JP4637393B2 - 中空樹脂射出成形品及びその成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、板状リブの基部に線条の中空部が形成された中空樹脂射出成形品及びその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
中空樹脂射出成形品をガスインジェクション成形する方法として、例えば、特開平10−291226号公報や特許第2554529号公報に開示されているような方法がある。
【0003】
前者の公報例で得られる中空樹脂射出成形品は、バンパーフェースの裏面に車幅方向に平行に延びる2本の横リブが突設された自動車のバンパーであり、これら横リブの基部にはヒケ防止用の中空部が形成されている。また、上記横リブ間には強度アップを目的としてX状リブが形成され、このX状リブにも上記各横リブの中空部と連通する中空部が形成されている。このようなX状リブを有する場合、中空部を形成する加圧ガスをX状リブの交差部から注入すると、加圧ガスはX状リブの両端から各横リブを経て互いに合流しようとするため、合流部に樹脂溜まりができて厚肉になり、当該厚肉部分とその周りとの熱収縮差により厚肉部分のバンパーフェース表面にヒケが生じて見栄えが悪くなることから、加圧ガス合流部に対応して設けた可動ピンを後退させて樹脂逃がし部を形成し、加圧ガス合流部の溶融樹脂を上記樹脂逃がし部に逃がして加圧ガスを合流させることでヒケの原因となる厚肉の樹脂溜まりをなくすようにしている。
【0004】
後者の公報例では、中空樹脂射出成形品を成形した後、中空部内の加圧ガスを外部に排出するために、中空部形成領域に設けた可動ピンを前進させた状態で中空部を形成し、中空樹脂射出成形品を成形した後、上記可動ピンを後退させることで当該箇所の中空部壁を開口するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、中空樹脂射出成形品の中空部を目的通りに形成するには、加圧ガスを予め設定された中空部形成領域の隅々にまで行き渡らせる必要がある。
【0006】
しかし、加圧ガスはガス注入部から離れるに従って、つまり溶融樹脂の末端に近づくに従って溶融樹脂の温度が低下するため、樹脂抵抗が大きくなり、加圧ガスを予め設定された中空部形成領域の隅々にまで行き渡らせることができ難くなる。これでは、中空部を目的通りに形成することができず、中空部形成領域のうち中空部が形成されていない箇所が厚肉になり、中空樹脂射出成形品の表面にヒケが発生して見栄えが悪くなる。このことに関しては、上記の2つの公報例のいずれも何ら対策を講じていない。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中空部が目的通りに形成されてヒケのない見栄えの向上した中空樹脂射出成形品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、加圧ガスを誘導する手段を講じたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、型閉めされた成形型のキャビティ内に射出された溶融樹脂中に加圧ガスを注入して基部に線条の中空部が形成された板状リブを成形品本体の裏面に突設させた中空樹脂射出成形品及びその成形方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、請求項1,2は前者の中空樹脂射出成形品に関するものであり、そのうち、請求項1に記載の発明は、上記成形品本体の裏面には、ガス注入部よりガス流通下流の上記中空部上に対応するピン状中実突起部と、該中実突起部よりもガス流通下流の中空部末端近傍上に対応し当該中空部と連通する連通中空部を有するピン状中空突起部とが突設されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、中実突起部及び中空突起部の少なくとも一方には、嵌合溝が形成され、該嵌合溝にリブが嵌合していることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は後者の中空樹脂射出成形品の成形方法に関するものであって、型閉めされた成形型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、次いで、上記ガス注入部よりガス流通下流の上記成形型の第1スライド孔に進退可能に配置された第1スライダを後退させて上記第1スライド孔に上記溶融樹脂を導入して成形品本体の裏面に板状リブを突設するとともにピン状中実突起部を突設し、その後、上記ガス注入部から上記溶融樹脂中に加圧ガスを注入して上記中実突起部基端に対応するように上記リブの基部に線条の中空部を形成するとともに、上記第1スライド孔よりガス流通下流の上記成形型の第2スライド孔に進退可能に配置された第2スライダを後退させて上記第2スライド孔に上記溶融樹脂及び加圧ガスを導入して上記中空部の末端近傍上に対応し当該中空部と連通する連通中空部を有するピン状中空突起部を成形品本体の裏面に突設することを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、請求項1,3に記載の発明では、第1スライダの後退により第1スライド孔に溶融樹脂が導入されて中実突起部が成形品本体の裏面に形成される。その後、上記溶融樹脂中に加圧ガスが注入されて線条の中空部が板状リブの基部に形成されるとともに、第2スライダの後退により第2スライド孔に上記溶融樹脂及び加圧ガスが導入されて上記中空部と連通する連通中空部を有する中空突起部が形成される。
【0014】
この際、上記第1及び第2スライダの後退によりキャビティ内が減圧されるため、加圧ガスが溶融樹脂中に進入し易くなる。また、中実突起部よりもガス流通下流側では、加圧ガスが溶融樹脂と共にガス流通下流の中空部末端近傍の第2スライド孔内に導入される。よって、加圧ガスが予め設定された中空部形成領域の隅々にまで行き渡り、中空部が目的通りに形成されてヒケのない見栄えの向上した中空樹脂射出成形品が得られる。
【0015】
また、中空部が線条でありかつその形成箇所が成形品本体の裏面に突設されたリブの基部であり、成形品本体のリブに対応する厚肉部に中空部が形成されることで当該厚肉部に対するヒケ発生が解消される。
【0016】
請求項2に記載の発明では、突起部とリブとの嵌合構造によりリブが突起部によって補強されてリブの剛性が高まる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜4はこの発明の一実施形態に係る中空樹脂射出成形品の一例としての自動車の樹脂製リヤバンパー1を示すが、これに限らず、他の中空樹脂射出成形品にも適用することができるものである。上記リヤバンパー1は、縦断面略コの字形をした成形品本体としてのバンパーフェース3を備え、該バンパーフェース3の上端縁の裏面には、車幅方向両端を除くほぼ全体に亘って車幅方向に延びる板状上側リブ5が一体に突設されているとともに、バンパーフェース3の上下方向中程の裏面にも、車幅方向両端を除くほぼ全体に亘って車幅方向に延びる板状中間リブ7が上記上側リブ5と平行に一体に突設されている。上記中間リブ7は上側リブ5よりも長く突出している(図5の成形型25のキャビティ31形状参照。同図中、31bが上側リブ5を形成する上側リブキャビティ部であり、31dが中間リブ7を形成する中間リブキャビティ部である。)。また、上記バンパーフェース3の車幅方向両端の上端縁には、リヤバンパー1を車体パネル(図示せず)に取り付けるための取付孔9aを有する取付片9がそれぞれ2つずつ一体に突設されている。
【0019】
上記中間リブ7のバンパーフェース3裏面と連続する基部11は、他の部分よりも膨出していて内部に中空部13が線条に形成され、上記中間リブ7が上記中空部13に沿いかつ基部に当該中空部13が形成されている。そして、この中空部13が形成されることにより、中間リブ7があることで厚肉となったバンパーフェース3の表面に熱収縮差によるヒケが発生しないようにしている。
【0020】
上記バンパーフェース3の裏面には、ピン状の中実突起部15が上記中間リブ7の車幅方向両端寄りに対応して一体に突設されているとともに、その車幅方向外側には、同じくピン状の中空突起部17が上記中間リブ7の車幅方向両端に対応して一体に突設され、これら中実突起部15及び中空突起部17の先端側は上記中間リブ7よりも突出している。上記中間リブ7の車幅方向中程には、成形型25のガス注入部(図示せず)に対応してガス注入口19aを有するガス注入部19が形成され、加圧ガスをガスノズル(図示せず)から上記成形型25のガス注入部(リヤバンパー1のガス注入部19のガス注入口19a)を経てキャビティ31内の溶融樹脂中に注入して中空部13を形成するようになっている。つまり、上記中実突起部15はこのガス注入部19よりガス流通下流の上記中空部13上に対応し、上記中空突起部17は上記中実突起部15よりもガス流通下流の中空部13末端近傍上に対応している。なお、上記リヤバンパー1のガス注入部19は、加圧ガスを成形型25のガス注入部から溶融樹脂中に注入した際に残るガス注入部の形跡であり、以下、両者を同一に称呼する。そして、上記中間リブ7は、上記ガス注入部19と中実突起部15との間の幅広リブ7aと、中実突起部15と中空突起部17との間の幅狭リブ7bとで構成され、これら幅広リブ7aと幅狭リブ7bとは中実突起部15を介して連結されている。しかし、幅広リブ7a及び幅狭リブ7bは中実突起部15及び中空突起部17よりも一足早く形成されて冷却が進行しているため、幅広リブ7a及び幅狭リブ7bと中実突起部15及び中空突起部17とは完全に溶融一体化しているのではなく、特に各々の先端側は接触状態になっている。
【0021】
上記中実突起部15の基端には、上記中空部13を形成する際に、加圧ガスが成形型25の後述する第1スライド孔27b内の溶融樹脂中に少しだけ進入することで中空凹部13aが浅く形成されている(図11参照)。
【0022】
一方、上記中空突起部17の先端には、後述する第2スライダ45のガス誘導用突起45aによって形成された孔部17aが形成されているとともに、中空突起部17の基端には、上記中空部13と連通する連通中空部13bが上記幅狭リブ7bの突出寸法とほぼ同じ深さに形成されている。
【0023】
このように構成されたリヤバンパー1は、図5に示すような成形装置23を用いて射出成形される。この成形装置23は、固定型27と可動型29とからなる成形型25を備え、上記固定型27と可動型29とを型閉じした状態で、両者間にキャビティ31が形成されるようになっている。このキャビティ31は、リヤバンパー1のバンパーフェース3を形成するバンパーフェースキャビティ部31aと、上側リブ5を形成する上側リブキャビティ部31bと、幅広リブ7aを形成する幅広リブキャビティ部31c(図7参照)と、幅狭リブ7bを形成する幅狭リブキャビティ部31dとで構成されている。
【0024】
上記可動型29端部の背面側には、射出成形機の射出ノズル35が接続され、この射出ノズル35の内部にはニードル弁33が進退可能に配置されている。一方、上記固定型27端部の背面側には、ランナーバルブ37がそのロッド状弁体37aを固定型27の貫通孔27aに進退可能に挿入させて配置されている。この弁体37aは、上記射出ノズル35とキャビティ31とを連通する樹脂供給路39に先端を臨ませている。この樹脂供給路39は、射出ノズル35からキャビティ31側に並んで配置されたスプル39a、ランナー39b及びゲート39cでもって構成され、上記スプル39aが射出ノズル35のニードル弁33の進退動作により開閉するようになっているとともに、上記ランナーバルブ37の弁体37aの進退動作により樹脂供給路39のランナー39bを開閉するようになっている。そして、図5のように、成形型25を型閉じし、かつ上記ランナーバルブ37の弁体37aを後退させて樹脂供給路39のランナー39bを開いた状態において、上記ニードル弁33を後退させてスプル39aを開き、射出ノズル35から溶融樹脂をキャビティ31内に樹脂供給路39を介して射出し、該溶融樹脂中に加圧ガスを注入して基部に線条の中空部13が形成された中間リブ7をバンパーフェース3の裏面に突設させたリヤバンパー1を成形するようになっている。その射出された溶融樹脂のキャビティ31への加圧ガスの注入箇所は、図示しないが、図4においてリヤバンパー1の車幅方向中程のガス注入部19に対向するバンパーフェース3上端側である。
【0025】
上記成形型25のガス注入部、つまりリヤバンパー1のガス注入部19よりガス流通下流の固定型27には、図7にも示すように、第1スライド孔27bがキャビティ31の幅広リブキャビティ部31c及び幅狭リブキャビティ部31dを貫通して形成され、該第1スライド孔27bには、上記リヤバンパー1の中実突起部15を形成するためのピン状の第1スライダ41が第1流体圧シリンダ43の収縮作動により進退可能に配置されている。
【0026】
上記第1スライド孔27bのガス流通下流の固定型27には、第2スライド孔27cがキャビティ31の幅狭リブキャビティ部31dを貫通して形成され、該第2スライド孔27cには、上記リヤバンパー1の中空突起部17を形成するためのピン状の第2スライダ45が第2流体圧シリンダ47の伸縮作動により進退可能に配置されている。また、上記第2スライダ45の先端には、ガス誘導用突起45aが上記第2スライダ45の進退方向に同軸に突設されている。
【0027】
次に、上述の如く構成された成形装置23を用いてリヤバンパー1を成形する要領について図6〜11を参照しつつ説明する。
【0028】
(1) 成形型25を型閉めする。この状態で、第1スライダ41及び第2スライダ45は共に第1流体圧シリンダ43及び第2流体圧シリンダ47の伸長作動によりキャビティ31内のバンパーフェースキャビティ部31a手前まで前進している(図7参照)。また、ランナーバルブ37の弁体37aは後退して樹脂供給路39のランナー39bを開けている(図5参照)。
【0029】
(2) この型閉めされた成形型25のキャビティ31内に溶融樹脂を射出ノズル35から樹脂供給路39を経て射出し(図8参照)、キャビティ31内を所定圧に保圧する。これにより、キャビティ31内に全体に亘って溶融樹脂が充填される。
【0030】
(3) キャビティ31内の溶融樹脂の上記保圧工程が終了すると、成形型25の冷却を開始し、ランナーバルブ37の弁体37aを前進させて樹脂供給路39のランナー39bを閉じる。また、これと相前後して第1スライダ41を第1流体圧シリンダ43の収縮作動により後退させる(図9参照)。これにより、第1スライド孔27bに上記溶融樹脂が導入され、リヤバンパー1のバンパーフェース3裏面に上側リブ5及び中間リブ7が突設するとともにピン状中実突起部15が突設される。
【0031】
(4) 成形型25のガス注入部、つまりリヤバンパー1のガス注入部19より上記溶融樹脂中に加圧ガスを注入して上記中実突起部15基端に対応するようにバンパーフェース3の内部、つまり中間リブ7の基部11に線条の中空部13を形成するとともに、上記第1スライダ41よりガス流通下流の第2スライダ45を第2流体圧シリンダ47の収縮作動により後退させる(図10参照)。これにより、第2スライド孔27cに上記溶融樹脂及び加圧ガスが導入され、上記中空部13の末端近傍上に対応し当該中空部13と連通する連通中空部13bを有するピン状中空突起部17がリヤバンパー1のバンパーフェース3裏面に突設される(図11参照)。上記連通中空部13bは、中間リブ7の幅狭リブ7bの突出寸法とほぼ同じ深さに形成されている。これは、加圧ガスが中空部形成領域の末端まで行きそれ以上行き場がないため、第2スライド孔27c内に導入されることによるものである。これに対し、中実突起部15の基端に凹部13aが浅く形成されているのは、加圧ガスが第1スライド孔27bを通り過ぎて第2スライド孔27c側に流入して行くからである。
【0032】
(5) リヤバンパー1の冷却工程終了を待って成形型25を型開きし、上記成形されたリヤバンパー1を脱型し、樹脂供給路39で固化した樹脂をゲート39cに対応する部分から切除する。
【0033】
このようにして成形されたリヤバンパー1では、上述の如く中間リブ7がガス注入部19と中実突起部15との間の幅広リブ7aと、中実突起部15と中空突起部17との間の幅狭リブ7bとで構成され、これら幅広リブ7aと幅狭リブ7bとは中実突起部15を介して非一体的に連結されている。このことは、幅広リブ7a及び幅狭リブ7bが中実突起部15及び中空突起部17よりも一足早く形成されて冷却が進行するため、幅広リブ7a及び幅狭リブ7bと中実突起部15及び中空突起部17とが完全に溶融一体化せず、特に各々の先端側が接触状態になっているからである。
【0034】
このように、上記第1及び第2スライダ41,45の後退によりキャビティ31内を減圧していることから、加圧ガスを溶融樹脂中に進入し易くすることができる。この際、ランナーバルブ37を閉作動した状態で、第1及び第2スライダ41,45を後退させるようにしているので、さらにキャビティ31内を減圧することができ、加圧ガスの溶融樹脂中への進入を促進することができる。また、中実突起部15よりもガス流通下流側では、加圧ガスを溶融樹脂と共にガス流通下流の中空部13末端近傍の第1スライド孔27b内に導入していることから、加圧ガスを予め設定された中空部形成領域の隅々にまで行き渡らせることができ、中空部を目的通りに形成して中間リブ7に対応するバンパーフェース3表面にヒケが発生しない見栄えの向上したリヤバンパー1を得ることができる。
【0035】
また、加圧ガスをガス誘導用突起45aで誘導して第2スライド孔27c内の溶融樹脂中に一層進入し易くしていることから、加圧ガスを予め設定された中空部形成領域の隅々にまでスムーズに行き渡り易らせて中空部13を目的通りに確実に形成することができる。
【0036】
図12及び図13は成形型25の第1及び第2スライダ41,45の形状が上記の実施形態と異なる成形型25の変形例であり、図14はこの成形型25で成形されたリヤバンパー1の中間リブ、中実突起部15及び中空突起部17の断面図である。本例では、第1スライダ41の先端側の両側に2つの長溝41aを中間リブ7の突出寸法に相当して軸方向に延びるように形成するとともに、第2スライダ45の先端側の片側に1つの長溝45bを軸方向に延びるように形成している(図12及び図13参照)。
【0037】
これにより成形されるリヤバンパー1は、中実突起部15の中間リブ7から突出する部分を除く部分に第1スライダ41の長溝41aによって嵌合溝15aが両側に形成され、これら嵌合溝15aに中間リブ7の幅広リブ7a及び幅狭リブ7bが嵌合している。また、中空突起部17の中間リブ7から突出する部分とガス誘導用突起45aとを除く部分には、第2スライダ45の長溝45bによって嵌合溝17bが片側に形成され、この嵌合溝17bに中間リブ7の幅狭リブ7bが嵌合している。そして、上記中実突起部15と幅広リブ7a及び幅狭リブ7bとの嵌合構造、上記中空突起部17と幅狭リブ7bとの嵌合構造により、リヤバンパー1の上下方向に加わる荷重に対して、上記中間リブ7を上記中実突起部15及び中空突起部17で補強して中間リブ7の剛性を高めることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ガス注入部よりガス流通下流の中空部上に対応するピン状中実突起部を、第1スライダの後退により第1スライド孔に溶融樹脂を導入することで成形品本体の裏面に突設するとともに、上記中空部と連通する連通中空部を有するピン状中空突起部を、第2スライダの後退により第2スライド孔に溶融樹脂及び加圧ガスを導入することで上記中実突起部よりもガス流通下流のガス注入部末端近傍上に対応して突設した。したがって、上記第1及び第2スライダの後退によりキャビティ内を減圧した状態で加圧ガスを予め設定された中空部形成領域の隅々にまで行き渡らせることができ、基部に線条の中空部が目的通りに形成された板状リブを成形品本体の裏面に突設させたヒケのない見栄えの向上した中空樹脂射出成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リヤバンパーの車幅方向右側の中実突起部及び中空突起部を示す横断面図である。
【図2】 図1のA−A線における断面図である。
【図3】 リヤバンパーの車幅方向右側半分を示す正面図である。
【図4】 リヤバンパーの車幅方向両端を除いて示す裏面図である。
【図5】 成形型の縦断面図である。
【図6】 成形手順を示すタイミング図である。
【図7】 溶融樹脂を射出する前の状態の成形型を示す縦断面図である。
【図8】 溶融樹脂を射出した後の状態の成形型を示す縦断面図である。
【図9】 第1スライダを後退させた状態の成形型を示す縦断面図である。
【図10】 第2スライダを後退させた状態の成形型を示す縦断面図である。
【図11】 中空部及び連通中空部を有するリヤバンパーが成形された状態の成形型を示す縦断面図である。
【図12】 第1及び第2スライダの変形例を示す図7相当図である。
【図13】 (a)は図12のB−B線における断面図、(b)は図12のC−C線における断面図である。
【図14】 (a)は変形例の図12のB−B線に相当する中間リブ及び中空部の断面図、(b)は変形例の図12のC−C線に相当する中間リブ及び中空突起部の断面図である。
【符号の説明】
1 リヤバンパー(中空樹脂射出成形品)
3 バンパーフェース(成形品本体)
7 リブ
11 基部
13 中空部
13b 連通中空部
15 中実突起部
15a 嵌合溝
17 中空突起部
17b 嵌合溝
19 ガス注入部
25 成形型
27b 第1スライド孔
27c 第2スライド孔
31 キャビティ
41 第1スライダ
45 第2スライダ
45a ガス誘導用突起
Claims (3)
- 型閉めされた成形型のキャビティ内に射出された溶融樹脂中に加圧ガスを注入して基部に線条の中空部が形成された板状リブを成形品本体の裏面に突設させた中空樹脂射出成形品であって、
上記成形品本体の裏面には、ガス注入部よりガス流通下流の上記中空部上に対応するピン状中実突起部と、該中実突起部よりもガス流通下流の中空部末端近傍上に対応し当該中空部と連通する連通中空部を有するピン状中空突起部とが突設されていることを特徴とする中空樹脂射出成形品。 - 請求項1に記載の中空樹脂射出成形品において、
中実突起部及び中空突起部の少なくとも一方には、嵌合溝が形成され、該嵌合溝にリブが嵌合していることを特徴とする中空樹脂射出成形品。 - 型閉めされた成形型のキャビティ内に射出された溶融樹脂中に上記成形型のガス注入部から加圧ガスを注入して基部に線条の中空部が形成された板状リブを成形品本体の裏面に突設させた中空樹脂射出成形品を成形する中空樹脂射出成形品の成形方法であって、
型閉めされた成形型のキャビティ内に溶融樹脂を射出し、
次いで、上記ガス注入部よりガス流通下流の上記成形型の第1スライド孔に進退可能に配置された第1スライダを後退させて上記第1スライド孔に上記溶融樹脂を導入して成形品本体の裏面に板状リブを突設するとともにピン状中実突起部を突設し、
その後、上記ガス注入部から上記溶融樹脂中に加圧ガスを注入して上記中実突起部基端に対応するように上記リブの基部に線条の中空部を形成するとともに、上記第1スライド孔よりガス流通下流の上記成形型の第2スライド孔に進退可能に配置された第2スライダを後退させて上記第2スライド孔に上記溶融樹脂及び加圧ガスを導入して上記中空部の末端近傍上に対応し当該中空部と連通する連通中空部を有するピン状中空突起部を成形品本体の裏面に突設することを特徴とする中空樹脂射出成形品の成形方法。
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