JP7418267B2 - 車両用バックドアおよびインナパネルの成形方法 - Google Patents

車両用バックドアおよびインナパネルの成形方法 Download PDF

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Description

本開示の技術は、車両用バックドアおよびインナパネルの成形方法に関する。
従来から、板金製のバックドアに代わる車両用バックドアとして、車両の軽量化に有利であり且つ造形自由度の高い樹脂製のバックドアが知られている。樹脂製のバックドアは、車内側に位置するインナパネルと、車外側に位置するアウタパネルとが接合され、表面外観の良いアウタパネルを剛性のあるインナパネルで支持する構造を有している。インナパネルの材料には、車両の快適性や走行性に必要なボディ剛性を持たせるべく、繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-230723号公報
上述した樹脂製のインナパネルは、加熱溶融させた樹脂を金型内に射出注入して冷却固化させる射出成形により成形されるため、熱膨張および収縮による変形を生じ得る。当該インナパネルの変形の要因となる熱膨張および収縮の具合は、インナパネルをなす樹脂に含有される繊維補強材の配向状態によって変わる。繊維補強材の配向状態は、インナパネルを成形する金型において、ゲートから注入された樹脂の流れる方向に揃う傾向がある。インナパネルの熱膨張および収縮は、繊維補強材が配向する方向においては生じ難い。
インナパネルのうち窓用開口よりも下側の部分であるインナパネル下部は、上下左右の方向において比較的広い面を構成している。このため、インナパネルの成形時において、金型のインナパネル下部を形成するキャビティ部分では、複数のゲートから注入された樹脂の流れが一方向に定まらず干渉し合って、繊維補強材の配向がランダムな方向となる。インナパネル下部での繊維補強材の配向がランダムな方向であると、インナパネル下部の熱膨張および収縮が、長手方向である左右方向において比較的大きくなる。
本開示の技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用バックドアにおいて、インナパネル下部の左右方向における熱膨張および収縮を低減し、インナパネル下部の熱による変形を抑制することにある。
上記の目的を達成するために、本開示の技術では、インナパネル下部の構成を同パネルの成形時における樹脂の流れが左右方向に定まるように工夫した。
具体的には、本開示の技術は、車両用バックドアを対象とする。この車両用バックドアでは、車内側に位置するインナパネルと車外側に位置するアウタパネルとが接合され、インナパネルに窓用開口が形成されている。
本開示の第1態様は、インナパネルが、繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなる射出成形品である、車両用バックドアである。インナパネルのうち窓用開口よりも下側の部分であるインナパネル下部には、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、インナパネル下部は、そのスリット状の開口により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部を有している。
本開示の第2態様は、第1態様の車両用バックドアにおいて、インナパネル下部に、車内側からアウタパネル側に向けて凹み、車内側よりカバーパネルで覆われる凹状部が設けられている、車両用バックドアである。凹状部の底壁には、上記スリット状の開口が形成されている。上記横長の分割壁部は、凹状部の底壁を構成している。
本開示の第3態様は、第2態様の車両用バックドアにおいて、インナパネル下部の左右方向における両側端に、アウタパネル側に立ち上がった外側立ち壁が、凹状部の側壁と左右方向に間隔をあけて設けられている、車両用バックドアである。インナパネル下部には、凹状部の側壁と外側立ち壁とを左右方向に連結するブリッジ形状部が設けられている。
本開示の第4態様は、第3態様の車両用バックドアにおいて、ブリッジ形状部が、分割壁部と水平方向において一直線上に配置されている、車両用バックドアである。
本開示の第5態様は、第1~第4態様のいずれか1つの車両用バックドアにおいて、インナパネル下部に、後方に開口した作業口が、スリット状の開口とは別に形成されている、車両用バックドアである。
本開示の第6態様は、第5態様の車両用バックドアにおいて、インナパネル下部が、分割壁部を複数有する、車両用バックドアである。複数の分割壁部は、上下方向において互いに隣り合う、作業口が形成された第1分割壁部と、作業口が形成されていない第2分割壁部とを含む。第1分割壁部の左右方向における作業口側の各端部には、上下方向および前後方向に延びる縦壁が設けられている。縦壁は、第2分割壁部と繋がっており、作業口を有する開口部を構成している。
また、本開示の技術は、車両用バックドアのインナパネルの成形方法を対象とする。この成形方法により成形されるインナパネルは、窓用開口が形成されているインナパネルである。インナパネルのうち窓用開口よりも下側の部分であるインナパネル下部には、左右方向に延びるスリット状の開口が形成されている。インナパネル下部は、そのスリット状の開口により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部を有している。そして、インナパネル下部には、後方に開口した作業口が、前記開口とは別に形成されている。
本開示の第7態様は、成形型を型閉じすることにより、成形型の内部にインナパネルを成形するためのキャビティを形成すると共に、キャビティのうちインナパネルの作業口の周辺部分を成形する箇所に対して作業口の内側に相当する箇所から溶融状態の樹脂を供給するためのサイドゲートを形成し、サイドゲートからキャビティに繊維補強材を含有する溶融状態の樹脂を射出する、インナパネルの成形方法である。
上記第1態様の車両用バックドアによれば、インナパネル下部が、スリット状の開口により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部を有しているので、インナパネルの成形時において、金型の分割壁部を成形するキャビティ部分では、ゲートから注入された樹脂の流れが左右方向に定まり、当該樹脂に含有される繊維補強材が左右方向に配向する。これにより、インナパネル下部の左右方向における熱膨張および収縮を低減し、インナパネル下部の熱による変形を抑制できる。
上記第2態様の車両用バックドアによれば、横長の分割壁部が、インナパネル下部に設けられた、車内側からアウタパネル側に向けて凹む凹状部の底壁を構成し、凹状部が車内側よりカバーパネルで覆われるので、スリット状の開口および分割壁部がカバーパネルによって隠蔽される。これにより、車両用バックドアの見栄えが、スリット状の開口および分割壁部をインナパネルに設けることに起因して損なわれるのを防止できる。
上記第3態様の車両用バックドアによれば、インナパネル下部に、凹状部の側壁と外側立ち壁とを左右方向に連結するブリッジ形状部が設けられているので、インナパネルの成形時において、金型のブリッジ形状部を成形するキャビティ部分では、ゲートから注入された樹脂の流れがブリッジ形状部の長手方向に定まり、当該樹脂に含有される繊維補強材がブリッジ形状部の長手方向に配向する。これにより、インナパネル下部の左右方向における熱膨張および収縮を凹状部と外側立ち壁との間の左右両端部でも低減できる。その結果、インナパネル下部の熱による変形を左右方向における全体に亘って抑制できる。
上記第4態様の車両用バックドアによれば、ブリッジ形状部と分割壁部とが水平方向において一直線上に配置されているので、インナパネル下部に熱膨張または収縮が生じたときに、それらブリッジ形状部と分割壁部とが水平方向に一直線上に突っ張って撓み難い。これにより、インナパネル下部の熱による変形を左右方向において好適に抑制できる。
上記第5態様の車両用バックドアによれば、インナパネル下部に、後方に開口した作業口がスリット状の開口とは別に形成されているので、その作業口をハンドスペースとして、ワイパー装置やラッチなどの装備部品をメンテナンスし易くできる。
上記第6態様の車両用バックドアによれば、第1分割壁部に作業口が形成され、その第1分割壁部の左右方向における作業口側の各端部に設けられた縦壁が、第2分割壁と繋がって開口部を構成しているので、作業口を設けてもその周辺の剛性を高めることができる。また、作業口が形成されていない第2分割壁部は、インナパネル下部の左右方向における熱膨張および収縮を低減するのに有利である。
上記第7態様のインナパネルの成形方法によれば、型閉じ状態の成形型の内部に形成されたキャビティのうちインナパネルの作業口の周辺部分を成形する箇所に対し、作業口の内側に相当する箇所からサイドゲートにより、繊維補強材を含有する溶融状態の樹脂を射出するので、ダイレクトゲートにより当該溶融状態の樹脂をキャビティに射出する場合に比べて、ゲート付近から繊維補強材の配向が安定する。このことは、インナパネル下部の左右方向における熱膨張および収縮を低減するのに有利である。
図1は、第1実施形態に係る車両用バックドアの分解斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る車両用バックドアを構成するインナパネルを後側から見た斜視図である。 図3は、第1実施形態に係る車両用バックドアを構成するインナパネルを前側から見た斜視図である。 図4は、図2のIV-IV線における箇所のインナパネルの断面図である。 図5は、図2のV-V線における箇所のインナパネルの断面図である。 図6は、図2のVI-VI線における箇所のインナパネルの断面図である。 図7は、図2のVII-VII線における箇所のインナパネルの断面図である。 図8は、第1実施形態に係る車両用バックドアを構成するインナパネルの繊維補強材の配向状態を、インナパネルの成形時における金型のゲートの位置と共に示す模式図である。 図9は、第1実施形態に係るインナパネルの成形装置の断面図である。 図10は、第1実施形態に係るインナパネルと共にインナパネル下部に設定されたダイレクトゲートを概念的に示す斜視図である。 図11は、第2実施形態に係る車両用バックドアを構成するインナパネルを後側から見た斜視図である。 図12は、第2実施形態に係る車両用バックドアを構成するインナパネルを前側から見た斜視図である。 図13は、図11のXIII-XIII線における箇所のインナパネルの断面図である。 図14は、図11のXIV-XIV線における箇所のインナパネルの断面図である。 図15は、第2実施形態に係るインナパネルの成形装置の断面図である。 図16は、第2実施形態に係るインナパネルと共に作業口の周辺に設定されたサイドゲートの位置を示す斜視図である。 図17は、サイドゲートにより繊維補強材入りの溶融樹脂を射出したときの繊維補強材の配向状態を示す概念図である。 図18は、ダイレクトゲートにより繊維補強材入りの溶融樹脂を射出したときの繊維補強材の配向状態を示す概念図である。 図19は、第2実施形態の変形例に係るインナパネルの作業口の周辺に設定されたサイドゲートの位置を概念的に示す斜視図である。 図20は、第2実施形態の変形例に係るインナパネルの作業口の周辺に設定されたサイドゲートの位置を概念的に示す斜視図である。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、説明の便宜上、車両前後方向における前側を「前」、後側を「後」と称し、車両前方を向いて車幅方向における左側を「左」、右側を「右」と称し、車高方向における上側を「上」、下側を「下」と称する。また、この実施形態に係るバックドアについて、特に開閉状態を断り書きしない場合には、車両後部のバックドア開口を閉じた状態での姿勢を前提に説明する。
《第1実施形態》
-バックドアの概略構成-
図1は、この第1実施形態に係る車両用バックドア1の分解斜視図である。図2は、この第1実施形態に係る車両用バックドア1を構成するインナパネル3を後側から見た斜視図である。図3は、この第1実施形態に係るインナパネル3を前側から見た斜視図である。図4は、図2のIV-IV線における箇所のインナパネル3の断面図である。図5は、図2のV-V線における箇所のインナパネル3の断面図である。図6は、図2のVI-VI線における箇所のインナパネル3の断面図である。図7は、図2のVII-VII線における箇所のインナパネル3の断面図である。
図1に示す車両用バックドア1は、ハッチバック車の車体後退に設けられたバックドア開口を開閉する上下開閉式のバックドアである。このバックドア1は、図1に示すように、車内側(前側)に位置するインナパネル3およびカバーパネル5と、車外側(後側)に位置するアウタパネル7および窓パネル9とを主たる構成として備える。
〈インナパネルの構成〉
インナパネル3は、一枚物の樹脂製パネルであって、射出成形により成形される射出成形品である。インナパネル3は、繊維補強材Fbを含有する熱可塑性樹脂Rからなる。インナパネル3の材料には、例えば、繊維補強材としてガラス繊維入りのポリプロピレン(PP-GF:Polypropylene Glass fiber)や、繊維補強材として炭素繊維入りのポリプ
ロピレン(PP-CF:Polypropylene Carbon Fiber)、繊維補強材としてセルロースナノファイバー入りのポリプロピレン(PP-CNF:Polypropylene Cellulose Nanofiber)が用いられる。
図2に示すように、インナパネル3の上半部分には、車幅方向に延びる略台形状の窓用開口11が形成されている。インナパネル3のうち窓用開口11の周縁部分には、アウタパネル7側に向けて後方に立ち上がった内側立ち壁13と、内側立ち壁13の後端から窓用開口11の内方へ突出した内側接合片15とが設けられている。さらに、インナパネル3の外周縁部には、アウタパネル7側に向けて後方に立ち上がった外側立ち壁17と、外側立ち壁17の後端から外周側へ突出した外側接合片19とが設けられている。
インナパネル3のうち窓用開口11よりも上側の部分であるインナパネル上部3aには、前側が凹んで後方に突出した一対のヒンジ取付部21が、車幅方向における左右両側に間隔をあけて設けられている。ヒンジ取付部21には、車体本体に連結される開閉用ヒンジ(不図示)が、ボルトなどの留め具で前方から固定される。バックドア1は、それらヒンジ取付部21で車体本体に開閉可能に取り付けられる。インナパネル上部3aにはさらに、前後上下の方向における剛性を高めるべく、複数の補強リブ23が設けられている。
インナパネル3のうち窓用開口11よりも下側の部分であるインナパネル下部3bにおいて、下端部を構成する外側立ち壁17には、ラッチ(不図示)を取り付けるためのラッチ取付部25が設けられている。ラッチは、車体本体のうちバックドア開口の下縁部に設けられたストライカに着脱自在に係合する装置であって、ストライカと協働してバックドア1を閉じた状態で車体本体にロックするロック装置を構成する。さらに、インナパネル下部3bには、車内側からアウタパネル7側に向けて後方に凹んだ略矩形状の凹状部27が設けられている。
〈カバーパネルの構成〉
図4および図5に示すように、カバーパネル5は、インナパネル下部3bにおける凹状部27の開口内に嵌め入れられて、車内側より凹状部27の開口を覆っている。詳しく図示しないが、カバーパネル5は、インナパネル下部3bのうち凹状部27またはその周辺部分に嵌合構造や爪係合により取り付けられる。凹状部27の底壁27bは、カバーパネル5によって隠蔽される。
〈アウタパネルの構成〉
アウタパネル7は、一枚物の樹脂製パネルであって、射出成形により成形される射出成形品である。アウタパネル7の材料としては、タルク入りのポリプロピレン(PP-T:Polypropylene Talc)や、タルク入りのポリプロピレン(PP-T)とエチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM:Ethylene Propylene Diene Monomer)とを混合した合成樹脂が用いられる。
アウタパネル7の上半部分には、車幅方向に延びる略台形状の窓用開口29が形成されている。アウタパネル7の窓用開口29は、インナパネル3の窓用開口29と前後方向において対応する。アウタパネル7の外周縁部は、インナパネル3の外側接合片19に接着剤31を用いて接合されている。アウタパネル7の窓用開口29の周縁部は、インナパネル3の内側接合片15に接着剤31を用いて接合されている。アウタパネル7における窓用開口29の周辺部分には、インナパネル3側に向かって前方に凹んだ嵌込み部33が設けられている。嵌込み部33は、インナパネル3の左右方向における両側方に開放されている。
〈窓パネルの構成〉
窓パネル9は、バックドア1の左右両端に亘って車幅方向における全体に延びる横長のパネルである。窓パネル9は、アウタパネル7の嵌込み部33に後方から嵌め込まれ、インナパネル3およびアウタパネル7の窓用開口11,29を閉塞している。窓パネル9は、アウタパネル7の嵌込み部33に接着剤31を用いて接合されている。窓パネル9は、ポリカーボネート(PC)などの透明樹脂やガラスなどからなる。図示しないが、窓パネル9の外周部分には、アウタパネル7との接合部分を隠蔽するために、黒色のセラミックスなどからなる隠蔽層が設けられている。
-インナパネル下部の詳細構成-
図2~図7に示すように、インナパネル下部3bには、上述の如く略矩形状の凹状部27が設けられている。凹状部27は、インナパネル下部3bの大部分に設けられている。凹状部27の底壁27bには、前方へ突出した凸条部35が複数(図1~図5に示す例では2つ)設けられている。これら複数の凸条部35は、それぞれ凹状部27の左右方向における両側壁に亘って延び、上下方向において互いに間隔をあけて配置されている。凹状部27の底壁27bは、複数の凸条部35が設けられていることにより、縦断面で凹凸形状をなしている。
そして、凹状部27の底壁27bには、左右方向に延びるスリット状の開口37が複数形成されている。具体的には、当該開口37は、各凸条部35の上下方向における両側の壁部に形成され、個々の壁部で左右両側に分けられている。当該開口37は、上下両側に開放され、且つ凹状部27の開口に向けて前方へ開放されている。これら複数の開口37のうち少なくとも1つの開口37は、ラッチ取付部25にラッチを取り付けたりハーネスなどを配線したりするための取付用ないしワイパー装置やラッチを保守するためのメンテナンス用の開口を兼ねている。
インナパネル下部3bは、それら複数の開口37により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部39を複数有している。分割壁部39は、インナパネル下部3bのうち開口37の上下方向における両側に対応する部分であって、凹状部27の底壁27bを構成している。具体的には、複数の分割壁部39は、凸条部35の前方に臨む面を構成する突出端部のうち開口37の間に位置する前側壁部39fと、凹状部27の底壁27bのうち凸条部35が設けられていない部分で上下方向において開口37と対応する後側壁部39rとである。
複数の凸条部35それぞれの上下方向における両側の各壁部には、左右方向において一対の開口37を仕切るセンター接続部41が設けられている。センター接続部41は、前後方向に延び、凸条部35の突出端部における左右方向における中央部分と、凹状部27の底壁27bのうち凸条部35の上下方向における両側部分とを接続している。凸条部35の突出端部における左右方向における両端部分は、凹状部27の左右方向における側壁27sと、凹状部27の底壁27bのうち凸条部35の上下方向における両側部分とに一体に接続されている。
インナパネル下部3bの左右方向における両側端には、外側立ち壁17が凹状部27の側壁27sと左右方向に間隔をあけて設けられている。インナパネル下部3bのうち凹状部27の左右方向における両側の側壁と外側立ち壁17とそれら両壁17,27の間の部分とは、アウタパネル7側に向かって後方へ開口した溝状部43を構成している。こうした溝状部43は、凹状部27の下方の側壁27sと外側立ち壁17との間、凹状部27の上方の側壁27sと内側立ち壁13との間にも設けられている。
インナパネル下部3bの左右方向における両側の溝状部43にはそれぞれ、ブリッジ形状部45が後側壁部39rごとに設けられている。ブリッジ形状部45は、凹状部27の側壁27sと外側立ち壁17とを左右方向に橋渡しするように連結している。ブリッジ形状部45は、後側壁部39rと左右方向において対応する位置に連なるように帯板状に形成されている。ブリッジ形状部45の上下方向における幅は、後側壁部39rの上下方向における幅と同等である。そして、ブリッジ形状部45は、後側壁部39rと水平方向において一直線上に配置されている。
図8は、この第1実施形態に係るインナパネル3の繊維補強材Fbの配向状態を、インナパネル3の成形時における成形装置のゲートG1,G2,G3の位置と共に示す模式図である。
図8に示すように、インナパネル3をなす熱可塑性樹脂Rに含有される繊維補強材Fbは、インナパネル上部3aにおいて概ね左右方向に配向し、インナパネル3のうち窓用開口11の左右方向における両側を構成する部分において概ね上下方向に配向している。そして、インナパネル下部3bにおいて、当該繊維補強材Fbは、概ね左右方向に配向している。特に各分割壁部39のうちセンター接続部41の上下方向に対応する箇所を除く部分とブリッジ形状部45とにおいて、繊維補強材Fbの配向状態は、左右方向に揃っている。
-インナパネルの成形方法-
図9は、この第1実施形態に係るインナパネル3の成形装置101の断面図である。図10は、この第1実施形態に係るインナパネル3と共にインナパネル下部3bに設定された第2ゲートG2(ダイレクトゲートDG)を概念的に示す斜視図である。
この第1実施形態に係るインナパネル3の成形には、例えば図9に示す成形装置101が用いられる。成形装置101は、金型としての固定型105および可動型107からなる成形型103と、射出機(不図示)と、制御部109を備える。成形装置101は、固定型105と可動型107とを型閉めすることにより、それら両者の間にキャビティ111を形成し、射出機から送られる溶融状態の熱可塑性樹脂Rをキャビティ111に射出するようになっている。
固定型105は、スペーサブロック113を介して固定盤115に取り付けられている。固定型105は、インナ―パネル3の表面(前側面)を成形する成形面105aを有している。固定型105の成形面105aには、熱可塑性樹脂Rをキャビティ111に射出するための複数のゲートG1,G2,G3が形成されている。複数のゲートG1,G2,G3は、例えば、図8に示す第1ゲートG1、第2ゲートG2および第3ゲートG3である。
第1ゲートG1は、キャビティ111のうちインナパネル上部3aの左右方向における中央部分を形成する箇所の上下両側に設けられている。第1ゲートG1は、サイドゲートである。第2ゲートG2は、インナパネル下部3bのうち左右方向における中央部分を形成する箇所の上下両側と、各前側壁部39fの左右方向における中央部分を形成する箇所の前側とに設けられている。前者の第2ゲートG2はサイドゲートである。他方、後者の第2ゲートG2は、図10に示すようなダイレクトゲートである。第3ゲートG3は、インナパネル下部3bを形成する箇所の左右両側に設けられている。第3ゲートG3は、サイドゲートである。
固定型105にはさらに、各ゲートG1,G2,G3に連通するホットランナー117と、ホットランナー117に連通するスプルー119とが設けられている。ホットランナー117は、各ゲートG1,G2,G3からゲートランナー121を介して或いはゲートG2から直接それぞれ型開き方向に延びる分岐部117aと、分岐部117aと直交するように延びて分岐部117aの反ゲートG1,G2,G3側の端部を互いに連結する連結部117bとを有している。ホットランナー121の各分岐部117aには、ニードル123が収容されている。固定型105側のスペーサブロック113には、収容孔125が各ニードル123に対応して型開き方向に形成されている。各収容孔125には、ニードル123を進退させるソレノイド127が収容されている。各ゲートG1,G2,G3は、ニードル123の進退動作により開閉する。スプルー119は、ホットランナー117の連結部117bから型開き方向に延びている。スプルー119は、固定型105側のスペーサブロック113および固定盤115を貫通して射出機のノズル129に連通している。
可動型107は、収容室131を有するスペーサブロック133を介して可動板134に取り付けられている。収容室131には、エジェクタピン135が設けられたエジェクタプレート137が収容されている。エジェクタプレート137は、成形型103の開閉動作に連動して進退する。可動型107は、インナパネル3の裏面(後側面)を成形する成形面107aを有している。可動型107には、型開き方向に貫通する複数の貫通孔139が形成されている。各貫通孔139には、エジェクタピン135が収容されている。
制御部109は、固定型105に設けられた複数のソレノイド127それぞれと接続されている。制御部109は、固定型105と可動型107とを型閉じして両者の間にキャビティ111を形成した状態で、第1ゲートG1、第2ゲートG2および第3ゲートG3から熱可塑性樹脂Rを射出するタイミングを制御する。
インナパネル3を成形するには、まず、成形装置101において、固定型105と可動型107とを型閉じすることにより、インナパネル3を成形するためのキャビティ111を形成すると共に、キャビティ111に溶融状態の熱可塑性樹脂Rを供給するためのサイドゲートである第1ゲートG1、第2ゲートG2および第3ゲートG3を形成する。このとき、全てのゲートG1,G2,G3に対応するニードル123を進出させて各ゲートG1,G2,G3を閉じ、且つ全てのエジェクタピン135をその先端が可動型107の成形面107aとほぼ同一面となるように後退させている。
そして、射出機のノズル129から溶融状態の熱可塑性樹脂Rの射出を開始する。熱可塑性樹脂Rは、繊維補強材Fbを含有している。続いて、各ゲートG1,G2,G3に対応するニードル123を後退させることにより所定のタイミングで各ゲートG1,G2,G3を開けて、射出機より送られる熱可塑性樹脂Rを各ゲートG1,G2,G3からキャビティ111に射出させる。
複数のゲートG1,G2,G3は、第1ゲートG1、第2ゲートG2、第3ゲートG3の順に開けられて、その順で熱可塑性樹脂Rをキャビティ111に射出する。第2ゲートG2と第3ゲートG3とを開けるタイミングは、第2ゲートG2からキャビティ111に射出された樹脂Rと、第3ゲートG3からキャビティ111に射出された樹脂Rとが、インナパネル下部3bの凹状部27の左右方向における側壁27sを形成する箇所または外側立ち壁17を形成する箇所で合流するように調整されることが好ましい。
複数のゲートG1,G2,G3からキャビティ111に熱可塑性樹脂Rが射出されると、当該樹脂Rは、キャビティを流れて広がっていき、キャビティ111全体に充填される。このとき、熱可塑性樹脂Rに含有される繊維補強材Fbの配向状態は、樹脂Rの流れる方向に揃う傾向がある。キャビティ111において、分割壁部39およびブリッジ形状部45を成形する箇所では、熱可塑性樹脂Rが左右方向に流れるため、当該樹脂Rに含有される繊維補強材Fbが左右方向に配向する。それによって、分割壁部39およびブリッジ形状部45に内在される繊維補強材Fbの配向状態が左右方向に揃う。
キャビティ111全体に熱可塑性樹脂Rが充填されると、成形型103の冷却を開始する。そして、ノズル129からの熱可塑性樹脂Rの射出を終了し、全てのゲートG1,G2,G3に対応するニードル123を前進させることにより各ゲートG1,G2,G3を閉じる。キャビティ111に充填された熱可塑性樹脂Rは、成形型103の冷却により固化する。熱可塑性樹脂Rが固化することで、インナパネル3がキャビティ111に成形される。次いで、可動型107を型開き方向に移動させると共に、エジェクタプレート137を進出させることにより各エジェクタピン135の先端を可動型107の成形面107aから突出させてインナパネル3を可動型107の成形面107aから離脱させ、成形型103からインナパネル3を取り出す。しかる後、インナパネル3に付いているゲート残留物を切除するなどの後処理を行う。
以上のように、成形装置101を用いてインナパネル3を成形できる。
-第1実施形態の効果-
本実施形態のバックドア1によれば、インナパネル下部3bが、スリット状の開口37により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部39を有しているので、インナパネル3の成形時において、成形装置の分割壁部39を成形するキャビティ部分では、ゲートG1,G2,G3から注入された樹脂Rの流れが左右方向に定まり、当該樹脂Rに含有される繊維補強材Fbが左右方向に配向する。これにより、インナパネル下部3bの左右方向における熱膨張および収縮を低減し、インナパネル下部3bの熱による変形を抑制できる。その結果、バックドア1と車体本体のバックドア開口の周縁との間の見切り線を形成する隙間を狭めることができ、車両の見栄えを良くできる。
本実施形態のバックドア1によれば、横長の分割壁部39が、インナパネル下部3bに設けられた、車内側からアウタパネル7側に向けて凹む凹状部27の底壁27bを構成し、凹状部27が車内側よりカバーパネル5で覆われるので、スリット状の開口37および分割壁部39がカバーパネル5によって隠蔽される。これにより、バックドア1の見栄えが、スリット状の開口37および分割壁部39をインナパネル3に設けることに起因して損なわれるのを防止できる。
本実施形態のバックドア1によれば、インナパネル下部3bに、凹状部27の側壁27sと外側立ち壁17とを左右方向に連結するブリッジ形状部45が設けられているので、インナパネル3の成形時において、成形装置のブリッジ形状部45を成形するキャビティ部分では、ゲートG1,G2,G3から注入された樹脂Rの流れがブリッジ形状部45の長手方向に定まり、当該樹脂Rに含有される繊維補強材Fbがブリッジ形状部45の長手方向に配向する。これにより、インナパネル下部3bの左右方向における熱膨張および収縮を凹状部27と外側立ち壁17との間の左右両端部でも低減できる。その結果、インナパネル下部3bの熱による変形を左右方向における全体に亘って抑制できる。
本実施形態のバックドア1によれば、ブリッジ形状部45と分割壁部39とが水平方向において一直線上に配置されているので、インナパネル下部3bに熱膨張または収縮が生じたときに、それらブリッジ形状部45と分割壁部39とが水平方向に一直線上に突っ張って撓み難い。これにより、インナパネル下部3bの熱による変形を左右方向において好適に抑制できる。
《第2実施形態》
この第2実施形態の車両用バックドア1は、インナパネル下部3bの構成が第1実施形態と異なる。なお、本実施形態では、インナパネル下部3bの構成が第1実施形態と異なる他は、車両用バックドア1について第1実施形態と同様に構成されている。
図11は、この第2実施形態に係る車両用バックドア1を構成するインナパネル3を後側から見た斜視図である。図12は、この第2実施形態に係る車両用バックドア1を構成するインナパネル3を前側から見た斜視図である。図13は、図11のXIII-XIII線における箇所のインナパネル3の断面図である。図14は、図11のXIV-XIV線における箇所のインナパネル3の断面図である。
第1実施形態に係る車両用バックドア1では、インナパネル下部3bにスリット状に形成された複数の開口37のうち少なくとも1つの開口37が、ワイパー装置やラッチのメンテナンス用の開口を兼ねているとした。これに対して、図11~図14に示すように、本実施形態に係る車両用バックドア1において、インナパネル下部3bには、後方に開口した作業口51が、スリット状の開口37とは別に形成されている。
作業口51は、複数の分断壁部39のうちいずれかの分断壁部39に形成される。作業口51は、分断壁部39の左右方向における中程に形成される。作業口51が形成された分断壁部39は、作業口51を境として左右方向に分断される。少なくとも1つの分断壁部39には、作業口51が形成されていないことが好ましい。これは、分断壁部39が左右方向において分断されていると、その分断壁部39による、インナパネル下部3bの左右方向における熱膨張および収縮を低減する効果が低くなるからである。
本実施形態において、作業口51は、下側に位置する前側壁部39fのみに形成されている。すなわち、複数の分割壁部39は、作業口51が形成された下側の前側壁部39fと、作業口51が形成されていないその他の分割壁部39(上側の前側壁部39fおよび後側壁部39r)とを含んでいる。下側の前側壁部39fは、左右方向における中程で作業口51によって分断されている。ここで、前側壁部39fは、第1分割壁部に相当し、その他の分割壁部39f,39rは第2分割壁部に相当する。
下側の前側壁部39fにおける左右方向における作業口51側の各端部には、縦壁53が一対に設けられている。一対の縦壁53は、それぞれ上下方向および前後方向に延び、左右方向において互いに対向している。各縦壁53は、下側の前側壁部39fに対して上下方向における両側に位置する各後側壁部39rと繋がっており、当該前側壁部39fと各後側壁部39rとを分断するスリット状の開口37の作業口51側の端部を閉塞している。そして、これら両縦壁53は、作業口51を有する開口部55を構成している。
本実施形態のインナパネル下部3bの構成についても、このような開口部55が形成されていること以外は、第1実施形態と同様である。
-インナパネルの成形方法-
図15は、この第2実施形態に係るインナパネル3の成形装置101の断面図である。図16は、この第2実施形態に係るインナパネル3と共に作業口51の周辺に設定された第2ゲートG2(サイドゲート)の位置を示す斜視図である。
この第2実施形態に係るインナパネル3の成形には、例えば図15に示す成形装置101が用いられる。この成形装置101の構成については、第2ゲートG2を除いて、第1実施形態に係るインナパネル3を成形する成形装置101と同様である。当該成形装置101において、第2ゲートG2は、インナパネル下部3bのうち左右方向における中央部分を形成する箇所の上下両側と、作業口51の周辺部分を成形する箇所とに設けられている。これら第2ゲートG2はいずれも、サイドゲートである。
図16にも示すように、作業口51の周辺部分を成形する箇所の第2ゲートG2は、開口部55の内側に相当する箇所を上下方向に延びるゲートランナー121の両端部に設けられている。これら2つの第2ゲートG2のうち上側の第2ゲートG2は、成形型103内の成形面105a、107aにおいて、開口部55の上側に位置する後側壁部39rの下側面を成形する部分に開口する。他方、下側の第2ゲートG2は、成形型103内の成形面105a、107aにおいて、開口部55の下側に位置する後側壁部39rの上側面を成形する部分に開口する。
この第2実施形態に係るインナパネル3は、上記成形装置101を用いて、第1実施形態に係るインナパネル3を成形するときと同様な手順により成形される。すなわち、成形型103を型閉じすることにより、成形型103の内部にインナパネル3を成形するためのキャビティ111を形成すると共に、キャビティ111に溶融状態の熱可塑性樹脂Rを供給するためのサイドゲートである第1ゲートG1、第2ゲートG2および第3ゲートG3を形成し、これら第1ゲートG1、第2ゲートG2および第3ゲートG3からキャビティ111に、繊維補強材Fbを含有する溶融状態の熱可塑性樹脂Rを所定のタイミングで射出する。これにより、熱可塑性樹脂Rをキャビティ111に充填し、その熱可塑性樹脂Rを成形型103内で冷却し固化させることで、インナパネル3を成形する。
図17は、サイドゲートSGにより繊維補強材Fb入りの熱可塑性樹脂Rを射出したときの繊維補強材Fbの配向状態を示す概念図である。図18は、ダイレクトゲートDGにより繊維補強材Fb入りの熱可塑性樹脂Rを射出したときの繊維補強材Fbの配向状態を示す概念図である。
ダイレクトゲートDGによる熱可塑性樹脂Rの射出では、ゲート断面積が比較的大きい。このため、図18に示すように、当該ゲートDG周辺の熱可塑性樹脂Rに含まれる繊維補強材Fbの配向状態が、インナパネル3において、ゲートDGに近い一方の表面側の第1部位P1と、ゲートDGから離れた他方の表面側の第3部位P3と、第1部位P1と第3部位P3との間の第2部位P2とで異なる様相を呈する。また、第2部位P2および第3部位P3においては、繊維補強材Fbの配向が定まらず、ばらつき易い傾向にある。ここで、第1部位P1、第2部位P2および第3部位P3は、インナパネル3におけるゲートの周辺部分を、厚さ方向において三等分したときの各部分の位置である。
これに対して、サイドゲートSGによる熱可塑性樹脂Rの射出では、ゲート断面積が比較的小さい。ゲート断面積が比較的小さいと、熱可塑性樹脂Rが当該ゲートSGを通過する過程で繊維補強材Fbの向きがある程度揃えられる。このため、図17に示すように、当該ゲートSG周辺の熱可塑性樹脂Rに含まれる繊維補強材Fbの配向状態が、インナパネル3において、一方の表面側の第1部位P1と、他方の表面側の第3部位P3と、第1部位P1と第3部位P3との間の第2部位P2とで同じような様相を呈する。このようにサイドゲートSGを用いると、熱可塑性樹脂Rに含まれる繊維補強材Fbの配向が安定する。
-第2実施形態の効果-
本実施形態のバックドア1によれば、インナパネル下部3bに、後方に開口した作業口51がスリット状の開口37とは別に形成されているので、その作業口51をハンドスペースとして、ワイパー装置やラッチなどの装備部品をメンテナンスし易くできる。
本実施形態のバックドア1によれば、下側の前側壁部39fに作業口51が形成され、その前側壁部39fの左右方向における作業口51側の各端部に設けられた縦壁53が、上下両側の後側壁部39rと繋がって開口部55を構成しているので、作業口51を設けてもその周辺の剛性を高めることができる。また、作業口51が形成されていない分割壁部39f,39rは、インナパネル下部3bの左右方向における熱膨張および収縮を低減するのに有利である。
本実施形態のインナパネル3の成形方法によれば、型閉じ状態の成形型103の内部に形成されたキャビティ111のうちインナパネル3の作業口51の周辺部分を成形する箇所に対し、作業口51の内側に相当する箇所からサイドゲートSDである第2ゲートG2により、繊維補強材Fbを含有する溶融状態の熱可塑性樹脂Rを射出するので、ダイレクトゲートDGにより当該熱可塑性樹脂Rをキャビティ111に射出する場合に比べて、第2ゲートG2付近から繊維補強材Fbの配向が安定する。このことは、インナパネル下部3bの左右方向における熱膨張および収縮を低減するのに有利である。
《第2実施形態の変形例》
図19は、第2実施形態の変形例に係るインナパネル3の作業口51の周辺に設定された第2ゲートG2(サイドゲート)の位置を概念的に示す斜視図である。図20は、第2実施形態の変形例に係るインナパネル3の作業口51の周辺に設定された第2ゲートG2(サイドゲート)の位置を概念的に示す斜視図である。
第2実施形態におけるインナパネル3の成形型103では、作業口51の周辺部分を成形する箇所の第2ゲートG2が、成形面105a,107aにおいて、開口部55の上下両側に位置する一対の後側壁部39rの互いに対向した各側面を成形する部分に開口するとしたが、図19に示すように、当該第2ゲートG2は、開口部55の内側に相当する箇所を左右方向に延びるゲートランナー121の両端部に設けられていてもよい。この場合、2つの第2ゲートG2は、成形型103の成形面105a,107aにおいて、開口部55の左右両側に位置する各縦壁53を成形する部分に開口する。
また、図20に示すように、当該第2ゲートG2は、開口部55の内側に相当する箇所を上下方向および左右方向にクロス状に延びるゲートランナー121の各端部に設けられていてもよい。この場合、左右方向に延びるゲートランナー121の両端部に設けられた第2ゲートG2は、成形型103の成形面105a,107aにおいて、開口部55の上下両側に位置する一対の後側壁部39rの互いに対向した各側面を成形する部分に開口する。上下方向に延びるゲートランナー121の両端部に設けられた第2ゲートG2は、成形型103の成形面105a,107aにおいて、開口部55の左右両側に位置する各縦壁53を成形する部分に開口する。
以上のように、本開示の技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本開示の技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることを以て、直ちにそれらの必須でない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、上記実施形態では、凹状部27の底壁27bに設けられた凸条部35が2つである例を示したが、本開示の技術はこれに限らない。凸条部35は、1つであってもよく、3つ以上であっても構わない。
上記実施形態では、凹状部27の側壁27sと外側立ち壁17とを連結するブリッジ形状部45が水平方向において後側壁部39rと一直線上に配置されているとしたが、本開示の技術はこれに限らない。ブリッジ形状部45は、後側壁部39rに対して上下方向にずれて配置されていてもよく、上下左右の方向に対して斜め方向に延びていてもよい。また、ブリッジ形状部45は、上記実施形態のように設けられていることが好ましいが、設けられていなくてもよい。
上記実施形態では、凹状部27の底壁27bが縦断面で凹凸形状をなしているとしたが、本開示の技術はこれに限らない。凹状部27の底壁27bは、左右方向に延びるスリット状の開口37により上下方向に分割された横長の分割壁部39を有していれば、平板状などの他の形状であってもよい。
上記実施形態では、アウタパネル7が一枚物の樹脂製パネルであるとしたが、本開示の技術はこれに限らない。アウタパネル7は、インナパネル上部3aに対向するアッパパネルと、インナパネル下部3bに対向するロアパネルとに分割されていてもよい。また、窓パネル9は、アウタパネル7とは別体のパネルであるとしたが、アウタパネル7と一体であってもよい、つまりアウタパネル7の一部で構成されていてもよい。
以上説明したように、本開示の技術は、繊維補強材を含有する熱可塑性樹脂からなるインナパネルがアウタパネルを支持する車両用バックドアについて有用である。
Fb 繊維補強材
R 熱可塑性樹脂
1 バックドア
3 インナパネル
3a インナパネル上部
3b インナパネル下部
5 カバーパネル
7 アウタパネル
9 窓パネル
11 窓用開口
13 内側立ち壁
15 内側接合片
17 外側立ち壁
19 外側接合片
21 ヒンジ取付部
23 補強リブ
25 ラッチ取付部
27 凹状部
27b 凹状部の底壁
27s 凹状部の側壁
29 窓用開口
31 接着剤
33 嵌込み部
35 凸条部
37 開口
39 分割壁部
39f 前側壁部(分割壁部)
39r 後側壁部(分割壁部)
41 センター接続部
43 溝状部
45 ブリッジ形状部
51 作業口
53 縦壁
55 開口部

Claims (7)

  1. 車内側に位置するインナパネル(3)と車外側に位置するアウタパネル(7)とが接合され、前記インナパネル(3)に窓用開口(11)が形成された車両用バックドアであって、
    前記インナパネル(3)は、繊維補強材(Fb)を含有する熱可塑性樹脂(R)からなる射出成形品であり、
    前記インナパネル(3)のうち前記窓用開口(11)よりも下側の部分であるインナパネル下部(3b)には、左右方向に延びるスリット状の開口(37)が形成され、
    前記インナパネル下部(3b)は、前記開口(37)により上下方向に分割された分割壁部(39)を有し
    前記分割壁部(39)は、前記インナパネル下部(3b)のうち前記窓用開口(11)の下側に対応する部分の両端寄りの位置にまで左右方向に横長に延びる
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  2. 請求項1に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記インナパネル下部(3b)には、車内側から前記アウタパネル(7)側に向けて凹み、車内側よりカバーパネル(5)で覆われる凹状部(27)が設けられ、
    前記凹状部(27)の底壁(27b)には、前記開口(37)が形成され、
    前記分割壁部(39)は、前記凹状部(27)の底壁(27b)を構成している
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  3. 請求項2に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記インナパネル下部(3b)の左右方向における両側端には、前記アウタパネル(7)側に立ち上がった外側立ち壁(17)が、前記凹状部(27)の側壁(27s)と左右方向に間隔をあけて設けられ、
    前記インナパネル下部(3b)のうち前記凹状部(27)の側壁(27s)と、前記外側立ち壁(17)と、前記凹状部(27)の側壁(27s)と前記外側立ち壁(17)との間の部分とは、溝状部(43)を構成し、
    前記インナパネル下部(3b)には、前記凹状部(27)の側壁(27s)と前記外側立ち壁(17)とを前記溝状部(43)の開口側で左右方向に橋渡しするように連結するブリッジ形状部(45)が設けられている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  4. 請求項3に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記ブリッジ形状部(45)は、前記分割壁部(39)と水平方向において一直線上に配置されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載された車両用バックドアにおいて、
    前記インナパネル下部(3b)には、後方に開口した作業口(51)が、前記スリット状の開口(37)とは別に形成されている
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  6. 車内側に位置するインナパネル(3)と車外側に位置するアウタパネル(7)とが接合され、前記インナパネル(3)に窓用開口(11)が形成された車両用バックドアであって、
    前記インナパネル(3)は、繊維補強材(Fb)を含有する熱可塑性樹脂(R)からなる射出成形品であり、
    前記インナパネル(3)のうち前記窓用開口(11)よりも下側の部分であるインナパネル下部(3b)には、左右方向に延びるスリット状の開口(37)が形成され、
    前記インナパネル下部(3b)は、前記開口(37)により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部(39)を有し、
    前記インナパネル下部(3b)には、後方に開口した作業口(51)が、前記スリット状の開口(37)とは別に形成され、
    前記インナパネル下部(3b)は、前記分割壁部(39)を複数有し、
    複数の前記分割壁部(39)は、上下方向において互いに隣り合う、前記作業口(51)が形成された第1分割壁部(39)と、前記作業口(51)が形成されていない第2分割壁部(39)とを含み、
    前記第1分割壁部(39)の左右方向における前記作業口(51)側の各端部には、上下方向および前後方向に延びる縦壁(53)が設けられ、
    前記縦壁(53)は、前記第2分割壁部(39)と繋がっており、前記作業口(51)を有する開口部(55)を構成している
    ことを特徴とする車両用バックドア。
  7. 窓用開口(11)が形成され、該窓用開口(11)よりも下側の部分であるインナパネル下部(3b)に左右方向に延びるスリット状の開口(37)が形成され、前記インナパネル下部(3b)が、前記開口(37)により上下方向に分割された、左右方向に延びる横長の分割壁部(39)を有し、前記インナパネル下部(3b)に、後方に開口した作業口(51)が、前記開口(37)とは別に形成された、車両用バックドアのインナパネルを成形する方法であって、
    成形型(103)を型閉じすることにより、前記成形型(103)の内部に当該インナパネル(3)を成形するためのキャビティ(111)を形成すると共に、前記キャビティ(111)のうち当該インナパネル(3)の前記作業口(51)の周辺部分を成形する箇所に対して前記作業口(51)の内側に相当する箇所から溶融状態の樹脂(R)を供給するためのサイドゲート(SG)を形成し、該サイドゲート(SG)から前記キャビティ(111)に繊維補強材(Fb)を含有する溶融状態の樹脂(R)を射出する
    ことを特徴とするインナパネルの成形方法。
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