JP2011054613A - リアクトル - Google Patents

リアクトル Download PDF

Info

Publication number
JP2011054613A
JP2011054613A JP2009199649A JP2009199649A JP2011054613A JP 2011054613 A JP2011054613 A JP 2011054613A JP 2009199649 A JP2009199649 A JP 2009199649A JP 2009199649 A JP2009199649 A JP 2009199649A JP 2011054613 A JP2011054613 A JP 2011054613A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
reactor
resin
installation surface
inner resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009199649A
Other languages
English (en)
Inventor
Kohei Yoshikawa
浩平 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2009199649A priority Critical patent/JP2011054613A/ja
Publication of JP2011054613A publication Critical patent/JP2011054613A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Insulating Of Coils (AREA)

Abstract

【課題】コイルの外周が樹脂で覆われたコイル成形体、及びこのコイル成形体を具えるリアクトルを提供する。
【解決手段】リアクトル1は、コイルと、環状の磁性コア20とを具える。コイルは、その外周を内側樹脂部30に覆われてその形状が保持されたコイル成形体10Aである。コイル成形体10Aと磁性コア20との組合体の外周が外側樹脂部40に覆われている。内側樹脂部30において、リアクトル1が設置されたときに設置側となるコイルの設置面の全面を覆う内側樹脂設置面30bは、外側樹脂部40から露出されており、コイルの設置面に達しない深さの凹部34aが設けられている。内側樹脂設置面30bが露出されていることで、リアクトル1の放熱性を高められる。凹部34aを具えることで、内側樹脂設置面30bを構成する樹脂の厚さが薄くてもクラックが生じ難い。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド自動車などの車載用DC-DCコンバータの構成部品などに利用されるリアクトル、このリアクトルに利用されるコイル成形体に関する。特に、リアクトルが設置されたときに設置側となる面にクラックが生じ難いコイル成形体を具えるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、環状の磁性コアと、このコアの外周に横並びにするように配置される一対のコイル素子を有するコイルと、これら磁性コアとコイルとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填されて上記組合体を封止するポッティング樹脂とを具える。上記コイルと上記磁性コアとを絶縁するために、磁性コアの外周に筒状ボビンが配置される。また、上記コイルの両端面を一対の枠状ボビンで挟み、この挟んだ状態を保持するために上記コイルを]状の中ケースに収納させている。
このリアクトルは、冷却ベース(ヒートシンク)といった固定対象に設置されて、冷却されながら使用される(特許文献1の0032など)。冷却ベースは、一般に、アルミニウムといった金属で形成される。
特開2008-028290号公報
従来のリアクトルに対して、小型化、生産性の向上が望まれる。
通常、リアクトルに組み付ける前のコイルは、そのままであると、形状が保持できず、伸縮したりする。そのため、リアクトルの組立時、形状が不安定でコイルを取り扱い難く、生産性の低下を招く。特に、スプリングバックにより、隣接するターン間に比較的大きな隙間があいているコイルでは、そのまま利用すると、磁性コアにおいてコイルを配置する箇所を長くする必要がある。即ち、リアクトルが大型化する。自動車部品などでは、小型であることが望まれるため、コイルをその自由長から所望の長さに圧縮することが望まれる。しかし、コイルを圧縮した状態に保持しながらでは、当該コイルと磁性コアとを組み付け難く、この点からも生産性の低下を招く。特許文献1に記載されるように枠状ボビンでコイルを挟み、かつ中ケースに収納することでコイルを圧縮状態に保持することができ、磁性コアに組み付け易いが、この構成では、部品点数が多いことで工程数が増えて、生産性の低下を招く。また、従来のリアクトルでは、上記組合体を収納するケースを具えることからも大型である。
上記諸問題に対して、まず、上記収納用のケースを省略すると共に、コイルと磁性コアとの組合体を樹脂(以下、外側樹脂部と呼ぶ)で覆う構成を検討した。この構成により、リアクトルの小型化、及び上記組合体の機械的保護や外部環境からの保護を図ることができる。また、上記外側樹脂部とは別の樹脂(以下、内側樹脂部と呼ぶ)によりコイルの外周を覆い、この内側樹脂部によりコイルの形状を保持する構成(以下、コイル成形体と呼ぶ)を検討した。この構成により、リアクトルの組立時、コイルが伸縮せず取り扱い易いため、リアクトルの生産性を向上できる。その上、内側樹脂部により、コイルと磁性コアとの間の絶縁を確保することでボビンを省略したり、コイルを圧縮状態に保持させることで中ケースを省略したりすることができ、部品点数の低減、及びこれらの部品の配置工程を不要にして生産性を向上することができる。また、上記内側樹脂部によりコイルを圧縮状態に保持させることで、リアクトルを小型にできる。
更に、リアクトルでは、放熱性に優れることが望まれる。そのため、上記ケースレス構造のリアクトルに具えるコイル成形体において、リアクトルが固定対象に設置されたときに設置側となる面を樹脂で構成し、この面(以下、内側樹脂設置面と呼ぶ)を上記外側樹脂部から露出させると共に、内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さを薄くする構成を検討した。しかし、この構成では、内側樹脂設置面にクラックが生じる恐れがある。
例えば、自動車部品では、-40℃〜90℃といった広い温度範囲で使用可能なことが望まれる。上記内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さが薄く、かつ外側樹脂部から露出させたリアクトルに対して、上記温度範囲のヒートサイクル試験を行ったところ、コイルのターンの形成方向に沿ったクラック、即ちコイルの軸方向に直交する方向に沿ったクラックが生じることがあった。このようなクラックが生じた理由は、以下のように考えられる。コイルの熱膨張係数よりも内側樹脂部の熱膨張係数が大きいことから、内側樹脂部が大きく膨張して収縮する際に、膨張したコイルの収縮度合いが小さいことで、結果として内側樹脂部に引張応力が付与された状態となる。引張応力が付与された状態の内側樹脂設置面に、例えば、固定対象にリアクトルを固定する際などに衝撃が加わることで、クラックが生じたと考えられる。特に、内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さを薄くすることで、クラックが更に生じ易くなったと考えられる。
ここで、一般に、コイルを構成する巻線は、導体の外周に絶縁被覆層を具えており、この絶縁被覆層により、上記導体と、その他の外部部品との間を絶縁することができる。従って、上述のように内側樹脂設置面にクラックが存在しても、アルミニウムなどの金属からなる固定対象とコイルとの間を上記巻線の絶縁被覆層により絶縁することができる。しかし、絶縁被覆層には、ピンホールが存在することがあり、当該ピンホールと上記クラックとが同位置に存在した場合、コイルと冷却ベースとの間が導通される恐れがある。従って、内側樹脂設置面の構成樹脂を薄くし、かつ外側樹脂部により覆われない構成とした場合でも、コイルと冷却ベースといった固定対象との間の絶縁性に優れた構成が望まれる。
そこで、本発明の目的の一つは、リアクトルが設置されたときに設置側となる面にクラックが生じ難いリアクトルを提供することにある。本発明の他の目的は、上記リアクトルの構成部品に適したコイル成形体を提供することにある。
本発明は、コイルの外周を覆う樹脂において、リアクトルが設置されたときに設置側となる箇所に凹部を具える構成とすることで、上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、コイルと、このコイルが配置される磁性コアとを具える。特に、本発明リアクトルは、上記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持する内側樹脂部と、上記内側樹脂部を具えるコイルと上記磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部と、上記内側樹脂部において上記リアクトルが設置されたときに設置側となるコイルの設置面の全面を覆う内側樹脂設置面に設けられた凹部とを具える。上記内側樹脂設置面は、上記外側樹脂部に覆われずに露出されている。上記凹部は、上記コイルの設置面に達しない深さとする。
上記本発明リアクトルの構成要素として、例えば、以下の本発明コイル成形体を好適に利用することができる。本発明のコイル成形体は、コイルと、このコイルが配置される磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部が外側樹脂部で覆われたリアクトルに用いられる。特に、本発明コイル成形体は、このコイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持する内側樹脂部と、上記内側樹脂部において上記リアクトルが設置されたときに設置側となるコイルの設置面の全面を覆う内側樹脂設置面に設けられた凹部とを具える。上記凹部は、上記コイルの設置面に達しない深さとする。上記凹部を具える内側樹脂設置面は、リアクトルに組み付けられたときに上記外側樹脂部に覆われずに露出される。
上記構成によれば、ケースを具えておらず、かつ内側樹脂部及び外側樹脂部を具えることで、上述のようにリアクトルの小型化・軽量化、及びコイルや磁性コアの機械的保護(強度など)、外部環境(腐食、粉塵など)からの保護を図ることができる。また、上記構成によれば、内側樹脂部を具えることで、上述のようにリアクトルの生産性の向上を図ったり、コイルを圧縮状態に保持した場合に小型化を図ったりすることができる。
かつ、上記構成によれば、内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さが薄くても、上記凹部を具えることでクラックが生じ難い。従って、コイルの設置面の全面が内側樹脂部により覆われていると共に、クラックの発生を抑止できることで、内側樹脂設置面が外側樹脂部から露出された構成であっても、冷却ベースといった固定対象とコイルとの間の絶縁を十分に確保することができる。また、内側樹脂設置面が外側樹脂部から露出された構成とすることで、内側樹脂設置面を上記固定対象に直接接触させてリアクトル(特に、コイル)の熱を効率よく冷却ベースといった固定対象に放出させられるため、このリアクトルは、放熱性に優れる。
上記凹部は、上述のように内側樹脂設置面にクラックが生じることを抑制することができれば、その形状、大きさ、個数は特に問わない。例えば、連続した線状、例えば、直線状や曲線状でもよいし、単数でも複数でもよい。或いは、線上に沿って断続的に配置された複数の小溝としてもよいし、クラックの発生や進展を抑止可能な効果が得られる範囲で不連続な複数の小溝が分散した形態(ランダムに複数の小溝が配置された形態)でもよい。複数の凹部を具えると、クラックの抑制効果が更に高いと期待される。
上記凹部の深さは、コイルの設置面に達しない大きさとする。即ち、上記凹部の形成箇所にも内側樹脂設置面の構成樹脂が存在してコイルの外周面が露出することがないようにする。この構成により、コイルと固定対象との間の絶縁を十分に確保することができる。また、内側樹脂設置面は、凹部を具えることで、相対的に突出した部分を具えることになる。このような凹凸形状であることで、内側樹脂設置面の機械的強度を向上することができると期待される。
上記凹部は、例えば、上記コイルの軸方向に沿って設けられた形態とすることができる。上述のようにクラックは、コイルの軸方向に直交する方向に発生する傾向がある。これに対して、コイルの軸方向に沿って凹部を設けることで、クラックの進行方向(コイルの軸方向に直交する方向)に作用する力を緩和して、結果としてクラックの発生を抑制することができると期待される。
或いは、上記凹部は、上記コイルの軸方向に交差する方向に設けられた形態とすることができる。上記交差方向は、上記コイルの軸方向に対する角度が0°超90°以下の範囲で任意に選択することができる。上記角度が90°以外である場合、即ち、上記交差方向が、コイルの軸方向に直交する方向以外である場合、上述したコイルの軸方向に沿った凹部と同様に、クラックの進行方向に作用する力を緩和することができると期待される。一方、上記角度が90°である場合、即ち、コイルの軸方向に直交する方向に凹部が設けられている場合、クラックが発生する方向に当該凹部が予め存在することで、クラックが発生する力自体を緩和して、クラックの発生を抑制することができると期待される。
或いは、上記コイルの軸方向に沿って設けられた凹部と、上記コイルの軸方向に交差する方向に設けられた凹部との双方を具えると、即ち、上述した形態を複合した形状の凹部を具えると、クラックをより効果的に抑制することができると期待される。
本発明の一形態として、上記内側樹脂設置面を構成する樹脂の厚さを1mm以上3mm以下とすることが挙げられる。
上記内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さが上記範囲を満たすことで、リアクトルの放熱性を高められる。上記厚さが3mm超と厚ければ、クラックを生じ難くすることができるものの、放熱性の低下を招き、1mm未満と薄ければ、凹部を形成していても、機械的強度が低下することから破損する恐れがある。なお、上記内側樹脂設置面の構成樹脂の厚さは、凹部を設けられていない箇所の厚さである。凹部は、上記厚さの範囲でその深さを設定するとよい。
本発明リアクトルは、内側樹脂部の設置側の面にクラックが生じ難いことで、当該リアクトルを固定する固定対象とコイルとの間を十分に絶縁することができる。本発明コイル成形体は、その設置側の面にクラックが生じ難い。
図1は、実施形態1のリアクトルの概略斜視図であり、図1(I)は、このリアクトルを設置面と対向する側(上側)から見た図、図1(II)は、このリアクトルを設置面側(下側)から見た図である。 図2は、実施形態1のリアクトルに具える組合体の分解斜視図である。 図3は、実施形態1,2のコイル成形体を設置面側から見た概略斜視図であり、図3(I)は、実施形態1、図3(II)は、実施形態2を示す。 図4は、実施形態3,4のコイル成形体を設置面側から見た概略斜視図であり、図4(I)は、実施形態3、図4(II)は、実施形態4を示す。 図5は、実施形態5のコイル成形体を設置面側から見た概略斜視図である。
(実施形態1)
以下、図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1及びコイル成形体10Aを詳細に説明する。図において同一符号は同一物を示す。
リアクトル1は、コイル10と、コイル10が配置される環状の磁性コア20との組立体1Aの外周が外側樹脂部40で覆われており、ケースを具えない構成である(図1,2)。コイル10は、その外周が内側樹脂部30で覆われたコイル成形体10Aである。磁性コア20は、コイル10が配置される内側コア部22と、コイル10が配置されない露出コア部24とを具える。このリアクトル1は、例えば、ハイブリッド自動車のDC-DCコンバータの構成部品に用いられる。この場合、図1(II)においてリアクトル1の平坦な面を設置面として、図示しない冷却ベース(固定対象)に直接設置して使用される。リアクトル1の設置面は、磁性コア20の一部(露出コア部24における設置側の面(コア設置面24b))、内側樹脂部30の一部(内側樹脂設置面30b)、及び外側樹脂部40の一部(外側樹脂設置面40b)により構成される。以下、リアクトル1及びその構成要素において、リアクトル1を冷却ベースに設置したときに設置側となる側を下側、その対向側を上側として説明する。
リアクトル1の特徴とするところは、コイル10が内側樹脂部30で覆われたコイル成形体10Aである点、及び内側樹脂部30の内側樹脂設置面30bに凹部34aが設けられている点にある。以下、各構成を詳細に説明する。
[コイル成形体]
コイル成形体10Aは、主として図2,図3(I)を参照して説明する。コイル成形体10Aは、1本の連続する巻線10wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子10a,10bを有するコイル10と、コイル10の外周を覆う内側樹脂部30とを具える。
《コイル》
両コイル素子10a,10bは、互いに同一巻数で、各軸方向が平行になるように横並びに並列されており、巻線10wの一部をU型に屈曲してなる連結部10rにより連結されている。この例では、連結部10rは、コイル素子10a,10bの上側のターン形成面10fよりも更に上側(外方)に高く突出されている。
コイル10を形成する巻線10wの両端部10eは、ターン形成面10fから適宜引き延ばされて内側樹脂部30の外部に引き出され、絶縁被覆層が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子金具50が接続される。巻線10wの導体部分と端子金具50との接続には、TIG溶接などの溶接が利用できる。
巻線10wは、導体の外周に絶縁被覆層を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。両コイル素子10a,10bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成された中空角筒状である。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。平角線は、丸線を用いた場合よりも占積率が高いコイルを得易い。
《内側樹脂部》
コイル10の外周は、コイル10の形状を保持する内側樹脂部30により概ね覆われている。この内側樹脂部30は、各コイル素子10a,10bをその自由長よりも圧縮状態に保持する機能も有する。各コイル素子10a,10bを圧縮状態に保持することで、コイル10の軸方向の長さを短くできる。内側樹脂部30は、各コイル素子10a,10bの外形にほぼ沿うように各コイル素子10a,10bのターン部10tを覆うターン被覆部31と、連結部10rの外周を覆う連結部被覆部33とを具える。
ターン被覆部31と連結部被覆部33とは一体に成形され、ターン被覆部31は実質的に均一な厚さでコイル10を覆っている。ここでは、ターン被覆部31の厚さを1mmとしている。各コイル素子10a,10bの角部の一部と巻線10wの端部10eとは、内側樹脂部30に覆われず露出されている。また、ターン被覆部31において各コイル素子10a,10bの内側を覆う箇所には、中空孔30hが形成される。このようなターン被覆部31は、コイル素子10a,10bと後述する内側コア部22との間の絶縁を確保すると共に、コイル素子10a,10bに対する内側コア部22の位置決め機能を有する。
コイル素子10a,10bのターン部10tにおいて設置側に配置される設置面は、図1(II)に示すようにその全面が、内側樹脂部30のターン被覆部31において設置側に配置される内側樹脂設置面30bにより覆われている。内側樹脂設置面30bは、概ね平坦であり、後述する外側樹脂部40に覆われずに露出されており、かつ凹部34aが設けられている。
ここでは、凹部34aは、図3(I)に示すようにコイル素子10a,10bの軸方向に沿って設けられた連続する直線状の溝であり、各コイル素子10a,10bの設置面を概ね二等分する箇所にそれぞれ設けられている。また、ここでは、凹部34aの幅を1mm、深さを0.5mmとしている。内側樹脂設置面30bの構成樹脂の厚さを1mmとしていることから、凹部34aの形成箇所にも内側樹脂部30の構成樹脂が存在し、コイル10が露出されていない。
その他、この例では、連結部被覆部33の少なくとも一部(ここでは、上側の面及びその近傍)が外側樹脂部40に覆われず露出している(図1(I))。この露出箇所は、コイル成形体10Aと磁性コア20との組合体1Aの外周に外側樹脂部40を形成する際、組合体1Aを成形型(図示せず)に対して位置決めするための位置決め部に利用された箇所である。
また、この例では、内側樹脂部30における両コイル素子10a,10b間に、図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を収納するセンサ用穴(図示せず)を具える。センサ用穴31hは、内側樹脂部30から外側樹脂部40に連通するように設けられて、図1(I)に示すように外側樹脂部40に開口部を有する。
内側樹脂部30の構成樹脂は、コイル成形体10Aを具えるリアクトル1を使用した際に、コイル10や磁性コア20の最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。また、上記樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合すると、放熱性を高められる。
[磁性コア]
磁性コア20の説明は、主に図2を参照して行う。磁性コア20は、コイル10を励磁した際に環状の磁路を形成する部材であり、各コイル素子10a,10bの内側に嵌め込まれる一対の内側コア部22と、コイル10から露出される一対の露出コア部24とを具える。並列に配置された一対の内側コア部22の各端面にそれぞれ、露出コア部24が接合されて閉ループ状(環状)に形成される。
内側コア部22は、直方体状であり、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片22cと、アルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材22gとを交互に積層して接着剤で接合して一体に構成されている。露出コア部24は、上記軟磁性材料からなるコア片である。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ここでは、圧粉成形体である。ギャップ材22gは、インダクタンスの調整のためにコア片22c間に設けられる隙間に配置される板状材である。コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
ここでは、環状に組まれた磁性コア20において設置側に配置される露出コア部24のコア設置面24bは、内側コア部22の設置側(図2において下側)の面よりも突出しており、コイル成形体10Aの内側樹脂設置面30bと面一である(図1(II))。この露出コア部24のコア設置面24b及びコイル成形体10Aの内側樹脂設置面30bは、後述する外側樹脂部40に覆われず露出されていることから、リアクトル1を冷却ベースに固定したときに、両設置面24b,30bが冷却ベースに直接接触することができる。従って、運転時にリアクトル1で発生する熱を効率良く放出させることができる。特に、この例では、内側樹脂設置面30bの構成樹脂の厚さを1mmと薄くしているため、放熱性に優れると期待される。また、露出コア部24を内側コア部22よりも突出した形状とすることで、露出コア部24の厚さ(コイル10の軸方向の長さ)を小さくでき、リアクトル1の投影面積を小さくできる。従って、リアクトル1は、小型である。特に、磁性コア20を圧粉成形体とすることで、このような複雑な突出形状であっても、突出箇所をも磁束の通路に利用することができる。
更に、ここでは、環状の磁性コア20を冷却ベースに固定した状態において、両露出コア部24の高さ(図2においてコイル10の軸方向と直交する方向の長さ。コア設置面24bとその対向面(上面)との間の距離)が異なっている。具体的には、巻線10wの端部10e側に配される一方(図2において左前側)の露出コア部24の高さは、ターン被覆部31の上面の高さよりも低く、連結部被覆部33の下方に配される他方(図2において右奥側)の露出コア部24の高さは、ターン被覆部31の上面の高さとほぼ同じである。かつ、両露出コア部24の厚さを調整して、両露出コア部24の体積を実質的に等しくし、各露出コア部24における磁気特性を実質的に等価としている。また、連結部10rをターン形成面10fよりも上方に形成したことで、連結部被覆部33の下方に露出コア部24を配することができ、このことからも、リアクトル1の投影面積を小型にできる。かつ、一方の露出コア部24の高さを低くしたことで、この上方に端子金具50を配置して、後述する外側樹脂部40により端子台を構成することができる。
<外側樹脂部>
コイル成形体10Aと磁性コア20とを組み合わせてなる組合体1Aは、その外周の大半が外側樹脂部40により覆われる。より具体的には、外側樹脂部40は、コイル成形体10Aの内側樹脂設置面30bと、露出コア部24のコア設置面24bと、連結部被覆部33の一部が露出され、組合体1Aにおける上面の大半と外側面の全部とが覆われるように成形されている。組合体1Aの大半を外側樹脂部40で覆うことにより、組立体1Aを外部環境から保護したり、機械的に保護したりすることができ、特にコイル成形体10Aの内側樹脂設置面30bを外側樹脂部40から露出させることで、上述のようにコイル10の熱を放出し易く、リアクトル1の放熱性を高められる。ここでは、外側樹脂部40は、不飽和ポリエステルを用いている。
また、外側樹脂部40により、組合体1Aと共に端子金具50も一体に被覆してナット穴(図示せず)を成形し、このナット穴に嵌め込まれたナット60(図1(I))及び端子金具50を用いて端子台を構成している。端子金具50は、コイル10に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)を接続するための接続面52と、巻線10wの端部10eに溶接される溶接面54(図2)とを具える。端子金具50の殆どは外側樹脂部40に埋設され、接続面52のみが外側樹脂部40から露出される(図1(I))。この接続面52は、一方(図2において左前側)の露出コア部24の上方に配置され、この露出コア部24の上面と接続面52との間に外側樹脂部40が充填されて端子台が構成される。この端子台には、接続面52の下方にナット穴が成形されている。ここでは断面が六角形のナット穴としている。このナット穴には六角形のナット60が回り止めされた状態で収納され、ナット穴の開口部を覆うように接続面52が配される。接続面52にはナット60の対角寸よりも小さな内径の挿通孔52hが形成されており、ナット60がナット穴から抜け出すことを接続面52が阻止する。リアクトル1を利用する際、図示しない電流リードの先端に設けられた端子を接続面52に重ね、この端子及び接続面52にボルトを貫通してナット60に螺合することで、外部装置(図示略)からコイル10に給電することができる。外側樹脂部40の成形と同時にこのような端子台をも形成するとこで、端子台を別途固定する作業が不要である。なお、別途端子台を用意して、外側樹脂部の外部に固定するようにしてもよい。
更に、ここでは、外側樹脂部40は、リアクトル1を平面視した場合、コイル成形体10Aと磁性コア20との組立体1Aの輪郭よりも外側に突出したフランジ部42を具える(図1(I))。フランジ部42には、リアクトル1を冷却ベースに固定するためのボルト(図示略)の貫通孔42hが形成されている。ここでは、貫通孔42hは、金属管を外側樹脂部40と一体にインサート成形することで構成しているが、樹脂自体で形成してもよい。金属管は、真鍮、鋼、ステンレス鋼などからなるものが利用できる。
加えて、ここでは、外側樹脂部40の上面に、コイル10の端部10eと端子金具50との接合部分を覆う保護部44を有する(図1)。保護部44は、ほぼ矩形のブロック状に成形されている。その他、外側樹脂部40の上面には、内側樹脂部30から連続するセンサ用穴31hの開口部が成形されている。
更に、ここでは、外側樹脂部40の側面は、リアクトル1の上部から下部に向かって広がる傾斜面で形成されている。このような傾斜面を設けることで、例えば、コイル成形体10Aと磁性コア20との組立体1Aを倒立状態として外側樹脂部40を成形する場合、成形後のリアクトル1を成形型(図示せず)から容易に抜き出すことができる。
外側樹脂部40の構成樹脂には、上記不飽和ポリエステルの他、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。外側樹脂部40の構成樹脂は、内側樹脂部30の構成樹脂と同じでも異なっていてもよい。また、この樹脂にも上述したセラミックスからなるフィラーを含有させて、放熱性を高めてもよい。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして組み立てることができる。
まず、コイル成形体10Aを形成する。
コイル成形体10Aは、以下のような成形用金型を利用して製造することができる。成形用金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル10の一端側(図2において巻線10wの端部10eを引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子10a,10bの内周にそれぞれ挿入される直方体状の中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図2において連結部10r側)に位置する端板と、コイル10の周囲を覆う周側壁とを具える。これら第一金型、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子10a,10bの端面(ターン部10tが環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子10a,10bを圧縮する。上記棒状体は、コイル10の圧縮に対する十分な強度と、内側樹脂部30の成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル10において内側樹脂部30で被覆されない箇所を少なくするために、極力細くすることが好ましい。また、上記周側壁において内側樹脂設置面を形成する箇所には、凹部34aを形成できるように適宜な突起(ここでは直線状の突起)を具えるものが利用できる。
巻線10wを螺旋状に巻回してコイル10を形成し、上記成形用金型の内面とコイル10との間に一定の隙間が形成されるように成形用金型内に上記コイル10を収納する。また、各コイル素子10a,10bの角部に相当する個所を上記成形用金型の内面に設けられた凸部で支持し、凸部以外の当該成形用金型の内面とコイル10との間に、一定のギャップが形成されるようにする。この収納段階では、コイル10は未だ圧縮されていない。
次に、成形用金型を閉じて、各コイル素子10a,10bの内周にそれぞれ、上記中子を挿入する。このとき、中子とコイル素子10a,10bの内周との間隔は、中子の全周に亘ってほぼ均一となるようにする。
続いて、上述した棒状体を成形用金型内に進出して各コイル素子10a,10bを圧縮する。この圧縮により、各コイル素子10a,10bを構成する隣接するターン間の隙間が低減された状態となり、コイル10は、その自由長よりも圧縮された状態に保持される。また、圧縮状態のコイル10の所定の位置に上述したセンサ用穴が形成されるように棒状の中子などを成形用金型に配置する。
上記圧縮状態を保持しながら、樹脂注入口から成形用金型内に樹脂を充填して硬化した後、成形用金型を開いて、当該樹脂により上記圧縮した状態が保持されたコイル成形体10Aを取り出す。得られたコイル成形体10Aにおいて内側樹脂設置面30b(図1,3)には、上記成形用金型に設けられた突起により凹部34a(図1,3)が設けられている。なお、棒状体で押圧されていた箇所に形成された複数の小穴や、凸部の支持によりコイル10の角部に形成された溝は、外側樹脂部40により埋められるため、そのまま放置しておいてよい。コイルを圧縮しないで自由長のままとする場合、上記棒状体による押圧を行わなくてよい。
得られたコイル成形体10Aにおいて内側樹脂部30から露出された巻線10wの端部10eに端子金具50を溶接などにより接合する。この溶接を行う段階では、端子金具50の接続面52は、溶接面54(或いは巻線10wの端部10e)とほぼ平行に配されており、外側樹脂部40の成形後に図2に示すように屈曲される。
次に、コイル成形体10Aと磁性コア20との組合体1Aを形成する。
図2に示すように、コア片22cやギャップ材22gを接着剤などで固定して内側コア部22を形成し、コイル成形体10Aの中空孔30hに挿入配置する。中空孔30hに挿入された各内側コア部22はそれぞれ、コイル素子10a,10bに対して適切な位置に配置される。そして、両内側コア部22の端面を一対の露出コア部24で挟み込み、接着剤などで内側コア部22と露出コア部24とを接合して環状の磁性コア20を形成する。この工程により、組合体1Aが得られる。
次に、組合体1Aを成形型(図示せず)に収納して樹脂を充填し、外側樹脂部40(図1)を形成する。
ここでは、成形型の底面に、コイル成形体10Aの連結部被覆部33の上面側部分が嵌め込まれる嵌合溝、保護部44を形成するための凹溝、ナット60が嵌め込まれるナット穴を成形するための凸部、端子台を形成するための凹溝、及び端子金具50の接続面52が溶接面54(図2)に平行に延びた状態で差し込まれる凹溝を具えるものを利用する。また、成形型において、外側樹脂部40の側面を形成する箇所は、成形型の開口側に向かって広がる傾斜面で構成されているものを利用する。
上記成形型に、得られた組合体1A(図2)の上面を下向きにした倒立状態で収納する。このとき、連結部被覆部33を上記嵌合溝に嵌合することで、成形型の所定の位置に組立体1Aを容易に位置合わせすることができる。収納したら、リアクトル1の設置面が平坦な面となるように、内側樹脂設置面30b及び露出コア部24のコア設置面24bに接する面が平坦な蓋部を被せて、外側樹脂部40の構成樹脂(ここでは不飽和ポリエステル)を成形型内に注入して、外側樹脂部40を成形する。
成形を終えたら成形型を開き、その内部からリアクトル1を取り出す。このとき、上述のように成形型が傾斜面となっていることで、リアクトル1を抜き出し易い。取り出したリアクトル1のナット穴にナット60を嵌め込み、端子金具50の接続面52をほぼ90°屈曲し、当該接続面52によりナット60の上部を覆うようにして、リアクトル1を完成する。
<効果>
上記構成を具えるリアクトル1は、組合体1Aを収納するケースを具えていなくても内側樹脂部30と外側樹脂部40との二層構造とすることで、コイル10や磁性コア20の機械的・電気的な保護、外部環境からの保護を十分に行える上に、小型・軽量である。また、リアクトル1は、コイル成形体10Aを具えることで、組立時、コイル10が伸縮せずコイル10が取り扱い易い上に、ボビンなどを省略できるため、部品点数の削減、及びこれらの部品の配置工程の削減を図ることができ、生産性に優れる。特に、コイル成形体10Aでは、内側樹脂部30によりコイル10を圧縮した状態に保持することで、リアクトル1を小型にすることができる。
かつ、リアクトル1では、コイル成形体10Aにおいて設置側に配置される内側樹脂設置面30bに、コイルの軸方向に沿った凹部34aを具えることで、コイルの軸方向に直交する方向に沿ってクラックが進行しようとする力を緩和して、結果として上記クラックが生じ難い。特に、コイル成形体10Aでは、内側樹脂設置面30bの構成樹脂の厚さが薄くても、凹部34aを具えることで上記クラックが生じ難い。従って、リアクトル1では、コイル10と冷却ベースといった固定対象との間の絶縁を十分に確保することができ、信頼性が高い。
その他、内側樹脂部30を放熱性の高い樹脂とし、外側樹脂部40を耐衝撃性に強い樹脂とすると、放熱性と機械的強度とを兼備したリアクトルにできる。また、リアクトル1は、外側樹脂部40の成形にあたり、内側樹脂部30の一部を位置決めに利用することで、組合体1Aを成形型に容易に位置決めでき、この点からも生産性に優れる。更に、リアクトル1は、内側樹脂部30及び外側樹脂部40の成形と同時にセンサ用穴31hや端子台を成形することで、別工程でセンサ用穴を設けたり端子台を固定する必要が無く、この点からも生産性に優れる。
(実施形態2〜5)
以下、図3(II)、図4,5を参照して、内側樹脂設置面に設けられた凹部の形態が異なるコイル成形体10B〜10Eを説明する。凹部の形態以外の点は、実施形態1と同様であるため、凹部を中心に説明し、その他の構成は、説明を省略する。
上記実施形態1では、コイル成形体10Aの内側樹脂設置面30bに設けられた凹部34aが各コイル素子10a,10bに対して一つずつである場合を説明した。その他、図3(II)に示す実施形態2のコイル成形体10Bのように、各コイル素子10a,10bに対して複数(ここでは二つ)の凹部34aを内側樹脂設置面30bに具える形態とすることができる。内側樹脂設置面30bに多くの凹部34aが存在することで、クラックの発生をより効果的に抑制することができると期待される。
或いは、図4(I)に示す実施形態3のコイル成形体10Cのように、内側樹脂設置面30bに、コイル10の軸方向と直交する方向に設けられた凹部34oを具えた構成とすることができる。即ち、コイル成形体10Cは、クラックが生じ得る方向(コイルの軸方向に直交する方向)と同じ方向に凹部34oが存在する。この構成により、クラックが生じ得る力を緩和して、クラックを生じ難くすることができる。コイル成形体10Cでは、各コイル素子10a,10bに対して一つずつ凹部34oを具える。
更に、図4(II)に示す実施形態4のコイル成形体10Dのように、内側樹脂設置面30bに、各コイル素子10a,10bに対して複数(ここでは二つ)の凹部34oを具える形態とすることができる。内側樹脂設置面30bに多くの凹部34oが存在することで、クラックの発生をより効果的に抑制することができると期待される。
或いは、図5に示す実施形態5のコイル成形体10Eのように、内側樹脂設置面30bに、コイル10の軸方向に沿った凹部34aと、コイル10の軸方向に直交する方向に設けられた凹部34oとの双方を組み合わせて具える形態とすることができる。即ち、コイル成形体10Eでは、凹部34aと凹部34oとが交差して+状(十字状)に形成された複合凹部を各コイル素子10a,10bのそれぞれに具える。このような複合凹部を具えることで、クラックの発生を更に効果的に抑制することができると期待される。
(変形例1)
実施形態1では、内側コア部22がコイル成形体10Aと別の部材である構成を説明したが、内側コア部をコイル成形体と一体に成形された形態とすることができる。この場合、内側コア部を予め作製しておき、コイル成形体の形成にあたり、コイル素子内に配置する中子に代えて、内側コア部を配置するとよい。すると、内側樹脂部の成形と同時に、コイルと内側コア部とを内側樹脂部により一体化することができる。この形態では、内側コア部をコイル成形体に嵌め込む工程を省略できることで、リアクトルの生産性を高められる。
(変形例2)
実施形態1では、一対のコイル素子10a,10bを連結するU型の連結部10rを具える構成を説明した。その他、各コイル素子を別々の巻線で構成して、各巻線の端部を溶接などにより接合した接合連結部を具えるコイルを利用することができる。このコイルは、U型の連結部が無いことで、内側樹脂部の形成時、各コイル素子を押圧し易く、この点からもリアクトルの生産性を高められる。また、別々に作製した一対のコイル素子のそれぞれを別個に樹脂で覆って、一対のコイル成形体を形成してもよい。この場合、一つのコイル成形体の成形用金型を共通して利用することができる上に、二つのコイル素子を同時に押圧する必要が無く、一つのコイル素子を押圧すればよいため、コイル成形体を形成し易い。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、凹部の形状を曲線状としたり、凹部をコイルの軸方向に交差する方向(但し、直交方向を除く)に設けたり、凹部を連続する直線状とするのではなく、複数の小溝が直線上に断続的に配置された構成や複数の小溝がランダムに配置された構成とすることができる。
本発明のリアクトルは、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車などの車両に搭載される車載用コンバータといった車載部品の構成部品に好適に利用することができる。本発明のコイル成形体は、上記リアクトルの構成部品に好適に利用することができる。
1 リアクトル 1A 組合体 10A,10B,10C,10D,10E コイル成形体
10 コイル 10a,10b コイル素子 10r 連結部 10w 巻線
10e 巻線の端部 10t ターン部 10f 上側のターン形成面
20 磁性コア 22 内側コア部 22c コア片 22g ギャップ材
24 露出コア部 24b コア設置面
30 内側樹脂部 30b 内側樹脂設置面 30h 中空孔 31 ターン被覆部
31h センサ用穴 33 連結部被覆部 34a コイルの軸方向に沿った凹部
34o コイルの軸方向と直交方向に設けられた凹部
40 外側樹脂部 40b 外側樹脂設置面 42 フランジ部 42h 貫通孔
44 保護部
50 端子金具 52 接続面 52h 挿通孔 54 溶接面
60 ナット

Claims (5)

  1. コイルと、このコイルが配置される磁性コアとを具えるリアクトルであって、
    前記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持する内側樹脂部と、
    前記内側樹脂部を具えるコイルと前記磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部を覆う外側樹脂部と、
    前記内側樹脂部において、前記リアクトルが設置されたときに設置側となるコイルの設置面の全面を覆い、かつ前記外側樹脂部に覆われずに露出されている内側樹脂設置面に設けられ、前記コイルの設置面に達しない深さの凹部とを具えることを特徴とするリアクトル。
  2. 前記凹部は、前記コイルの軸方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記凹部は、前記コイルの軸方向に交差する方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  4. 前記内側樹脂設置面を構成する樹脂の厚さは、1mm以上3mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. コイルと、このコイルが配置される磁性コアとの組合体の外周の少なくとも一部が外側樹脂部で覆われたリアクトルに用いられるコイル成形体であって、
    前記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持する内側樹脂部と、
    前記内側樹脂部において、前記リアクトルが設置されたときに設置側となるコイルの設置面の全面を覆い、かつ前記外側樹脂部に覆われない内側樹脂設置面に設けられ、前記コイルの設置面に達しない深さの凹部とを具えることを特徴とするコイル成形体。
JP2009199649A 2009-08-31 2009-08-31 リアクトル Pending JP2011054613A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009199649A JP2011054613A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 リアクトル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009199649A JP2011054613A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 リアクトル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011054613A true JP2011054613A (ja) 2011-03-17

Family

ID=43943363

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009199649A Pending JP2011054613A (ja) 2009-08-31 2009-08-31 リアクトル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011054613A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014225545A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 株式会社エス・エッチ・ティ コイル装置及びその製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03113833U (ja) * 1990-03-09 1991-11-21
JPH0452709U (ja) * 1990-09-11 1992-05-06
JP2002164229A (ja) * 2000-11-29 2002-06-07 Tokin Corp 応力緩和トランスおよびその製造方法
JP2002343654A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Matsushita Electric Works Ltd 高電圧パルス発生器及びその製造方法
JP2006004957A (ja) * 2003-06-12 2006-01-05 Nec Tokin Corp コイル部品及びコイル部品製造方法
JP2007134374A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル装置
JP2007227640A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Toyota Motor Corp リアクトルの冷却構造および電気機器ユニット
JP2008042051A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Risho Kogyo Co Ltd リアクトル

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03113833U (ja) * 1990-03-09 1991-11-21
JPH0452709U (ja) * 1990-09-11 1992-05-06
JP2002164229A (ja) * 2000-11-29 2002-06-07 Tokin Corp 応力緩和トランスおよびその製造方法
JP2002343654A (ja) * 2001-05-18 2002-11-29 Matsushita Electric Works Ltd 高電圧パルス発生器及びその製造方法
JP2006004957A (ja) * 2003-06-12 2006-01-05 Nec Tokin Corp コイル部品及びコイル部品製造方法
JP2007134374A (ja) * 2005-11-08 2007-05-31 Sumitomo Electric Ind Ltd リアクトル装置
JP2007227640A (ja) * 2006-02-23 2007-09-06 Toyota Motor Corp リアクトルの冷却構造および電気機器ユニット
JP2008042051A (ja) * 2006-08-09 2008-02-21 Risho Kogyo Co Ltd リアクトル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014225545A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 株式会社エス・エッチ・ティ コイル装置及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5459120B2 (ja) リアクトル、リアクトル用部品、及びコンバータ
JP5263720B2 (ja) リアクトル用部品の製造方法及びリアクトル本体の製造方法
JP5429694B2 (ja) リアクトル、およびコンバータ
JP4650755B1 (ja) リアクトル
JP6384732B2 (ja) リアクトル
JP5051469B2 (ja) リアクトル
JP4968626B2 (ja) コイル成形体およびリアクトル
JP4873189B2 (ja) リアクトル
WO2012111499A1 (ja) リアクトルとその製造方法並びにリアクトル部品
JP5287612B2 (ja) リアクトル、及びコンバータ
JP2011029336A (ja) リアクトル及びリアクトルの取付構造
JP5234517B2 (ja) リアクトル、リアクトルの製造方法、及びコンバータ
JP5733343B2 (ja) リアクトル
JP5099523B2 (ja) リアクトル
JP2010165884A (ja) リアクトル
JP5333798B2 (ja) コイル成形体およびリアクトル、並びにコンバータ
JP2011054613A (ja) リアクトル
JP2011049494A (ja) リアクトルの固定構造
JP2011009660A (ja) リアクトル
JP6436352B2 (ja) リアクトル
JP2012204778A (ja) リアクトル、及びリアクトル用ケース

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130529