JP2004182794A - 耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 - Google Patents
耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004182794A JP2004182794A JP2002349030A JP2002349030A JP2004182794A JP 2004182794 A JP2004182794 A JP 2004182794A JP 2002349030 A JP2002349030 A JP 2002349030A JP 2002349030 A JP2002349030 A JP 2002349030A JP 2004182794 A JP2004182794 A JP 2004182794A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- weight
- latex
- monomer
- resistant adhesive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】ホルマリンを含まず、イソシアネートと水性エマルション間の過度な反応性を抑制することでポットライフを確保し、かつ芳香族系ビニル単量体を含まない、特に耐熱性に優れた水性高分子イソシアネート系接着剤を提供すること。
【解決手段】脂肪族共役ジエン5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニルを除く)0〜59.9重量%未満からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、数平均粒子径が80nm〜250nm、ゲル含有率が30%〜98%である耐水接着剤用ラテックス、および該ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子50〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されてなる水性高分子イソシアネート系耐水接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】脂肪族共役ジエン5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニルを除く)0〜59.9重量%未満からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、数平均粒子径が80nm〜250nm、ゲル含有率が30%〜98%である耐水接着剤用ラテックス、および該ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子50〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されてなる水性高分子イソシアネート系耐水接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホルマリンを含まず粘度安定性および耐熱性に優れた耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から木材用の接着剤として使われてきた、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのホルマリン系の熱硬化性接着剤は、放出するホルマリンによるシックハウス症候群などの問題のため、室内用途での使用が非常に厳しい状況となってきている。そのためそれに代わる接着剤として非ホルマリン系の代表である水性高分子イソシアネート系接着剤(あるいは水性ビニルウレタン接着剤とよばれる)が脚光を浴びている。この水性高分子イソシアネート系接着剤は、主剤である水溶性高分子・水性エマルジョン配合物と硬化剤であるイソシアネート化合物を使用直前に混合するタイプの接着剤であり、例えば特許文献1などにその製法が述べられている。一般に主剤の内、水溶性高分子としてはポリビニルアルコールが主に用いられ、水性エマルジョンとしては、(エチレン)酢ビエマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリルエマルジョンが通常用いられている。これら水性エマルジョンは接着強度の向上を目的として水溶性高分子と併せて使用されるものであるが、これらのうち特に接着強度向上に効果があるものを選択して配合した場合、主剤の貯蔵時の粘度安定性(以下、貯蔵安定性と呼ぶ)を確保することが困難であったり、または硬化剤のイソシアネート化合物を混合した直後にすぐ反応が進行してしまうため可使時間(以下、ポットライフと呼ぶ)が短くなるなど接着剤としての実用性に問題が発生することがある。
【0003】
こういった問題を解決する手段として、例えば特許文献2では大粒子径の共重合体ラテックスを用いる方法や、特許文献3に見られるように特定の界面活性剤を使用した共重合体ラテックスを用いる方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法は貯蔵安定性やポットライフは良好であるものの接着剤としての強度が不足する場合が多い。
また特許文献4のようにエチレン酢ビエマルジョンに共重合するエチレン性不飽和カルボン酸単量体の量を規定した例や特許文献5のようにアクリルエマルジョンに共重合するヒドロキシル基含有ビニル単量体の量を規定した例が紹介されている。これらのように官能基を導入することは貯蔵安定性の確保には効果があるが、これらの官能基は元来イソシアネートとの反応に富んでいるため、強度の向上には効果があるものの、通常ポットライフが大幅に短くなる傾向にあるため、多量に導入することは困難である。
【0004】
一方、室内材料に使われる接着剤には、長期にわたってある程度の高温条件下におかれる場合もある。この場合には、耐熱性が比較的良好とされるエチレン酢ビエマルジョンやアクリルエマルジョンを水性エマルジョンとして使用する場合が多い。しかしながら、これらは接着強度においてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスのような芳香族ビニル単量体を含むエマルジョンに比べると十分満足な結果が得られない場合が見受けられる。
このように、水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水・耐熱強度と貯蔵安定性・ポットライフの総てを満足するさせるような水性エマルジョンを設計することはきわめて困難な課題とされていた。
【0005】
【先行文献】
【特許文献1】特公昭51−30576号公報
【特許文献2】特開昭59−59768号公報
【特許文献3】特開平05−331440号公報
【特許文献4】特開2000−226562号公報
【特許文献5】特開2002−129121号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決すべく水性エマルジョンの開発検討を重ねた結果、特定の単量体を重合してなる特定の共重合体ラテックスを使用することにより、イソシアネートと水性エマルジョン間の過度な反応性を抑制することでポットライフを確保し、かつ耐水強度と耐熱強度の優れる水性高分子イソシアネート系接着剤をもたらすことを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
脂肪族共役ジエン系単量体5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニル系単量体を除く)0〜59.9重量%未満からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、数平均粒子径が80nm〜250nm、ゲル含有率が30%〜98%であることを特徴とする耐水接着剤用ラテックス、および該ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子50〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されていることを特徴とする水性高分子イソシアネート系耐水接着剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における耐水接着剤用共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニル系単量体を除く)により構成される。
【0009】
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。これらのうち、特にメチルメタクリレートを50重量%以上用いることが好ましく、またメチルメタクリレートを単独で用いることがさらに好ましい。
【0011】
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0012】
その他の共重合可能なビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド系単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を使用することができる。
【0013】
上記の単量体組成については、脂肪族共役ジエン系単量体5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体0〜59.9重量%であることが必要である。
【0014】
脂肪族共役ジエン系単量体が5重量%未満または64.9重量%を超える場合、共重合体ラテックスのフィルムはそれぞれ硬過ぎるかまたは柔軟過ぎるため、それらを配合した接着剤の接着力は十分でない。好ましくは脂肪族共役ジエン系単量体10〜49.9重量%である。また(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体が35重量%未満の場合は、共重合体ラテックスの耐熱性が不十分であり、また94.9重量%を超えるとそれを配合した接着剤の接着力が不十分である。好ましくは50〜79.9重量%である。
【0015】
エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が0.1重量%未満では共重合体ラテックスの安定性が低下し、また3重量%を超えるとイソシアネート化合物添加後のポットライフが短くなったり、泡が発生したりする原因となる。好ましくは0.1〜2.5重量%である。
【0016】
本発明における共重合体ラテックスのゲル含有率は30〜98重量%である。該ゲル含有率が30重量%未満または98重量%を超えると耐水接着剤の接着強度が不足するため好ましくない。
なお、ゲル含有率とは、共重合体ラテックスフィルムのトルエンに対する不溶部の割合のことであり、具体的には以下の手法により求められる。
【0017】
ゲル含有率の測定方法
水酸化ナトリウムにてpH=8に調整した共重合体ラテックスをガラス板上に塗布後、室温乾燥でラテックスからフィルムを作製する。その後フィルム約1gを正確に秤量後400ccのトルエンに入れ48時間浸漬放置する。その後あらかじめ精秤した300メッシュの金網で濾過し、金網に残った残留物を秤量する。さらに充分乾燥した後、金網に残った残留物を秤量する。次式により共重合体ラテックスのゲル含有率を求める。
ゲル含有率(%)=(トルエン浸せき後の金網残留物の乾燥重量)÷(トルエン浸せき前のフィルムの重量)×100
【0018】
本発明における共重合体ラテックスの粒子径はそれを配合した接着剤の強度発現のため数平均粒子径で80〜250nmであることが必要である。好ましくは、100〜200nmである。
数平均粒子径は動的光散乱法により測定することができる(測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用)。
【0019】
本発明における各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。また、その乳化重合方法においても特に制限はなく、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れでも採用することができる。更に、乳化重合において、常用の連鎖移動剤、乳化剤、保護コロイド、重合開始剤、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0020】
本発明においては必要に応じて連鎖移動剤を使用することができる。このような連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
これら連鎖移動剤の使用量について何ら制限はなく、共重合体ラテックスに求められる性能に応じて適宜調整することができるが、好ましくは単量体混合物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0022】
乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が1種又は2種以上で用いられる。
【0023】
保護コロイドとしてはポリビニルアルコール系の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体、もしくはセルロース系のヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが使用される。
【0024】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0025】
また、炭化水素系溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物が挙げられる。
【0026】
本発明の耐水接着剤は,上記耐水接着剤用ラテックスと水溶性高分子によって構成される主剤と架橋剤であるイソシアネート系化合物とが混合されてなるものである。
【0027】
水溶性高分子であるポリビニルアルコールとしては通常の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの重合度300〜2500、ケン化度80〜100%が好ましいものとして挙げられる。
【0028】
上記水溶性高分子の使用量としては、耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは30〜160重量部である。該水溶性高分子が5重量部未満では初期接着性が不十分であり、また200重量部を超えると貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
【0029】
架橋剤であるイソシアネート系化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を含むものなら何でもよく、たとえばトリレンジイソシアネートおよびその水素化物、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート付加縮合物などのポリイソシアネートを挙げることができ、これらのうちトリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその重合物が好ましい。また、ポリイソシアネートとポリオールとの混合方式、すなわち、ポリエステルなどのポリオールに、上記のイソシアネート系化合物を過剰に混合したものであってもよい。更に、プレポリマー方式、すなわち、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとによりあらかじめポリマー化したNCO末端プレポリマーを用いてもよいし,過剰のポリオールであらかじめポリマー化したOH末端プレポリマーに上記のポリイソシアネートを過剰に添加したものであってもよい。
【0030】
イソシアネート化合物の含有量は耐水接着剤用共重合体ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜250重量部が好ましく、更に好ましくは30〜200重量部である。イソシアネート化合物が10重量部未満では初期接着強度、耐熱強度が不足し、また250重量部を超えるとポットライフが短くなりすぎるため好ましくない。
【0031】
本発明の耐水接着剤には、増量剤、充填剤を配合することができる。これら増量剤、充填剤の例としては、小麦粉、デンプン類、脱脂大豆粉、粉、クレー、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらの増量剤、充填剤は耐水接着剤用共重合体ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜400重量部であることが好ましく、更に好ましくは30〜300重量部である。さらに必要に応じて増粘剤、分散剤、浸透剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、溶剤、着色顔料などを加えることも可能である。
【0032】
本発明の耐水接着剤は合板、LVL(Laminated Veneer Lumber)、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の材料の接着用途に好適であり、その他に紙、布、金属、陶磁器、ガラス、各種プラスチック、無機・セメントからなる板状あるいは繊維状の素材の同一または異種間の接着もしくはコーティングにも適用することができる.
【0033】
【実施例】以下に、本発明の優れた効果を明示するために、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中に示す部および%は、特に断りの無い限り、重量を基準としたものである。
【0034】
共重合体ラテックス(a)〜(i)の製造
10リットルのオ−トクレ−ブに、水100部、表1に示す部数のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、過硫酸カリウム0.5部、表1に示す部数のt−ドデシルメルカプタンおよび表1に示す組成の単量体混合物の10%を仕込み、十分に撹拌しながら65℃に昇温して1時間反応させた。次いで、表1に示す組成の単量体混合物の残部を5時間で連続添加しながら重合を行ない、さらにその後4時間熟成を行った。これら共重合体ラテックスを苛性ソ−ダ水溶液にてpH8に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体等を除去し、共重合体ラテックス製造例(a)〜(d)および比較製造例(e)〜(i)を製造した。
【0035】
実施例1
主剤の配合
上記にて得られた共重合体ラテックス(固形分50%に調製)/ポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール217、固形分15%水溶液に調製)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 スーパーSS)/ヘキサメタリン酸ソーダ、を見かけ重量部で100部/100部/60部/0.5部(固形分重量比で100/30/120/1)となるよう配合・攪拌し主剤(A)〜(I)を得た。
接着剤の配合
上記各主剤に対し、架橋剤であるイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート系化合物、住友バイエルウレタン製)39部を添加し5分間強攪拌し各耐水接着剤(A)〜(I)を得た。
【0036】
試験方法
(1)貯蔵安定性
主剤配合直後の常温における粘度(直後粘度)およびポリビンに密封し40℃にて10日保存した後、常温に戻してから粘度(経時粘度)をBH粘度計にて計測した。
(2)ポットライフ
接着剤配合完了後20℃にて5分間放置した後の粘度と90分間放置した後の粘度をBH粘度計にて計測した。
(3)初期接着性能試験
比着材:カバ材柾目(含水率量8%)、接着剤塗布量:250g/m2、堆積:1分、圧締条件:20℃、20分、150N/m2、で試験片を作製し、JIS K6852に基づき圧縮せん断接着強度を測定した。
(4)常態接着性(常態強度)、煮沸繰り返し試験(耐水強度)および耐熱試験(耐熱強度)
初期接着性試験と同様に圧締した試験片を20℃、7日養生した後JIS K6852に基づき、常態および煮沸繰り返し後の測定をおこなった。
また、圧締の後、20℃、7日養生の後さらに120℃、5日間加熱した後、同様に常態で測定をおこなった(耐熱強度)。
上記各試験結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の接着剤は、主剤の経時粘度上昇も小さくかつ十分なポットライフがあり、また、特に常態強度、耐熱強度が良好であることが明かである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホルマリンを含まず粘度安定性および耐熱性に優れた耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から木材用の接着剤として使われてきた、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのホルマリン系の熱硬化性接着剤は、放出するホルマリンによるシックハウス症候群などの問題のため、室内用途での使用が非常に厳しい状況となってきている。そのためそれに代わる接着剤として非ホルマリン系の代表である水性高分子イソシアネート系接着剤(あるいは水性ビニルウレタン接着剤とよばれる)が脚光を浴びている。この水性高分子イソシアネート系接着剤は、主剤である水溶性高分子・水性エマルジョン配合物と硬化剤であるイソシアネート化合物を使用直前に混合するタイプの接着剤であり、例えば特許文献1などにその製法が述べられている。一般に主剤の内、水溶性高分子としてはポリビニルアルコールが主に用いられ、水性エマルジョンとしては、(エチレン)酢ビエマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリルエマルジョンが通常用いられている。これら水性エマルジョンは接着強度の向上を目的として水溶性高分子と併せて使用されるものであるが、これらのうち特に接着強度向上に効果があるものを選択して配合した場合、主剤の貯蔵時の粘度安定性(以下、貯蔵安定性と呼ぶ)を確保することが困難であったり、または硬化剤のイソシアネート化合物を混合した直後にすぐ反応が進行してしまうため可使時間(以下、ポットライフと呼ぶ)が短くなるなど接着剤としての実用性に問題が発生することがある。
【0003】
こういった問題を解決する手段として、例えば特許文献2では大粒子径の共重合体ラテックスを用いる方法や、特許文献3に見られるように特定の界面活性剤を使用した共重合体ラテックスを用いる方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法は貯蔵安定性やポットライフは良好であるものの接着剤としての強度が不足する場合が多い。
また特許文献4のようにエチレン酢ビエマルジョンに共重合するエチレン性不飽和カルボン酸単量体の量を規定した例や特許文献5のようにアクリルエマルジョンに共重合するヒドロキシル基含有ビニル単量体の量を規定した例が紹介されている。これらのように官能基を導入することは貯蔵安定性の確保には効果があるが、これらの官能基は元来イソシアネートとの反応に富んでいるため、強度の向上には効果があるものの、通常ポットライフが大幅に短くなる傾向にあるため、多量に導入することは困難である。
【0004】
一方、室内材料に使われる接着剤には、長期にわたってある程度の高温条件下におかれる場合もある。この場合には、耐熱性が比較的良好とされるエチレン酢ビエマルジョンやアクリルエマルジョンを水性エマルジョンとして使用する場合が多い。しかしながら、これらは接着強度においてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスのような芳香族ビニル単量体を含むエマルジョンに比べると十分満足な結果が得られない場合が見受けられる。
このように、水性高分子イソシアネート系接着剤の耐水・耐熱強度と貯蔵安定性・ポットライフの総てを満足するさせるような水性エマルジョンを設計することはきわめて困難な課題とされていた。
【0005】
【先行文献】
【特許文献1】特公昭51−30576号公報
【特許文献2】特開昭59−59768号公報
【特許文献3】特開平05−331440号公報
【特許文献4】特開2000−226562号公報
【特許文献5】特開2002−129121号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記課題を解決すべく水性エマルジョンの開発検討を重ねた結果、特定の単量体を重合してなる特定の共重合体ラテックスを使用することにより、イソシアネートと水性エマルジョン間の過度な反応性を抑制することでポットライフを確保し、かつ耐水強度と耐熱強度の優れる水性高分子イソシアネート系接着剤をもたらすことを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
脂肪族共役ジエン系単量体5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニル系単量体を除く)0〜59.9重量%未満からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、数平均粒子径が80nm〜250nm、ゲル含有率が30%〜98%であることを特徴とする耐水接着剤用ラテックス、および該ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子50〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されていることを特徴とする水性高分子イソシアネート系耐水接着剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における耐水接着剤用共重合体ラテックスは、脂肪族共役ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニル系単量体を除く)により構成される。
【0009】
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。特に1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンが好ましい。
【0010】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。これらのうち、特にメチルメタクリレートを50重量%以上用いることが好ましく、またメチルメタクリレートを単独で用いることがさらに好ましい。
【0011】
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマール酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
【0012】
その他の共重合可能なビニル系単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド系単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)クリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を使用することができる。
【0013】
上記の単量体組成については、脂肪族共役ジエン系単量体5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体0〜59.9重量%であることが必要である。
【0014】
脂肪族共役ジエン系単量体が5重量%未満または64.9重量%を超える場合、共重合体ラテックスのフィルムはそれぞれ硬過ぎるかまたは柔軟過ぎるため、それらを配合した接着剤の接着力は十分でない。好ましくは脂肪族共役ジエン系単量体10〜49.9重量%である。また(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体が35重量%未満の場合は、共重合体ラテックスの耐熱性が不十分であり、また94.9重量%を超えるとそれを配合した接着剤の接着力が不十分である。好ましくは50〜79.9重量%である。
【0015】
エチレン性不飽和カルボン酸系単量体が0.1重量%未満では共重合体ラテックスの安定性が低下し、また3重量%を超えるとイソシアネート化合物添加後のポットライフが短くなったり、泡が発生したりする原因となる。好ましくは0.1〜2.5重量%である。
【0016】
本発明における共重合体ラテックスのゲル含有率は30〜98重量%である。該ゲル含有率が30重量%未満または98重量%を超えると耐水接着剤の接着強度が不足するため好ましくない。
なお、ゲル含有率とは、共重合体ラテックスフィルムのトルエンに対する不溶部の割合のことであり、具体的には以下の手法により求められる。
【0017】
ゲル含有率の測定方法
水酸化ナトリウムにてpH=8に調整した共重合体ラテックスをガラス板上に塗布後、室温乾燥でラテックスからフィルムを作製する。その後フィルム約1gを正確に秤量後400ccのトルエンに入れ48時間浸漬放置する。その後あらかじめ精秤した300メッシュの金網で濾過し、金網に残った残留物を秤量する。さらに充分乾燥した後、金網に残った残留物を秤量する。次式により共重合体ラテックスのゲル含有率を求める。
ゲル含有率(%)=(トルエン浸せき後の金網残留物の乾燥重量)÷(トルエン浸せき前のフィルムの重量)×100
【0018】
本発明における共重合体ラテックスの粒子径はそれを配合した接着剤の強度発現のため数平均粒子径で80〜250nmであることが必要である。好ましくは、100〜200nmである。
数平均粒子径は動的光散乱法により測定することができる(測定に際しては、LPA−3000/3100(大塚電子製)を使用)。
【0019】
本発明における各種成分の添加方法については特に制限するものではなく、一括添加方法、分割添加方法、連続添加方法の何れでも採用することができる。また、その乳化重合方法においても特に制限はなく、一段重合、二段重合又は多段階重合等何れでも採用することができる。更に、乳化重合において、常用の連鎖移動剤、乳化剤、保護コロイド、重合開始剤、炭化水素系溶剤、電解質、重合促進剤、キレート剤等を使用することができる。
【0020】
本発明においては必要に応じて連鎖移動剤を使用することができる。このような連鎖移動剤としては、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物、α−メチルスチレンダイマー、ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物、アリルアルコール等のアリル化合物、ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物、α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド等のビニルエーテル、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
これら連鎖移動剤の使用量について何ら制限はなく、共重合体ラテックスに求められる性能に応じて適宜調整することができるが、好ましくは単量体混合物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0022】
乳化剤としては高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩、非イオン性界面活性剤の硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤あるいはポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型、アルキルエーテル型等のノニオン性界面活性剤が1種又は2種以上で用いられる。
【0023】
保護コロイドとしてはポリビニルアルコール系の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体、もしくはセルロース系のヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどが使用される。
【0024】
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性開始剤、あるいはレドックス系開始剤あるいは、過酸化ベンゾイル等の油溶性開始剤が使用できる。
【0025】
また、炭化水素系溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和炭化水素、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、4−メチルシクロヘキセン、1−メチルシクロヘキセン等の不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素化合物が挙げられる。
【0026】
本発明の耐水接着剤は,上記耐水接着剤用ラテックスと水溶性高分子によって構成される主剤と架橋剤であるイソシアネート系化合物とが混合されてなるものである。
【0027】
水溶性高分子であるポリビニルアルコールとしては通常の部分ケン化ポリビニルアルコ−ル、完全ケン化ポリビニルアルコールおよびポリビニルアルコールの誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの重合度300〜2500、ケン化度80〜100%が好ましいものとして挙げられる。
【0028】
上記水溶性高分子の使用量としては、耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは30〜160重量部である。該水溶性高分子が5重量部未満では初期接着性が不十分であり、また200重量部を超えると貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
【0029】
架橋剤であるイソシアネート系化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を含むものなら何でもよく、たとえばトリレンジイソシアネートおよびその水素化物、トリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその水素化物、ヘキサメチレンジイソシアネート付加縮合物などのポリイソシアネートを挙げることができ、これらのうちトリメチロールプロパン−トリレンジイソシアネートアダクト、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその重合物が好ましい。また、ポリイソシアネートとポリオールとの混合方式、すなわち、ポリエステルなどのポリオールに、上記のイソシアネート系化合物を過剰に混合したものであってもよい。更に、プレポリマー方式、すなわち、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとによりあらかじめポリマー化したNCO末端プレポリマーを用いてもよいし,過剰のポリオールであらかじめポリマー化したOH末端プレポリマーに上記のポリイソシアネートを過剰に添加したものであってもよい。
【0030】
イソシアネート化合物の含有量は耐水接着剤用共重合体ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜250重量部が好ましく、更に好ましくは30〜200重量部である。イソシアネート化合物が10重量部未満では初期接着強度、耐熱強度が不足し、また250重量部を超えるとポットライフが短くなりすぎるため好ましくない。
【0031】
本発明の耐水接着剤には、増量剤、充填剤を配合することができる。これら増量剤、充填剤の例としては、小麦粉、デンプン類、脱脂大豆粉、粉、クレー、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどが挙げられる。これらの増量剤、充填剤は耐水接着剤用共重合体ラテックス(固形分)100重量部に対して10〜400重量部であることが好ましく、更に好ましくは30〜300重量部である。さらに必要に応じて増粘剤、分散剤、浸透剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、溶剤、着色顔料などを加えることも可能である。
【0032】
本発明の耐水接着剤は合板、LVL(Laminated Veneer Lumber)、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の材料の接着用途に好適であり、その他に紙、布、金属、陶磁器、ガラス、各種プラスチック、無機・セメントからなる板状あるいは繊維状の素材の同一または異種間の接着もしくはコーティングにも適用することができる.
【0033】
【実施例】以下に、本発明の優れた効果を明示するために、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中に示す部および%は、特に断りの無い限り、重量を基準としたものである。
【0034】
共重合体ラテックス(a)〜(i)の製造
10リットルのオ−トクレ−ブに、水100部、表1に示す部数のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、過硫酸カリウム0.5部、表1に示す部数のt−ドデシルメルカプタンおよび表1に示す組成の単量体混合物の10%を仕込み、十分に撹拌しながら65℃に昇温して1時間反応させた。次いで、表1に示す組成の単量体混合物の残部を5時間で連続添加しながら重合を行ない、さらにその後4時間熟成を行った。これら共重合体ラテックスを苛性ソ−ダ水溶液にてpH8に調整した後、水蒸気蒸留により未反応単量体等を除去し、共重合体ラテックス製造例(a)〜(d)および比較製造例(e)〜(i)を製造した。
【0035】
実施例1
主剤の配合
上記にて得られた共重合体ラテックス(固形分50%に調製)/ポリビニルアルコール(クラレ製 ポバール217、固形分15%水溶液に調製)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製 スーパーSS)/ヘキサメタリン酸ソーダ、を見かけ重量部で100部/100部/60部/0.5部(固形分重量比で100/30/120/1)となるよう配合・攪拌し主剤(A)〜(I)を得た。
接着剤の配合
上記各主剤に対し、架橋剤であるイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネート系化合物、住友バイエルウレタン製)39部を添加し5分間強攪拌し各耐水接着剤(A)〜(I)を得た。
【0036】
試験方法
(1)貯蔵安定性
主剤配合直後の常温における粘度(直後粘度)およびポリビンに密封し40℃にて10日保存した後、常温に戻してから粘度(経時粘度)をBH粘度計にて計測した。
(2)ポットライフ
接着剤配合完了後20℃にて5分間放置した後の粘度と90分間放置した後の粘度をBH粘度計にて計測した。
(3)初期接着性能試験
比着材:カバ材柾目(含水率量8%)、接着剤塗布量:250g/m2、堆積:1分、圧締条件:20℃、20分、150N/m2、で試験片を作製し、JIS K6852に基づき圧縮せん断接着強度を測定した。
(4)常態接着性(常態強度)、煮沸繰り返し試験(耐水強度)および耐熱試験(耐熱強度)
初期接着性試験と同様に圧締した試験片を20℃、7日養生した後JIS K6852に基づき、常態および煮沸繰り返し後の測定をおこなった。
また、圧締の後、20℃、7日養生の後さらに120℃、5日間加熱した後、同様に常態で測定をおこなった(耐熱強度)。
上記各試験結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の接着剤は、主剤の経時粘度上昇も小さくかつ十分なポットライフがあり、また、特に常態強度、耐熱強度が良好であることが明かである。
Claims (4)
- 脂肪族共役ジエン系単量体5〜64.9重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体35〜94.9重量%、エチレン性不飽和カルボン酸系単量体0.1〜3重量%およびその他の共重合可能なビニル系単量体(但し、芳香族ビニル系単量体を除く)0〜59.9重量%未満からなる単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスであって、数平均粒子径が80nm〜250nm、ゲル含有率が30%〜98%であることを特徴とする耐水接着剤用ラテックス。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体のうち、メチルメタアクリレートの比率が50重量%以上である請求項1記載の耐水接着剤用ラテックス。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体がメチルメタアクリレートである請求項1記載の耐水接着剤用ラテックス。
- 請求項1〜3何れかに記載の耐水接着剤用ラテックス(固形分)100重量部に対し、水溶性高分子50〜200重量部、イソシアネート系化合物10〜250重量部が配合されていることを特徴とする水性高分子イソシアネート系耐水接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349030A JP2004182794A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349030A JP2004182794A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004182794A true JP2004182794A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32751762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002349030A Pending JP2004182794A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004182794A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005139266A (ja) * | 2003-11-05 | 2005-06-02 | Nippon A & L Kk | 接着剤用共重合体ラテックスおよび接着剤 |
JP2006291138A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-10-26 | Unitika Ltd | ラミネート用水性接着剤 |
JP2011231434A (ja) * | 2010-04-28 | 2011-11-17 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ゴム・繊維用接着剤組成物 |
JP2019172719A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 旭化成株式会社 | 水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 |
US11541639B2 (en) | 2017-10-12 | 2023-01-03 | Avery Dennison Corporation | Low outgassing clean adhesive |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60130667A (ja) * | 1983-12-20 | 1985-07-12 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 接着剤組成物 |
JPS63112637A (ja) * | 1986-10-30 | 1988-05-17 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 共重合体ラテツクス組成物 |
JPH03227303A (ja) * | 1989-11-16 | 1991-10-08 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 紙塗被組成物用の共重合体ラテックスおよび紙塗被組成物 |
JPH05331440A (ja) * | 1992-05-29 | 1993-12-14 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 耐水性接着剤用ラテックスおよび耐水性接着剤 |
JPH06299000A (ja) * | 1993-04-14 | 1994-10-25 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 感熱ゲル化性共重合体ラテックス |
JPH11114909A (ja) * | 1997-10-14 | 1999-04-27 | Mitsui Chem Inc | 非ホルマリン系接着剤を用いた化粧板の製造方法 |
JP2001525875A (ja) * | 1997-05-15 | 2001-12-11 | ライクホールド・ケミカルズ,インコーポレイテッド | コロイドとして安定化されたブタジエンエマルジョン |
JP2003193008A (ja) * | 2001-12-28 | 2003-07-09 | Nippon A & L Kk | 貼付剤用粘着基剤組成物および貼付剤 |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002349030A patent/JP2004182794A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60130667A (ja) * | 1983-12-20 | 1985-07-12 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 接着剤組成物 |
JPS63112637A (ja) * | 1986-10-30 | 1988-05-17 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 共重合体ラテツクス組成物 |
JPH03227303A (ja) * | 1989-11-16 | 1991-10-08 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 紙塗被組成物用の共重合体ラテックスおよび紙塗被組成物 |
JPH05331440A (ja) * | 1992-05-29 | 1993-12-14 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 耐水性接着剤用ラテックスおよび耐水性接着剤 |
JPH06299000A (ja) * | 1993-04-14 | 1994-10-25 | Japan Synthetic Rubber Co Ltd | 感熱ゲル化性共重合体ラテックス |
JP2001525875A (ja) * | 1997-05-15 | 2001-12-11 | ライクホールド・ケミカルズ,インコーポレイテッド | コロイドとして安定化されたブタジエンエマルジョン |
JPH11114909A (ja) * | 1997-10-14 | 1999-04-27 | Mitsui Chem Inc | 非ホルマリン系接着剤を用いた化粧板の製造方法 |
JP2003193008A (ja) * | 2001-12-28 | 2003-07-09 | Nippon A & L Kk | 貼付剤用粘着基剤組成物および貼付剤 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005139266A (ja) * | 2003-11-05 | 2005-06-02 | Nippon A & L Kk | 接着剤用共重合体ラテックスおよび接着剤 |
JP2006291138A (ja) * | 2005-04-14 | 2006-10-26 | Unitika Ltd | ラミネート用水性接着剤 |
JP2011231434A (ja) * | 2010-04-28 | 2011-11-17 | Asahi Kasei Chemicals Corp | ゴム・繊維用接着剤組成物 |
US11541639B2 (en) | 2017-10-12 | 2023-01-03 | Avery Dennison Corporation | Low outgassing clean adhesive |
JP2019172719A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 旭化成株式会社 | 水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 |
JP7065664B2 (ja) | 2018-03-27 | 2022-05-12 | 旭化成株式会社 | 水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN112739788B (zh) | 压合式粘合剂 | |
JP2019509357A (ja) | 複合フィルムを貼り合わせるための一成分系ラミネート接着剤の使用 | |
WO2022025118A1 (ja) | クロロプレンゴムラテックス接着剤組成物とその製造方法、接着層、および積層体 | |
WO2016133190A1 (ja) | ラテックス組成物及び一液系水性接着剤 | |
JP2014152183A (ja) | ポリクロロプレンラテックス組成物、接着剤 | |
JP2004182794A (ja) | 耐水接着剤用ラテックスおよび水性高分子イソシアネート系耐水接着剤 | |
JP3659978B2 (ja) | 組成物,接着剤および水性エマルジョン | |
JP3272022B2 (ja) | 組成物および接着剤 | |
TWI302560B (ja) | ||
JP2008179683A (ja) | 水性粘着剤組成物および粘着シート | |
JP4472242B2 (ja) | イソシアネート系接着剤用ラテックス及びイソシアネート系接着剤 | |
JP6527351B2 (ja) | 水性接着剤 | |
JP2002129121A (ja) | 接着剤用の水性エマルジョン及びその組成物 | |
JP2001288448A (ja) | 発泡ゴム材、ウェットスーツの接着方法及び接着構造体 | |
JP2012211261A (ja) | 接着剤組成物 | |
JP2005139266A (ja) | 接着剤用共重合体ラテックスおよび接着剤 | |
JP4092073B2 (ja) | 接着剤用水性エマルジョン及びその組成物 | |
JP3874859B2 (ja) | 速硬化性の2液分別塗布型の接着剤組成物 | |
JP2006028344A (ja) | 針葉樹木材接着用水性高分子イソシアネート系接着剤 | |
JP2000109629A (ja) | 水性組成物および接着剤 | |
JP3657360B2 (ja) | 配合組成物および接着剤 | |
JP2019172719A (ja) | 水性接着剤用共重合体ラテックス及びその製造方法 | |
JPH05331440A (ja) | 耐水性接着剤用ラテックスおよび耐水性接着剤 | |
JP2001253926A (ja) | 組成物および接着剤 | |
JP2013181111A (ja) | 接着剤組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051128 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091201 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100330 |