JP6635316B2 - リアクトル - Google Patents
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Description
上述の磁性コアにおける各巻回部内に配置される部分において、角部が一様に丸められた従来形態では、インダクタンス特性について改善の余地があった。
巻線を巻回してなる二つの巻回部を各巻回部の軸が平行するように備えるコイルと、
前記各巻回部内に配置される直方体状の内側コア部と、前記巻回部外に配置されて前記内側コア部同士を連結する外側コア部とを含む磁性コアとを備え、
各内側コア部は、
前記巻回部の内周面に対向する四つの角部のうち、両巻回部が離れる側に配置される二つの外側の角部の少なくとも一方に、前記外側の角部に対向する内側の角部よりも大きく面取りされた角面取り部を備える。
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るリアクトルは、
巻線を巻回してなる二つの巻回部を各巻回部の軸が平行するように備えるコイルと、
前記各巻回部内に配置される直方体状の内側コア部と、前記巻回部外に配置されて前記内側コア部同士を連結する外側コア部とを含む磁性コアとを備え、
各内側コア部は、
前記巻回部の内周面に対向する四つの角部のうち、両巻回部が離れる側に配置される二つの外側の角部の少なくとも一方に、前記外側の角部に対向する内側の角部よりも大きく面取りされた角面取り部を備える。
「内側の角部」とは、両巻回部が近付く側に配置される角部である。
前記角面取り部は、C面取りされている形態が挙げられる。
前記内側コア部と前記外側コア部とを一体に保持する樹脂モールド部を備え、
前記樹脂モールド部は、前記各巻回部と前記各内側コア部間に充填され、前記内側コア部の外周の少なくとも一部を覆う内側樹脂部を含む形態が挙げられる。
前記内側樹脂部における前記角面取り部を覆う外角被覆部の最大厚さは、前記内側の角部を覆う内角被覆部の最大厚さよりも厚い形態が挙げられる。
前記各巻回部と前記各内側コア部間に介在され、前記各内側コア部に組み付けられる内側介在部材を備え、
前記内側介在部材における前記角面取り部を覆う外角介在部の最大厚さは、前記内側の角部を覆う内角介在部の最大厚さよりも厚い形態が挙げられる。
前記内側コア部は、圧粉成形体からなるコア片及び磁性体粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体からなるコア片の少なくとも一方を含む形態が挙げられる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るリアクトルを具体的に説明する。図中の同一符号は、同一名称物を示す。
図1〜図3を主に参照して、実施形態1のリアクトル1Aを説明する。以下、図1に示すリアクトル1Aをコンバータケースなどの設置対象(図示せず)に取り付けたとき、図1における下面が設置対象に対向する面(設置対象に接する設置面となる場合がある)として説明する。この設置状態は、例示であり、別の面が設置対象に対向する面となる場合もある。
((全体構成))
実施形態1のリアクトル1Aは、図1に示すように巻線2wを螺旋状に巻回してなる二つの巻回部2a,2bを備えるコイル2と、巻回部2a,2bの内外に配置される磁性コア3とを備える。磁性コア3は、各巻回部2a,2b内に配置される直方体状の内側コア部31a,31bと、コイル2が実質的に配置されず、巻回部2a,2b外に配置されて内側コア部31a,31b同士を連結する外側コア部32,32とを含む(図2も参照)。実施形態1のリアクトル1Aは、各内側コア部31a,31bの角部のうち、特定の角部が大きく面取りされている。
以下、詳細に説明する。
この例のコイル2は、図1に示すように1本の連続する巻線2wが螺旋状に巻回されてなる一対の筒状の巻回部2a,2bと、巻線2wの一部からなり、両巻回部2a,2bを接続する連結部2rとを備える。各巻回部2a,2bは、各軸が平行するように横並びに配置される。この例の巻線2wは、銅などからなる平角線の導体と、導体の外周を覆うポリアミドイミドなどからなる絶縁被覆とを備える被覆平角線、いわゆるエナメル線である。この例の巻回部2a,2bはいずれも、角部を丸めた四角筒状のエッジワイズコイルであり、形状・巻回方向・ターン数を同一としている。コイル2は、二つの巻回部2a,2bを横並びに備える公知のものを利用できる。例えば、巻回部2a,2bがそれぞれ異なる巻線で構成されて溶接などで接合されたコイルなどを利用できる。形状、ターン数なども適宜変更できる。
・全体構成
磁性コア3は、上述のように内側コア部31a,31bと、外側コア部32,32とを備える。この例の磁性コア3は、図2に示すように複数のコア片31m,32mが環状に組み付けられ、隣り合うコア片間にギャップ材31gが介在される。詳しくは、磁性コア3は、内側コア部31a,31bの主体をなす複数のコア片31mと、内側コア部31a,31bの一部と外側コア部32,32とを構成する一対のU字状のコア片32m,32mと、複数の平板状のギャップ材31gとを備える。これらが環状に組み付けられてなる磁性コア3は、コイル2を励磁したときに閉磁路を形成する。
この例の内側コア部31a,31bはいずれも同一形状であり、四角筒状の巻回部2a,2b内に収納されて、図3に示すように横並びされる巻回部2a,2bの中心線を軸として線対称に配置される。
この例のコア片31m,32mはいずれも圧粉成形体である。圧粉成形体は、代表的には、磁性粉末と適宜バインダや潤滑剤とを含む原料粉末を所定の形状に圧縮成形したもの、更に成形後に熱処理を施したものが挙げられる。圧粉成形体を構成する磁性粉末は、代表的には、純鉄や鉄基合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金など)などといった軟磁性金属からなる金属粉末、更に軟磁性金属の粒子の外周にリン酸塩などからなる絶縁被覆を備える被覆粉末などが挙げられる。バインダは樹脂などを利用でき、その含有量は30体積%以下程度、更に20体積%以下、10体積%以下程度が挙げられる。熱処理を施すと、成形に伴う歪みを除去できてヒステリシス損などの損失を低減でき、低損失な磁性コア3とすることができる。また、熱処理によってバインダを消失させたり、熱変性させて粉末粒子間の絶縁材としたりすることができる。上述の絶縁被覆を備えるなどして粉末粒子間に絶縁材を備えると、渦電流損を低減でき、低損失な磁性コア3とすることができる。成形には、プレス成形などの公知の手法、装置を利用できる。
ギャップ材31gは、コア片31m,32mよりも比透磁率が低い材料、代表的にはアルミナなどの非磁性材、樹脂中に少量の磁性粉末が分散された分散材などで構成される。コア片31m及びギャップ材31gの個数、ギャップ材31gの形状・配置位置などは適宜選択できる。ギャップ材31gに代えて、又はギャップ材31gと併用してエアギャップを備えたり、ギャップ材31gを省略してギャップレス構造としたりすることもできる。この例では、ギャップ材31gを巻回部2a,2b内に配置するため、コイル2外への漏れ磁束に起因する損失が実質的に生じず、この点から低損失なリアクトル1Aとすることができる。コア片31m,32mとギャップ材31gとは例えば接着剤などで接合すると、磁性コア3を環状に維持し易い。
実施形態1のリアクトル1Aは、更に、内側コア部31a,31bと外側コア部32,32とを一体に保持する樹脂モールド部6A(図1、図3では仮想線(二点鎖線)で示す)を備えることができる。樹脂モールド部6Aによって一体に保持されることで、磁性コア3は環状の一体物としての剛性を高められて強度に優れる。樹脂モールド部6Aが絶縁性樹脂からなり、コイル2と磁性コア3間に介在される場合には、この両者の絶縁性を高められる。その他、樹脂モールド部6Aは、磁性コア3(特に外側コア部32)を外部環境から保護することもできる。樹脂モールド部6Aは、磁性コア3を一体に保持できれば、磁性コア3の一部を覆い、他部を露出させることができる。例えば、外側コア部32における設置対象と対向する領域を樹脂モールド部6Aに覆われず露出させる形態などが挙げられる。この形態は、冷却構造を有する設置対象である場合に外側コア部32における上述の露出領域を設置対象に近接させて、放熱性に優れるリアクトル1Aとすることができる。
実施形態1のリアクトル1Aは、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータなどの種々のコンバータ、電力変換装置の構成部品に利用できる。
実施形態1のリアクトル1Aは、内側コア部31a,31bにおける巻回部2a,2bの内周面に対向する角部310〜317のうち、外角群310等に角面取り部31oを備える。リアクトル1Aは、角面取り部31oが設けられることで、内側コア部31a,31bにおける磁路面積が減るものの、上述の全ての角部を一様に丸めている従来形態と比較して、サイズを大きくすることなく、大きなインダクタンスを有することができる。即ち、リアクトル1Aは、インダクタンスを一定とする場合、より小型である。かつ、リアクトル1Aは、磁路面積の減少に起因する損失(特に漏れ磁束の増大に起因する銅損)の増大も小さく、低損失である。これらの効果を後述の試験例1で具体的に説明する。
図4を参照して、実施形態2のリアクトル1Bを説明する。リアクトル1Bの基本的な構成は、樹脂モールド部6Aを備える実施形態1のリアクトル1Aと同様であり、巻回部2a,2bを含むコイル2と、外角群310等に角面取り部31oを備える磁性コア3と、内側コア部31a,31bと外側コア部32,32(図1)とを一体に保持し、内側樹脂部61a,61bを含む樹脂モールド部6Bとを備える。実施形態2のリアクトル1Bは、コイル2と磁性コア3間に介在される介在部材5Bを備える点を実施形態1との主な相違点とする。以下、この相違点を詳細に説明し、その他の構成及び効果などについては詳細な説明を省略する。
図5を参照して、実施形態3のリアクトル1Cを説明する。リアクトル1Cの基本的な構成は、実施形態2のリアクトル1Bと同様であり、巻回部2a,2bを含むコイル2と、外角群310等に角面取り部31oを備える磁性コア3と、内側コア部31a,31bと外側コア部32,32(図1)とを一体に保持し、内側樹脂部61a,61bを含む樹脂モールド部6Cと、コイル2と磁性コア3間に介在される介在部材5Cとを備える。この例の介在部材5Cは、内側介在部材5a,5bを備え、内側介在部材5a,5bの外周を覆うように内側樹脂部61a,61bが設けられる。実施形態3のリアクトル1Cでは、内側介在部材5a,5bにおける角面取り部31oを覆う箇所が局所的に厚い点を実施形態2との主な相違点とする。以下、この相違点を詳細に説明し、その他の構成及び効果などについては詳細な説明を省略する。上記の相違点を除いて、介在部材5Cの詳細は、実施形態2の介在部材5Bを参照することができる。
内側コア部における角部の面取り量が異なるリアクトルについて、インダクタンス及び損失をシミュレーションによって求めた。
試料No.101は、各内側コア部における巻回部の内周面に対向する四つの角部を一様にR面取りした試料であり、従来形態に相当する。R面取りの丸め半径rは3mmである。
試料No.1は、各内側コア部における巻回部の内周面に対向する四つの角部のうち、外側の角部をいずれもC面取りし、内側の角部をいずれもR面取りした試料である。C面取りの面取り幅cは4.5mm、R面取りの丸め半径rは3mmであり、外側の角部における面取り幅cは、内側の角部における丸め半径rよりも大きい。そのため、試料No.1の内側コア部の磁路面積は、試料No.101よりも小さい。
試料No.102は、試料No.1に対して内外の面取りを逆にした試料である。即ち、外側の角部をいずれもR面取りし(丸め半径r=3mm)、内側の角部をいずれもC面取り(面取り幅c=4.5mm)しており、外側の角部における丸め半径rは、内側の角部における面取り幅cよりも小さい。試料No.102の内側コア部の磁路面積は、試料No.101よりも小さく、試料No.1と実質的に等しい。
試料No.103は、試料No.101に対して四つの角部を一様にC面取りした試料である(面取り幅c=4.5mm)。試料No.103の内側コア部の磁路面積は、試料No.101,102及び試料No.1よりも小さく、四つの試料のうち最小である。
(1)温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサなどのリアクトルの物理量を測定するセンサ(図示せず)を備える。
(2)コイル2が樹脂モールド部6Aなどで覆われず露出されている場合、巻回部2a,2bに放熱板(図示せず)を備える。この形態は、放熱性に優れるリアクトル1Aなどとすることができる。
(3)コイル2が樹脂モールド部6Aなどで覆われず露出されている場合、巻回部2a,2bを構成する隣り合うターン同士を接合する熱融着樹脂部(図示せず)を備える。この形態は、巻回部2a,2bを内側樹脂部61a,61bの成形型に利用して、磁性コア3を一体に保持する樹脂モールド部6Aなどを成形することができる。
更に、組物とケースの内底面間に放熱層を備える。この形態は、コイル2と金属製のケース間の絶縁性を高められる、放熱性により優れるリアクトル1Aなどとすることができる。放熱層の具体的な材料は、放熱性に優れるフィラー(アルミナなどの非磁性かつ非金属粉末)と樹脂(接着剤でもよい)とを含むものが挙げられる。
更に、ケース内に組物を埋設する封止材(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂、更に上述のフィラーを含有することができる)を備える。この形態は、組物を外部環境から保護できる、封止材及び金属製のケースをコイル2などの放熱経路に利用して放熱性に優れるリアクトル1Aなどとすることができる。
2 コイル
2a,2b 巻回部
2w 巻線
2r 連結部
3 磁性コア
31m,32m コア片
31g ギャップ材
31a,31b 内側コア部
31o 角面取り部
310,312,314,316 外側の角部
311,313,315,317 内側の角部
32 外側コア部
32e 内端面
320 基部
321 突出部
5B,5C 介在部材
5a,5b 内側介在部材
510,512,514,516 外角介在部
511,513,515,517 内角介在部
6A,6B,6C 樹脂モールド部
61a,61b 内側樹脂部
610,612,614,616 外角被覆部
611,613,615,617 内角被覆部
Claims (4)
- 巻線を巻回してなる二つの巻回部を各巻回部の軸が平行するように備えるコイルと、
前記各巻回部内に配置される直方体状の内側コア部と、前記巻回部外に配置されて前記内側コア部同士を連結する外側コア部とを含む磁性コアと、
前記内側コア部と前記外側コア部とを一体に保持する樹脂モールド部とを備え、
各内側コア部は、
前記巻回部の内周面に対向する四つの角部のうち、両巻回部が離れる側に配置される二つの外側の角部の少なくとも一方に、前記外側の角部に対向する内側の角部よりも大きく面取りされた角面取り部を備え、
前記樹脂モールド部は、
前記各巻回部と前記各内側コア部間に充填され、前記内側コア部の外周の少なくとも一部を覆う内側樹脂部を含み、
前記内側樹脂部における前記角面取り部を覆う外角被覆部の厚さが局所的に厚く、前記外角被覆部の最大厚さは、前記内側の角部を覆う内角被覆部の最大厚さよりも厚いリアクトル。 - 巻線を巻回してなる二つの巻回部を各巻回部の軸が平行するように備えるコイルと、
前記各巻回部内に配置される直方体状の内側コア部と、前記巻回部外に配置されて前記内側コア部同士を連結する外側コア部とを含む磁性コアと、
前記内側コア部と前記外側コア部とを一体に保持する樹脂モールド部と、
前記各巻回部と前記各内側コア部間に介在され、前記各内側コア部に組み付けられる内側介在部材とを備え、
各内側コア部は、
前記巻回部の内周面に対向する四つの角部のうち、両巻回部が離れる側に配置される二つの外側の角部の少なくとも一方に、前記外側の角部に対向する内側の角部よりも大きく面取りされた角面取り部を備え、
前記樹脂モールド部は、
前記各巻回部と前記各内側コア部間に充填され、前記内側コア部の外周の少なくとも一部を覆う内側樹脂部を含み、
前記内側介在部材における前記角面取り部を覆う外角介在部の厚さが局所的に厚く、前記外角介在部の最大厚さは、前記内側の角部を覆う内角介在部の最大厚さよりも厚いリアクトル。 - 前記内側コア部は、圧粉成形体からなるコア片及び磁性体粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体からなるコア片の少なくとも一方を含む請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
- 前記角面取り部は、C面取りされている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
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