JP5534551B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、複数のコア片から構成される磁性コアを具えるリアクトルに関するものである。特に、生産性に優れるリアクトルに関する。
電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つに、リアクトルがある。例えば、特許文献1は、ハイブリッド自動車などの車両に載置されるコンバータの回路部品に利用されるリアクトルを開示している。このリアクトルは、環状の磁性コアと、このコアの外周に配置されるコイルと、これら磁性コアとコイルとの組合体を収納するケースと、ケース内に充填されて上記組合体を封止する樹脂とを具える。磁性コアは、磁性材料からなる複数のコア片と、非磁性材料からなるギャップ材とを接着剤により接合した構成が代表的である(特許文献1の0026)。また、磁性コアは、コイルが配置されるコイル巻回部と、コイルが配置されない端部コアとを具え、コイル巻回部に絶縁材料からなる筒状ボビンを配置することで(特許文献1の0022)、磁性コアとコイルとの間の絶縁性を高めている。更に、コイルの両端面を一対の枠状ボビンで挟んでコイルを圧縮し、この圧縮状態を保持するために]状の中ケースに収納させている(特許文献1の図4)。
上記リアクトルは、コイル巻回部の外周に上記筒状ボビン、別途作製しておいたコイルを順に配置し、この状態でコイル巻回部を上記枠状ボビン及び端部コアで挟み、コイル巻回部と端部コアとを接着剤で接合することで形成される。上記コイル巻回部と端部コアとの接合は、上述した枠状ボビンでコイルを挟み圧縮させながら行う。
特開2008-028290号公報
従来のリアクトルに対して生産性の向上が望まれている。
上記複数のコア片同士や、コア片とギャップ材とを接着剤により接合することで、接合工程が多い。コア片やギャップ材が多くなると、接合工程が更に増加する。このように接合工程が多いことで、リアクトルの生産性が低下する。
また、リアクトルに組み付ける前のコイルは、そのままであると、形状が保持できず伸縮したりするため取り扱い難く、生産性の低下を招く。特に、コイルの軸方向の長さを短くするために、上述のようにコイルを圧縮させながらコイル巻回部と端部コアとを接合する場合、コイルを取り扱い難い上に、上記接合作業を行い難いことから、リアクトルの生産性が更に低下する。
そこで、本発明の目的は、生産性に優れるリアクトルを提供することにある。
本発明は、コイルの形状が保持された成形体を利用すると共に、このコイル成形体と磁性コアとを樹脂で覆う構成とすることで上記目的を達成する。
本発明のリアクトルは、複数のコア片を組み合わせて環状に形成される磁性コアと、この磁性コアの外周に配置されたコイル成形体と、これら磁性コアと上記コイル成形体との組合体の外周を覆う外側樹脂部とを具える。コイル成形体は、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルと、このコイルの外周を覆って、当該コイルの形状を保持する内側樹脂部とを有する。そして、このリアクトルでは、上記磁性コアが接着剤を介することなく環状に固定されている。
上記構成によれば、コイルの形状が保持されているコイル成形体を具えることで、コイル成形体と磁性コアとの組合体を形成する際に、コイルが伸縮することなく、非常に取り扱い易い。また、上記内側樹脂部により上記コイルの自由長よりも圧縮した状態を保持する構成とすると、上記組合体を形成する際に別途コイルを圧縮させる必要がない。更に、コイル成形体を利用することで、磁性コアを構成するコア片などをコイル成形体に容易に配置することができる。かつ、上記構成によれば、外側樹脂部により磁性コアとコイル成形体との組合体を覆うことで、外側樹脂部を接着剤として機能させて、磁性コアを環状に保持することができる。従って、接着剤による接合工程を省略することができる上に、コイルを取り扱い易いことから、例えば、圧縮させながら上記組合体を形成しなくてもよいため、リアクトルの生産性に優れる。また、上記構成によれば、内側樹脂部により磁性コアとコイルとの間の絶縁性を高められる上に、内側樹脂部より圧縮状態を保持することで、筒状ボビンや中ケースなどを省略できることから、部品点数の削減及びこれらを組み付ける工程の削減を図ることができ、この点からもリアクトルの生産性に優れる。
本発明のリアクトルは、上記組合体を収納するケースを具える形態、及びケースを省略した形態のいずれも取り得る。ケースを具える場合、上記外側樹脂部は、ケース内に充填される。
また、上記ケースを具える場合、このケースに配置されて、上記磁性コアを押圧することで環状に維持する弾性固定材を具える構成とすることができる。
上記構成によれば、ケース内に収納された磁性コアが弾性固定材により押圧されることで磁性コアを構成するコア片間などに隙間が生じ難い。また、この押圧状態で外側樹脂部を形成することで、上記押圧力の緩みを抑制して、磁性コアを環状により確実に保持することができる。
一方、ケースを省略した場合、上記磁性コアを環状に維持するための帯状締付材を具える構成とすることができる。
上記構成によれば、環状に配置した磁性コアの外周に沿って、磁性コアを囲むように帯状締付材(結束バンド)を配置して締め付け、帯状締付材がつくるループを縮径させることで、磁性コアを容易に環状に固定することができる。また、この状態で外側樹脂部を形成することで、上記帯状締付材の締付力の緩みを抑制して、磁性コアをより確実に環状に保持することができる。帯状締付材の構成材料は、磁性コアを環状に保持可能な強度を有し、コイルの近傍に配置されることから非磁性であり、リアクトルの使用時の温度などに耐え得る耐熱性に優れる材料が好ましい。例えば、ステンレス鋼といった金属材料や、樹脂といった非金属材料が挙げられる。
本発明の一形態として、上記磁性コアが磁性材料からなる上記コア片と、非磁性材料からなるギャップ材とから構成され、少なくとも一つのギャップ材が弾性材料からなる構成が挙げられる。
上記構成によれば、寸法誤差がある程度大きなコア片やギャップ材を利用した場合でも、弾性材料からなるギャップ材(以下、弾性ギャップ材と呼ぶ)を圧縮させ、この圧縮状態で外側樹脂部を硬化することで、上記コア片などの寸法誤差を吸収しつつ、所定のインダクタンスを満たすリアクトルとすることができる。特に、上述した弾性固定材による押し付けや帯状締付材による締め付けを利用すると、弾性ギャップ材を圧縮させ易い。また、弾性固定材の押し付け度合いや帯状締付材の締付度合いにより弾性ギャップ材の圧縮度合い(弾性変形度合い)、即ち、コア片間のギャップ長を容易に変化できるため、インダクタンスの調整が容易である。更に、弾性ギャップ材を具えるリアクトルは、コア片間に接着剤を介在させて、接着剤の厚さによりインダクタンスを調整する場合と比較して、インダクタンスを精密に調整し易い。
本発明リアクトルは、接着剤による接合工程が無く、かつコイル成形体を利用することで、生産性に優れる。
図1(I)は、実施形態1に係るリアクトルの概略斜視図、図1(II)は、このリアクトルに具えるケースをX-X切断した状態の概略断面図、図1(III)は、別の弾性固定材を示す正面図である。 図2(I)は、実施形態1に係るリアクトルに具える、磁性コアとコイル成形体との組合体の概略斜視図、図2(II)は、このコイル成形体に具えるコイルの概略斜視図である。 図3は、実施形態1に係るリアクトルに具える、磁性コアとコイル成形体との組合体の組立手順を説明する分解斜視図である。 図4は、実施形態2に係るリアクトルを模式的に示す上面図である。 図5は、実施形態2に係るリアクトルに具える、磁性コアとコイル成形体との組合体の組立手順を説明する分解斜視図である。
(実施形態1)
以下、図1〜3を参照して、実施形態1のリアクトル1を詳細に説明する。図において同一符号は同一物を示す。図1(I)では、外側樹脂部を省略し、図1(II)ではステーを省略している。リアクトル1は、環状の磁性コア11と、磁性コア11の外周に配置されるコイル成形体12Aと、これら磁性コア11とコイル成形体12Aとの組合体10の外周を覆う外側樹脂部13(図1(II))と、組合体10を収納するケース14とを具える。このリアクトル1は、ケース14を冷却ベースといった固定対象に固定して利用される。リアクトル1の最も特徴とするところは、磁性コア11に接着剤が利用されていない点、及びコイル成形体12Aを具える点にある。以下、各構成をより詳細に説明する。
<組合体>
[磁性コア]
磁性コア11の説明は、図3を適宜参照して行う。磁性コア11は、コイル成形体12Aが配置される一対の直方体状のコイル巻回部11cと、コイル成形体12Aが配置されずに露出されている一対の端部コア11eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部11cを挟むように端部コア11eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コイル巻回部11cは、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片11mと、アルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材11gとを交互に積層して構成され、端部コア11eは、上記軟磁性材料からなるコア片である。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材11gは、インダクタンスの調整のためにコア片11m間に設けられる隙間に配置される板状材である。コア片やギャップ材の個数は、リアクトル1が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。また、コア片やギャップ材の形状は適宜選択することができる。
ここでは、コイル巻回部11cの外周面と端部コア11eの外周面とは、面一ではなく、端部コア11eにおける設置側、具体的には、冷却ベースといった固定対象にリアクトル1が載置されたとき、設置側となる面(以下、コア設置面11d(図1(II))と呼ぶ。図1〜3において下方側の面)がコイル巻回部11cにおける設置側の面よりも突出している。また、端部コア11eのコア設置面11dは、コイル成形体12Aにおける設置側の面(以下、成形体設置面12d(図1(II)と呼ぶ。図1〜3において下方側の面)と面一となるように、端部コア11eの高さ(リアクトル1を上記固定対象に設置した状態において、当該固定対象の表面に対して垂直な方向(ここでは、コイル12の軸方向と直交する方向に等しい方向)の長さ)を調整している。
[コイル成形体]
コイル成形体12Aは、図2(II)に示すように、1本の連続する巻線12wを螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子12a,12bを有するコイル12と、コイル12の外周を覆う内側樹脂部12cとを具える。
(コイル)
両コイル素子12a,12bは、各軸方向が平行するように横並びに形成されている。巻線12wは、導体の外周に絶縁被覆層を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。各コイル素子12a,12bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されたエッジワイズコイルであって、端面形状がトラック状である。また、両コイル素子12a,12bは、巻線12wの一部からなる巻返し部12rにより連結されている。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。或いは、別々の巻線により各コイル素子を作製し、巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとしてもよい。この場合、巻返し部がないため、内側樹脂部の成形時、コイル素子を圧縮し易く、成形体の製造性に優れる。
コイル12を形成する巻線12wの両端部は、ターン形成部分から適宜引き延ばされて内側樹脂部12cの外部、更に外側樹脂部13の外部に引き出され(図1(I),(II))、絶縁被覆層が剥がされて露出された導体部分に、導電材料からなる端子部材(図示せず)が接続される。この端子部材を介して、コイル12に電力供給を行う電源などの外部装置(図示せず)が接続される。巻線12wの導体部分と端子部材との接続には、例えば、TIG溶接などの溶接が利用できる。
(内側樹脂部)
各コイル素子12a,12bの外周は内側樹脂部12cに覆われ、各コイル素子12a,12bは、この内側樹脂部12cにより所定の形状に保持されている。ここでは、各コイル素子12a,12bはそれぞれ、圧縮状態に保持されている。また、ここでは、内側樹脂部12cは、コイル12の外形に概ね沿って覆っており、巻線12wの両端部、及びコイル素子12a,12bのターン形成部分の外周面の一部が内側樹脂部12cの構成樹脂により覆われず露出されている。即ち、内側樹脂部12cの外周面は、凹凸形状である。後述する実施形態2のコイル成形体22Aのように巻線12wの両端部以外の箇所を全て内側樹脂部22cにより覆った形態としてもよい。上記内側樹脂部12cにおいて両コイル素子12a,12bのターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、巻返し部12rを覆う箇所は、コイルの軸方向にせり出した形状である。内側樹脂部12cの表面、及び上記露出されたターン形成部分は、リアクトル1を組み立てたとき、外側樹脂部13の内面に接触される。
各コイル素子12a,12bの内周も内側樹脂部12cの構成樹脂により覆われており、この構成樹脂により形成される中空孔12h(図3)を有する。各中空孔12hにはそれぞれ、磁性コア11のコイル巻回部11c(図3)が挿通配置される。各コイル巻回部11cがそれぞれ、コイル素子12a,12bの内周の適切な位置に配置されるように内側樹脂部12cの構成樹脂の厚さを調整すると共に、中空孔12hの形状をコイル巻回部11cの外形(ここでは直方体状)に合わせている。そのため、各コイル素子12a,12bの内周に存在する内側樹脂部12cの構成樹脂は、コイル巻回部11cの位置決め部として機能する。
ここでは、各コイル素子12a,12bの内周の全面を覆うように内側樹脂部12cの構成樹脂が存在するが、磁性コア11とコイル12との間の絶縁性を高められ、かつコイル巻回部11cの位置決めができるように構成樹脂が存在すれば、コイル素子12a,12bの内周面の一部が上記構成樹脂から露出していてもよい。即ち、コイル巻回部11cを構成するコア片11m及びギャップ材11gが挿入される中空孔が凹凸形状でもよい。中空孔が凹凸形状であることで、凹み部分に外側樹脂部13の構成樹脂が流入し易く、中空孔に配置されたコア片11m及びギャップ材11gの外周にこの構成樹脂を十分に行き渡らせることができる。そのため、磁性コア11を環状に保持し易いと期待される。
内側樹脂部12cの構成樹脂は、コイル成形体12Aを具えるリアクトル1を使用した際に、コイルや磁性コアの最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性を有し、トランスファー成形や射出成形が可能な材料が好適に利用できる。特に、絶縁性に優れる材料が好ましい。具体的には、エポキシなどの熱硬化性樹脂や、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂が好適に利用できる。ここでは、エポキシ樹脂を利用している。また、内側樹脂部12cは、高温になり易いコイル12に接触することから、放熱性に優れることが好ましい。例えば、内側樹脂部12cの構成樹脂として、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスからなるフィラーを混合した樹脂を利用すると、放熱性を高められる。
(コイル成形体の製造)
上記コイル成形体12Aは、以下のような成形金型を利用して製造することができる。成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル12の一端側(図2(II)において巻線12wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子12a,12bの内周にそれぞれ挿入される直方体状の中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図2(II)において巻返し部12r側)に位置する端板と、コイル12の周囲を覆う周側壁とを具える。これら第一金型、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子12a,12bの端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子12a,12bを圧縮する。上記棒状体は、コイル12の圧縮に対する十分な強度と、内側樹脂部12cの成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル12において内側樹脂部12cで被覆されない箇所を少なくするために、極力細くすることが好ましい。
巻線12wを螺旋状に巻回してコイル12を形成し、上記成形金型の表面とコイル12との間に一定の隙間が形成されるように成形金型内に上記コイル12を収納する。このとき、コイル12は未だ圧縮されていない。
次に、成形金型を閉じて、各コイル素子12a,12bの内周にそれぞれ、第一金型の中子を挿入する。このとき、中子とコイル素子12a,12bの内周の間隔は、中子の全周に亘ってほぼ均一となるようにする。
続いて、棒状体を成形金型内に進出して各コイル素子12a,12bを圧縮する。この圧縮により、各コイル素子12a,12bを構成する隣接するターン間の隙間が狭められた状態となり、コイル12は、その自由長よりも圧縮された状態に保持される。
上記圧縮状態を保持しながら、樹脂注入口から成形金型内に樹脂を充填して硬化した後、成形金型を開いて、当該樹脂により上記圧縮した状態が保持されたコイル成形体12Aを取り出す。なお、棒状体で押圧されていた箇所に形成された複数の小穴は、外側樹脂部13により埋められるため、そのまま放置しておいてもよいし、適宜な絶縁材などで埋めてもよい。また、凹凸形状の中空孔を形成する場合は、中子として適宜突部や凹部を有するものを利用するとよい。
<外側樹脂部>
上記磁性コア11とコイル成形体12Aとを組み合わせてなる組合体10は、図1に示すようにケース14に収納され、ケース14内に充填された外側樹脂部l3により組合体10の外周が覆われている。外側樹脂部13の一つの機能として、磁性コア11を環状に保持する機能を有する。
この外側樹脂部13の構成樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、不飽和ポリエステル(BMC)などが利用できる。外側樹脂部13の構成樹脂は、コイル成形体12Aの内側樹脂部12cの構成樹脂と同じでも異なっていてもよい。また、この樹脂にも上述したセラミックスからなるフィラーを含有させて、放熱性を高めてもよい。リアクトル1は、放熱性に優れる内側樹脂部12cを具えることから、外側樹脂部13の構成樹脂として、放熱性が若干劣る樹脂を使用しても、全体として放熱性に優れる。ここでは、外側樹脂部13の構成樹脂に不飽和ポリエステル(BMC)、又はエポキシ樹脂を利用している。
<ケース>
上記組合体10が収納されるケース14は、底面と、底面から立設される四つの側壁とを具えるアルミニウム製の矩形箱状体である。公知のケースを利用することができる。組合体10は、ケース14を構成する上記四つの側壁のうち、対向する一対の側壁14s1,14s2の内面に両端部コア11eが挟まれるようにケース14に収納される。
<板ばね>
上記ケース14内には、組合体10の一方の端部コア11eの端面とケース14の一方の側壁14s2に接するように板ばね15(弾性固定材)が配置されている。この板ばね15により、組合体10(特に磁性コア11)がケース14の他方の側壁14s1に押し付けられることで、磁性コア11が環状に組み合わされた状態をより確実に保持することができる。板ばねの形状や個数、配置箇所は適宜選択することができる。ここでは、板ばね15は、ステンレス鋼板を屈曲させた凹凸形状のものを利用している。より具体的には、図1(II)に示すように一端がケース14に接触するように配置され、中間部に設けられた凸部分が端部コア11eの端面に接触してケース14の側壁側に磁性コア11を押し付け、他端が端部コア11eの上面に接して、ケース14の底面側に磁性コア11を押し付ける構成である。その他の板ばねとして、例えば、金属板の一端側を湾曲させてループ状にした図1(III)に示すような形状のものが挙げられる。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル1は、以下のようにして組み立てることができる。
まず、上述のようにしてコイル成形体12Aを用意する。そして、図3に示すように、コイル成形体12Aの一方の端面12eに一方の端部コア11eを接させて、中空孔12hの一方の開口部を塞いだ状態で、中空孔12hにコア片11m、ギャップ材11gを交互に挿入配置する。この中空孔12hは、上述のようにコイル成形体12Aの内側樹脂部12cの構成樹脂により所定の厚さに形成されているため、中空孔12hに挿入されたコア片11m及びギャップ材11gはそれぞれ、コイル素子12a,12b(図2)に対して適切な位置に配置される。また、内側樹脂部12cの構成樹脂により中空孔12hは、コア片11mなどを十分に支持することができる。次に、コイル成形体12Aの他方の端面12eに他方の端部コア11eを接させて、両端部コア11eでコイル巻回部11c及びコイル成形体12Aを挟む。この工程により、組合体10が得られる。
上記組合体10を組み合わせた状態に保持しながら、ケース14に組合体10を収納する。上述のように端部コア11eのコア設置面11d及びコイル成形体12Aの成形体設置面12dが面一であることで、組合体10は、ケース14の底面に安定して支持される。次に、組合体10の一方の端部コア11eの端面と、この端部コア11eの端面に対向するケース14の一方の側壁14s2の内面との間に板ばね15を挿入して、当該端部コア11eの端面がケース14の他方の側壁14s1側に板ばね15で押圧された状態にする。この板ばね15の押圧により、磁性コア11は、より確実に環状に維持される。更に、リアクトル1では、各端部コア11eの上面にステー16をそれぞれ配置し、ボルト(図示せず)をケース14に締め付けることで、組合体10をケース14により確実に固定している。ステー16及びボルトを省略してもよい。
上記ケース14に収納された組合体10の外周及び板ばね15を覆うように樹脂を充填して、外側樹脂部13を形成する。巻線12wの端部は、外側樹脂部13から露出させておく。上記工程により、リアクトル1が得られる。得られたリアクトル1は、硬化した外側樹脂部13及び板ばね15により、磁性コア11が環状の状態に維持されている。
<効果>
上記リアクトル1は、複数のコア片11mやギャップ材11gからなる磁性コア11を環状に固定するにあたり、接着剤を全く用いず、外側樹脂部13により組合体10の外周を覆って固定する構成である。この構成により、接合工程が不要であり、生産性に優れる。かつ、リアクトル1は、コイル成形体12Aを具えることで、コイル12が取り扱い易いことから、例えば、コイル12を圧縮しながら磁性コア11を環状に固定する必要が無く、このことからも、生産性に優れる。また、コイル成形体12Aを利用することで、リアクトル1の組立途中において、コア片11mなどが接着剤により固定されておらずバラバラであっても、上述のようにコア片11mやギャップ材11gをコイル成形体12Aの中空孔12hに収納すると共に、中空孔12hの開口部を塞ぐように端部コア11eを配置することで、中空孔12h内に収納したコア片11mなどが脱落し難い。更に、コイル成形体12Aでは、内側樹脂部12cの構成樹脂により各コイル素子12a,12bの内周も覆い、この構成樹脂を所定の厚さ及び形状とすることで磁性コア11のコイル巻回部11cの位置決めに利用できる。そのため、リアクトル1は、筒状ボビンなどの位置決め用の部材が不要でありながら、磁性コア11の位置決めを容易に行えることからも、生産性に優れる。
加えて、リアクトル1では、組合体10を板ばね15により押圧する構成であることから、コア片11mなどがずれ難く、磁性コア11を所定の形状に保持することができ、固定状態が緩んでコア片11m間の距離が変動することによるインダクタンスの不整合が生じ難い。また、リアクトル1では、端部コア11eのコア設置面11dとコイル成形体12Aの成形体設置面12dとが面一であって、かつケース14の底面に接触する構成であることで、組合体10のケース14への配置が容易であり、この点からも生産性に優れる。更に、コア設置面11dや成形体設置面12dがケース14の底面に接触することで、磁性コア11やコイル12の熱を効率よくケース14に伝えられるため、リアクトル1は放熱性に優れる。加えて、端部コア11eがコイル巻回部11cよりも突出した形状であることで、端部コアとコイル巻回部とが面一である磁性コアと同じ体積とする場合、リアクトルにおけるコイルの軸方向の長さを短くできるため、より小型にすることができる。その上、リアクトル1では、コイル成形体12Aの外周面が凹凸形状であることで、コイル成形体12Aと外側樹脂部13との接触面積が増大され、両者の密着性を高められる。また、リアクトル1では、内側樹脂部12cと外側樹脂部13とを具えると共にケース14を具えることで、コイル12や磁性コア11の環境からの保護や機械的保護を図ることができる。
(実施形態2)
以下、図4,5を参照して、実施形態2のリアクトル2を詳細に説明する。実施形態1では、ケースを具える形態を説明した。ここでは、ケースを省略した形態を説明する。リアクトル2は、環状の磁性コア11と、コイル成形体22Aと、これら磁性コア11とコイル成形体22Aとの組合体20の外周を覆う外側樹脂部23とを具え、ケースを有していない。このリアクトル2は、外側樹脂部23などを冷却ベースといった固定対象に固定して利用される。リアクトル2におけるリアクトル1との相違点は、上述のようにケースを有していない点、磁性コア11の外周に帯状締付材30を具える点にある。以下、相違点を中心に説明し、その他の構成は、実施形態1のリアクトル1と概ね同様であるため、説明を省略する。
[全体構成]
リアクトル2は、上述のように磁性コア11の外周に帯状締付材30が配置されており、外側樹脂部23と帯状締付材30とにより、磁性コア11が環状の状態に保持されている。この帯状締付材30は、コイル成形体22Aの中空孔22h(図5)にも挿通されている。そのため、磁性コア11とコイル成形体22Aとの組合体20は、帯状締付材30により一体にされている。
[帯状締付材]
上記帯状締付材30は、磁性コア11の外周に配置される帯部31と、帯部31の一端に装着されて帯部31がつくるループを所定の長さに固定するロック部32とを具える。帯部31の他端から長手方向の一定の領域には、帯部31の幅方向に形成された複数の細い突条(図示せず)が長手方向に並列して設けられている。ロック部32は、上記突条が設けられた帯部31の他端側が挿通される挿通孔(図示せず)と、この挿通孔に設けられて上記突条を噛み込む歯部(図示せず)とを有する。帯部31の突条とロック部32の歯部とは、例えば、帯部31の進行方向(締付方向)には突条が歯部を乗り越えられるが、後退方向には突条が歯部に掛け止められて後退できない機構(ラチェット機構)を構成している。帯部31の長さや幅は、磁性コア11の大きさなどを考慮して適宜選択することができる。ここでは、帯状締付材30は、非金属材料からなるものを利用している。非金属材料からなる帯部は、リアクトル2のようにコイル12の内周に挿通配置された場合でも磁気的影響が少ない(渦電流損が生じない)ため、この影響による損失を低減することができる。具体的な非金属材料は、耐熱性ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、PPS樹脂などが挙げられる。例えば、耐熱性、及び絶縁性樹脂からなる市販の結束材(例えば、タイラップ(トーマスアンドベッツインターナショナルインク株式会社の登録商標)、ピークタイ(ヘラマンタイトン株式会社製結束バンド))を利用することができる。また、ここでは、帯状締付材30を1本具える構成を説明しているが、複数本の帯状締付材を並列に配置させた構成としてもよい。複数の帯状締付材を利用することで、磁性コアをより確実に環状に固定することができる。
上記帯状締付材30がつくるループを所望の大きさに固定するには、以下のようにする。まず、帯部31の他端側をロック部32の挿通孔に挿通してループをつくり、更に他端側を引っ張ることでループを縮径すると共に、帯部31の突条をロック部32の歯部に適宜噛み込ませる。この噛み込ませる突条の位置を適宜選択することで、ループを所望の大きさに固定することができる。
コイル成形体22Aの中空孔22hには、内側樹脂部22cの樹脂成型により設けられた帯用溝22g(図5)を具える。上記帯状締付材30は、コイル成形体22Aの中空孔22hの帯用溝22gに配置されることで位置決めされる。
[外側樹脂部]
上記帯状締付材30を具える組合体20の外周が外側樹脂部23により覆われている。ここでは、外側樹脂部23は、上記組体20を作製した後、エポキシ樹脂を注型成形することで、組合体20の外形に概ね沿って形成している。外側樹脂部23の成形は、注型成形の他、トランスファー成形や射出成形を利用してもよい。トランスファー成形や射出成形を利用する場合、帯状締付材30などを損傷しないように帯状締付材の材質や成形圧力などを適宜選択、調整するとよい。巻線12wの端部は、外側樹脂部23から露出されている(図4では図示せず)。また、磁性コア11の端部コア11eのコア設置面、及びコイル成形体22Aの成形体設置面も外側樹脂部23から露出されており、両設置面は、外側樹脂部23における設置側の面(以下、樹脂設置面と呼ぶ)と面一である。従って、リアクトル2を固定対象に設置したとき、上記コア設置面、成形体設置面、樹脂設置面は、いずれも固定対象に接触する。また、リアクトル2は、例えば、端部コア11eに被せるように]状の固定部材(図示せず)を配置し、この]状の固定部材をボルトなどで締め付けることで固定対象に設置することができる。外側樹脂部の構成樹脂によりボルト孔を設けて、固定対象に設置する構成としてもよい。
ここでは、外側樹脂部13の平均厚さを1〜2mmと均一的にしているが、この厚さや組合体20に対する被覆領域は適宜選択することができる。例えば、端部コア11eのコア設置面やコイル成形体22Aの成形体設置面だけでなく、端部コア11eの一部やコイル成形体22Aの一部が外側樹脂部の構成樹脂に覆われず、露出された形態とすることができる。
<リアクトルの組み立て手順>
上記構成を具えるリアクトル2は、以下のようにして組み立てることができる。
まず、図5に示すようにコイル成形体22Aの一方の中空孔22hから他方の中空孔22hに渡すように帯状締付材30の帯部31を挿通させる。このとき、帯部31は、中空孔22hの帯用溝22gに嵌め込まれるように配置する。
そして、帯部31において中空孔22h間に渡された部分をコイル成形体22Aから離れる方向に引き延ばして湾曲部分をつくる。この湾曲部分が一方の端部コア11eの外周に沿うように、一方の端部コア11eを配置する。次に、帯部31の両端を引っ張って上記湾曲部分を縮径すると共に、この端部コア11eの端面がコイル成形体22Aの端面22eに接するようにする。このとき、両中空孔22hの一方の開口部は、この端部コア11eにより塞がれる。この状態で、各中空孔22hの他方の開口部から、コイル巻回部11cを構成するコア片11mとギャップ材11gとを中空孔22hに挿入配置した後、この開口部を塞ぐように他方の端部コア11eをコイル巻回部11cの端面及びコイル成形体22Aの端面22eに接するように配置する。こうすることで、磁性コア11は、両端部コア11eにより二つのコイル巻回部11cが挟まれて環状に配置される。
帯状締付材30の帯部31の一端側に設けられたロック部32の挿通孔に、帯部31の他端側を挿通して引っ張り、帯部31がつくるループを縮径して、上記環状に配置された状態にある磁性コア11を締め付ける。このとき、帯部31の一部が帯用溝22gに保持されることで、帯部31が磁性コア11の外周に沿って配置され易く、ずれ難い。そして、帯部31の突条をロック部32の歯部に適宜引っ掛けて、ループの大きさを決め、磁性コア11の環状の状態を固定する。
上記工程により、組合体20が得られる。得られた組合体20は、帯状締付材30により締め付けられた状態で固定されることで端部コア11eなどが脱落せず、磁性コア11とコイル成形体22Aとを一体物として取り扱える。この一体物に外側樹脂部23を形成することで、リアクトル2が得られる。なお、図4のリアクトル2では、分かり易いように帯状締付材30と磁性コア11との間に若干隙間を設けているが、実際には、帯状締付材30は、磁性コア11の外周に接した状態になる。
<効果>
上記構成を具えるリアクトル20は、実施形態1のリアクトル1と同様に磁性コア11を環状に固定するにあたり接着剤を全く用いておらず、かつコイル成形体22Aを具えることでコイル12を取り扱い易い上に、筒状ボビンなどを用いなくてもコイル巻回部11cの位置決めを容易に行えることで、生産性に優れる。特に、リアクトル2では、帯状締付材30により磁性コア11を環状に保持することができるため、リアクトル2の組立途中にコイル成形体22Aから上記コア片11mなどが脱落し難く、リアクトル2を容易に形成することができる。また、リアクトル2では、コイル成形体22Aの構成樹脂により帯用溝22gを形成したことで、帯状締付材30の位置決めを容易にでき、このことからも生産性に優れる。更に、帯状締付材30の締付前後において帯用溝22gにより帯状締付材30を保持できるため帯状締付材30がずれ難く、磁性コア11を環状の状態により確実に保持することができる。そして、この帯状締付材30が配置された状態で外周樹脂部23が形成されていることで、リアクトル2は、磁性コア11を環状により確実に保持することができる。
その他、リアクトル2では、磁性コア11の外周のほぼ全周に接するように帯状締付材30が配置されていることで、帯状締付材30の締付力を磁性コア11に十分に作用させられる。そのため、リアクトル2は、コア片などがずれ難く、磁性コア11を所定の形状に保持することができ、固定状態の緩みなどによるインダクタンスの不整合が生じ難い。また、リアクトル2もコイル成形体22Aの成形体設置面と端部コア11eのコア設置面とが面一であることで、これら設置面が冷却ベースといった固定対象に接触できることから、放熱性に優れる上に、当該固定対象により組合体20が安定して支持される。加えて、リアクトル2では、帯状締付材30も絶縁性樹脂から構成されていることで、コイル12の近傍に配置されていても、コイル12との間の絶縁を確保できる。その上、リアクトル2は、ケースを具えていないことで小型でありながら、内側樹脂部22c及び外側樹脂部23を具えることで、磁性コア11やコイル12の環境からの保護及び機械的保護を図ることができる。
(変形例2-1)
上記実施形態2では、コイル成形体22Aのコイル12の内周に帯状締付材30が挿通された構成を説明した。その他、帯状締付材をコイル成形体の外周に配置させた構成とすることができる。この構成では、ステンレス鋼といった金属材料からなる帯状締付材を利用しても、磁気的影響による損失が少ないリアクトルが得られる。帯状締付材が金属からなることで、強度及び耐熱性に優れて好ましい。また、この構成では、磁性コアにおいて帯状締付材が直接接触する箇所が低減されるため、帯状締付材が接触することによる磁性コアの損傷が生じ難い。金属材料からなる帯状締付材として、例えば、ロック部にボールを有し、治具によりロック部を押し潰すことで、ロック部の挿通孔を挿通させた帯部の一端側が上記ボールにより押圧されて、ループを固定する構成のものが挙げられる。市販の結束材(例えば、ステンレススチールバンド(パウンドウイットコーポレーション製))を利用してもよい。
(変形例2-2)
帯状締付材30を利用する場合、磁性コア11の外周と帯状締付材30との間に緩衝材が介在された構成とし、帯状締付材の締付力によって磁性コアが損傷することを抑制してもよい。緩衝材は、環状の磁性コアが所定の形状を保持できる程度の締付力が磁性コアに作用するように、その材質、厚さ、個数、配置箇所などを適宜選択することができる。例えば、ABS樹脂、PPS樹脂、PBT樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂をコア形状に合わせて成形させた、厚さ:0.5〜2mm程度の成形部品や、シリコンゴムなどのゴム状板材などを緩衝材に利用できる。
(変形例2-3)
上記実施形態2では、ケースを省略した構成を説明したが、ケースに収納した構成とすることができる。この場合、組合体20は、磁性コア11とコイル成形体22Aとが帯状締付材30により一体となっているため、ケースに収納し易い。また、実施形態1のような板ばねを利用しなくても、磁性コア11は帯状締付材30により環状の状態を十分に保持されているため、板ばねを省略することができる。
(変形例I)
上記実施形態1,2では、磁性コア11に具えるギャップ材11gとしてセラミックス(アルミナ)といった剛性の高い材料からなるものを説明した。ギャップ材のうち、少なくとも一つを弾性材料からなる弾性ギャップ材を利用することができる。この場合、例えば、リアクトルが所定のインダクタンスとなるように、外部治具や板ばねなどにより組合体(磁性コア)を押圧した状態で外側樹脂部を硬化したり、帯状締付材を締め付けて弾性ギャップ材を圧縮させ、この圧縮状態で帯状締付材のループを固定する。この構成により、コア片などに寸法誤差があっても、この寸法誤差を弾性ギャップ材の変形により吸収できる。また、弾性ギャップ材の圧縮状態は、外部治具や板ばねの押圧力、帯状締付材のループの長さなどを調整することで容易に変化できるため、この構成は、インダクタンスを容易に、かつ正確に調整し易い。
弾性材料は、JIS K 6253:2006(デュロメータA型)に準拠して求めた硬度が40〜90度を満たし、リアクトルの使用時の温度に耐え得る耐熱性を有し(好ましくは150℃以上)、絶縁性を有する材料が好ましい。例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムが挙げられる。弾性ギャップ材の個数、形状などは適宜選択することができる。全てのギャップ材を弾性ギャップ材としてもよい。
(変形例II)
上記実施形態1,2では、板ばねや帯状締付材を利用する構成を説明したが、これらを省略した構成とすることができる。この場合、外側樹脂部の成型にあたり、磁性コアとコイルとの組合体が所定の位置関係となるように、ケースや金型に組合体を配置した後、ピンなどにより組合体を位置決めするとよい。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明のリアクトルは、例えばハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池車などの車両に備えるコンバータの構成部品などに好適に利用できる。
1,2 リアクトル 10,20 組合体 11 磁性コア 11c コイル巻回部
11e 端部コア 11m コア片 11g ギャップ材 11d コア設置面
12A,22A コイル成形体 12 コイル 12a,12b コイル素子 12r 巻返し部
12w 巻線 12c,22c 内側樹脂部 12h,22h 中空孔 12e,22e 端面
12d 成形体設置面 13,23 外側樹脂部 14 ケース 14s1,14s2 側壁
15 板ばね 16 ステー 22g 帯用溝
30 帯状締付材 31 帯部 32 ロック部

Claims (4)

  1. 複数のコア片を組み合わせて環状に形成される磁性コアと、
    イルと、このコイルの外周を覆って、当該コイルの形状を保持する内側樹脂部とを有するコイル成形体と、
    前記磁性コアとこの磁性コアの外周に配置された前記コイル成形体との組合体の外周を覆う外側樹脂部とを具え、
    前記コイルは、1本の連続する巻線を螺旋状に巻回してなる一対のコイル素子を有し、これら両コイル素子は、各軸方向が平行するように横並びであり、
    各コイル素子はそれぞれ、前記内側樹脂部によって自由長よりも圧縮された状態に保持されており、
    前記磁性コアは、接着剤を介することなく環状に固定されていることを特徴とするリアクトル。
  2. 更に、前記組合体を収納するケースと、
    前記ケースに配置されて、前記磁性コアを押圧することで環状に維持する弾性固定材とを具えることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  3. 更に、前記磁性コアを環状に維持するための帯状締付材を具えることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
  4. 前記磁性コアは、磁性材料からなる前記コア片と、非磁性材料からなるギャップ材とから構成され、
    少なくとも一つのギャップ材は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトル。
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