JP2007197693A - エマルジョン型粘着剤および粘着シート - Google Patents

エマルジョン型粘着剤および粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】粘着シートとして熱履歴を受けた場合であっても粘着性能の変化が少なく、耐熱経時特性に優れる粘着剤層を形成し得るエマルジョン型粘着剤と、この粘着剤を用いて得られる粘着シートを提供すること。
【解決手段】ポリマーエマルジョンおよび架橋剤を含有するエマルジョン型粘着剤であって、前記ポリマーエマルジョンは、架橋剤の不存在下にはテトラヒドロフラン抽出率の高い乾燥塗膜を形成し得ると共に、その溶出分は特定の重量平均分子量を呈する。さらに架橋剤を含んでなる前記エマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層は、加熱経時前後において高いテトラヒドロフラン抽出率を呈する。
【選択図】なし

Description

本発明は、エマルジョン型粘着剤に関し、詳しくはエチレン・プロピレン・ジエンゴム(以下、「EPDM」という。)等のシート状発泡体を基材シートとする場合に好適に用いられるエマルジョン型粘着剤に関する。
さらに本発明は、シート状発泡体の少なくとも一方の面に、エマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層が積層されてなる粘着シートに関する。詳しくは、被着体に貼着する前の粘着シートとして熱履歴を受ける前と後において(以下、熱履歴を受ける前と後を「加熱経時前・後」ともいう。)粘着特性の変化が少ない粘着シート、すなわち耐熱経時特性に優れる粘着シートに関する。より詳しくは、粘着剤層が、シート状発泡体に対する密着性に優れると共に、ポリオレフィン等の被着体に対して大きな接着力を発現し、特に高温下においても大きな曲面接着力を発現し得る粘着シートに関する。
シート状発泡体は、自動車、住宅、家電製品等の分野・用途において、防音、防塵、気密性確保および防湿等の目的で、様々な場所に使用されている。これらの分野・用途においては、被着体の形状・形態が凹凸面や曲面であることが多い。したがって、柔軟性および可撓性に優れ、被着体の形状・形態への追従性に優れるEPDMのシートが、基材シートとして好適に用いられるようになってきた。
従来、EPDM等のシート状発泡体を上記の分野・用途に用いる際には、被着体との密着性、耐候性、耐熱性に優れるという理由から、主に接着剤が使用されてきた。しかし、生産性や取扱いの容易さの点から、接着剤の代替として、溶剤型アクリル共重合体を主成分とする溶剤型粘着剤を用いた粘着シートが用いられてきた。
粘着シートの最も一般的な積層構成は、「基材シート/粘着剤層/剥離シート」(片面粘着シート)、あるいは、「剥離シート/粘着剤層/基材シート/粘着剤層/剥離シート」(両面粘着シート)である。
シート状発泡体を用いた粘着シートの基本的積層構成としては、片面粘着シートの場合、以下に示す2種類の構成が挙げられる。
(1)シート状発泡体/粘着剤層/剥離シート
(2)シート状発泡体/粘着剤層/不織布、ポリエステルフィルムまたはポリオレフィンフィルムのいずれか/粘着剤層/剥離シート
上記(1)、(2)いずれの構成の場合も、一般的な粘着シートの場合と同様に、使用時に剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を被着体に貼付する。
近年、地球環境保護(揮発性有機化合物排出抑制)や労働環境の改善、ならびに資源の有効利用などの観点から、溶剤型粘着剤の代替として水性のエマルジョン型粘着剤の使用検討が進んできた。
しかしながら、エマルジョン型粘着剤は溶剤型粘着剤に比較すると、基材シートへの密着性や、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン被着体への接着力が著しく劣るという欠点があった。特に、シート状発泡体を基材シートとする場合、シート状発泡体は多孔質なので粘着剤層との実質的な接触面積が少なくなり、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性を確保することが困難であった。
また、シート状発泡体は、一般的なプラスチックフィルムや紙等の基材シートに比して、厚みも厚く、曲げに抗して平坦に戻ろうとする力、すなわち復元力が大きい。ところが、シート状発泡体を基材シートとする粘着シートは、上記したように凹凸面や曲面を呈する被着体に貼付されることが多い。したがって、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性が不十分であると、シート状発泡体の復元力に抗して、シート状発泡体を被着体に貼りつけておくことができなくなる。つまり、シート状発泡体と粘着剤層との間で剥離が生じ、粘着剤層が被着体上に残された状態で、シート状発泡体が被着体から剥離してしまう。
一方、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性が仮に十分であったとしても、被着体に対する粘着剤層の接着力が不足していれば、被着体と粘着剤層との間で剥離が生じ、シート状発泡体が粘着剤層と一体となって、被着体から剥離してしまう。
これらの課題を改良するために様々な工夫がなされており、たとえば特開2005−206779号公報では、ラジカル重合可能なラジカル重合性不飽和単量体とポリオレフィン類の水性分散体とを、界面活性剤および重合開始剤の存在下に水媒体中で重合してなる粘着剤用エマルジョンが開示されている。
特開平7−133473号公報および特開平7−179835号公報では、添加剤として重合ロジンやエラストマーのエマルジョンを使用することで耐熱性を付与している。
ところで、これまで加熱環境下において使用される粘着シート、つまり貼着後加熱環境下に置かれる粘着シートについては、その加熱環境下における貼着使用時の接着力等に関して主に検討されてきた。しかし、近年、そのような加熱環境下で使用される粘着シートに対して、粘着シートとして貼着使用されるまでの間の貼着前の安定性(耐熱経時特性)も要求されるようになってきた。つまり、被着体に貼着する前に熱履歴を受けた粘着シート(加熱経時後の粘着シート)を、被着体、特にポリオレフィン類へ貼り付けた場合に、特別の熱履歴を受けなかった粘着シート(加熱経時前の粘着シート)に比べて接着力が著しく低下してしまうという問題が顕在化するようになった。
特に、基材シートがシート状発泡体であって、これを被着体の凹凸面または曲面に貼着する場合、加熱経時前・後における粘着シートとしての性能変化を如何に抑制し得るかは、極めて重要である。
特開2001−348551号公報には、エマルジョンの放置安定性を向上させる目的で(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするラジカル重合性不飽和単量体および粘着付与剤を含む油溶成分を、水媒体中で乳化剤を用いて乳化させて得られる乳化液であって、この油溶成分の平均粒子径が1μm以下である乳化液を、重合開始剤の存在下で重合するエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法が示されている。
特開2003−176469号公報には、ゴム発泡体に対する経時性能安定性を向上させる目的で、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、シラン系単量体を含む単量体混合物を共重合して得られる重合体の水分散液に、フェノール骨格を含有する粘着付与剤を添加してなる水分散型粘着剤組成物が示されている。
しかしながら、上記粘着剤であっても、粘着シートとして、加熱経時の有無によらず被着体の曲面に対する粘着性能の安定性を維持しつつ、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性を両立させることは困難であった。
特開2005−206779号公報 特開平7−133473号公報 特開平7−179835号公報 特開2001−348551号公報 特開2003−176469号公報
本発明は、粘着シートとして熱履歴を受けた場合であっても粘着性能の変化が少なく、耐熱経時特性に優れる粘着剤層を形成し得るエマルジョン型粘着剤と、この粘着剤を用いて得られる粘着シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ポリマーエマルジョンと架橋剤とを含むエマルジョン型粘着剤であって、
前記ポリマーエマルジョンは、
(1)ガラス転移温度が0℃以下であって、自己架橋性ではないが前記架橋剤と反応しうる官能基を備えたポリマーを含み、かつ、
(2)架橋剤不存在下での乾燥により、テトラヒドロフラン抽出率が70重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(A)を形成し得るものであり;
前記エマルジョン型粘着剤は、
(3)テトラヒドロフラン抽出率が45重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(B)を形成し得ると共に、
(4)前記乾燥直後の塗膜(B)をさらに60℃で7日間放置することにより、テトラヒドロフラン抽出率が40重量%以上の塗膜を形成し得るものである
ことを特徴とするエマルジョン型粘着剤に関する。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の好ましい態様は、前記架橋剤が、水に溶解もしくは分散可能な架橋剤であって、ポリマーエマルジョンの固形分100重量部に対して、0.001〜10重量部の割合で含まれる。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、粘着付与樹脂をさらに含有する。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、前記ポリマーが、エポキシ基、アルコキシシリル基、n−ヒドロキシアルキル基、n−アルコキシアルキル基およびメチロール基のいずれの官能基も含まないものである。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、前記ポリマーエマルジョンが、前記乾燥直後の塗膜(A)をさらに60℃で7日間放置することにより、テトラヒドロフラン抽出率が60重量%以上の塗膜を形成し得るものである。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、前記ポリマーエマルジョンが、ラジカル重合性不飽和単量体を水中で、界面活性剤の存在下でラジカル重合して得られるものである。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、前記界面活性剤が、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜5重量部用いられる。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤の別の好ましい態様は、前記界面活性剤の合計100重量%中に、0〜50重量%のラジカル重合性を有する反応性界面活性剤と、50〜100重量%のラジカル重合性を有しない非反応性界面活性剤とが含まれる。
また、本発明のエマルジョン型粘着剤のさらに別の好ましい態様は、前記ポリマーエマルジョンが、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤および水を含有する単量体エマルジョンであって、平均粒子径が0.5〜2μmである単量体エマルジョンを、水性媒体中でラジカル重合して得られるものである。
別の本発明は、エマルジョン型粘着剤の製造方法に関し、
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤および水を含有する単量体エマルジョンであって、平均粒子径が0.5〜2μmである単量体エマルジョンを、水性媒体中でラジカル重合して、ポリマーエマルジョンを得る工程;および
前記ポリマーエマルジョンと架橋剤とを混合する工程;
を含むエマルジョン型粘着剤の製造方法であって、前記ポリマーエマルジョンが、架橋剤不存在下での乾燥により、テトラヒドロフラン抽出率が70重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(A)を形成し得るものである、エマルジョン型粘着剤の製造方法、ならびにその製造方法により得られるエマルジョン型粘着剤に関する。
本発明のエマルジョン型粘着剤の製造方法の好ましい態様は、前記単量体エマルジョンが、粘着付与樹脂をさらに含有する。
別の本発明は、粘着シートに関するものであり、
シート状発泡体と、
前記シート状発泡体の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層であって、上記本発明に係るエマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層と、
を含むことを特徴とする粘着シートに関する。
さらに別の本発明は、別の形態の粘着シートに関するものであり、
シート状発泡体(I)と、
粘着剤層(II)と、
不織布、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれるいずれか1種からなる層(III)と、
粘着剤層(IV)と、
がこの順に順次積層されてなる粘着シートであって、前記粘着剤層(II)および(IV)の少なくとも一方が、上記本発明に係るエマルジョン型粘着剤から形成されるものであることを特徴とする粘着シートに関する。
上記の、別の形態の粘着シートの好ましい態様は、前記シート状発泡体の厚さ方向の50%圧縮硬度が0.05〜1N/cm2である。
さらに、前記シート状発泡体の好ましい態様は、厚さが1〜50mmである。
従来のエマルジョン型粘着剤の乾燥塗膜のテトラヒドロフラン(以下、「THF」とも表記する。)抽出率は、乾燥直後において20〜50重量%であることが多く、熱履歴を加えることによってTHF抽出率はさらに低下する。このようなエマルジョン型粘着剤は、THF抽出率の比較的小さい乾燥塗膜を形成し得るポリマーエマルジョンを主成分として用いたり、あるいはTHF抽出率の比較的大きな塗膜を形成し得るポリマーエマルジョンと架橋剤とを組み合わせたりすることによって得ることができる。
これに対し、本発明のエマルジョン型粘着剤(以下、単に「粘着剤」と記す場合もある。)は、エマルジョン型粘着剤を構成するポリマーエマルジョン自体の乾燥塗膜がTHFに良く溶解するものであり、かつ、エマルジョン型粘着剤の乾燥直後の塗膜も乾燥後熱履歴を受けた塗膜も、THFに比較的良く溶解するものであることを特徴とするものである。
すなわち、本発明のエマルジョン型粘着剤を構成する主たる成分であるポリマーエマルジョンは、以下の性質を有する。
(i)架橋剤を加えない場合、ポリマーエマルジョンのみでは、ポリマーが粒子内架橋および粒子間架橋しない。これを、「ポリマーが自己架橋性ではない」という。
(ii)架橋剤を加えずにポリマーエマルジョンを乾燥した場合、乾燥直後においてはTHF中への抽出率が70重量%以上であり、かつTHF可溶分の重量平均分子量が20万〜80万の範囲内の塗膜(A)を形成し得る。
そして、上記性質を有するポリマーエマルジョンと架橋剤とを含有するエマルジョン型粘着剤は、以下の性質を有することが重要である。
(iii)エマルジョン型粘着剤を乾燥した場合、乾燥直後には、THF中への抽出率が45重量%以上であり、かつTHF可溶分の重量平均分子量が20万〜80万の範囲内の塗膜(B)、すなわち粘着剤層(B)を形成し得る。
(iv)エマルジョン型粘着剤を乾燥後、60℃で7日間経過後にも、THF中への抽出率が40重量%以上の塗膜、すなわち粘着剤層を形成し得る。
このようなエマルジョン型粘着剤を用いることによって、粘着性能、特に曲面被着体に対する粘着性能が、貼着前の熱履歴の影響を受けにくく、貼着前の熱履歴の有無によらずに一定の性能を発現し得る粘着シートを得ることができる。
ここで、「乾燥直後の塗膜」、すなわち塗膜(A)または塗膜(B)とは、ポリマーエマルジョンまたはエマルジョン型粘着剤を、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ともいう。)上に乾燥膜厚が約20g/m2となるように塗工し、25℃で24時間乾燥して得られた塗膜をいう。
「THF抽出率」とは、PETフィルム上に約20g/m2の乾燥塗膜を設けてなる積層体を200メッシュのステンレス網で包み込み、THF中に25℃で2日間浸漬した後のTHF中へ溶出した成分の重量を、浸漬前の乾燥塗膜の重量で除したものである。さらに、THFへの可溶分の重量平均分子量(Mw)は、前記THF中へ溶出した成分をポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定したものである。
<ポリマーエマルジョン>
粘着剤の主たる成分であるポリマーエマルジョンは、ガラス転移温度が0℃以下であって、自己架橋性ではないが、粘着剤に含まれる架橋剤と反応しうる官能基を備えたポリマーを含む。
このポリマーのガラス転移温度(Tg)は0℃以下であることが重要であり、−10℃以下であることが好ましい。Tgが0℃を超えると、各種被着体に対する粘着性が劣るという不都合を生じやすい。得られるポリマーのTgは、後述する各ラジカル重合性不飽和単量体から形成されるホモポリマーのTgと重合組成に基づいて、理論的に求めることができる。
このようなポリマーは、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体の重合体を用いることができ、さらには、ラジカル重合性不飽和単量体を水中で、界面活性剤の存在下でラジカル重合して得られるものであることが好ましい。ここでポリマーは、ホモポリマー、コポリマーのどちらであってもよいし、コポリマーの共重合形式も、交互、ランダム、ブロック等何ら限定されることはない。
ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体は、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものであることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、ラジカル重合性不飽和単量体の合計100重量%中、70〜99.9重量%含有されることが好ましい
アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の、炭素数が1〜14の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステルおよび対応するメタクリル酸エステルが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
より好ましくは、使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基の炭素数が1〜10のものであり、さらに好ましくは1〜8であり、アクリル酸n−ブチルを主成分とすることが一層好ましい。
ラジカル重合性不飽和単量体を水中で重合する際には、カルボキシル基含有単量体、および/または、水酸基含有単量体が好適に用いられる。特にカルボキシル基含有単量体は、重合場の安定性確保のために重要である。
したがって、ラジカル重合性不飽和単量体の一種として、カルボキシル基含有単量体を、ラジカル重合性不飽和単量体の合計100重量%中、形成されるエマルジョン粒子の安定性の観点から0.1重量%以上含有することが好ましい。一方、得られる粘着剤の耐水性の確保や剥離シート上でのハジキ現象回避の観点から、ラジカル重合性不飽和単量体中におけるカルボキシル基含有単量体の含有量は20重量%以下であることが好ましく、0.2〜5重量%含有することがより好ましく、0.2〜2重量%含有することがさらに好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で用いられるほか、複数種を併用してもよい。
ポリマーエマルジョンあるいはこれに含まれるポリマーは、自己架橋性がなく、粘着剤層形成時に、後述する架橋剤と反応することにより架橋し得るものである。したがって、用いられるポリマーエマルジョンあるいはポリマーは、架橋剤と反応し得る官能基を有することが必要である。カルボキシル基と反応し得る架橋剤を利用する場合には、上記のカルボキシル基含有単量体がその機能を担う。
さらにラジカル重合性不飽和単量体としては、上記以外の単量体を必要に応じて使用することもできる。必要に応じて用いられる1種以上のその他のラジカル重合性不飽和単量体は、ラジカル重合性不飽和単量体の合計100重量%中、0〜10重量%の割合で用いることができ、0〜5重量%の割合で用いることが好ましい。
その他のラジカル重合性不飽和単量体としては、カルボキシル基以外の官能基であって、後述する架橋剤と反応し得る官能基を有するものと、有しないものとがある。
架橋剤と反応し得る、カルボキシル基以外の官能基を有する単量体の例としては、ダイアセトンアクリルアミドのようなカルボニル基含有単量体、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有単量体、ポリエチレングリコールアクリレート、燐酸基含有ビニル単量体等が挙げられる。
架橋剤と反応し得る官能基を有しない単量体の例としては、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン等のビニル単量体、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミドが挙げられる。
なお、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基等の「架橋剤と反応し得る官能基」を含有する単量体は、粘着剤から得られる塗膜のTHF中への抽出率および可溶分の重量平均分子量が特定の範囲内となるように、その使用量を調整すればよい。たとえば、ラジカル重合性不飽和単量体の合計100重量%中、0.1〜30重量%の割合で用いることができ、0.2〜10重量%の割合で用いることが好ましく、0.2〜7重量%の割合で用いることがより好ましい。
上記のように、カルボキシル基含有単量体および水酸基含有単量体は、水性媒体を重合場とするポリマーエマルジョンの形成に好適に用いられる。
しかし、カルボキシル基または水酸基と反応し得る官能基を有する単量体を用いた場合、重合時に、またはポリマーエマルジョンを含有する粘着剤を乾燥する際に、カルボキシル基または水酸基と反応し得る官能基が、カルボキシル基または水酸基と反応し、ポリマーエマルジョンを構成するポリマー粒子内に架橋構造を形成する。ポリマー粒子内に架橋構造が形成されると、架橋剤を用いなくてもポリマーエマルジョンの乾燥塗膜のTHF抽出率が低下すると共に、そのようなポリマーエマルジョンと架橋剤とを含有する粘着剤から形成される粘着剤層のTHF抽出率は、さらに低下する。
乾燥直後の粘着剤層(B)のTHF抽出率が低いと、具体的には45重量%未満であると、シート状発泡体に対する密着性が著しく低下し、曲面に貼着された場合、シート状発泡体が平らに戻ろうとする復元力に抗しきれずに、粘着剤層を被着体に残してシート状発泡体が端から剥がれてしまう。
したがって、エマルジョン型粘着剤の主たる構成成分であるポリマーエマルジョンは、重合時または乾燥の際にポリマー粒子内に架橋構造を形成し得る官能基を有しないことが重要であり、具体的には、カルボキシル基または水酸基と反応し得る官能基を有しないことが好ましい。そこで、ポリマーエマルジョンを得る際には、カルボキシル基または水酸基と反応し得る官能基を有するラジカル重合性不飽和単量体を用いないことが好ましい。
カルボキシル基または水酸基と反応し得る官能基としては、エポキシ基、アルコキシシリル基、n−ヒドロキシアルキル基、n−アルコキシアルキル基、およびメチロール基等が挙げられる。これらの官能基を含有する単量体の例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N―アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、アルコキシシリル基含有単量体などが挙げられる。なお、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドは水酸基を有するが、自己縮合の可能性が懸念されるので、ポリマーエマルジョンを得る際には用いないことが好ましい。
ラジカル重合性不飽和単量体の重合に使用される界面活性剤としては、ラジカル重合性不飽和単量体を水媒体中に乳化させる機能をもっているものを、単独または数種併用することができる。界面活性剤としては、ラジカル重合性を有する反応性界面活性剤およびラジカル重合性を有さない非反応性界面活性剤が挙げられ、これらはイオン性のものであっても、非イオン性のものであっても構わない。ポリマー粒子内に架橋構造を形成しにくく、ポリマーエマルジョンの乾燥塗膜およびエマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層のTHF抽出率が大きく、シート状発泡体に対する粘着剤層の密着性を向上でき、粘着シートが熱履歴を受けても被着体曲面に対し優れた粘着性能を発現できるという点で、反応性界面活性剤ではなく、非反応性界面活性剤を用いることが好ましい。
非反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル等のエーテル型の界面活性剤の他に、エステル型、エーテル・エステル型、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレントリメチロールプロパン脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、シリコン系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらに加えて、上記非イオン性界面活性剤の硫酸エステルやその塩類も使用することができる。
反応性界面活性剤としては、ラジカル重合性不飽和単量体と共重合することができるものであって、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩またはナトリウム塩、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルのアンモニウム塩またはナトリウム塩等が挙げられる。反応性界面活性剤の市販品として、旭電化工業(株)製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬(株)製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−10、KH−20」、旭電化工業(株)製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬(株)「KAYARAD」等が挙げられる。
界面活性剤の使用量は、特に制限されるものではないが、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、0.5〜2重量部であることがより好ましい。界面活性剤は、ポリマーエマルジョンの重合安定性(凝集物の発生)の観点から、0.1重量部以上であることが好ましく、得られる粘着剤層の耐水性の観点から、5重量部以下であることが好ましい。
ポリマーエマルジョンの粒子径制御のため、使用する界面活性剤の一部を予め重合用容器に添加しておいてもよい。
反応性界面活性剤の存在は、生成するポリマーの分子量にはほとんど影響しない。しかし、反応性界面活性剤を使用すると、粘着剤の乾燥直後の塗膜(B)のTHF中への抽出率を減少させ、かつ熱履歴を受けた粘着シートの粘着剤層のTHF中への抽出率をさらに減少させて、被着体曲面に対する粘着性能が低下する傾向があるので、反応性界面活性剤を単独で用いることは好ましくない。反応性界面活性剤を非反応性界面活性剤と併用する場合、界面活性剤の合計100重量%中に、ラジカル重合性の反応性界面活性剤が0〜50重量%、非反応性界面活性剤が50〜100重量%の割合で含まれることが好ましく、反応性界面活性剤が0〜30重量%、非反応性界面活性剤が70〜100重量%の割合で含まれることがより好ましい。
反応性界面活性剤の割合が50重量%を超える場合、粘着剤の乾燥直後の塗膜(B)のTHF中への抽出率が45重量%未満になりやすく、粘着シートの耐熱経時性を低下させるため好ましくない。
ポリマーエマルジョンは、上記界面活性剤および重合開始剤の存在下、ラジカル重合性不飽和単量体を水中でラジカル重合させる従来公知の乳化重合法により好ましく得ることができる。
重合開始剤としては、水溶性または非水溶性のいずれのものも使用できる。一般的に用いられるものとしては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩もしくは水酸基付加物等の水溶性の熱分解型重合開始剤や、レドックス開始剤が挙げられる。レドックス開始剤としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機化酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどとの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸との組み合わせ等を用いることができる。重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して、通常0.02〜3重量部であり、好ましくは0.1〜1重量部である。
重合開始剤の添加方法としては、あらかじめ全量を反応容器中に仕込んでおき、反応を開始させても良いし、その一部を反応容器中に仕込んでおき、残りを分割添加あるいは滴下しても良く、全量を分割添加あるいは滴下しても良い。分割添加あるいは滴下する場合には、ラジカル重合性不飽和単量体と混合された状態で添加あるいは滴下を行っても良い。
さらに、得られるポリマーの分子量や分子量分布を制御するために、連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステル、あるいはイソプロピルアルコールなどのアルコール類を使用することができる。
粘着剤の耐熱経時特性を高め、貼着前に熱履歴を受けても粘着性能が低下しないようにする(熱履歴の影響を受けにくくする)ためには、含まれるポリマーエマルジョンおよびポリマーエマルジョンを含有する粘着剤の乾燥直後の塗膜(A)および(B)のTHF可溶分の重量平均分子量が20万〜80万であることが重要である。この観点から、連鎖移動剤の使用量も重要である。
連鎖移動剤の量を増加させるとTHF可溶分の分子量を小さくできるが、THF可溶分の重量平均分子量が20万より小さい場合、ポリマーの凝集力が極端に小さくなり、そのようなポリマーを含有する粘着剤から形成される粘着剤層の凝集力も極端に小さくなってしまう。そして、凝集力の著しく小さい粘着剤層は、熱履歴の影響を受けやすく、さらに凝集力が低下する。連鎖移動剤を使用する際、添加量はラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0〜0.1重量部であることが好ましく、上記分子量の範囲内となるように添加量を調節しながら使用する。
ラジカル重合性不飽和単量体の重合反応は、通常40〜90℃の温度範囲で、1〜12時間かけて行われる。
ラジカル重合性不飽和単量体の反応系中への供給方法としては、特に制限されるものではなく、全量をあらかじめ反応容器中に仕込んでおいても良いし、一部を反応容器中に仕込んでおき、残りを分割添加あるいは滴下しても良く、全量を分割添加あるいは滴下しても良い。
分割添加あるいは滴下する場合においては、単量体のみの形態であっても良いし、水および界面活性剤と混合された単量体エマルジョンの形態となっていても良い。これらの単量体および単量体エマルジョンは、上述した重合開始剤を任意に含んでいてもよい。
なかでも、ラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤および水を用いて平均粒子径0.5〜2μmの単量体エマルジョンを作製し、この単量体エマルジョンを水性媒体中でラジカル重合することが好ましい。具体的には、単量体エマルジョンを、水と界面活性剤とを含有する界面活性剤水溶液または水に添加しつつ、ラジカル重合を行うことが好ましい。
特開2001−348551号公報に記載される発明は、ポリマーエマルジョンの放置安定性の観点から、ラジカル重合性不飽和単量体を水に微細化した単量体エマルジョンとして重合に供する。これに対し、本発明においては、粘着剤の乾燥直後の塗膜(B)のTHF抽出率を調整する目的で、ラジカル重合性不飽和単量体を水に微細化した単量体エマルジョンとして重合に供している。すなわち、本発明者らは、この単量体エマルジョンの微細化の度合いにより、得られる塗膜(B)のTHF抽出率を調整できることを新たに見いだした。乾燥塗膜(B)のTHF抽出率を増加させることで、粘着剤層のシート状発泡体への密着性を向上でき、その結果粘着剤層が熱履歴を受けても曲面被着体に対する粘着性能を低下させないことが可能となる。つまり、重合時の組成は同一であっても、単量体エマルジョンの微細化の度合いにより、生成するポリマーエマルジョンを含むエマルジョン型粘着剤の、形成される乾燥塗膜(B)のTHF中への抽出率を調節することができる。単量体エマルジョンを微細化することで、粘着剤層のTHF抽出率を増加させることが可能なので、微細化後の平均粒子径は0.5〜2μmであることが好ましく、0.5〜1μmであることがより好ましい。2μmより大きいと粘着剤層のTHF抽出率を増加させる効果があまり期待できない。
単量体エマルジョン粒子を微細化する方法としては、超音波乳化機やホモミキサー等の分散機の使用が一般的である。
本発明においては、架橋剤の不存在下にポリマーエマルジョンから得られる乾燥直後の塗膜(A)のTHF抽出率が70重量%以上であり、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。そして、この乾燥直後の塗膜(A)のTHF可溶分の重量平均分子量が20万〜80万であり、40万〜75万であることが好ましく、50万〜70万であることがより好ましい。
ポリマーエマルジョンから得られる乾燥直後の塗膜(A)のTHF抽出率が70重量%未満の場合、このポリマーエマルジョンおよび架橋剤を含有するエマルジョン型粘着剤から得られる乾燥直後の粘着剤層(B)のTHF抽出率が45重量%未満となり、シート状発泡体への密着性が低下する。
乾燥直後の塗膜(A)のTHF可溶分の重量平均分子量が20万未満のポリマーエマルジョンを用いて粘着剤を得ても、ポリマー自体の凝集力が著しく不足しているので、架橋剤で架橋しても粘着性能が確保できない。一方、乾燥直後の塗膜(A)のTHF可溶分の重量平均分子量が80万を超えるポリマーエマルジョンを用いてなる粘着剤の場合、乾燥後の粘着剤層のシート状発泡体表面に対する親和性が乏しく、密着性が良くない。さらに、分子量が大きすぎる場合、粘着剤層の被着体表面に対する親和性も乏しくなり、接着力が低下する。
さらに、架橋剤の不存在下でポリマーエマルジョンから得られる乾燥塗膜(A)を、60℃の環境下で7日間放置した後の塗膜のTHF抽出率は、加熱経時による粘着シートの粘着物性変化の観点から、60重量%以上であることが好ましい。
<エマルジョン型粘着剤>
本発明に係るエマルジョン型粘着剤では、乾燥の過程および必要に応じておこなわれるエージングの過程で、ポリマーエマルジョンの粒子同士を粒子間架橋させることが重要である。そのためには、本発明に係る粘着剤は、上記したポリマーエマルジョンと反応し得る架橋剤を含有することが好ましい。なかでも、水に溶解もしくは分散可能な架橋剤を利用することが好ましい。
水に溶解もしくは分散可能な架橋剤としては、ポリマーエマルジョン中のラジカル重合性不飽和単量体由来の官能基、たとえば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等と乾燥過程やエージングの際に反応し得る化合物を使用できる。
このような架橋剤としては、たとえば、水に溶解もしくは分散可能なヒドラジド化合物、セミカルバジド誘導体、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、錯体形成可能な金属系化合物等が挙げられる。
本発明のエマルジョン型粘着剤は、粘着シートに熱履歴が加えられたとしても熱履歴の影響を受けずに、シート状発泡体と曲面被着体とを、一定の性能で再現性よく貼着し得るものである。このような効果を奏するためには、乾燥直後にTHF抽出率が45重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは65重量%以上の粘着剤層(B)を形成し得る粘着剤を用いるだけでは不十分であり、乾燥後、60℃で7日間経過後でもTHF抽出率が40重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上の粘着剤層を形成し得る粘着剤を用いることが重要である。
すなわち、乾燥直後の粘着剤層(B)のTHF抽出率が十分に高いものであったとしても、乾燥後、60℃で7日間経過後にはTHF抽出率が40重量%未満になってしまう粘着剤層を形成する粘着剤を用いた粘着シートは、粘着シートに熱履歴が加わらない場合には、曲面に対しシート状発泡体を貼着できる。しかし、粘着シートに熱履歴が加わった場合、粘着剤層のシート状発泡体に対する密着性が、熱履歴の加わらない場合に比して著しく低下し、曲面に貼着された場合、粘着剤層を被着体に残して、シート状発泡体が端から剥がれてしまう。
そこで、架橋剤の種類や量を適宜制御することによって、乾燥直後の粘着剤層(B)のTHF抽出率が45重量%以上であり、かつ、乾燥後、60℃で7日間経過しても40重量%以上のTHF抽出率を維持できる粘着剤層を形成可能な粘着剤を得ることができる。たとえば、架橋剤の使用量としては、ポリマーエマルジョンの固形分100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、0.005〜5重量部であることがより好ましく、0.01〜3重量部であることがさらに好ましい。
THF抽出率が70重量%以上、且つTHF可溶分の重量平均分子量が20万〜80万の乾燥直後の塗膜(A)を、架橋剤の不存在下に形成し得るポリマーエマルジョンを用いたとしても、架橋剤が多過ぎる場合、乾燥直後のTHF抽出率が45重量%以上となる粘着剤層(B)を形成することが難しくなり、粘着剤層とシート状発泡体との密着性が低下する。一方、架橋剤が少なすぎる場合、粘着剤層とシート状発泡体との密着性が確保できても、形成される粘着剤層自体の凝集力が著しく不足しているため、曲面被着体に対する粘着性能を維持できなくなる。
エマルジョン型粘着剤は、必要に応じて、たとえば更なる粘着性能の向上を図るべく、粘着付与樹脂を含有してもよい。粘着付与樹脂を使用する場合、
(a)粘着付与樹脂を含有する単量体エマルジョンを重合して、粘着付与樹脂含有ポリマーエマルジョンを得、ここに架橋剤を加えて粘着剤を得る方法;または
(b)粘着付与樹脂を含有する単量体エマルジョンを重合して、粘着付与樹脂含有ポリマーエマルジョンを得、ここに架橋剤およびさらに粘着付与樹脂を添加して粘着剤を得る方法;あるいは
(c)粘着付与樹脂を含有しない単量体エマルジョンを重合して、ポリマーエマルジョンを得、ここに架橋剤および粘着付与樹脂を添加して粘着剤を得る方法;
のいずれであってもよく、(a)または(b)の方法による粘着剤が好ましく、(b)の方法による粘着剤がより好ましい。
粘着付与樹脂が微細な単量体エマルジョンに含有された状態で重合に供される場合、得られるポリマーエマルジョンを主成分とする粘着剤から形成される粘着剤層の被着体、特にポリオレフィン等に対する接着性が向上するので好ましい。しかし、単量体重合時に粘着付与樹脂が存在する場合、粘着付与樹脂は連鎖移動の機能を有するので、生成されるポリマーの分子量を低下させる傾向にある。そこで、生成されるポリマーの分子量を低下させ過ぎない範囲で粘着付与樹脂を単量体エマルジョンに含有させて、粘着付与樹脂含有ポリマーエマルジョンを得、このポリマーエマルジョンにさらに粘着付与樹脂を添加する(b)の方法がより好ましい。
粘着付与樹脂を単量体エマルジョンに含有させる方法としては、あらかじめ粘着付与樹脂をラジカル重合性不飽和単量体中に溶解ないしは分散させた後、水および界面活性剤を加えて混合し、単量体エマルジョンとする方法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
用いられる粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等の中から少なくとも1種以上を使用することができる。ロジン系樹脂としては天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルなどがある。テルペン系樹脂としてはα−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等がある。芳香族系石油樹脂としてはスチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等がある。粘着付与樹脂の製造時には、溶剤および揮発性有機化学物質を用いる場合があり、それらが粘着付与樹脂中に残留することもある。本発明においては、溶剤および揮発性有機化学物質を含まない粘着付与樹脂を使用することが好ましい。
上記したように、粘着付与樹脂含有単量体エマルジョンを重合する場合、粘着付与樹脂は連鎖移動の機能を有するので、その添加量は、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、0.5〜15重量部であることがより好ましい。そして、生成された粘着付与樹脂含有ポリマーエマルジョンに、さらに粘着付与樹脂を加えることが好ましい。この場合は、重合に使用されたラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して、粘着付与樹脂の合計量が1〜30重量部となる量を後から加えることが好ましく、合計量が3〜20重量部となるように加えることがより好ましい。
生成したポリマーエマルジョンに粘着付与樹脂を加える場合には、ポリマーエマルジョンとの混合が容易であるという観点から、粘着付与樹脂の水性分散体を用いることが好ましい。
エマルジョン型粘着剤には、上記ポリマーエマルジョンに、架橋剤のほかに、さらに必要に応じて数種の添加剤を添加することができる。添加剤としては具体的には、濡れ剤(ハジキ防止のための界面活性剤等)、消泡剤、中和剤、可塑剤、増粘剤、着色剤、防腐剤、防錆剤、撥水剤等が挙げられる。アセチルアセトンなどのアルデヒドキャッチャー剤や防臭剤、消臭剤を添加することもできる。
このようにして得られるエマルジョン型粘着剤を乾燥した場合、乾燥直後の塗膜(B)のTHF可溶分の重量平均分子量は、ポリマーエマルジョン乾燥塗膜(A)の場合と同様に、20万〜80万であり、40万〜75万であることが好ましく、50万〜70万であることがより好ましい。分子量が小さ過ぎると、粘着剤層自体の凝集力が著しく不足するので、粘着性能が確保できない。一方、分子量が大きすぎると、粘着剤層のシート状発泡体表面に対する親和性が乏しく、密着性が良くない。さらに、分子量が大きすぎる場合、粘着剤層の被着体表面に対する親和性も乏しくなり、接着力が低下する。
本発明により、粘着シートに熱履歴を加えても、加えない場合と同等の粘着性能を発現し得る粘着シート、および該粘着シートを構成する粘着剤層を形成し得るエマルジョン型粘着剤を提供することができる。
<粘着シート>
本発明の粘着シートは、本発明のエマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層が、シート状発泡体(発泡体を「発泡基材」ともいう。)の片面または両面に積層されてなるものである。
すなわち、その基本構成は、
「シート状発泡体/粘着剤層/剥離シート」(片面粘着シート)、あるいは
「剥離シート/粘着剤層/シート状発泡体/粘着剤層/剥離シート」(両面粘着シート)
となっている。
剥離シートとしては、たとえば上質紙等の紙またはプラスチックフィルムに剥離剤をコーティングしてなる公知の剥離紙または剥離フィルムを用いることができ、特に限定はされない。
シート状発泡体も、特に限定はされず、任意のものを用いることができる。具体的には、EPDMフォーム、クロロプレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ABS樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、アクリル樹脂フォーム等が挙げられる。
シート状発泡体の硬さは、防音、防塵、気密及び防湿等の目的で、凹凸面や曲面形状箇所において使用される場合に重要であり、厚さ方向の50%圧縮硬度は0.01〜1N/cm2であることが好ましく、0.05〜1N/cm2であることがより好ましく、0.05〜0.5N/cm2であることがさらに好ましい。
シート状発泡体の厚さは、100mm以下が一般的であるが、10μm〜80mmであることが好ましく、1mm〜50mmであることがより好ましい。
このようなシート状発泡体の片面あるいは両面に、エマルジョン型粘着剤を直にコーティングして乾燥する方法によるか、あるいはエマルジョン型粘着剤を剥離シート上にコーティングし乾燥して粘着剤層を設けた後、この粘着剤層とシート状発泡体とを貼り合せ、粘着剤層をシート状発泡体上に転写する方法、いわゆる転写法によって、粘着シートを得ることができる。
粘着剤をシート状発泡体あるいは剥離シートにコーティングする方法は、特に制限されるものではなく、コンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の従来公知のコーティング装置によることができる。
粘着剤の塗工量は、乾燥重量で30〜120g/m程度であることが好ましい。
得られた粘着シートは耐熱経時性が良好であるため、自動車用、建築用等の工業材として有用である。
別の形態の粘着シートとして、本発明のエマルジョン型粘着剤を用い、「シート状発泡体(I)/粘着剤層(II)/不織布、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれるいずれか1種からなる層(III)/粘着剤層(IV)」という積層構成の粘着シートを得ることもできる。以下、「不織布、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれるいずれか1種」を「不織布等」とも記す。
すなわち、その基本構成は、
「シート状発泡体(I)/粘着剤層(II)/不織布等(III)/粘着剤層(IV)/剥離シート」(片面粘着シート)
となっている。
あるいは、さらに粘着剤層(V)を備えた
「剥離シート/粘着剤層(V)/シート状発泡体(I)/粘着剤層(II)/不織布等(III)/粘着剤層(IV)/剥離シート」(両面粘着シート)
あるいは、さらに不織布等(VI)と粘着剤層(VII)を備えた
「剥離シート/粘着剤層(V)/不織布等(VI)/粘着剤層(VII)/シート状発泡体(I)/粘着剤層(II)/不織布等(III)/粘着剤層(IV)/剥離シート」(両面粘着シート)
のような構成であってもよい。
本発明のエマルジョン型粘着剤は、この粘着剤層(II)と粘着剤層(IV)のいずれか一方または双方、好ましくは双方に使用され、あるいは、粘着剤層(II)、(IV)、(V)、(VII)のうちのいずれか一層以上、好ましくは全ての層に使用される。
粘着シートを上記のような積層構造とした場合の利点は、以下の通りである。
(1)粘着剤層を2層とすることによって、実質的に粘着剤層の全体としての厚みを厚くすることができ、粘着力および凝集力の向上につながる。1層の粘着剤層で厚みを厚くした場合、粘着剤の乾燥が不十分となりやすく、好ましくない。
(2)粘着剤層間に不織布等が介在することにより、凝集力の向上につながる。
上記の積層構造を有する粘着シートを得る方法としては、
(a)シート状発泡体上に粘着剤層を設けた後、不織布等を貼り合せ、さらに不織布等のもう一方の面上に粘着剤層を設ける方法;
(b)不織布等の一方の面上に粘着剤層を設け、シート状発泡体と貼り合せた後、不織布等のもう一方の面上に粘着剤層を設ける方法;および
(c)転写法により不織布等の両方の面に粘着剤層を設けた後、一方の粘着剤層を介してシート状発泡体に貼り付ける方法;
などが挙げられるが、製造効率の点から、(c)の方法によることが好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。また、ポリエチレンオキサイド構造のエチレンオキサイドの繰り返し数を「EO数」と略記する。
(実施例1)
[ポリマーエマルジョンの合成]
アクリル酸2−エチルヘキシル:45.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:10部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、ダイアセトンアクリルアミド:0.2部、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチル:0.04部を混合、溶解させて単量体混合物を得た。この単量体混合物に、非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1.5部と脱イオン水39部を加え、平羽根撹拌翼にて撹拌して得た単量体エマルジョンを滴下槽に仕込んだ。
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下槽を備えた重合用容器に脱イオン水:12部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.062部を入れた。5分後に上記の単量体エマルジョンと、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.188部をそれぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部をそれぞれ5%水溶液にて10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過してポリマーエマルジョンを得た。
得られたポリマーエマルジョンは、不揮発分62.4%、粘度120mPa・s、平均粒子径0.62μmであり、乾燥直後の塗膜(A)のTHF抽出率は89.8%、乾燥直後の塗膜(A)のTHF可溶分の重量平均分子量は560000、乾燥後、60℃の環境下で7日間経た塗膜のTHF抽出率は84.4%であった。ポリマーのガラス転移温度(計算値)は−54.4℃であった。
[エマルジョン型粘着剤の作製]
得られたポリマーエマルジョン100部に、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド10%水溶液:1部、消泡剤:0.1部、濡れ剤としてナトリウムジオクチルスルホサクシネート:0.1部、防腐剤、およびポリマーエマルジョンの固形分100部に対し、軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体である荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を固形分で10部加え、さらに増粘剤で増粘してエマルジョン型粘着剤を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤の乾燥直後の塗膜(B)のTHF抽出率は74.5%、乾燥直後の塗膜(B)のTHF可溶分の重量平均分子量は520000、乾燥後、60℃の環境下で7日間経た塗膜のTHF抽出率は70.3%であった。
ポリマーエマルジョンおよびエマルジョン型粘着剤の性状および各種評価結果を、表1に示す。
ポリマーエマルジョンの不揮発分の測定は、電気オーブンで150℃−20分乾燥後の重量比を測定して行い、平均粒子径の測定は、日機装(株)製「マイクロトラック」を用いて行った。
ポリマーエマルジョンおよびエマルジョン型粘着剤の乾燥塗膜のTHF抽出率、THF可溶分の重量平均分子量は、以下のようにして求めた。すなわち、得られたポリマーエマルジョンおよび粘着剤を、それぞれ、PETフィルムに乾燥膜厚が約20g/m2となるように塗工し、25℃で24時間乾燥した。得られた塗工物をカッティングし、3cm×10cmの試料を2枚用意した。そのうち1枚は直ちに200メッシュのステンレス網で包み込み、THF中に25℃で2日間浸漬し、THF中へ溶出した成分の重量を、浸漬前の乾燥塗膜の重量で除して、THF抽出率を求め、ゲルパーミエーションクロマトグラフィによりTHFへの溶解分の重量平均分子量を測定した。一方、もう1枚の試料は60℃の環境下で7日間熱履歴を加えた後、同様にしてTHF抽出率、THF可溶分の重量平均分子量を求めた。
<発泡基材に対する粘着剤層の接着力(基材密着性)>
得られたエマルジョン型粘着剤を剥離シート上に、乾燥膜厚60g/m2となるようにアプリケーターで塗工し、100℃の乾燥オーブンで3分間乾燥させたものを、不織布の両面に貼り合わせて両面テープを得た。
発泡基材に対する密着性を評価するために、上記両面テープの一方の面の剥離シートを剥がし、厚さ40μmのPETフィルムを貼りあわせ、これを幅25mm、長さ100mmにカットした。次いで、他の面の剥離シートを剥がし、金属板にあらかじめ固定したEPDM系発泡基材に貼り合わせ、2kgローラーを1往復して圧着し、基材密着性評価のための試料を得た。この試料の積層構成は、「PETフィルム/粘着剤層/不織布/粘着剤層/EPDM系発泡基材」である。これを23℃雰囲気下で20分放置した後に、300mm/分の速さで90゜方向に、粘着剤層とEPDM系発泡基材との界面で剥離し、その剥離力を測定することによって、EPDM系発泡基材に対する粘着剤層の密着性を評価した。
使用したEPDM系発泡基材は、密度:100Kg/m、引張強度:70kpa(JIS K6301)、伸び:250%(JIS K6301)、70%圧縮残留ひずみ:22.1%、厚さ方向の50%圧縮硬度:0.2N/cm、厚さ:10mmであった。
[粘着シートの作製]
得られたエマルジョン型粘着剤を剥離シート上に、乾燥膜厚60g/m2となるようにアプリケーターで塗工し、100℃の乾燥オーブンで3分間乾燥させたものを、不織布の両面に貼り合わせて両面テープを得た。
上記両面テープの一方の面の剥離シートを剥がし、厚さ:10mmのEPDM系発泡基材の一方の面に重ね合わせ、発泡基材の厚みがもとの厚みの10%になる圧力を加え、両者を貼り合わせた後、圧力を開放し、元の厚みに戻した。次いで23℃−50%RH雰囲気下で24時間放置し、「加熱経時無し」粘着シートを得た。さらにその一部を、60℃の環境下に7日間放置し、「加熱経時有り」粘着シートを得た。両粘着シートの積層構成は、「EPDM系発泡基材/粘着剤層/不織布/粘着剤層/剥離シート」である。
以下に示す方法にしたがって、「加熱経時無し」粘着シートを用いて平面接着力および曲面貼付性を評価し、「加熱経時有り」粘着シートを用いて曲面貼付性を評価した。
使用したEPDM系発泡基材は、粘着剤層の発泡基材への密着性評価に用いたものと同様に、密度:100Kg/m、引張強度:70Kpa(JIS K6301)、伸び:250%(JIS K6301)、70%圧縮残留ひずみ:22.1%、厚さ方向の50%圧縮硬度:0.2N/cm、厚さ:10mmである。
<PP製板に対する平面接着力>
「加熱経時無し」粘着シートを幅25mm、長さ100mmの短冊状にカットし、剥離シートを剥がして厚さ2mmのポリプロピレン板(以下、「PP板」と略す。)に貼り付け、2kgロールで1往復した後、23℃−50RH%雰囲気下にて20分間放置した。その後、上記雰囲気下で、300mm/分の速さで90゜方向に粘着剤層とPP板との界面で剥離し、接着強度を測定した。
<PP製円筒に対する曲面貼付性>
「加熱経時無し」および「加熱経時有り」の2種類の粘着シートをそれぞれ幅25mm、長さ180mmの短冊状にカットし、23℃−50%RH雰囲気下で、80mmφポリプロピレン製円筒の側面に試料の長さ方向が円周に沿うように重ね合わせ、発泡基材の厚さがもとの厚さの10%になる圧力を加え、PP製円筒外面に粘着シートを貼った。その後、圧力を開放し、粘着シートの厚みを元に戻し、23℃−50%RH雰囲気下に24時間放置した。次いで、80℃雰囲気下に4時間放置した後、取り出して、試験片両端の浮き剥がれた部分の長さを計測し、両者の平均値を算出した。浮き剥がれた部分の長さの短い方が、曲面貼着性は良好であることを示す。長さ180mmの試料が完全に浮いてしまった場合には、「90mm」となる。
(実施例2)
アクリル酸2−エチルヘキシル:45.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:10部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、ダイアセトンアクリルアミド:0.2部、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチル:0.04部を混合、溶解させて単量体混合物を得た。この単量体混合物と、非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1.0部と反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン(EO数:10)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩:0.5部および脱イオン水39部を平羽根撹拌翼にて撹拌して得た単量体エマルジョンを滴下槽に仕込んだ。
これ以後は実施例1と同様の実験を行った。
(実施例3)
アクリル酸2−エチルヘキシル:45.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:10部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、ダイアセトンアクリルアミド:0.2部、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチル:0.03部、軟化点約150℃の重合ロジン(「ペンセルD−160」:荒川化学(株)製):3部を混合、溶解させて単量体混合物を得た。この単量体混合物に、非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1.5部と脱イオン水39部を加え、平羽根撹拌翼にて撹拌して得た単量体エマルジョンを滴下槽に仕込んだ。
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下槽を備えた重合用容器に脱イオン水:12部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.062部を入れた。5分後に上記の単量体エマルジョンと、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.188部をそれぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部を5%水溶液にて10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過してポリマーエマルジョンを得た。
これ以後、エマルジョン型粘着剤を得る際に、軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体である荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を加えなかったこと以外は実施例1と同様の実験を行った。
(実施例4)
実施例3で作製した単量体エマルジョンをホモミキサーでさらに微細化して、平均粒子径0.6μmである単量体エマルジョンとして滴下槽に仕込んだこと以外は実施例3と同様の実験を行った。
(実施例5)
実施例4で得られたポリマーエマルジョンに、架橋剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤の他に、さらにポリマーエマルジョンの固形分100部に対して、軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を固形分で10部加え、増粘剤にて増粘してエマルジョン型粘着剤を得た。得られたエマルジョン型粘着剤を用いて、実施例4と同様の実験をおこなった。
(実施例6)
実施例1において、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチルをイソプロピルアルコール0.3部に変更したこと以外は実施例1と同様の実験を行った。
(実施例7)
実施例3において、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチルをイソプロピルアルコール0.3部に変更したこと以外は実施例3と同様の実験を行った。
(実施例8)
実施例7で作製した単量体エマルジョンをホモミキサーでさらに微細化して、平均粒子径0.6μmである単量体エマルジョンとして滴下槽に仕込んだこと以外は実施例7と同様の実験を行った。
(実施例9)
実施例8で得られたポリマーエマルジョンに、架橋剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤の他に、さらにポリマーエマルジョンの固形分100部に対して、軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を固形分で10部加え、増粘剤にて増粘してエマルジョン型粘着剤を得た。得られたエマルジョン型粘着剤を用いて、実施例8と同様の実験をおこなった。
(比較例1)
ポリマーエマルジョンを得る際に連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチルを用いなかったこと、および粘着剤を得る際に軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体である荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を加えなかったこと以外は実施例1と同様の実験を行った。
(比較例2)
ポリマーエマルジョンを得る際に連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチルを用いなかったこと以外は実施例1と同様の実験を行った。
(比較例3)
実施例3において、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチルの量を0.1部に変更し、さらに、軟化点約150℃の重合ロジン(「ペンセルD−160」:荒川化学(株)製)の量を20部に変更したこと以外は実施例3と同様の実験を行った。
(比較例4)
ポリマーエマルジョンを得る際に、重合開始剤として固形分で0.062部および0.188部用いていた5%過硫酸カリウム水溶液を、固形分で0.187部および0.563部にそれぞれ変更したこと以外は比較例1と同様の実験を行った。
(比較例5)
比較例4において、粘着剤を作製する際に、架橋剤、消泡剤、濡れ剤、防腐剤の他に、さらに軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体である荒川化学(株)製「スーパーエステルE−650」を固形分で10部加えたこと以外は比較例4と同様の実験を行った。
(比較例6)
実施例3において用いた界面活性剤を、反応性界面活性剤であるポリオキシエチレン(EO数:10)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩:1.5部のみに変更したこと以外は実施例3と同様の実験を行った。
(比較例7)
ポリマーエマルジョンを得る際に、45.5部であったアクリル酸2−エチルヘキシルを45部に、40.3部であったアクリル酸ブチルを40部に、0.2部であったダイアセトンアクリルアミドを1部にそれぞれ変更したこと以外は、実施例5と同様にして、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤を得、同様に評価した。
(比較例8)
実施例6において、ポリマーエマルジョンを得る際に、45.5部であったアクリル酸2−エチルヘキシルを41部に、40.3部であったアクリル酸ブチルを40部に、0.2部であったダイアセトンアクリルアミドを5部にそれぞれ変更し、さらに、粘着剤を作製する際に添加したアジピン酸ジヒドラジド10%水溶液の量を50部に変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤を得、同様に評価した。
(比較例9)
実施例9においてエマルジョン型粘着剤を得る際に、架橋剤であるアジピン酸ジヒドラジド10%水溶液を加えなかったこと以外は実施例9と同様の実験を行った。
(比較例10)
アクリル酸2エチルヘキシル:45.5部、アクリル酸ブチル:40.3部、アクリル酸エチル:10部、メタクリル酸メチル:3部、アクリル酸:1部、ダイアセトンアクリルアミド:0.1部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン:0.1部、連鎖移動剤であるチオグリコール酸オクチル:0.04部を混合して単量体混合物を得た。この単量体混合物に、非反応性界面活性剤であるアルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート:1.5部と脱イオン水39部を加え、平羽根撹拌翼にて撹拌して得た単量体エマルジョンをホモミキサーでさらに微細化して、滴下槽に仕込んだ
加熱装置、撹拌機、還流冷却装置、温度計、窒素導入管および滴下槽を備えた重合用容器に脱イオン水:12部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌して内温78℃まで昇温させて、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.062部を入れた。5分後に上記の単量体エマルジョンと、5%過硫酸カリウム水溶液を固形分で0.188部をそれぞれ別の滴下槽から4時間かけて滴下して重合を行った。滴下終了後30分間80℃に保ち、次いで30分かけて内温を60〜65℃に設定し、t−ブチルハイドロパーオキサイド:0.1部とロンガリット:0.12部をそれぞれ5%水溶液にて10分おきに3回に分けて添加した。更に撹拌しながら1時間反応させた後、アンモニア水で中和し、175メッシュのナイロン濾布で濾過してポリマーエマルジョンを得た。
上記で得たポリマーエマルジョン100部に、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド10%水溶液:0.5部、消泡剤:0.1部、濡れ剤としてナトリウムジオクチルスルホサクシネート:0.1部、防腐剤を加え、さらに増粘してエマルジョン型粘着剤を得た。
これ以後は実施例1と同様の実験を行った。
(比較例11)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器を用い、アクリル酸ブチル70部、アクリル酸2−エチルヘキシル30部、アクリル酸3部、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン株式会社製「KBM−503」)0.05部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.05部、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド(重合開始剤)0.1部を、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム(乳化剤)1.5部を添加した水100部に加えて乳化重合して重合体の分散液を得た。なお、シラン系単量体を混合しない組成で同様にして重合した場合の重合終了時の重合体の溶剤不溶分は0%であった。
上記で得られた分散液に10%アンモニウム水を添加してpH8に調整した後、シラン化合物としてn−デシルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製「AY43−210MC」)を0.06部添加し、さらにその固形分100部に対し粘着付与剤としてロジンフェノール系樹脂(荒川化学工業株式会社製「タマノルE−100」)を固形分で30部加え、水分散型粘着剤を得た。
表1中の略号は、以下の意味である。
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸ブチル
EA:アクリル酸エチル
AA:アクリル酸
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
シラン:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
非反応性界面活性剤:アルキル炭素数12、EO数18のポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート
反応性界面活性剤:ポリオキシエチレン(EO数:10)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩
OTG:チオグリコール酸オクチル
IPA:イソプロピルアルコール
TF−1:軟化点約150℃の重合ロジン〔「ペンセルD−160」:荒川化学(株)製〕
KPS:過硫酸カリウム
t−BHPO:t−ブチルハイドロパーオキサイド
ADH:アジピン酸ジヒドラジド10%水溶液(ポリマーエマルジョン100部に対する部数を示す。)
TF−2:軟化点100℃以上のロジン粘着付与樹脂の水性分散体〔「スーパーエステルE−650」:荒川化学(株)製〕(ポリマーエマルジョンの固形分100部に対する固形分部数を示す。)
Figure 2007197693
比較例1〜3は、ポリマーエマルジョンから形成される塗膜のTHF抽出率は十分大きいが、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤から形成される塗膜のTHF可溶分の分子量が大きすぎたり、小さすぎたりする。比較例1、2のようにTHF可溶分の分子量が大きすぎるポリマーエマルジョンを主成分とする粘着剤から形成される粘着シートは、シート状発泡体に対する密着性がそもそも不十分であり、その結果、曲面貼付性も劣る。一方、比較例3のようにTHF可溶分の分子量が小さすぎるポリマーエマルジョンを主成分とする粘着剤から形成される粘着シートは、シート状発泡体に対する密着性、平面に対する接着力は一応確保できるが、分子量の小ささゆえに粘着剤層の凝集力が不足し、シート状発泡体が平面に戻ろうとする力に抗して、シート状発泡体をPP製円筒の曲面に貼り付けることができない。
比較例4〜6は、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤から形成される塗膜のTHF可溶分の分子量は適切な範囲にあるが、ポリマーエマルジョンから形成された乾燥直後の塗膜のTHF抽出率が65%前後であり、粘着剤から形成された粘着剤層に熱履歴を加えた場合、THF抽出率が30%前後である。比較例4〜6のような粘着剤の場合、シート状発泡体に対する密着性、平面に対する接着力は一応確保できるが、曲面貼付性が低下する。なお、ポリマーエマルジョンのポリマー粒子自体が粒子内架橋している比較例6の粘着剤は、貼着前に熱履歴を受けない場合には、十分な曲面貼付性を発現できるが、貼着前に熱履歴を受けると粒子間架橋が形成されるので、粘着剤層が剛直になり、曲面貼付性が低下する。
比較例7では、ポリマーエマルジョンと架橋剤との反応が昂進し易いので、粘着剤層に熱履歴を加えた場合、THF抽出率が低下する。粘着剤層に熱履歴が加えられない場合には、実施例5と遜色ない程度の、シート状発泡体に対する密着性および平面に対する接着性、曲面貼付性を確保できる。しかし、貼着前に粘着剤層に熱履歴が加えられ、粘着剤層の架橋が昂進してしまうと、粘着剤層が剛直になり、シート状発泡体が平面に戻ろうとする力に抗して、シート状発泡体をPP製円筒の曲面に貼り付けることができない。
比較例8は、比較例7よりもさらにポリマーエマルジョンと架橋剤との反応が昂進し易い。したがって、特別な熱履歴を加えなくとも各種性能が著しく劣る。
比較例9は、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤から形成される塗膜のTHF抽出率が十分大きく、ポリマーエマルジョンおよび粘着剤から形成される塗膜のTHF可溶分の分子量も適切であるので、シート状発泡体に対する密着性および平面に対する接着性は十分である。しかし、比較例9の粘着剤は、架橋剤を含有しないので、ポリマーエマルジョンを構成していたポリマー粒子の粒子間架橋が形成されず、粘着剤層の凝集力が不足する。その結果、シート状発泡体が平面に戻ろうとする力に抗して、シート状発泡体をPP製円筒の曲面に貼り付けることができない。
比較例10〜11は、アルコキシシリル基を含有するラジカル重合性不飽和単量体を使用しているため、合成中に架橋が進行してしまいポリマーエマルジョンのTHF抽出率が低下する。比較例10、11のようにTHF抽出率の低すぎるポリマーエマルジョンを主成分とする粘着剤から形成される粘着シートは、シート状発泡体に対する密着性がそもそも不十分であり、その結果曲面貼付性も劣る。また、アルコキシシリル基を含有するラジカル重合性不飽和単量体を使用したポリマーエマルジョンは架橋剤との反応が昂進し易いので、粘着剤層に熱履歴を加えた場合、THF抽出率がさらに低下する。そのため、さらに粘着剤層が剛直になり、密着性、曲面貼付性がより低下する。
これらの比較例に対し、本発明により得られるエマルジョン型粘着剤を用いてなる実施例の粘着シートは、発泡体基材に対する粘着剤層の接着性に優れ、また、粘着シートが加熱経時された場合でも粘着性能の低下はほとんど見られず、耐熱性に優れるものであった。

Claims (16)

  1. ポリマーエマルジョンと架橋剤とを含むエマルジョン型粘着剤であって、
    前記ポリマーエマルジョンは、
    (1)ガラス転移温度が0℃以下であって、自己架橋性ではないが前記架橋剤と反応しうる官能基を備えたポリマーを含み、かつ、
    (2)架橋剤不存在下での乾燥により、テトラヒドロフラン抽出率が70重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(A)を形成し得るものであり;
    前記エマルジョン型粘着剤は、
    (3)テトラヒドロフラン抽出率が45重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(B)を形成し得ると共に、
    (4)前記乾燥直後の塗膜(B)をさらに60℃で7日間放置することにより、テトラヒドロフラン抽出率が40重量%以上の塗膜を形成し得るものである
    ことを特徴とするエマルジョン型粘着剤。
  2. 前記架橋剤が、水に溶解もしくは分散可能な架橋剤であって、ポリマーエマルジョンの固形分100重量部に対して、0.001〜10重量部の割合で含まれる、請求項1記載のエマルジョン型粘着剤。
  3. 粘着付与樹脂をさらに含有する、請求項1または2記載のエマルジョン型粘着剤。
  4. 前記ポリマーが、エポキシ基、アルコキシシリル基、n−ヒドロキシアルキル基、n−アルコキシアルキル基およびメチロール基のいずれの官能基も含まないものである、請求項1〜3いずれかに記載のエマルジョン型粘着剤。
  5. 前記ポリマーエマルジョンが、前記乾燥直後の塗膜(A)をさらに60℃で7日間放置することにより、テトラヒドロフラン抽出率が60重量%以上の塗膜を形成し得るものである、請求項1〜4いずれかに記載のエマルジョン型粘着剤。
  6. 前記ポリマーエマルジョンが、ラジカル重合性不飽和単量体を水中で、界面活性剤の存在下でラジカル重合して得られるものである、請求項1〜5いずれかに記載のエマルジョン型粘着剤。
  7. 前記界面活性剤が、ラジカル重合性不飽和単量体100重量部に対して0.1〜5重量部用いられる、請求項6記載のエマルジョン型粘着剤。
  8. 前記界面活性剤の合計100重量%中に、0〜50重量%のラジカル重合性を有する反応性界面活性剤と、50〜100重量%のラジカル重合性を有しない非反応性界面活性剤とが含まれる、請求項6または7記載のエマルジョン型粘着剤。
  9. 前記ポリマーエマルジョンが、ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤および水を含有する単量体エマルジョンであって、平均粒子径が0.5〜2μmである単量体エマルジョンを、水性媒体中でラジカル重合して得られるものである、請求項1記載のエマルジョン型粘着剤。
  10. ガラス転移温度が0℃以下のポリマーを形成し得るラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤および水を含有する単量体エマルジョンであって、平均粒子径が0.5〜2μmである単量体エマルジョンを、水性媒体中でラジカル重合して、ポリマーエマルジョンを得る工程;および
    前記ポリマーエマルジョンと架橋剤とを混合する工程;
    を含むエマルジョン型粘着剤の製造方法であって、前記ポリマーエマルジョンが、架橋剤不存在下での乾燥により、テトラヒドロフラン抽出率が70重量%以上であって、可溶分の重量平均分子量が20万〜80万である乾燥直後の塗膜(A)を形成し得るものである、エマルジョン型粘着剤の製造方法。
  11. 前記単量体エマルジョンが、粘着付与樹脂をさらに含有する、請求項10記載のエマルジョン型粘着剤の製造方法。
  12. 請求項10または11記載の製造方法によって得られるエマルジョン型粘着剤。
  13. シート状発泡体と、
    前記シート状発泡体の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層であって、請求項1〜9または12のいずれか1項記載のエマルジョン型粘着剤から形成される粘着剤層と、
    を含むことを特徴とする粘着シート。
  14. シート状発泡体(I)と、
    粘着剤層(II)と、
    不織布、ポリエステルフィルムおよびポリオレフィンフィルムからなる群より選ばれるいずれか1種からなる層(III)と、
    粘着剤層(IV)と、
    が順次積層されてなる粘着シートであって、前記粘着剤層(II)および(IV)の少なくとも一方が、請求項1〜9または12のいずれか1項記載のエマルジョン型粘着剤から形成されるものであることを特徴とする粘着シート。
  15. 前記シート状発泡体の厚さ方向の50%圧縮硬度が0.05〜1N/cm2である、請求項13または14記載の粘着シート。
  16. 前記シート状発泡体の厚さが1〜50mmである、請求項13〜15いずれかに記載の粘着シート。
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