内側側壁部(側壁部)

Claims (5)

  1. 車両後部のバックドア開口部を開閉し、互いに対向配置されて接合されたアウタパネル及びインナパネルを含んで構成され、上端部がドアヒンジによって車体上部に取り付けられると共に、下端部の車両幅方向中間部がドアロック機構によって車体下部に係止され、閉止状態では上下方向中間部の車両幅方向両端部がダンパによって略車両後方側へ付勢されるバックドアと、
    前記インナパネルの外周部を一周するように形成された環状ビードと、
    前記インナパネルの上下方向中間部に形成されて車両幅方向に延び、車両幅方向外側端部が前記環状ビードに対して離間した位置に配置された横ビードと、
    前記インナパネルに形成されて前記横ビードに対して車両幅方向外側に位置する部位と前記ドアロック機構が配置される部位とを連結すると共に、前記横ビードに対して車両幅方向外側に位置する上端部が前記横ビード及び前記環状ビードの少なくも一方に対して離間した位置に配置され、かつ上端部の側部に前記バックドアのドア厚さ方向へ起立した側壁部を備える連結ビードと、
    を有する車両用バックドア構造。
  2. 前記連結ビードの上端部は、前記横ビードに対して離間した位置に配置されると共に、前記環状ビードに連結され、かつ前記側壁部として前記連結ビードの上端部の車両幅方向外側の側部に前記バックドアのドア厚さ方向へ起立した外側側壁部を備えており、前記外側側壁部は、前記環状ビードの内周側の壁部と一体化されている、請求項1記載の車両用バックドア構造。
  3. 前記側壁部は、ドア正面視で前記横ビードの延長線と直交する方向に延びている、請求項1又は請求項2に記載の車両用バックドア構造。
  4. 前記側壁部は、前記連結ビードの上端部の車両幅方向両側の側部に形成されている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用バックドア構造。
  5. 前記連結ビードには、ドア正面視で当該連結ビードが延びる方向に対して直交する方向に延びるリブが形成されている、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用バックドア構造。
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