JP7415933B2 - キサントゲン化合物分散体、共役ジエン系重合体ラテックス組成物、および膜成形体 - Google Patents

キサントゲン化合物分散体、共役ジエン系重合体ラテックス組成物、および膜成形体 Download PDF

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Description

本発明は、キサントゲン化合物分散体、共役ジエン系重合体ラテックス組成物、およびディップ成形体などの膜成形体に関し、さらに詳しくは、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫促進剤として用い、ディップ成形体などの膜成形体とした場合に、即時型アレルギー(Type I)に加えて遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制可能であり、しかも、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引裂強度が高く、引裂強度の安定性に優れ、しかもピンホールの発生が有効に抑制されたものとすることができるキサントゲン化合物分散体、このようなキサントゲン化合物分散体を用いて得られる共役ジエン系重合体ラテックス組成物、およびこのような共役ジエン系重合体ラテックス組成物を用いて得られるディップ成形体などの膜成形体に関する。
従来、天然ゴムのラテックスを含有するラテックス組成物をディップ成形して、乳首、風船、手袋、バルーン、サック等の人体と接触して使用されるディップ成形体が得られることが知られている。しかしながら、天然ゴムのラテックスは、人体に即時型アレルギー(Type I)の症状を引き起こすような蛋白質を含有するため、生体粘膜又は臓器と直接接触するディップ成形体としては問題がある場合があった。そのため、天然ゴムのラテックスではなく、合成ゴムのラテックスを用いる検討がされてきている。
たとえば、特許文献1には、ディップ成形用組成物として、合成ゴムである合成ポリイソプレンのラテックスに、酸化亜鉛、硫黄および加硫促進剤を配合してなるラテックス組成物が開示されている。しかしながら、この特許文献1の技術では、天然ゴムに由来する蛋白質による即時型アレルギー(Type I)の発生を防止できる一方で、ディップ成形体とした場合に、ディップ成形体に含まれる加硫促進剤が原因で、人体に触れた際に、遅延型アレルギー(Type IV)のアレルギー症状を発生させることがあった。
国際公開第2014/129547号
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫促進剤として用い、ディップ成形体などの膜成形体とした場合に、即時型アレルギー(Type I)に加えて遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制可能であり、しかも、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引裂強度が高く、引裂強度の安定性に優れ、しかもピンホールの発生が有効に抑制されたものとすることができるキサントゲン化合物分散体、ならびに、このようなキサントゲン化合物分散体を用いて得られる共役ジエン系重合体ラテックス組成物、およびこのような共役ジエン系重合体ラテックス組成物を用いて得られるディップ成形体などの膜成形体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、水またはアルコール中に、体積平均粒子径が0.001~9μmであるキサントゲン化合物を分散させてなるキサントゲン化合物分散体によれば、上記課題を解決できることを見出し、このような知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、水またはアルコール中に、キサントゲン化合物が分散されてなるキサントゲン化合物分散体であって、前記キサントゲン化合物の体積平均粒子径が0.001~9μmであるキサントゲン化合物分散体が提供される。
本発明のキサントゲン化合物分散体は、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤をさらに含有するものであることが好ましい。
本発明のキサントゲン化合物分散体においては、前記ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤が、ポリオキシアルキレン構造を有するものであることが好ましい。
本発明のキサントゲン化合物分散体において、前記キサントゲン化合物の95%体積累積径(D95)が、0.1~43μmであることが好ましい。
また、本発明のキサントゲン化合物分散体においては、前記キサントゲン化合物が、キサントゲン酸塩であることが好ましく、キサントゲン酸の金属塩であることがより好ましく、キサントゲン酸の亜鉛塩であることがさらに好ましい。
また、本発明によれば、共役ジエン系重合体のラテックスと、活性化剤と、上記本発明のキサントゲン化合物分散体とを含有する共役ジエン系重合体ラテックス組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、このような共役ジエン系重合体ラテックス組成物からなる膜成形体、および、このような共役ジエン系重合体ラテックス組成物をディップ成形してなるディップ成形体が提供される。
本発明によれば、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫促進剤として用い、ディップ成形体などの膜成形体とした場合に、即時型アレルギー(Type I)に加えて遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制可能であり、しかも、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引裂強度が高く、引裂強度の安定性に優れ、しかもピンホールの発生が有効に抑制されたものとすることができるキサントゲン化合物分散体、ならびに、このようなキサントゲン化合物分散体を用いて得られる共役ジエン系重合体ラテックス組成物、およびこのような共役ジエン系重合体ラテックス組成物を用いて得られる膜成形体を提供することができる。
<キサントゲン化合物分散体>
本発明のキサントゲン化合物分散体は、水またはアルコール中に、キサントゲン化合物が分散されてなるものであり、前記キサントゲン化合物の体積平均粒子径が0.001~9μmの範囲にあるものである。
本発明で用いるキサントゲン化合物としては、特に限定されないが、たとえば、キサントゲン酸、キサントゲン酸塩などが挙げられる。
キサントゲン酸塩としては、キサントゲン酸構造を有する塩化合物であればよく、特に限定されないが、キサントゲン酸の金属塩であることが好ましく、なかでも、一般式(ROC(=S)S)x-Z(ここで、Rは直鎖状または分岐状の炭化水素、Zは金属原子である。xはZの原子価と一致する数で、通常1~4、好ましくは2~4、特に好ましくは2である。)で表される化合物が好適である。また、キサントゲン酸の金属塩の中でも、キサントゲン酸の亜鉛塩がより好ましい。
上記一般式(ROC(=S)S)x-Zで表されるキサントゲン酸塩としては、特に限定されないが、たとえば、ジメチルキサントゲン酸亜鉛、ジエチルキサントゲン酸亜鉛、ジプロピルキサントゲン酸亜鉛、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ジブチルキサントゲン酸亜鉛、ジペンチルキサントゲン酸亜鉛、ジヘキシルキサントゲン酸亜鉛、ジヘプチルキサントゲン酸亜鉛、ジオクチルキサントゲン酸亜鉛、ジ(2-エチルヘキシル)キサントゲン酸亜鉛、ジデシルキサントゲン酸亜鉛、ジドデシルキサントゲン酸亜鉛、ジメチルキサントゲン酸カリウム、エチルキサントゲン酸カリウム、プロピルキサントゲン酸カリウム、イソプロピルキサントゲン酸カリウム、ブチルキサントゲン酸カリウム、ペンチルキサントゲン酸カリウム、ヘキシルキサントゲン酸カリウム、ヘプチルキサントゲン酸カリウム、オクチルキサントゲン酸カリウム、2-エチルヘキシルキサントゲン酸カリウム、デシルキサントゲン酸カリウム、ドデシルキサントゲン酸カリウム、メチルキサントゲン酸ナトリウム、エチルキサントゲン酸ナトリウム、プロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、ブチルキサントゲン酸ナトリウム、ペンチルキサントゲン酸ナトリウム、ヘキシルキサントゲン酸ナトリウム、ヘプチルキサントゲン酸ナトリウム、オクチルキサントゲン酸ナトリウム、2-エチルヘキシルキサントゲン酸ナトリウム、デシルキサントゲン酸ナトリウム、ドデシルキサントゲン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのなかでも、イソプロピルキサントゲン酸塩類、ブチルキサントゲン酸塩類であってよく、上記一般式(ROC(=S)S)x-Zにおけるxが2以上であるキサントゲン酸塩が好ましく、ジイソプロピルキサントゲン酸塩類、ジブチルキサントゲン酸塩類がより好ましく、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ジブチルキサントゲン酸亜鉛がさらに好ましく、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛が特に好ましい。これらのキサントゲン酸塩は、1種単独でも、複数種を併用してもよい。
なお、これらのキサントゲン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるキサントゲン化合物は、加硫促進剤として作用する化合物であり、そのため、本発明のキサントゲン化合物分散体は、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫促進剤として好適に用いることができる。キサントゲン化合物は、加硫時においては、加硫促進剤として作用し、加硫が行われた後には、加硫時に加わる熱等により、アルコールおよび二硫化炭素等に分解されるものである。また、分解により生成したアルコールおよび二硫化炭素等は、加硫時に加わる熱等により、通常、揮発するため、これにより、得られる共役ジエン系重合体などの重合体の加硫物中の、キサントゲン化合物の残留量を抑えることができる。そのため、本発明によれば、従来、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生原因となっていた加硫促進剤(たとえば、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤など)を使用することなく、本発明に係るキサントゲン化合物分散体を用いることにより、得られる共役ジエン系重合体などの重合体の加硫物(たとえば、ディップ成形体などの膜成形体)中における、アレルギーの原因となる物質の含有量を低減できるため、即時型アレルギー(Type I)に加えて、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制できるものである。
また、本発明においては、キサントゲン化合物を、キサントゲン化合物分散体中において、粒子状あるいは粉末状で分散させるものであり、かつ、キサントゲン化合物分散体中に分散させるキサントゲン化合物の体積平均粒子径を、0.001~9μmの範囲とするものである。本発明によれば、キサントゲン化合物分散体中に分散させるキサントゲン化合物の体積平均粒子径を0.001~9μmの範囲とすることにより、本発明のキサントゲン化合物分散体を、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫促進剤として用い、ディップ成形体などの膜成形体とした場合に、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引裂強度が高く、引裂強度の安定性に優れ、しかもピンホールの発生が有効に抑制されたものとすることができるものである。
キサントゲン化合物分散体中に分散させるキサントゲン化合物の体積平均粒子径は、0.001~9μmの範囲であればよいが、好ましくは0.05~9μmの範囲であり、より好ましくは0.05~7μmの範囲、さらに好ましくは0.07~5μmの範囲である。キサントゲン化合物分散体中に分散させるキサントゲン化合物の体積平均粒子径が小さすぎると、分散媒体としての水またはアルコール中に均一に分散させることが困難となり、そのため、所望の特性が得られなくなるおそれがある。一方、体積平均粒子径が大きすぎると、得られるディップ成形体などの膜成形体は、引裂強度が低くなり、引裂強度の安定性に劣るものとなるとともに、ピンホールの抑制効果が不十分となる。また、体積平均粒子径が大きすぎると、所望の引裂強度を実現するために要する熟成(前加硫)時間が長くなってしまい、生産性に劣るものとなってしまう。
また、本発明においては、キサントゲン化合物分散体中に分散させるキサントゲン化合物の体積平均粒子径が上記範囲であればよいが、キサントゲン化合物の95%体積累積径(D95)が0.1~43μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1~40μmの範囲、さらに好ましくは0.1~35μm、特に好ましくは0.1~20μmの範囲である。95%体積累積径(D95)を上記範囲とすることにより、引裂強度、および引裂強度の安定性の向上効果、ならびに、ピンホールの発生の抑制効果をより高めることができる。なお、キサントゲン化合物の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)は、たとえば、レーザー回折散乱式粒度分布計を用いて測定することができる。
本発明のキサントゲン化合物分散体中における、キサントゲン化合物の含有割合は、キサントゲン化合物分散体全体に対して、好ましくは1~60重量%であり、より好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは30~50重量%である。キサントゲン化合物の含有割合を上記範囲とすることにより、キサントゲン化合物分散体を、保存安定性により優れたものとすることができる。
また、本発明のキサントゲン化合物分散体は、上述したキサントゲン化合物に加えて、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤をさらに含有するものであることが好ましい。
本発明によれば、上述したキサントゲン化合物を、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤とともに、水またはアルコール中に分散させることにより、キサントゲン化合物をより良好に分散させることができ、これにより、キサントゲン化合物による加硫促進剤としての効果をより高めることができ、これにより、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫物を得る際における、加硫時間(特に、熟成(前加硫)に要する時間)の短縮を可能とすることができ、生産性の向上を図ることができる。なお、本発明においては、ノニオン系界面活性剤およびノニオニックアニオン系界面活性剤の少なくとも一方を使用することが好ましく、ノニオン系界面活性剤を用いることがより好適である。
ノニオン系界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤であればよく、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレングリコールとしては、たとえば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、たとえば、プロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドが1~50個(好ましくは、1~10個)付加した直鎖状もしくは分岐鎖状エーテルが挙げられる。これらの中でも、プロピレンオキサイドが1~50個(好ましくは、1~10個)付加した直鎖状もしくは分岐鎖状エーテル、エチレンオキサイドが1~50個(好ましくは、1~10個)付加した直鎖状もしくは分岐鎖状エーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが合計2~50個(好ましくは、2~10個)ブロックもしくはランダムに付加した直鎖状もしくは分岐鎖状エーテルなどが挙げられ、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルとしては、アルキルフェノールに、プロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドが1~50個(好ましくは、1~10個)付加した化合物などが挙げられる。
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルとしては、(モノ、ジ、トリ)スチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられ、これらのなかでも、ジスチレン化フェノールのエチレンオキサイド付加物である、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルが好ましい。
ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油としては、ヒマシ油もしくは硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、たとえば、ラウリン酸ジエタノールアミド、パルミチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン構造を有するノニオン系界面活性剤がより好ましく、ポリオキシエチレンのヒドロカルビル化エーテルであることがより好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルがさらに好ましく、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルが特に好ましい。ノニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ノニオニックアニオン系界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(すなわち、水溶液中でイオン解離してアニオン部分が界面活性を示す物質)であって、その分子主鎖中に、非イオン性の界面活性剤として作用するセグメント、たとえば、ポリアルキレンオキサイド鎖を有するものであればよく、特に限定されない。
このようなノニオニックアニオン系界面活性剤としては、たとえば、下記一般式(1)で表される化合物などが挙げられる。
-O-(CRCR-SOM (1)
(上記一般式(1)中、Rは、炭素数6~16のアルキル基、または炭素数1~25のアルキル基で置換されていてもよい炭素数6~14のアリール基、R~Rは、水素およびメチル基よりなる群からそれぞれ独立して選ばれる基、Mは、アルカリ金属原子またはアンモニウムイオン、nは3~40である。)
ノニオニックアニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸塩などのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルエーテル硫酸塩などのポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩;などが挙げられる。
ノニオニックアニオン系界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレン構造を有するノニオニックアニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン構造を有するノニオニックアニオン系界面活性剤がより好ましい。ノニオニックアニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のキサントゲン化合物分散体中における、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、キサントゲン化合物100重量部に対して、好ましくは0.1~30重量部、より好ましくは1~20重量部、さらに好ましくは4~15重量部、特に好ましくは5.5~9.5重量部である。ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤の含有量を上記範囲とすることにより、キサントゲン化合物分散体中における、キサントゲン化合物の分散性をより高めることができ、これにより、共役ジエン系重合体などの重合体の加硫物を得る際における、加硫時間の短縮効果をより高めることができる。
本発明のキサントゲン化合物分散体の製造方法としては、特に限定されないが、キサントゲン化合物と、必要に応じて用いられるノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤と、水またはアルコール(たとえば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールから選択される少なくとも一種)とを混合し、次いで、得られた混合液について解砕処理を行う方法が好ましく、特に、解砕処理の条件を調整することで、キサントゲン化合物の体積平均粒子径を上記範囲とすることが好ましい。ここで、解砕処理としては、分散体中に含有される、キサントゲン化合物の破砕や凝集の緩和を可能とすることができる処理であればよく、特に限定されないが、たとえば、せん断作用や摩砕作用を利用した解砕装置を用いる方法、攪拌式の解砕装置を用いる方法など、公知の解砕装置を用いる方法が挙げられる。具体的には、ロールミル、ハンマーミル、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、遊星型ボールミル、ビーズミル、サンドミル、三本ロールミル等の解砕装置を使用することができる。これらのなかでも、分散体中におけるキサントゲン化合物の体積平均粒子径を好適に制御できるという観点より、ボールミル、遊星型ボールミル、またはビーズミルを使用して解砕処理を行う方法が好適である。
たとえば、ボールミルを用いて解砕処理を行う場合には、メディアとして、メディアサイズが、好ましくはφ5~φ50mm、より好ましくはφ10~φ35mmであるものを使用し、回転数が、好ましくは10~300rpm、より好ましくは10~100rpm、処理時間が、好ましくは24~120時間、より好ましくは24~72時間の条件にて、解砕処理を行うことが好適である。また、遊星型ボールミルを用いて解砕処理を行う場合には、メディアとして、メディアサイズが、好ましくはφ0.1~φ5mm、より好ましくはφ0.3~φ3mmであるものを使用し、回転数が、好ましくは100~1000rpm、より好ましくは100~500rpm、処理時間が、好ましくは0.25~5時間、より好ましくは0.25~3時間の条件にて、解砕処理を行うことが好適である。さらに、ビーズミルを用いて解砕処理を行う場合には、メディアとして、メディアサイズが、好ましくはφ0.1~φ3mm、より好ましくはφ0.1~φ1mmであるものを使用し、回転数が、好ましくは1000~10000rpm、より好ましくは1000~5000rpm、処理時間が、好ましくは0.25~5時間、より好ましくは0.25~3時間の条件にて、解砕処理を行うことが好適である。
<共役ジエン系重合体ラテックス組成物>
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物は、共役ジエン系重合体のラテックスと、加硫剤と、上述した本発明のキサントゲン化合物分散体とを含有する。
共役ジエン系重合体のラテックスを構成する共役ジエン系重合体としては、特に限定されず、たとえば、合成ポリイソプレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、蛋白質を除去した天然ゴム、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体などが挙げられる。これらのなかでも、合成ポリイソプレン、SIS、蛋白質を除去した天然ゴムなどのイソプレン単位を含有するものが好ましく、合成ポリイソプレンが特に好ましい。なお、共役ジエン系重合体としては、カルボキシル基を有する単量体により変性して得られるカルボキシ変性共役ジエン系重合体であってもよい。
共役ジエン系重合体として合成ポリイソプレンを用いる場合には、合成ポリイソプレンは、イソプレンの単独重合体であってもよいし、イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とを共重合したものであってもよい。合成ポリイソプレン中のイソプレン単位の含有量は、柔軟で、引張強度に優れるディップ成形体などの膜成形体が得られやすいことから、全単量体単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上、特に好ましくは100重量%(イソプレンの単独重合体)である。
イソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、ブタジエン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン等のイソプレン以外の共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α-クロロアクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル単量体;スチレン、アルキルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル(「アクリル酸メチルおよび/またはメタクリル酸メチル」の意味であり、以下、(メタ)アクリル酸エチルなども同様。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;などが挙げられる。これらのイソプレンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体は、1種単独でも、複数種を併用してもよい。
合成ポリイソプレンは、従来公知の方法、たとえばトリアルキルアルミニウム-四塩化チタンからなるチーグラー系重合触媒やn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウムなどのアルキルリチウム重合触媒を用いて、不活性重合溶媒中で、イソプレンと、必要に応じて用いられる共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とを溶液重合して得ることができる。溶液重合により得られた合成ポリイソプレンの重合体溶液は、そのまま、合成ポリイソプレンラテックスの製造に用いてもよいが、該重合体溶液から固形の合成ポリイソプレンを取り出した後、有機溶媒に溶解して、合成ポリイソプレンラテックスの製造に用いることもできる。また、上述した方法により合成ポリイソプレンの重合体溶液を得た場合には、重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。また、市販の固形の合成ポリイソプレンを用いることもできる。
合成ポリイソプレン中のイソプレン単位としては、イソプレンの結合状態により、シス結合単位、トランス結合単位、1,2-ビニル結合単位、3,4-ビニル結合単位の4種類が存在する。得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度向上の観点から、合成ポリイソプレンに含まれるイソプレン単位中のシス結合単位の含有割合は、全イソプレン単位に対して、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。
合成ポリイソプレンの重量平均分子量は、ゲル・パーミーエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは10,000~5,000,000、より好ましくは500,000~5,000,000、さらに好ましくは800,000~3,000,000である。合成ポリイソプレンの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、ディップ成形体などの膜成形体の引張強度が向上するとともに、合成ポリイソプレンラテックスが製造しやすくなる傾向がある。
また、合成ポリイソプレンのポリマー・ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは50~85、より好ましくは60~85、さらに好ましくは70~85である。
合成ポリイソプレンラテックスを得るための方法としては、たとえば、(1)有機溶媒に溶解または微分散した合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液を、アニオン性界面活性剤の存在下に、水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、(2)イソプレン単独または、イソプレンとそれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との混合物を、アニオン性界面活性剤の存在下に、乳化重合もしくは懸濁重合して、直接、合成ポリイソプレンラテックスを製造する方法、が挙げられるが、イソプレン単位中のシス結合単位の割合が高い合成ポリイソプレンを用いることができ、引張強度等の機械的特性に優れるディップ成形体などの膜成形体が得られやすい点から、上記(1)の製造方法が好ましい。
上記(1)の製造方法で用いる有機溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂環族炭化水素溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒;等を挙げることができる。これらのうち、脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンが特に好ましい。
なお、有機溶媒の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは2,000重量部以下、より好ましくは20~1,500重量部、更に好ましくは500~1500である。
上記(1)の製造方法で用いるアニオン性界面活性剤としては、たとえば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、リノレン酸ナトリウム、ロジン酸ナトリウム等の脂肪酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸カリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ラウリルリン酸カリウム等のモノアルキルリン酸塩;等が挙げられる。
これらアニオン性界面活性剤の中でも、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、脂肪酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。
また、合成ポリイソプレン由来の、微量に残留する重合触媒(特に、アルミニウムとチタニウム)をより効率的に除去でき、共役ジエン系重合体ラテックス組成物を製造する際における、凝集物の発生が抑制されることから、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、脂肪酸塩とを併用して用いることが好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩と、脂肪酸塩とを併用して用いることが特に好ましい。ここで、脂肪酸塩としては、ロジン酸ナトリウムおよびロジン酸カリウムが好ましく、また、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸カリウムが好ましい。また、これらの界面活性剤は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
なお、上述したように、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、脂肪酸塩とを併用して用いることにより、得られるラテックスが、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種と、脂肪酸塩とを含有するものとなる。
また、上記(1)の製造方法においては、アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤を併用してもよく、このようなアニオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、α,β-不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β-不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性の界面活性剤が挙げられる。
上記(1)の製造方法で用いるアニオン性界面活性剤の使用量は、合成ポリイソプレン100重量部に対して、好ましくは0.1~50重量部、より好ましくは0.5~30重量部である。なお、2種類以上の界面活性剤を用いる場合においては、これらの合計の使用量を上記範囲とすることが好ましい。すなわち、たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種と、脂肪酸塩とを併用する場合には、これらの使用量の合計を上記範囲とすることが好ましい。アニオン性界面活性剤の使用量が少なすぎると、乳化時に凝集物が多量に発生するおそれがあり、逆に多すぎると、発泡しやすくなり、得られるディップ成形体などの膜成形体にピンホールが発生する可能性がある。
また、アニオン性界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種と、脂肪酸塩とを併用する場合には、これらの使用割合を、「脂肪酸塩」:「アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤の合計」の重量比で、1:1~10:1の範囲とすることが好ましく、1:1~7:1の範囲とすることがより好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸エステル塩およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の中から選ばれた少なくとも1種の界面活性剤の使用割合が多すぎると、合成ポリイソプレンの取り扱い時に泡立ちが激しくなるおそれがあり、これにより、長時間の静置や、消泡剤の添加などの操作が必要になり、作業性の悪化およびコストアップに繋がるおそれがある。
上記(1)の製造方法で使用する水の量は、合成ポリイソプレンの有機溶媒溶液100重量部に対して、好ましくは10~1,000重量部、より好ましくは30~500重量部、最も好ましくは50~100重量部である。使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられ、軟水、イオン交換水および蒸留水が好ましい。
有機溶媒に溶解または微分散した合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液を、アニオン性界面活性剤の存在下、水中で乳化する装置は、一般に乳化機または分散機として市販されているものであれば特に限定されず使用できる。合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液に、アニオン性界面活性剤を添加する方法としては、特に限定されず、予め、水もしくは合成ポリイソプレンの溶液または微細懸濁液のいずれか、あるいは両方に添加してもよいし、乳化操作を行っている最中に、乳化液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
乳化装置としては、たとえば、商品名「ホモジナイザー」(IKA社製)、商品名「ポリトロン」(キネマティカ社製)、商品名「TKオートホモミキサー」(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機;商品名「TKパイプラインホモミキサー」(特殊機化工業社製)、商品名「コロイドミル」(神鋼パンテック社製)、商品名「スラッシャー」(日本コークス工業社製)、商品名「トリゴナル湿式微粉砕機」(三井三池化工機社製)、商品名「キャビトロン」(ユーロテック社製)、商品名「マイルダー」(太平洋機工社製)、商品名「ファインフローミル」(太平洋機工社製)等の連続式乳化機;商品名「マイクロフルイダイザー」(みずほ工業社製)、商品名「ナノマイザー」(ナノマイザー社製)、商品名「APVガウリン」(ガウリン社製)等の高圧乳化機;商品名「膜乳化機」(冷化工業社製)等の膜乳化機;商品名「バイブロミキサー」(冷化工業社製)等の振動式乳化機;商品名「超音波ホモジナイザー」(ブランソン社製)等の超音波乳化機;等が挙げられる。なお、乳化装置による乳化操作の条件は、特に限定されず、所望の分散状態になるように、処理温度、処理時間などを適宜選定すればよい。
上記(1)の製造方法においては、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去することが望ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法としては、得られる合成ポリイソプレンラテックス中における、有機溶媒(好ましくは脂環族炭化水素溶媒)の含有量を500重量ppm以下とすることのできる方法が好ましく、たとえば、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
上記(1)の方法においては、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去して、合成ポリイソプレンラテックスを得ることが望ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法は、得られる合成ポリイソプレンラテックス中における、有機溶媒としての脂環族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒の合計含有量を500重量ppm以下とすることができるような方法であれば、特に限定されず、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
また、有機溶媒を除去した後、必要に応じ、合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度を上げるために、減圧蒸留、常圧蒸留、遠心分離、膜濃縮等の方法で濃縮操作を施してもよく、特に、合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度を上げるとともに、合成ポリイソプレンラテックス中の界面活性剤の残留量を低減することができるという観点より、遠心分離を行うことが好ましい。
遠心分離は、たとえば、連続遠心分離機を用いて、遠心力を、好ましくは100~10,000G、遠心分離前の合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度を、好ましくは2~15重量%、遠心分離機に送り込む流速を、好ましくは500~1700Kg/hr、遠心分離機の背圧(ゲージ圧)を、好ましくは0.03~1.6MPaの条件にて実施することが好ましく、遠心分離後の軽液として、合成ポリイソプレンラテックスを得ることができる。そして、これにより、合成ポリイソプレンラテックス中における、界面活性剤の残留量を低減することができる。
合成ポリイソプレンラテックスの固形分濃度は、好ましくは30~70重量%、より好ましくは40~70重量%である。固形分濃度が低すぎると、共役ジエン系重合体ラテックス組成物の固形分濃度が低くなるために、得られるディップ成形体などの膜成形体の膜厚が薄くなり破れ易くなる。逆に固形分濃度が高すぎると、合成ポリイソプレンラテックスの粘度が高くなり、配管での移送や調合タンク内での撹拌が困難になる場合がある。
合成ポリイソプレンラテックスの体積平均粒子径は、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.5~3μm、さらに好ましくは0.5~2.0μmである。この体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、ラテックス粘度が適度なものとなり取り扱いやすくなるとともに、合成ポリイソプレンラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成することを抑制できる。
また、合成ポリイソプレンラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、架橋剤、キレート剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合してもよい。pH調整剤としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
また、共役ジエン系重合体としては、上述したように、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)を用いることもできる。なお、SISにおいては、「S」はスチレンブロック、「I」はイソプレンブロックをそれぞれ表す。
SISは、従来公知の方法、たとえばn-ブチルリチウムなどの活性有機金属を開始剤として、不活性重合溶媒中で、イソプレンとスチレンとをブロック共重合して得ることができる。そして、得られたSISの重合体溶液は、SISラテックスの製造にそのまま用いてもよいが、該重合体溶液から固形のSISを取り出した後、その固形のSISを有機溶媒に溶解して、SISラテックスの製造に用いることもできる。SISラテックスの製造方法としては、特に限定されないが、有機溶媒に溶解または微分散したSISの溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化し、必要により有機溶媒を除去して、SISラテックスを製造する方法が好ましい。この際、合成した後に重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。また、市販の固形のSISを用いることもできる。
有機溶媒としては、上記合成ポリイソプレンの場合と同様のものを使用することができ、芳香族炭化水素溶媒および脂環族炭化水素溶媒が好ましく、シクロヘキサンおよびトルエンが特に好ましい。なお、有機溶媒の使用量は、SIS100重量部に対して、通常50~2,000重量部、好ましくは80~1,000重量部、より好ましくは100~500重量部、さらに好ましくは150~300重量部である。
界面活性剤としては、上記合成ポリイソプレンの場合と同様のものを例示することができ、アニオン性界面活性剤が好適であり、ロジン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
界面活性剤の使用量は、SIS100重量部に対して、好ましくは0.1~50重量部、より好ましくは0.5~30重量部である。この量が少なすぎると、ラテックスの安定性が劣る傾向にあり、逆に多すぎると、発泡しやすくなり、ディップ成形時に問題が起きる可能性がある。
上述したSISラテックスの製造方法で使用する水の量は、SISの有機溶媒溶液100重量部に対して、好ましくは10~1,000重量部、より好ましくは30~500重量部、最も好ましくは50~100である。使用する水の種類としては、硬水、軟水、イオン交換水、蒸留水、ゼオライトウォーターなどが挙げられる。また、メタノールなどのアルコールに代表される極性溶媒を水と併用してもよい。
単量体の添加方法としては、上記合成ポリイソプレンの場合と同様のものを例示することができる。また、SISの有機溶媒溶液または微細懸濁液を、界面活性剤の存在下、水中で乳化する装置は、上記合成ポリイソプレンの場合と同様のものを例示することができる。そして、界面活性剤の添加方法は、特に限定されず、予め水もしくはSISの有機溶媒溶液または微細懸濁液のいずれか、あるいは両方に添加してもよいし、乳化操作を行っている最中に、乳化液に添加してもよく、一括添加しても、分割添加してもよい。
上述したSISラテックスの製造方法においては、乳化操作を経て得られた乳化物から、有機溶媒を除去して、SISラテックスを得ることが好ましい。乳化物から有機溶媒を除去する方法は、特に限定されず、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
また、有機溶媒を除去した後、必要に応じ、SISラテックスの固形分濃度を上げるために、減圧蒸留、常圧蒸留、遠心分離、膜濃縮等の方法で濃縮操作を施してもよい。
SISラテックスの固形分濃度は、好ましくは30~70重量%、より好ましくは50~70重量%である。固形分濃度が低すぎると、共役ジエン系重合体ラテックス組成物の固形分濃度が低くなるため、ディップ成形体などの膜成形体とした際に、膜厚が薄くなり破れ易くなる。逆に固形分濃度が高すぎると、SISラテックスの粘度が高くなり、配管での移送や調合タンク内での撹拌が難しくなる。
また、SISラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、架橋剤、キレート剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合してもよい。pH調整剤としては、上記合成ポリイソプレンの場合と同様のものを例示することができ、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
このようにして得られるSISラテックスに含まれる、SIS中のスチレンブロックにおけるスチレン単位の含有量は、全単量体単位に対して、好ましくは70~100重量%、より好ましくは90~100重量%、さらに好ましくは100重量%である。また、SIS中のイソプレンブロックにおけるイソプレン単位の含有量は、全単量体単位に対して、好ましくは70~100重量%、より好ましくは90~100重量%、さらに好ましくは100重量%である。
なお、SIS中のスチレン単位とイソプレン単位の含有割合は、「スチレン単位:イソプレン単位」の重量比で、通常1:99~90:10、好ましくは3:97~70:30、より好ましくは5:95~50:50、さらに好ましくは10:90~30:70の範囲である。
SISの重量平均分子量は、ゲル・パーミーエーション・クロマトグラフィー分析による標準ポリスチレン換算で、好ましくは10,000~1,000,000、より好ましくは50,000~500,000、さらに好ましくは100,000~300,000である。SISの重量平均分子量を上記範囲とすることにより、ディップ成形体などの膜成形体の引張強度と柔軟性のバランスが向上するとともに、SISのラテックスが製造しやすくなる傾向がある。
SISラテックス中のラテックス粒子(SIS粒子)の体積平均粒子径は、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.5~3μm、さらに好ましくは0.5~2.0μmである。ラテックス粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることにより、ラテックス粘度が適度なものとなり取り扱いやすくなるとともに、SISラテックスを貯蔵した際に、ラテックス表面に皮膜が生成することを抑制できる。
また、共役ジエン系重合体としては、蛋白質を除去した天然ゴムを用いることもできる。蛋白質を除去した天然ゴムの原料となる天然ゴムとしては、天然ゴムの樹から得られたラテックスに含まれる天然ゴムおよび該ラテックスを処理したラテックスに含まれる天然ゴムを使用することができ、たとえば、天然ゴムの樹から採取されたフィールドラテックスに含まれる天然ゴムや、フィールドラテックスをアンモニア等で処理してなる市販の天然ゴムラテックスに含まれる天然ゴムなどを使用することができる。
蛋白質を除去した天然ゴムを得る際における、天然ゴムから蛋白質を除去する方法としては、特に限定されないが、天然ゴムラテックスについて、界面活性剤の存在下で、尿素化合物を反応させることにより、天然ゴム中に含まれる蛋白質を変性させた後、このような変性蛋白質を含有する天然ゴムラテックスに対し、遠心分離、ゴム分の凝固、限外ろ過等の処理を施すことにより、天然ゴムと変性蛋白質とを分離し、この変性蛋白質を除去することにより、蛋白質を除去した天然ゴムのラテックスを得ることができる。
また、共役ジエン系重合体としては、上述したように、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体を用いることもできる。
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体は、共役ジエン単量体にエチレン性不飽和ニトリル単量体を共重合してなる共重合体であり、これらに加えて、必要に応じて用いられる、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合してなる共重合体であってもよい。
共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンおよびクロロプレンなどが挙げられる。これらのなかでも、1,3-ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、共役ジエン単量体により形成される共役ジエン単量体単位の含有割合は、好ましくは56~78重量%であり、より好ましくは56~73重量%、さらに好ましくは56~68重量%である。共役ジエン単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引張強度を十分なものとしながら、風合いおよび伸びにより優れたものとすることができる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を含有するエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されないが、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、α-シアノエチルアクリロニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は、単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、エチレン性不飽和ニトリル単量体により形成されるエチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、好ましくは20~40重量%であり、より好ましくは25~40重量%、さらに好ましくは30~40重量%である。エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引張強度を十分なものとしながら、風合いおよび伸びにより優れたものとすることができる。
共役ジエン単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体としては、たとえば、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体であるエチレン性不飽和カルボン酸単量体;スチレン、アルキルスチレン、ビニルナフタレン等のビニル芳香族単量体;フルオロエチルビニルエーテル等のフルオロアルキルビニルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミド単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸-2-シアノエチル、(メタ)アクリル酸-1-シアノプロピル、(メタ)アクリル酸-2-エチル-6-シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸-3-シアノプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体;ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート等の架橋性単量体;などを挙げることができる。これらのエチレン性不飽和単量体は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を使用することで、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体を、カルボキシル基を備えるものとすることができる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体であれば特に限定されないが、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸無水物;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ-2-ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル単量体;などが挙げられる。これらのなかでも、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。これらのエチレン性不飽和カルボン酸単量体はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもできる。また、エチレン性不飽和カルボン酸単量体は単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、エチレン性不飽和カルボン酸単量体により形成されるエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有割合は、好ましくは2~5重量%であり、より好ましくは2~4.5重量%、さらに好ましくは2.5~4.5重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体を、引張強度を十分なものとしながら、風合いおよび伸びにより優れたものとすることができる。
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体中における、その他のエチレン性不飽和単量体により形成されるその他の単量体単位の含有割合は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体は、上述した単量体を含有してなる単量体混合物を共重合することにより得られるが、乳化重合により共重合する方法が好ましい。乳化重合方法としては、従来公知の方法を採用することができる。
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体のラテックスの数平均粒子径は、好ましくは60~300nm、より好ましくは80~150nmである。粒子径は、乳化剤および重合開始剤の使用量を調節するなどの方法により、所望の値に調整することができる。
また、本発明で用いる共役ジエン系重合体としては、上述したように、合成ポリイソプレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、蛋白質を除去した天然ゴム、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体などを用いることができるが、これらに限定されず、ブタジエン重合体、スチレン-ブタジエン共重合体などを用いてもよい。
ブタジエン重合体は、共役ジエン単量体としての1,3-ブタジエンの単独重合体であってもよいし、共役ジエン単量体としての1,3-ブタジエンと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体とを共重合してなる共重合体であってもよい。
また、スチレン-ブタジエン共重合体は、共役ジエン単量体としての1,3-ブタジエンにスチレンを共重合してなる共重合体であり、これらに加えて、必要に応じて用いられる、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を共重合してなる共重合体であってもよい。
また、本発明で用いる共役ジエン系重合体は、カルボキシ変性されたカルボキシ変性共役ジエン系重合体であってもよい。カルボキシ変性共役ジエン系重合体は、上述した共役ジエン系重合体を、カルボキシル基を有する単量体により変性することにより得ることができる。なお、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体として、可能なその他のエチレン性不飽和単量体として、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を使用した場合には、既にカルボキシ変性されているため、後述するカルボキシル基を有する単量体による変性は、必ずしも必要でない。
共役ジエン系重合体を、カルボキシル基を有する単量体により変性する方法としては、特に限定されないが、たとえば、共役ジエン系重合体に、カルボキシル基を有する単量体を水相中でグラフト重合する方法が挙げられる。共役ジエン系重合体にカルボキシル基を有する単量体を水相中でグラフト重合する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いればよいが、たとえば、共役ジエン系重合体のラテックスに、カルボキシル基を有する単量体と、有機過酸化物とを添加した後、水相中で、共役ジエン系重合体にカルボキシル基を有する単量体を反応させる方法が好ましい。
有機過酸化物としては、特に限定されないが、たとえば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられるが、得られるディップ成形体の機械的強度向上の観点から、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが特に好ましい。これらの有機過酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物の添加量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体のラテックスに含まれる共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.01~3重量部、より好ましくは0.1~1重量部である。
また、有機過酸化物は、還元剤との組み合わせで、レドックス系重合開始剤として使用することができる。還元剤としては、特に限定されないが、たとえば、硫酸第一鉄、ナフテン酸第一銅等の還元状態にある金属イオンを含有する化合物;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムなどのスルフィン酸塩;ジメチルアニリン等のアミン化合物;等が挙げられる。これらの還元剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
還元剤の添加量は、特に限定されないが、有機過酸化物1重量部に対して0.01~1重量部であることが好ましい。
有機過酸化物および還元剤の添加方法は、特に限定されず、それぞれ、一括添加、分割添加、連続添加等の公知の添加方法を用いることができる。
共役ジエン系重合体にカルボキシル基を有する単量体を反応させる際の反応温度は、特に限定されないが、好ましくは15~80℃、より好ましくは30~50℃である。共役ジエン系重合体にカルボキシル基を有する単量体を反応させる際の反応時間は、上記反応温度に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは30~300分間、より好ましくは60~120分間である。
共役ジエン系重合体にカルボキシル基を有する単量体を反応させる際における、共役ジエン系重合体のラテックスの固形分濃度は、特に限定されないが、好ましくは5~60重量%、より好ましくは10~40重量%である。
カルボキシル基を有する単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ブテントリカルボン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2-ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル単量体;無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の多価カルボン酸無水物;などを挙げることができるが、カルボキシ変性による効果がより一層顕著になることから、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が好ましく、アクリル酸およびメタクリル酸が特に好ましい。なお、これらの単量体は1種単独でも、2種以上を併用して用いてもよい。また、上記カルボキシル基は、アルカリ金属やアンモニア等との塩になっているものも含まれる。
カルボキシル基を有する単量体の使用量は、共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部~100重量部、より好ましくは0.01重量部~40重量部、さらに好ましくは0.5重量部~20重量部である。カルボキシル基を有する単量体の使用量を上記範囲とすることにより、得られる共役ジエン系重合体ラテックス組成物の粘度がより適度なものとなり、移送しやすくなるとともに、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度がより向上する。
カルボキシル基を有する単量体を共役ジエン系重合体のラテックスに添加する方法としては、特に限定されず、一括添加、分割添加、連続添加等の公知の添加方法を採用することができる。
カルボキシ変性共役ジエン系重合体におけるカルボキシル基を有する単量体による変性率は、得られる共役ジエン系重合体ラテックス組成物の使用目的に応じて適宜制御すればよいが、好ましくは0.01~10重量%、より好ましくは0.2~5重量%であり、さらに好ましくは0.3~3重量%、特に好ましくは0.4~2重量%である。なお、変性率は、下記式で表される。
変性率(重量%)=(X/Y)×100
なお、上記式においては、Xは、カルボキシ変性共役ジエン系重合体中における、カルボキシル基を有する単量体の単位の重量を、Yは、カルボキシ変性共役ジエン系重合体の重量をそれぞれ表す。Xは、カルボキシ変性共役ジエン系重合体について、H-NMR測定を行い、H-NMR測定の結果から算出する方法、あるいは、中和滴定により酸量を求め、求めた酸量から算出する方法などにより求めることができる。
グラフト重合に用いる重合触媒(グラフト重合触媒)としては、特に限定されないが、たとえば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができるが、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度がより向上するという観点から、有機過酸化物が好ましく、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが特に好ましい。
上記グラフト重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。グラフト重合触媒の使用量は、その種類によって異なるが、共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部である。また、グラフト重合触媒を添加する方法としては、特に限定されず、一括添加、分割添加、連続添加等の公知の添加方法を採用することができる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体(カルボキシ変性された共役ジエン系重合体を含む)のラテックスには、ラテックスの分野で通常配合される、pH調整剤、消泡剤、防腐剤、キレート化剤、酸素捕捉剤、分散剤、老化防止剤等の添加剤を配合してもよい。
pH調整剤としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
本発明で用いる共役ジエン系重合体(カルボキシ変性された共役ジエン系重合体を含む)のラテックスの固形分濃度は、好ましくは30~70重量%、より好ましくは40~70重量%である。固形分濃度を上記範囲とすることにより、ラテックス中における凝集物の発生をより有効に抑制することができるとともに、ラテックスを貯蔵した際における重合体粒子の分離をより有効に抑制することができる。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物は、上述した共役ジエン系重合体のラテックスに加えて、上述した本発明のキサントゲン化合物分散体、および加硫剤を含有する。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物中における、キサントゲン化合物分散体の配合量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体100重量部に対する、キサントゲン化合物の含有量が、好ましくは0.01~10重量部となる量、より好ましくは0.1~7重量部となる量、さらに好ましくは0.5~5重量部となる量である。キサントゲン化合物分散体の配合量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体について、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制しながら、引裂強度をより向上させることができる。
なお、キサントゲン化合物分散体中に含まれるキサントゲン化合物は、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物に含まれる活性化剤の作用により、キサントゲン酸塩の形態で存在することで、結果として、共役ジエン系重合体ラテックス組成物中に2種以上のキサントゲン化合物が含まれることになってもよい。あるいは、共役ジエン系重合体ラテックス組成物に硫黄系加硫剤等として硫黄が含まれる場合には、共役ジエン系重合体ラテックス組成物中において、キサントゲン化合物は、硫黄の作用により、その一部が、キサントゲン二硫化物やキサントゲン多硫化物の形態で存在してもよい。
加硫剤としては、硫黄系加硫剤が好適に用いられる。硫黄系加硫剤としては、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、カプロラクタムジスルフィド(N,N’-ジチオ-ビス(ヘキサヒドロ-2H-アゼピノン-2))、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2-(4’-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物が挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましく使用できる。硫黄系加硫剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のラテックス組成物中における、加硫剤の含有量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.1~10重量部、より好ましくは0.2~5重量部、さらに好ましくは0.5~3重量部である。加硫剤の含有量を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体において、硬さの上昇を抑えながら、引張強度をより高めることができる。
また、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物は、活性化剤をさらに含有するものであることが好ましい。
活性化剤としては、キサントゲン化合物分散体に含まれるキサントゲン化合物とともに用いられることで、活性化剤として作用する化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、共役ジエン系重合体としてカルボキシ変性共役ジエン系重合体を使用した場合に、カルボキシル基を架橋する架橋剤としても作用し、これにより、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度をより高めることができるため、好ましい。
金属酸化物としては、特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化カルシウム、鉛酸化物、酸化鉄、酸化銅、酸化錫、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化コバルト、および酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのなかでも、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度がより向上するという観点より、酸化亜鉛が好ましい。これらの金属酸化物は、1種単独でも、複数種を併用してもよい。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物中における、活性化剤の含有量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.01~30重量部、より好ましくは0.1~10重量部、さらに好ましくは0.5~5重量部である。活性化剤の含有割合を上記範囲とすることにより、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度をより向上させることができる。
また、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物は、得られるディップ成形体などの膜成形体における、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を抑制可能な範囲であれば、さらに加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、ディップ成形などの膜成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ-2-エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2-メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-(2,4-ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2-(4′-モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4-モルホリニル-2-ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3-ビス(2-ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられる。ただし、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生を適切に抑制するという観点より、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤以外の加硫促進剤を使用することが好ましい。なお、加硫促進剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物には、さらに、老化防止剤;分散剤;カーボンブラック、シリカ、タルク等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー等の充填剤;紫外線吸収剤;可塑剤;等の配合剤を必要に応じて配合することができる。
老化防止剤としては、2,6-ジ-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2’-メチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p-クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、などの硫黄原子を含有しないフェノール系老化防止剤;2,2’-チオビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス-(6-t-ブチル-o-クレゾール)、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノールなどのチオビスフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル-α-ナフチルアミン、フェニル-β-ナフチルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)-ジフェニルアミン、4,4’―(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5-ジ-(t-アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの老化防止剤は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物中における、老化防止剤の含有量は、カルボキシ変性共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.05~10重量部、より好ましくは0.1~5重量部である。
本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物を調製する方法としては、特に限定されないが、たとえば、上述した共役ジエン系重合体のラテックスに、活性化剤、およびキサントゲン化合物分散体、ならびに必要に応じて用いられる各種配合剤を混合する方法などが挙げられる。この際においては、共役ジエン系重合体のラテックス以外の配合成分の水性分散液を調製した後、該水性分散液を、共役ジエン系重合体のラテックスに混合する方法などを採用することもできる。
なお、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物の固形分濃度は、好ましくは10~60重量%、より好ましくは10~55重量%である。
また、本発明においては、得られるディップ成形体などの膜成形体の機械的特性を十分なものとするという観点より、ディップ成形などの膜成形に供する前に、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物について、熟成(前加硫)を行うことが好ましい。加硫促進剤は、特に限定されないが、好ましくは6~70時間、より好ましくは6~60時間、さらに好ましくは6~50時間である。なお、共役ジエン系重合体ラテックス組成物を調製するに際し、キサントゲン化合物分散体として、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤をさらに含有するものを用いる場合には、熟成(前加硫)時間を、好ましくは6~30時間、より好ましくは6~18時間と短くした場合でも、十分な機械的特性を有するディップ成形体などの膜成形体を得ることができるものであり、これにより、熟成(前加硫)に要する時間の短縮をおよび生産効率のさらなる向上を図ることができる。なお、前加硫の温度は、特に限定されないが、好ましくは20~40℃である。
<膜成形体>
本発明の膜成形体は、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物からなる膜状の成形体である。本発明の膜成形体の膜厚は、好ましくは0.03~0.50mm、より好ましくは0.05~0.40mm、特に好ましくは0.08~0.30mmである。
本発明の膜成形体としては、特に限定されないが、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物をディップ成形して得られるディップ成形体であることが好適である。ディップ成形は、共役ジエン系重合体ラテックス組成物に型を浸漬し、型の表面に当該組成物を沈着させ、次に型を当該組成物から引き上げ、その後、型の表面に沈着した当該組成物を乾燥させる方法である。なお、共役ジエン系重合体ラテックス組成物に浸漬される前の型は予熱しておいてもよい。また、型を共役ジエン系重合体ラテックス組成物に浸漬する前、または、型を共役ジエン系重合体ラテックス組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用できる。
凝固剤の使用方法の具体例としては、共役ジエン系重合体ラテックス組成物に浸漬する前の型を凝固剤の溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させる方法(アノード凝着浸漬法)、共役ジエン系重合体ラテックス組成物を沈着させた型を凝固剤溶液に浸漬する方法(ティーグ凝着浸漬法)などがあるが、厚みムラの少ないディップ成形体が得られる点で、アノード凝着浸漬法が好ましい。
凝固剤の具体例としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのハロゲン化金属;硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸亜鉛などの硝酸塩;酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛など酢酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;などの水溶性多価金属塩である。なかでも、カルシウム塩が好ましく、硝酸カルシウムがより好ましい。これらの水溶性多価金属塩は、1種単独で、または2種以上を併用することができる。
凝固剤は、通常、水、アルコール、またはそれらの混合物の溶液として使用することができ、好ましくは水溶液の状態で使用する。この水溶液は、さらにメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒やノニオン性界面活性剤を含有していてもよい。凝固剤の濃度は、水溶性多価金属塩の種類によっても異なるが、好ましくは5~50重量%、より好ましくは10~30重量%である。
型を共役ジエン系重合体ラテックス組成物から引き上げた後、通常、加熱して型上に形成された沈着物を乾燥させる。乾燥条件は適宜選択すればよい。
次いで、得られたディップ成形層に対し、加熱処理を施し加硫を行う。また、この際には、加熱処理を施す前に、水、好ましくは30~70℃の温水に、1~60分程度浸漬し、水溶性不純物(たとえば、余剰の乳化剤や凝固剤等)を除去してもよい。水溶性不純物の除去操作は、ディップ成形層を加熱処理した後に行なってもよいが、より効率的に水溶性不純物を除去できる点から、加熱処理前に行なうことが好ましい。
ディップ成形層の加硫は、通常、80~150℃の温度で、好ましくは10~130分の加熱処理を施すことにより行われる。加熱の方法としては、赤外線や加熱空気による外部加熱または高周波による内部加熱による方法が採用できる。なかでも、加熱空気による外部加熱が好ましい。
そして、ディップ成形層をディップ成形用型から脱着することによって、ディップ成形体が、膜状の膜成形体として得られる。脱着方法としては、手で成形用型から剥したり、水圧や圧縮空気の圧力により剥したりする方法を採用することができる。なお、脱着後、さらに60~120℃の温度で、10~120分の加熱処理を行なってもよい。
なお、本発明の膜成形体は、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物を、ディップ成形する方法以外にも、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物を、膜状に成形できる方法(たとえば、塗布法等)であれば、いずれの方法で得られるものであってもよい。
本発明のディップ成形体を含む本発明の膜成形体は、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物を用いて得られるものであるため、熟成(前加硫)に要する時間が短縮されたものであり、生産性に優れ、しかも引裂強度にも優れるものであり、たとえば、手袋として特に好適に用いることができる。膜成形体が手袋である場合、膜成形体同士の接触面における密着を防止し、着脱の際の滑りをよくするために、タルク、炭酸カルシウムなどの無機微粒子または澱粉粒子などの有機微粒子を手袋表面に散布したり、微粒子を含有するエラストマー層を手袋表面に形成したり、手袋の表面層を塩素化したりしてもよい。
また、本発明のディップ成形体を含む本発明の膜成形体は、上記手袋の他にも、哺乳瓶用乳首、スポイト、チューブ、水枕、バルーンサック、カテーテル、コンドームなどの医療用品;風船、人形、ボールなどの玩具;加圧成形用バック、ガス貯蔵用バックなどの工業用品;指サックなどにも用いることができる。
<接着剤組成物>
また、本発明においては、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物を、接着剤組成物として用いることができる。
接着剤組成物中における、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物の含有量(固形分量)は、好ましくは5~60重量%、より好ましくは10~30重量%である。
接着剤組成物は、本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物に加えて、接着剤樹脂を含有してなることが好ましい。接着剤樹脂としては、特に限定されないが、たとえば、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及びイソシアネート樹脂を好適に使用することができ、これらのなかでも、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂は、公知のもの(例えば、特開昭55-142635号公報に開示のもの)が使用できる。レゾルシンとホルムアルデヒドとの反応比率は、「レゾルシン:ホルムアルデヒド」のモル比で、通常、1:1~1:5、好ましくは1:1~1:3である。
また、接着剤組成物の接着力をさらに高めるために、接着剤組成物には、従来から使用されている2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシフェニルメチル)-4-クロロフェノールまたは類似の化合物、イソシアネート、ブロックイソシアネート、エチレン尿素、ポリエポキシド、変性ポリ塩化ビニル樹脂等を含有させることができる。
さらに、接着剤組成物には、架橋助剤を含有させることができる。架橋助剤を含有させることにより、接着剤組成物を用いて得られる後述する複合体の機械的強度を向上させることができる。架橋助剤としては、p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム;ラウリルメタクリレートやメチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;DAF(ジアリルフマレート)、DAP(ジアリルフタレート)、TAC(トリアリルシアヌレート)、TAIC(トリアリルイソシアヌレート)等のアリル化合物;ビスマレイミド、フェニルマレイミド、N,N-m-フェニレンジマレイミド等のマレイミド化合物;硫黄;等を挙げることができる。
<接着剤層形成基材>
本発明の接着剤層形成基材は、上述した本発明の共役ジエン系重合体ラテックス組成物または接着剤組成物を用いて形成される接着剤層を、基材表面に形成して得られる。
基材としては、特に限定されないが、たとえば繊維基材を用いることができる。繊維基材を構成する繊維の種類は、特に限定されず、たとえば、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン、アラミド(芳香族ポリアミド)等のポリアミド繊維、ガラス繊維、綿、レーヨン等が挙げられる。これらは、その用途に応じて、適宜選定することができる。繊維基材の形状は特に限定されず、たとえば、ステープル、フィラメント、コード状、ロープ状、織布(帆布等)等を挙げることができ、その用途に応じて適宜選定することができる。たとえば、接着剤層形成基材は、接着剤層を介して、ゴムと接着することにより、基材-ゴム複合体として用いることができる。基材-ゴム複合体としては、特に限定されないが、たとえば、繊維基材としてコード状のものを用いた芯線入りのゴム製歯付きベルト、帆布等の基布状の繊維基材を用いたゴム製歯付きベルト等が挙げられる。
基材-ゴム複合体を得る方法としては、特に限定されないが、たとえば、浸漬処理等により共役ジエン系重合体ラテックス組成物または接着剤組成物を基材に付着させて接着剤層形成基材を得て、接着剤層形成基材をゴム上に載置し、これを加熱および加圧する方法が挙げられる。加圧は、圧縮(プレス)成形機、金属ロール、射出成形機等を用いて行なうことができる。加圧の圧力は、好ましくは0.5~20MPa、より好ましくは2~10MPaである。加熱の温度は、好ましくは130~300℃、より好ましくは150~250℃である。加熱および加圧の処理時間は、好ましくは1~180分、より好ましくは5~120分である。加熱および加圧する方法により、ゴムの成形、および接着剤層形成基材とゴムとの接着を、同時に行なうことができるようになる。なお、加圧に用いる圧縮機の型の内面やロールの表面には、目的とする基材-ゴム複合体のゴムに所望の表面形状を付与するための型を形成させておくことが好ましい。
また、基材-ゴム複合体の一態様として、基材-ゴム-基材複合体を挙げることができる。基材-ゴム-基材複合体は、たとえば、基材(2種以上の基材の複合体であってもよい。)と基材-ゴム複合体とを組み合わせて形成することができる。具体的には、基材としての芯線、ゴムおよび基材としての基布を重ね(このとき、芯線および基布には、共役ジエン系重合体ラテックス組成物または接着剤組成物を適宜付着させて接着剤層形成基材としておく)、加熱しながら加圧することにより、基材-ゴム-基材複合体を得ることができる。
本発明の接着剤層形成基材を用いて得られる基材-ゴム複合体は、機械的強度、耐摩耗性および耐水性に優れたものであり、そのため、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、丸ベルト、角ベルト、歯付ベルト等のベルトとして好適に用いることができる。また、本発明の接着剤層形成基材を用いて得られる基材-ゴム複合体は、耐油性に優れ、油中ベルトとして好適に用いることができる。さらに、本発明の接着剤層形成基材を用いて得られる基材-ゴム複合体は、ホース、チューブ、ダイアフラム等にも好適に使用できる。ホースとしては、単管ゴムホース、多層ゴムホース、編上式補強ホース、布巻式補強ホース等が挙げられる。ダイアフラムとしては、平形ダイアフラム、転動形ダイアフラム等が挙げられる。
本発明の接着剤層形成基材を用いて得られる基材-ゴム複合体は、上記の用途以外にも、シール、ゴムロール等の工業用製品として用いることができる。シールとしては、回転用、揺動用、往復動等の運動部位シールと固定部位シールが挙げられる。運動部位シールとしては、オイルシール、ピストンシール、メカニカルシール、ブーツ、ダストカバー、ダイアフラム、アキュムレータ等が挙げられる。固定部位シールとしては、Oリング、各種ガスケット等が挙げられる。ゴムロールとしては、印刷機器、コピー機器等のOA機器の部品であるロール;紡糸用延伸ロール、紡績用ドラフトロール等の繊維加工用ロール;ブライドルロール、スナバロール、ステアリングロール等の製鉄用ロール;等が挙げられる。
以下、実施例により本発明が詳細に説明されるが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の「部」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の物性は以下のように測定した。
<固形分濃度>
アルミ皿(重量:X1)に試料2gを精秤し(重量:X2)、これを105℃の熱風乾燥器内で2時間乾燥させた。次いで、デシケーター内で冷却した後、アルミ皿ごと重量を測定し(重量:X3)、下記の計算式にしたがって、固形分濃度を算出した。
固形分濃度(重量%)=(X3-X1)×100/X2
<カルボキシ変性合成ポリイソプレンの変性率>
カルボキシ変性合成ポリイソプレンのラテックスを構成するカルボキシ変性合成ポリイソプレンについて、水酸化ナトリウム水溶液を用いた中和滴定により、カルボキシ変性合成ポリイソプレン中におけるカルボキシル基の数を求めた。次いで、求めたカルボキシル基の数に基づいて、下記式にしたがって、カルボキシル基を有する単量体による変性率を求めた。
変性率(重量%)=(X/Y)×100
なお、上記式においては、Xは、カルボキシ変性合成ポリイソプレン中における、カルボキシル基を有する単量体の単位の重量を、Yは、カルボキシ変性合成ポリイソプレンの重量をそれぞれ表す。
<パッチテスト>
膜厚が約0.2mmのフィルム状のディップ成形体を、10×10mmのサイズに切断して得た試験片を、被検者10人の腕にそれぞれ貼付した。その後、48時間後に貼付部分を観察することで、遅延型アレルギー(Type IV)のアレルギー症状の発生有無を確認し、以下の基準で評価した。
なお、パッチテストは、熟成(前加硫)時間を48時間としたディップ成形体を用いて行った。
A:全ての被検者について、アレルギー症状がみられなかった。
B:一部の被検者については、アレルギー症状がみられた。
<ディップ成形体の引裂強度、引裂強度の安定性>
ASTM D624-00に基づいて、ディップ成形体を、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室で24時間以上放置した後、ダンベル(商品名「Die C」、ダンベル社製)で打ち抜き、引裂強度測定用の試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG-1210」、A&D社製)で引張速度500mm/minで引っ張り、引裂強度(単位:N/mm)を測定した。なお、測定は、5個の試験片について行い、5個の試験片の引裂強度の測定値のうち、中央値(すなわち、5個の試験片のうち、3番目に大きい値を示した試験片の引裂強度の値)を、引裂強度の値として採用した。また、5個の試験片の引裂強度の測定値から、下記基準にしたがって、引裂強度の安定性を評価した。
〇:引裂強度の測定値が、中央値に対し±10%の範囲に入っている試験片の割合が70%以上(すなわち、5個の試験片のうち、引裂強度の測定値が、中央値に対し±10%の範囲に入っている試験片の数が、4個以上)
×:引裂強度の測定値が、中央値に対し±10%の範囲に入っている試験片の割合が70%未満(すなわち、5個の試験片のうち、引裂強度の測定値が、中央値に対し±10%の範囲に入っている試験片の数が、3個以下)
なお、ディップ成形体の引裂強度、引裂強度の安定性の測定は、実施例1~5、比較例1~3については、熟成(前加硫)時間を48時間としたディップ成形体、および熟成(前加硫)時間を72時間としたディップ成形体について行い、実施例6~12については、熟成(前加硫)時間を6時間としたディップ成形体、および熟成(前加硫)時間を48時間としたディップ成形体について行った。
<ディップ成形体のピンホール>
ディップ成形により得られた、5個のディップ成形体(手袋)について、目視にて、ピンホールの発生を確認し、以下の基準で評価した。
〇:5個のディップ成形体全てについて、ピンホールの発生は認められなかった。
×:5個のディップ成形体のうち、1個以上のディップ成形体について、ピンホールの発生が認められた。
なお、ピンホールの測定は、実施例1~5、比較例1~3については、熟成(前加硫)時間を48時間としたディップ成形体、および熟成(前加硫)時間を72時間としたディップ成形体について行い、実施例6~12については、熟成(前加硫)時間を6時間としたディップ成形体、および熟成(前加硫)時間を48時間としたディップ成形体について行った。
<製造例1>
(カルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)のラテックスの製造)
重量平均分子量が1,300,000である合成ポリイソプレン(商品名「NIPOL IR2200L」、日本ゼオン社製、イソプレンの単独重合体、シス結合単位量98%)をシクロヘキサンと混合し、攪拌しながら温度を60℃に昇温して溶解し、B形粘度計で測定した粘度が12,000mPa・sの合成ポリイソプレンのシクロヘキサン溶液(a)を調製した(固形分濃度8重量%)。
一方、ロジン酸ナトリウム20部を水に添加し、温度を60℃に昇温して溶解し、濃度1.5重量%のアニオン性界面活性剤水溶液(b)を調整した。
次に、上記シクロヘキサン溶液(a)と、上記アニオン性界面活性剤水溶液(b)とを、重量比で1:1.5となるように、ミキサー(商品名「マルチラインミキサーMS26-MMR-5.5L」、佐竹化学機械工業社製)を用いて混合し、続いて、乳化装置(商品名「マイルダーMDN310」、太平洋機工社製)を用いて、回転数4100rpmで混合及び乳化して、乳化液(c)を得た。なお、その際、シクロヘキサン溶液(a)とアニオン性界面活性剤水溶液(b)の合計のフィード流速は2,000kg/hr、温度は60℃、背圧(ゲージ圧)は0.5MPaとした。
次いで、乳化液(c)を、-0.01~-0.09MPa(ゲージ圧)の減圧下で80℃に加温し、シクロヘキサンを留去し、合成ポリイソプレンの水分散液(d)を得た。その際、消泡剤(商品名「SM5515」、東レ・ダウコーニング社製)を、乳化液(c)中の合成ポリイソプレンに対して300重量ppmの量になるよう、噴霧しながら連続添加した。なお、シクロヘキサンを留去する際には、乳化液(c)がタンクの容積の70体積%以下になるように調整し、かつ、攪拌翼として3段の傾斜パドル翼を用い、60rpmでゆっくり攪拌を実施した。
そして、シクロヘキサンの留去が完了した後、得られた合成ポリイソプレンの水分散液(d)を、連続遠心分離機(商品名「SRG510」、アルファラバル社製)を用いて、4,000~5,000Gで遠心分離し、軽液としての合成ポリイソプレンのラテックス(e)を得た。なお、遠心分離の条件は、遠心分離前の水分散液(d)の固形分濃度10重量%、連続遠心分離時の流速は1300kg/hr、遠心分離機の背圧(ゲージ圧)は1.5MPaとした。得られた合成ポリイソプレンのラテックス(e)は、固形分濃度が60重量%であった。
次いで、得られた合成ポリイソプレンのラテックス(e)中の合成ポリイソプレン100部に対して、蒸留水130部を添加して希釈した。そして、合成ポリイソプレンのラテックス(e)に、合成ポリイソプレン100部に対して、分散剤としてのβ-ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(商品名「デモールT-45」、花王社製)0.8部を合成ポリイソプレン100部に対し4部の蒸留水で希釈したものを5分間かけて添加した。次いで、分散剤を添加した合成ポリイソプレンのラテックス(e)を、窒素置換された攪拌機付き反応容器に仕込み、撹拌しながら温度を30℃にまで加温した。また、別の容器を用い、カルボキシル基を有する単量体としてのメタクリル酸2部と蒸留水16部とを混合してメタクリル酸希釈液を調整した。このメタクリル酸希釈液を、30℃にまで加温した反応容器内に、30分間かけて添加した。
さらに、別の容器を用い、蒸留水7部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(商品名「SFS」、三菱ガス化学社製)0.32部、硫酸第一鉄(商品名「フロストFe」、中部キレスト社製)0.01部からなる溶液(f)を調製した。この溶液(f)を反応容器内に移した後、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(商品名「パーオクタH」、日本油脂社製)0.5部を添加して30℃で1時間反応させることで、カルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)のラテックスを得た。次いでカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)を遠心分離機にて濃縮して固形分濃度56%の軽液を得た。そして、得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)のラテックスについて、上記方法にしたがってカルボキシル基を有する単量体による変性率を測定したところ、変性率は0.3重量%であった。
<製造例2>
(カルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-2)のラテックスの製造)
メタクリル酸の使用量を5部に変更した以外は、製造例1と同様にして、固形分濃度55%のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-2)のラテックスを得た。得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-2)のラテックスについて、上記方法にしたがってカルボキシル基を有する単量体による変性率を測定したところ、変性率は1.0重量%であった。
<製造例3>
(カルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)のラテックスの製造)
メタクリル酸の使用量を3部に変更した以外は、製造例1と同様にして、固形分濃度55%のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)のラテックスを得た。得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)のラテックスについて、上記方法にしたがってカルボキシル基を有する単量体による変性率を測定したところ、変性率は0.5重量%であった。
<実施例1>
(キサントゲン化合物分散体の調製)
キサントゲン化合物としてのジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(商品名「ノクセラーZIX」、大内新興化学工業株式会社製、体積平均粒子径:14μm、95%体積累積径(D95):55μm)2部、ノニオン系界面活性剤としてのポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(商品名「エマルゲンA-60」、花王社製)0.15部、および水4.5部を、ビーズミル(商品名「スターミルLMZ-015」、アシザワ・ファインテック社製)により混合することで解砕処理を行うことで、キサントゲン化合物分散体を得た。なお、ビーズミルによる、混合条件としては、φ0.5mmのセラミック磁製ビーズを使用し、3800rpmで1.5時間とした。また、得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、レーザー回折散乱式粒度分布計(商品名「SALD-2300」、株式会社 島津製作所製)を使用して測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は0.07μmであり、95%体積累積径(D95)は0.1μmであった。
(ラテックス組成物の調製)
まず、スチレン-マレイン酸モノ-sec-ブチルエステル-マレイン酸モノメチルエステル重合体(商品名「Scripset550」、Hercules社製)を準備し、水酸化ナトリウムを用い、重合体中のカルボキシル基を100%中和することで、ナトリウム塩水溶液(濃度10重量%)を調製した。そして、このナトリウム塩水溶液を、製造例1で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)のラテックスに、ラテックス中のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)100部に対して固形分換算で0.8部になるようにして添加し、混合物を得た。
そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)100部に対して、上記にて調製したキサントゲン化合物分散体6.65部(ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛換算で2部)を添加した。
次いで、固形分換算で、活性化剤としての酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名「Wingstay L」、グッドイヤー社製)2部となるように、各配合剤の水分散液を添加して、ラテックス組成物を得た。そして、得られたラテックス組成物を、2分割し、一方については、25℃に調整された恒温水槽で48時間熟成(前加硫)を行い、他方については、25℃に調整された恒温水槽で72時間熟成(前加硫)を行うことで、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物を得た。
(ディップ成形体の製造)
市販のセラミック製手型(シンコー社製)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン109P」、花王社製)を含有する凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、凝固剤水溶液から取り出した。次いで、手型を70℃のオーブン内で30分以上乾燥させることで、手型に凝固剤を付着させて、手型を凝固剤により被覆した。
その後、凝固剤で被覆された手型を、オーブンから取り出し、上記にて得られた48時間熟成ラテックス組成物に10秒間浸漬した。次いで、この手型を、室温で10分間風乾してから、60℃の温水中に5分間浸漬して水溶性不純物を溶出させて、手型にディップ成形層を形成した。その後、手型に形成したディップ成形層を、オーブンにより温度130℃、30分間の条件で加熱することにより加硫させた後、室温まで冷却し、タルクを散布してから手型から剥離して、手袋形状のディップ成形体(48時間熟成品)を得た。また、48時間熟成ラテックス組成物に代えて、72時間熟成ラテックス組成物を使用した以外は、上記と同様にして、手袋形状のディップ成形体(72時間熟成品)を得た。そして、得られたディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を用いて、上記方法にしたがって、パッチテスト、引裂強度、引裂強度の安定性、およびピンホールの有無の各測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例2>
キサントゲン化合物分散体を調製する際における解砕処理を、遊星式ボールミル(商品名「クラッシクラインP-5」、フリッチュ社製)を用いて行うとともに、遊星式ボールミルによる混合を、φ1.0mmのセラミック磁製ボールを使用し、340rpmで1時間の条件で行った以外は、実施例1と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は1μmであり、95%体積累積径(D95)は5μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
キサントゲン化合物分散体を調製する際における解砕処理を、ボールミル(商品名「磁製ボールミル」、日陶科学社製)を用いて行うとともに、ボールミルによる混合を、φ10mm~φ35mmのセラミック磁製ボール(φ10mm、φ15mm、φ20mm、φ25mm、φ30mmおよびφ35mmのセラミック磁製ボールを混合したもの)を使用し、50rpmで72時間の条件で行った以外は、実施例1と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
キサントゲン化合物分散体を調製する際における、ボールミルによる解砕処理の時間を48時間に変更した以外は、実施例3と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は7μmであり、95%体積累積径(D95)は35μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
製造例1で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-1)のラテックスに代えて、製造例2で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-2)のラテックスを使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
キサントゲン化合物分散体を調製する際における、ボールミルによる解砕処理の時間を24時間に変更した以外は、実施例3と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は10μmであり、95%体積累積径(D95)は44μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
キサントゲン化合物分散体を調製する際に、解砕処理を行わなかった(すなわち、単に、混合したのみ)以外は、実施例1と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は14μmであり、95%体積累積径(D95)は55μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体の調製)
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、水0.9部、およびノニオン系界面活性剤としてのポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(商品名「エマルゲンA-60」、花王社製)0.03部を、ボールミル(商品名「磁製ボールミル」、日陶科学社製)により混合することで解砕処理を行うことで、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体を得た。なお、ボールミルによる混合条件は、実施例3と同じとした。得られたジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体中のジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は1μmであり、95%体積累積径(D95)は4μmであった。
(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体の調製)
ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、水1.5部、およびノニオン系界面活性剤としてのポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(商品名「エマルゲンA-60」、花王社製)0.05部を、ボールミル(商品名「磁製ボールミル」、日陶科学社製)により混合することで解砕処理を行うことで、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体を得た。なお、ボールミルによる混合条件は、実施例3と同じとした。得られたジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体中のジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は13μmであった。
(2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体の調製)
2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛0.7部、水2.1部、およびノニオン系界面活性剤としてのポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(商品名「エマルゲンA-60」、花王社製)0.07部を、ボールミル(商品名「磁製ボールミル」、日陶科学社製)により混合することで解砕処理を行うことで、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体を得た。なお、ボールミルによる混合条件は、実施例3と同じとした。得られた2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体中の2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の体積平均粒子径は0.5μmであり、95%体積累積径(D95)は2μmであった。
(ラテックス組成物の調製、ディップ成形体の製造)
そして、キサントゲン化合物分散体に代えて、上記にて調製したジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体1.23部(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛換算で、0.3部)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体2.05部(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛換算で、0.5部)、および2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体2.87部(2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛換算で、0.7部)を使用した以外は、実施例1と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例4>
ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体、および2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体を調製する際に、ボールミルによる解砕処理の時間を24時間とした以外は、比較例3と同様にして、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛の分散体、および2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛の分散体を得た。得られた分散体中に含まれる、各加硫促進剤の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)は、表1に示す通りであった。そして、得られたこれらの分散体を用いて、比較例3と同様にして、48時間熟成ラテックス組成物、および72時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(48時間熟成品および72時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007415933000001
<実施例1~5、比較例1~4の評価>
表1に示すように、体積平均粒子径が0.001~9μmであるキサントゲン化合物を含有するキサントゲン化合物分散体を使用して得られたラテックス組成物は、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生が有効に抑制されたディップ成形体を与えるものであり、得られるディップ成形体は十分な引裂強度を有し、さらには、引裂強度の安定性も高く、ピンホールの発生が有効に抑制されたものであった(実施例1~5)。
一方、体積平均粒子径が10μmであるキサントゲン化合物を含有するキサントゲン化合物分散体を使用した場合には、得られるディップ成形体は、ピンホールが発生してしまう結果となり、また、熟成時間48時間では、引裂強度が低く、引裂強度の安定性に劣るものであり、これらを十分なものとするためには、熟成時間を72時間と非常に長くする必要があった(比較例1)。
また、体積平均粒子径が14μmであるキサントゲン化合物を含有するキサントゲン化合物分散体を使用した場合には、得られるディップ成形体は、ピンホールが発生してしまう結果となり、また、熟成時間48時間とした場合、熟成時間72時間とした場合のいずれの場合でも、引裂強度が低く、引裂強度の安定性に劣るものであった(比較例2)。
さらに、加硫促進剤として、キサントゲン化合物に代えて、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、および2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛を使用した場合には、得られるディップ成形体は、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生してしまうものとなった(比較例1,2)。なお、これら比較例1,2は、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、および2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛として、体積平均粒子径が互いに異なるものを使用した例であるが、比較例1,2の両方とも、引裂強度、引裂強度の安定性、およびピンホールの抑制についての効果は、ほぼ同程度となる結果であった。
<実施例6>
(キサントゲン化合物分散体の調製)
キサントゲン化合物としてのジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛(商品名「ノクセラーZIX」、大内新興化学工業株式会社製、体積平均粒子径:14μm、95%体積累積径(D95):55μm)2部、ノニオン系界面活性剤としてのポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(商品名「エマルゲンA-60」、花王社製)0.15部、および水4.5部を、ボールミル(商品名「磁製ボールミル」、日陶科学社製)により混合することで解砕処理を行うことで、キサントゲン化合物分散体を得た。なお、ボールミルによる、混合条件としては、φ15mmとφ20mmのセラミック磁製ボールを使用し、50rpmで72時間以上回転させた。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
(ラテックス組成物の調製)
まず、スチレン-マレイン酸モノ-sec-ブチルエステル-マレイン酸モノメチルエステル重合体(商品名「Scripset550」、Hercules社製)を準備し、水酸化ナトリウムを用い、重合体中のカルボキシル基を100%中和することで、ナトリウム塩水溶液(濃度10重量%)を調製した。そして、このナトリウム塩水溶液を、製造例3で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)のラテックスに、ラテックス中のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)100部に対して固形分換算で0.8部になるようにして添加し、混合物を得た。
そして、得られた混合物を攪拌しながら、混合物中のカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)100部に対して、上記にて調製したキサントゲン化合物分散体6.65部(ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛換算で2部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル換算で0.15部)を添加した。
次いで、固形分換算で、活性化剤としての酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名「Wingstay L」、グッドイヤー社製)2部となるように、各配合剤の水分散液を添加して、ラテックス組成物を得た。そして、得られたラテックス組成物を、2分割し、一方については、25℃に調整された恒温水槽で6時間熟成(前加硫)を行い、他方については、25℃に調整された恒温水槽で48時間熟成(前加硫)を行うことで、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物を得た。
そして、得られた6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして、手袋形状のディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、実施例1と同様にして、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例7>
製造例3で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-3)のラテックスに代えて、製造例2で得られたカルボキシ変性合成ポリイソプレン(A-2)のラテックスを使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例8>
キサントゲン化合物分散体の調製する際に、キサントゲン化合物として、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛2部に代えて、ブチルキサントゲン酸亜鉛2部を使用した以外は、実施例6と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のブチルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ブチルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例9>
キサントゲン化合物分散体の調製する際に、キサントゲン化合物として、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛2部に代えて、エチルキサントゲン酸亜鉛2部を使用した以外は、実施例6と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のエチルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、エチルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例10>
キサントゲン化合物分散体の調製する際に、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル0.15部に代えて、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル、商品名「エマルゲン108」、花王社製)0.15部を使用した以外は、実施例6と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例11>
キサントゲン化合物分散体の調製する際に、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル0.15部に代えて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレン(9)アルキル(sec-C11-15)エーテル、商品名「エマルゲン709」、花王社製)0.15部を使用した以外は、実施例6と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例12>
キサントゲン化合物分散体の調製する際に、ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル0.15部に代えて、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(商品名「エマルゲンPP-290」、花王社製)0.15部を使用した以外は、実施例6と同様にして、キサントゲン化合物分散体を得た。得られたキサントゲン化合物分散体中のジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径および95%体積累積径(D95)を、実施例1と同様にして測定したところ、ジイソプロピルキサントゲン酸亜鉛の体積平均粒子径は3μmであり、95%体積累積径(D95)は16μmであった。
そして、得られたキサントゲン化合物分散体を使用した以外は、実施例6と同様にして、6時間熟成ラテックス組成物、および48時間熟成ラテックス組成物、ならびにディップ成形体(6時間熟成品および48時間熟成品)を得て、同様に測定・評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007415933000002
<実施例6~12の評価>
表2に示すように、体積平均粒子径が0.001~9μmであるキサントゲン化合物を含有するキサントゲン化合物分散体を使用して得られたラテックス組成物は、遅延型アレルギー(Type IV)の症状の発生が有効に抑制されたディップ成形体を与えるものであり、得られるディップ成形体は十分な引裂強度を有し、さらには、引裂強度の安定性も高く、ピンホールの発生が有効に抑制されたものであった(実施例6~12)。また、実施例6~12のキサントゲン化合物分散体は、いずれも、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤を含有するものであり、実施例6~12の結果からも明らかなように、熟成を6時間と短くした場合でも、十分な機械強度を備えるディップ成形体を与えることができるものであり、この結果より、ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤をさらに含有させることにより、熟成(前加硫)に要する時間を短縮でき、生産性に優れるものであることが確認できる。

Claims (8)

  1. 水またはアルコール中に、キサントゲン化合物が分散されてなるキサントゲン化合物分散体であって、
    前記キサントゲン化合物の体積平均粒子径が0.001~9μmであり、
    前記キサントゲン化合物が、キサントゲン酸の金属塩であるキサントゲン化合物分散体。
  2. ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤をさらに含有する請求項1に記載のキサントゲン化合物分散体。
  3. 前記ノニオン系界面活性剤および/またはノニオニックアニオン系界面活性剤が、ポリオキシアルキレン構造を有する請求項2に記載のキサントゲン化合物分散体。
  4. 前記キサントゲン化合物の95%体積累積径(D95)が、0.1~43μmである請求項1~3のいずれかに記載のキサントゲン化合物分散体。
  5. 前記キサントゲン化合物が、キサントゲン酸の亜鉛塩である請求項1~4のいずれかに記載のキサントゲン化合物分散体。
  6. 共役ジエン系重合体のラテックスと、加硫剤と、請求項1~5のいずれかに記載のキサントゲン化合物分散体とを含有する共役ジエン系重合体ラテックス組成物。
  7. 請求項6に記載の共役ジエン系重合体ラテックス組成物からなる膜成形体。
  8. 請求項6に記載の共役ジエン系重合体ラテックス組成物をディップ成形してなるディップ成形体。
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