JP2012158694A - 水系接着剤組成物及びウェットスーツ素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリクロロプレンラテックスに、その固形分100質量部に対して5〜30質量部のシリカを配合し、B型粘度計を用いて、No.4ローター、60秒、25℃の条件で測定した6rpmにおける粘度η6と60rpmにおける粘度η60との比(η6/η60)が1.5〜2.5となるように調整して、水系接着剤組成物とする。そして、ロール塗布機を使用して、発泡ゴムシートの片面又は両面に、この水系接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成し、接着剤層の水分が80%減少するまでの間に布類を貼り合わせて、ウェットスーツ素材とする。
【選択図】なし
Description
本発明においては、B型粘度計を用いて、No.4ローター、60秒、25℃の条件で測定した6rpmにおける粘度η6と60rpmにおける粘度η60との比(η6/η60:TI値)を1.5〜2.5にしているため、塗工性が向上する。また、水に不溶なシリカが増粘効果を発揮するため、水溶性の増粘剤を多量に配合する必要がなく、耐水性が向上する。
この水系接着剤組成物では、ポリクロロプレンラテックスに含まれるクロロプレン重合体のトルエン不溶分を20〜99質量%とすることができる。
また、ポリクロロプレンラテックスに含まれるクロロプレン重合体は、例えばカルボキシル変性クロロプレン重合体でもよい。
更に、ポリクロロプレンラテックスには、ポリビニルアルコールを乳化剤として、クロロプレンとカルボキシル基含有単量体とを共重合して得たものを使用することもできる。
本発明においては、TI値が1.5〜2.5である水系接着剤組成物により接着剤層を形成しているため、その成分が、発泡ゴムシートや布類の空隙部分にも浸透し、乾燥後には被着体へのアンカー効果が発揮される。このため、従来の接着剤組成物を使用した場合に比べて、強固な接着力が得られる。
ポリクロロプレンラテックスとは、クロロプレン重合体を、乳化剤を介して水中に乳化させたラテックス(エマルジョン)のことである。ここで、クロロプレン重合体とは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、クロロプレンと記す。)の単独重合体、又はクロロプレンと他の単量体との共重合体をいう。また、クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリル酸及びそのエステル類が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態の水系接着剤組成物に配合されるシリカは、湿式法、即ち、ケイ酸ナトリウムと硫酸等の酸の中和反応によって製造された球状シリカであり、水系接着剤組成物に配合すると、増粘効果を発揮すると共に、適度なチクソトロピック性が得られる。これにより、塗布ムラ及び糊飛びが改善され、更に、水溶性の増粘剤を多量に配合する必要がなくなるため、耐水性も向上する。
チクソトロピックインデックス(TI)値とは、B型粘度計を用いて、No.4ローター、60秒、25℃の条件で測定した6rpmにおける粘度η6と60rpmにおける粘度η60との比(η6/η60)である。そして、本実施形態の水系接着剤組成物においては、チクソトロピックインデックス(TI)値が1.5〜2.5となるように、チクソトロピック性を制御する。
本実施形態の水系接着剤組成物には、前述したポリクロロプレンラテックス及びシリカに加えて、加硫促進剤を配合することもできる。加硫促進剤は、発泡ゴムシートと布類を張り合わせた後に接着剤層を架橋させて、常態接着力、耐水性、耐溶剤性を高める効果がある。
本実施形態の水系接着剤組成物には、更に、硬化剤が配合されていてもよい。硬化剤を配合することにより、水系接着剤組成物の耐水性や耐溶剤性を、更に向上させることができる。本実施形態の水系接着剤組成物に配合される硬化剤としては、水分散型イソシアネート化合物が好ましい。
なお、本実施形態の水系接着剤組成物(2液型の場合は主剤)の固形分は、45〜60質量%であることが好ましい。この範囲であれば、チクソトロピック性を低く制御することができ、塗工性が良好な水系接着剤が得られる。
本実施形態の水系接着剤組成物を使用して、ウェットスーツ素材を製造する場合は、発泡ゴムシートに塗布された接着剤が乾燥する前に、布類を重ねなければならない。具体的には、ロール塗布機を使用して、発泡ゴムシートの片面又は両面に、本実施形態の水系接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成し、この接着剤層の水分が80%減少するまでの間に布類を貼り合わせて、ウェットスーツ素材とする。
先ず、乳化剤として使用するポリビニルアルコールを製造した。具体的には、重合反応缶に、酢酸ビニル:120g、メタノール:560g、アゾビスイソブチロニトリルの1%メタノール溶液:1.6gを仕込み、窒素置換後加熱して沸点まで昇温した。引き続き、酢酸メチル:1720g、メタノール:607g、アゾビスイソブチロニトリルの1%メタノール溶液:406gを、14時間かけて連続添加し、連続添加終了から1時間後に、酢酸ビニルの重合率99%に達したことを確認して、重合反応を停止した。
次に、前述した方法で製造したポリビニルアルコールを乳化剤として使用し、ポリクロロプレンラテックスAを製造した。具体的には、内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水:86質量部、ポリビニルアルコール:3.2質量部を60℃で溶解させた。このポリビニルアルコール水溶液を室温まで冷却した後、その中にクロロプレン単量体:97質量部、メタクリル酸:3質量部、オクチルメルカプタン0.3質量部を加えた。
固形分濃度は、アルミニウム製の皿の質量をA、この皿にポリクロロプレンラテックスを2ml入れたときの質量をB、更に、125℃で1時間乾燥させた後の質量をCとして、下記数式1により求めた。
先ず、凍結乾燥したポリクロロプレンラテックスを、23℃で20時間、トルエンで溶解(0.6%に調整)した後、遠心分離機を使用し、更に200メッシュの金網を用いてゲルを分離した。次に、分離したゲルを、風乾後、110℃雰囲気下で1時間乾燥した。そして、ゲル含有量(トルエン不溶分)は、凍結乾燥したポリクロロプレンラテックスの質量をa、分離したゲルの乾燥後の質量をbとし、下記数式2に基づいて算出した。
次に、前述した方法で製造したポリビニルアルコールを乳化剤として使用し、ポリクロロプレンラテックスBを製造した。具体的には、内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水:100質量部、不均化ロジン酸:4質量部、水酸化カリウム:1.0質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩:0.8部を仕込み、溶解後、撹拌しながら、クロロプレン:100質量部とn−ドデシルメルカプタン:1質量部を加えた。
次に、前述した方法で製造したポリビニルアルコールを乳化剤として使用し、ポリクロロプレンラテックスCを製造した。具体的には、内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水:100質量部、不均化ロジン酸:4質量部、水酸化カリウム:1.0質量部、ホルムアルデヒドナフタレンスルホン酸縮合物のナトリウム塩:0.8部を仕込み、溶解後、撹拌しながら、クロロプレン:100質量部とn−ドデシルメルカプタン:0.3質量部を加えた。
次に、前述した方法で製造したポリクロロプレンラテックスA,B,Cを使用して、下記表1及び表2に示す配合で、実施例及び比較例の各接着剤組成物を調整した。具体的には、ポリクロロプレンラテックスA〜Cの固形分100質量部に対して、酸化亜鉛エマルジョン(AZ−SW/大崎工業株式会社製)を固形分換算で5質量部、シリカを1〜35質量部配合し、更に、必要に応じて、水分散液にしたイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(ノクセラーZIX/大内新興化学工業株式会社製)を固形分換算で2質量部配合して、主剤とした。
実施例1〜8及び比較例1〜10の各接着剤組成物の評価は、以下に示す方法で行った。先ず、前述した方法で調整した接着剤組成物(主剤)に、硬化剤を混合したものを、ロール塗布機を用いて、発泡ポリクロロプレン(厚さ3mm)に80g/m2塗布し、接着剤層を形成した。その後、直ちにナイロンジャージ布を重ね、110℃に加熱されたプレス装置で1分間圧着し、評価用試料とした。
塗工性は、目視により、発泡ポリクロロプレン上に形成された接着剤層の波模様の状態を観察することにより、評価した。その際、波模様が細かく、接着剤を均一に塗布できていた場合は○、波模様が粗く、接着剤層が厚い部分と薄い部分ができていた場合は×とした。
各評価用試料について、圧着してから1日後に、引張試験機を用いて、引張速度:200mm/分の条件で、各180°剥離強度を測定した。
各評価用試料について、圧着してから7日後に、引張試験機を用いて、引張速度:200mm/分の条件で、180°剥離強度を測定した。
各評価用試料を、圧着してから1日後に、純水に7日間浸し、その後、引張試験機を用いて、引張速度:200mm/分の条件で、180°剥離強度を測定した。
各評価用試料を、圧着してから7日後に、トルエンに2秒間浸し、その後、引張試験機を用いて、引張速度:200mm/分の条件で、180°剥離強度を測定した。
Claims (5)
- ポリクロロプレンラテックスと、シリカとを少なくとも含有し、
シリカの含有量が、ポリクロロプレンラテックスの固形分100質量部に対して、5〜30質量部であり、
B型粘度計を用いて、No.4ローター、60秒、25℃の条件で測定した6rpmにおける粘度η6と60rpmにおける粘度η60との比(η6/η60)が1.5〜2.5である水系接着剤組成物。 - ポリクロロプレンラテックスに含まれるクロロプレン重合体は、トルエン不溶分が20〜99質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水系接着剤組成物。
- ポリクロロプレンラテックスに含まれるクロロプレン重合体が、カルボキシル変性クロロプレン重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系接着剤組成物。
- ポリクロロプレンラテックスが、乳化剤としてポリビニルアルコールを使用し、クロロプレンとカルボキシル基含有単量体とを共重合して得たものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水系接着剤組成物。
- ロール塗布機を使用して、発泡ゴムシートの片面又は両面に、ポリクロロプレンラテックスと、シリカとを少なくとも含有し、シリカの含有量が、ポリクロロプレンラテックスの固形分100質量部に対して、5〜30質量部であり、B型粘度計を用いて、No.4ローター、60秒、25℃の条件で測定した6rpmにおける粘度η6と60rpmにおける粘度η60との比(η6/η60)が1.5〜2.5である水系接着剤組成物又は該水系接着物組成物と硬化剤との混合物を塗布して接着剤層を形成する工程と、
前記接着剤層の水分が80%減少するまでの間に、前記発泡ゴムシートの接着剤層が形成された面に、布類を貼り合わせる工程と、
を有するウェットスーツ素材の製造方法。
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