JP2011071466A - リアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で、生産性、放熱性に優れるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル1αは、巻線2wを螺旋状に巻回してなるコイルと、コイル内に挿通された内側コア部とこの内側コア部に連結される外側コア部32とを有し、両コア部で閉磁路を形成する磁性コア3とを具える。コイルは、その外周を内側樹脂部4により覆われて、その形状が保持されたコイル成形体20αになっている。コイル成形体20αと磁性コア3との組合体10の外周は、外側樹脂部5αに覆われている。リアクトル1αは、ケースを有しておらず、小型である。外側コア部32の設置側の面(コア設置面32d)が外側樹脂部5αから露出されており、固定対象に直接接触できるため、放熱性に優れる。コイル成形体20αを具えることで、リアクトル1αを組み立てる際、コイルを取り扱い易く、生産性に優れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車両に載置される車載用DC-DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関するものである。特に、小型で、生産性、放熱性に優れるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1〜3は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、代表的には、一対のコイル素子を具えるコイルと、各コイル素子の各軸方向が平行するように両コイル素子が横並びに配置される環状の磁性コアとを具える(特に、特許文献1,2参照)。
特許文献1では、コイルと磁性コアとの組立物を収納する外ケースと、この外ケース内に充填されて上記組立物を封止する樹脂と、上記コイルと上記磁性コアとの間に介在されて両者を絶縁するための絶縁部材とを具えるリアクトルを開示している。上記絶縁部材は、磁性コアの外周に配置される筒状ボビンと、コイルの両端面に配置される一対の枠状部材とを具える。これら枠状部材で挟んだコイルを]状の中ケースに収納して、上記外ケースに収納している。特許文献3では、コイルと磁性コアとの組立物の外周を覆う樹脂部を具えるリアクトルを開示している。これら従来のリアクトルは、通電に伴い発熱したコイルなどを冷却できるように冷却ベースといった固定対象に設置されて使用される。
特開2008-028290号公報 特開2004-327569号公報 特開2007-180224号公報
従来のリアクトルに対して、生産性の向上が望まれている。
通常、リアクトルに組み付ける前のコイルは、そのままであると、形状が保持できず、伸縮したりする。そのため、リアクトルを組み立てる際、形状が不安定でコイルを取り扱い難く、リアクトルの生産性の低下を招く。特に、スプリングバックにより、隣り合うターン間に比較的大きな隙間があいているコイルでは、そのまま磁性コアに配置すると磁性コアにおけるコイルの配置箇所が長くなり、リアクトルが大型化する。そこで、リアクトルを小型にするために、所望の長さとなるようにコイルを圧縮しながらリアクトルを組み立てると、組立作業性が悪い。特許文献1に記載されるように一対の枠状部材でコイルを挟み、かつ中ケースに収納してコイルを圧縮状態に保持する場合、部品点数及び工程が多い。特許文献2,3ではいずれも、コイルの取り扱いについて十分に検討していない。以上から、作業性の改善、生産性の向上が望まれている。
また、ケースを有するリアクトルでは、更なる小型化が難しい。
昨今、ハイブリッド自動車などの車載部品には、小型化、軽量化が望まれている。特許文献1に記載されるように外ケースを具える場合、更なる小型化が困難である。特許文献2に記載されるようにケースを省略すると小型になるものの、コイルや磁性コアがむき出しの状態になるため、粉塵や腐食などの外部環境からの保護や強度などの機械的な保護などを図ることができない。
更に、放熱性に優れるリアクトルが望まれている。
特許文献3に記載されるようにケースを省略し、かつコイルと磁性コアとの組立物の外周を樹脂により覆うことで、小型化及び組立物の保護が図れるものの、コイル及び磁性コアの全周を樹脂により覆うことで放熱性の低下を招く。ここで、ケースを具えるリアクトルでは、アルミニウムといった金属製のケースとすることで当該ケースを放熱経路にも利用できる。このようなケースを省略しても放熱性に優れるリアクトルの開発が望まれる。
そこで、本発明の目的は、小型で、生産性、放熱性に優れるリアクトルを提供することにある。
本発明は、主として小型化・軽量化、及び外部環境からの保護や機械的保護、電気的な保護を図るために、ケースを省略し、かつコイルと磁性コアとの組合体の外周を樹脂で覆うことを提案する。かつ、本発明は、主として作業性や生産性の向上を図るために、コイルとして、上記組合体の外周を覆う樹脂とは別の樹脂により形状が保持された成形体を利用することを提案する。更に、本発明は、主として放熱性の向上を図るために、磁性コアの形状を工夫すると共に、上記組合体の外周を覆う樹脂の被覆領域を特定の範囲とすることを提案する。
本発明のリアクトルは、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと、このコイルが配置される磁性コアとを具える。上記磁性コアは、上記コイル内に挿通された内側コア部と、上記コイルが配置されず上記内側コア部に連結された外側コア部とを具え、これら両コア部により閉磁路を形成する。このリアクトルは、上記コイルとこのコイルの外周を覆ってその形状を保持する内側樹脂部とを有するコイル成形体と、上記コイル成形体と上記磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを具える。そして、上記磁性コアの上記外側コア部において、当該リアクトルを設置したときに設置側となる一面(以下、コア設置面と呼ぶ)は、以下の(1)及び(2)の要件を満たす。
(1) 上記コア設置面は、上記内側コア部において設置側となる面よりも突出されている。
(2) 上記コア設置面は、上記外側樹脂部から露出されている。
上記構成を具える本発明リアクトルは、ケースを具えていないケースレス構造であることで、小型化・軽量化を図ることができながら、外側樹脂部や内側樹脂部を具えることで、コイルや磁性コアを外部環境から保護したり、機械的に保護したり、コイルを電気的に保護したりすることができる。
かつ、内側樹脂部の構成樹脂によりコイルの形状を保持させたコイル成形体を具えることで、本発明リアクトルは、組立時にコイルが伸縮しないことから、コイルを取り扱い易く、リアクトルの組立作業性に優れる。また、内側樹脂部によりコイルと磁性コアとの間の絶縁性を高められる上に、内側樹脂部によりコイルの圧縮状態を保持できることで、上述した筒状ボビンや枠状部材、中ケースを省略して、部品点数及び組み付け工程の削減を図ることができ、本発明リアクトルは、この点からも生産性に優れる。
更に、本発明リアクトルは、磁性コアの一部(コア設置面)が外側樹脂部から露出されていることから、冷却ベースといった固定対象に設置したとき、磁性コアが上記固定対象に直接接触することができる。従って、本発明リアクトルは、磁性コアの熱を固定対象に直接放出することができ、放熱性に優れる。このコア設置面は、外側樹脂部から露出されていても、本発明リアクトルを固定対象に設置した状態では、固定対象に覆われるため、外部環境からの保護や機械的な保護を図ることができる。
加えて、外側コア部のコア設置面が内側コア部における設置側の面よりも突出した形状であることで、磁性コアを小型にすることができ、引いては、リアクトルの小型化に寄与することができる。特許文献1の図2に示す磁性コアのように、外側コア部の外周面と内側コア部の外周面とが面一である磁性コアの体積を変えずに、外側コア部のコア設置面が内側コア部よりも突出するように外側コア部の形状を変化させた場合、特許文献2の図3に示すように、リアクトルにおけるコイルの軸方向の長さを短くすることができる。従って、冷却ベースといった固定対象に対するリアクトルの設置面積を小さくできるため、この点からも本発明リアクトルは小型である。
本発明の一形態として、上記磁性コアの外側コア部において、当該リアクトルを設置したときに設置側となる一面(コア設置面)と、上記コイル成形体において、当該リアクトルを設置したときに設置側となる一面(以下、成形体設置面と呼ぶ)とが面一であり、これらの両面が上記外側樹脂部から露出された形態が挙げられる。
上記構成によれば、リアクトルを冷却ベースといった固定対象に設置したとき、磁性コアに加えて、コイル成形体も固定対象に直接接触することができる。そのため、発熱量が大きいコイルの熱を効率よく冷却ベースといった固定対象に放出でき、この形態のリアクトルは、放熱性に更に優れる。また、磁性コアに加えて、コイル成形体の一部も外側樹脂部から露出されて固定対象に直接支持されることから、この形態のリアクトルは、固定対象との接触面積を広くすることができ、固定対象に更に安定して設置させられる。
本発明リアクトルに具えるコイルは、コイル(素子)を一つのみ具える形態、一対のコイル素子を具える形態が代表的である。一対のコイル素子を具える場合、各コイル素子は、各軸方向が平行するように横並びに形成された形態が挙げられる。このとき、上記内側樹脂部において、上記両コイル素子間を覆う箇所であって、当該リアクトルを設置したときに設置側となる箇所に凹みを具える形態とすることができる。
上記コイル成形体の内側樹脂部の外形は、種々の形状を選択することができ、コイルの外形に沿った相似状でも、非相似状でもよい。例えば、上記コイル素子が横並びされた状態において、内側樹脂部の両コイル素子間を覆った箇所の外形は、両コイル素子間に渡る平面としたり、両コイル素子間にできる隙間に沿って凹みを具える形状とすることができる。特に、コイル成形体の成形体設置面が外側樹脂部から露出されている場合、上記凹みを具えることで、上記平面の場合と比較して内側樹脂部の表面積が大きくなるため、放熱性を高められる。また、コイル成形体の成形体設置面が外側樹脂部に覆われている場合、上記凹みを具えることで、上記平面の場合と比較して内側樹脂部の表面積が大きくなるため、外側樹脂部とコイル成形体との密着性を高められる。その他、内側樹脂部に具える上記凹みは、例えば、外側樹脂部を成形するための樹脂注入ゲートの配置溝などに利用することもできる。
本発明の一形態として、上記内側樹脂部が上記コイルと上記内側コア部との間に介在される介在樹脂部分を有しており、上記介在樹脂部分と上記内側コア部との間に介在され、かつ上記外側コア部を覆わない緩衝部材を具える形態が挙げられる。
本発明リアクトルを自動車といった車両の車載部品に利用する場合、その使用環境や動作温度を考慮すると、例えば、使用環境の想定最低温度:-40℃〜コイルを励磁したときの最高到達温度:150℃程度の温度範囲で使用可能なことが望まれる。そこで、本発明者らは、一対のコイル素子を具えるコイル成形体を作製し、このコイル成形体を具えるリアクトルに対して、上記温度範囲のヒートサイクル試験を行ったところ、当該リアクトルを昇温した場合には特に問題はないが、降温した場合、次の現象が生じる恐れがある、との知見を得た。
(1) 内側樹脂部において、内側コア部とコイルとの間に介在される部分(以下、内側コア部とコイルとの間の領域を介在領域、介在領域内の樹脂を介在樹脂部分という)にクラックが生じることがある。
(2) 内側コア部が存在しない状態でコイルのみを内側樹脂部で成形した成形物のみに同様のヒートサイクル試験を行った場合、当該成形物におけるコイルの内周側の樹脂部分にはクラックが生じない。
上述のような現象が生じた原因を考察したところ、内側コア部の線膨張係数が内側樹脂部の線膨張係数よりも小さく、リアクトルの降温時、内側樹脂部の収縮が内側コア部の存在により阻害されるため、上記介在樹脂部分に無理な応力が作用し、クラックの発生に至る、と推察された。そこで、リアクトルの降温時、介在樹脂部分に作用する応力を緩和するために緩衝部材を具える形態を提案する。上記介在樹脂部分と内側コア部との間に緩衝部材を具えることで、この形態のリアクトルは、上述のようなヒートサイクルを受けても、特にリアクトルの降温時に当該介在樹脂部分の収縮が内側コア部により阻害されることが緩和される。そのため、この形態のリアクトルは、上記介在樹脂部分にクラックが生じることを効果的に防止できる。また、外側コア部が緩衝部材に覆われないことで、この形態のリアクトルにも、十分な放熱性を持たせられる。
上記緩衝部材の構成材料は、上記内側樹脂部の構成樹脂よりもヤング率が小さいことが好ましい。
この構成によれば、上記介在樹脂部分に過大な応力が作用することを防止するクッションとしての機能を上記緩衝部材に確実に持たせられる。
上記緩衝部材の具体例として、熱収縮チューブ、常温収縮チューブ、モールド層、コーティング層、及びテープ巻き層の少なくとも一種が挙げられる。
上記緩衝部材が熱収縮チューブであれば、内側コア部の外周面に沿った状態で当該外周面を確実に覆うことができ、かつ緩衝部材が内側コア部から剥離することも抑制できる。上記緩衝部材が常温収縮チューブであれば、内側コア部への装着にあたり、チューブの加熱作業が不要であり、常温収縮チューブを内側コア部の外周に嵌め込むだけで内側コア部を緩衝部材で容易に覆うことができる。上記緩衝部材がモールド層であれば、内側コア部の外周面を樹脂でモールドすることで、厚みの均一性に優れた緩衝部材を容易に形成できる。特に、モールド層であれば、熱収縮や常温収縮する特性に乏しい樹脂であっても上記緩衝部材の構成樹脂に利用でき、上記緩衝部材の構成樹脂を広い選択肢から選択できる。上記緩衝部材がコーティング層であれば、当該緩衝部材の構成材料を内側コア部の外周に塗布するなどの簡易な作業で、内側コア部の外周を緩衝部材により覆うことができる。上記緩衝部材がテープ巻き層であれば、テープ材を内側コア部の外周に巻回することで、内側コア部の外周を緩衝部材により容易に覆うことができる。
本発明の一形態として、上記内側樹脂部に一体に形成され、上記外側樹脂部を成形型で形成するときに、上記コイル成形体と上記磁性コアとの組合体を上記成形型に対して位置決めするために用いられる位置決め部を具える形態が挙げられる。上記位置決め部は、上記成形型に対する位置決めに利用されることで、少なくとも一部が上記外側樹脂部に覆われない状態である。
外側樹脂部の形成にあたり、コイル成形体と磁性コアとの組合体を成形型の所定の位置に精度良く配置することが難しいことがある。また、所定の位置に配置しても、外側樹脂部を形成する間、その位置を維持することが難しいことがある。例えば、ピンや押さえ治具、ボルトなどの支持部材を別途用意し、成形型内に配置した上記組合体をこの支持部材により支持することで所定の位置に配置された状態を維持することが考えられる。しかし、この場合、上記支持部材を配置するための工程が増えるため、リアクトルの生産性の低下を招く。また、上記組合体における上記支持部材の接触箇所は、外側樹脂部により覆われず、コイル(成形体)の一部や磁性コアの一部が露出して、露出箇所が多くなる。そのため、外側樹脂部により機械的な保護や外部環境からの保護を十分に行えなくなったり、外観の劣化を招いたりする。上記露出箇所を別途樹脂などで埋めることができるが、この場合、工程数が増えて、リアクトルの生産性が更に低下する。
これに対して、内側樹脂部に一体に形成された位置決め部を具える上記形態によれば、この位置決め部を成形型に嵌め込むだけで上記組合体を成形型に容易に位置決めできる上に、外側樹脂部を成形中、当該所定の位置に上記組合体を配置した状態を確実に維持できる。従って、この形態によれば、位置決めのための支持部材が別途不要であり、これら支持部材の配置工程が無く、リアクトルの生産性に優れる。
また、上述した成形型への位置決め部の嵌め合わせにより、上記組合体を成形型の所定の位置に配置した状態を確実に維持できることから、外側樹脂部を精度よく形成することができる。
更に、内側樹脂部自体に位置決め部を具えることで、この形態では、別途支持部材を用いた場合のようにコイル成形体や磁性コアが外側樹脂部により覆われない露出箇所(支持部材との接触箇所)が設けられない。そのため、この形態では、コイルや磁性コアの実質的に全体が内側樹脂部や外側樹脂部により覆われた形態とすることができるため、コイルや磁性コアの機械的な保護や外部環境からの保護を十分に図ることができる。また、位置決め部の一部(例えば、一面のみ、或いは一面及びその近傍領域)は、外側樹脂部に覆われず露出されるものの、内側樹脂部により形成されている。従って、仮に位置決め部の構成樹脂の内部にコイルの一部が存在したとしても、このコイルは内側樹脂部に覆われていることから、コイルの機械的保護や外部環境からの保護を確実に図ることができる。
上記位置決め部は、内側樹脂部の任意の位置に設けられ、その形状、個数は特に問わない。代表的には、突条や突起が挙げられ、一つでも複数でもよい。外側樹脂部を成形する成形型には、この突条や突起が嵌め込まれる凹溝を設けておく。この凹溝に上記突条や突起を嵌め込むことで、上記組合体を成形型に容易に位置決めすることができる。上記位置決め部において成形型の嵌合溝に嵌め込まれた箇所は、外側樹脂部に覆われず露出される。
上記位置決め部は、その全体が内側樹脂部の構成樹脂のみで形成された形態とすることができる。この場合、種々の形状、大きさ、個数の位置決め部を容易に形成することができる。或いは、上記位置決め部は、その内部にコイルの一部を含んでいてもよい。例えば、上記コイルが一対のコイル素子と、両コイル素子を連結するコイル連結部とを具え、このコイル連結部が上記両コイル素子のターン形成面よりも突出して設けられている場合、上記位置決め部は、上記内側樹脂部において当該コイル連結部を覆う箇所に形成された形態とすることができる。上記コイル連結部がターン形成面よりも突出しており、内側樹脂部がこの形状に沿って設けられていると、このコイル連結部を被覆する箇所(以下、連結部被覆部と呼ぶ)は、内側樹脂部における他の箇所よりも突出することになる。この連結部被覆部の少なくとも一部を位置決め部とすると、内側樹脂部の成形金型において連結部被覆部を形成する凹部を、位置決め部を形成する凹部に兼用することができ、上記成形金型に位置決め部用の凹部を別途設ける必要がない。また、連結部被覆部自体が位置決め部であることで、位置決め部となる突起などが別途存在しないため、コイル成形体の外形が単純な形状になり易く、コイル成形体を取り扱い易い。更に、位置決め部によりリアクトルの外観を損ない難い。その他、上記内側樹脂部の構成樹脂のみで形成された位置決め部と、上記コイルの一部を含有する位置決め部との双方を具えた形態とすることができる。
本発明の一形態として、上記外側コア部のうち、上記コイル成形体の端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面とが形成する稜線に、上記コイル成形体の端面と上記外側コア部の内端面との間に上記外側樹脂部の構成樹脂を導入するための切欠角部を具える形態が挙げられる。
ここで、コイル成形体と磁性コア(特に、外側コア部)との間に外側樹脂部の構成樹脂が十分に充填されず空孔が形成されると、コイル成形体や磁性コアを機械的に保護したり、電気的に保護することが不十分となる恐れがある。従って、外側樹脂部の構成樹脂は、コイル成形体と磁性コアとの組合体との密着性を高めたり、コイル成形体と磁性コアとの間の絶縁性を高めたりするために、コイル成形体と磁性コアとの間に隙間無く充填されていることが好ましい。また、リアクトルの生産性の向上を考慮すると、外側樹脂部の成形にあたり、コイル成形体と磁性コアとの間に速やかに外側樹脂部の構成樹脂が充填されることが望まれる。また、外側樹脂部の構成樹脂として、特に熱硬化性樹脂を利用する場合、硬化する前に速やかに樹脂を充填する必要がある。
一方、リアクトルを小型にするためは、コイル成形体と磁性コアとのクリアランスをできるだけ小さくすることが望まれる。また、コイルを小型にするために、例えば、コイルをその軸方向に圧縮して、当該コイルの隣接するターン同士をほぼ接触するぐらいに近接させ、この圧縮状態のコイルの外周を内側樹脂部で覆ったコイル成形体とすることが考えられる。このようなコイル成形体を具えるリアクトルでは、外側樹脂部の形成にあたり、コイル成形体と磁性コアとの間に、上記クリアランスやターン間の隙間を介して外側樹脂部の構成樹脂を速やかに充填することが難しい。また、一対のコイル素子を具えるコイル成形体では、小型にするために隣接するコイル素子の間の間隔を狭くしたり、上記両コイル素子間に内側樹脂部の構成樹脂が存在したりすることで、コイル素子間に外側樹脂部の構成樹脂を速やかに充填することが難しいことがある。
例えば、特許文献2に記載のコイルと磁性コアとの組立物の外周に樹脂を充填することを想定した場合、コイルの端面に外側コア部が対向されて、コイルの端面と外側コア部との間の隙間が非常に狭い。従って、この隙間を介してコイルと磁性コアとの間に樹脂を速やかに充填することが非常に困難である。
これに対して、上記外側コア部のうち、コイル成形体の端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面とが形成する稜線に切欠角部を具える上記形態では、当該切欠角部を介して、コイル成形体と磁性コアとの間に外側樹脂部の構成樹脂を案内することができる。即ち、上記切欠角部により、外側樹脂部の構成樹脂の充填性を向上させられるため、コイル成形体と磁性コアとの間に当該構成樹脂を速やかに充填することができ、空孔が生じることを可及的に抑制できる。特に、コイルが一対のコイル素子を具える形態の場合、上述のように両コイル素子間が狭かったりしても、切欠角部の案内により外側樹脂部の構成樹脂を十分に充填することができる。
上記切欠角部の形状は、適宜選択することができる。例えば、上記稜線を丸めることで構成された形態が挙げられる。
上記内端面と上記隣接面とが形成する稜線を丸めることで、当該内端面と当該隣接面とが形成する稜線に沿った形状で、かつ外側樹脂部の構成樹脂が回り込み易い形状の切欠角部を形成できる。そのため、この切欠角部からコイル成形体と磁性コアとの間に上記構成樹脂を容易に導入できる。
その他、上記外側コア部のうち、上記コイル成形体の端面に対向する内端面と、上記コイル成形体の端面との間に0.5mm以上4mm以下の比較的小さな隙間を有する形態とすることができる。この形態では、小型なリアクトルとしながら、コイル成形体の端面と外側コア部の内端面との間に外側樹脂部の構成樹脂を容易に導入でき、上記隙間に外側樹脂部の構成樹脂を十分に存在させることができる。上記比較的小さな隙間を具えることに加えて、磁性コアが上述した切欠角部を具える形態とすると、コイル成形体の端面と外側コア部の内端面との間に外側樹脂部の構成樹脂を更に充填し易く、リアクトルの生産性に優れる。
本発明リアクトルは、小型で、かつコイルを取り扱い易く生産性に優れる上に放熱性にも優れる。
図1(I)は、実施形態1のリアクトルを固定対象に配置した状態を示す概略斜視図、図1(II)は、このリアクトルを設置面側から見た状態を示す概略斜視図である。 図2は、実施形態1のリアクトルに具えるコイル成形体の概略斜視図である。 図3は、実施形態1のリアクトルに具える、コイル成形体と磁性コアとの組合体の組み立て手順を説明する分解斜視図である。 図4は、コイル成形体の別の形態を示し、図4(I)は、放熱板を具える例の概略正面図、図4(II)は、内周に凹溝を具える例の概略斜視図である。 図5は、コイル成形体の別の形態を示し、外周に凹溝を具える例の概略斜視図であり、図5(I)は、コイルの一部が露出した例、図5(II)は、コイルが露出しない凹溝を具える例を示す。 図6は、コイルの別の形態を示し、コイルを構成する巻線の端部がコイルの側方に引き出された形態を示す斜視図である。 図7は、コイルの別の形態を示し、コイルを構成する巻線の端部がコイルの側方に引き出された形態を示す斜視図である。 図8(I)は、実施形態2のリアクトルを固定対象に配置した状態を示す概略斜視図、図8(II)は、このリアクトルの設置面を示す平面図である。 図9は、図8(I)のA-A矢視断面図である。 図10は、実施形態2のリアクトルの組立手順を示す説明図で、図10(I)は、緩衝部材を内側コア部に装着する前の状態を示し、図10(II)は、緩衝部材を内側コア部に装着後の状態を示す。 図11は、実施形態2のリアクトルの組立手順を示す説明図で、図11(I)は、緩衝部材が装着された内側コア部とコイルとの組み合わせ状態、図11(II)は、図11(I)の内側コア部とコイルとを内側樹脂部で成形した状態を示す。 図12は、実施形態2のリアクトルの組立手順を示す説明図で、図12(I)は、コイル成形体に外側コア部及び端子金具を組み合わせる状態、図12(II)は、コイル成形体と外側コア部と端子金具とを組み合せた状態を示す。 図13は、実施形態2のリアクトルに具える、コイル成形体と磁性コアとの組合体を成形型に収納した状態を示す概略断面図である。 図14は、実施形態2の変形例のリアクトルに具える、コイル成形体と磁性コアとの組合体の組み立て手順を示す分解斜視図である。 図15は、実施形態2の変形例のリアクトルに具える、コイル成形体と磁性コアとの組合体の側面図であって、端子金具と内側樹脂部との配置状態を示す。 図16は、実施形態2の変形例のリアクトルに具える磁性コアを示し、図16(I)は断面が矩形の切欠角部を有する外側コア部の斜視図、図16(II)は断面が三角形の切欠角部を有する外側コア部の斜視図、図16(III)は図16(I),図16(II)に示す外側コア部の平面図である。 図17は、コイルと内側コア部との組物に形状保持具を配置した状態を説明する概略斜視図である。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るリアクトルを詳細に説明する。図において同一符号は同一物を示す。また、以下の実施形態のリアクトル及びその構成要素、変形例のリアクトル及びその構成要素において、リアクトルを設置したときに設置側を下側、その対向側を上側として説明する。
(実施形態1)
以下、図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1αを説明する。なお、図1(I)では、外側樹脂部の一部を切り欠いて外側樹脂部の内側に存在するコイル成形体及び磁性コアが見えるようにしている。
リアクトル1αは、例えば、ハイブリッド自動車のDC-DCコンバータの構成部品に利用される。この場合、内部に冷媒の循環路を有する金属製(代表的にはアルミニウム製)の冷却ベースといった固定対象(図示せず)に、リアクトル1αを直接設置して使用される。リアクトル1αは、図1(II)に示す平坦な面を設置面として設置される。
リアクトル1αは、巻線2wを巻回してなるコイル2(図2)と、コイル2が配置される環状の磁性コア3とを具える。コイル2は、その外周が内側樹脂部4に覆われて、コイル成形体20αとなっている。また、リアクトル1αは、コイル成形体20αと磁性コア3との組合体10の外周を覆う外側樹脂部5αとを具える。リアクトル1αの特徴とするところは、コイルの形態(コイル成形体20α)と、磁性コア3の形状と、外側樹脂部5αの被覆領域とにある。以下、各構成をより詳細に説明する。
<組合体>
[磁性コア]
磁性コア3の説明は、図3を適宜参照して行う。磁性コア3は、コイル成形体20αが配置される一対の内側コア部31と、コイル成形体20αが配置されず、コイル成形体20αから露出されている一対の外側コア部32とを有する。ここでは、各内側コア部31はそれぞれ、直方体状体であり、各外側コア部32はそれぞれ、一対の台形状面を有する角柱状体である。磁性コア3は、離間して配置される内側コア部31を挟むように外側コア部32が配置され、各内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとを接合して環状に形成される。これら内側コア部31及び外側コア部32により、コイル2を励磁したとき、閉磁路を形成する。
内側コア部31は、磁性材料からなるコア片31mと、代表的には非磁性材料からなるギャップ材31gとを交互に積層して構成された積層体であり、外側コア部32は、磁性材料からなるコア片である。各コア片は、磁性粉末を用いた成形体や、絶縁被膜を有する磁性薄板を複数積層した積層体が利用できる。
上記成形体は、例えば、Fe,Co,Niといった鉄族金属、Fe-Si,Fe-Ni,Fe-Al,Fe-Co,Fe-Cr,Fe-Si-AlなどのFe基合金、希土類金属やアモルファス磁性体といった軟磁性材料からなる粉末を用いた圧粉成形体、上記粉末をプレス成形後に焼結した焼結体、上記粉末と樹脂との混合体を射出成形や注型成型などした成形硬化体が挙げられる。その他、コア片は、金属酸化物の焼結体であるフェライトコアなどが挙げられる。成形体は、種々の立体形状の磁性コアを容易に形成することができる。
圧粉成形体は、上記軟磁性材料からなる粉末の表面に絶縁被膜を具えるものを好適に利用することができ、この場合、当該粉末を成形後、上記絶縁被膜の耐熱温度以下で焼成することにより得られる。絶縁被膜を具える軟磁性材料として、例えば、以下のものを利用することができる。
複数の複合磁性粒子を含む軟磁性材料であって、上記複数の複合磁性粒子の各々は、金属磁性粒子と、上記金属磁性粒子の表面を取り囲む絶縁被膜と、上記絶縁被膜の外部を取り囲む複合被膜とを有する。上記複合被膜は、上記絶縁被膜の表面を取り囲む耐熱性付与保護被膜と、上記耐熱性付与保護被膜の表面を取り囲む可撓性保護被膜とを有する形態、或いは、耐熱性付与保護被膜と可撓性保護被膜との混合被膜であり、上記複合被膜の表面側に可撓性保護被膜の構成材料が耐熱性付与保護被膜の構成材料よりも多く含まれ、かつ上記複合被膜において上記絶縁被膜との境界側に耐熱性付与保護被膜の構成材料が可撓性保護被膜の構成材料よりも多く含まれた形態が挙げられる。
上記特定の複合被膜を具える軟磁性材料によれば、所定の屈曲性を有する可撓性保護被膜によって複合磁性粒子の表面が覆われているため、成形性に優れる。かつ、この軟磁性材料は、撓む性質を有する可撓性保護被膜を具えることで、成形時に圧力を受けても可撓性保護被膜に亀裂が入り難い。即ち、可撓性保護被膜は、加圧成形時の圧力によって耐熱性付与保護被膜及び絶縁被膜が破壊されることを効果的に防止できる。従って、上記軟磁性材料によれば、複合磁性粒子に具える絶縁被膜を良好に機能させられるため、当該粒子間に流れる渦電流を十分に抑制できる。また、耐熱性付与保護被膜によって絶縁被膜が保護されるため、成形後、高温で熱処理しても絶縁被膜が破壊し難いことから、焼成時の加熱温度を高められる。従って、上記軟磁性材料によれば、高温の熱処理によって得られた圧粉成形体のヒステリシス損を低減できる。
上記絶縁被膜は、リン化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物及びアルミニウム化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を含むものが挙げられる。絶縁性に優れる上記化合物を含む絶縁被膜が存在することで、金属磁性粒子間に流れる渦電流をより効果的に抑制できる。また、上記絶縁被膜の平均厚みが10nm以上1μm以下であると、(1)絶縁被膜中を流れるトンネル電流を抑制して、このトンネル電流に起因する渦電流損の増大を抑えられる、(2)金属磁性粒子間の距離が過大な場合に生じ得る反磁界を防止でき、この反磁界の発生に起因したヒステリシス損の増大を抑制できる、(3)軟磁性材料に占める絶縁被膜の体積比率が過小な場合に生じ得る圧粉成形体の飽和磁束密度の低下を防止できる、といった効果を奏する。また、上記複合被膜の平均厚みが10nm以上1μm以下であると、絶縁被膜の破壊を効果的に抑止できる上に、上記(2)のように反磁界の防止による渦電流損の増大を抑制できる、上記(3)のように軟磁性材料に占める複合被膜の体積比率が過小な場合に生じ得る圧粉成形体の飽和磁束密度の低下を防止できる、といった効果を奏する。
上記耐熱性付与保護被膜は、シロキサン架橋密度が0より大きく1.5以下である有機シリコン化合物を含む形態とすると、当該化合物自身が耐熱性に優れることから、良好な耐熱性を有することができる。また、この形態は、上記化合物の熱分解後に耐熱性付与保護被膜中のSi含有量が多くなってSi-O化合物に変化したときの収縮が小さく、急激な電気抵抗低下がないことからも好ましい。
上記可撓性保護被膜は、可撓性に優れる材料、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及びアミド樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を含むと、加圧成形時の圧力による耐熱性付与保護被膜及び絶縁被膜の破壊を効果的に抑制できる。或いは、上記可撓性保護被膜は、シリコーン樹脂を含み、上記複合被膜において上記絶縁被膜との境界側領域のSiの含有量が上記複合被膜における表面側領域のSiの含有量よりも多い形態が挙げられる。耐熱性付与保護被膜におけるSiの含有量が可撓性保護被膜におけるSiの含有量よりも多いため、複合被膜は、その表面側領域に可撓性保護被膜の構成材料が偏在する構成となる。この構成により、可撓性保護被膜は、加圧成形時の圧力による耐熱性付与保護被膜及び絶縁被膜の破壊を防止して絶縁被膜を良好に機能させ、複合磁性粒子間を流れる渦電流を十分に抑制できる。
一方、上記薄板は、例えば、アモルファス磁性体、パーマロイ、珪素鋼などの磁性材料からなる薄板が挙げられる。磁性コア全体を積層体とすると、高透磁率で飽和磁束密度が高く、かつ機械的強度の高い磁性コアとし易い。
内側コア部の材質と外側コア部の材質とを異ならせた形態とすることができる。例えば、内側コア部を上記圧粉成形体や上記積層体とし、外側コア部を上記成形硬化体とすると、内側コア部の飽和磁束密度を外側樹脂部よりも高め易い上に、磁性コア全体としてインダクタンスの調整を行い易い。ここでは、各コア片は、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性粉末の圧粉成形体としている。特に、軟磁性粉末として、上述した絶縁被膜の外周に耐熱性付与保護被膜及び可撓性保護被膜を具えるものを好適に利用することができる。
ギャップ材31gは、インダクタンスの調整のためにコア片31m間に設けられる隙間に配置される板状材であり、アルミナやガラスエポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなど、上記コア片よりも透磁率が低い材料、代表的には非磁性材料により構成される(エアギャップの場合もある)。これらコア片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合されたり、テープにより固定されたりする。
コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1αが所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
内側コア部31の外周面と外側コア部32の外周面とは、面一ではない。具体的には、固定対象にリアクトル1αを設置したとき、外側コア部32において設置側となる面(以下、コア設置面32dと呼ぶ。図1,3において下面)が内側コア部31において設置側となる面よりも突出している(後述する図9参照)。また、外側コア部32のコア設置面32dは、コイル成形体20αにおいて設置側となる面(以下、成形体設置面20dと呼ぶ。図1〜3において下面)と面一となるように、外側コア部32の高さ(リアクトル1αを固定対象に設置した状態において、当該固定対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル2の軸方向に直交する方向であり、図1,3において上下方向)の長さ)を調整している。従って、磁性コア3は、リアクトル1αを設置した状態において、側面から透視すると、H字状である。また、内側コア部31と外側コア部32とを接合した状態において、外側コア部32の側面(図3において紙面手前及び奥の面)は、内側コア部31の側面よりも外方に突出している。従って、磁性コア3は、リアクトル1αを設置した状態において、上面又は下面から透視しても、H字状である。このような三次元形状の磁性コア3は、圧粉成形体とすることで形成が容易である上に、外側コア部32において内側コア部31よりも突出した箇所をも磁束の通路に利用できる。
[コイル成形体]
(コイル)
コイル成形体20αの説明は、図2を適宜参照して行う。コイル成形体20αは、図2に示すように、接合部の無い1本の連続する巻線2wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子2a,2bを有するコイル2と、コイル2の外周を覆ってその形状を保持する内側樹脂部4とを具える。各コイル素子2a,2bは、互いに同一の巻数で、軸方向から見た形状(端面形状)がほぼ矩形状である。これら両コイル素子2a,2bは、各軸方向が平行するように横並びに並列されており、コイル2の他端側(図2では紙面奥側)において巻線2wの一部をU字状に折り返してなるコイル連結部2rにより連結されている。この構成により、両コイル素子2a,2bの巻回方向は同一となっている。
巻線2wは、銅やアルミニウムといった導電性材料からなる導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメルからなる被覆平角線を利用している。ここでは、上記平角線は、その断面のアスペクト比(幅と厚さとの比:幅/厚さ)が1.5以上のものを利用している。絶縁被覆を構成する絶縁性材料は、代表的にはポリアミドイミドが挙げられる。絶縁被覆の厚さは、20μm以上100μm以下が好ましく、厚いほどピンホールを低減できて絶縁性を高められる。両コイル素子2a,2bは、上記被覆平角線をエッジワイズ巻きにして、中空の角筒状に形成されている。巻線2wは、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、楕円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。平角線は、断面が円形状の丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを形成し易い。
コイル2を形成する巻線2wの両端部は、コイル2の一端側(図2において紙面手前側)においてターン形成部分から適宜引き延ばされて内側樹脂部4の外部に引き出される。ここでは、巻線2wの両端部は、更に後述する外側樹脂部5αの外部に引き出されている(図1(I))。引き出された巻線2wの両端部は、絶縁被覆が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子金具(図示せず)が接続される。この端子金具を介して、コイル2に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線2wの導体部分と端子金具との接続には、TIG溶接などの溶接が利用できる。端子金具は、通常、端子台(図示せず)に固定される。リアクトル1αでは、例えば、端子台は、図1(I)において巻線2wが引き出されている上方に配置したり、配線を適宜取り回してリアクトル1αの側面に配置したり、その他、固定対象の上に配置したりすることができる。
(内側樹脂部)
各コイル素子2a,2bは、その外周を内側樹脂部4により覆われて、コイル2の形状を固定している。また、各コイル素子2a,2bは、その一端側から他端側に亘って内側樹脂部4の構成樹脂が連続するように存在し、当該構成樹脂によりそれぞれが圧縮された状態に保持されている。ここでは、内側樹脂部4は、巻線2wの両端部を除き、コイル2の全体をコイル2の形状に概ね沿って覆っている。内側樹脂部4において両コイル素子2a,2bのターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、1mm〜10mm程度が好ましい。コイル連結部2rを覆う箇所は、コイルの軸方向にせり出した形状である(図3)。
各コイル素子2a,2bの内周も内側樹脂部4の構成樹脂により覆われており、この構成樹脂により形成される中空孔40hを有する。各中空孔40hにはそれぞれ、磁性コア3(図3)の内側コア部31(図3)が挿通配置される。各内側コア部31がそれぞれ、コイル素子2a,2bの内周の適切な位置に配置されるように内側樹脂部4の構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔40hの形状を内側コア部31の外形(ここでは直方体状)に合わせている。そのため、各コイル素子2a,2bの内周に存在する内側樹脂部4の構成樹脂は、コイル素子2a,2bと内側コア部31との間の絶縁を確保すると共に、内側コア部31の位置決め部として機能する。
また、ここでは、コイル成形体20αの内側樹脂部4において巻線2wの端部を引き出している側の面は、平面状であり、この平面に対向する設置側の形状は、両コイル素子2a,2bの外形に沿った曲面部分を有する。より具体的には、内側樹脂部4において、両コイル素子2a,2b間につくられる断面三角形状の隙間を覆う箇所に、凹み42を具える。ここでは、凹み42は、断面台形状であり、コイル2の軸方向に沿って、コイル成形体20αの一方の端面40eから他方の端面40eに亘る全域に設けられている(図1(II))。凹み42の形状、形成領域、深さ、数などは適宜選択することができる。例えば、比較的小さな凹みを複数設けてもよい。勿論、凹み42を具えていない平面形状とすることもできる。
内側樹脂部4の構成樹脂は、コイル成形体20αを具えるリアクトル1αを使用した際に、コイルや磁性コアの最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、コイル2と内側コア部31との間を絶縁するために、絶縁性に優れる材料が好ましい。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。エポキシ樹脂は、比較的剛性が高く、熱伝導性にも優れるため、コイル2を十分に保護できる上に、良好な放熱性も有する。また、エポキシ樹脂は、絶縁性にも優れるため、内側樹脂部4の構成樹脂にエポキシ樹脂を利用することで、コイル2と内側コア部31との間の絶縁性に対して高い信頼性を確保できる。その他、内側樹脂部4の構成樹脂として、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、ムライト、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合した樹脂を利用すると、コイル2の熱を放出し易く、放熱性に更に優れるリアクトルとすることができる。
<外側樹脂部>
上記コイル成形体20αと磁性コア3とを組み合わせてなる組合体10は、図1に示すように、巻線2wの端部、磁性コア3の一部及びコイル成形体20αの一部を除き、その外周を外側樹脂部5αにより覆われて、リアクトル1αが構成される。ここでは、外側樹脂部5αは、上記組合体10を作製した後、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステルをトランスファー成形することで形成している。外側樹脂部5αにより、コイル成形体20αと磁性コア3とを一体物として取り扱える。磁性コア3の外側コア部32の一面、具体的にはコア設置面32d、及びコイル成形体20αの一面、具体的には成形体設置面20dの両設置面が、図1(II)に示すように外側樹脂部5αから露出されている。ここでは、外側樹脂部5αにおいて、リアクトル1αを固定対象に設置したときに設置側となる面(以下、樹脂設置面50dと呼ぶ)がコア設置面32d及び成形体設置面20dに面一となるように外側樹脂部5αが形成されている。従って、リアクトル1αを固定対象に設置したとき、上記コア設置面32d、成形体設置面20d、樹脂設置面50dは、いずれも固定対象に接触する。
ここでは、外側樹脂部5αは、組合体10の外形に概ね沿った形状としているが、樹脂設置面50dを含む設置側の一定の領域のみを長方形状としている。即ち、リアクトル1αを平面視した場合、組合体10が存在しない箇所にも外側樹脂部5αの構成樹脂が存在する。ここでは、外側樹脂部5αにおいて組合体10の輪郭よりも外方に突出して上記長方形の四隅を構成するフランジ部51を有する。フランジ部51にはそれぞれ、リアクトル1αを固定対象に固定するためのボルト(図示せず)が取り付けられる貫通孔51hが設けられている。
フランジ部51の個数や形成箇所、形状、大きさ(厚さなど)は、適宜選択することができる。例えば、コイル2の側方や外側コア部32の側方から突出するようにフランジ部を設けたり、フランジ部の底面が樹脂設置面を構成しない形態とすることができる。例えば、固定対象に設置した状態においてフランジ部の底面がコア設置面32dよりも高い位置にあり、コア設置面32dが接する固定対象の一面と異なる面にボルトが取りつけられる形態などとすることができる。上述のように長方形の四隅にフランジ部51を具えると、フランジ部51を含めたリアクトル1αの設置面積を小さくできる。
貫通孔51hは、外側樹脂部5αの構成樹脂のみにより形成してもよいし、別材料からなる筒体を配置させて形成してもよい。上記筒体は、例えば、真鍮、鋼、ステンレス鋼などの金属からなる金属管を利用すると、強度に優れることから、樹脂のクリープ変形を抑制することができる。ここでは、金属管を配置して貫通孔51hを形成している。貫通孔51hの個数などは適宜選択することができる。また、貫通孔51hは、ネジ加工が成されていない貫通孔、ネジ加工がされたネジ孔のいずれも利用できる。
外側樹脂部5αにおいてフランジ部51を除く箇所は、厚さが均一的であり、その平均厚さは1mm〜10mm程度が好ましい。外側樹脂部5αの各部位の厚さや組合体10に対する被覆領域、形状は適宜選択することができる。例えば、外側コア部32のコア設置面32dやコイル成形体20αの成形体設置面20dだけでなく、外側コア部32の一部やコイル成形体20αの一部が外側樹脂部の構成樹脂に覆われず、露出された形態としたり、樹脂設置面の全体がコア設置面32dや成形体設置面20dと面一で無い形態としたりすることができる。但し、コイル2(巻線2wの端部を除く)や磁性コア2の外周が内側樹脂部4及び外側樹脂部5αの少なくとも一方に覆われる領域が広いと、外部環境からの保護や機械的な保護、電気的な保護を確実に図ることができる。また、外側樹脂部5αの平均厚さを比較的薄くすると、コイル2や磁性コア3の熱を放出し易いと期待される。
外側樹脂部5αの構成樹脂には、上記エポキシ樹脂や不飽和ポリエステルの他、例えば、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。外側樹脂部5αの構成樹脂は、コイル成形体20αの内側樹脂部4の構成樹脂と同じでも異なっていてもよい。また、外側樹脂部5αの構成樹脂も、上述したセラミックスからなるフィラーを含有すると、放熱性を更に高められる。特に、外側樹脂部5αは、熱伝導率が0.5W/m・K以上、更に1.0W/m・K以上、特に2.0W/m・K以上であると、放熱性に優れて好ましい。外側樹脂部5αの構成樹脂にガラス繊維のフィラーを含有すると、特に、機械的強度を向上することができる。また、外側樹脂部5αの構成樹脂の材質によっては、コイルを励磁した際に生じる振動を吸収して、騒音を抑制する効果が期待できる。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル1αは、大きく分けて以下の(1)〜(3)の工程を経て作製することができる。
(1) コイル2に対して内側樹脂部4を成形してコイル成形体20αを得る第一成形工程
(2) コイル成形体20αと磁性コア3とを組み合せて組合体10を得る組立工程
(3) 組合体10に対して外側樹脂部5αを成形してリアクトル1αを得る第二成形工程
(1) 第一成形工程:コイル成形体の製造
まず、1本の巻線2wを巻回して、一対のコイル素子2a,2bがコイル連結部2rで連結されたコイル2を形成する。このコイル2を具えるコイル成形体20αは、以下のような成形金型(図示せず)を利用して製造することができる。
上記成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型の金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル2の一端側(図2において巻線2wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子2a,2bの内周にそれぞれ挿入される直方体状の中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図2においてコイル連結部2r側)に位置する端板と、コイル2の周囲を覆う周側壁とを具える。更に、ここでは、第一金型、第二金型として、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子2a,2bの端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子2a,2bを圧縮したり、成形金型内においてコイル2を所定の位置に保持可能なものを利用する。また、ここでは、合計8本の棒状体を用い、各コイル素子2a,2bのほぼ角部を押圧する。但し、コイル連結部2rは棒状体で押すことが難しいため、コイル連結部2rの下方を棒状体で押すこととしている。上記棒状体は、コイル2の圧縮に対する十分な強度と、内側樹脂部4の成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル2において内側樹脂部4で被覆されない箇所を少なくするために、極力細くすることが好ましい。
上記成形金型の表面とコイル2との間に一定の隙間が形成されるように成形金型内にコイル2を配置する。成形金型にコイル2を配置した段階では、コイル2は未だ圧縮されておらず、隣接するターン間に隙間が形成された状態となっている。
次に、成形金型を閉じて、各コイル素子2a,2bの内周にそれぞれ、第一金型の中子を挿入する。このとき、中子とコイル素子2a,2bの内周との間隔は、中子の全周に亘ってほぼ均一となるようにする。また、コイル2と内側コア部31との組物は、コイル2の軸方向が水平方向となるように成形金型に配置してもよいが、コイル2の軸方向が上下方向となるように成形金型内に配置すると、上記水平方向の配置の場合よりも、コイル2と内側コア部31とを同軸状に配置し易い。また、上記上下方向の配置の場合、コア片31mとギャップ材31gとを接着剤により固定せず、内側樹脂部の構成樹脂により一体化する場合でも、成形金型に配置し易い。
続いて、上記棒状体を成形金型内に進出して各コイル素子2a,2bを圧縮する。この圧縮により、各コイル素子2a,2bを構成する隣接するターン間の隙間が低減された状態となる。また、上記棒状体で各コイル素子2a,2bを押圧することで、上記成形金型内における所定の位置にコイル2を安定して保持することができる。なお、コイル2を圧縮しないで自由長のままとする場合、上記棒状体によりコイル2を保持できれば、圧縮するほどの押圧を行わなくてよい。また、両コイル素子2a,2b間に適宜なピン(図示せず)を配置するなどして、両コイル素子2a,2b間に所定の間隔が維持されるようにしてもよい。
その後、樹脂注入口から成形金型内に内側樹脂部4の構成樹脂を注入する。注入された樹脂がある程度固化して、コイル2の圧縮状態が当該樹脂により保持できるようになれば、上述した棒状体を成形金型内から後退させてもよい。注入した樹脂が固化した後、成形金型を開いて、コイル2を圧縮した所定の形状に保持したコイル成形体20αを取り出す。
なお、棒状体で押圧されていた箇所に形成された複数の小穴(後述する図11(II)参照)は、外側樹脂部5αで埋められるため、そのまま放置しておいてもよいし、別途、絶縁性樹脂を充填したり、絶縁テープなどを貼り付けるなどして埋めると、コイル2と外側コア部32との間の絶縁性を高められて好ましい。また、凹み42を形成する場合、上記成型金型には、凹み42を形成するための突条を具えるものを利用する。上述したコイル成形体の基本的な製造方法は、後述する実施形態や変形例についても適用することができる。
(2) 組立工程:組合体の作製
図3に示すように、コア片31mやギャップ材31gを接着剤などで固定して内側コア部31を形成する。そして、上述のようにして作製したコイル成形体20αの中空孔40hに、形成した内側コア部31を挿入配置する。中空孔40hは、上述のようにコイル成形体20αの内側樹脂部4の構成樹脂により所定の厚さに形成されているため、中空孔40hに挿入された各内側コア部31はそれぞれ、コイル素子2a,2b(図2)に対して適切な位置に配置される。次に、コイル成形体20αの両端面40eが一対の外側コア部32の内端面32eで挟まれるように外側コア部32を配置して、接着剤などで外側コア部32の内端面32eと内側コア部31の端面31eとを接合する。この工程により、組合体10が得られる。得られた組合体10において外側コア部32のコア設置面32d(図1)は、上述のようにコイル成形体20αの成形体設置面20d(図1)と面一である。
(3) 第二成形工程:外側樹脂部の成形
所定の形状のキャビティを有する成形型(図示せず)を用意し、この成形型に得られた組合体10を収納して、外側コア部32のコア設置面32d及びコイル成形体20αの成形体設置面20d、かつ巻線2wの端部が露出されるように外側樹脂部5αを成形する。また、外側樹脂部5αにおける設置側にフランジ部51を成形すると共に、貫通孔51hを同時に成形する。金属管を利用する場合、金属管をインサート成形したり、樹脂により貫通孔を成形した後、この貫通孔に金属管を挿入したりして、貫通孔51hを形成することができる。上記工程により、リアクトル1αが得られる。
得られたリアクトル1αは、冷却ベースといった固定対象に載置し、ボルトを貫通孔51h及び固定対象に設けられたボルト穴に挿通して締め付けることで、固定対象に固定できる。なお、リアクトル1αの設置面と固定対象との間に、放熱グリス、放熱シートなどを適宜設けることで、リアクトル1αの設置面と固定対象との間の熱抵抗を小さくすることができる。
<効果>
リアクトル1αは、金属製のケースを有さないケースレス構造であることで小型・軽量でありながら、内側樹脂部4及び外側樹脂部5αからなる二層構造の被覆を具えることで、コイル2や磁性コア3の外部環境からの保護、機械的保護、電気的な保護を図ることができる。特に、内側樹脂部4の構成樹脂を放熱性に優れる樹脂とし、外側樹脂部5αを耐衝撃性に強い樹脂とすると、高い放熱性及び高い機械的強度を兼備したリアクトルとすることができる。
かつ、リアクトル1αは、コイル成形体20αを利用することで、組み立て時、コイル2が伸縮せずコイル2を取り扱い易く、組立作業性に優れる。また、コイル成形体20αを利用することで、コイル2と磁性コア3との間の絶縁の確保や圧縮状態の保持ができながら、筒状ボビンなどの絶縁部材や中ケースなどを省略できるため、部品点数の削減、及びこれらの部品を配置する工程の削減を図ることができる。従って、リアクトル1αは、生産性に優れる。
更に、リアクトル1αは、外側コア部32のコア設置面32dが外側樹脂部5αから露出され、リアクトル1αを冷却ベースといった固定対象に設置したとき、コア設置面32dが固定対象に接触する構成である。この構成により、磁性コア3の熱を効率よく固定対象に伝えられるため、リアクトル1αは、放熱性に優れる。特に、リアクトル1αは、外側コア部32のコア設置面32dに加えて、コイル成形体20αの成形体設置面20dも外側樹脂部5αから露出されて、両設置面32d,20dが面一となっており、固定対象に接触する構成である。この構成により、コイル2の熱も効率よく固定対象に伝えられるため、リアクトル1αは、放熱性に更に優れる。加えて、リアクトル1αでは、コイル成形体20αにおける設置側に凹み42を具えることで、内側樹脂部4の表面積が多いことでも放熱性に優れる。
また、外側コア部32のコア設置面32dが内側コア部31における設置側の面よりも突出した形状であることで、外側コア部と内側コア部とが面一である磁性コアと同じ体積とする場合、リアクトル1αでは、磁性コア3におけるコイルの軸方向の長さを短くできる。そのため、リアクトル1αは、固定対象に支持される面の面積(投影面積)を小さくすることができ、小型である。
上述のようにリアクトル1αは、小型であり、生産性、放熱性にも優れる。その他、リアクトル1αでは、外側コア部32のコア設置面32dと、コイル成形体20αの成形体設置面20dと、外側樹脂部5αの樹脂設置面50dとが面一であって、リアクトル1αの設置面が平坦な形状(平面)である。そして、磁性コア3、コイル成形体20α、及び外側樹脂部5αが固定対象に直接支持される。そのため、リアクトル1αは、固定対象に対して広い接触面積を有することができ、固定対象に安定して設置することができる。
また、リアクトル1αは、外側樹脂部5αによりコイル成形体20αと磁性コア3とが一体化されており、ハンドリング性に優れる。
更に、外側樹脂部5αのフランジ部51に貫通孔51hを具えることで、この貫通孔51hにボルトを挿通して固定対象にねじ込むだけで、ボルト以外にリアクトル1αを固定対象に止め付けるための部材が不要であり、リアクトル1αを容易に設置できる。
(変形例1-1)
以下、図4,5を参照して、コイル成形体の変形例を説明する。なお、図4及び図5(II)は、コイル素子を連結するコイル連結部が紙面手前側となるようにコイル成形体を配置した状態を示す。
実施形態1のコイル成形体20αに代えて、例えば、図4(I)に示すコイル成形体20Bのように、コイル成形体20Bを設置したときに設置側(図4(I)において下方側)に放熱板7を具えた構成とすることができる。放熱板7は、接着剤(特に、熱伝導性に優れるものが好ましい)やボルトなどの固定部材によりコイル成形体に固定してもよいが、内側樹脂部4の構成樹脂によりコイル成形体20Bと一体化すると、上記固定部材や固定工程が不要である。ここでは、放熱板7を2枚用意し、各コイル素子における設置側の外周面に接触するように放熱板7をそれぞれ配置させている。各放熱板7は、一面がコイル素子に接触し、他面が内側樹脂部4から露出されて成形体設置面を構成する。或いは、両コイル素子が十分接触できるような大きさの1枚の放熱板を具えるコイル成形体とすることができる。そして、上記1枚の大きな放熱板からなる成形体設置面と外側コア部のコア設置面とを面一にして、両設置面が冷却ベースといった固定対象に接触するようにリアクトルを構成してもよい。
放熱板7の構成材料は、熱伝導性に優れる種々の材料、特に、熱伝導率が3W/m・K以上、特に20W/m・K以上、更に30W/m・K以上である材料が好ましい。具体的には、例えば、アルミニウム(236W/m・K)、アルミニウム合金、銅(390W/m・K)、銅合金、銀、銀合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304:16.7W/m・K)といった金属材料、窒化珪素(Si3N4):20W/m・K〜150W/m・K程度、アルミナ(Al2O3):20W/m・K〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200W/m・K〜250W/m・K程度、窒化ほう素(BN):50W/m・K〜65W/m・K程度、炭化珪素(SiC):50W/m・K〜130W/m・K程度などのセラミックスといった非金属材料を利用することができる(数値は熱伝導率の代表値)。
セラミックスからなる放熱板は、軽量であり、多くは電気絶縁性に優れるため、コイルとの間を電気的に絶縁することができる。上記セラミックスのうち、窒化珪素は、熱伝導率が高く、アルミナや窒化アルミニウム、炭化珪素よりも曲げ強度に優れることから、好適に利用することができる。また、上記セラミックスからなる放熱板は、粉末を成形した後、焼結することで製造することができ、種々の大きさ、形状のものが容易に作製できる。市販の放熱板を利用してもよい。
一方、金属材料からなる放熱板は、放熱性が高い。金属材料からなる放熱板であって、コイルと直接接触する構成とする場合、当該放熱板において少なくともコイルと接触する箇所には、上記セラミックスなどの絶縁性材料からなる被膜を具えると、コイルとの間の電気的な絶縁を確保できて好ましい。上記被膜は、例えば、PVD法やCVD法などで成膜することで形成することができる。
また、放熱板7は、コイルの近くに配置されることから、磁気特性を考慮すると、非磁性材料から構成されていることが好ましい。更に、放熱板は、上記金属材料や上記セラミックスといった非金属材料のうちの1種の無機材料から構成されるものとしてもよいし、複数種の材料を組み合せて、部分的に熱特性を異ならせたものとしてもよい。
コイル成形体20Bによれば、熱伝導性に優れる放熱板7を介して、コイル2の熱を効率よく冷却ベースといった固定対象に伝えられることから、このコイル成形体20Bを具えるリアクトルは、放熱性に更に優れる。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車載部品に利用されるリアクトルでは、更なる高周波化、大電流化が望まれており、これらの要求に対応するためにコイルの発熱が増大すると予想される。従って、磁性コアよりも高温になり易いコイルの熱を効率よく放出できる上記リアクトルは、車載部品に好適に利用できると期待される。また、上述した放熱板は、リアクトルの設置面だけでなく、リアクトルの側面や設置面と対向する面など、任意の箇所に配置すると、更に、放熱性を高められる。
(変形例1-2)
実施形態1では、各コイル素子2a,2bの内周の全面が内側樹脂部4の構成樹脂により覆われた構成を説明した。コイル2と磁性コアとの間に所定の絶縁距離を確保でき、かつ実施形態1で説明したように位置決めできるように内側樹脂部4の構成樹脂が存在すれば、各コイル素子2a,2bの内周の全面を内側樹脂部4の構成樹脂により覆っていなくてもよい。即ち、コイル素子2a,2bの内周面の一部が内側樹脂部4の構成樹脂から露出していてもよい。例えば、図4(II)に示すコイル成形体20Cでは、コイル素子2a,2bの内周を被覆する内側樹脂部4にそれぞれ、コイル2の軸方向に沿った凹溝43Cが、上下左右の合計四箇所に形成されている。各凹溝43Cは、その深さがコイル2と磁性コアとの間の所定の絶縁距離に相当しており、凹溝43Cの形成箇所から、内側樹脂部4の構成樹脂で覆われていないコイル素子2a,2bの一部が露出している。このようなコイル成形体20Cを得るには、上述した中子として、凹溝43Cを形成する突起を有するもの、即ち、断面が十字状であるものを利用するとよい。
上記凹溝43Cは、外側樹脂部を成形するときに、外側樹脂部の構成樹脂の流路に利用できる上に、当該樹脂とコイル成形体20Cとの接触面積を増大できる。そのため、コイル成形体20Cと外側樹脂部との密着性を高められる。また、上述のようにコイル素子2a,2bの一部が露出していても、露出箇所が外側樹脂部の構成樹脂で覆われることで、コイル2と磁性コアとの間の絶縁性を高められる。
(変形例1-3)
実施形態1では、コイル2の外周の実質的に全面が内側樹脂部4の構成樹脂により覆われ、かつ内側樹脂部4の外形が平滑な面で形成された構成を説明した。この実施形態1のコイル成形体20αに代えて、例えば、図5(I)に示すコイル成形体20Dのように、内側樹脂部4の外周に凹溝43Dを具えた構成としてもよい。ここでは、凹溝43Dは、図5(I)において左右の側面及び上面にコイル2の軸方向に沿って形成されて、凹溝43Dの形成箇所から、内側樹脂部4の構成樹脂で覆われていないコイル素子2a,2bの一部(一方の側面の一部及び上面の一部)が露出している。凹溝43Dの深さは、適宜選択することができる。例えば、図5(II)に示すコイル成形体20Eに設けられた凹溝43Eのようにコイル素子が露出されないような深さとしてもよい。凹溝43Eは、図5(I)に示すコイル成形体20Dに具える凹溝43Dよりも幅が小さく、コイル成形体20Eの上面及び側面にそれぞれ複数設けられている。このようなコイル成形体20D,20Eを得るには、例えば、上述した第二金型の周側壁の内側に、上記凹溝43D,43Eを形成するための突条を具えるものを用いるとよい。
上記凹溝43D,43Eは、外側樹脂部を成形するときに、外側樹脂部の構成樹脂の流路に利用できる上に、当該樹脂とコイル成形体20D,20Eとの接触面積を増大できるため、コイル成形体20D,20Eと外側樹脂部との密着性を高められる。また、変形例1-3と上述した変形例1-2とを組み合わせた構成、つまり、コイル成形体の内周及び外周の双方に凹溝を具えたコイル成形体としてもよく、このコイル成形体は、外側樹脂部との密着性を更に向上することができる。
(変形例1-4)
実施形態1では、コイル素子2a,2bが1本の巻線2wから形成されて内側樹脂部4により覆われた構成を説明した。各コイル素子を別々の巻線により作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとし、このコイルを内側樹脂部により被覆したコイル成形体とすることができる。この場合、コイル連結部が無いため、内側樹脂部の成形時、各コイル素子を押圧し易い。
或いは、別々の巻線により作製された各コイル素子のそれぞれに内側樹脂部を形成して、コイル素子成形体を作製し、これらコイル素子成形体から突出する巻線の一端部同士を溶接などにより接合して一体のコイル成形体としてもよい。この場合、上述のようにコイル連結部が存在せず、かつコイル成形体の形成にあたり、コイル素子が一つだけであるため、内側樹脂部の成形時、例えば、コイル素子を押圧し易く、成形体の製造性に優れる。また、この形態では、二つのコイル素子成形体の作製にあたり、一つの成形金型を共通して利用できるため、製造コストを低減できる。
(変形例1-5)
実施形態1では、外側コア部32のコア設置面32dが冷却ベースといった固定対象に接触する構成を説明した。外側樹脂部から露出しているコア設置面と固定対象との間に放熱板が介在する形態とすることができる。放熱板の材質は、変形例1-1で説明した各種の金属材料や非金属材料といった無機材料が利用できる。この放熱板は、外側樹脂部の構成樹脂により固定された形態とすると、接着剤やボルトなどの固定部材が不要であり、部品点数の削減、リアクトルの生産性の向上を図ることができる。この放熱板により磁性コアの熱や磁性コアに伝えられたコイルの熱を効率よく冷却ベースといった固定対象に伝えられることから、この放熱板を具えるリアクトルは、放熱性に更に優れる。
また、コア設置面だけでなく、リアクトルにおける設置面の全面が放熱板により構成された形態、例えば、実施形態1のリアクトル1αにおいて、外側コア部32のコア設置面32d、コイル成形体20αの成形体設置面20d及び外側樹脂部5αの樹脂設置面50dを覆う放熱板を具える形態とすると、高温になり易いコイル2だけでなく、コイル2の発熱により高温と成り得る磁性コア3や外側樹脂部5αの熱をも効率よく放出でき、放熱性に更に優れる。特に、この場合、部分的に材質が異なる放熱板とする、例えば、最も高温になり易い成形体設置面20dに接する箇所を熱伝導性が高い材質で構成し、比較的温度が低いと考えられる樹脂設置面50dに接する箇所を熱伝導性が比較的低い材質で構成した放熱板としたり、樹脂部分(樹脂設置面50dなど)に接する箇所を金属材料で構成し、金属部分(コア設置面20dなど)に接する箇所を非金属材料で構成した放熱板とすることができる。上記放熱板も外側樹脂部の構成樹脂により固定された形態してもよいし、放熱板に貫通孔を設けておき、リアクトル1αを固定するボルトにより、リアクトル1αと共に放熱板をも固定対象に固定させる形態としてもよい。放熱板に設ける上記貫通孔は、当該放熱板の上にリアクトル1αを載置したときに外側樹脂部5αのフランジ部51の貫通孔51hに対応した位置に設けるとよい。
或いは、放熱板に代えて、固定対象におけるリアクトルの設置箇所に、上述したセラミックスからなる被膜をPVD法やCVD法などにより成膜して、コア設置面などのリアクトルの設置面と固定対象との間に当該被膜を介在させることでも、放熱性を高められる。
(変形例1-6)
実施形態1では、リアクトル1αを固定対象に固定するためのフランジ部51及び貫通孔51hを外側樹脂部5αに具える構成を説明した。その他、フランジ部及び貫通孔を設けずに、別途、固定用部材を用いてもよい。固定用部材は、例えば、一対の脚部と、両脚部間を連結するように配置されて、リアクトルにおける設置側の面との対向面(図1(I)では上面)を押え付ける弾性部とを具える]状部材が挙げられる。脚部の先端には、ボルト孔が設けられたフランジを具えておく。上記]状部材のボルト孔にボルトを締め付けると、上記弾性部によりリアクトルが固定対象側に押え付けられ、この押圧力により、リアクトルを強固に固定することができ、リアクトルと固定対象との密着性を高められる。
上記]状部材は、強度、弾性、耐食性などを考慮すると、SUS304,SUS316などのステンレス鋼などの金属からなることが好ましく、例えば、金属帯を適宜屈曲させることで形成することができる。より具体的には、金属帯を]状に屈曲し、一対の脚部の先端部分を更にL字状に屈曲することで上記フランジを形成でき、脚部間を渡る部分を弧状に湾曲させることで弾性部を形成することができる。上記固定用部材は、一つでも複数利用してもよい。
(変形例1-7)
その他、リアクトルの固定にあたり、磁性コアにボルト孔を具える形態とすると、変形例1-6で説明した固定用部材が不要であり、部品点数を少なくできる。このボルト孔は、内側コア部以外の箇所、即ち、外側コア部に設けると、磁気特性に影響が及び難い。また、外側コア部において内側コア部から離れた箇所に突出部を設け、この突出部にボルト孔を設けると、磁気特性に更に影響が及び難い。このような複雑形状の磁性コアは、圧粉成形体とすると容易に成形できる。上記ボルト孔は、ネジ加工が成されていない貫通孔、ネジ加工がされたネジ孔のいずれも利用できる。
(変形例1-8)
実施形態1では、内側コア部31とコイル成形体20αとが別の部材である構成を説明したが、内側コア部とコイル成形体とが一体に成形された形態とすることができる。この場合、内側コア部を予め作製しておき、コイル成形体の形成にあたり、コイル素子内に配置する中子に代えて、内側コア部を配置するとよい。すると、内側樹脂部の成形と同時に、コイルと内側コア部とを内側樹脂部により一体化することができる。この形態では、コイル成形体に内側コア部を嵌め込む工程を省略できることで、リアクトルの生産性を更に高められる。
(変形例1-9)
特に、変形例1-8で説明した内側コア部を内蔵するコイル成形体とする場合、内側樹脂部及び外側樹脂部はそれぞれ、リアクトルの使用温度よりも高い温度で成形され、磁性コアの熱膨張率、内側樹脂部の熱膨張率、外側樹脂部の熱膨張率をそれぞれαc、αpi、αpoとするとき、上記成形温度においてαc<αpo及びαpi≦αpoの関係を満たす形態が挙げられる。特に、αc<αpi≦αpo、更にαc<αpi<αpoを満たすことが好ましい。
本発明者らは、内側コア部を内蔵するコイル成形体と外側コア部とを組み合せた組合体の外周に外側樹脂部の構成樹脂をモールドしたリアクトルを作製し、当該リアクトルの使用温度範囲(例えば、-40℃〜150℃)のヒートサイクル試験を行ったところ、外側樹脂部と、外側樹脂部に内包される部材との間に剥離や隙間が発生する場合がある、との知見を得た。
これに対し、リアクトルの使用温度(最高使用温度、例えば150℃)よりも高い温度で内側樹脂部及び外側樹脂部を成形すると共に、この成形温度において、磁性コア、内側樹脂部、外側樹脂部の熱膨張率が上記特定の関係を満たすと、リアクトルの使用時、当該使用温度範囲(例えば、150℃以下)において、外側樹脂部は、磁性コアや内側樹脂部よりも熱収縮し易いため、磁性コアや内側樹脂部よりも収縮しようとする。従って、外側樹脂部は、磁性コア及び内側樹脂部に密着する状態を維持できる。そのため、外側樹脂部と磁性コア(特に、外側コア部)との間、外側樹脂部と内側樹脂部との間に、剥離や隙間が生じることを防止できる。
逆に、磁性コア、内側樹脂部、外側樹脂部の三者の熱膨張率が上記特定の関係を満たさない、即ち、αc≧αpo又はαpi>αpoを満たす場合、リアクトルの使用温度範囲において低温側に移行するほど、磁性コアや内側樹脂部が外側樹脂部よりも収縮しようとする。そのため、リアクトルの使用温度範囲におけるヒートサイクルが繰り返し負荷されると、外側樹脂部が磁性コア及び内側樹脂部の収縮変形に追従できず、外側樹脂部と磁性コア(特に、外側コア部)との間、外側樹脂部と内側樹脂部との間に、剥離や隙間が生じることがある。
この変形例1-9では、内側樹脂部及び外側樹脂部の構成樹脂として、リアクトルの使用温度よりも高い温度で硬化、或いは固化する樹脂を選択する。また、リアクトルの使用温度範囲において、磁性コア、内側樹脂部、外側樹脂部が相互に密着状態を維持できるように、上記三者の熱膨張率がαc<αpo及びαpi≦αpoを満たす材質を選択する。
上記要件を満たす樹脂として、熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが利用できる。上記樹脂の一般的な成形(硬化)温度、及びこの成形温度における熱膨張率は、フェノール樹脂:150℃〜200℃、15×10-6/K〜35×10-6/K、不飽和ポリエステル樹脂:150℃〜200℃、5×10-6/K〜30×10-6/K、エポキシ樹脂:140℃〜190℃、5×10-6/K〜100×10-6/Kである。内側樹脂部及び外側樹脂部の熱膨張率は、樹脂の種類や、上述したセラミックスからなるフィラーの材質や含有量を変更することで調整することができる。一方、磁性コアの150℃〜200℃における熱膨張率は、例えば、軟磁性材料からなる粉末の圧粉成形体:10×10-6/K〜12×10-6/K、珪素鋼板の積層体:12×10-6/K〜15×10-6/Kが挙げられる。
[試験例]
内側樹脂部の構成樹脂として、アルミナのフィラーを含有するエポキシ樹脂、外側樹脂部の構成樹脂として、ガラス繊維のフィラーを含有する不飽和ポリエステルを使用して、コイル成形体を具えるリアクトルを製造し、このリアクトルに対してヒートサイクル試験を実施して、樹脂の状態を調べた。
上記ヒートサイクル試験に利用したリアクトルの基本的構成は、実施形態1のリアクトル1αと同様であり、コイル成形体として、変形例1-8で説明した内側コア部を内蔵するものを利用した。
内側樹脂部の成形条件は、成形温度:170℃とした。この内側樹脂部の成形温度における熱膨張率αpiは、13×10-6/Kであった。外側樹脂部の成形条件は、成形温度:170℃とした。この外側樹脂部の成形温度における熱膨張率αpoは、19×10-6/Kであった。磁性コアは、軟磁性材料からなる粉末の圧粉成形体を使用した。この磁性コアの上記成形温度(170℃)における熱膨張率αcは、12×10-6/Kであった。即ち、このリアクトルは、上記成形温度(170℃)において、αc<αpi<αpoを満たす。ヒートサイクル試験は、リアクトルの実際の使用環境を想定して、-40℃〜150℃の温度範囲で100サイクルまで実施した。
その結果、外側樹脂部と磁性コアの外側コア部との間、外側樹脂部と内側コア部との間に剥離や隙間が認められなかった。また、内側樹脂部と磁性コアの内側コア部との間にも剥離や隙間が認められなかった。
なお、実施形態1のリアクトル1αのように、コイル成形体20αと内側コア部31とが別部材である場合も、磁性コアの熱膨張率、内側樹脂部の熱膨張率、外側樹脂部の熱膨張率がαc<αpo及びαpi≦αpoの関係を満たす形態とすることができる。
(変形例1-10)
実施形態1では、コイル2を構成する巻線2wの両端部の引き出し方向が同一の方向(図1において上方)、かつ同じ高さである形態を説明した。このコイル2では、巻線2wの各端部に接続される端子金具を固定する端子台(図示せず)を巻線の引き出し箇所に近接させようとすると、当該端子台の配置箇所は、図1においてリアクトル1αの上部に制約される。一方、端子台をリアクトル1αの上部以外に配置することを考えた場合、端子台の位置によっては、端子台までの配線経路が長くなる傾向にある。ここで、リアクトルの周囲には他の機器や部品が配置されることが多く、長い配線を取り回すスペースが十分取れない恐れもある。従って、端子台までの配線経路をできるだけ短くなるように、端子台の配置位置などに応じて、コイルを構成する巻線の両端部の引き出し方向を実施形態1と異なる方向としたり、各端部の引き出し方向をそれぞれ異ならせたり、各端部の引き出し高さを異ならせた形態としてもよい。
具体的には、互いに並列状態で連結された一対のコイル素子2a,2bを具えるコイルにおいて、各コイル素子2a,2bを構成する巻線の端部が各コイル素子2a,2bの側方に引き出された形態、例えば、図6に示す以下のコイル2A〜2Hを実施形態1のコイル2に代えて利用することができる。
図6(I)に示すコイル2Aでは、コイル2Aを構成する巻線2wの始端21と終端22とが各コイル素子2a,2bの側方(並列方向の外方)であって、異なる方向に引き出されている。ここでは、巻線2wの始端21が一方のコイル素子2aの外方(左側)に、終端22が他方のコイル素子2bの外方(右側)に引き出され、始端21と終端22とが各コイル素子2a,2bの左右にそれぞれ存在する。また、上記始端21及び上記終端22は、コイル2Aの軸方向と直交する水平方向に引き出され、互いにコイル2Aのターンの上部と同じ高さに配置されている。
上記コイル2Aを具えたリアクトルは、巻線2wの端部に接続される端子台を当該リアクトルの上部以外に設けられることから、端子台の配置の自由度を高められる。また、端子台の構成も、巻線2wの始端21と終端22との双方が一つの端子台に固定されるような一体化した構成とする必要がない。例えば、巻線2wの始端21と終端22の各々を独立した端子台に接続できる。そのため、始端21及び終端22を一つの端子台に固定する場合に比較して、個々の端子台のサイズを小さくすることができる。更に、巻線2wの端部を両コイル素子2a,2bの左右方向に引き出し、始端21側の端子台(図示せず)をコイル素子2aの左側に、終端22側の端子台をコイル素子2bの右側に配置することで、コイル2Aから引き出された巻線2wが端子台に至るまでの配線経路を短くできる。
なお、コイル2A、及び後述する2B〜2Eでは、コイル2A(2B〜2E)のターンの上面よりもコイル連結部2rを高くしている。具体的には、被覆平角線の幅の半分程度、コイル連結部2rをターンよりも上方に突出させている。この構成により、コイル2A(2B〜2E)では、実施形態1のリアクトル1αに具えるコイル2、即ち、コイル連結部2rがターンと面一に形成されたコイル2に比べて、コイル連結部2rの下方に、被覆平角線の幅の半分程度の高さに相当する余分のスペースが形成される。このスペースの範囲内で、外側コア部の高さ(上面)を引き上げることができ、それに伴って、外側コア部の厚さ(コイルの軸方向における磁性コアの寸法)を小さくすることができる。従って、この外側コア部の厚さが小さい磁性コアを具えるリアクトルは、実施形態1のリアクトル1αの磁性コア3と同等の体積を確保する場合、当該リアクトルを上方から見た際の投影面積を小さくでき、小型である。
或いは、図6(II)に示すコイル2Bでは、コイル素子2bの終端22が当該コイル素子2bの上部にて右側に引き出されている点は、図6(I)のコイル2Aと共通であるが、一方のコイル素子2aの始端21が当該コイル素子2aの下部にて左側に引き出されている点がコイル2Aと異なる。
即ち、コイル2Bは、コイル2Bの側方の異なる方向、つまり左右に巻線2wの始端21と終端22とが引き出され、かつ始端21の高さと終端22の高さとが異なる。そのため、巻線2wの始端21と終端22とをそれぞれ独立した端子台に接続可能であるだけでなく、始端21側の端子台をコイル2Bの側方の下部に配置し、終端22側の端子台をコイル2Bの側方の上部に配置する、といったように、両端子台の配置高さを変えられるため、端子台の配置の自由度を更に高められる。また、コイル2Bから引き出した巻線2wを端子台に導くまでの配線経路の自由度も改善できる。
或いは、図6(III)に示すコイル2Cでは、コイル素子2aの始端21が当該コイル素子2aの下部にて左側に引き出されている点は、図6(II)のコイル2Bと共通であるが、他方のコイル素子2bの終端22が当該コイル素子2bの下部にて右側に引き出されている点がコイル2Bと異なる。
即ち、コイル2Cは、コイル2Cの側方の異なる方向、つまり左右に巻線2wの始端21と終端22とが引き出され、かつ始端21の高さと終端22の高さとが等しい。そのため、巻線2wの始端21と終端22とをそれぞれ独立した端子台に接続可能であるだけでなく、始端21側の端子台と終端22側の端子台とをコイル2Cの側方の下部に配置でき、端子台の配置の自由度を高められる。また、コイル2Cから引き出した巻線2wを端子台に導くまでの配線経路の自由度も改善できる。
或いは、図6(IV)に示すコイル2Dでは、コイル素子2aの始端21が当該コイル素子2aの下部にて左側に引き出されている点は、図6(II)のコイル2Bと共通であるが、他方のコイル素子2bの終端22が当該コイル素子2bの上部にて左側に引き出されている点がコイル2Bと異なる。
即ち、コイル2Dは、コイル2Dの側方の同じ方向、つまり左側に巻線2wの始端21及び終端22が引き出され、かつ始端21の高さと終端22の高さとが異なる。そのため、巻線2wの始端21と終端22とをそれぞれ独立した端子台に接続し、これら端子台を高さ方向に並列することができる。或いは、巻線2wの始端21と終端22とを一つの端子台に接続する場合、高さ方向に長く伸びる端子台を構築でき、平面方向における端子台の設置スペースが小さい場合でも、端子台の設置が可能になる。
或いは、図6(V)に示すコイル2Eでは、コイル素子2aの始端21及びコイル素子2bの終端22が一方のコイル素子2aの下部にて左側に引き出されている点は、図6(IV)のコイル2Dと共通であるが、他方のコイル素子2bの終端22がコイル素子2aの高さ方向の中間部に引き出されている点がコイル2Dと異なる。
即ち、コイル2Eは、コイル2Eの側方の同じ方向、つまり左側に巻線2wの始端21及び終端22が引き出され、かつ始端21の高さと終端22の高さとが異なるものの、始端21及び終端22が近接している。そのため、図6(IV)のコイル2Dと同様に、コイル2Eは、巻線2wの始端21と終端22とをそれぞれ独立した端子台に接続したり、これら始端21と終端22とを一つの端子台に接続することができ、かつ端子台の高さ方向の設置スペースを小さくできる。
一方、図7(I)に示すコイル2Fは、並列する一対のコイル素子2a,2bの巻き方向が互いに逆方向になっており、かつ各コイル素子2a,2bが別々の巻線2wで構成されている。即ち、コイル素子2aは、図7(I)において紙面手前から奥に向かって左巻きに構成され、コイル素子2bは、図7(I)において紙面手前から奥に向かって右巻きに構成されている。また、両コイル素子2a,2bを連結するコイル連結部2rは、一方のコイル素子2aの他端側(図7(I)において紙面奥側)から他方のコイル素子2bの一端側(図7(I)において紙面手前側)に亘っており、一方のコイル素子2aの巻線2wの他端部と他方のコイル素子2bの巻線2wの一端部同士を溶接することで構成されている。ここでは、他方のコイル素子2bの巻線2wの一端側を長くして適宜屈曲させて、一方のコイル素子2aの他端側に渡し、当該コイル素子2aにおいてターンから上方に引き上げられた巻線2wの他端部に接続できるようにしている。
そして、コイル2Fでは、一方のコイル素子2aの一端部(始端21)が当該コイル素子2aの一端側(図7(I)において紙面手前側)の上部において、当該コイル素子2aの左側に引き出され、他方のコイル素子2bの他端部(終端22)が当該コイル素子2bの他端側(図7(I)において紙面奥側)の上部において、当該コイル素子2bの右側に引き出されている。
即ち、コイル2Fは、コイル2Fの巻線2wの各端部が左右に引き出されているだけでなく、コイル2Fの軸方向にもずれた位置(ここでは前後にずれた位置)に引き出されている。そのため、巻線2wの各端部に接続される端子台の配置の自由度を高められる。また、コイル2Fでは、各コイル素子2a,2bを独立して形成して、溶接によりコイル連結部2rを形成できるため、コイルの成形性に優れる。
図7(II)に示すコイル2Gは、並列する一対のコイル素子2a,2bの巻き方向が互いに逆方向になっている点は、図7(I)のコイル2Fと共通であるが、一連の巻線2wにより両コイル素子2a,2bが構成されている点がコイル2Fと異なる。即ち、コイル2Gでは、一方のコイル素子2aの他端側を他方のコイル素子2bの一端側に適宜屈曲させて引き伸ばし、引き続いてコイル素子2bが形成されている。従って、コイル連結部2rも上記一連の巻線2wにより形成されている。
そして、このコイル2Gも、一方のコイル素子2aの一端部(始端21)が当該コイル素子2aの一端側(図7(II)において紙面手前側)の上部において、当該コイル素子2aの左側に引き出され、他方のコイル素子2bの他端部(終端22)が当該コイル素子2bの他端側(図7(II)において紙面奥側)の上部において、当該コイル素子2bの右側に引き出されている。
このコイル2Gも図7(I)に示すコイル2Fと同様に、コイル2Gの巻線2wの各端部が左右に引き出され、かつコイル2Gの前後にもずれた位置に引き出されているため、巻線2wの端部に接続される端子台の配置の自由度を高められる。また、コイル2Gでは、個々のコイル素子2a,2bを溶接する必要がない。
図7(III)に示すコイル2Hは、一方のコイル素子2aの始端21が当該コイル素子2aの下部にて左側に引き出され、他方のコイル素子2bの終端22が当該コイル素子2bの上部にて右側に引き出されている点は、図6(II)のコイル2Bと共通であるが、各コイル素子2a,2bが別々の巻線2wで構成されている点がコイル2Bと異なる。また、一方のコイル素子2aの巻線2wの他端部と他方のコイル素子2bの巻線2wの他端部同士を溶接することでコイル連結部2rが構成されている。ここでは、他方のコイル素子2bの巻線2wの他端側を長くして適宜屈曲させて、一方のコイル素子2aの他端側に渡し、当該コイル素子2aにおいてターンから上方に引き上げられた巻線2wの他端部に接続できるようにしている。このように、別々の巻線2wからなるコイル素子2a,2bを溶接した形態であっても、各コイル素子2a,2bの端部をコイル2Hの側方に引き出すことができる。
その他、コイルを構成する巻線の端部の引き出し方向が両コイル素子の並列方向に沿っておらず、この並列方向に対して傾斜した形態とすることができる。また、コイルのターンから引き出される巻線の端部が屈曲されて引き出された形態とすることができる。例えば、一対のコイル素子における巻線の各端部をコイルの側方の同一方向に引き出すにあたり、適宜屈曲することで、両コイルの端部が同じ高さで並列されるようにしてもよい。
上述した変形例1-1〜1-10を組み合せた形態とすることができる。また、上記変形例1-1〜1-10は、後述する実施形態2や変形例にも適宜適用することができる。
(実施形態2)
以下、図8〜図13を参照して、実施形態2に係るリアクトル1βを説明する。リアクトル1βの基本的構成は、実施形態1のリアクトル1αと同様である。即ち、リアクトル1βは、巻線2w(図9,図11)を巻回してなるコイル2(図9,図11)とこのコイル2の外周を覆う内側樹脂部4(図9,図11)とを具えるコイル成形体20β(図9,図11)と、コイル2内に挿通された内側コア部31(図9,図10)と内側コア部31に連結された外側コア部32(図9)とにより閉磁路を形成する磁性コア3(図9)と、コイル成形体20βと磁性コア3との組合体10(図9,図12)の外周を覆う外側樹脂部5β(図8,図9)とを具える。このリアクトル1βは、実施形態1のリアクトル1αと同様に、図8(II)に示す平坦な下面を設置面として、例えば、車載用コンバータの回路部品に用いられる。
リアクトル1βにおいて、実施形態1のリアクトル1αとの主たる相違点は、コイル成形体20βに磁性コア3の一部を一体に具える点、内側樹脂部4に一体に形成される位置決め部を具える点、緩衝部材6(図9,図10)を具える点、端子金具8(図8(I),図12,図13)を一体に具える点にある。以下、相違点及びその効果を中心に説明し、実施形態1と共通する構成及びその効果は詳細な説明を省略する。
<組合体>
[コイル成形体]
まず、主として図11を参照してコイル成形体20βを説明する。コイル成形体20βは、コイル2と、コイル2の外周の大半を覆う内側樹脂部4と、磁性コア3の内側コア部31と、緩衝部材6と、内側樹脂部4の構成樹脂により形成される位置決め部とを具える。
特に、実施形態2では、内側コア部31がコイル成形体20βに一体に成形されている。また、実施形態2では、コイル2と内側コア部31との間に緩衝部材6が介在するように、内側コア部31の外周に緩衝部材6を設け、リアクトル1βがヒートサイクルを受けた場合でも、内側樹脂部4のうち、緩衝部材6とコイル2との間に介在される箇所(介在樹脂部分4i(図9))にクラックが生じないようにしている。更に、実施形態2では、内側樹脂部4の構成樹脂により形成される位置決め部(ここでは、後述する連結部被覆部41)を具えることで、外側樹脂部5βの成形にあたり、図13に示すように組合体10における成形型100への位置決めを容易に行えるようにしている。
(コイル)
コイル2は、コイル連結部2rの形態を除き、実施形態1のリアクトル1αに具えるものとほぼ同様である。即ち、コイル2は、1本の連続する巻線2wから構成された一対のコイル素子2a,2bが並列状態でコイル連結部2rにより連結されて形成されている。コイル2の両端部は、コイル2のターン形成面2fの上方に引き出されて端子金具8(図12)が接続され、端子金具8と共に外側樹脂部5βに覆われている(図8(I))。コイル連結部2rは、変形例1-10で説明したコイル2A〜2Eのコイル連結部2rよりも、ターン形成面2fの上方に更に引き上げられている。
(内側樹脂部)
内側樹脂部4は、実施形態1のリアクトル1αのコイル成形体20αと同様に、コイル2の形状を保持すると共に、各コイル素子2a,2bをその自由長よりも圧縮状態に保持する機能を有する。この内側樹脂部4は、コイル2のターン部2tを覆うターン被覆部40tと、コイル連結部2rの外周を覆う連結部被覆部41とを具え、ターン被覆部40tと連結部被覆部41とは一体に成形され、ターン被覆部40tは実質的に均一な厚さでコイル2を覆っている。ここでは、内側樹脂部4により、緩衝部材6を装着した内側コア部31がコイル2と一体化されており、ターン被覆部40tのうち、緩衝部材6とコイル2との間の介在樹脂部分4iも厚さが実質的に均一とされている。但し、各コイル素子2a,2bの角部、及び巻線2wの両端部は、内側樹脂部4から露出されている。
特に、コイル素子2a,2bの内周面を覆うターン被覆部40t(介在樹脂部分4i)は、主として、コイル素子2a,2bと内側コア部31との間の絶縁を確保すると共に、コイル素子2a,2bに対して緩衝部材6が装着された内側コア部31を位置決めする機能を有する。
一方、連結部被覆部41は、コイル連結部2rの機械的保護を図る。そして、連結部被覆部41の少なくとも一部は、コイル成形体20βと磁性コア3との組合体10(図12(II))の外周に外側樹脂部5β(図12(II))を形成する際、図13に示すように組合体10を成形型100に対して位置決めするための位置決め部として機能する。ここでは、連結部被覆部41は、図11(II),図12に示すように、U字状のコイル連結部2rの全体を覆う直方体状に成形しているが、コイル連結部2rの形状に沿った形状に成形してもよく、特に形状は問わない。そして、この直方体状の連結部被覆部41において位置決めに利用された箇所(図8(I)では、長方形状の板のように見える箇所)は、図8(I)に示すように外側樹脂部5βに覆われず、内側樹脂部4が露出している。
また、実施形態2のコイル成形体20βも、内側樹脂部4において、両コイル素子2a,2b間につくられる断面三角形状の隙間を覆う箇所に、凹み42(図8(II))を具える。
その他、実施形態2では、内側樹脂部4における両コイル素子2a,2b間に図示しない温度センサ(例えば、サーミスタ)を収納するセンサ用穴が形成されている。ここでは、センサ収納管(図示せず)の一部を内側樹脂部4にインサート成形し、さらにセンサ収納管の残部を外側樹脂部5βで覆ってセンサ用穴45(図8(I))としている。センサ収納管は、内側樹脂部4のうち、コイル2のターン形成部2fを覆うターン被覆部40tよりも若干突出している。
(緩衝部材)
緩衝部材6は、リアクトル1β(図8,図9)がヒートサイクルを受けた際、特に、降温時に内側樹脂部4の収縮が内側コア部31により妨げられ、内側樹脂部4の介在樹脂部分4i(図9)に過大な応力が作用することを緩和する機能を有する。
緩衝部材6は、内側コア部31の外周面に形成されている。このため、リアクトル1βがヒートサイクルを受けた際、内側コア部31とコイル2との間に位置する介在樹脂部分4iに過大な応力が作用することを効果的に抑制できる。この緩衝部材6は、内側コア部31の外周面の全面を覆う面状の部材でもよいし、同外周面をほぼ均等に、かつ部分的に覆う網状や格子状の部材でもよい。但し、外側コア部32の外周面は緩衝部材6で覆われないようにする。外側コア部32を緩衝部材6で覆わないことで、リアクトル1βの高い放熱性を確保する。
緩衝部材6の材質は、内側樹脂部4の構成樹脂よりもヤング率の小さい材料が好ましい。このような材料で緩衝部材6を構成すれば、内側樹脂部4の収縮時に緩衝部材6が弾性変形することでクッションの機能を果たし、介在樹脂部分4iにクラックが生じることを抑制する。ここでは、緩衝部材6に住友電工ファインポリマー株式会社製の熱収縮チューブ「スミチューブK」や「スミチューブB2」を用いている(「スミチューブ」は登録商標)。「スミチューブK」はポリフッ化ビニリデン(PVDF)をベース樹脂とし、「スミチューブB2」はポリオレフィン樹脂をベース樹脂としている。エポキシ樹脂のヤング率が3.0GPa〜30GPa程度であるのに対し、これらの熱収縮チューブのヤング率は3.0GPa未満程度である。緩衝部材6の構成材料の好適なヤング率は0.5GPa〜2GPa程度である。
また、緩衝部材6の構成材料も内側樹脂部4の構成樹脂と同様の耐熱・耐寒特性を有することが好ましい。「スミチューブK」の連続使用可能温度域は、-55℃〜175℃であり、「スミチューブB2」の連続使用可能温度域は、-55℃〜135℃である。その他、緩衝部材6の構成材料が備えると好ましい特性として、絶縁性が挙げられる。通常、巻線2wはエナメルなどの絶縁被覆を具えることで、緩衝部材6を絶縁性材料で構成することは必須ではなく、理論上は導電材料や半導電材料でもよい。但し、エナメルなどの絶縁被覆にピンホールが存在する場合を想定すれば、緩衝部材6を絶縁性材料で構成することで、コイル2と内側コア部31との絶縁性を高い信頼性をもって確保できる。この点、上記「スミチューブ」はいずれも高い絶縁特性を備えている。その他、フッ素樹脂(例えばPTFE、使用可能温度:260℃程度)や、難燃性硬質ポリ塩化ビニル(PVC、使用可能温度:200℃程度)を素材とする熱収縮チューブも、その耐熱性や絶縁性から緩衝部材6としての利用が期待できる。
緩衝部材6の形態・形成方法は、熱収縮チューブの他にも種々のものが利用できる。例えば、常温収縮チューブが挙げられる。常温収縮チューブは、伸縮性に優れた材料からなるもの、具体的には、シリコーンゴム(VMQ、FVMQ、使用可能温度:180℃)を素材としたものなどを用いることができる。その他の素材として、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、ハイパロン(登録商標、一般名:クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。上記各素材は、使用可能温度が150℃以上であり、かつ体積固有抵抗が1010Ω・m以上の絶縁性を備えることから好ましい。この常温収縮チューブは、チューブ自体の収縮力で内側コア部31に装着される。具体的には、常温収縮チューブとして、その内周長が内側コア部31の外周長よりも小さいものを用意し、当該チューブを拡径して内側コア部31の外周面に嵌める。その状態で拡径を解除すれば、当該チューブは収縮して内側コア部31の外周面に被着される。
或いは、成形型で成形したモールド層も緩衝部材に利用できる。この場合、内側コア部31の外周面と成形型の内面との間にギャップを形成した状態で成形型内に内側コア部31を保持し、樹脂などの成形用材料を当該成形型内に注入して、内側コア部31の外周面にモールド層を形成する。このモールド層は、介在樹脂部分4iのクラックを抑制できる程度のクッション性を備えていれば、薄いものでも十分である。具体的には、モールド層の構成樹脂として、不飽和ポリエステルやポリウレタンなどが期待できる。
或いは、コーティング層も緩衝部材に利用できる。この場合、スラリー状の樹脂を内側コア部31の外周面に塗布や噴霧したり、内側コア部31の外周面に粉体塗装を施したりすることでコーティング層を形成できる。具体的には、コーティング層の構成樹脂として、液状シリコーンゴムなどが期待できる。
或いは、テープ巻き層も緩衝部材に利用できる。この場合、テープ材を内側コア部31の外周面に巻回することで、緩衝部材を容易に構成できる。テープ材は、例えば、PETテープなどが挙げられる。
上述した各形態のいずれについても、緩衝部材6の厚みは、内側樹脂部4の介在樹脂部分4iのクラックが抑制できる程度の弾性変形量が得られる厚みを有していれば、放熱性の点で薄いほど好ましい。また、上述した各形態を組み合せて多層構造の緩衝部材を形成することもできる。
[磁性コア]
実施形態2のリアクトル1βに具える磁性コア3(図12)も、実施形態1のリアクトル1αと同様に、コア片31m(図9,図10)とギャップ材31g(図9,図10)とを交互に積層してなる一対の直方体状の内側コア部31と、一対の台形状の面を有する外側コア部32(図12)とを有し、環状に形成される。そして、上述のように内側コア部31は、その外周に緩衝部材6が設けられ、内側樹脂部4(図12)によりコイル2(図12)と一体化されてコイル成形体20β(図12)を構成する。この内側コア部31の両端面31eは、内側樹脂部4の端面40eからわずかに突出されている(図12)。
また、磁性コア3は、実施形態1のリアクトル1αと同様に、図9に示すように外側コア部32のコア設置面32dが内側コア部31において設置側となる面よりも突出し、コイル成形体20βの成形体設置面20dとほぼ面一となっている。この構成により、リアクトル1βも、固定対象に設置したとき、内側樹脂部4及び外側コア部32が固定対象に直接接触するため、リアクトル1βの使用時(運転時)にリアクトル1βで発生する熱を固定対象に効率良く放出でき、放熱性に優れる。
その他、実施形態2の磁性コア3は、図9に示すように各外側コア部32の高さが異なる。コイル連結部2rの下方に配される一方(図9では左側)の外側コア部32の上下面が内側コア部31の上下面よりも上下に突出し、コイル成形体20βのターン被覆部40tの上下面とほぼ面一となっている。これに対して、巻線2wの端部側に配置される他方(図9では右側)の外側コア部32の下面は内側コア部31の下面よりも下方に突出してターン被覆部40tの下面とほぼ面一となっているが、この外側コア部32の上面は内側コア部31の上面とほぼ面一となっており、ターン被覆部40tの上面よりも低い。その一方で、一方(図9では左側)の外側コア部32は、他方(図9では右側)の外側コア部32に比べて厚さ(コイル軸方向の寸法)が薄い。つまり、両外側コア部32は、互いに高さ及び厚さが異なるが、両外側コア部32の体積を実質的に等しくしており、各外側コア部32における磁気特性を実質的に等価としている。その上、コイル連結部2rをターン形成面2fよりも上方に形成したことで、連結部被覆部41の下方に、他方(図9では右側)の外側コア部32よりも薄く、高い一方(図9では左側)の外側コア部32を配置することができる。そのため、リアクトル1βの投影面積を小型にすることができる。また、他方(図9では右側)の外側コア部32の高さを低くしたことで、この上方に端子金具8を配置して、外側樹脂部5βにより端子台を構成することができる。外側コア部32の高さの下限は、内側コア部31の上面と面一となる程度とすることが好ましい。内側コア部31の上面よりも外側コア部の上面が低くなれば、内側コア部31から外側コア部に移行する過程で十分な磁路を確保できない恐れがあるためである。
そして、実施形態2の磁性コア3では、図8(II),図12に示すように、台形状断面の両外側コア部32において、内側コア部31の端面31e(図10,図12)とコイル成形体20βの端面40eとの双方に対向される内端面32eと、この内端面32eに隣接する側面32sとで形成される稜線を丸めて切欠角部32gを形成している。
上述のように内端面32eと側面32sとの稜線を丸めることで、外側コア部32の上下方向に沿って一様な曲率を有する切欠角部32gが構成されている。この切欠角部32gは、丸めた稜線に対応する成形用金型を用いて圧粉成形体の成形時に形成することが好ましい。その他、丸められていない稜線を有する圧粉成形体を形成しておき、その稜線を切削、研削、研磨などにより事後的に加工して切欠角部32gを形成してもよい。ここでは、切欠角部32gの円弧半径は3mmとした。上記円弧半径はリアクトル自体の大きさによって適宜選択することができ、例えば、車載部品に利用するリアクトルの場合、1mm以上10mm以下程度が好適である。但し、外側コア部の断面積が内側コア部の断面積以下にならないようにする。切欠角部32gの断面形状は円弧状に限らず、上記稜線を平面で面取りした形状でもよい。
上記切欠角部32gは、コイル成形体20βと外側コア部32とを組み合わせて組合体10を構成した際、外側コア部32の側面32sとコイル成形体20βにおけるターン被覆部40tの側面との間に溝(図8(II))を形成する。この溝は、組合体10の外側に外側樹脂部5βを成形する際、外側コア部32の内端面32eとコイル成形体20βの端面40eとの間に外側樹脂部5βの構成樹脂を導入するための案内溝として機能する。なお、内側コア部31と外側コア部32とを接合した状態において、外側コア部32の側面32sは、内側コア部31の外側面よりも外方に突出しており、コイル2の端面のほぼ全周を覆う内側樹脂部4の端面40e、及び内側コア部31の端面31eは、外側コア部32の内端面32eに対向することになる。
<端子金具とナット>
実施形態2のリアクトル1βは、図8(I),図9,図12に示すように、外側樹脂部5βにより、コイル2を構成する巻線2wの端部に接続された端子金具8を一体に成形すると共にナット穴52も成形し、このナット穴52に嵌め込まれたナット52n、端子金具8、及び外側樹脂部5βの構成樹脂により端子台を構成している。即ち、リアクトル1βは、端子台を一体に具える形態である。
主として図12を参照して端子金具8を説明する。端子金具8は、電源などの外部装置(図示せず)側と接続するための接続面81と、巻線2wの端部に溶接される溶接面82と、接続面81と溶接面82とを一体化し、かつ外側樹脂部5βに覆われる埋設部とを具える。端子金具8のほとんどは外側樹脂部5βに覆われており、接続面81のみが外側樹脂部5βから露出されている(図8(I))。接続面81は、上述した高さが低い他方(図12において左側)の外側コア部32の上方に配置され、この外側コア部32の上面と接続面81との間に外側樹脂部5βが充填されて端子台が構成される。上記高さの低い外側コア部32の上に端子金具8を配置することで、コイルの上方に端子金具を設けて端子台を形成する場合に比べて、端子金具を含むリアクトルの高さを小さくでき、リアクトル1βは小型である。
なお、実施形態2に示す端子金具の形状は例示であり、適宜な形状のものが利用できる。リアクトルの所望の位置に端子台が形成できるように、端子金具の形状を適宜選択するとよい。例えば、コイル連結部2rを覆う連結部被覆部41(図12)が配置される一方(図12において右側)の外側コア部32の近傍に端子台を設ける場合、端子金具においてコイル2の巻線2wの端部と溶接される溶接箇所と、配線(図示せず)の先端に設けられた端子(図示せず)が接続される接続箇所との間を繋ぐ適宜な長さの連結部を具える端子金具が挙げられる。この連結部は、実施形態2と同様に外側樹脂部により覆われる埋設部とすると、外側樹脂部により端子金具を安定して保持することができる。
上記端子台には、接続面81の下方にナット52nが配置される(図9)。ナット52nは、外側樹脂部5βで成形されたナット穴52に回り止めされた状態で収納される。この回り止めは、六角形のナット52nを六角形のナット穴52に嵌め込むことで実現している。そして、ナット穴52の開口部を接続面81で覆うように端子金具8が配される。
接続面81には、ナット52nの対角寸よりも小さな内径の挿通孔81hが形成されており、ナット52nがナット穴52から抜け出すことを接続面81が阻止する(図8(I))。図9に示すように、リアクトル1βを利用する際、配線(図示せず)の先端に設けられた端子210を接続面81に重ね、この端子210及び接続面81をボルト220で貫通してナット52nに螺合することで、配線の基端に繋がる外部装置(図示せず)からコイル2に給電する。ここでは、端子210及びボルト220を端子台に取り付けた状態において、リアクトルの最も高い位置、即ち、外側樹脂部5βのうち、コイル連結部2rを覆う連結部被覆部41と、巻線2wの端部と端子金具8との溶接個所を覆う保護部53(図8(I))とを結ぶ平面よりもボルト220の上面が低くなるように接続面81の高さが設定されている。そのため、ボルト220の頭部がリアクトル1βから局部的に突出することがない。
<外側樹脂部>
外側樹脂部5βは、実施形態1のリアクトル1αと同様に、コイル成形体20βの成形体設置面20d及び外側コア部32のコア設置面32dとが露出され(図8(II))、かつコイル成形体20βと磁性コア3(外側コア部32)との組合体10(図12)における上面の大半と外側面の全部を覆うように形成されている。
また、外側樹脂部5βは、実施形態1のリアクトル1αと同様に、外側コア部32のコア設置面32d、コイル成形体20βの成形体設置面20d、外側樹脂部5βの樹脂設置面50dが面一になるように形成されている。従って、リアクトル1βを固定対象に設置したとき、これらの設置面20d,32d,50dが固定対象に接触することで、リアクトル1βを安定に設置できると共に、リアクトル1βで発生した熱を効率的に放出できて、リアクトル1βは、放熱性に優れる。
一方、上述のように組合体10の上面及び外側面を外側樹脂部5βで覆うことで、組合体10を機械的に保護することができる。但し、外側樹脂部5βの成形にあたり、組合体10の位置決めに利用された連結部被覆部41の上面は、外側樹脂部5βから露出されている(図8(I))。
また、外側樹脂部5βは、実施形態1のリアクトル1αと同様に組合体10の輪郭よりも外方に突出したフランジ部51を具え、フランジ部51には、貫通孔51h(図8)が設けられている。
更に、外側樹脂部5βの上面には、コイル2を構成する巻線2wの端部と端子金具8との接合部分(図12(II))を覆う保護部53(図8(I))を有する。保護部53は、ほぼ矩形のブロック状に成形されている。その他、外側樹脂部5βの上面は、内側樹脂部3から突出するセンサ収納管の先端と面一に成形されたセンサ用穴45が構成されている。
そして、実施形態2では、図8(I)に示すように、外側樹脂部5βの側面がリアクトル1βの上部から下部に向かって広がる傾斜面で形成されている。このような傾斜面を設けることで、後述するようにコイル成形体20βと磁性コア(外側コア部32)との組合体10を倒立状態として外側樹脂部5βを成形する場合(図13)、成形後のリアクトル1βを成形型100から容易に抜き出すことができる。
ここでは、外側樹脂部5βの構成樹脂に不飽和ポリエステルを利用している。不飽和ポリエステルは、強度に優れて割れが生じ難い上に、耐熱性があり、比較的安価であるため好ましい。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル1βは、上述した実施形態1のリアクトル1αと基本的には同様にして構成することができる。但し、コイル成形体20βを得る第一成形工程において、緩衝部材6の装着された内側コア部31を用意し、この内側コア部31とコイル2とを内側樹脂部4により一体化する。以下に、概略を説明し、詳細な説明は実施形態1と共通するため、省略する。
(1) 第一成形工程:コイル成形体の製造
実施形態1で説明したようにコイル2を用意する。また、実施形態1で説明したようにコア片31mやギャップ材31gを接着剤などで固定して内側コア部31を用意し(図10(I))、図10(II)に示すように内側コア部31の外周に緩衝部材6となる熱収縮チューブを嵌め、当該チューブを加熱収縮させて、内側コア部31の外周面に被着させる。次に、図11(I)に示すように、コイル2の各コイル素子2a,2bの内側に、緩衝部材6が装着された内側コア部31を挿入する。続いて、コイル2と緩衝部材6が装着された内側コア部31との組物の外周に内側樹脂部4を成形するために、実施形態1で説明した成形金型(第一金型と第二金型とから構成されるもの)と同様の成形金型に当該組物を収納する。但し、実施形態2では、直方体状の中子に代えて上記緩衝部材6が装着された内側コア部31を具えるため、当該中子は不要である。
成形金型に上記組物を収納する際、ここでは、各コイル素子2a,2bの角部に相当する個所を金型内面の凸部(図示せず)で支持し、当該凸部以外の金型内面とコイル2の外周面との間には、一定のギャップが形成されるようにする。更に、緩衝部材6が装着された内側コア部31の端面31eを金型の凹部で支持して、緩衝部材6と各コイル素子2a,2bとの間にも一定のギャップが形成されるようにする。上記ギャップに充填される樹脂が介在樹脂部分4i(図9)となる。
次に、実施形態1と同様に、成形金型に具える複数の棒状体(ここでは、合計8本)を成形金型内に進出して、各コイル素子2a,2bの端面の角部を押圧してコイル2を圧縮する。また、実施形態2では、成形金型内における圧縮状態のコイル2の所定の位置に、センサ用穴45を形成するための上記センサ収納管(図示せず)を配置する。
その後、樹脂注入口から成形金型内に内側樹脂部4の構成樹脂を注入し、当該樹脂が固化したら、図11(II)に示すように、内側樹脂部4によりコイル2を圧縮状態に保持すると共に緩衝部材6が装着された内側コア部31をも一体化したコイル成形体20βが成形される。このコイル成形体20βを成形金型から取り出す。
(2) 組立工程:組合体の作製
まず、図12(I)に示すように、作製したコイル成形体20βの巻線2wの各端部にそれぞれ端子金具8を溶接する。この溶接を行う段階では、図13に示すように端子金具8の接続面81は溶接面82とほぼ平行に配され、図12,13の上下方向に伸びている。この接続面81は、外側樹脂部5βの成形後、ナット52nの上方を覆うようにほぼ90°屈曲される(図8(I))。
次に、両内側コア部31の端面31eを外側コア部32で挟み込み、これら内側コア部31の端面31eと外側コア部32の内端面32eとを接着剤により接合して環状の磁性コア3を形成して、コイル成形体20βと磁性コア3との組合体10が得られる。
(3) 第二成形工程
次に、組立工程で得られた組合体10の外周に外側樹脂部5βを形成するための成形型100を用意する。ここでは、成形型100は、図13に示すように上部に開口を有する容器状の基部100bと、基部100bの開口を閉じる蓋部100cとを具える。基部100bのキャビティ101内には、組合体10が図12(II)の上面を下向きにした倒立状態で収納される。
基部100bのキャビティ101の底面は、図8(I)に示す外側樹脂部5βの外形、即ち、リアクトル1βの外形のうち、主に上面側の形状を形作るように形成されている。具体的には、基部100bのキャビティ101の底面には、凹溝110が形成されており、この凹溝110にコイル成形体20βの連結部被覆部41の一部(上面側部分)が嵌合できるようになっている。連結部被覆部41を凹溝110に嵌合することで、キャビティ101内の所定の位置に組合体10を容易に位置合わせすることができる。このように連結部被覆部41の一部は、組合体10における成形型100に対する位置決め部として機能する。
その他、基部100bのキャビティ101の底面には、巻線2wの端部と端子金具8との接合箇所を覆う保護部53(図8(I))を形成するための凹部111、ナット52n(図9)が嵌め込まれるナット穴52(図9)を成形するための凸部(図示せず)、端子台を形成するための凹部112、及び端子金具8の接続面81が溶接面82に平行に延びた状態で差し込まれる凹部113が形成されている。また、キャビティ101において、外側樹脂部5βの側面を形成する箇所は、開口側に向かって広がる傾斜面で構成されている。
蓋部100cは、その基部100bに対向する面が平面であり、リアクトル1βの設置面を平坦な面に成形することができる。蓋部100cにおける基部100bに対向する面が平面であれば、蓋部100cで封止した成形型100内に樹脂を注入する際、空気が溜まり易い凹凸が蓋部100cに存在しないため、外側樹脂部5βに欠陥が生じ難い。また、凹凸がないことで蓋部100cを基部100bに被せる場合に蓋部100cが損傷し難く、容易に被せられる。
ここでは、蓋部100cには、同一直線上に設けられた合計3つの樹脂注入ゲート(図示せず)が形成されている。3つのゲートのうち、中間に位置する内側ゲートは、基部100b内に組合体10を配置した際、並列される一対のコイル素子2a,2b(図11)の間の間隙に向かって開口し、この内側ゲートを挟む残り二つの外側ゲートはそれぞれ、コイル2の軸方向に沿って外側コア部32よりも離れる位置、即ち、上記内側ゲートとの間に外側コア部32を挟む位置に開口している。樹脂注入ゲートの配置位置、ゲートの開口部の形状、ゲートの個数は、形成するリアクトルの大きさに応じて適宜選択することができる。また、蓋部100cを閉じたとき、基部100bと蓋部100cとの接触面に空気抜き用の隙間(図示せず)が適宜設けられる構成としている。
なお、リアクトル1βの設置面を、凹凸を全く形成しない平面とするのであれば、上記蓋部100cを用いることなく基部100b内に樹脂を注入するだけでもよい。この場合、注入した樹脂の液面が、リアクトル1βの設置面を形成することになる。
上記成形型100内に組合体10を配置する。具体的には、組合体10のコイル成形体20βの連結部被覆部41の一部を凹溝110に嵌め込む。この工程により、組合体10は、成形型100に位置決めされる。また、上記嵌合により、センサ用穴45を構成するセンサ収納管の端面は、基部100bのキャビティ101の底面に接し、当該センサ用収納管と上記嵌合とにより組合体10はキャビティ101の底面に支持されて、キャビティ101の所定の位置に配置された状態を維持することができる。更に、凹部111に、巻線2wの端部と端子金具8との接合箇所、凹部113に端子金具8の接続面81を挿入する。
上述のように組合体10を配置したら、基部100bの開口側に蓋部100cを被せて成形型100を閉じ、上述した各樹脂注入ゲートから外側樹脂部5βの構成樹脂を成形型100内に注入する。成形型100を閉じることで、基部100bと蓋部100cとで作られる空間は、空気抜き用の隙間を除き、密閉された空間となる。
実施形態2では、外側コア部32の切欠角部32gにより、コイル成形体20βの端面40eと外側コア部32との間に溝が形成され、この溝を介して外側樹脂部5βの構成樹脂が、外側コア部32の内端面32eとコイル成形体20βの端面40eとの間に容易に入り込む。その結果、コイル成形体20βと外側コア部32との間に外側樹脂部5βの構成樹脂が十分に充填され、当該外側樹脂部5βに空孔が形成されることもない。ここでは、上記切欠角部32gを具えることに加えて、外側コア部32の内端面32eとコイル成形体20βの端面40eとの間に若干の隙間(0.5mm)を設けている。この隙間により、コイル成形体20βと外側コア部32との間に外側樹脂部5βの構成樹脂が更に入り込み易い。
また、ここでは、上述した複数の樹脂注入ゲートにより、環状の磁性コア3の内側と外側との双方から外側樹脂部5βの構成樹脂が注入されるため、当該コア3の内側から外側に向かって当該コア3に作用する圧力と、当該コア3の外側から内側に向かって当該コア3に作用する圧力とが打ち消し合う。従って、磁性コア3を損壊することなく、早期に樹脂の充填を行える。この効果は、樹脂の注入圧力が高い場合に特に顕著である。また、上述した内側ゲートと各外側ゲートからの樹脂の注入量は同じであってもよいが、外側ゲートからの樹脂の注入量を内側ゲートからの樹脂の注入量よりも多くすると、組合体10の外周を早期に覆うことができて好ましい。また、外側ゲートからの樹脂の注入量を調節して、外向き圧力を内向き圧力よりも高くし、外側コア部32が内側コア部31の側に押されるようにしたり、外向き圧力と内向き圧力とをほぼ相殺させたりすることもできる。
外側樹脂部5βの成形を終えたら成形型100を開き、その内部からリアクトル1βを取り出す。このとき、キャビティ101の開口部側が傾斜面となっていることで、リアクトル1βを抜き出し易い。得られたリアクトル1βの樹脂設置面50dには、図8(II)に示すように、樹脂注入ゲートの開口部の形状が転写されたゲート痕54が三つ形成される。
取り出したリアクトル1βのナット穴52にナット52n(図9)を嵌め込み、図12に示すように端子金具8の接続面81をほぼ90°屈曲し、当該接続面81によりナット52nの上部を覆うようにして(図8(I))、リアクトル1βを完成する。
<効果>
実施形態2のリアクトル1βでは、実施形態1のリアクトル1αが奏する効果(代表的には、ケースレス構造で小型でありながら機械的な保護などを図れる、コイルのハンドリング性に優れて生産性に優れる、磁性コアの一部を露出することで放熱性に優れる)に加えて、次の効果を奏することができる。
内側コア部31の外周を緩衝部材6で覆うことで、リアクトル1βにヒートサイクルが作用した場合でも、コイル2と緩衝部材6との間に位置する介在樹脂部分4iの収縮に伴う応力が緩和され、介在樹脂部分4iにクラックが生じることを抑制することができる。
リアクトル1βは、コイル成形体20βの内側樹脂部4に一体に形成された位置決め部(ここでは連結部被覆部41)を具えることで、外側樹脂部5βを形成する際に、別途、ピンやボルトなどを用いることなく、組合体10を成形型100に容易に位置決めすることができる。この点から、リアクトル1βは生産性に優れる。
また、リアクトル1βは、別途用意したピンなどを用いないで位置決めを行うことで、組合体10において外側樹脂部5βに覆われない箇所を効果的に低減することができる。更に、位置決め部の一部が外側樹脂部5βから露出されているものの、この露出箇所は内側樹脂部4より構成される。従って、リアクトル1βは、内側樹脂部4及び外側樹脂部5βにより、コイル2や磁性コア3を外部環境から保護したり、機械的保護を十分に図ることができる。
更に、リアクトル1βでは、外側コア部32における内端面32eと側面32sとが形成する稜線に切欠角部32gを形成することで、この切欠角部32gを介して外側コア部32の内端面32eとコイル成形体20βとの間に十分に外側樹脂部5βの構成樹脂を充填することができる。特に、リアクトル1βでは、上述のように側面32sとの稜線に切欠角部32gを設けることで、この切欠角部32gの形成により、コイル2を励磁した際に磁性コア3内に形成される磁路面積が減少されることも可及的に回避できる。また、外側コア部を圧粉成形体で構成する場合、内端面と側面とが形成する稜線に沿った方向を、成形用金型から外側コア部を抜き出す方向に対応させることができ、この稜線に切欠角部が形成されていれば、稜線が鋭角にならず、外側コア部を成形用金型から容易に抜くことができる。そのため、このような切欠角部を有する外側コア部は、成形性に優れ、リアクトルの生産性の向上に寄与することができる。
加えて、リアクトル1βでは、磁性コア3の外側コア部32のコア設置面32dが突出していることにより、内端面32eのうち、コイル成形体20βの端面40eと対向する領域が広くなる。そのため、コイルの端面側におけるコイル成形体20βと磁性コア3との隙間が封鎖されることになり、コイル成形体20βと磁性コア3(外側コア部32)との間に外側樹脂部5βの構成樹脂を充填することがより困難になる。しかし、このような三次元形状の磁性コア3を具える場合であっても、内端面32eと側面32sとが形成する稜線に切欠角部32gが設けられていることで、構成樹脂の充填を円滑に行える。更に、上記切欠角部32gを形成することで、外側コア部32の角部が丸められていることから、ハンドリング性にも優れ、組立時や搬送時に外側コア部32を把持する際などで外側コア部32に欠けなどが生じ難い。
上記切欠角部32gに加えて、リアクトル1βでは、コイル成形体20βの端面40eと外側コア部32の内端面32eとの間に若干の隙間を具えることで、外側コア部32とコイル成形体20βとの間に外側樹脂部5βの構成樹脂を更に充填し易い。上記隙間は、0.5mm以上が好ましいが、大き過ぎると、リアクトルにおいてコイルの軸方向の長さが長大になり、小型にし難くなるため、4mm以下が好ましい。なお、上記切欠角部を備えていない磁性コアを利用し、コイル成形体の端面と外側コア部の内端面との間に上記特定の大きさの隙間のみを設けることもできる。上述した実施形態1では、上記隙間を0.5mmとしている。
リアクトル1βでは、コイル2と内側コア部31とを内側樹脂部4により一体化した構成とすることで、内側コア部31をコイル成形体に嵌め込む工程を省略できるため、リアクトルの生産性を更に高められる。
内側樹脂部4及び外側樹脂部5βの成形によりセンサ用穴45が成形されるため、後加工によりセンサ用穴45を形成する必要がない。そのため、リアクトル1βの製造を効率的に行えて生産性に優れる上に、センサ用穴を後加工する場合に問題となるコイル2や磁性コア3の損傷も回避できる。
一対の外側コア部32の高さを異なるようにし、高さが低い外側コア部32の上に端子金具8を配置し、この端子金具8と共に外側コア部32やコイル成形体20βを外側樹脂部5βで一体に成形することで、端子金具8を含むリアクトル1βの高さが大きくなることがない。従って、リアクトル1βは、小型である。
外側樹脂部5βにより端子金具8を一体に成形することで、外側樹脂部5βの成形と同時に端子台を構成できる。そのため、別途作製した端子台をリアクトル1βに固定するための部材や作業を省略できる。この点からもリアクトル1βは、生産性に優れる。
実施形態2のリアクトル1βでは、コイル2においてコイル連結部2rをターン形成面2fよりも高くして、外側コア部32の高さを大きくする一方で、厚さ(コイル軸方向の長さ)を小さくしている。従って、リアクトル1βでは、変形例1-10で説明したように投影面積を小さくできる。特に、磁性コア2を実施形態1と同様の軟磁性材料からなる粉末の圧粉成形体で構成することで、外側コア部32の高さと内側コア部31の高さとが異なる磁性コア2を容易に成形できる。
外側樹脂部5βでナット52nを一体に成形するのではなく、ナット穴52を成形することで、外側樹脂部5βの成形時にナット52nが存在せず、ナット内部に外側樹脂部5βの構成樹脂が入り込むことを防止できる。一方で、ナット穴52にナット52nを収納したのち、端子金具8の接続面81を屈曲させてナット穴52の開口を接続面81で覆うことで、ナット52nの脱落を容易に防止できる。
外側樹脂部5βの成形にあたり、樹脂注入ゲートの数を複数としていることで、樹脂注入ゲートを一つとする場合よりも迅速に樹脂の注入を行える。この点からも、リアクトル1βは生産性に優れる。また、上述のように複数の樹脂注入ゲートを利用することで、磁性コア3が損壊することを防止できる。
(変形例2-1)
実施形態2では、緩衝部材6を装着した内側コア部31が内側樹脂部4でコイル2と一体化されたコイル成形体20βを用いたが、実施形態1で説明したコイル成形体20αのように、各内側コア部31がそれぞれ挿通される中空孔40hを具えるように内側樹脂部4を成形してもよい。図14に示すコイル成形体20γは、内側コア部31を内側樹脂部4により一体に成形されていないことを除いて、実施形態2のコイル成形体20βと同様の構成であり、実施形態1のコイル成形体20αのように中空孔40hを具える。但し、コイル成形体20γでは、中空孔40hの大きさを、緩衝部材6を装着した内側コア部31が挿入可能な大きさとしている。この形態では、内側樹脂部4を形成する成形金型にコイル2を配置し、このコイル2の内側に、実施形態1と同様に中子を配置した状態で、内側樹脂部4の構成樹脂を注入して内側樹脂部4を成形し、上述した所定の大きさの中空孔40hを形成すればよい。そして、内側樹脂部4で形成される当該中空孔40hに、緩衝部材6を装着した内側コア部31を挿入し、更に内側コア部31に外側コア部32を接合した後、外側樹脂部(図示せず)を成形することで、緩衝部材6を具えるリアクトルを構成できる。
(変形例2-2)
実施形態2では、一対のコイル素子2a,2bを連結するコイル連結部2rをターン部2tから引き上げて高くし、内側樹脂部4においてこのコイル連結部2rの外周を覆う箇所(連結部被覆部41)を位置決め部とする構成を説明した。その他、位置決め部は、内側樹脂部の構成樹脂のみにより形成された形態としてもよい。例えば、コイル2のターン部2tにおいて上側のターン形成面2fから突出する突起部を内側樹脂部に一体に形成し、この突起部を位置決め部に利用することができる。また、このような突起部を複数設けてもよい。内側樹脂部を成形する成形金型には、上記突起部を形成するための凹溝を適宜設けておく。
この形態も、内側樹脂部により一体に形成された位置決め部を具えることで、コイル成形体と磁性コアとの組合体における成形型に対する位置決めを容易に行えて、リアクトルの生産性に優れる。また、この形態では、コイル連結部をあまり高く引き上げる必要がない。
或いは、変形例1-4で説明したように、各コイル素子を別々の巻線で構成して各巻線の端部を溶接などにより接合してなるコイル連結部を具えるコイルを利用する場合や、一対のコイル素子成形体を具えるコイル成形体を利用する場合、位置決め部を上述のように内側樹脂部の構成樹脂のみからなる構成とすると、位置決め部を具えるコイル成形体を容易に製造することができる。このように内側樹脂部の構成樹脂のみにより位置決め部を構成することで、コイル成形体の形態の自由度を高められる。
上述した溶接などにより接合したコイル連結部を具えるコイルを利用する場合、実施形態2と同様に、このコイル連結部を内側樹脂部に内蔵する位置決め部を有する形態とすることもできる。
なお、位置決め部に関する各種の形態は、緩衝部材を有していない実施形態1のリアクトル1α及び変形例1-1〜1-10にも適宜適用することができる。
(変形例2-3)
実施形態2では、端子金具8を含む端子台を具える構成を説明したが、実施形態1のリアクトル1αのように、端子金具や端子台を別部材とした形態とすることができる。また、実施形態2で説明した端子金具や端子台に関する構成、後述する端子金具や端子台に関する各種の形態は、緩衝部材を有していない実施形態1のリアクトル1α及び変形例1-1〜1-10にも適用することができる。
その他、実施形態2では、端子金具8を外側樹脂部5βの構成樹脂により直接被覆する形態を説明したが、例えば、端子金具8及びナット52nを別途樹脂でインサート成形した中間成形体を予め作製し、コイル成形体20βと磁性コア3(外側コア部32)との組合体10と、上記中間成形体とを外側樹脂部により一体化した形態とすることができる。中間成形体は、例えば、端子金具8の埋設部を覆うように形成し、実施形態2で説明した高さが低い外側コア部32の上面に載置できるブロック状の成形体とすることが挙げられる。また、この中間成形体には、実施形態2で説明したナット52nを収納するナット穴を形成し、端子金具8の接続面81を折り曲げてナット52nに対面させるとよい。中間成形体の構成樹脂は、上述した外側樹脂部や内側樹脂部の構成樹脂を好適に利用することができ、外側樹脂部の構成樹脂と同質の樹脂とすると、外側樹脂部との密着性に優れる。中間成形体を利用することで、成形型に収納する際などで端子金具8を保護したり、成形型の形状を簡易な形状としたり、組合体10を成形型に収納し易くしたりすることができる。特に、端子金具が複雑な形状である場合、中間成形体を利用すると、端子金具の周囲を十分に樹脂で覆うことができる。また、中間成形体を利用する場合、端子台の形成箇所によっては内側樹脂部の一部に中間成形体が配置される配置溝を設けたり、中間成形体の構成樹脂により、内側樹脂部などに対する位置決め部を形成しておくと、中間成形体を容易に位置決めできると共に、外側樹脂部の形成にあたり、中間成形体を安定して保持できる。
その他、実施形態2では、ナット52nによりボルト220を固定する構成を説明したが、ナットを備えず、外側樹脂部の構成樹脂や上記中間成形体の構成樹脂にネジ加工を施してもよい。
その他、実施形態2では、リアクトル1βの上方側に端子台を設ける形態を説明したが、変形例1-10で説明した巻線2wの端部の引き出し方向が種々の方向であるコイルを利用して、例えば、リアクトルの側面側に端子台を設けた形態とすることができる。
その他、実施形態2では、巻線2wの端部と端子金具8との溶接箇所を覆う保護部53が外側樹脂部5βの構成樹脂により形成された形態としたが、上記溶接箇所を外側樹脂部から露出させた形態とすることができる。この露出させた形態とする場合、巻線の端部と端子金具との接続は、外側樹脂部により端子金具を一体化する前後のいずれでも行える。
その他、実施形態2では、外側樹脂部5βにより端子台が形成された形態としたが、図15に示すコイル成形体20δのように、内側樹脂部4により端子台が形成された形態とすることができる。このコイル成形体20δは、内側樹脂部4が、端子金具8の接続面81の下方にまで延びた構成である。このようなコイル成形体20δは、コイル2を構成する巻線2wの端部に端子金具8を予め溶接しておき、このコイル2に、緩衝部材(図示せず)を装着した内側コア部(図示せず)を配置して、端子金具8において接続面81及び溶接面82以外の個所が内側樹脂部4に埋設され、かつナット52nを収納するためのナット穴52が同時に形成されるように内側樹脂部4を成形することで製造できる。得られたコイル成形体20δの内側コア部と外側コア部32とを接合した後、外側樹脂部5δを成形する。外側樹脂部5δの成形にあたり、端子金具8の接続面81と溶接面82とが平行状態のままとし、ナット穴52に外側樹脂部5δの構成樹脂が浸入しないようにする。外側樹脂部5δを成形した後、実施形態2と同様に、ナット穴52にナット52nを収納した後、接続面81をほぼ90°屈曲させてナット穴52の開口を覆う。この形態によれば、端子金具8もコイル成形体20δと一体の部材として取り扱えるため、リアクトルの製造を容易に行え、リアクトルの生産性に優れる。
(変形例2-4)
実施形態2では、磁性コア3の内端面32eと側面32sとの稜線を丸めた切欠角部32gを有する形態を説明した。その他、切欠角部として、図16に示すような以下の形態とすることができる。なお、図16では、外側コア部32を実線で示し、内側コア部31は一方側の一部のみを破線で示して他方側は省略している。また、説明の便宜上、切欠角部32gは実際の寸法よりも大きく誇張して図示している。
図16(I)に示す外側コア部32は、その断面形状は、実施形態2と同様に略台形状であり、切欠角部32gは、外側コア部32の内端面32eと上下面(図16(I)では上面32uのみ符号を付している)とで構成される稜線に形成されている。より具体的には、外側コア部32において図16(I)の左右方向(ここでは、コイル軸方向と直交する水平方向)の中間部に、断面が矩形の切欠を設け、この切欠を切欠角部32gとしている。この切欠角部32gの形成箇所は、内側コア部31及びコイル成形体(図示せず)を外側コア部32に配置した際、コイル成形体の端面と対向する箇所であって、一対のコイル素子間である。その他、外側コア部32の内端面32eと上下面との稜線において上述した箇所と同一箇所に切欠を設ける場合、図16(II)に示すように、三角の切欠とし、この切欠を切欠角部32gとすることができる。
上述のような切欠角部32gが設けられた磁性コアを具えるリアクトルも、当該切欠角部32g箇所から、コイル成形体の端面と外側コア部32の内端面32eとの隙間に、外側樹脂部の構成樹脂を案内することができる。そのため、上記切欠角部32gが無い場合に比べて、コイル成形体と磁性コアとの間に外側樹脂部の構成樹脂をより確実に充填することができる。また、この切欠角部32gは、外側コア部32の内端面32eと上下面との稜線の中間部、より具体的には両コイル素子が並列に配置された状態において、両コイル素子間の領域に形成されていることで、当該切欠角部32gの存在により、コイルを励磁した際に磁性コア内に形成される磁路面積が減少されることも可及的に回避できる。
なお、本発明リアクトルでは、外側コア部における少なくともコア設置面が内側コア部における設置側の面よりも突出した形状としているが、外側コア部のコア設置面及びその対向面と内側コア部における設置側の面及びその対向面とが面一である磁性コアにおいても、上述のように両コイル素子間の領域に切欠角部を具える形態とすることができる。この形態も、コイル成形体の端面と外側コア部の内端面との隙間に、外側樹脂部の構成樹脂を容易に充填することができる。
上述した切欠角部に関する各種の構成は、緩衝部材を有していない実施形態1のリアクトル1αにも適宜適用することができる。
(変形例2-5)
実施形態2では、成形型100の蓋部100cに複数の樹脂注入ゲートを具える形態を説明したが、基部のキャビティの底面に複数の樹脂注入ゲートを具える形態とすることができる。例えば、上記底面に同一直線上に設けられた合計3つの樹脂注入ゲートを具え、3つのゲートのうち、中間に位置する内側ゲートを、基部内にコイル成形体と磁性コアとの組合体を配置した際、並列される一対のコイル素子間の間隙に開口させ、上記内側ゲートを挟む残り二つの外側ゲートをそれぞれ、上記内側ゲートとの間に外側コア部を挟む位置に開口させることが挙げられる。成形型の底面から湧出するように成形型に樹脂を注入すると、樹脂に気泡が混入することを抑制することができる。この形態の場合、蓋部に、上述した成形型100の基部100bのキャビティ101の底面に設けられた位置決め部となる連結部被覆部41が嵌合される凹溝や端子金具8などが差し込まれる凹部と同様の凹溝や凹部を設けたり、これら凹溝などに代えて窓部を設けておく。また、この蓋部も、成形型を閉じたときに空気抜き用の隙間が適宜設けられるように適宜な外形としたり、空気抜き用の貫通孔などを設けてもよい。
ここで、コイル成形体と磁性コアとの組合体を成形型に収納して、外側樹脂部を形成するにあたり、成形型内には、少なくとも一つの樹脂注入ゲートがあればよく、当該ゲートの配置位置は適宜選択することができる。例えば、上記一対のコイル素子間、コイル素子の外方、成形型の壁面などに上記ゲートを設けることができる。そして、例えば、樹脂注入ゲートを一つとし、上記一対のコイル素子間に設けると、樹脂注入ゲートから注入された樹脂は、コイル成形体において両コイル素子間に設けられた凹み(図1参照)などに注入され、コイル成形体の端面と磁性コアとの隙間などを通って上記組合体の外側に流れ出し、最終的に、当該組合体の外周を外側樹脂部で覆うことができる。
ここで、外側樹脂部の構成樹脂として、迅速に硬化する樹脂を利用すると、リアクトルの生産性を高められると期待される。しかし、硬化速度が速い樹脂を使用すると、成形型への樹脂の注入が完了しないうちに成形型に注入された樹脂がゲル化するため、樹脂の注入圧力を高めに設定する必要がある。このとき、樹脂の注入圧力により、上記組合体のうち物理的強度が低い箇所を起点として、例えば、磁性コアが損壊する恐れがある。この理由は、コイル成形体と磁性コアとの隙間といった、樹脂が入り込み難い部分にも樹脂を行き渡らせるために、上述のように樹脂注入ゲートをコイル素子間の間隙に開口した結果、上記組合体の内側から外側に向かって磁性コアに大きな圧力が作用するからであると考えられる。特に、実施形態1,2で説明するにように、コイル成形体との組み合わせ作業が容易なように、磁性コアを複数の分割片からなる構成とすると、分割片の接合部分が損壊や分解の起点となる恐れがある。具体的には、例えば、内側コア部と外側コア部とが剥がれたり、外側コア部が損壊したりする。その他の損壊や分解の起点として、磁性コアを圧粉成形体とした場合、圧粉成形体を構成する軟磁性材料の結合が弱い箇所、磁性コアを薄板の積層体とした場合、隣接する薄板の接着箇所などが考えられる。
また、作製段階で損壊や分解などしなくても、磁性コアに損傷が生じるような方向に応力が作用していることから、当該応力により磁性コアに歪みが蓄積している可能性があり、リアクトルの使用に伴う振動などにより将来的に磁性コアに損傷が生じる恐れがある。
これに対して、実施形態2で説明したように、両コイル素子間の間隙に向かって開口する内側ゲートと、上記組合体と上記成形型との間の空間に向かって開口する外側ゲートとの双方のゲートから成形型内に外側樹脂部の構成樹脂を注入すると、磁性コアの損壊を抑制することができる。この理由は、環状の磁性コアに対して、環の内側から外側に磁性コアを押圧する樹脂の圧力(外向き圧力)と、環状の磁性コアに対して、環の外側から内側に磁性コアを押圧する樹脂の圧力(内向き圧力)とが互いに打ち消し合うことができ、成形型に樹脂を注入する際、磁性コアに不要な圧力が作用し難いからであると考えられる。また、このようにして得られたリアクトルは、磁性コアに損傷が生じるような方向に応力が実質的に作用することなく、将来的にも磁性コアに損傷が生じ難いと期待される。
特に、上述のように外側ゲートを複数設けると共に、少なくとも2つの外側ゲートにより上記組合体を挟み、これら両外側ゲートが対向位置に配置された形態とすると、成形型に樹脂を注入した際、成形型内の組合体に対して、当該組合体の外側から作用する樹脂の圧力が特定方向に偏ることを防止できる。また、対向位置に外側ゲートが存在することで、上記組合体の外周側から内周側に向かって比較的均等に樹脂の圧力を作用させることができる。
更に、上記対向位置に設けた2つの外側ゲートを磁性コアにおいてコイルの軸方向における端部よりも組合体から離れた位置に設けることで(図8(II)のゲート痕54参照)、上述した内向き圧力と外向き圧力とを容易に相殺させられる。
その他、実施形態2では、一対の外側ゲートが外側コア部を挟むように配置された形態を説明したが、このような位置に限定されない。内側ゲートは、代表的には、一対のコイル素子間の間隙に向かって、外側ゲートは、上記組合体と上記成形型との間の空間に向かって開口していれば、例えば、成形型の底面や蓋部だけでなく、成形型の側壁に樹脂注入ゲートが形成されていてもよい。具体的には、内側ゲートを複数具える形態、上記組合体の側面を囲むように複数の外側ゲートを具える形態、内側ゲート及び外側ゲートの少なくとも一方が成形型の底面と蓋部との双方に形成された形態、外側ゲートを成形型の側壁に具える形態などが挙げられる。特に、実施形態2で説明した三つの樹脂注入ゲートを同一直線上に具える形態が好ましく、この形態に対して更に、コイル成形体の両側面を挟むように一対以上の外側ゲートが蓋部及び成形型の底面の少なくとも一方に存在する形態、又は外側コア部におけるコイルの軸方向に交差する側面を挟むように一対の外側ゲートが側壁に存在する形態がより好ましい。これらの組み合わせた形態はいずれも、内側ゲートからの樹脂の注入による外向き圧力を外側ゲートからの樹脂の注入による内向き圧力で効果的に打ち消すと共に、上記組合体と上記成形型との間に十分に樹脂を充填することができ、磁性コアを損傷することなく迅速に外側樹脂部の形成を行える。
なお、複数の樹脂注入ゲートを利用する形態は、緩衝部材を有していない実施形態1及び変形例1-1〜1-10にも適用することができる。
(変形例I)
上記実施形態1,2では、コイル成形体の形成にあたり、複数の棒状体により、コイル2を押圧して圧縮する形態を説明した。その他、別途、形状保持治具を利用して、成形金型に収納する前にコイル2を押圧して圧縮した状態とし、この圧縮状態のコイルを成形金型に収納してもよい。例えば、図17に示す形状保持治具300を利用することができる。形状保持治具300は、]状のブロック体であり、成形金型(図示せず)に収納される一対の挟持部材310,311にボルト305により固定可能である。挟持部材310,311は、形状保持治具300が取り付けられることで、挟持部材310,311間の間隔が固定される。形状保持治具300には、ボルト305が挿通される長孔、挟持部材310,311には、ボルト305がねじ込まれるボルト孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。
上記形状保持治具300は、以下のように利用する。まず、ボルト305により、形状保持治具300を一方のI字状の挟持部材310に固定しておく。この一体物のI字状の挟持部材310の上に、内側コア部31とコイル2との組物を配置し、他方の]状の挟持部材311とで当該組物を挟持する。そして、他方の]状の挟持部材311を一方のI字状の挟持部材310に向かってスライドさせてコイル2を押圧し、挟持部材310,311間の間隔が所定の大きさ(コイル2が所定の圧縮状態)になったら、形状保持部材300の長孔にボルト305を挿通して締め付け、他方の挟持部材311にも形状保持部材300を固定する。この形状保持治具300を固定した挟持部材310,311を成形金型に配置する。
上記成形金型には、上記組物に取り付けた挟持部材310,311が嵌め込まれる凹溝を具えるものを利用すると、当該凹溝に挟持部材310,311を嵌め込むことで、形状保持治具300を取り外しても、コイル2が所定の長さに圧縮された状態を容易に維持することができる。ここでは、上記凹溝を有する成形金型を使用する。上記凹溝を具える成形金型は、凹溝を具える一体物としてもよいし、複数の分割片を組み合せて、一体に形成される構成とすることができる。例えば、挟持部材310,311を成形金型の一部に配置した状態で分割片を組み合せて、上記凹溝が構成される形態とすると、挟持部材310,311が当該凹溝に嵌め込まれた状態を容易に形成することができる。成形金型に挟持部材310,311を配置した後、ボルトなどの固定部材を用いて、成形金型に挟持部材310,311を固定してもよい。形状保持治具300を固定した挟持部材310,311を成形金型の凹溝に配置後、形状保持治具300を抜き取り、成形金型を閉じる。挟持部材310,311は成形金型内に残存させた状態で、内側樹脂部を形成する。
上記形状保持治具300を用いることで、コイル2と磁性コア(内側コア部31)との組物を成形金型に容易に収納することができる。従って、成形金型にコイル2と磁性コアとをばらばらに配置する場合と比較して、成形金型に上記組物を配置する時間を短縮でき、コイル成形体の生産性、引いてはリアクトルの生産性を向上できる。また、上記形状保持治具300及び挟持部材310,311を複数用意すると、内側樹脂部の構成樹脂が硬化する間に、組物に形状保持治具300及び挟持部材310,311を取り付け、次のコイル成形体を製造するための準備を行える。この点からも、リアクトルの生産性を向上できる。また、挟持部材310,311を成形金型に配置することにより、コイルを押圧する機能を持たせた場合、上述した棒状体を不要にするなど、成形金型の構造を簡単にすることができる。
(変形例II)
実施形態1,2では、コイル2として、一対のコイル素子2a,2bを具える形態を説明したが、コイル(素子)を一つのみ具える形態とすると、更に小型なリアクトルとすることができる。また、コイルが一つであることで、この形態では、コイル連結部が無く、コイル成形体を形成し易く、リアクトルの生産性に優れる。
コイルを一つのみ具える形態において磁性コアには、一対のE字体を組み合わせて形成されるE-E形状のコアやE字体とI字体とを組み合せて形成されるE-I形状のコアといった所謂ポット型コアが挙げられる。この磁性コアも、内側コア部は、コイルの内側に挿通され、外側コア部は、コイルの外周の少なくとも一部を覆うように形成されて内側コア部に連結され、両コア部で閉磁路を形成する。コイルの全表面を覆うように外側コア部を形成することもでき、この場合、例えば、外側コア部を上述した成形硬化体とし、例えば、内側コア部とコイル成形体との組物の外周を外側コア部で覆った形態とすることができる。
その他、コイルを一つのみ具える形態においてコイルを円筒状とすると、エッジワイズ巻きにより形成する場合であっても巻回し易く、コイルの成形性に優れる。また、円筒状のコイルに合わせて内側コア部を円柱状とすると、内側コア部の内周面とコイルの外周面との間に設けられる隙間を小さくできることから、リアクトルを更に小型にできる。このコイルを一つのみ具える形態でも、外側コア部のコア設置面を外側樹脂部から露出させることで放熱性に優れる。
(参考例)
実施形態1,2では、ケースを省略した構成を説明したが、ケースを具えるリアクトルとすることができる。ケースはコイル成形体と磁性コアとの組合体の機械的な保護部材として機能する他、放熱経路に利用されることから、ケースの構成材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金などの放熱性に優れ、軽量な金属材料が好適に利用できる。ケースを具える形態では、上述した成形型100に代わって、ケースを利用することができる。そして、このケースに実施形態2で説明したような凹溝を形成しておくと共に、コイル成形体の内側樹脂部により適宜な突起などを形成して、この突起を上記凹溝に嵌め込むことで、上記組合体におけるケースに対する位置決めを行えるようにすることができる。こうすることで、上記組合体におけるケースに対する位置決めが容易に、かつ確実に行え、実施形態2の位置決め部を具えるリアクトル1βと同様に、リアクトルの生産性を高められる。上記組合体が収納されたケース内には、上記組合体を封止する樹脂(外側樹脂部)を充填する。
また、実施形態2で説明したように、切欠角部を有する磁性コアを具えるリアクトルとして、上述した成形型100に代わってケースを具える形態とすることができる。この場合、切欠角部を案内として、ケースに充填する外側樹脂部の構成樹脂をコイル成形体と磁性コアとの間に充填し易い。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態の構成や変形例の構成を組み合せた種々の形態とすることができる。
本発明のリアクトルは、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車などの車両に搭載される車載用コンバータといった車載部品の構成部品に好適に利用することができる。
1α,1β リアクトル
10 組合体
2,2A,2B,2C,2D,2E,2F,2G,2H コイル
2w 巻線 2a,2b コイル素子 2r コイル連結部 2t ターン部
2f ターン形成面 21 始端 22 終端
20α,20β,20γ,20δ,20B,20C,20D,20E コイル成形体
20d 成形体設置面
3 磁性コア
31 内側コア部 31e 端面 31m コア片 31g ギャップ材
32 外側コア部 32d コア設置面 32e 内端面 32s 側面 32u 上面
32g 切欠角部
4 内側樹脂部
4i 介在樹脂部分 40h 中空孔 40t ターン被覆部 40e 端面
41 連結部被覆部 42 凹み 43C,43D,43E 凹溝
45 センサ用穴
5α,5β,5δ 外側樹脂部
50d 樹脂設置面 51 フランジ部 51h 貫通孔 52 ナット穴
52n ナット 53 保護部 54 ゲート痕
6 緩衝部材
7 放熱板
8 端子金具
81 接続面 81h 挿通孔 82 溶接面
100 成形型 100b 基部 100c 蓋部 101 キャビティ 110 凹溝
111,112,113 凹部
210 端子 220 ボルト
300 形状保持治具 305 ボルト 310,311 挟持部材

Claims (12)

  1. 巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと、前記コイル内に挿通された内側コア部とこの内側コア部に連結された外側コア部とにより閉磁路を形成する磁性コアとを具えるリアクトルであって、
    前記コイルと、このコイルの外周を覆ってその形状を保持する内側樹脂部とを有するコイル成形体と、
    前記コイル成形体と前記磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部とを具え、
    前記外側コア部において、当該リアクトルを設置したときに設置側となる一面は、前記内側コア部において設置側となる面よりも突出され、かつ前記外側樹脂部から露出されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記内側樹脂部は、前記コイルと前記内側コア部との間に介在される介在樹脂部分を有しており、
    前記介在樹脂部分と内側コア部との間に介在され、かつ前記外側コア部を覆わない緩衝部材を具えることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記内側樹脂部に一体に形成され、前記外側樹脂部を成形型で形成するときに前記組合体を前記成形型に対して位置決めするために用いられる位置決め部を具え、
    前記位置決め部の少なくとも一部が前記外側樹脂部に覆われないことを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル。
  4. 前記外側コア部のうち、前記コイル成形体の端面に対向する内端面と、この内端面につながる隣接面とが形成する稜線に、前記コイル成形体の端面と前記外側コア部の内端面との間に前記外側樹脂部の構成樹脂を導入するための切欠角部を具えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記外側コア部において、当該リアクトルを設置したときに設置側となる一面と、前記コイル成形体において設置側となる一面とが面一であり、これらの両面が前記外側樹脂部から露出されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記コイルは、一対のコイル素子を具え、各コイル素子は、各軸方向が平行するように横並びに形成されており、
    前記内側樹脂部において、前記両コイル素子間を覆う箇所であって、当該リアクトルを設置したときに設置側となる箇所に凹みを具えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトル。
  7. 前記緩衝部材の構成材料は、前記内側樹脂部の構成樹脂よりもヤング率が小さいことを特徴とする請求項2に記載のリアクトル。
  8. 前記緩衝部材が、熱収縮チューブ、常温収縮チューブ、モールド層、コーティング層、及びテープ巻き層の少なくとも一種であることを特徴とする請求項2又は7に記載のリアクトル。
  9. 前記コイルは、一対のコイル素子と、両コイル素子を連結するコイル連結部とを具え、
    前記コイル連結部は、前記両コイル素子のターン形成面よりも突出して設けられており、
    前記位置決め部は、前記内側樹脂部において前記コイル連結部を覆う箇所に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のリアクトル。
  10. 前記位置決め部は、前記内側樹脂部の構成樹脂のみにより形成されていることを特徴とする請求項3又は9に記載のリアクトル。
  11. 前記切欠角部は、前記稜線を丸めることで構成されていることを特徴とする請求項4に記載のリアクトル。
  12. 前記外側コア部のうち、前記コイル成形体の端面に対向する内端面と、前記コイル成形体の端面との間に0.5mm以上4mm以下の隙間を有し、この隙間に前記外側樹脂部の構成樹脂が存在することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のリアクトル。
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