JP2008179683A - 水性粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

水性粘着剤組成物および粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】表皮材や発泡体をはじめとする難接着性な自動車内装材基材への投錨性、及びポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)とポリイソシアネート化合物(E)とを、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)のポリマーのヒドロキシル基1モルに対して、ポリイソシアネート化合物(E)のイソシアネート基が1〜10モルとなるように含有する水性粘着剤組成物であって、前記ヒドロキシル基含有ポリマーのガラス転移温度が−10〜−65℃であり、テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、50万〜100万である事を特徴とする水性粘着剤組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層が形成可能な水性粘着剤組成物及びそれを用いてなる粘着シートに関する。詳しくは、表皮材に代表される難接着性な自動車内装材基材への投錨性、及び接着性に乏しいポリオレフィン被着体への接着性に優れた粘着剤層が形成可能な水性粘着剤組成物及びそれを用いてなる粘着シートに関する。
従来、表皮材などの自動車内装材基材を自動車室内に装着させる方法として、有機溶剤を含有する溶剤型接着剤を内装材基材にスプレー塗装して貼りつける方法が一般的であった。しかしながらこの方法によった場合、接着剤の染み出しやリワーク性が問題となり、あらかじめ内装材基材に粘着剤層が設けられた粘着シートの利用が望まれていた。
また近年、環境問題として大気中へのVOCの放出規制,現場作業環境の改善のため、接着剤の脱有機溶剤化の要求が強くなってきている。
このような状況のもと、自動車内装材基材としての表皮材などを基材としてなる粘着シートの粘着剤層の形成に好適に使用できる水性粘着剤の開発が切望されていた。
しかしながら、溶剤型と比較して、エマルジョン型粘着剤を構成するポリマーは高分子量であるため、一般的に粘着剤層が基材に投錨しづらく、基材と粘着剤層との間での剥離が生じやすい傾向にある。基材が表皮材や発泡体等の自動車内装材の場合、粘着剤層と接触する基材表面が凹凸を有していたり、孔を有していたりするので、実質的な接触面積が小さくなる。その結果、平滑な表面を有する基材の場合に比して、自動車内装材を基材とする場合に、エマルジョン型粘着剤を用いて、基材と粘着剤層との間の接着性(密着性ともいう)を確保することは極めて困難である。
そのため、ポリマーを得るための重合に際して連鎖移動剤を用い、ポリマーの分子量を調整する事により、またはポリマーのガラス転移温度を低く設定する事により、投錨性を上げ、基材への接着力を増加させる方法が一般に行われている。しかし、ポリマーの低分子量及び硬度不足からくる凝集力低下のために耐熱性不足が認められる。この傾向は、例えば、自動車内装材を自動車室内の天井部材として使用する場合等、基材が高温にさらされる状態の時に特に顕著となり、接着力や接着保持力等の粘着物性の低下が著しく、内装材基材が粘着剤層から剥がれてくる等の問題が生じる。よって、投錨性と耐熱性を両立させる事は従来困難であった。
また、被着体がポリオレフィン系の時には、被着体に対する十分な接着力が得られにくいという問題があった。
この点を改善するには、従来、粘着剤に粘着付与剤樹脂を添加する事が一般に行われており、十分な接着力を得るには、粘着付与樹脂の添加量をある程度増大させる必要があった。
しかしながら、粘着付与樹脂の添加量を増大すると、接着剤層の凝集力、特に高温下における凝集力が損なわれやすく、接着保持力が低下する傾向にあり、接着性と耐熱性を両立させる事は従来困難であった。
他方、アクリルエマルジョン系粘着剤の耐熱性を高めるために、粘着剤の主成分であるアクリル系共重合体中に架橋性単量体を導入した場合、耐熱性は高められるものの、架橋速度が速すぎて皮膜形成時に硬くなり、得られる粘着剤層の自動車内装材基材に対する投錨性及びポリオレフィン系表面に対する接着性が著しく低下する傾向にある。
以上の事から有機溶剤型接着剤の代替品としての、高温雰囲気下における接着保持力、耐曲面反発性などの粘着特性のバランスを満足するエマルジョン型水性粘着剤は開発されていない。
また、特許文献1には、アクリル系共重合体と、石油樹脂系粘着付与剤樹脂と、エラストマーとを含有する発泡体用水性エマルジョン型粘着剤が開示されている(特開平7−179835号公報参照)。
しかしながら特許文献1に開示されているエマルジョン型粘着剤では、現在の自動車製造メーカーの製品規格を満足することは困難である。
また、特許文献2には、アクリル系共重合体と、軟化温度が100℃以上のロジン系粘着付与樹脂とを含有する発泡体用水性エマルジョン型粘着剤が開示されている(特開平11−131034号公報参照)。
しかし、特許文献2に開示される粘着剤は、ロジン系粘着付与樹脂が多量に配合されているため、粘着剤層の凝集力、特に高温雰囲下における凝集力が損なわれやすく、接着保持力が十分に得られないことに加え、難接着基材である自動車内装材基材への投錨性も不十分である。
また、特許文献3には、ガラス転移点が−20℃〜−75℃のアクリル系共重合体と、前記アクリル系共重合体100重量部に対し、ポリイソシアネート系架橋剤0〜5重量部を含有するエマルジョン型粘着剤が開示されている(特開2005−89489号公報参照)。
しかし、特許文献3に開示される粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルとしてメチルメタクリレートを使用しているため、ポリマーのテトラヒドロフラン不溶分の割合を示すゲル分率が高くなり、自動車内装材基材への投錨性が不十分である。また、スチレンをメチルメタクリレートと併用している比較例があるが、この共重合体はガラス転移点が0℃であり、粘着剤を構成するポリマーとしては硬過ぎる。
また、特許文献4には、粘着剤層がイソシアネート化合物と反応可能な官能基含有ポリマーを含有することを特徴とする粘着剤付光学部材が開示されている(特開2005−241771号公報参照)。
しかし、特許文献4に開示される粘着剤は、ポリマーの溶剤可溶分の重量平均分子量が120万であり、自動車内装材基材への投錨性が不十分である。
特開平7−179835号公報 特開平11−131034号公報 特開2005−89489号公報 特開2005−241771号公報
本発明の課題は、表皮材をはじめとする難接着性な自動車内装材基材への投錨性、及びポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供する事である。
すなわち、第1の発明は、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)とポリイソシアネート化合物(E)とを、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)のポリマーのヒドロキシル基1モルに対して、ポリイソシアネート化合物(E)のイソシアネート基が1〜10モルとなるように含有する水性粘着剤組成物であって、
前記ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)を構成するポリマーのガラス転移温度が−10〜−65℃であり、テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、50万〜100万である事を特徴とする水性粘着剤組成物に関する。
また、第2の発明は、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)が、エチレン性不飽和二重結合とヒドロキシル基とを有する単量体(a1)と、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)並びに前記単量体(a1)、(a2)と共重合可能なその他のラジカル重合性単量体(a3)を、乳化剤(B)の存在下に水性媒体中で重合してなる事を特徴とする第1の発明の水性粘着剤組成物に関する。
さらに第3の発明は、その他のラジカル重合性単量体(a3)が、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を含まない事を特徴とする第2の発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、第4の発明は、乳化剤(B)が、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤である事を特徴とする第2又は第3の発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、第5の発明は、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)が、重合に際して、連鎖移動剤(C)としてテルペン系化合物を用いてなることを特徴とする第2ないし第4いずれかの発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、第6の発明は、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)が、単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%中に、1〜10重量%である事を特徴とする第2ないし第5いずれかの発明の水性粘着剤組成物に関する。
また、第7の発明は、剥離処理されていないシート状基材に、上記いずれかの発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなる粘着シートに関する。
また、第8の発明は、剥離処理されていないシート状基材と剥離シートとが、上記いずれかの発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)を介して積層されてなる事を特徴とする粘着シートに関する。
また、第9の発明は、剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする第7又は第8の発明の粘着シートに関する。
また、第10の発明は、自動車内装材基材が表皮材又は発泡体あるいはそれらの積層体であることを特徴とする第9の発明の粘着シートに関する。
さらに、第11の発明は、剥離シートに、第1ないし第6いずれかの発明の水性粘着剤組成物を塗工、乾燥し、粘着剤層(1)を形成し、該粘着剤層(1)に剥離処理されていないシート状基材を積層し、前記粘着剤層(1)を硬化する事を特徴とする粘着シートの製造方法に関する。
さらにまた、第12の発明は、剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする第11の発明の粘着シートの製造方法に関する。
本発明によって、従来のエマルジョン型粘着剤の問題であった、表皮材及び発泡体に代表される難接着性な自動車内装材基材への投錨性、及びポリオレフィン被着体への接着性に優れ、高温雰囲気下における接着保持力及び耐曲面反発性に優れた粘着剤層を形成し得る水性粘着剤組成物を提供する事ができるようになった。
本発明の水性粘着剤組成物を構成する主たる成分であるヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)について説明する。
ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)は、エチレン性不飽和二重結合とヒドロキシル基とを有する単量体(a1)を必須成分とし、必要に応じその他の共重合可能な単量体とともに乳化重合することにより得ることができるが、好ましくは下記の単量体(a2)及び(a3)と共に、乳化剤(B)の存在下に水性媒体中で重合してなるものである。
ポリマーのエマルジョン(D)を得るために使用する単量体(a1)は、エチレン性不飽和二重結合とヒドロキシル基とを分子中に有するものである。
該単量体(a1)は、後述する分子中に2個以上のイソシアネート基を含むポリイソシアネート化合物(E)と架橋反応するヒドロキシル基を、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)中の分散粒子、即ち単量体から形成される共重合体中に導入する機能を担う。共重合体中に導入されたヒドロキシル基は、ポリイソシアネート化合物(E)と反応し、粘着剤層の硬化に寄与する。
ヒドロキシル基を有する単量体(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〔2−ヒドロキシエチルアクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとをあわせて、「2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート」と表記する。以下同様。〕、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する単量体(a1)の使用割合は、単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%中、0.01〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。0.01重量%より少ないと、架橋密度が低下して耐熱性不足を引き起こす。1重量%より多いと、架橋密度が高くなり過ぎ、表皮材などの自動車内装材基材への投錨性の低下を引き起こす。
本発明においては、粘着剤に良好な耐熱性及び表皮材などの自動車内装材基材への投錨性を付与するために、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)を用いることが好ましい。
スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)の使用割合は、単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%中、1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜8重量%である。
単量体(a2)の使用割合が、1重量%未満であると難接着性な自動車内装材基材への投錨性が十分に得られにくい傾向にあり、さらに、耐熱性を得るためには1重量%以上であることが好ましい。一方、10重量%よりも多いと、得られる共重合体の分子量が低くなり、所望の耐熱性が得られにくく、高温雰囲気下における接着保持力が低下する傾向を示す。
ここで、単量体(a2)の作用効果について説明する。
共重合に供する単量体として、芳香族系単量体を用いた場合、得られる共重合体の分子量は低下傾向を示し、それにより基材に対する投錨性の向上効果が発現するものと従来考えられている。しかしながら、共重合体の分子量の低下は、耐熱性の低下を引き起こしやすいため、芳香族系単量体を使用するにあたってはその選択が重要となる。
乳化重合によって得られるエマルジョンを構成する樹脂は非常に高分子量であるため、一般的な有機溶剤には溶解せず、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と称す)などのような常用の測定方法では分子量の測定が不可能な場合が多い。
そのため、得られたエマルジョンを構成する樹脂の、有機溶剤中に溶解した成分の分子量を測定し、その分子量の大小をもって、エマルジョンを構成する樹脂の分子量の大小を見積もるということが従来おこなわれている。
しかしながら、単量体(a2)を用いてなるポリマーエマルジョンを構成する樹脂は、テトラヒドロフラン(以下、「THF」ともいう)等の有機溶剤中への不溶分の割合を示すゲル分率が10%以下と少なく、ポリマー鎖が直鎖状に近くなっていると考察される。一方、単量体(a2)を使用せずに得られたポリマーエマルジョンを構成する樹脂は、有機溶剤中への不溶分であるゲル分率が高くなりやすく、50%程度の値を示すこともあり、自動車内装材基材への投錨性が十分には得られにくい。
詳細な機構は不明であるが、上記の特徴ゆえに、単量体(a2)を含む共重合体から得られる粘着剤は、格別に優れた投錨性と耐熱性との両立を果たすことができたものと考えられる。
本発明では、単量体(a2)として、耐熱性の観点からスチレンを使用することが特に望ましい。単量体(a2)としてスチレンを使用した場合に、特に良好な耐熱性を得ることが可能である。
次に、単量体(a3)について説明する。
単量体(a3)は、上記単量体(a1)及び単量体(a2)と共重合可能な単量体であって、例えば、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸等の不飽和基含有各種カルボン酸;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;
ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;
エチレン、プロピレン等の如きα−オレフィン類;
ブタジエンの如きジエン類;
グリシジルメタクリレート,アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有単量体;
ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有単量体;
アクリルアミド等のカルボン酸アミド基含有単量体;
ジメチルビニルメトキシシラン等の不飽和結合含有シラン化合物;
アクリロニトリル等のシアノ基含有単量体;
ジビニルベンゼン等の多官能ビニル単量体;
などを挙げる事ができる。
本発明の、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)を構成するポリマーのガラス転移温度は−10〜−65℃であることが重要であり、−35〜−55℃であることが好ましい。従って、得られるポリマーのガラス転移温度が−10〜−65℃となるように、単量体(a1)〜(a3)の種類を選択することが重要である。
ポリマーのガラス転移温度が−10℃よりも高いと、自動車内装材基材への投錨性及びポリオレフィン被着体への接着性が不十分となり易い。他方、ポリマーのガラス転移温度が−65℃未満の場合、高温雰囲気下における接着保持力が不十分となりやすい。
本発明におけるポリマーのガラス転移温度(Tg)は下記の式[I]により理論的に導かれる。
1/Tg=[(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・・(Wn/Tgn)]/100 [I]
ただし、
W1:単量体1の重量%、Tg1:単量体1のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
W2:単量体2の重量%、Tg2:単量体2のみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
Wn:単量体nの重量%、Tgn:単量体nのみから形成され得るホモポリマーのガラス転移温度(°K)、
(ここに、W1+W2+・・・・+Wn=100)
尚、ラジカル重合性不飽和単量体を水性媒体中で重合する際に乳化剤(B)として、ラジカル重合性不飽和基を有するものを使用する場合には、ラジカル重合性不飽和単量体の構成の特定及び共重合体のTgの計算に際して、ラジカル重合性不飽和基を有する乳化剤は単量体には含めないものとする。
本発明では、単量体(a3)として、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体、例えばジビニルベンゼン、ジアリルフタレートに代表される多官能ビニル単量体を使用しないことが好ましい。
アクリルエマルジョン系粘着剤の耐熱性を高めることを目的として、粘着剤の主成分であるアクリル系共重合体中に上記のような単量体を導入した場合、粘着剤自体の耐熱性は高められるものの、皮膜形成時に硬くなり、自動車内装材基材に対する投錨性及びポリオレフィン系被着体に対する接着性が低下する傾向にある。
本発明に使用するヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)の水分散粒子の平均粒子径は、好ましくは250nm以上、より好ましくは400〜800nmである。平均粒子径が250nm未満では、エマルジョンの粘度が高くなりすぎ、粘着剤としてのロール塗工性が低く、一方、800nmを超えると、粘着剤の耐水性が低下し、また被着体に対する粘着力が低下する。なお、このエマルジョンの平均粒子径は、動的光散乱法などの公知の方法で求めることができる。また、この平均粒子径は、例えば反応容器への乳化剤(B)の仕込み量で調整することができる。
本発明においては、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)を構成するポリマ−の、テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であることが重要であり、かつ、テトラヒドロフラン可溶分のGPCの最大値を示す分子量が、50万〜100万であることが重要であり、50万〜80万であることが好ましい。
前記ポリマーのテトラヒドロフラン不溶分が10%を超えると、得られる粘着剤層の、自動車内装材基材に対する投錨性が不良となる。
また、テトラヒドロフラン可溶分のGPCの最大値を示す分子量が50万未満では、高温雰囲気下における接着保持力は低下する傾向にある。他方、100万を超えると、表皮材などの自動車内装材基材への投錨性及びポリオレフィン被着体への接着性が不十分となり易い。
本発明におけるゲル分率及び分子量測定方法は以下の通りである。
すなわち、ポリマーエマルジョンをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに乾燥膜厚が約20g/mとなるように塗工し、25℃で24時間乾燥して得られた乾燥皮膜を、THF中に25℃で1日間浸漬する。その後、THFに不溶な成分(ゲル成分)を分離し、ゲル分率を算出する。THFに溶解した成分については、当該THF溶液をフィルターで濾過後、GPC測定を行う。
なお、GPCの測定条件は以下のとおりである。
装置:Shodex GPC System−21〔昭和電工(株)製〕
カラム:Shodex KF−602.5を1本、Shodex KF−606Mを2本〔昭和電工(株)製〕の合計3本を連結して使用。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
温度:40℃
試料濃度:0.1wt%
試料注入量:50μl
ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)は、40〜90℃の温度で乳化重合をおこなうことによって得ることができる。
ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)の固形分濃度は、広い範囲にわたって変えられるが、円滑な製造および実用上の制約の両面から考えて、30〜70重量%が適当である。
得られたヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)は、揮発性塩基化合物で中和して使用することが好ましい。
揮発性塩基化合物としては、アンモニア;アミン類として、モノエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルプロパノールアミンなどが使用される。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において使用される重合開始剤について説明する。
本発明において用いることが出来るラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル及びその塩酸塩、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
また、これらラジカル開始剤と還元剤とを併用し、レドックス重合することもできる。併用可能な還元剤としては、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.1〜1重量部であることが好ましく、0.2〜0.8重量部であることがより好ましい。即ち、1重量部よりも多い量を用いると耐水性の低下をきたす傾向にあり、また0.1重量部未満の量であると重合安定性に問題が生じ易い。
ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)を得る際には、乳化剤(B)はアニオン乳化剤単独でも、ノニオン乳化剤との併用で使用しても良い。使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。即ち、10重量部を超えると耐水性の低下をきたす場合があり、また0.1重量部未満であると重合安定性に問題が生じる場合がある。
また、乳化剤は、ラジカル重合性の官能基を有する反応性乳化剤であってもよいし、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であってもよいし、あるいは両者を併用してもよいのであるが、表皮材をはじめとする自動車内装材基材への投錨性の点で、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤のみを使用する事が好ましい。反応性乳化剤は耐熱性の観点から有利ではあるが、投錨性悪化という弊害を招きやすい。
本発明において用いられる乳化剤(B)のうち、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン系非反応性乳化剤;
及び、
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシ多環フェニルエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系非反応性乳化剤などが挙げられる。
具体的には、アニオン系非反応性乳化剤としては、ハイテノールNF−08〔エチレンオキサイド単位の繰り返し数(以下、「EOユニット数」という):8〕、NF−17(EOユニット数:17)〔以上、第一工業製薬(株)製〕、エレミノールES−12(EOユニット数:6)、ES−30(EOユニット数:15)、ES−70(EOユニット数:35)〔以上、三洋化成工業(株)製〕等が挙げられる。
ノニオン系非反応性乳化剤としては、エマルゲン1108(EOユニット数:8)、1118S−70(EOユニット数:18)、1135S−70(EOユニット数:35)、1150S−70(EOユニット数:50)〔以上、花王(株)製〕等が挙げられる。
上記の非反応性乳化剤は単独で用いてもよく、複数種併用することも可能である。
なお、乳化剤(B)のうち、反応性乳化剤としては、従来公知のものを使用できる。
本発明において使用される水性媒体としては、水が挙げられ、本発明の目的、効果を損なわない範囲で親水性の有機溶剤も必要に応じて使用することができる。
次に連鎖移動剤(C)について説明する。一般に連鎖移動剤は、得られるポリマーの分子量を調節する目的で重合反応の際に使用されるが、本発明では、分子量を調節するためではなく、連鎖移動剤がポリマー分子鎖と反応することにより、連鎖移動剤がポリマー分子鎖に組み込まれることで発現する性質について着目した。
連鎖移動剤(C)としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ターピノーレン等のテルペン系化合物を好ましく用いることができる。また、チオール基や水酸基を有する化合物も一般に知られている。チオール基を有する化合物としては、例えば、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエチルアルコール、ドデシルメルカプタン、メルカプトコハク酸等のメルカプタン類や、メルカプトプロピオン酸n−ブチルやメルカプトプロピオン酸オクチル等のメルカプトプロピオン酸アルキルや、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル等のメルカプトプロピオン酸アルコキシアルキルが挙げられる。また、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類があげられる。
発明者らは、詳細な機構は不明だが、上記連鎖移動剤の中でα−ピネン、リモネン、ターピノーレン等のテルペン系化合物を用いて得られるポリマーを含有する粘着剤から形成される粘着剤層は、それらを使用しない場合と比較し、表皮材などの自動車内装材基材への投錨性が向上することを明らかにした。ここで、ターピノーレンは、α−ピネン、リモネンと比べて、少量の使用で分子量に影響を及ぼすため、秤量誤差等を考慮し、一定性状の共重合体を再現性よく生産しやすいという観点からはα−ピネン、リモネンが好ましい。
また、リモネンはチオール基を有する化合物のような強烈かつ独特な不快臭ではないが、柑橘系の臭いがする。表皮剤などの自動車内装材には臭気の少ない粘着剤が求められるため、リモネンよりもα−ピネンが好ましい。
連鎖移動剤(C)の使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対し0.01〜1重量部であることが好ましい。即ち、1重量部を超える量を用いると分子量低下による耐水性、耐熱性等の低下をきたす場合があり、また0.01重量部未満の量であると接着不良の問題が生じる場合がある。
また、本発明の水性粘着剤組成物は粘着付与樹脂を含有してもよく、重合時にラジカル重合性単量体に溶解させて用いたり、重合後に添加したり、またその両方の手法をとることができる。重合時に添加する目的としては、粘着力の向上に加えて、粘着付与樹脂が有する連鎖移動効果を利用することでもある。
粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等の中から少なくとも1種以上を使用することができる。
ロジン系樹脂としては天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。
テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等がある。
芳香族系石油樹脂としてはスチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等がある。
重合時に粘着付与樹脂を使用する場合には、その使用量は、乳化重合に使用する単量体の合計100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましい。粘着付与樹脂が30重量部より多いと、重合安定性低下の問題を生じる場合がある。
次に、本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(E)について説明する。
ポリイソシアネート化合物(E)としては、具体的には、少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物があげられ、さらには末端イソシアネート基に保護基を付与したもの、イソシアネート化合物のアダクト体、二量体、三量体、およびこれらの重合体等を使用することができる。中でも特に、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物や、それらと各種ポリオールなどとのアダクト体や、末端にイソシアネート基を残したウレタンプレポリマーなどが挙げられる。
しかしながら、上記化合物は水と反応して失活しやすいため、実用上問題がある。この問題を克服したのが、水乳化型タイプである。水乳化型ポリイソシアネートは、例えば脂肪族イソシアネートのトリマーを、片末端水酸基のポリエチレンオキシドに付加反応させる等の方法により変性してこれを水分散可能にしたものがあげられる(特開昭61−291613号公報)。市販品として、具体的には、アクアネート120(日本ポリウレタン株式会社製)、タケネートWD720(三井化学ポリウレタン株式会社製)、バイヒジュールVPLS2319(住化バイエルウレタン株式会社製)があげられる。これらを硬化剤として配合することにより、得られる水性粘着剤組成物の耐熱性が向上するようになり、実用的なものとすることができる。また、ポリイソシアネート化合物(E)は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を使用してもよい。
ポリイソシアネート化合物(E)の配合量は、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)中のポリマーのヒドロキシル基1モルに対して、ポリイソシアネート化合物(E)のイソシアネート基が1〜10モルであるように配合することが重要であり、3〜8モルであることが好ましく、4〜6モルであることがより好ましい。1モルよりも少ないと、凝集力が不足して耐熱性の低下を引き起こす。他方、10モルよりも多いと表皮材などの自動車内装材基材への投錨性が低下し、さらにはポリオレフィン被着体への接着性も低下する。
ここで、ポリイソシアネート化合物(E)の副次的な役割を説明する。本発明で用いられる乳化剤(B)として、ポリオキシエチレン構造を有するものを使用する場合、乳化重合を行う際の熱により、わずかではあるがポリオキシエチレンが分解してアセトアルデヒドを発生する懸念がある。ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドのアルデヒド類はVOC13物質に含まれ、シックカー、シックハウスの原因の一部と考えられ、厚生労働省の示す室内濃度指針値で0.08ppm以下(ホルムアルデヒド)、0.03ppm以下(アセトアルデヒド)に削減することが要求されている。本発明者は、ポリイソシアネート化合物(E)がヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)の架橋剤として作用すると同時に、アルデヒド類を分解し、室内濃度を指針値以下にできる可能性があるとの知見を得た。
本発明の水性粘着剤組成物には、必要に応じて種々の添加剤、例えば消泡剤、湿潤剤、アルカリ性化合物、着色顔料、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤などを配合することができる。
次に本発明の粘着シートについて説明する。
本発明の粘着シートは、剥離処理されていないシート状基材に、本発明の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなるものである。
ここに、粘着剤層(2)とは、必要に応じておこなわれるエージング工程等を経て、架橋反応が完結した状態のものを示す。
本発明の粘着シートは、上記粘着剤層(2)の他方の面に、さらに剥離シートが積層された態様のものも含まれる。
剥離処理されていないシート状基材の種類としては、特に制限されることなく従来公知の種々の基材が使用可能であるが、自動車内装材基材であることが好ましい。自動車内装材基材には、以下に示すように種々の態様がある。即ち、いわゆる表皮材のみ(単層)、発泡体のみ(単層)、表皮材と発泡体とが積層されたもの、さらに表皮材と発泡体と不織布とが積層されたもの等が挙げられる。
表皮材のみ、発泡体のみ又は表皮材と発泡体とが積層されたものの場合、表皮材又は発泡体が粘着剤層を介して直接自動車室内に貼り付けられる。「表皮材/発泡体/不織布」なる構成の場合は、不織布の上に粘着剤層が設けられ、該粘着剤層を介して自動車内装材基材が自動車室内に貼り付けられる。
表皮材は、自動車室内におけるドアトリームやピラーなどの部位の内装材として好適に用いられるものである。具体的には、表皮材を構成する材料としては、織物(ファブリック)、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル、人工皮革などが挙げられる。
発泡体としては、ポリウレタン系発泡体、ポリスチレン系発泡体、ABS系発泡体、ゴム(クロロプレンゴム、EPDM等)系発泡体、塩化ビニル系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体、フェノール系発泡体、ユリア系発泡体等の発泡体が挙げられる。特に上記粘着剤層(2)の基材として好ましいのは、ポリウレタン系発泡体、ポリスチレン系発泡体である。
不織布を構成する材料としては、綿、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。
本発明の粘着シートは、種々の方法で得ることができる。
例えば、本発明の水性粘着剤組成物を剥離処理されていないシート状基材にコーティングし、乾燥、硬化させ、粘着剤層(2)を設けることにより、本発明の粘着シートを得ることができる。形成された粘着剤層(2)上には、粘着剤層(2)の保護を目的として、剥離シートが積層されてもよい。
または、本発明の粘着シートは、水性粘着剤組成物をシート状基材にコーティングし、乾燥させ、粘着剤層(1)を設けた後、該粘着剤層(1)と剥離シートとを貼り合せ、必要に応じておこなわれるエージング工程等を経て、粘着剤層(1)を硬化させて粘着剤層(2)とすることによっても得ることができる。
あるいは、本発明の水性粘着剤組成物を剥離シート上にコーティングし、乾燥させ、粘着剤層(1)を設けた後、該粘着剤層(1)と剥離処理されていないシート状基材とを貼り合せ、粘着剤層(1)を剥離処理されていないシート状基材上に転写し、必要に応じておこなわれるエージング工程等を経て、粘着剤層(1)を硬化させて粘着剤層(2)とすることによっても得ることができる。
ここに、粘着剤層(1)とは、粘着剤の乾燥工程を経たものの、架橋反応が完結していない状態のものを示す。
また、剥離シートとは、紙やプラスチックフィルムなどの各種素材からなるシート状基材の表面を、シリコンなどを用いて剥離処理してなるものである。
水性粘着剤組成物を剥離処理されていないシート状基材あるいは剥離シートにコーティングする方法としては特に制限されるものではなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレー塗工機等の従来公知のコーティング装置によることができる。
得られた粘着シートは、耐熱粘着性にすぐれ、さらに、加熱経時前後で粘着性能の変化が少なく、耐熱経時性に優れるため、自動車用や建築用の工業材として有用である。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の「部」及び「%」はいずれも重量に基づく値である。
[実施例1]
還流冷却器、攪拌機、温度計、窒素導入管、原料投入口を具備する容積2Lの4つ口フラスコに、イオン交換水24.8部を入れ、窒素を導入しつつ攪拌しながら、内温を78℃に加温した。
一方、単量体(a1)としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以後、「2HEMA」と略す)、0.1部、単量体(a2)としてのスチレン(以後、「St」と略す)6部、単量体(a3)としてのアクリル酸(以後、「AA」と略す)0.9部、アクリル酸ブチル(以後、「BA」と略す)50部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以後、「2EHA」と略す)33部、アクリル酸エチル(以後、「EA」と略す)10部、乳化剤(B)としてのハイテノールNF―08〔EOユニット数:8、第一工業製薬(株)製のアニオン型非反応性乳化剤〕1.5部、粘着付与樹脂としてのペンセルD−135(重合ロジンエステル系粘着付与剤:荒川化学工業社製)5部及びイオン交換水26.9部の混合物をホモミキサーで乳化し、油溶成分の平均粒子径が1.3μmの単量体エマルジョン(A)を作製した。
上記の反応容器中に、単量体エマルジョン(A)の5%量を添加し、同時に5%過硫酸アンモニウム(以後、「APS」と略す)水溶液3部を添加して乳化重合を開始した。
次いで、単量体エマルジョン(A)の残りの95%量中に連鎖移動剤(C)としてα−ピネン0.03部を添加し再乳化した。
反応容器に5%APS水溶液を添加してから3分後に、連鎖移動剤(C)を加えた上記単量体エマルジョン及び5%APS水溶液9部を同時に5時間かけて滴下した。この間反応容器内は80℃に保った。
滴下終了後、3時間80℃に保ち、熟成を行った。その後冷却を開始し、30℃まで冷却し、アンモニア水を添加し、平均粒子径600nm、固形分濃度62.5%、pH7、粘度250mPa・sのポリマーエマルジョンを得た。
尚、単量体から求められるガラス転移温度(以下、「理論Tg」という)は−45℃であった。ポリマーエマルジョンのTHF不溶分は3.2%、THF可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量は約70万であった。
得られたポリマーエマルジョンの固形分100部に対し、エマルジョン型ロジン系粘着付与樹脂として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を固形分換算にて8.9部、消泡剤:0.1部、防腐剤:0.01部、濡れ剤:0.1部を加え、ポリイソシアネート化合物である「アクアネート 120」を0.9部添加し、さらに増粘剤で15000mPa・s(BL型粘度計、25℃で#4ロータ/12rpmにて測定)に増粘して水性粘着剤組成物を得た。なお、ポリマーエマルジョン中のポリマー由来の水酸基(OH)1モルに対して、「アクアネート 120」由来のイソシアネート基(NCO)は、5モルであった。また、粘着剤組成物の調製はホモミキサーにて行った。
[実施例2]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例3]
α−ピネンを添加しないこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例4]
重合に供する単量体の組成を表1に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例5]
α−ピネンを0.03部から3部に増量したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例6]
アクアネート 120を0.9部から0.55部に減量したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[実施例7]
アクアネート 120を0.9部から1.43部に増量したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
[比較例1〜7]
重合に供する単量体の組成、配合するポリイソシアネート化合物を表1及び表2に示す配合に変更したこと以外は実施例1と同様に行い、水性粘着剤組成物を得た。
各実施例、比較例で得られた水性粘着剤組成物をアプリケーターで剥離紙上に乾燥膜厚60g/m2となるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで3分間乾燥させ、粘着剤層(1)を形成した。
次いで、剥離紙上に設けられた粘着剤層に、厚さ10mmの表皮材を貼り合わせ、表皮材の厚さがもとの厚さの10%になるように加圧して圧着し、「剥離紙/粘着剤層(1)/表皮材」なる構成の積層体を得た。
得られた積層体を23℃−65%RH雰囲気下に24時間以上放置することによりエージングをおこない、粘着剤層(1)の架橋反応を完結させ、粘着シートを得た。
[粘着シートの評価]
<定荷重剥離試験>
得られた粘着シートをそれぞれ幅25mm、長さ100mmの短冊状にカットし、剥離紙を剥がして幅25mm×長さ80mmの部分をポリプロピレン板(以下、「PP板」と略記する)に貼り合わせ、2Kgのロールにて1往復させて圧着して測定試料を得た。
得られた測定試料を23℃−50%RHの雰囲気下で24時間放置し、さらにその後、80℃雰囲気下で1時間放置した後に、貼付け面が下側となるようにしてPP板を水平に保ち、貼付けられていない部分の粘着シートの端部に100gの錘を吊り下げ、1時間放置し、PP板から剥がれた部分の長さを計測した。1時間以内にPP板からすべて剥がれ落ちた場合は、それまでの時間を測定した。なお、試験は80℃雰囲気下で行った。
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2008179683
表1中の略号は、以下のものを示す。
MMA:メタクリル酸メチル
DAAm:ダイアセトンアクリルアミド
DVB:ジビニルベンゼン
Figure 2008179683

Claims (12)

  1. ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)とポリイソシアネート化合物(E)とを、ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)のポリマーのヒドロキシル基1モルに対して、ポリイソシアネート化合物(E)のイソシアネート基が1〜10モルとなるように含有する水性粘着剤組成物であって、
    前記ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)を構成するポリマーのガラス転移温度が−10〜−65℃であり、テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であり、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミーエーションクロマトグラムの最大値を示す分子量が、50万〜100万である事を特徴とする水性粘着剤組成物。
  2. ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)が、エチレン性不飽和二重結合とヒドロキシル基とを有する単量体(a1)と、スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)並びに前記単量体(a1)、(a2)と共重合可能なその他のラジカル重合性単量体(a3)を、乳化剤(B)の存在下に水性媒体中で重合してなる事を特徴とする請求項1記載の水性粘着剤組成物。
  3. その他のラジカル重合性単量体(a3)が、分子中にエチレン性不飽和二重結合を2個以上有する単量体を含まない事を特徴とする請求項2記載の水性粘着剤組成物。
  4. 乳化剤(B)が、ラジカル重合性の官能基を有さない非反応性乳化剤であることを特徴とする請求項2又は3に記載の水性粘着剤組成物。
  5. ヒドロキシル基含有ポリマーのエマルジョン(D)が、重合に際して、連鎖移動剤(C)としてテルペン系化合物を用いてなることを特徴とする請求項2ないし4いずれかに記載の水性粘着剤組成物。
  6. スチレン、α−メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体(a2)が、単量体(a1)〜(a3)の合計100重量%中に、1〜10重量%である事を特徴とする請求項2ないし5いずれかに記載の水性粘着剤組成物。
  7. 剥離処理されていないシート状基材に、請求項1ないし6いずれかに記載の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)が積層されてなる粘着シート。
  8. 剥離処理されていないシート状基材と剥離シートとが、請求項1ないし6いずれかに記載の水性粘着剤組成物から形成される粘着剤層(2)を介して積層されてなる事を特徴とする粘着シート。
  9. 剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする請求項7又は8に記載の粘着シート。
  10. 自動車内装材基材が表皮材又は発泡体あるいはそれらの積層体であることを特徴とする請求項9記載の粘着シート。
  11. 剥離シートに、請求項1ないし6いずれかに記載の水性粘着剤組成物を塗工、乾燥し、粘着剤層(1)を形成し、該粘着剤層(1)に剥離処理されていないシート状基材を積層し、前記粘着剤層(1)を硬化する事を特徴とする粘着シートの製造方法。
  12. 剥離処理されていないシート状基材が、自動車内装材基材である事を特徴とする請求項11記載の粘着シートの製造方法。
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