JP5234517B2 - リアクトル、リアクトルの製造方法、及びコンバータ - Google Patents

リアクトル、リアクトルの製造方法、及びコンバータ Download PDF

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本発明は、ハイブリッド自動車などの車載用DC-DCコンバータの構成部品などに利用されるリアクトル、このリアクトルに利用されるコイル成形体、このコイル成形体の製造方法、及びリアクトルの製造方法に関する。特に、組立作業性に優れる上に、リアクトルに具える外側樹脂部が剥離し難いリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、環状の磁性コアと、このコアの外周に横並びにするように配置される一対のコイル素子を有するコイルと、これら磁性コアとコイルとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填されて上記組合体を封止する樹脂(以下、外側樹脂部と呼ぶ)とを具える。また、コイルと磁性コアとを絶縁するために、磁性コアの外周に筒状ボビンが配置される。更に、コイルの両端面を一対の枠状ボビンで挟み、この挟んだ状態を保持するために]状の中ケースに収納させている。このようなリアクトルは、通電に伴い発熱したコイルなどを冷却できるように冷却ベースに上記ケースが設置されて使用される。
特開2008-028290号公報
従来のリアクトルに対して、組立作業性の向上が望まれる。
通常、リアクトルに組み付ける前のコイルは、そのままであると、形状が保持できず、伸縮したりする。そのため、リアクトルを組み立てる際、形状が不安定でコイルを取り扱い難く、組立作業性の低下を招く。特に、スプリングバックにより、隣接するターン間に比較的大きな隙間があいているコイルでは、そのまま磁性コアに配置すると磁性コアにおけるコイルの配置箇所が長くなることから、自由長から所望の長さに圧縮しながら、リアクトルを組み立てるため、組立作業性が更によくない。特許文献1に記載されるように枠状ボビンでコイルを挟み、かつ中ケースに収納することで、コイルを圧縮状態に保持する場合、部品点数が多いため、組み付け工程が多くなり、作業性の改善が望まれる。
また、リアクトルに具える外側樹脂部の密着性を高めることが望まれる。
作業性の向上を図るために、コイルとして、樹脂により圧縮状態に保持した成形体を利用することを検討した。特に、このような成形体220Aとして、図5に示すような一対のトラック状のコイル素子220a,220bが横並びにされたコイル220の外形に沿って樹脂220cを設け、コイル素子220a,220bの設置側の面(コイル設置面220d、図5において下方側の面)を覆う平面状の面(成形体設置面120d)と、この成形体設置面120dに繋がり、コイル素子220a,220bの角部を覆う湾曲面120とを有する形状を検討した。そして、上記湾曲面120を覆い、かつ上記成形体設置面120dが外側樹脂部230から露出されるように外側樹脂部230を設けたところ、外側樹脂部230において設置側の湾曲面120を覆う箇所では、外側樹脂部230が剥離する可能性があるとの知見を得た。この原因の一つとして、以下のように考えられる。コイル成形体220Aの成形体設置面120dを外側樹脂部130から露出させることで、外側樹脂部230において設置側の湾曲面120を覆う箇所は、図5に示すように湾曲面120と成形体設置面120dとの境界200に向かって断面積が順次小さくなるように、端的には断面三角形状に形成される。この外側樹脂部230が薄い箇所は、リアクトルの使用時の振動などを受けると亀裂が入り易く、亀裂の進展により、コイル成形体220Aの設置側の湾曲面120と外側樹脂部230の構成樹脂との間に隙間が生じて、外側樹脂部が剥離すると考えられる。
そこで、本発明の目的の一つは、組立作業性に優れると共に、リアクトルに具える外側樹脂部が剥離し難いリアクトル、及びこのリアクトルに適したコイル成形体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記コイル成形体の製造方法、及び上記リアクトルの製造方法を提供することにある。
本発明は、外側樹脂部との接触面積を増加するために、コイル成形体の設置側の湾曲面に凹凸を具えることを提案する。
本発明のコイル成形体は、磁性コアの外周にコイルが配置され、これらの外周が外側樹脂部で覆われたリアクトルに用いられるものであり、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと、このコイルの外周を覆ってこのコイルの形状を保持すると共に、上記リアクトルに組み立てられたときに上記外側樹脂部の内面に接触される内側樹脂部とを具える。上記内側樹脂部は、設置面と、この設置面に繋がる湾曲面とを具える。そして、この湾曲面の少なくとも一部には、上記リアクトルの外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されている。
本発明のリアクトルは、上記コイル成形体を具えるものであり、ケースを省略した形態、或いはケースを具える形態がある。ケースを省略した形態の本発明のリアクトルは、上記コイル成形体と、このコイル成形体が配置される磁性コアと、これらコイル成形体と磁性コアとの組合体の外周を覆う外側樹脂部とを具える。そして、上記コイル成形体の湾曲面が上記外側樹脂部に覆われており、上記コイル成形体の設置面が上記外側樹脂部から露出されている。ケースを具える形態の本発明のリアクトルは、上記コイル成形体と、このコイル成形体が配置される磁性コアと、これらコイル成形体と磁性コアとの組合体を収納するケースと、このケース内に充填された外側樹脂部とを具える。そして、上記コイル成形体の湾曲面が上記外側樹脂部に覆われており、上記コイル成形体の設置面が上記外側樹脂部から露出されている。
上記構成によれば、コイル成形体の設置側に位置する湾曲面に凹部や凸部を具えることで、当該湾曲面と、リアクトルの外側樹脂部との接触面積を十分に増加できることから、当該湾曲面と当該外側樹脂部との密着性を高められる。そのため、コイル成形体の設置面がリアクトルの外側樹脂部から露出されて、この外側樹脂部におけるコイル成形体の設置側の湾曲面を覆う箇所の厚さが比較的薄くても、亀裂が生じ難く、亀裂の進展に伴う外側樹脂部の剥離を効果的に抑制することができる。かつ、コイル成形体を利用することで、リアクトルの組み立て時にコイルが伸縮しないことからコイルを取り扱い易く、リアクトルの組立作業性に優れる。また、コイル成形体を利用することで、内側樹脂部により磁性コアとコイルとの間の絶縁性を高められることができる上に、内側樹脂部より圧縮状態を保持できることで、筒状ボビンや枠状ボビン、中ケースを省略して、部品点数及び組み付け工程の削減を図ることができ、この点からもリアクトルの組立作業性に優れる。更に、本発明リアクトルや本発明コイル成形体は、外側樹脂部や内側樹脂部を具えることで、磁性コアやコイルを腐食や粉塵など外部環境から保護したり、機械的に保護することができる。加えて、本発明リアクトルは、コイル成形体の設置面を外側樹脂部から露出させた構成であるため、設置面を冷却ベースといった固定対象やケースに接触させることができる。従って、本発明リアクトルは、コイルの熱を冷却ベースなどに放出し易く、放熱性に優れる。また、このコイル成形体の設置面が固定対象やケースに直接支持されるため、このコイル成形体を固定対象やケースに安定して設置させることができる。
上記コイル成形体の一形態として、上記設置面と上記湾曲面とに繋がる端面を具えた形態が挙げられる。そして、この端面における当該湾曲面に接する領域に、上記リアクトルの外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成され、上記端面におけるその他の領域が平面である形態が挙げられる。上記端面は、代表的には、内側樹脂部においてコイルの端面を覆う面である。
上記湾曲面だけでなく、当該湾曲面の近傍に存在する箇所、具体的には上記端面の一部にも凹部や凸部が存在することで、コイル成形体の設置面近傍とリアクトルの外側樹脂部との密着性を更に高められる。そのため、リアクトルの外側樹脂部の剥離を更に抑制し易い。かつ、上記端面において湾曲面に接する領域以外の領域を平面にすることで、当該平面部分は、リアクトルの外側樹脂部との密着性が相対的に低減され、外側樹脂部の構成樹脂が密着し難くなる。すると、当該平面部分と、リアクトルの外側樹脂部との間に隙間を生じさせることができる。ここで、上記端面における湾曲面に接する領域は、リアクトルの使用時の振動などによる応力が集中し易いと考えられる。そこで、上記隙間を存在させることで、上記端面に対する上記応力の集中を緩和できると期待される。
或いは、上記端面の全域が平面である形態とすることができる。
上記端面の全体が平面であることで、上述のようにこの端面とリアクトルの外側樹脂部との間に隙間を生じさせ易く、この端面に上記応力が集中することを更に緩和し易いと期待される。
上記凹部及び凸部の少なくとも一方は、金型成形、ショットブラスト加工、及び切削加工の少なくとも一つにより形成された形態が挙げられる。
上記金型成形では、金型における湾曲面の形成箇所の所定の位置に突起や凹みを具えるものを利用することで、湾曲面に凹部や凸部を具えるコイル成形体を簡単に形成することができる。上記突起や凹みを具える金型は、例えば、ショットブラスト加工などで金型の表面を粗面化したり、所定形状の突起や凹みを成形したりすることで得られる。金型成形では、内側樹脂部の成形時に凹部や凸部の成形を同時に行えるため、コイル成形体の生産性に優れる。ここで、コイル成形体を金型から抜き易くするために離型剤を利用することが考えられる。離型剤が残存した場合、コイル成形体とリアクトルの外側樹脂部との密着性を低下させる恐れがある。離型剤の除去には、有機溶剤を利用することが考えられるが、有機溶剤は、コイルをつくる巻線の絶縁被覆層をも溶かす恐れがあり、有機溶剤の使用が望まれないことがある。これに対して、本発明では、湾曲面に凹部や凸部を有することで、有機溶剤が残存しても、密着性に優れる。
上記ショットブラスト加工では、適宜選択した大きさや材質のショット材を用いることで、湾曲面に凹部や凸部を具えるコイル成形体を簡単に形成することができる。内側樹脂部において凹部や凸部を形成しない箇所には、予めマスクを施しておく。ショットブラスト加工では、上記突起や凹みを具える金型を利用せず、平滑な湾曲面が得られる金型を利用できるため、コイル成形体を離型し易い。また、この加工により、内側樹脂部の表面に残存した離型剤を除去できることも期待される。
上記切削加工では、所望の形状の凹部や凸部を湾曲面の任意の位置に簡単に形成することができる。また、切削加工では、ショットブラスト加工の場合と同様に、特別な金型を利用しなくてよいため、コイル成形体を離型し易く、かつ凹部や凸部の近傍に離型剤が残存し難い。
上記構成を具える本発明コイル成形体は、例えば、以下の二つの製造方法により製造することができる。本発明のコイル成形体の製造方法は、磁性コアの外周にコイルが配置され、これらの外周が外側樹脂部で覆われたリアクトルに用いられる成形体を製造する方法に係るものであり、以下の(1)〜(3)の工程を具える。
(1) 巻線を螺旋状に巻回してコイルを形成する工程。
(2) 上記コイルを金型に収納し、当該コイルを所定の形状に保持して、上記金型に樹脂を充填する工程。
(3) 充填した上記樹脂を硬化して、上記コイルの形状を保持すると共に、設置面と、この設置面に繋がる湾曲面とを具える内側樹脂部を成形する工程。
第一の製造方法では、上記金型として、上記湾曲面の形成箇所に突起及び凹みの少なくとも一方を具えるものを用い、当該湾曲面の少なくとも一部に上記リアクトルの外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方を形成する。第二の製造方法では、更に、(4) 上記湾曲面の少なくとも一部にショットブラスト加工及び切削加工の少なくとも一方を施し、上記リアクトルの外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方を形成する工程を具える。
上記製造方法により得られたコイル成形体は、上述のように内側樹脂部の湾曲面に凹部や凸部を有することで、このコイル成形体と磁性コアとの組合体の外周を外側樹脂部で覆ったとき、この外側樹脂部の構成樹脂との密着性に優れる。
上記本発明コイル成形体を具える本発明リアクトルは、例えば、以下の製造方法により製造することができる。本発明のリアクトルの製造方法は、磁性コアの外周にコイルを配置し、これらの外周を樹脂で覆ってリアクトルを製造する方法に係るものであり、以下の(I)〜(III)の工程を具える。
(I) 上記本発明コイル成形体を準備する工程。
(II) 上記コイル成形体と磁性コアとの組合体を形成する工程。
(III) 上記組合体の外周を樹脂で覆って外側樹脂部を形成する工程。
特に、上記外側樹脂部は、上記コイル成形体の湾曲面が上記外側樹脂部に覆われ、上記コイル成形体の設置面が上記外側樹脂部から露出されるように形成する。
上記製造方法により得られたリアクトルは、コイル成形体の設置面が外側樹脂部から露出されていることで、上述のように外側樹脂部において湾曲面を覆う箇所の厚さが薄くなっている。しかし、上述のように上記湾曲面は、凹部や突部を有することで外側樹脂部の構成樹脂との密着性が高く、外側樹脂部において当該湾曲面を覆う箇所近傍の樹脂が剥離し難い。
本発明コイル成形体は、リアクトルの構成部品に利用した場合、リアクトルの組立作業性に優れる上に、リアクトルの外側樹脂部との密着性に優れる。本発明リアクトルは、組立作業性に優れる上に、コイル成形体と外側樹脂部との密着性に優れ、外側樹脂部が剥離し難い。本発明コイル成形体の製造方法は、上記本発明コイル成形体を容易に製造することができる。本発明リアクトルの製造方法は、上記本発明リアクトルを容易に製造することができる。
図1は、実施形態1のリアクトルを固定対象に載置した状態を示す概略斜視図である。 図2(I)は、実施形態1のリアクトルに具えるコイル成形体の概略斜視図、図2(II)は、このコイル成形体に具えるコイルの概略斜視図、図2(III)は、このコイル成形体の概略正面図である。 図3は、実施形態1のリアクトルに具える、磁性コアとコイル成形体との組合体の組み立て手順を説明する分解斜視図である。 図4は、コイル成形体の別の形態を示す概略斜視図であり、図4(I)は、湾曲面に一つの直線状の凹部を具える例、図4(II)は、湾曲面に複数の直線状の凹部を具える例、図4(III)は、湾曲面に複数のX字状の凹部を具える例を示す。 図5は、コイル成形体とリアクトルの外側樹脂部との接触状態を説明する概略正面図である。
(実施形態1)
以下、図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1を詳細に説明する。図において同一符号は同一物を示す。なお、図1では、外側樹脂部の一部を切り欠いて外側樹脂部の内側に存在する磁性コア及びコイル成形体が見えるようにしている。また、図1では、コイル成形体において設置側の湾曲面の近傍を拡大して示す。
リアクトル1は、内部に冷媒の循環路を有する金属製(代表的にはアルミニウム製)の冷却ベース(図示せず)に直接設置されて利用される。このリアクトル1は、環状の磁性コア11と、磁性コア11の外周に配置されるコイル成形体12Aと、磁性コア11とコイル成形体12Aとの組合体10の外周を覆う外側樹脂部13とを具える。以下、各構成をより詳細に説明する。
<組合体>
[磁性コア]
磁性コア11の説明は、図3を適宜参照して行う。磁性コア11は、コイル成形体12Aが配置される一対の直方体状のコイル巻回部11cと、コイル成形体12Aが配置されずに露出されている一対の端部コア11eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部11cを挟むように端部コア11eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コイル巻回部11cは、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片11mと、アルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材11gとを交互に積層して構成され、端部コア11eは、上記軟磁性材料からなるコア片である。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材11gは、インダクタンスの調整のためにコア片11m間に設けられる隙間に配置される板状材である。これらコア片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合される。コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
ここでは、コイル巻回部11cの外周面と端部コア11eの外周面とは、面一ではなく、端部コア11eにおける設置側、具体的には、冷却ベースといった固定対象にリアクトル1が載置されたとき、設置側となる面(以下、コア設置面と呼ぶ。図1,3において下方側の面)がコイル巻回部11cにおける設置側の面よりも突出している。また、端部コア11eのコア設置面は、コイル成形体12Aにおける設置側の面(以下、成形体設置面12d(図2)と呼ぶ。図1〜3において下方側の面)と面一となるように、端部コア11eの高さ(リアクトル1を上記固定対象に設置した状態において、当該固定対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル12(図2)の軸方向と直交する方向に等しい方向)の長さ)を調整している。
[コイル成形体]
コイル成形体12Aは、図2(II)に示すように、1本の連続する巻線12wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子12a,12bを有するコイル12と、コイル12の外周を覆う内側樹脂部12cとを具える。
(コイル)
両コイル素子12a,12bは、各軸方向が平行するように横並びに形成されている。巻線12wは、導体の外周に絶縁被覆層を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。両コイル素子12a,12bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたトラック状であり、巻線12wの一部からなる巻返し部12rにより連結されている。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。
コイル12を形成する巻線12wの両端部は、ターン形成部分から適宜引き延ばされて内側樹脂部12cの外部、更に外側樹脂部13の外部に引き出され(図1)、絶縁被覆層が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル12に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線12wの導体部分と端子部材との接続には、TIG溶接などの溶接が利用できる。
(内側樹脂部)
各コイル素子12a,12bの外周は内側樹脂部12cに覆われている。ここでは、この内側樹脂部12cは、各コイル素子12a,12bのそれぞれを自由長よりも圧縮した状態に保持するように形成されている。各コイル素子12a,12bを圧縮状態に保持することで、形状の保持だけでなく、軸方向の長さを短くできる。ここでは、内側樹脂部12cは、図2(I)に示すようにコイル12の外形に概ね沿って覆っており、巻線12wの両端部、及びコイル素子12a,12bのターン形成部分の外周面の一部が内側樹脂部12cの構成樹脂により覆われず露出されている。即ち、内側樹脂部12cの外周面は、凹凸形状である。内側樹脂部12cにおいて両コイル素子12a,12bのターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、巻返し部12rを覆う箇所は、コイルの軸方向にせり出した形状である。内側樹脂部12cの表面、及び上記露出されたターン形成部分は、リアクトル1を組み立てたとき、外側樹脂部13の内面に接触される。
各コイル素子12a,12bの内周も内側樹脂部12cの構成樹脂により覆われており、この構成樹脂により形成される中空孔12hを有する。各中空孔12hにはそれぞれ、磁性コア11(図3)のコイル巻回部11c(図3)が挿通配置される。各コイル巻回部11cがそれぞれ、コイル素子12a,12bの内周の適切な位置に配置されるように内側樹脂部12cの構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔12hの形状をコイル巻回部11cの外形(ここでは直方体状)に合わせている。そのため、各コイル素子12a,12bの内周に存在する内側樹脂部12cの構成樹脂は、コイル巻回部11cの位置決め部として機能する。
また、内側樹脂部12cは、コイル素子12a,12bの設置側の面(以下、コイル設置面12da,12dbと呼ぶ)を覆う平面状の成形体設置面12dと、コイル設置面12da,12db及びコイル素子12a,12bの側面12s(図2(II)において左右の面)を繋ぐ角部を覆う湾曲面120Aとを有する。このリアクトル1の最も特徴とするところは、上記湾曲面120Aに微細な凹凸(凹部及び凸部)を具えるところにある。ここでは、微細な凹凸は、ショットブラスト加工を施すことで形成している。また、ここでは、内側樹脂部12cの設置側の二つの湾曲面120Aの全域に微細な凹凸を具える。
更に、内側樹脂部12cは、設置側において両コイル素子12a,12b間につくられる断面三角形状の隙間を覆う箇所に凹み121を具える。ここでは、凹み121は、断面台形状であり、コイルの軸方向に沿って、コイル成形体12Aの一方の端面12eから他方の端面12eに亘る全域に設けられている。凹み121の形状、形成領域、深さなどは適宜選択することができる。
内側樹脂部12cの構成樹脂は、コイル成形体12Aを具えるリアクトル1を使用した際に、コイルや磁性コアの最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。また、上記樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合すると、放熱性を高められる。
(コイル成形体の製造)
上記コイル成形体12Aは、以下のような成形金型を利用して製造することができる。成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル12の一端側(図2において巻線12wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子12a,12bの内周にそれぞれ挿入される直方体状の中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図2において巻返し部12r側)に位置する端板と、コイル12の周囲を覆う周側壁とを具える。これら第一金型、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子12a,12bの端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子12a,12bを圧縮する。上記棒状体は、コイル12の圧縮に対する十分な強度と、内側樹脂部12cの成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル12において内側樹脂部12cで被覆されない箇所を少なくするために、極力細くすることが好ましい。
巻線12wを螺旋状に巻回してコイル12を形成し、上記成形金型の表面とコイル12との間に一定の隙間が形成されるように成形金型内に上記コイル12を収納する。このとき、コイル12は未だ圧縮されていない。
次に、成形金型を閉じて、各コイル素子12a,12bの内周にそれぞれ、第一金型の中子を挿入する。このとき、中子とコイル素子12a,12bの内周の間隔は、中子の全周に亘ってほぼ均一となるようにする。
続いて、棒状体を成形金型内に進出して各コイル素子12a,12bを圧縮する。この圧縮により、各コイル素子12a,12bを構成する隣接するターン間の隙間が低減された状態となり、コイル12は、その自由長よりも圧縮された状態に保持される。
上記圧縮状態を保持しながら、樹脂注入口から成形金型内に樹脂を充填して硬化した後、成形金型を開いて、当該樹脂により上記圧縮した状態が保持されたコイル成形体を取り出す。得られたコイル成形体は、平滑な設置面12d及び湾曲面120Aを有する。なお、棒状体で押圧されていた箇所に形成された複数の小穴は、外側樹脂部13により埋められるため、そのまま放置しておいてもよいし、適宜な絶縁材などで埋めてもよい。また、凹み121を形成する場合、金型には、凹み121を形成するための突条を具えるものを利用する。上述したコイル成形体の基本的な製造方法は、後述する変形例のコイル成形体についても適用することができる。コイルを圧縮しないで自由長のままとする場合、上記棒状体による押圧を行わなくてよい。
得られたコイル成形体の設置側の二つの湾曲面120Aの全域にショットブラスト加工を施して、湾曲面120Aに凹凸を有するコイル成形体12Aが得られる。ショット材の大きさなどは適宜選択することができる。
<外側樹脂部>
上記磁性コア11とコイル成形体12Aとを組み合わせてなる組合体10は、図1に示すようにその外周を外側樹脂部l3により覆われて、リアクトル1が構成される。ここでは、外側樹脂部l3は、上記組立体10を作製した後、エポキシ樹脂を注型成形することで、組合体10の外形に概ね沿って形成している。巻線12wの端部は、外側樹脂部13から露出されている。また、磁性コア11の端部コア11eの一面、具体的にはコア設置面、及びコイル成形体12Aの一面、具体的には成形体設置面12dの両設置面が外側樹脂部13から露出されている。更に、これらコア設置面と成形体設置面12dとは、外側樹脂部13における設置側の面(以下、樹脂設置面と呼ぶ)と面一である。従って、リアクトル1を固定対象に設置したとき、上記コア設置面、成形体設置面12d、樹脂設置面は、いずれも固定対象に接触する。
ここでは、外側樹脂部13は、上述のように概ね組合体10の外形に沿った外観であるが、設置側の外形が長方形状となるように、組合体10が存在しない箇所にも外側樹脂部13の構成樹脂が存在する。この長方形状の部分を構成するフランジ部13fの四隅にはそれぞれ、リアクトル1を固定対象に固定するためのボルト(図示せず)が取り付けられるボルト孔13hが設けられている。ここでは、各ボルト孔13hはそれぞれ、補強用の金属管により形成されているが、樹脂自体で形成してもよい。金属管は、例えば、真鍮、鋼、ステンレス鋼などからなるものが挙げられる。フランジ部13fの厚さやボルト孔13hの個数などは適宜選択することができる。
外側樹脂部13においてフランジ部13fを除く箇所は、その平均厚さが1〜2mmと均一的であり、当該箇所の外側樹脂部l3の厚さや組合体10に対する被覆領域は適宜選択することができる。例えば、端部コア11eのコア設置面やコイル成形体12Aの成形体設置面12dだけでなく、端部コア11eの一部やコイル12の一部が外側樹脂部の構成樹脂に覆われず、露出された形態とすることができる。
外側樹脂部13の構成樹脂には、上記エポキシ樹脂の他、例えば、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などが利用できる。外側樹脂部13の構成樹脂は、コイル成形体12Aの内側樹脂部12cの構成樹脂と同じでも異なっていてもよい。また、この樹脂にも上述したセラミックスからなるフィラーを含有させて、放熱性を高めてもよい。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして組み立てることができる。
まず、上述のようにしてコイル成形体12Aを用意する。また、図3に示すように、コア片11mやギャップ材11gを接着剤などで固定してコイル巻回部11cを形成する。そして、コイル巻回部11cをコイル成形体12Aの中空孔12hに挿入配置する。この中空孔12hは、上述のようにコイル成形体12Aの内側樹脂部12cの構成樹脂により所定の厚さに形成されているため、中空孔12hに挿入された各コイル巻回部11cはそれぞれ、コイル素子12a,12b(図2)に対して適切な位置に配置される。次に、コイル成形体12Aの両端面12eが一対の端部コア11eで挟まれるように端部コア11eを配置して、接着剤などで端部コア11eとコイル巻回部11cとを接合する。この工程により、組合体10が得られる。得られた組合体10において端部コア11eのコア設置面は、上述のようにコイル成形体12Aの成形体設置面12d(図1)と面一である。
得られた組合体10において、端部コア11eのコア設置面及びコイル成形体12Aの成形体設置面12d、かつ巻線12wの端部が露出されるように組合体10の外周を樹脂で覆って外側樹脂部13を形成する(図1)。また、外側樹脂部13の設置側にフランジ部13f及びボルト孔13hを同時に成形する。上記工程により、リアクトル1が得られる。得られたリアクトル1は、端部コア11eのコア設置面、コイル成形体12Aの成形体設置面12d、外側樹脂部13の樹脂設置面が面一である。このリアクトル1は、冷却ベースといった固定対象に載置し、ボルトをボルト孔13h,固定対象に設けられたボルト穴に締め付けることで、リアクトル1を固定対象に固定することができる。なお、端部コア11eのコア設置面に接着剤などを極薄く(数十μm程度)塗っておくと、端部コア11eと固定対象とを密着させ易い。
<効果>
上記構成を具えるリアクトル1は、コイル成形体12Aを利用することで、組み立て時、コイル12が伸縮せずコイル12が取り扱い易いことから、組立作業性に優れる。また、コイル成形体12Aを利用することで、ボビンなどを省略できるため、部品点数の削減、及びこれらの部品の組み付け工程の削減を図ることができる。更に、リアクトル1は、コイル成形体12Aの成形体設置面12dが外側樹脂部13から露出され、かつ外側樹脂部13の樹脂設置面と面一であることから、リアクトル1を冷却ベースなどに載置したとき、上記両設置面が冷却ベースに接触する。この構成により、コイル12の熱を効率よく冷却ベースに伝えられるため、リアクトル1は、放熱性に優れる。
かつ、リアクトル1では、コイル成形体12Aの成形体設置面12dに繋がる設置側の湾曲面120Aに凹凸を具えることから、湾曲面120Aを覆う外側樹脂部13の構成樹脂との接触面積を十分に確保することができる。そのため、この設置側の湾曲面120Aを覆う外側樹脂部13の構成樹脂が比較的薄くても、当該構成樹脂と十分に密着することができる。特に、リアクトル1では、設置側の二つの湾曲面120Aの全域に亘って凹凸を具えることから、上記接触面積を効果的に増大することができる。ここで、上述のように外側樹脂部13のフランジ部13fの四隅をボルトなどで固定する場合、ボルトによる締付箇所から離れたところでは、リアクトル1の使用時の振動などに伴う応力が直接的に加えられる。特に、設置側では、大きな力が加わり易い。しかし、リアクトル1では、設置側の湾曲面120Aと外側樹脂部13の構成樹脂との密着強度が高いため、上記振動などによる応力が加えられても、外側樹脂部13の湾曲面120Aを覆う箇所に亀裂が生じ難く、当該箇所の構成樹脂が剥離し難い。更に、リアクトル1では、コイル成形体12Aの外周面が凹凸形状であることで、コイル成形体12Aと外側樹脂部13との接触面積が増大され、両者の密着性を更に高められる。
また、リアクトル1は、端部コア11eがコイル巻回部11cよりも突出した形状であることで、端部コアとコイル巻回部とが面一である磁性コアと同じ体積とする場合、端部コアにおけるコイル12の軸方向の長さを短くできるため、より小型できる。かつ、端部コア11eのコア設置面も外側樹脂部13から露出され、外側樹脂部13の樹脂設置面と面一であり、端部コア11eも固定対象に接触することができることから、磁性コア11の熱を効率よく放出できるため、リアクトル1は、放熱性に更に優れる。
更に、リアクトル1は、ケースを具えていないことで、小型・軽量でありながら、外側樹脂部13や内側樹脂部12cを具えることで、磁性コア11やコイル12の外部環境からの保護及び機械的保護を図ることができる。
(実施形態2)
以下、図4を参照して、コイル成形体の別の形態を説明する。
実施形態1のコイル成形体12Aは、ショットブラスト加工による凹凸を有する構成を説明した。その他、図4(I)に示すコイル成形体12Bのように、設置側の湾曲面120Bに、一つの直線状の凹部20Bを有する形態とすることができる。或いは、図4(II)に示すコイル成形体12Cのように、設置側の湾曲面120Cに、複数の直線状の凹部20Cが並列して配置された形態とすることができる。或いは、図4(III)に示すコイル成形体12Dのように、設置側の湾曲面120Dに、複数のX字状の凹部20Dが離隔して配置された形態とすることができる。これら凹部20B,20C,20Dは、例えば、コイル成形体12B,12C,12Dの成形に用いる金型として、設置側の湾曲面の形成箇所に所定の形状の突起を具えるものを用いたり、コイル成形体を形成した後、設置側の湾曲面に切削加工を施すことで形成することができる。金型成形により湾曲面に凹部を形成すると、コイル成形体の成形時に同時に凹部も形成できて、コイル成形体の生産性に優れる。切削加工により凹部を形成する場合、コイル成形体を離型し易く、かつ湾曲面の所望の箇所に簡単に凹部を形成することができる。
このように湾曲面に具える凹部や凸部は種々の形状、個数、形成方法を利用することができる。例えば、凹部や凸部の形成にあたり、上記異なる形成方法を組み合わせて利用してもよい。また、実施形態1で説明したコイル成形体12Aのように、湾曲面120Aの全域に凹部や凸部を有していなくてもよく、一部が平滑なままでもよい。
(実施形態3)
実施形態1では、設置側の湾曲面120Aのみに凹部や凸部を具える構成を説明したが、少なくとも設置側の湾曲面に凹部や凸部を具えていれば、内側樹脂部の表面の任意の位置に凹部や凸部を具える構成とすることができる。例えば、設置側と対向する湾曲面(図1では上方側の湾曲面)にも凹部や凸部を具える構成とすることができる。
また、コイル成形体12Aの内側樹脂部12cにおいて各コイル素子の端面を覆う端面12e(図2(III)において正面に見えている面、及びこの面に対向する面)にも凹部や凸部を具える構成とすることができる。特に、端面12eにおいて湾曲面120Aに接する領域120a(図2(III)においてハッチングを付した領域)に凹部や凸部を具え、端面12eにおいて湾曲面120Aに接する領域120a以外の領域を平面とすることができる。
コイル成形体の端面12eの一部、特に設置側の部分にも凹凸を具える構成とすることで、コイル成形体の設置側部分と外側樹脂部13との密着性を更に高められる。ここで、コイル成形体の端面と、この端面に接触するように配置される磁性コアとの間に公差の範囲で隙間が生じることがある。外側樹脂部13の形成時、この隙間に外側樹脂部13の構成樹脂が進入する。このとき、上述のようにコイル成形体の端面12eの設置側の部分にも凹部や凸部を有することで、当該構成樹脂との接触面積が増し、コイル成形体の湾曲面の近傍に外側樹脂部13の構成樹脂が密着することができる。従って、この構成によれば、リアクトルの使用時の振動などによる応力がコイル成形体の設置側部分に加わっても、外側樹脂部13が剥離することを効果的に抑制できると期待される。
なお、実施形態1のリアクトル1のコイル成形体12Aのように、端面12eの全域を平滑な面とする場合、上述のようにコイル成形体の端面と磁性コアとの間に生じる隙間に樹脂が密着し難くなり、この隙間が維持されると考えられる。この場合、リアクトルの使用時の振動などが生じたとき、上記隙間により、コイル成形体の設置側部分に加わる応力を緩和することができると期待される。このような応力緩和により、コイル成形体の設置側部分において外側樹脂部が剥離することを抑制することができると期待される。
(実施形態4)
実施形態1では、ケースを省略した構成を説明したが、ケースを具える構成とすることができる。この場合、以下のようにしてケース付きリアクトルを形成することができる。まず、図3に示す磁性コア11とコイル成形体12Aとの組合体10を用意し、ケースにこの組合体10を収納する。このとき、組合体10において設置側の面、即ち、磁性コア11のコア設置面及びコイル成形体12Aの成形体設置面12dがケースの底面に接した状態である。次に、組合体10を収納したケース内に外側樹脂部の構成樹脂を充填して硬化する。得られたリアクトルは、実施形態1のリアクトル1と同様に、コイル成形体12Aの設置側の湾曲面120Aと上記ケース内の樹脂との接触面積が大きいことから、リアクトルの使用時の振動などによっても、湾曲面120Aと上記ケース内の樹脂とが剥離し難く、湾曲面120Aと上記ケース内の樹脂との間に隙間が生じることなどを低減できる。
(変形例1)
その他、コイル成形体の設置側に放熱板を具えた構成とすることができる。放熱板は、内側樹脂部の構成樹脂によりコイル成形体と一体化すると、接着剤やボルトなどの固定部材を不要とすることができる。放熱板の構成材料は、熱伝導性に優れる種々の材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼といった金属材料、窒化珪素(Si3N4):20〜150W/m・K程度、アルミナ(Al2O3):20〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200〜250W/m・K程度、窒化ほう素(BN):50〜65W/m・K程度、炭化珪素(SiC):50〜130W/m・K程度などのセラミックスといった非金属材料(数値は熱伝導率)を利用することができる。金属材料を利用する場合、少なくともコイルと接触する側の面には、上記セラミックスなどの絶縁材料からなる被膜を具えることが好ましい。
上記放熱板を具えるコイル成形体は、熱伝導性に優れる上記放熱板を介して、コイルの熱を効率よく冷却ベースなどに伝えられるため、このコイル成形体を具えるリアクトルは、放熱性に更に優れる。
(変形例2)
実施形態1では、各コイル素子12a,12bの内周の全面が内側樹脂部12cの構成樹脂により覆われた構成を説明した。磁性コア11とコイル12との間の所定の絶縁距離を確保でき、かつ実施形態1で説明したように位置決めできるように構成樹脂が存在すれば、各コイル素子12a,12bの内周の全面を内側樹脂部12cの構成樹脂により覆っていなくてもよく、コイル素子12a,12bの内周面の一部が上記構成樹脂から露出していてもよい。このような露出部分を設けることで、内側樹脂部においてコイル素子の内周面を覆う箇所は、凹凸形状となる。この凹みは、リアクトルの外側樹脂部13の成形時の樹脂流路に利用できる上に、外側樹脂部13との接触面積を増大することができる。そのため、このコイル成形体と外側樹脂部13との密着性を高められる。なお、上述のようにコイル素子12a,12bの一部が露出していても、露出箇所が外側樹脂部13の構成樹脂で覆われることで、磁性コアとコイルとの絶縁性を高められる。
(変形例3)
実施形態1では、コイル素子12a,12bが1本の巻線12wから形成され、内側樹脂部12cにより覆われた構成を説明した。各コイル素子を別々の巻線により作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとし、内側樹脂部により被覆したコイル成形体とすることができる。この場合、巻返し部が無いため、内側樹脂部の成形時、各コイル素子を押圧し易い。
或いは、別々の巻線により作製された各コイル素子のそれぞれに内側樹脂部を形成して、コイル素子成形体を作製し、これらコイル素子成形体から突出する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイル成形体としてもよい。この場合、上述のように巻返し部がなく、かつコイル素子が一つだけであるため、内側樹脂部の成形時、コイル素子を押圧し易く、成形体の製造性に優れる。また、二つのコイル素子成形体の作製にあたり、一つの金型を共通して利用することができるため、製造コストを低減することができる。
(変形例4)
実施形態1では、磁性コア11とコイル成形体12Aとが別個の部材である構成を説明した。磁性コア11のうち、コイル巻回部11cをコイル成形体12Aと一体に成形してもよい。コイル巻回部を具えるコイル成形体とすることで、リアクトルの組立作業性をより向上することができる。この場合、金型にコイルを配置した後、各コイル素子の内周に、上述した中子に代えて、予め形成しておいたコイル巻回部の構成部材を配置するとよい。
なお、上述した実施形態は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、上述した各実施形態や変形例の構成を適宜組み合わせた構成とすることができる。
本発明のリアクトルは、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車などの車両に搭載される車載用コンバータといった車載部品の構成部品に好適に利用することができる。本発明のコイル成形体は、上記リアクトルの構成部品に好適に利用することができる。本発明のコイル成形体の製造方法、本発明のリアクトルの製造方法は、上記コイル成形体の製造、上記リアクトルの製造に好適に利用することができる。
1 リアクトル 10 組合体 11 磁性コア 11c コイル巻回部
11e 端部コア 11m コア片 11g ギャップ材
12A,12B,12C,12D コイル成形体 12 コイル 12a,12b コイル素子
12da,12db コイル設置面 12s コイルの側面 12r 巻返し部 12w 巻線
12c 内側樹脂部 12h 中空孔 12d 成形体設置面 12e 端面
13 外側樹脂部 13f フランジ部 13h ボルト孔
120,120A,120B,120C,120D 湾曲面 120a 湾曲面に接する領域 121 凹み
20B,20C,20D 凹部
220A コイル成形体 220 コイル 220a,220b コイル素子 220c 樹脂
220d コイル設置面 230 外側樹脂部 120d 成形体設置面 200 境界

Claims (7)

  1. 磁性コアの外周にコイルが配置され、これらの外周が外側樹脂部で覆われたリアクトルであって、
    巻線を螺旋状に巻回してなる前記コイルと、前記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持すると共に、前記外側樹脂部の内面に接触される内側樹脂部とを具えるコイル成形体と、
    このコイル成形体が外周に配置される前記磁性コアと、
    前記コイル成形体と前記磁性コアとの組合体の外周を覆う前記外側樹脂部とを具え、
    前記内側樹脂部は、設置面と、この設置面に繋がる湾曲面とを具え、前記湾曲面の少なくとも一部には、前記外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されており、
    前記コイル成形体の湾曲面が前記外側樹脂部に覆われており、前記コイル成形体の設置面が前記外側樹脂部から露出されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 磁性コアの外周にコイルが配置され、これらの外周が外側樹脂部で覆われたリアクトルであって、
    巻線を螺旋状に巻回してなる前記コイルと、前記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持すると共に、前記外側樹脂部の内面に接触される内側樹脂部とを具えるコイル成形体と、
    このコイル成形体が外周に配置される前記磁性コアと、
    前記コイル成形体と前記磁性コアとの組合体を収納するケースと、
    前記ケース内に充填された前記外側樹脂部とを具え、
    前記内側樹脂部は、設置面と、この設置面に繋がる湾曲面とを具え、前記湾曲面の少なくとも一部には、前記外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されており、
    前記コイル成形体の湾曲面が前記外側樹脂部に覆われており、前記コイル成形体の設置面が前記外側樹脂部から露出されていることを特徴とするリアクトル。
  3. 前記内側樹脂部は、前記設置面と前記湾曲面とに繋がる端面を具えており、この端面における前記湾曲面に接する領域には、前記外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されており、前記端面におけるその他の領域は平面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル
  4. 前記内側樹脂部は、前記設置面と前記湾曲面とに繋がる端面を具えており、この端面の全域が平面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリアクトル
  5. 前記凹部及び凸部の少なくとも一方は、金型成形、ショットブラスト加工、及び切削加工の少なくとも一つにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリアクトル
  6. 磁性コアの外周にコイルを配置し、これらの外周を樹脂で覆ってリアクトルを製造するリアクトルの製造方法であって、
    巻線を螺旋状に巻回してなる前記コイルと、前記コイルの外周を覆って、このコイルの形状を保持すると共に、前記外側樹脂部の内面に接触される内側樹脂部とを具えるコイル成形体を準備する工程と、
    前記コイル成形体を前記磁性コアの外周に配置し、前記コイル成形体と前記磁性コアとの組合体を形成する工程と、
    前記組合体の外周を樹脂で覆って前記外側樹脂部を形成する工程とを具え、
    前記内側樹脂部は、設置面と、この設置面に繋がる湾曲面とを具え、前記湾曲面の少なくとも一部には、前記外側樹脂部の構成樹脂との接触面積を増加させるための凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されており、
    前記外側樹脂部は、前記コイル成形体の湾曲面が前記外側樹脂部に覆われ、前記コイル成形体の設置面が前記外側樹脂部から露出されるように形成することを特徴とするリアクトルの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のリアクトルを用いたことを特徴とするコンバータ。
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